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元スレ八幡「俺ガイルRPG?」

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401 = 1 :

結衣「きゃああああ!」ボゥ!

いろは「うわわっ!!」ボゥ!

八幡「由比ヶ浜、一色!!」

そのゴーストたちの呪文をまともに受けてしまったのは由比ヶ浜と一色のふたりであった。ふたりとも、予想外の位置から飛んできた呪文に対処できなかったのだ。

八幡「グラビティ!!」

素早くゴーストに向けて鈍化魔法を唱えるが、それでも止められたのは一体のみ。残りの二体は、続いて魔法を唱えた。

ゴーストAは ゆうれいびをとなえた!▼

ゴーストBは ゆうれいびをとなえた!▼

八幡「避けろ──!!」

雪乃「えっ──うっ!!」ボゥ!

小町「わわわっ!!」ボゥ!

その魔法は前衛の方に飛び、魔物と交戦中であった前衛陣のほうに飛んでいった。

だが、魔物と剣を交わしていたまま後ろから飛んできた呪文を避けることは適わずに、そのまま直撃してしまう。

まずい。由比ヶ浜と一色が体勢を立て直せていないまま、前衛も二人が吹き飛ばされてしまっている。そして当然、ゴースト以外の魔物も大量にこちらに向かってきている。

一度パーティの戦線が崩壊すると、後は個々で戦うしかない。

しかし、その圧倒的な物量の前ではひとりで押し返せる数には限りがある。

402 = 1 :

戸塚「うう……ま、まずいね……」

平塚「厳しいな、まだ魔物はいるのか……」

八幡「……」

もう前衛組のHPもそれぞれ半分を切っている。アイテムを使える隙がなさそうな現状、由比ヶ浜の回復を待ちたいところだが、その由比ヶ浜も呪文を唱える隙が見つけられていなさそうだ。

その由比ヶ浜を援護しに行こうとすれば、周りを魔物に囲まれる。万事休すだ。

このまま行けば、誰かのHPは尽きるだろう。そしてこちらの数が減れば、さらに魔物のことを抑える事が出来なくなる。そうしていった先は全滅だ。

それだけは避けなければならない。だがサブレはしばらく使えないし、他のメンバーも全員今を凌ぐだけで精一杯な状況だ。

万策尽きた。もう、この状況をどうにかする方法が思い浮かばない。

だが、なんとか。なんとかしなければ。

結衣「やだ……」

ふと、どこからか呟きが聞こえたような気がした。

だがその声はすぐに周りの喧騒にかき消された。

403 :

やっはやっは

404 = 1 :

八幡「グラビティ!!」

ゴースト「ケケケ」

クマ「クマー!」

スライムナイト「フッ!!」

俺が鈍化魔法をいくら撃っても、魔物の集団を抑え切れない。本当にもう駄目なのか……?

結衣「やだ……やだよ……」

雪乃「ううっ!!」

小町「雪乃さん! あっ、きゃああああ!」

八幡「小町ぃ!! くっそおおおおお!!」

平塚「落ち着け比企谷っ、なんとか出来ないか……!?」

戸塚「うわっ、ああっ!!」

いろは「や、やばいです……もう、MPないです……!」

結衣「やだよ……!!」


結衣「こんなの、やだよっ!!」


刹那、どこからか光が溢れたような気がした。

その光はドス黒く──そして、部屋中がその黒い光に満たされる。

ウィンドウが開くと、短いテキストが更新されていた。


ユイは スキル『バーサーカー』をはつどうした!▼

405 = 1 :

書き溜めしてから、また来ます。

406 :

やっはろおおおおおおおおおおおおお

407 :

歩けば地震が起こり
手を振るえば竜巻が起こる

408 :

物語がリンクするのか

409 = 1 :

(自分の他作品のネタ持ってきたりリンクしたりすることはないので、ご安心してください)

411 :

かっぱ寿司の地下では、捕まった河童たちが
泣きながら寿司を作る仕事をさせられている。
河童たちの給料は1日1本のキュウリだけ。
かっぱ寿司の正社員は、河童たちが逃げたりサボったりしないよう
いつも監視している。恐怖心を植え付けるため、時々無意味に
電気ショックを与えたりする。
河童のほとんどは子供で、「お父さん、お母さんに会いたいよう」と
いつも泣いている。睡眠時間もほとんど与えられず、
逆らうとキュウリを減らされる。

こうして人件費を大幅に抑えることで、かっぱ寿司は
安くて美味しいお寿司をみなさんに提供できるのです。

412 :

感謝のやっはろーと平行でこの更新量やばすぎじゃないすかね
何万文字書いてるんだ

413 :

グラビティはボス戦で強力なので何気に活躍できるよな。デバフ無効のボスでも来ない限りは。(フラグ)

414 :

やっはろおおおおおおお!!
乙です、めっちゃ興奮した!!

415 :

八幡「な……!?」

黒い光が溢れ出している元を見てみると、由比ヶ浜が叫びながら杖を構えているのが見えた。

まさか、この部屋中を満たすような黒い光をあいつひとりで出しているのか?

結衣「あああああああああああああっ!!」

雪乃「ゆ、由比ヶ浜さん!?」

小町「結衣さんっ!?」

由比ヶ浜の周りから溢れる黒い光は留まるところを知らず、まるで放流を開始したダムの水のように溢れている。

そこにウィンドウが開くと、短い一文のテキストが更新された。

ユイは おうぎをおぼえた!▼

八幡「奥義……!?」

これは雪ノ下が陽乃さん戦で覚えた時と同じような必殺技なのだろうか。

由比ヶ浜は、今この窮地においてそれを習得したということになる。

ならばそれはこの状況を打開する鍵となるんじゃないか……?

416 = 1 :

結衣「あああああああああああああっ!!」

いろは「ちょっ、結衣先輩大丈夫なんですかっ!?」

戸塚「由比ヶ浜さん! しっかりして!」

だが、あの黒い光を溢れさせながら叫ぶ由比ヶ浜を見ていると本当にただの救いなのかはかなり疑問だ。

正直に言って、かなりの不安を感じる。今の由比ヶ浜が正気のようには思えない。

──……バーサーカーか、あまり良いイメージはないな。不吉の前兆でなければ良いが。

──先生、それ死亡フラグっていうんじゃないすか。

城での、そんな先生との会話が思い返された。

やはり、バーサーカーという言葉から連想する不吉の予感は的中してしまったということなのだろうか。

状況から察するに、暴走状態みたいなものである可能性も高い。

このまま続けさせては、嫌な予感がする──!!

417 = 1 :

平塚「くそ、由比ヶ浜を止めなければ!」

だが、今の由比ヶ浜を止めることは出来るのだろうか。

それに仮に止められたとして、このままでは結局周囲の魔物に飲まれてやられてしまうだけじゃないのか?

ならばいっそ由比ヶ浜の暴走にでもなんにでも任せて、この状況を打破する可能性に賭けた方がいいのではないだろうか?

結衣「あああああああああああああああああっ!!!」

しかし由比ヶ浜が叫んでいるそれは、まるで悲鳴のようにも──

そして、助けを呼ぶ声のようにも聞こえた。

八幡「由比ヶ浜っ!!」

418 = 1 :

最悪あいつをぶん殴ってでも止めなければならない。大分遅れてからそう感じた俺は周囲を一回見渡す。

だが、他のメンバーは散り散りになっていて由比ヶ浜への距離が遠い。ここから一番あいつに近いのは俺だ。

一瞬遅れて、俺は近くの魔物の攻撃を避けながら由比ヶ浜の元へ駆け出し、その勢いのまま走り出した。

が、それでは遅く──そしてウィンドウにテキストが書かれた。

ユイは おうぎをつかった!▼

結衣「冥府に墜ちし狂える戦士の魂よ、今現世に具現せよ──」

由比ヶ浜が詠唱を開始すると、周りから溢れ出す黒い光が一層強まった。

八幡「由比ヶ浜っ……!!」

雪乃「由比ヶ浜さん!!」

溢れ出す黒い光によって、俺の視界もだんだんと黒く染まっていった。由比ヶ浜の姿も、見えなくなっていく。

ただ、由比ヶ浜の苦しく叫ぶ声だけが聞こえた。

結衣「──バーサーカーソウルッ!!!」

ただ、俺も、皆も、魔物も──そして、由比ヶ浜も。黒い光に染まる光景だけが見えた。

419 = 1 :

──そして全てが暗転する。

────────────────

─────────

─────

──

420 = 1 :

それから幾ばくかの時が経ち、黒い光が徐々に引いていった。

視界に光が戻り、ぱちぱちと瞼を開きながら現状を把握しようと周りを見渡す。

俺は……とりあえず無事なようだ。

雪乃「何があったの……?」

雪ノ下、無事。

小町「う……目がちかちかする……」

小町、無事。

戸塚「た、助かったの……?」

戸塚、無事。

平塚「全員生きているか?」

平塚先生、無事。

一色「生きてはいますけどー。魔物はどこいったんですかねー?」

一色、無事。

421 = 1 :

他のパーティメンバーも周りを見渡しながら、現状を把握しようとしている。

あれだけ部屋中に溢れかえっていた魔物の姿は、一匹も確認出来なくなっていた。

小町「あれ、ほんとだ。魔物いなくなっちゃいましたね」

雪乃「由比ヶ浜さんは──どこ?」

俺もそれに釣られて、由比ヶ浜の姿を探す。

おそらく、あの魔物たちは由比ヶ浜のあの黒い光によって消え去られたのだろう。

なら、その当人はどこへいった?

あれだけ苦しそうに叫んでいた由比ヶ浜はどこへいった?

422 = 1 :

戸塚「あ、いた!」

戸塚が指を差した先に視線を動かすと、少し離れたところに由比ヶ浜の姿が見えた。

どうやらあいつも無事だったようだ。ステータスを確認してみるがHPは先と変わりない。

雪乃「由比ヶ浜さん、無事!?」

由比ヶ浜の姿に気がついた雪ノ下は、由比ヶ浜に向かって走り出した。

あいつが他人のために走るようになるとはなぁ……。少し前なら考えられなかったようなことだが、今ならそうするだろうなと納得する。

もう、雪ノ下にとって由比ヶ浜はかけがえのないともだ────

結衣「……」ブンッ ガッ

雪乃「きゃっ……!!」バタッ

ち?

423 = 1 :

八幡「ゆ、由比ヶ浜?」

あ……ありのまま今起こった事を話すぜ!

『雪ノ下が由比ヶ浜のところへ駆け寄ったら、由比ヶ浜が杖で雪ノ下をぶん殴っていた』

な……何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何をしているのか分からなかった……。

雪乃「ゆ、由比ヶ浜さん……!?」

結衣「……」

おもいっきり殴り飛ばされた雪ノ下も、何故そんなことをされたのか訳が分からないといった困惑の表情を浮かべて由比ヶ浜の方を見た。

結衣「……」

由比ヶ浜はそれに答えず、ただ立ち尽くして倒れた雪ノ下を見下げていた。

その由比ヶ浜の表情からは何も読み取れず、そして何の感情もないように見える。

424 = 1 :

平塚「……まさか、正気を失っているのか?」

いつもの姿とはまるで違う由比ヶ浜の姿を見て、平塚先生がそう漏らした。

確かに、今の由比ヶ浜からはいつもの騒がしさの影も見えない。

ただ、無。

何の感情も、何の表情も、何の言葉も、無かった。

結衣「……」ヒュッ

雪乃「!!」ガッ

が、由比ヶ浜はすぐに杖を振りかぶると、そのまま倒れている雪ノ下に向けて振り下ろした。

それに対して雪ノ下は素早く剣を抜くと、倒れた姿勢のままその杖を受け止める。

425 = 1 :

平塚「おい、由比ヶ浜しっかりしろ!」

さすがに見かねたのか平塚先生がダッシュで由比ヶ浜の方へ向かう。

そして由比ヶ浜を押さえようと後ろから羽交い絞めにした。

結衣「……」ブン

平塚「なぁっ!?」

だが、由比ヶ浜は一体何のトリックを使ったのか羽交い絞めにされた状況から無理矢理平塚先生の拘束を解き、そのまま先生の胸倉を掴んで空高くぶん投げた。

平塚「くっ……なんて馬鹿力だ……」

幸い、平塚先生はそのまま受身を取って地面に着地した。しかし由比ヶ浜の変貌っぷりに動揺を隠せていないようだ。

結衣「……」

雪乃「くっ!」

由比ヶ浜が平塚先生とやり合っている間に雪ノ下は素早く起き上がると、由比ヶ浜から少し距離を取る。そして真っ直ぐに由比ヶ浜の方を向いた。

426 = 1 :

雪乃「由比ヶ浜さん、しっかりして!」

結衣「……」ヒュッ

だが、それに対する由比ヶ浜の返答は言葉ではなく杖を構えての突進であった。

小町「ちょーっとさすがにマズイですよ由比ヶ浜さーん!」

戸塚「由比ヶ浜さん、落ち着いて!」

小町と戸塚がそれぞれ槍と剣を持ち出しながら由比ヶ浜の方へ駆けつける。ちなみに一色はあわあわとしてるだけで動こうとはしてなかった。まぁそう言う俺も何もしてないんですけどね。だってあの由比ヶ浜こえぇもん。

一応鈍化魔法で由比ヶ浜を押さえようと撃ってはみるが、いつも通り呪文は味方への判定は無かった。一応あんなんでも由比ヶ浜は味方扱いになっているらしい。

由比ヶ浜が呪文を使わずに杖で直接殴ってこようとしているのも、あいつが攻撃呪文を使っても俺たちには攻撃判定が無いからかもしれない。

427 = 1 :

結衣「……」ヒュッ ヒュッ

小町「うわ、うわわ!」

戸塚「ゆ、由比ヶ浜さん!!」

今の由比ヶ浜は、普段からは想像もつかないような杖捌きで小町、戸塚、雪ノ下それぞれの得物をいなしている。

3人はなんとかして由比ヶ浜を止めようとしているが、あの暴走状態の由比ヶ浜は思っていたよりはるかに強く、3人がかりでもうまくいっていないようだった。

それはもちろん、3人側には由比ヶ浜に攻撃しづらいという事情もあるからだろうが……。

結衣「……」

小町「うわっ!」

由比ヶ浜が杖を振るい、小町の槍を叩き落とす。

結衣「……」

戸塚「わっ!」

そしてさらにそのまま戸塚の剣も弾き飛ばし、

結衣「……」

雪乃「っ!!」

そして雪ノ下へ杖が振り下ろされた。

428 = 1 :

しかしこれは雪乃が剣で受け止め、つば競り合いのような形になった。

だが、平塚先生が投げ飛ばされたように今の由比ヶ浜はいつもよりはるかに強いパワーを持っている。すぐに雪ノ下側が押され始めた。

雪乃「くっ!」

純粋なパワー対決は不利とみると、剣をずらして杖を流し、雪ノ下は数歩下がって由比ヶ浜から距離を取る。

結衣「……」

これだけの激闘を繰り広げながら、由比ヶ浜の顔には一切の動きが無い。

目の光は失われ、表情は無く、ただ機械のように雪ノ下へ攻撃を加えようとしていた。

仲間判定とされている今、例え物理攻撃を与えようともHPは減らせないのに。

429 = 1 :

雪乃「……由比ヶ浜さん」

正気を失って暴走状態となっている由比ヶ浜の猛攻を受けながらも、目の光を一切曇らせない雪ノ下。

剣を構え、由比ヶ浜の方を真っ直ぐに捉える。

雪乃「そういえば、あなたとは喧嘩らしい喧嘩というものをしたことがなかったわね」

雪ノ下のその言葉を聞いて、過去を振り返ってみる。今までに、すれ違いや見解の相違と言ったものはたくさんあった。あまりに多過ぎてちょっと思い出し笑いしそうになったくらい。

しかし、確かに雪ノ下と由比ヶ浜の間では喧嘩らしい喧嘩はしたことがなかったはずだ。

生徒会選挙の時の対立が一番それっぽいといえばそれっぽいが、あれも喧嘩かというと少し怪しい。

雪乃「本ではよく読むけれど……実は私、喧嘩と言うものをしたことがあんまり多くないのよ」

八幡「そりゃお前と対等に立てる奴が少ないだけだ」

雪乃「そうね」

思わず口を挟んでしまったが、雪ノ下は軽く微笑んでそう返してきた。

今までいじめとそれに対する報復などは数多くあっただろうが、あれを喧嘩と呼ぶのは少々違うだろう。俺が見てきた中でも、ギリギリ三浦との諍いが入るかどうかくらいだ。

喧嘩というのは、同じレベルでないと成立しない。

430 = 1 :

雪乃「実はほんの少しだけ、喧嘩というものに憧れていたのよ」

微笑みながらそう言う雪ノ下の声は、少しだけ何かを求めているようなそんな感じがした。

雪乃「由比ヶ浜さん、あなたなら私と対等な立ち位置で戦ってくれるのかしら」

結衣「……」

由比ヶ浜は、答えないし応えない。

雪ノ下が言葉を続ける。

雪乃「由比ヶ浜さんは正気ではないしこんな状況ではあるけれど。あなたと戦えるというのは、ほんの少しだけ楽しみね」

そう笑って雪ノ下は少し腰を低くし、剣を強く握り締めた。

431 = 1 :

雪乃「みんな、少し私のワガママを聞いてもらっていいかしら」

八幡「なんだ」

雪乃「少しでいいから、私一人で由比ヶ浜さんと戦わせてくれないかしら」

そう言う雪ノ下の目は少しの喜びと──強い、想いに満ち溢れていた。

……ま、由比ヶ浜と物理戦をするのに無駄に何人もいても邪魔だもんな。

八幡「構わねぇよ、ただしあんまりヤバそうなら横槍入れるからな。小町が」

小町「小町が!?」

だって俺の呪文は由比ヶ浜に通じねぇし、木の棒一本でどうにか出来るわけねぇじゃん。

雪乃「助かるわ」

それを聞いた雪ノ下は軽く息を吸い込むと、ダッと地面を強く蹴り飛ばして由比ヶ浜の方へ跳んだ。

結衣「……」

それに対して、由比ヶ浜は素早く杖を振って雪ノ下の剣を受け止める。

ガキンッ!!

雪ノ下の剣と、由比ヶ浜の杖が衝突する音が部屋中に鳴り響いた。

雪乃「帰ってきてもらうわよ、由比ヶ浜さん!!!」

432 = 1 :

このSSが人生初めてのSSなんですけど、いつになったら完結するのでしょうか……。
一応、ストーリー的にはもう半分切ってます。もうしばらくお付き合いください。

また、明日から数日ほど更新が出来なさそうです。申し訳ありません。

そしてTBSでは26:06~、CBCでは27:07~から「俺ガイル。続」第9話が放映されます。
お見逃しのないよう。

それでは書き溜めしてから、また来ます。

434 :

乙!

これが人生初SSってマジかよすげえな
というかこまちにっきですら4本目だったのか
しょっぱなからレベル高えな

435 :

たまねぎ剣士みたいだな

436 :

やっはろー化したら他全員が束になっても消し飛ばされるからなそりゃ

437 :

乙、何このめっちゃ熱い王道RPG
続きが待てないんだが?

438 :

俺ガイルSSの中でも一、二を争うレベルで気合い入ってんなw

これでこまちにっき、感謝のやっはろーと同時進行だからすげぇ

439 :



    ×  ×  ×


雪乃「はぁっ!!」

結衣「……」

ガッ! ガキン!

雪ノ下が振るった剣を由比ヶ浜が杖で受け止め、激しい衝撃音が部屋に響いた。

かれこれもう30分はこの戦いを続けていた。

その間、一瞬足りとも緊張感は途切れない。

440 = 1 :

雪乃「ふっ!」

結衣「……」

雪ノ下が袈裟切りを仕掛けると見せかけて、由比ヶ浜の杖が左肩の方へ向くと一瞬で剣を引っ込めて逆袈裟に切り替える。

しかし由比ヶ浜もすぐにそれに反応すると、杖を逆側に向けて剣を受け流す。

そしてそのままその杖で雪ノ下の首を狙うが、それを雪ノ下は少し頭を下げて避け、その体勢から切り上げようとする。

それに気付いた由比ヶ浜は地面を蹴って大きく下がり、雪ノ下の剣の届く範囲から離れた。

戸塚「す、すごい……」

小町「全然何やってるか分からないです……」

この世界にスタミナの概念は無い。体力の無い雪ノ下からしたらそこだけは幸いだ。

だが、スタミナも関係なく、そして仲間判定になっているこの二人でいくら切り合った所でHPも減らない。

この戦いの勝利条件はただ一つ、由比ヶ浜が正気を取り戻すことだけだ。

だが現状、由比ヶ浜が意識を取り返す前兆は全く見えない。

441 = 1 :

結衣「……」

雪乃「……由比ヶ浜さん」

いくらスタミナは切れなくても集中力はそうはいかないだろう。

さすがに30分もあの戦いを続けていたら雪ノ下といえどもいつかは集中力を切らすときが来る。

その前に誰かが由比ヶ浜の相手を受け継ぐべきなのだ。

しかし、あの雪ノ下に代われとは誰も──俺も、声を掛けることは出来ていなかった。

雪乃「……!!」

雪ノ下が駆け出し、そして振りかぶった剣を由比ヶ浜に向けて振り下ろす。しかしそれも由比ヶ浜は杖で受け止める。

すると、雪ノ下はそのまま剣を引くこともせずに体重を乗せて押し始めた。そしてつば競り合いの形になる。

雪乃「ねぇ、由比ヶ浜さん……今のあなたに、私の声は届いているのかしら」

結衣「……」

しかし今の由比ヶ浜の力は常識の範疇を超えている。雪ノ下を剣ごと簡単に弾き飛ばす。

それに対して雪ノ下はすぐに体勢を立て直すと、また駆け出して剣を由比ヶ浜に向けた。

442 = 1 :

雪乃「あなたはかつて言ったわよね、言ってくれなきゃ分からないこともあるって」

結衣「……」

雪ノ下が由比ヶ浜の首を目掛けて容赦なく剣を水平に振るう。由比ヶ浜は軽くしゃがんでそれを避けたが、そこに再び雪ノ下が剣で切りつけに掛かる。

由比ヶ浜はそれを杖で受け止めるが、軽くしゃがんだ後では体勢が悪い。雪ノ下の剣に押されていく。

雪乃「確かに言わなきゃ分からないこともたくさんあるのかもしれないわ……」

結衣「……」

雪乃「たとえば、あなたへの感謝とかね。思えば、色々と言葉にしてないことが多過ぎたわね」

結衣「……」

由比ヶ浜はその体勢から無理矢理後ろに跳び、距離を取ろうとする。しかし先ほどと同じ動きは雪ノ下に読まれていたか、雪ノ下もすぐさまに前に飛んで由比ヶ浜と距離を詰めた。

雪乃「私はあなたと出会えて本当に良かったわ……感謝してる。でもあなたはどうかしら……私はあまり口が上手ではないから、上手く問えないわ」

結衣「……!」

そして素早く由比ヶ浜の手元を狙って剣を振るう。先ほどと同じく首を狙われると思っていたのか由比ヶ浜は一瞬しゃがもうとしたが、狙いは違った。

そのまま剣は由比ヶ浜の手元を掠め、そして持っていた杖を地面に落とした。

狙いは、由比ヶ浜の持つ杖を落とすことだったのだ。

443 = 1 :

雪乃「あなたは、私と出会ってどう思っているのかしら──言葉で問えないなら、せめてこの剣で伝えたい」

そして武器を失った由比ヶ浜に一閃、雪ノ下の剣が振り下ろされた。

ズバッ!!

それは由比ヶ浜の左肩から右側の腰にかけて、真っ直ぐと斬られた。

八幡「一撃……入った!」

正気を無くしてから、由比ヶ浜本人に一撃を入れられたのは今のがはじめてだ。

よくゲームでは混乱状態に陥った仲間を攻撃することで、それを解除するということがある。

もしも、由比ヶ浜の暴走状態を解く方法が時間経過ではなく、一撃を与えるというものならば──

結衣「……じゃん」

雪乃「由比ヶ浜……さん?」

結衣「あたしだって……ゆきのんと会えて、良かったって思ってるに決まってるじゃん……」

雪乃「由比ヶ浜さん!!」

雪ノ下の一撃を貰った由比ヶ浜の目に、光が点る。そしてそのまま雪ノ下に駆け寄ると、強くその背中を抱きしめた。

結衣「ゆきのんの声、届いてたよ……ありがとう……ありがとう」

雪乃「き、聞かれてたの……少し恥ずかしいわ」

結衣「恥ずかしくなんてないよ! あ、あたしだってゆきのんにめっちゃ感謝してるし……今回だけじゃなくて、いつも……」

雪乃「由比ヶ浜さん……」

雪ノ下の腕も、由比ヶ浜の背中に回された。

そしてその腕も強く由比ヶ浜を抱きしめると、由比ヶ浜がえへへと笑った。

444 = 1 :



     ×  ×  ×


八幡「……押すぞ」

百合フィールドを展開し始めた雪ノ下と由比ヶ浜はさておいて、俺は部屋の奥にあるボタンのところへ向かった。

モンスターハウスだったり、由比ヶ浜のバーサーカーモードだったりで忘れかけていたが、元々この部屋に来た理由はこのボタンを押してラスボスのいる部屋の扉を開くことである。

俺はそこにあるボタンを押すことにした。

ぽちっとな。

すると、どこか少し離れたところでゴゴゴと鈍い音がするのが聞こえた。

おそらく、今のはラスボスの部屋の扉が開く音だろう。

となると葉山たちはとうにボタンを押していたのか。随分と待たせたみたいで悪いな。

445 = 1 :

八幡「……おい、由比ヶ浜。そろそろ雪ノ下を離してやれ」

雪ノ下がものすごく顔真っ赤にして恥ずかしがっていて、そろそろ見ていて可哀想だから。

結衣「あっ……ごめんねゆきのん! ちょっとくっつきすぎて嫌だったかな」

雪乃「あ、いえ、別に嫌というわけではないのよ……むしろ、由比ヶ浜さんが相手なら嬉しいわ」

結衣「ゆ、ゆきのん!」ガバッ

八幡「おい、無限ループしてんじゃねぇ」

さて、ようやく諸々が終わったような気がするが、これらはあくまでラスボスへの前哨戦に過ぎない。

本番はあくまでここからなのだ。

446 = 1 :

俺たちはラスボスの部屋と思われる部屋の前までやってきた。その扉はすでに開け放たれており、その奥には大きい空間が開け放たれている。

八幡「この先にラスボスがいるんだな……」

小町「な、長かったね……」

平塚「だが、これからが本番だ。気を引き締めろ」

いろは「えー、もう終わりでいいじゃないですかー……なんでまだあるんですかー……」

戸塚「ま、まぁ……そういえば葉山くんたちのことを待たなくていいの?」

雪乃「別に一緒に突撃しなくてもいいでしょう……なんなら、葉山くんたちが来る前に終わらせるわよ」

結衣「わっ、ゆきのんなんかすごい!」

そうして、俺たちはラスボス部屋に一歩踏み入れた。

俺たちの戦いはこれからだ!!

447 = 1 :

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