元スレ八幡「俺ガイルRPG?」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ☆
551 :
乙、海老名さん良いキャラしてる
552 :
乙
葉山とヒッキーって何気に熱いよな
本編はラブコメだからダメだけどこのssだったらいいコンビネーションを期待してる(腐的な意味じゃなく)
553 :
× × ×
そういえばすっかり忘れていたが、この国の姫様は三浦であった。
で、その三浦姫から提供された飯を食ってから、俺は城の外にあるベンチで一人黄昏れていた。ちなみに今回は誰もスキルは発動していなかったので、微妙に安堵の空気が流れたとか流れていないとか。
やはり一人は落ち着く。
この辺りに人通りは一切無く、音は一切しない。静寂が耳に痛いほど。
ベンチで足を組みながら、ふぅと息をついた。
贅沢を言えばマッ缶を飲みたいところではあるのだが、残念ながらこの世界にマッ缶は存在していないのだ。
仕方がないのでマッ缶を飲みたい欲を飲み込みつつ、空を見上げた。
554 = 1 :
この世界に雲という概念はないのか、何一つ不純物のない綺麗な星空が広がっている。
ずっと見つめていると、その空に吸い込まれてしまいそうだ。
この世界が地球なのかどうかは知らないが、空にはまるで真珠のように澄んだ月が浮かんでいる。
電灯のないこの夜の世界を、月灯りが明るく照らしていた。
八幡「……」
そんな星空を見上げながら、これまでのことを思い返す。
555 = 1 :
突然この世界に放り込まれ、王に魔王討伐を命じられ。
ダンジョンに潜ったら小町がいて、そして変な狼達を倒し。
2の国に行けばめぐり先輩、戸塚、一色と再会し。
魔王・陽乃さんにはボッコボコにされ。
そして何故か大きいサブレが仲間になり。
この3の国では葉山や三浦たちと出会い。
先ほどダンジョンをクリアして、今ここに至る。
この調子だと材木座の野郎もどこかにいそうだなぁと一人で苦笑していると、カッカッと軽快な足音が辺りに響いた。
そちらの方に目だけをやると、一人の少女がこちらに歩いてくるのが見える。
556 = 1 :
足を一歩前に出すたびに、亜麻色のセミロングが揺れた。
きらりと月明かりが照り返して、光の粒子が舞う。
そのくりっとした大きな瞳は、真っ直ぐに俺の方を見ている。
一色いろは。
彼女はベンチの側にまでやってくると、その歩みを止めた。
いろは「横、座っていいですかー?」
八幡「好きにしろ」
あまったるくおねだりするような声でのお願いに対して、やや冷たく突き放したような言葉で返した。
しかし一色はそれに気にした風もなく、じゃ失礼しまーすと言いながらぽすっと俺の隣に座る。
わざわざ城からそれなりに離れたところまで来たのに、何をしにきたんだこいつは……。
557 = 1 :
あちらから何か話を切り出すのを待っていたが、一色は俺の隣に座ったっきり何も言葉を発さなかった。
再び、辺りに沈黙が舞い降りてくる。
八幡「……」
いろは「……」
それからしばらくの間、俺と一色は静寂を慈しむようにそっとしていた。
俺は別にこの沈黙を苦には思わなかった。
隣に一色がいるだけ。ただそれだけだ。
558 = 1 :
とはいえ、ここまでわざわざ来たのなら何か言うことくらいあるだろうと思い、そっと目を一色の方にやると、ようやくその口を開いた。
いろは「先輩」
短く、そう言う。
八幡「ん」
俺もそれに対して、ただ短くそう返した。
いろは「……先輩は」
普段のきゃるんとした声とは違う、小さくて重い声。
そしてどこか真剣な声音で、言葉を紡ぐ。
いろは「……先輩は、好きな人っていますか」
559 = 1 :
八幡「はぁ?」
だが、その真剣な声音からは全く想像もつかない質問が来たので、思わずちょっと間抜けな声を出してしまった。
それってあれだろ、よくクラスの女が俺の反応を見て嘲笑うための質問だろ?
ちなみにあれ、何を答えても笑われるので質問をされた時点で詰みである。理不尽極まりない。
すると一色はいつも通りの表情に戻ると、ぷんぷんと怒った風に顔を上げた。
いろは「でーすーかーらー、先輩には好きな人はいるんですかーって聞いてるんですー!!」
八幡「いや、なんでそんなに怒って言うんだよ……」
こちら側に身を乗り出してきた一色を手で制しながら、再び距離を取る。
560 = 1 :
八幡「別にいねぇよ」
いろは「本当ですか?」
その一色の質問に否定で返したが、何故か一色は問い詰めるようにもう一度確認を取る。
俺ははぁーと大きくため息を吐くと、一色の方を見て念を押すように言う。
八幡「だからいねぇっつってんだろ」
いろは「そうですか……」
思ったより、自分の語気が強くなってしまった。
一色が軽く俯くと、再び俺たちに間に沈黙が降りる。
今度は苦に思わない沈黙ではなく、重苦しい沈黙であった。
561 = 1 :
さすがの俺でもこれはマズいと思い、わざとらしく咳払いをした。
八幡「んん……あれだ、一色。雪ノ下のことなら気にしなくていいんだぞ」
いろは「へ?」
一色が驚いたように顔を上げたが、俺は気にせずにそのまま言葉を続けた。
八幡「ここはゲームの世界だしな、あんなのノーカンだノーカン」
いろは「あ……」
八幡「……雪ノ下のことを気にしてたんだろ」
そう一応確認を取ると、一色はこくんと頷いた。
もしかしたら、自分も後押ししてしまったことを気に病んでいるのだろうかと思っていたが、どうやらその通りだったようだ。
562 = 1 :
いろは「……もし、先輩に他に好きな人がいたら悪いなって」
八幡「いねぇし、ゲームだし、気にすんな。これで話は終わりだ」
決して、一色が気に止む必要などはない。
それにあの場は誰も見ていない。
だから俺が本当にしたという証拠はない。シュレディンガーの猫という奴である。違うか。
八幡「じゃあ、そろそろ戻ろうぜ」
重くなってきた雰囲気を打ち破るように、ベンチから立ち上がる。
そろそろ戻ってやらないと、小町とかが心配するだろうし。
563 = 1 :
しかし、そこで俺の体がぐいっと引かれて、思わず転びそうになる。
振り返ってみてみれば、俺の制服のブレザーの端を、一色がつまんでいた。
八幡「なんだよ……」
いろは「もうちょっと、お話していきましょうよー」
八幡「えー……」
嫌そうな顔を向けたが、一色の手は俺のブレザーを離してくれなかった。
仕方が無いので、もう一度椅子に座りなおす。
どうやら、まだまだ夜は長いようだ。
564 = 1 :
某スレで派手にやらかしてしまって、本当に申し訳ありません。
投稿中にアニメ始まっちゃってかなり焦ってます。
それでは書き溜めしてから、また来ます。
565 :
>シュレディンガーの猫という奴である。違うか。
ワロタ
566 :
いろはすはす!
567 :
乙いろはす
今週もあざとかったですねいろはす
568 :
人間はみんな[ピーーー]
569 :
乙はす
570 :
待ってるおー
571 :
荒らしに負けるな応援してる
572 :
× × ×
ヒコーキグモーガーニージーンデ
キテシマーウマーエニー
八幡「……」ムクリ
ということで、この世界に来てから五日目の朝である。
時間はいつも通りのジャスト七時。
結局昨夜は一色との雑談に夜遅くまで付き合わされ、それから城の部屋のベッドに入って即就寝したのであった。
一色には散々気遣いが足りないの会話を盛り上げるのが下手なのどうのこうの怒られたのだが、対女性どころか対人間とのコミュニケーションスキルがほぼ皆無の俺に何を期待していたのであろうか。
俺は体を起こすと、部屋の扉を開いて広場に向かう。
よしっ、今日もがんばるぞいっ。
573 = 1 :
この炎の国は朝から暑いなと思いながら、こつこつと廊下を歩く。
広場の扉を開いて中を見渡してみると、その中では太陽が輝いていた。
な、なんでこんなところに太陽が……。だから暑かったのか!?
戸塚「あっ、おはよう! 八幡!」
太陽じゃなかった戸塚だった。
驚いた……この地上にとうとう太陽が舞い降りてきたかと思った。実際戸塚の笑顔は太陽のように輝いているのだが。
八幡「お、おう、戸塚」
戸塚「……どうしたの? ちょっと体調悪い?」
八幡「い、いや、大丈夫だ、ゲームだから体調とか悪くならないしな……」
戸塚「そう? ならいいんだけど……」
この世界はスタミナの概念が存在せず、また体調などが悪くなることも無い。ゲーム的ご都合主義万歳。
しかし、精神面はリアルと同様である。
戸塚の笑顔を見ればこちらも笑顔になってしまいそうになるし、戸塚の笑顔を見ればこちらも楽しくなってくる。
つまり戸塚が笑っていれば心身ともに万全と言うことだ。なにそれ無敵やん。
574 = 1 :
結衣「あ、おはようヒッキー!」
雪乃「おはよう」
八幡「おう」
そうこうしているうちに他のパーティメンバーもぞろぞろと広場に集まってくる。
俺がやってきてから五分も経たないうちに、七人全員が揃いきった。
平塚「よし、全員揃ったようだな。今日はこの国を出て4の国を目指す」
結衣「えっ、もう出ちゃうんですか?」
平塚「無論だ。この国でやることは済ませたしな。だがその前に、女王たちに挨拶していこう」
そう言った平塚先生の後を追って、俺たちもこの広場を出た。
だが、その前に一つ気になったことがある。
その疑問は、後で晴らすことにしよう。
575 = 1 :
× × ×
葉山「おはよう」
王座の間に向かうと、その中でドレス姿の女王・三浦、鎧をきっちり着こなしている騎士・葉山、巫女姿の陰陽師・海老名、そしてなんかあと戸部、大和、大岡の6人がすでに待っていた。
葉山の笑顔もまたピッカピカに輝いてはいるが、戸塚のそれとは全くの別ベクトルの輝きだ。
戸塚の笑顔は見るとこちらも笑顔になるのに対して、こいつの笑顔は見ていてイラッとくるのがまさに正反対。
結衣「あっおはよーみんなー」
三浦「おっ、結衣―」
海老名「おはよう、ユイ」
由比ヶ浜がいつもの面子と挨拶を済ませたのを見ると、雪ノ下が一歩前に出た。
576 = 1 :
雪乃「昨日はお疲れ様、私たちはこのまま4の国を目指すわ」
葉山「ああ、分かった。頑張ってくれ」
雪ノ下と葉山とのやり取りを聞いていて、先ほど気になった疑問が再び頭に浮かんだ。
その疑問を、そのまま葉山にぶつけることにした。
八幡「なぁ、葉山。お前らは一緒にこねぇの?」
葉山「ん?」
雪乃「え?」
俺がそう言うと、葉山と雪ノ下が驚いたように俺の顔を見た。
確かに驚くのも無理はないだろう。俺から一緒に来ないかなんて誘うなんて、今までになかったからな。
だが、ナチュラルに葉山たちが勇者パーティに参加しない流れには違和感を覚えたのであった。
八幡「俺たち現実世界から来た組の最終目標は魔王・雪ノ下さんを倒すことだ。だったらそのためにパーティが多いに越した事はないだろ」
577 = 1 :
同行した期間は短かった上に、その道中も雪ノ下と三浦ばかりが魔物を狩っていたので詳しいところは分からないが、少なくともその三浦は雪ノ下とやりあえるだけの実力を持っていたし、葉山も普通以上に戦えるはずだ。
もちろん葉山たちにパーティに合流してもらうのは正直に言って嫌なのだが、あくまで目的は魔王討伐だ。
その目的を達成するという一点だけを見るのであれば、葉山たちの強力を得た方が効率いいのは間違いない。
しかし、葉山は目を瞑りながら首を横に振った。
葉山「すまないが、俺たちは君たちと一緒に行動することは出来ない」
八幡「そりゃなんでだ」
葉山「ロールプレイって知ってるか?」
八幡「ああ、まぁ」
理由を聞けば、葉山から出てきた単語は予想していない単語だった。
何故ここでロールプレイという言葉が出てきたのかは分からないが、俺がそれを問うより先に横にいた由比ヶ浜が首をかしげた。
578 = 1 :
結衣「ろーるぷれい?」
八幡「お前、RPG知ってるんじゃなかったのか……RPGってのはロールプレイングゲームの略なんだよ」
結衣「だから、そもそもろーるぷれいってどういう意味なの?」
由比ヶ浜がそう聞くと、葉山が笑みを表情に浮かべながらその問いに答えた。
葉山「簡単にいえば、決められた役割に沿って行動することさ。ちょっと違うけど、演劇とかに近いかもしれない」
結衣「へー。じゃあ、ろーるぷれいんぐげーむっていうのは?」
葉山「それはそのまま、決められた役割でゲームをすることさ。例えば俺なら3の国の女王を守る騎士、雪ノ下さんなら1の国の王様に勅命を受けて旅をする勇者、結衣はその勇者に同行する僧侶として、この世界で動く」
結衣「へー」
由比ヶ浜は納得したようにこくこくと頷いていたが、本当に分かっているかは怪しいところだな……。しかし葉山ってRPGとか分かるんだな。少し意外だ。
そんな俺の考えを察したのか、葉山は苦笑しながら俺もゲームくらいやるさ、と答えた。
葉山「そして、どうやらこの世界はRPGと同じようだ。自分の役割に沿う行動しか出来ない」
八幡「役割に合った行動しか出来ねぇって、なんかやろうとしたのか?」
疑問に思ったことを即座に聞き返すと、葉山の顔に影が差した。少し俯きながら、言葉を紡ぐ。
葉山「どうも、俺は国の騎士という役割から外れたことは出来ないらしいんだ」
八幡「だから、どういう意味だそりゃ」
葉山「俺にも分からない……おそらく、そういう仕様なんだろう」
くっと悔しそうな歯噛みをする葉山は、どこか自分の無力感を嘆いているように見えた。
579 = 1 :
葉山「あのダンジョンに向かうことは出来たが、2の国や4の国に向かおうとすると見えない壁が出てきたりする。勇者たちと違って、自由な行動が取れないんだ」
八幡「……」
本当に、RPGに出てくるNPCみたいなご都合主義を押し付けられているようだ。
よく分からん仕様だが、これは勇者パーティが仲間を増やし過ぎてインフレするのを抑えるためか?
めぐり先輩が2の国に留まったのもそのためか?
2の国の姫である一色はなぜかパーティに加われたが、それは最初から俺たちのパーティに加わることが決まっていた?。
相変わらず、この世界への疑問は絶えない。
葉山「理由は分からない以上、『そういうものだ』と思ってもらうしかない。悪いな」
八幡「そういうことならしかたねぇな。まぁ、ゲームだしな」
俺がやや皮肉っぽく返すと、葉山は軽く笑う。
次に、その隣で王座に座っている三浦たちが口を開いた。
580 = 1 :
三浦「まぁそういうことで、あーしらはあーしらで、ここで出来ることを捜すから。頑張ってね、結衣」
海老名「一緒に行けなくて申し訳ないけど、わたし達もここから何か協力出来ること見つけるから!」
戸部「マジ頑張ってくれよなー、応援してっから!」
大和「それな」
大岡「俺も」
結衣「うん、ありがとう、みんな!」
いろは「葉山先輩も、頑張ってくださいねー!」
とりあえず、葉山たちが何故同行しないかの疑問は解決した。
挨拶も済ませたし、もう用はあるまい。早いところ4の国に向かうとしよう。
雪乃「……それでは、私たちはこれで」
葉山「ああ、頑張ってくれ」
別れを告げると、俺たちはぞろぞろと出口に向かう。だが、雪ノ下だけは葉山と何か言葉を交わしていたようだ。
だが、俺が聞くようなことでもあるまい。先にこの部屋を出ているとしよう。
雪乃「あなたは、この世界でも決められた役割をそのままこなすのね……」
葉山「そうかもしれない……。でも、もしかしたら俺だけじゃないかもしれない。きっと、陽乃さんも──」
581 = 1 :
× × ×
三浦城を出て、露店でアイテムを補充すると、俺たちは炎の3の国を出た。
いや、本当に暑かった……。国から出た瞬間に感じる温度が一気に変わったような気がする。
ゲーム的ご都合主義が極まると、門を通るだけで温度が一気に変わるらしい。
結衣「ねーゆきのん、次はどこに行くの?」
雪乃「次は4の国というところよ、確かこの先の道を真っ直ぐ行って……」
雪ノ下が地図を取り出しながら、次の国へのルートを確認する。
その光景を後ろからぼーっと眺めていると、ふと一色と小町が話をしているところが目に入った。
582 = 1 :
小町「えー、でもお兄ちゃんは──」
いろは「先輩って、でも──」
なんか、俺の話をしているような気がするな……。
俺のように自意識高い系ぼっちになると、周りのヒソヒソ声が全部自分のことを話しているように聞こえる。
しかし、今回は聞き間違いでもなく、本当に俺の話だろう。
八幡「なんだ、呼んだか」
小町「あっ、お兄ちゃん」
思わず気になって話しかけに行くと、小町がくるっと振り返った。一色もあっせんぱーいと顔を上げる。
小町「今ね、学校でのお兄ちゃんの話を聞いてたんだよ」
八幡「お前は俺の母ちゃんか、恥ずかしいからやめい」
そう楽しげにいう小町の顔はにやにやとしている。
割と妹に学校のことまで根掘り葉掘り聞かれるのって恥ずかしいもんだ。
583 = 1 :
小町になんか変なこと漏らしていないだろうなと一色の方を見ると、こちらはこちらでにまにまと笑っている。
いろは「わたしは、家での先輩について聞きましたよ。結構良いお兄ちゃんしてるんですねー」
八幡「おい、小町。お前何話したんだ」
小町「え? まぁ、ほら受験迫った小町のためにラーメン作ってくれたりとか、超頼れるお兄ちゃんなんですよーっていう営業活動」
八幡「お前、前にも同じようなこと言ってたよな……」
確か千葉村辺りで平塚先生相手にも営業活動という名目でうんたら俺の話をしていたような気がする。
小町ポイントをためたサービスだからと言ってたが、ためた覚えもないのでぽんぽん家のことを他人に話すのはやめていただきたい。
いろは「あとはまぁ、小さい時に妹のために早く帰ってたりとかー、あとは」
小町「わうあー! ちょっ、いろはさん! そこまで言わなくてもー!」
一色の言葉を慌てながら小町が遮る。
かーっと小町の顔が赤くなり、ぷんぷんと一色に向かって怒っていた。いいかいろはす、真のあざとさっていうのはこうやるもんだ。
しかし、その後の流れまで含めて千葉村でやったまんまじゃねぇか。小町お前進歩しねぇなぁ。
小町に視線をやると、林檎のように赤く染まったその顔を誤魔化すようにげほんげほんとわざとらしく咳払いをした。
584 = 1 :
小町「ま、まぁ? こんなお兄ちゃんですけど? 正直面倒ですし? 誰かに早く引き継ぎたいなーみたいな?」
ちらっちらっと一色に向かって視線を投げかける。あの、正直面倒とか言われるとさすがに傷つくんだけど……。
小町「ほら、一色さん。今ならお兄ちゃんお安くなってますよ?」
八幡「小町ちゃーん、人をセール品みたいに売り出さないでねー」
いろは「あ、あはは……」
小町の頭を掴んでぐりぐりと決める。
小町がぎゃーと叫んでいるのも構わずにそのままぐりぐりとやり続けていると、一色がちょっと羨ましそうな顔でこちらを見つめていた。
いろは「仲、いいんですねー」
八幡「まぁな、でもまぁ千葉の兄妹なんてどこもそんなもんだぞ」
いろは「はぁ?」
そのこいつ何言ってんだみたいな容赦ないジト目はなかなか精神に来るな……。
585 = 1 :
すると、俺の腕から脱出した小町がとててっと一色の方に向かった。
小町「ま、まぁ……こんな兄ですが、仲良くやってくれるとありがたいなって思うわけですよ」
いろは「まー先輩は先輩ですしねー、お喋り出来る後輩なんてわたしくらいしかいないでしょうしねー」
そ、そんなことねぇ!
俺にだって会話出来る後輩くらいいるわ! …………た、大志とか?
いろは「仕方ないですねぇ、妹さんにも頼まれてしまいましたし。これからもよろしくお願いしますね、先輩」
八幡「あ、ああ」
最後にてへっと笑う一色と、小町が並んでいるのを眺めながら、やっぱこいつら似てるなと感じる。
はぁとひとつため息をつきながら、ふと小町が高校に入学したらと未来に思いを馳せた。
そうなったら、きっとまたこの二人が並ぶことを見ることがあるのだろう。
高校でも、一色と小町が楽しそうにお喋りする日々がやってくるかもしれないだろう。
この光景が、いつか現実世界でも見ることが出来ればいいなと。
強く、強く願った。
586 = 1 :
きっと、葉山隼人はリアルでもロールプレイをしている。
ということで第三章完結です。
今のところスレ立てした時に考えたストーリーからはみ出ていないので、このままブレなければ残りあと第四章と最終章で終わる予定です。
読んでくださっている人が何人いるかかなり怪しいところではありますが、よろしければもうしばらくお付き合いください。
それでは書き溜めしてから、また来ます。
587 :
>>571
そういうのやめほよ
588 :
乙 待ってるぞ
590 :
みてるよー乙乙
591 :
乙やがな
592 :
おつ
593 :
乙
葉山って意外に何も見えてないようで結構色々見えてるよな
594 :
基本的には見えてるんだよ、ただ何もしないだけで
595 :
何もしないじゃなくて出来ないんじゃないかな?
596 = 594 :
俺は何もしないことを選んでるって感じたな、だってやろうと思えば強権発動できるしさ
まあ無駄話してごめんよ、もう黙ります
597 :
>>596
好き
598 :
感謝のやっはろーの時といい、葉山のことを書くのが好きそうな印象がある
599 :
乙です。
俺の印象だと八幡はみようとすれば見たいものが見れる。
葉山はみようとしなくてもいろんなものが見えるって感じかな。
陽乃さんは魔王。
600 :
乙です
楽しみに待っていますよ〜
みんなの評価 : ☆
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