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    元スレ八幡「俺ガイルRPG?」

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    151 = 1 :

    酒飲んで勢いで書くのよくないなぁ

    書き溜めしてから、また来ます。

    152 :

    >>151
    いや、面白いよ。
    変なレスに反応すると荒れるだけだから、
    気にしないで続けてくれ。

    153 :

    いろは姫って書くと平安時代っぽいなw

    154 :

    伊達政宗の娘じゃないか

    155 :

    もう一色が武家の姫様にしか見えない

    156 :

    ダンジョンはめっちゃ坂の上

    157 :

    面白いから更新待ってますよ、変なのはスルーして下さいな。

    一色氏も室町時代には有力大名だったね。

    158 :

    いろは姫とかかぐや姫とかに出てきそう
    いや、姫被っちまってるけどさ

    159 :

    八幡「しかし……一色が姫様ねぇ」

    めぐり先輩からの依頼を受けた後、俺達は城を出て2の国の城下町を歩いていた。

    この国の西門から出た先の森の中にあるアジトに一色を攫った魔物がいるらしい。

    すでにこの国の兵士を派遣しているが、その兵士らからは連絡が付かないという。

    連絡が付かないということは、その魔物に返り討ちにされたかバックれたかの二択である。しかしNPCがバックれるとも思いづらいので、多分返り討ちにでもされたのだろう。俺ならバックれるだろうし、なんならそもそも兵士にならないで専業主夫になっているまである。

    しかし、どうしてマンガやゲームのモブ兵士というのは大抵やられ役なのだろうか。ポッと出の勇者なんかより、長年働いている兵士の方がよっぽど信頼出来るのではないかと思う今日この頃です。

    結衣「いろはちゃんがお姫様かー、なんか似合いそうだね」

    結衣がたははと笑いながらそう言った。実は俺も同意見だ。

    八幡「確かに、あいつほどお姫様が似合う奴もそうそういねぇだろうな」

    結衣「えっ……ヒッキー、それどういう……」

    八幡「あのあざとさといい、人を振り回すあれといい、完全にワガママお姫様って感じだろ」

    あとは男子人口の多いサークルに投げ込んでも立派に『姫』をやれちゃいそうである。ジャグラーのように野郎共の心を手玉に取る姿が容易に脳裏に浮かぶ。

    それにしても、『いろは姫』って無駄に語呂いいな。伊達の親族なの? どうして男として生まれてこなかったんだとか言われちゃうの?

    結衣「あ……そういう意味ね、うん」

    八幡「?」

    結衣「えっ、いや、なんでもないよ! あはは……」

    小町「はー……、本当にごみいちゃんはごみいちゃんだなぁ……」

    八幡「いやお前は知らんだろうが、一色という奴はそういう奴なんだ」

    小町「そういう意味で言ったわけじゃないんだけど……ごみいちゃんの戦闘力……たったの5か……ごみめ」

    せめて『いちゃん』をつけて。

    160 = 1 :

    雪乃「そこのごみ谷君はさておいて、それよりも一色さんが魔物に攫われた理由が気になるわね……」

    八幡「待て、さすがにごみ谷はストレートに酷くない? 俺でも泣いちゃうよ?」

    雪乃「気持ち悪いから泣くのはやめてもらえるかしら」

    平塚先生、今の聞いてましたよね。イジメの現行犯ですよ現行犯!

    あっ、あの人露店のタバコ買い漁ってやがる。教師仕事しろよ。今の職業は格闘家かもしれないけど。ていうかタバコ買える店とかあんのかよこのゲーム。

    結衣「そういえば、なんでいろはちゃんを誘拐したんだろうね?」

    由比ヶ浜がそう指を顎に当てながらそう言った。

    確かにわざわざ王族の姫を攫ったということは何かしら理由があるはず。それは気になるところだった。

    雪乃「殺害……が目的ならば、わざわざ攫ってはいかないでしょうね……」

    八幡「誘拐っていえば身代金とかじゃねぇの」

    誘拐の目的として最もポピュラーなものといえば身代金目当てだろう。

    現代日本だと身代金目当ての誘拐は滅多に成功しないというが、ファンタジー物のゲームではどうなのだろうか。

    雪乃「ええ、他にも姫という立場を利用して国を脅すなどといった可能性は高いわね」

    結衣「うう、いろはちゃんが心配なんだけど……急がなくてもいいの?」

    八幡「大丈夫だ、こういうイベントは大抵勇者が行くまで次に進まない」

    結衣「そういう……ものなの?」

    八幡「そういうもんだ」

    城を出てから時計の針が何故か止まっているし、おそらくこの国を出るまでは時間が進むことはないのだろう。

    となれば、今やるべきことは次の戦闘に備えて準備を怠らないことである。

    161 = 1 :

    ひとまず、1の国から2の国への道中で消費してしまったアイテムを補充するために、俺達はアイテムを売っているショップへ向かった。タバコを売っているショップは何故かタバコしか売っていなかったのである。なんでわざわざタバコ専門店とか用意してるのこの世界は。

    商人「いらっしゃい!」

    雪乃「買いにきたのですが」

    商品「あいよ、見ていってくれな!」

    消費系アイテムを一通り補充した後、装備の品揃えも確認してみる。しかし、内容は1の国で買ったものと変わらないようだった。ならばここで装備を買い換える必要は全くないだろう。

    ていうか、いい加減俺の装備は制服以外には変えられないんですかね……他の4人は新しい防具を買うと多少豪華な作りに変わっていたが、俺だけ見た目は制服のままである。

    装備名も『そうぶこうこうのだんしせいふく+1』である。この世界に総武高校あんのかよ。

    防御力は多少上がっているようではあったが、見た目に何の変化も見受けられない。

    一応職業は黒魔術師なんだから、いい加減それっぽい服装に着替えさせてほしい。そうでなくても、せめてこの中世ファンタジーに合う服装にしたい。

    162 = 1 :

    平塚「おお、肉まんが売ってるぞ」

    八幡「なんで肉まん……世界観ぶち壊しですね」

    町並みは中世ヨーロッパみたいな感じなのにも関わらず、肉まんが売られているというのもおかしな話だと思う。

    もうちょっとそれっぽい食べ物とか無かったのだろうか。いや、俺も中世ヨーロッパの有名な食べ物とか知らないけど。

    ……そもそも、この町並みだと制服姿の俺が一番おかしいか。

    平塚「どうせだ、全員食べていこうじゃないか。腹が減っては戦は出来ぬというしな」

    八幡「腹は減ってないんですけどね……」

    昨日に至っては回復アイテムを除けば一日中何も食べてはいなかったが、空腹を感じることはなかった。常に体は軽くて空腹は感じないとか本当にゲーム様様って感じだ。

    だが空腹は感じずとも、飯を食えば何かしらのステータス上昇に繋がるというのは分かっていた。ならば別に食べるのを拒む理由もあるまい。

    俺は平塚先生から肉まんをひとつ貰うと、それをそのまま口に頬張った。悪くない。働かずに食う飯はうまい。

    いや、このお金は俺達が魔物を倒して稼いだお金なのだからがっつり働いているような気がする。今ここになって分かったが、働いていようがいまいが飯のうまさは変わらんらしい。もし将来働かずに食う飯はうまいかと聞かれたら働いていても変わらないと答えてやろう。

    163 = 1 :

    肉まんを全て飲み込むと、ウィンドウが開いてメッセージが出てきた。

    ハチマンのHPが 2じょうじょうした!▼

    ハチマンのMPが 3じょうしょうした!▼

    さすがに1の国の城で食べた豪華な食事に比べると上昇値は高くは無かったが、肉まんひとつで上がるなら安いものだろう。

    相変わらずHPがパーティの中で最も低い雪ノ下に大量に食べさせて少しでもHPを上げさせた方がいいんじゃないかと考えたが、ふと満腹になっていたことに気が付いた。

    大食いしてステータスを大きく上げるという手段はどうやら取れないようになっているらしい。

    八幡「……おっ?」

    ウィンドウがまだ閉じていなかったので、何かと思って読んでみると、ステータス上昇を知らせること以外にまだテキストが続いていたことに気が付いた。

    ハチマンは スキル『こんじょう』が はつどうした!▼

    八幡「スキル……?」

    これは前回の食事では無かった事だ。他の4人もこういったものが出ているのか見てみると、他の4人のウィンドウにはただステータスの上昇を知らせるテキストのみが書かれていた。

    小町「小町達にはそれ出なかったよ?」

    八幡「となると、ランダムで発動とかだろうな」

    モ○ハンの猫飯とかでもランダムでスキルが出てくることもあるし、あれのようなものだろう。

    ただ、そのスキルの肝心の効果が一切分からないのだが、これはどういう効果を持っているのか。

    雪乃「あら、根性という言葉はあなたには一番無縁のような言葉のように思えるけど」

    八幡「そうだな、こんな言葉は犬にでも食わせちまえばいい。大体、根性という言葉を盾にすればどんな理不尽もまかり通ると思ってる社会が悪い」

    小町「うわー、バイトも大抵バックれたりするお兄ちゃんらしい言い分だなー」

    ほっとけ。

    164 = 1 :


                             ×  ×  ×


    しばらく歩くと西門に辿り着いた。ここから魔物の在り処に向かうらしい。

    今回は特に門が壊されているということは無かったが、その門の周辺をウロウロしているNPC兵士が目に付いた。

    NPC兵士「ああ、心配だ心配だ」

    もちろんこのNPCがどんな悩みを抱えていようが俺は全く気にしないし、ぶっちゃけ言えばどうでもいい。

    だが明らかに不審な態度を取っているNPCというのは、何かしら重大な情報を呟くことが多い。

    だからどんなにどうでもよくても、一応話だけは聞いておかねばならない。

    NPC兵士「ああ、いろは姫を救いにいった部隊が帰ってこない。心配だ心配だ」

    おい、一色が攫われたってのは情報封鎖されるレベルの情報じゃなかったのかよ。もしかして町で噂になってるのってこいつのせいじゃないのか。

    NPC兵士「あの部隊には腕も腰も脚も細くて白い肌の可愛い子もいたが……あの子は無事だろうか……」

    兵士はそう言って台詞を止めた。なるほど、分からん。

    今の話のどこに重大な要素があったというのだ。

    一色を救いにいった兵士達から連絡が付かないっていうのはすでに分かっていることだし、今分かった新しい情報はその中に可愛い子っていうのがひとりいるってことだけだ。

    しかし、それを知ってどうしろというのだ。

    平塚「ふむ、これは姫だけでなく兵士も救う必要があるということだろうか?」

    八幡「げっ、救助対象が増えただけじゃないですか」

    しかし腕も腰も脚も細くて白い肌の可愛い子、ねぇ。

    どんな奴なのかは知らんが、戸塚の可愛さには適わないだろう。ああ、戸塚可愛いとつかわいい。

    165 = 1 :

    兵士の話を聞いた後に西門から2の国を出ると、雪ノ下が持っていた時計の針が再び進み始めた。

    やはりイベントをこなしている道中のみ、この世界の時間は進んでいくらしい。よく分からんシステムだ。

    そうでもなかったら、他の国が魔王を討伐するまで宿屋で寝てればいいという俺の考えがまかり通るからだろうか。あっ、二度寝は出来ない仕様でしたねテヘペロ。

    雪乃「この先にある森を抜けた先に一色さんを攫った魔物のアジトがあるそうよ。急ぎましょう」

    そう言って、雪ノ下は走り出した。あいつスタミナが無縁なこの世界になってからよく走り出すな。

    だが、国の外に出たということでここはすでに雑魚敵がポップする地域だ。走り出してからすぐに魔物が飛び出してきた。

    クマ達「「「クマーッ!」」」

    クマAが あらわれた!▼

    クマBが あらわれた!▼

    クマCが あらわれた!▼

    クマDが あらわれた!▼

    人間の大きさほどの熊に近い何かのような獣が4体も出てきた。現実の熊よりは小さ目のサイズだが、数が多い。さすがステージ2というべきか。

    しかし、昨日の1の国から2の国の道中にかけて数多くの激戦をこなしてきた俺達のレベルは5にまで上がっている。多少相手が多くなってもおそらく対応出来るだろう。

    特に最後のドラゴン戦ではかなりの多くの経験値を稼がせてもらった。あっ、パンさんのことを思い出して目が潤みそう。

    ちなみに俺の覚えている呪文は何故かひとつのままだった。本当にバグっているのではないだろうか。

    166 = 1 :

    雪乃「それでは行きましょう」

    平塚「よし、気合いを入れて行くぞ!」

    小町「はいはーい、小町にお任せー!」

    真っ先に前衛の3人が突撃し、後衛である俺が鈍化魔法、由比ヶ浜が攻撃魔法か回復魔法で援護するというのがこのパーティのお決まりパターンになっていた。

    最初のうちは魔法の扱いに不慣れだった由比ヶ浜も、だんだんと慣れてきたのか上手く魔法を扱えるようになってきている。

    結衣「しびれちゃえ! ユイサンダー!!」ビシャーン

    熊A「クマクマー!!」

    派手な雷をぶっ放す由比ヶ浜を横目に見ながら、俺も前衛に襲いかかろうとしている熊に向けて重力の魔法をかける。

    別に自分の魔法が役に立っていないというわけではないのは分かっている。相手の行動を制限することによって前衛が動きやすくなっているのは確かだ。べ、別にガハマさんの魔法に嫉妬してるわけじゃないんだからね!

    クマB「クマッ!」ヒュッ

    雪乃「はっ!」ズバッ

    クマB「クマー!」

    そして今日の雪ノ下の技の冴えっぷりも見事なものだ。襲い掛かる熊パンチをギリギリのところで避け、隙が出来たところにカウンターの斬撃を浴びせていく。

    ちなみにここに至るまで未だに雪ノ下のHPは1も減ったことがない。ゲーム補正が多分に含まれてはいるとはいえ、あいつ本当に女子高生なのだろうか。

    167 = 1 :

    平塚「ゴムゴムのッ!! ピストルッ!!(ゴムじゃないけど)」バキッ

    クマC「クマッ!!」

    そして熊の顔面に活き活きと殴りかかっている暴力教師こと平塚先生も相変わらず絶好調のようだった。

    パーティ内で一番楽しそうに戦っているあの戦闘狂は、その突撃スタイルから被弾率が最も高いものの、HPと攻撃翌力の高さで毎回ゴリ押していた。

    小町「とりゃー!」ザクッ

    クマD「釣られクマー!!」

    小町はリアルの運動神経こそは割と普通程度だったと思っていたが、槍のリーチの長さを上手く活かして立ち回っていた。

    それから俺の鈍化魔法が大抵小町の相手をしている魔物にいっていることもあって、そこそこ高い撃破率を保っている。

    あと今、熊の断末魔なんかおかしくなかった?

    小町「いえーい! やりましたね、雪乃さん!」

    雪乃「え、ええ」

    小町が手を挙げてハイタッチをしようとしていたが、雪ノ下がどう対応したらいいのか分からなさそうにしているのがなんだかおかしかった。

    あいつは他人とゲームをやったりする経験はおそらくないだろう。ゲームのことをピコピコとか言っていたくらいだし。

    だが、このゲーム(?)を通じて少しくらい他人と遊ぶ楽しみを覚えれば丸くなったりするのかね、と考える。

    俺? 俺とか他人と遊び楽しみとかめっちゃ分かってるよ。小町とか小町とか、あと小町とかとよくゲームやってるしな!

    168 = 1 :

                  ×  ×  ×


    雪乃「ここね」

    2の国を出てから約1時間が経った。

    ようやく一色を攫った魔物がいるというアジトの正門前にまでやってきていた。森の中に堂々と建物が建っているのだから、その浮きっぷりは尋常ではなかった。

    2の国の西門からの距離としてはそこまで長くないと思うのだが、雑魚戦が思った以上に多かったために意外と時間を食ってしまったようであった。

    八幡「結構大きいな、これ。探せば他に入り口あるんじゃねーのか」

    雪乃「そうね、何も正面突破にこだわる必要はないわね」

    平塚先生は、えーこういうのは真正面から行くものだろーと言っていたがそれは無視することにする。俺達の目的は一色奪還が最優先だ。正門から突撃する必要もあるまい。

    だが、そう思っていた時だった。

    ドガンと建物の中から大きな音が響き渡った。

    直後に正門から煙のようなものがあがる。

    結衣「ねぇ、今のって……?」

    雪乃「分からないけれど、迂回路を探している暇は無くなったわね」

    雪ノ下がそういうと、正門に向かって駆け出した。俺達もその雪ノ下に続く。

    169 = 1 :

    正門からアジトの中に入ると、2の国の兵士と思われる人が何人も倒れていた。あちこちに破損した槍や盾、鎧の欠片等が散乱していた。

    結衣「酷い……」

    小町「待ってください、あっちでまだ誰か戦ってますよ!」

    小町が指した指の先を見てみると、そこにはただひとりで、トカゲが二足で立っているような魔物と戦っている鎧姿の兵士の姿がいた。

    しかしすでに足は覚束なくなっておりフラフラと体が揺れている。あまり長くは持たなかったそうだった。

    雪乃「助けに行きましょう」

    雪ノ下がそう言って剣を抜いた。俺も木の棒を取り出して、魔物に向けて呪文を放つ。

    八幡「グラビティ!」

    その木の棒の先から放たれた黒い重力の塊はトカゲの魔物に当たってその動きを重くする。

    その間に雪ノ下が素早く魔物との距離を詰め、刃をキラリと光らせた。

    ユキノは れんぞくぎりをつかった!▼

    雪乃「邪魔よ」

    容赦ない連続斬りが魔物を襲う。体が重くなっている状態の魔物は何も抵抗も出来ないまま、光の塵となって消えていった。相変わらずの容赦の無さだ。

    170 = 1 :

    雪ノ下が魔物を片付けたのを見届けると、俺は満身創痍になるまで戦い続けていた兵士のそばに向かった。

    最後に残ったNPCからなら何か新しい情報を貰えるのではないかと思ったからである。

    だが、その兵士を見た瞬間。

    世界の時間が止まったような気がした。

    雪乃「比企谷君、どうし──」

    後ろから駆け寄った雪ノ下も、その兵士の顔を見て言葉を失った。

    NPC兵士『あの軍団には腕も腰も脚も細くて白い肌の可愛い子もいたっていうのに……あの子は無事だろうか……』

    国を出る前の兵士の言葉が思い出される。

    なるほど、確かにその通りだ。鎧に囲まれて見えないが、確かにこの子の腕も腰も脚も細いだろうし、そして肌は透き通るように白い。

    戸塚「助けてくれてありがとうございまし──八幡!?」

    その可愛い可愛い兵士──戸塚彩加は、驚愕した顔で俺の顔を見た。

    171 = 1 :

    書き溜めしてから、また来ます。

    172 :

    ヒロインが来たな

    173 :


    最終的に何人パーティになるのか

    174 :



    ゴムゴムのピストルはハイカラ過ぎないか?先生世代は竜巻旋風脚とか昇竜拳とかの方が合っている気がする

    175 :

    風神拳三発の空中コンボに必死になってそう

    176 :

    >>174
    よく使うシェルブリッドのスクライドも01年だし
    97年から連載始まってるワンピの技使っても何らおかしくはない

    177 :

    面白いなぁ
    乙です、魔王はよ

    178 :

    平塚先生の世代はズームパンチとかじゃ(偏見)

    179 :

    いい加減にしろ、静ちゃんは北斗百烈拳とかペガサス流星拳の世代だろ

    180 :

    アラフォーじゃないか…

    181 :

    千葉村の水着回で

    八幡「平塚先生…。やれば出来るじゃないですか。アラサーと言っても通じますよ」

    「私はまだ立派なアラサーだ!」腹パン

    四十前の設定なのかな

    182 :

               ×  ×  ×


    結衣「さいちゃん、今治すからね──ヒール!」パアッ

    戸塚「ありがとう、由比ヶ浜さん」

    ひとまず、デッドゾーンにまで陥っていた戸塚のHPを由比ヶ浜に回復してもらっていた。

    戸塚に対しては色々聞きたいことがある。その可愛さの秘訣とか。どうしたらそんな天使のようになれるの? とか。

    だが、まずは今置かれた状況の把握が先だ。

    八幡「戸塚、俺達は2日前の朝に起きたらこの世界にいたんだが、お前もそうなのか?」

    戸塚「うん、僕もそうなんだ。そしたらいきなり兵士になってて……」

    八幡「なに? いきなり兵士にだとぉ!? 上司にいじめられたりしなかったか? 残る傷跡とかつけられてたりしないか?」

    戸塚「だ、大丈夫だよ、みんなよくしてくれたよ」

    結衣「ヒッキー、キモい」

    雪乃「話が進まないから、後にしてもらえるかしら……」

    俺は戸塚のことを想って心配しているだけだというのに、何故批判されなければならないのか。

    戸塚「城廻先輩と一色さんがこの国の女王とお姫様っていうのは聞いてたから、他の人ももしかしたらこの世界に来てるんじゃないかって思ってたけど……八幡達も来てたんだね、嬉しいな」

    八幡「ああ、戸塚がいるところには必ず行くさ。ひとりぼっちは、寂しいもんな……」

    小町「はいはーい、お兄ちゃんはあそこに倒れている兵士さん達の介抱を手伝ってねー」

    八幡「待ってくれ俺はまだ戸塚には伝えていない言葉がたくさんあるんだ、戸塚──!!」

    戸塚「あ、あはは……」

    雪乃「はぁ……申し訳ないわね、戸塚くん。私達の状況も説明するから、あなたもこの世界に来てからのことを教えてくれないかしら」

    戸塚「うん、分かったよ雪ノ下さん」

    戸塚────!!!

    183 = 1 :

    入口に倒れていた兵士達を介抱──とはいってもNPCには由比ヶ浜の回復呪文が効かなかったため、仰向けに寝かせて並べただけだが──した後、雪ノ下から聞いた話をまとめるとこうだ。

    戸塚は俺達と同様、2日前の朝に目覚めたらいきなりこの世界にいたということ。

    そして何故か国の兵士になっていたが、RPG経験もそれなりにある戸塚はなんとか切り抜けられたということ。

    めぐり先輩や一色の存在は知ってはいたが、実際に会ってはいないということ。

    そして今回、一色が攫われたことによって兵士に魔物討伐命令が下され、その魔物討伐部隊に戸塚も組み込まれていて今に至る……と。

    確かにめぐり先輩からはこの世界に戸塚がいたとは聞いていなかったが、会っていないのなら仕方がないか。

    戸塚「それで今から一色さんを助けに行かなきゃいけないんだけど、ひとりじゃちょっと自信ないし、手伝ってくれない……かな?」

    八幡「もちろんだ。っていうか、俺達も元々そのつもりで来たんだしな」

    戸塚「ありがとう、八幡!」

    そう言って戸塚は天使のようにぱあっと輝いた笑顔を向けてきた。

    守りたい、この笑顔。

    戸塚「それじゃあよろしくね、みんな!」

    雪乃「改めてよろしくお願いするわ、戸塚くん」

    結衣「よろしくねー、さいちゃん!」

    小町「よろしくお願いしますっ、戸塚さん!」

    平塚「よろしく頼む」

    サイカが なかまになった!▼

    ウィンドウにそのテキストが流れた時、俺ははじめてこの世界に感謝したような気がした。

    グッジョブRPG! 戸塚と旅が出来るなんて夢のようだぜ!

    あっ、この世界自体が夢のようなものか。いや最近夢なのかゲームなのか判断がつかなくなってきているけど。

    もしかしたら天国なんじゃない? だってほら、天使いるし。ふたりも。

    184 = 1 :

    八幡「そういえば戸塚の職業ってなんなんだ?」

    戸塚が仲間になった後、奥のボス部屋に向かいながら俺は戸塚にそう尋ねた。

    鎧に剣という装備なので剣士辺りだろうか。

    しっかし……小町と同様、かなり簡素な造りになっているとはいえ鎧が似合わない。もうちょっと他にあったのではないだろうか。ドレスとか。

    戸塚「僕は魔法剣士だよ」

    八幡「魔法剣士……? じゃあ、剣だけじゃなくて魔法も使えるのか?」

    戸塚「うん。とはいっても、まだまだ未熟なんだけどね……」

    戸塚はそう言って、やや苦い笑みを浮かべた。

    だが、前衛も後衛もこなせる人材はこの何気にパーティでは初めてだったりする。

    いざという時に前にも後ろにも動けるというのは貴重である。俺とか常に後ろにいるし。

    さらに言うと3回に1回くらい何もしてない時すらある。ほら、雑魚魔物の数が少ないと前の3人がフルボッコにしちゃうからね、仕方ないね。

    戸塚「ところで、八幡の職業は何? 装備は総武高の制服みたいだけど……」

    八幡「やっぱ聞かれるよな、これ……」

    出来るなら突っ込んで欲しくなかったが、やはりこの世界で制服を着ているとそれなりに目立つ(浮いてるとも言う)ようだ。

    ちなみにめぐり先輩にも笑われました。ほんわかパワーで癒されたから別にいいけどね!

    185 = 1 :

    八幡「俺は黒魔術師っていう職業をやってる。なんで制服なのかは、俺にも知らん」

    戸塚「黒魔術師? すごそうだね、どんな魔法を使えるの?」

    うっ、そこもやっぱ聞かれるのか。

    まさか相手の動きを重くする鈍化魔法ひとつしか覚えていないとは言えない。とはいえ、この期待するようなキラキラした眼差しをした戸塚の夢を壊すわけにはいかない。

    八幡「じ、実はだな、俺の魔法は重力で全てを押しつぶす『バベルガ・グラビ」

    小町「お兄ちゃんが覚えてる呪文は相手の動きを遅くさせるやつひとつでしょ」

    パーンってなりましたね、夢が。

    ち、違うもん……俺のレベルがもっと上がれば、きっともっと強い呪文覚えるもん……!

    そのうち地球の重力を借りてシン級の呪文を覚える展開とかあると思う。この世界が地球上なのかどうか知らんけど。

    戸塚「でも、僕もまだまだ使える呪文少ないし、一緒に頑張ろ! 八幡!」

    八幡「ああ、戸塚! 一緒に、一緒に頑張ろう! な!」

    結衣「あ、あたしもほら、もっと色んな呪文使いたいなーとか……ヒッキー、あたしも一緒に頑張るから!」

    八幡「お前はもうすでに色々使えるだろ……まだ手を出したりないのかこのビッチめ」

    結衣「ビッチじゃないし!?」

    186 = 1 :

    平塚「ふっ、このパーティも賑やかになってきたものだな。しかし技か……、技といえばRPGの戦闘を彩る重要な要素だ」

    八幡「確かにそうっすね」

    RPGの戦闘といえばやはり派手な剣技や魔法というイメージが強い。ものによってはその作品の強い印象として残ることだってあるくらいだ。10万ボルトとか。いや、あれはRPGというよりアニメか。

    平塚「せっかくの機会だ、私ももっと色んな技を使ってみたいものだ」

    先生、通常攻撃でもいつも技名叫んでるじゃないですか……特にGガンから取ることがやたら多い気がする。前にあった事例だと「爆熱!! ゴッドォォォ、フィンガァァァアアア!!」とかめっちゃノリノリで、しかもセリフ全文付きで叫んでいたこともある。もしかして全部暗記してるんじゃないのかこの人……。

    八幡「例えば、どんな技使いたいとか思うんですか?」

    平塚「やっぱ格闘家だしなぁ、波動拳とか使いたい」

    おお、王道だ。格闘家といえば格闘家らしい技だ。RPGではなく格ゲーだけど。

    まぁ、平塚先生なら手から衝撃波をぶっ放すようになっても、なんら違和感はないだろう。なんならリアルでも違和感ないまである。

    平塚「そうだなぁ……スト2やりこんだ世代としては、やはり実際にサマーソルトキックとか竜巻旋風脚とかはやってみたいと思うだろう。他にもトリケラトプス拳に狼牙風風拳などといった有名な技も外せん。それからそれから……どうした、比企谷。そんな顔をして」

    八幡「いや、先生……年齢がバレ「しょおおおおりゅうううけぇぇぇえええん!!」どふぅ!!」

    魔法は仲間に当たらないようになっているのに、物理攻撃は当たり判定あんのかよ……がくっ。

    187 = 1 :

    まだ予定の半分にすら届いてないけど、絶対に完結させるつもりでいるから付いてきてくれると嬉しいなと思います。

    書き溜めしてから、また来ます。

    189 :

    平塚先生の世代なら龍虎乱舞とかデッドリーレイブ、暴れ飛龍みたいな乱舞系も好きそう。

    191 :

    Mガイジこんな所にも来るのかよ

    >>1
    安定して面白いな、いろはすはよ

    192 = 1 :

             ×  ×  ×


    戸塚がパーティに加わってくれたことにより、動きやすさはグンと上がった。

    戸塚「えいっ!」ズバッ

    ゴブリン「ギャア!」

    前に出て物理で押す必要があれば前衛を務め、

    戸塚「ウィンドカッター!」ヒュッ

    コウモリ「キー!」

    後に引いて魔法による援護の方が効果的と見れば後衛を務める。

    テニスという競技も、かなり前衛と後衛の入れ替わりが多いスポーツだが、もしかしたらその経験がここに活きているのかもしれない。

    また、雪ノ下平塚先生小町の包囲網から漏れた魔物が後衛にやってきてしまって俺がボコられるということが今までに何度かあったのだが、そういったことも戸塚の参入によって無くなった。

    後衛にいる戸塚がいざとなれば、その魔物に剣で斬りかかることが出来るからである。

    ていうか、今まで後衛に近づいてきた魔物への対処パターンが、俺が肉の壁になって前衛が戻るか由比ヶ浜の詠唱時間を稼ぐというワンパターンしかなかったのがおかしい。

    ちなみに、そうなった時は毎回俺が盾になっていたおかげで、今のところ由比ヶ浜もノーダメージを保ち続けていたりする。別にいいんですけどね、回復役もこなす由比ヶ浜より俺の方が囮として適しているのは確かだろうし。

    193 = 1 :

    クマ達「「「クマーッ!!」」」

    クマAが あらわれた!▼

    クマBが あらわれた!▼

    クマCが あらわれた!▼

    クマDが あらわれた!▼

    戸塚が参入してからもう10回目くらいの戦闘だ。このアジト内は、外に比べるとエンカウント率がだいぶ高いような気がする。

    このアジトが無駄に広いせいで、結構長い間歩き続けているというのもあるだろう。

    てかクマ率高いな、おい。

    森ならともかく、建物内になんでクマがいるのかはもう突っ込み飽きたので、もうしないことにした。

    戸塚「八幡、僕は前に行くね」

    八幡「ああ、頼む」

    前衛の4人がそれぞれ熊を相手取った。俺と由比ヶ浜もすぐさまに呪文の詠唱を始める。

    八幡「グラビティ!」モワーン

    結衣「痺れちゃえ、ユイサンダー!」ビリビリ

    もう隣との呪文比較はやめだやめ。俺には俺の成長のしかたがある。

    俺の呪文は戸塚が相手をしている熊の魔物に直撃した。その動きは重くなり、思うように体が動かせなくなる。

    そして戸塚はそのまま熊の魔物に向かって剣を振り下ろした。

    194 = 1 :

    戸塚「やあっ!」ズバッ

    クマA「クマッ!」

    そしてそのまま二撃、三撃と切り刻んでいく。雪ノ下に比べればさすがに速度面では劣っているが、一撃一撃の威力は戸塚の方がわずかに上回っているようである。ソースは熊に攻撃した時になんか出てる数字。あれってダメージでいいんだよね。

    実は最初こそ戸塚の剣の腕前にはやや心配を抱いていたものの、ここ10回の戦闘を見る限り杞憂であったようだ。

    正直に言うと、すでに俺なんかよりパーティにとってよほど大きい戦力になってる。つか、俺が何もしてなさ過ぎるだけなんだがな。

    小町「きゃあっ!」

    八幡「小町!?」

    すでに楽勝ムードだと思われたその時、小町の悲鳴が響き渡った。

    すぐにそちらの方向へ目をやる。見れば、小町が熊の攻撃を受け、槍が弾き飛ばされていた。

    雪乃「小町さん!」

    雪ノ下達前衛組も小町のピンチにはすぐに気が付いたが、その前衛らも目の前の熊と相手をしている。すぐに助けにというわけにもいかないだろう。

    すぐさま俺は小町のところへ駆け出した。俺が盾になれば、小町が武器を拾い直してこの熊に攻撃を加えるまでの時間を稼ぐことくらいは出来る。

    八幡「小町、さっさと拾ってこい!」

    小町「お兄ちゃん!!」

    さぁ来い熊野郎!

    お前らのクマパンチを受けるのももう4回目だ!

    いい加減慣れてきたぜ!

    195 = 1 :

    クマB「クマァー!!」ゴウッ

    八幡「くっ!」

    熊が大きく腕を振りかぶった。

    だが、その腕が俺に襲い掛かることは無かった。

    結衣「燃えちゃえ、ユイファイアー!!」ゴゴゴ

    由比ヶ浜が呪文を唱えた瞬間、10を越える火の玉が身の周りに具現化した。そしてそれらは猛スピードで熊に襲い掛かる。

    生まれた火の玉の全てが俺の目の前の熊に見事にヒットし、熊が炎に包まれていく。それから幾ばくもしないうちに光の塵となって消えてしまった。

    結衣「やー、間に合ってよかったよー」

    小町「結衣さん、ありがとうございます! かっこよかったですよー!」

    キャイキャイ

    八幡「……」

    あの、なんか妹のために飛び出した俺すっごい馬鹿っぽいんだけど……。

    俺も攻撃呪文使えるようになりたいなぁ……はぁ。

    196 = 1 :

    平塚「む、あれはボス部屋じゃないか?」

    他の3人も熊を倒し、熊がいたその通路の先になにやら大きい扉が見えた。

    あの扉が行き止まりとなっている。ほぼ間違いなく、ボス部屋だろう。

    雪乃「あの中に一色さんがいるのね」

    雪ノ下がそう呟いた。その目はいつもよりさらに真剣であり、そして何かが燃え滾っているようであった。

    最初のうちはあんなに相性悪そうだったっていうのに、いつの間にか一色といい先輩後輩関係が出来ているんだよな、こいつら。

    雪ノ下のあの目は、一色への心配と危害を加えた魔物への怒りが混じっているのだろう。

    本当にこいつは……。

    小町の時もそうだったが、なんだかんだでこいつ根は友達想いなんだろうな。ただちょっと、ぶきっちょさんなだけで。

    仕方があるまい。そんなぶきっちょさんな、ぶきのしたぶきのんの心意気に俺達も協力してやりますか。

    八幡「雪ノ下。小町の時のように、一色の身柄は俺が確保しに行く。だから、お前は魔物に集中してくれ」

    雪乃「比企谷君……分かったわ、なら一色さんはあなたにお願いするわ」

    八幡「任せろ」

    去年までの俺なら、まさか雪ノ下と任せた、任せろというやり取りが出来るようになっているとは思いもしないだろう。

    平塚先生も似たようなことを考えているのかどうかは分からないが、なんかやたら生暖かい目線をこちらに向けていた。なんかその目だけすごいお母さんっぽい。早く誰か貰ってあげてよ!

    雪乃「開けるわ」

    雪ノ下がそう言って、ボス部屋の扉を開けると、ギイィと重い音を発した。

    この中には一色と、そして一色を攫ったボス敵がいるのであろう。

    いいぜ、お前が一色を攫って無事に逃げられると思うなら。

    まずはその幻想をぶち殺す!

    ……雪ノ下が。

    197 = 1 :

    SS書き手殺しと評判高い玉縄君が活躍しそうな予感がする「俺ガイル。続」第7話はTBSでは1:48~、CBCでは2:47~から放送します。
    お見逃しがないように。

    書き溜めしてから、また来ます。

    199 :

    乙乙

    200 :

    八幡君に防御系のスキルが欲しいね


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