元スレ八幡「俺ガイルRPG?」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ☆
201 :
ステルス系で回避率と命中率upの魔法が欲しいな
202 :
ボス部屋の中に入ると、その中は大きな広場のような空間が広がっており、そして奥には人影が見えた。
デーモン「ほう、ここまで辿り着いた奴がいるとはな」
距離が少々離れているので適当だが、約2.5mくらいはありそうな人型に、悪魔のような羽を広げている奴がそこには立っていた。
あれが、このステージのボスだろう。ウィンドウを見てみると、あの魔物の名前はデーモンと書かれていた。
そしてさらにその奥を注視してみるとドレスを纏った少女がひとり、縄で縛られていて倒れている。
顔を見てみると間違いなく一色だった。パーティメンバーの顔が少々険しくなる。
デーモン「姫を取り戻しにでも来たか? だがこいつは魔王様へのいい手土産になる。返すわけにはいかんな」
長ったらしい口上に付き合っている暇は無い。俺は雪ノ下達とは少々離れたところから一色のところへすぐさま駆け出した。
そして木の棒を取り出して、あのデーモンに向けて先を向ける。そのまま俺は鈍化魔法を唱えた。
八幡「グラビティ!」
これであいつの動きを重くし、雪ノ下達がそれに対応する。その間に俺は一色の身柄を確保する。前回のダンジョンで小町を助けた時とやっていることは同じだ。
203 = 1 :
だが、そこにひとつ誤算が生じた。
デーモン「ふん!」バシッ
八幡「何っ!?」
なんと裏拳で俺が放った黒い重力の塊を弾き返してしまったのであった。
そしてそのデーモンの顔がこちらに向けられる。
デーモン「厄介そうな魔法を持っている……お前から潰すのが良いだろうな」
くっ、こいつからは強者オーラが溢れ出ている。
同じボスでもどこか小物感が否めなかった一面ボスとは違って、こいつは本当に強い。そう感じさせる貫禄が確かにあった。
マズい、俺は接近戦では何の取り得もない。このまま接近されれば、そのままやられてしまう。
だがデーモンがこちらに動くより早く、雪ノ下がデーモンに向かって斬りかかっていた。
雪乃「一色さんを返してもらおうかしら」
デーモン「活きがいいのがきたな、かかってくるがいい」
デーモンがそういうと、どこからか剣を生み出し、雪ノ下の一閃を受け止めた。
平塚「私のこの手が光って唸るっ!! お前を倒せと、輝き叫ぶっ!!」
小町「ど──んっ!!」
平塚先生と小町もそれに続いてデーモンに襲い掛かる。だが、デーモンは剣を大きく振って3人全員の攻撃を弾き返した。
3人はすぐに体勢を立て直すと、一斉にデーモンに攻撃を仕掛けた。しかしデーモンは剣と背中の羽を上手く利用して、3人の攻撃を捌いていた。
あいつは本当にヤバい。3人が同時に襲い掛かっても、互角以上にやりあっている。早いところ一色を確保し、俺も加勢に向かう方が良いだろう。
204 = 1 :
後ろでガキンガキンと武器と武器がぶつかり合う金属音を聞きながら、一色のところまで辿り着いた。
ステータスを確認すると、HPはマックスのままだったが状態異常:スタン(気絶)と書かれており、一色の意識はなかった。このままでは一色は目を覚まさないだろう。
だが、一色はなんとしてでも取り返さなければならない。
理由としては、デーモンの後ろに置いておくより俺達後衛がいる場所に置いておけば、いざという時にデーモンが一色を連れて逃げ出すという手段が取りづらくなること。
ゲームのボスがそういった行動を取るかは怪しいところではあるが、用心するに越した事はなかろう。
あとはまぁ、雪ノ下に約束しちまってるしな。
状態異常を治すアイテムは持っているので、それを使おうとするとアイテムはパーティメンバーに入っているプレイヤーにしか使えないという警告のウィンドウが現れた。なにそれ初見なんだけど。
だが、確か由比ヶ浜は状態異常を治す呪文も覚えていたはずである。呪文ならば、NPCでなければ、パーティメンバーに入っていなくても効果が適応されるはずだ。事実、前回のダンジョンではまだパーティに入っていなかった小町に回復呪文が通じているのだから。
だがその由比ヶ浜は今、前衛組の援護で手一杯でこちらまで来るのは難しいであろう状況だ。
ならば、俺が一色を連れて由比ヶ浜のところへ向かうしかあるまい。
八幡「しょうがねぇな……」
一色の足と肩の辺りを持ち、そして抱き上げた。現実での俺なら人間ひとりを運ぶどころか、そもそも持ち上げることすら不可能だっただろう。しかし、ゲーム補正のあるここでならばなんとか持ち上げることくらいは出来そうだ。
だが、ここから由比ヶ浜のいるところまでそこそこ距離がある。持ち上げることは出来たとはいえ、俺の腕への負担も決して軽くは無い。あそこまで運べるだろうか。
205 = 1 :
八幡「……まぁ、やるしかねぇもんな」
雪ノ下も、由比ヶ浜も、平塚先生も、小町も、戸塚も、みんなあの恐ろしいデーモンを相手に必死に戦っている。
それに対して俺はただ女の子ひとりを運ぶというだけだ。ここで弱音を吐いて逃げるわけにもいかない。
俺は一色を抱き上げたまま、由比ヶ浜の方へ向かう。出せる限りのスピードを出しながら、しかし一色を落とさないように気を付ける。
デーモン「ぬっ、させるか!」
俺が一色を持ち逃げしようとしたことに気が付いたのか、デーモンの注意がこちらに向かった。
だが、雪ノ下達の止まない猛攻を捌くので手一杯なようだった。デーモンはすぐに目の前の相手に集中する。
雪ノ下「あなたの相手は、私たちが務めるわ」
デーモン「なかなかやるな小娘!」
雪ノ下達がボスをひきつけている間になんとか由比ヶ浜のところまで一色を運び込むことが出来た。この世界ではスタミナは関係ないはずだったが、何故だか異様に疲れた。
結衣「ヒ、ヒッキー!? それお姫様だっこじゃ……」
それを意識させるな、異様に疲れてる理由がバレちゃうだろ。緊急事態だから仕方ないって自分に言い聞かせていたっていうのに。
八幡「由比ヶ浜、一色の回復を頼む。状態異常の方だ」
結衣「あっ、うん、分かった!」
一色の目が覚めれば、あとは後ろの方に下げることが出来る。そうすれば、デーモンの手に届くことはなくなるだろう。
由比ヶ浜は一色の傍にしゃがみ込むと、すぐに呪文の詠唱を始めた。
結衣「いろはちゃん、待っててね──リカバリー!」
由比ヶ浜が呪文を唱えると、一色の体が光に包み込まれた。その光が一色の体に吸収されるのを見届けると、ステータス画面にあった状態異常が消え去っていた。
206 = 1 :
いろは「う……ううん……」
八幡「おい、一色。起きろ」
いろは「ううん……ここは……はれ?」
状態異常が消え去ると、すぐに一色の目が開いた。そして周りをきょろきょろと見渡してから俺の顔を見つけると、途端に顔が驚愕の色に染まった。
いろは「えっ、ええっ!? せ、先輩!?」
八幡「よう、いろは姫。随分と遅いお目覚めだな」
いろは「なんでここにいるんですかまるで王子様かと思ったじゃないですか割と本気でときめきかけましたけど心の準備が出来てからにしてもらえませんかごめんなさいっていうか今名前で呼びませんでしたか」
目覚め直後にそれだけまくし立てられるなら、もう心配要らなそうだな。
八幡「まぁ、説明は後だ。お前は後ろの方に引いていてくれ」
結衣「いろはちゃん、また後でね!」
いろは「あっ、結衣先輩までいる! っていうかあっちにいるの雪ノ下先輩!? えっ、これほんとどういう状況ですかぁ!?」
起きたらいきなり総武高校の面子に囲まれている状況に一色は混乱しっぱなしのようだった。仕方が無いとは思うが、今それを説明している暇は無い。
俺と由比ヶ浜は再びボスの方へ向かった。
207 = 1 :
見れば雪ノ下と平塚先生がデーモンの剣と打ち合っており、戸塚が風の魔法でそれを援護していた。少し離れたところでは小町が薬草を飲んで、少なくなっていたHPの回復を図っていた。由比ヶ浜の回復が途切れているため、回復アイテムを使うために離脱せざるを得なかったのだろう。
平塚先生のHPも半分を切っている。それを見た由比ヶ浜は早々に回復呪文を唱え始めた。
雪ノ下はあれだけ激しい戦闘の最前線に居続けながらもHPはマックスを保っているという化け物っぷりを発揮していたが、回避を最優先にしているせいかあまりデーモンへ有効打を与えられていないようだ。
戸塚「あっ、八幡! 由比ヶ浜さん!」
八幡「すまん遅れた。あまり攻め込めてはいなさそうだな」
戸塚「うん……あのボス、かなり強いよ。僕の魔法と、前の3人で攻め込んでもなかなか大きな一撃が入らない」
戸塚がやや苦しそうな声でそう言った。今までの敵は基本的にダメージを与えれば隙が出来たので、そこを突いていけばそのまま勝てるパターンが多かった。
しかしあのデーモンは雪ノ下の斬撃や平塚先生の打撃を受けても、ひるみもせず剣を振るってくる。大人数でハメ倒す戦法はどうやら通じなさそうだ。
だが、俺の鈍化魔法が当たればどうだろうか。
さっきは馬鹿正直に真正面から撃ったために弾かれてしまったが、前衛と打ち合っている今なら好機だ。動きが遅くなれば前衛も楽になるだろう。
そう考えて木の棒をデーモンに向けた。
その矢先のことだった。
デーモン「ええい、じれったい! 邪魔だ!」
突如、デーモンの体が光り始めた。剣をどこかに消し去り、両手を真上に挙げた。
雪ノ下、平塚先生、小町がデーモンの不審な行動を前にして距離を取ろうとしたが、少し遅かった。
デーモン「はーっ!!」
デーモンは だいばくはつをつかった!▼
瞬間、デーモンの周りで爆発が複数巻き起こったのだった。
ドゴン! ドゴン! と大きな爆発音が俺の耳を襲う。
当然、近くにいた前衛組はそれに巻き込まれた。
208 = 1 :
雪乃「きゃあっ!?」
平塚「うおっ!?」
小町「うわっ!!」
八幡「……!!」
悲鳴を上げながら3人が吹き飛んでいく。
反射的に脚が動き、小町たちのところへ駆け寄ろうとした。
が、瞬間に思い直し、俺は動きかけた自分の脚を無理矢理押し留めた。
今、俺が小町達の側に行っても何の意味もない。
クールになれ八幡。俺のやるべきことはそうじゃないだろう。
前を見ろ。デーモンは大技を放った直後で、立ち尽くしている。今こそがチャンスだ。
八幡「グラビティ!」
俺はそのまま鈍化魔法を唱える。木の棒から黒い重力の塊が放たれ、それは真っ直ぐにデーモンの方へ飛んでいく。今度こそはそのまま直撃した。
だがそれで安心してはいけない。今打てる最善の行動を考えるため、俺は思考のリソースを全て現状の確認に費やした。
雪ノ下、平塚先生、小町は吹き飛ばされてしまい、デーモンからやや離れた位置で倒れている。HPを確認すると、平塚先生と小町は半分前後残っているが、雪ノ下だけは2割以下、デッドゾーンに入っていた。
そして俺の横には由比ヶ浜と戸塚がいる。ここの3人で、パーティの体勢を立て直さなければならない。
209 = 1 :
俺は現状を把握すると、2人にすぐに指示を出した。
八幡「戸塚、デーモンの足止めを頼む。由比ヶ浜は雪ノ下のところにいって回復してやってくれ」
戸塚「わ、分かった!」
結衣「うん!」
そう言って俺達はそれぞれのやることをやるべく、すぐに駆け出した。俺はアイテムから薬草を取り出しながら、小町の側に駆け寄る。
八幡「おい小町、大丈夫か」
小町「うう、お兄ちゃん……ありがと」
小町は薬草を受け取るとそのまま口へ放り込む。すると、HPがある程度回復した。
八幡「小町は戸塚のところに行ってくれ」
そう言うと、俺は再び周囲を見渡した。
平塚先生は自分で起き上がり、すでに回復に努めている。由比ヶ浜は雪ノ下の回復にしばらく時間を取られそうだ。
そして戸塚は、デーモンを単騎で抑えている。しかし多少動きが遅くなっているとはいえ、あのデーモンを相手に1対1は負担が重いようだ。徐々に押されていっている。
210 = 1 :
戸塚「ううっ、強い……!」
デーモン「朽ち果てるが良い!」
デーモンが剣を振るい、戸塚の剣を弾き飛ばした。
さらにそのまま剣を大きく振り上げると、それを戸塚目掛けて勢いよく振り下ろした。マズい、小町も俺もここからでは間に合わない。他の3人もまだ動くことは出来ていない。
八幡「戸塚!!」
小町「戸塚さん!!」
その剣が戸塚を切り裂く──そう思われた瞬間であった。
いろは「いろはスプラッシュ!!」
どこからか、滝のように大量の水がデーモンを狙って押し寄せた。その水の塊はデーモンを飲み込み、そのまま押し出した。
デーモン「むぅ!?」
俺は思わず振り返って、その呪文の声が聞こえた方向を見た。
そこにはステッキのようなものを前に突き出し、明らかに不機嫌そうなお姫様の姿があった。
いろは「はー、ほんと意味分からないんですけど……とりあえずあいつやっつければいいんですかー?」
いろはが なかまになった!▼
211 = 1 :
……だ、だいたい少なめに見積もって七割くらい、だな
……残りのストーリー量が。
キャラクターの一人称、他キャラへの呼称、口調などには気をつけているつもりですが、もしなにか違和感を覚えるところなど御座いましたらご指摘いただけると幸いです。
地の文の日本語への指摘は……スレが埋まっちゃいそうなほどたくさんあるのであれですが。
とりあえず一点、雪乃→八幡への呼び方が「比企谷君」で統一していましたが、正しくは「比企谷くん」ですね。
俺ガイル的には基本君はくんですね。修正します。
それでは書き溜めしてから、また来ます。
213 = 200 :
今現在のパーティメンバーでどうなってんだろ
214 :
乙
ストーリー増えてませんかねぇ
215 :
材木座は村人っぽいな
216 = 1 :
八幡「一色!?」
あいつプレイアブルキャラクターだったのか……姫だっていうから無意識のうちに戦力外として考えていたが、まさか魔法を使えるとは。
一色「あとで全部説明してくださいよー、先輩」
八幡「ああ、分かった。あいつを倒してからな」
今の一色の水魔法による奇襲によって、デーモンは大きく押し出され、距離を取ることが出来た。
その隙に雪ノ下と平塚先生は回復を終え、戸塚は弾き飛ばされていた剣を回収した。
雪ノ下「一色さん……」
一色「まったくもー、さらっとわたしのことをハブらないでくださいよー。先輩なんて縄外さないで行っちゃうし」
よく見てみると、一色の近くに縛ってあったはずの縄が落ちていた。そういえば時間が無かったし、こいつを縛っていた縄はそのまま放置してたな……魔法が使えるのに先程までずっと何もしていなかったのは、この縄を解いていたためだろう。っつか、こいつ自力で自分を縛ってた縄を解いたのかよ。
217 = 1 :
デーモン「おのれ!」
デーモンは体勢を立て直すと、剣を構えてそのまま突進を仕掛けてきた。すでに俺の鈍化魔法の効力は切れているようで、もう通常通りの速度で向かってくる。
それを雪ノ下、平塚先生、小町、3人が迎え撃った。
剣と剣がキンと交差する音が鳴り響く。その間に俺は再び鈍化魔法を構えた。
八幡「グラビティ!」
黒い重力の塊が飛んでいって、デーモンに直撃した。瞬間、デーモンの体が重くなったように行動が鈍くなる。
デーモン「むぅ!」
その鈍くなった隙を見て、雪ノ下が剣でデーモンの持つ剣を弾き飛ばした。
武器を失い、行動も重くなっている。そこが好機とばかりに3人は一気に攻勢に転じた。
218 = 1 :
雪乃「散りなさい」ヒュッ ズバズバズバッ
ユキノは ソードダンスをつかった!▼
雪ノ下が、まるで舞うように剣を振るい、相手の体を連続で斬り裂く。
平塚「衝撃のッ! ファーストブリットォ!! うおおおおおお!!」ゴォォォオオオ
先生の右手が、人差し指、中指、薬指、小指、親指の順番で硬く握りこまれた。
シズカは シェルブリットをはつどうした!▼
いや先生が装備してるのただのメリケンサックだから! 赤い羽根っぽいのも何も生えてないから!
小町「撃槍・ガングニールだぁぁぁあああ!!」カイホウゼンカイ!! イッチャエハートノゼンブデー
コマチは ガングニールをつかった!▼
ガングニールだとォッ!?
待って! 中の人的には合ってるけど待って!! 違う!! なんか違う!! あなたの歌って何ッ!? 何なのッ!!?
デーモン「ぐおおおおお!!」
前衛らの必殺技を一身に浴びたデーモンは大きくよろめいた。
今までどれだけ攻撃を加えても隙も見せなかった、あのデーモンが。
デーモン「まだだ!」
だが、まだあのボスの戦意は相していなかった。デーモンは両腕を真上に挙げ、体を光らせた。
219 = 1 :
八幡「やばいぞ、またあの爆発が来る!」
結衣「させないよ!」
それを見ると、由比ヶ浜、一色、戸塚の3人がすぐに呪文の詠唱を始めた。術者の体が光り輝き、呪文が放たれる。
結衣「痺れちゃえ、ユイサンダー!!」ビシャーン
いろは「溺れてください、いろはスプラッシュ!!」ゴゴゴ
戸塚「風よ起これ、ウィンドカッター!!」
由比ヶ浜の放った電撃が、一色が放った水の流れが、戸塚が放った風の刃がそれぞれデーモンに襲い掛かる。
デーモン「うがああああああああ!!」
魔法攻撃を連続で受け、デーモンが吹き飛ぶと体の光が収まった。どうやら、光っている間にダメージを与えればあの大爆発をキャンセルすることが出来るらしい。
デーモン「馬鹿な、そんな馬鹿な……この我が!」
平塚「攻略方法は分かったな……よし、このまま押し切るぞ!」
皆「「「おおーっ!!」」」
その後はデーモン側に主導権を握らせることもなく、勇者パーティ側が優位な立場を保ちながら戦闘が進んでいった。
30分程、前衛の物理攻撃と後衛の魔法攻撃でループしているとついにデーモンのHPが尽き、倒したというウィンドウが開いた。
ちなみに俺がやったのは、ちょこちょこ遠くから鈍化魔法の効力が切れないように打ち続けていただけである。
いや確かにボス戦でデバフ役は必須だろうけどさ……、思った以上にこの役地味だな……。
220 = 1 :
現在のパーティは八幡、雪乃、結衣、平塚先生、小町、戸塚、いろはの七人で、これで新規加入は最後です。
リアルのRPG物でもパーティメンバーくらいパッケージか説明書で全部バレるだろうし、これくらいなら物語外で語っても許される……?
書き溜めが尽きて、今夜の投稿が難しいため、次回は明日の夜以降になると思います。
それでは書き溜めしてから、また来ます。
221 :
さきさき
るみるみ
材木座はいないのか
別パンチーで葉山とかいるかと思ってた
222 :
乙乙
世の中13人でボスをボコるゲームもあるし普通だな!
223 = 200 :
あ、なるほどね
いろはを救出しようとしたとき、まだいろははパーティに加入してなかったから、アイテムが使えなかったのか
224 :
ここのボスが葉山で、いろはが自分から捕まりに行ったのかとてっきり
225 = 221 :
>>224
それはねぇだろ
226 = 221 :
まぁ俺のはただの願望
押し付けでしかないのだが・・・
227 :
グラビティが重ね掛け可能ならどんな敵でもフリーズ状態にさせられそうだな、あとメタル系みたいなすぐ逃げ出す経験値の塊にも有効
228 :
>>226
なんだこいつ
229 :
>>227
効かないに一票
230 :
デーモン「ぐおお……だ、だが、魔王様は私などよりはるかに強い、いつか痛い目を見るぞ……」
そういうと、デーモンの体が光の塵となって爆散した。辺り一帯に、光の塵の雨が降った。
私などよりはるかに強い……ね。
やられ役の散り際の台詞って何故どれも似たようなものなのだろうか。なんかの国際条約でテンプレでも定められていたりするの? ちなみに他のテンプレには『やったか!?』『ここがお前の墓場だ!』などがある。
他にも散り際の台詞として有名なのは『五月雨は 露か涙か 不如帰 我が名をあげよ 雲の上まで』という辞世の句とか。あの剣豪将軍(もちろん元ネタの足利義輝の方である)の散り際の台詞である。材木座も何かあるたびに俳句とか読むキャラになればもうちょっと知的な感じに──キモいからやっぱいいや。
雪乃「……終わったわね」
結衣「やったね、ゆきのん!」
家族が増えるよ! ……脳の中でツッコむだけで抑えられて良かった。実際に言葉に出していたら、あの材木座ですらびっくりするレベルでドン引きされていただろう。
平塚「みんな、ご苦労だったな。協力、絆、結束の力の勝利だな!」
数の暴力の言い方を変えただけでしょ……さすがは国語教師だ、物は言い様だと言う事をよく理解している。似たようなことをチームプレーと言い換えた葉山といい、国語の成績が良い人間は本当に口が良く回る。うっ、頭がっ。
小町「おつかれでーす! いやー雪乃さん相変わらずのご活躍っぷり!」
雪乃「そんなことは……出来ることをやったまでよ」
いろは「雪ノ下先輩のあれ凄かったじゃないですかー、早すぎて全然見えませんでしたもん」
女性陣がわいのわいのと今のボス戦を振り返って話が盛り上がっていた。いいね、君達は。俺みたいな地味な役には目立った賞賛なんてやってこないですよ。比企谷八幡はクールに去るぜ。
だが、若干卑屈になりかけていた(いつも通り)俺のところに由比ヶ浜と戸塚が並んでやってきた。
231 = 1 :
結衣「ヒッキーもお疲れ~! 頑張ってたじゃん!」
八幡「いや俺は何もしてねぇし……お前みたいに炎も雷も回復も使えないんでな」
結衣「卑屈だっ!? いやそうじゃなくてさ、ほら……いろはちゃんの……こととか……」
戸塚「そんなことないよ、八幡! 僕は八幡の頑張ってるところ、ちゃんと見てたからね!」
八幡「戸塚、今夜星を見に行こう」
結衣「なんで星見に行くの!?」
ばっかお前知らないのかよ。千葉村で戸塚と星を見る→駅前のワックで夏休みについて語り合う→サブレの散歩を一緒にする→戸塚と一緒に夏祭りに行く(……由比ヶ浜もいた気がする)→戸塚&小町とプールに行く→戸塚と映画を観に行く(ホラー映画を観に行くとCG回収)という選択肢を選び続ければ戸塚ルートに入れるのは常識だろ。それとももしかしてPS Vita買ってないの? 『やはりゲームでも俺の青春ラブコメはまちがっている。』は絶賛好評発売中だぞ。もちろん俺はトロフィーをコンプリートするまでやった。
戸塚の天使っぷりを再確認し、やはり俺の青春ラブコメの最適解は戸塚ルートじゃないのだろうか。と考えていると、そこに雪ノ下達の輪から離れてきた一色がこちらにとことことやってきた。
一色「せんぱーい!」
八幡「なんだ、今俺は戸塚ルートに入った時の将来図を考えていて忙しいわけだが」
一色「は?」
やめて。そのガチの引きっぷりはさすがの俺でも心を抉られるレベル。女子高生の『は?』『ウザ』『キモ』の3大ワードは禁止カードに制定するべきだと、八幡思うな!
いろは「そうじゃなくてですねー、ほら色々聞きたいんですよー。なんでここにいるのとか、なんで先輩が制服なのかーとか」
もう慣れた、制服について聞かれるのは。この先何度これについて聞かれることになるのだろうか。
そして会った人に現実世界から来て今に至るまでの状況説明もこれであれこれ4度目である。さすがに何度も同じ説明をしていると慣れてきて、今ではだいぶスムーズに一色に経緯を説明することが出来た。
そして一色の状況も教えられたがこいつも他とほとんど一緒で、起きたらこの世界にいて、そしてこの世界に与えられたロールプレイをこなしているという感じだ。
一色の場合は2の国のお姫様になっていて、そしてそこでめぐり女王と会い、そして魔物に攫われたという流れだったらしい。
232 = 1 :
八幡「でも、お前職業:お姫様じゃねぇの? なんで魔法使えるんだ?」
いろは「わたしはお姫様兼魔術師? ってのになってるらしくて。あまりこういうのよく分からないんですけどねー」
えっ、いろは姫も魔術師なの。ただでさえ薄い俺の存在価値がさらに薄くなるじゃん。被るなよ。俺は黒魔術師だけど。
八幡「それで水魔法使えるのか……そういえば、お前んとこの国はやたら水をプッシュしてたな」
先ほどのボス戦で一色が『いろはスプラッシュ』とか言いながら水魔法を唱えていたことを思い出した。なるほど、水の国の姫様なら水の魔法が使えてもおかしくはないって訳か。
しかし『いろはスプラッシュ』ねぇ……何かが引っ掛かる。いや、もちろん卑猥な意味じゃなくてね? そもそも卑猥な意味なんて存在しない。しないったらしない。
いろはスプラッシュいろはすプラッシュいろはす……。
ああ、なるほど。
いろは「うわっ、なんですか先輩。目だけじゃなくて顔つきまで腐ってますよ」
八幡「腐ってねぇよ。腐ってるのは目と性根だけだ」
いろは「それ、自分で言うんですか……」
2の国の水ってもしかして『いろはす』で出来てるんじゃ……やめよう、そこに気が付いたら消されてしまうかもしれない。
233 = 1 :
× × ×
雪乃「そろそろ戻りましょう。城廻先輩にも報告しなくちゃいけないでしょうし」
メンバーのHPやMP等をアイテムで回復し、休憩を10分ほど入れた頃、雪ノ下がそう言った。それを聞いて、パーティメンバーがぞろぞろと部屋の出口に向かって歩き始めた。
またここから広いアジトを歩いて戻らなくてはいけない。めんどくせぇな……どうしてこの世界にはダンジョンの入り口にまで戻るワープゾーンもなければ、あなぬけのヒモもモドリ玉もないのだろう。
タバコとか実装してる暇があるのだったら、そういうところこそお客様視点でカスタマーサイドに立って考えるべきだよ。はっ、いかんいかん意識が高くなってしまった。そんなに長い間関わりがあったわけでもないのに、どこぞの玉縄くんが与えたインパクトは相当なものだった。
間違っても小町には海浜総合高校の面子には関わらせないように言っておく必要があるな……そんなことを考えながら、俺も他のメンバーから数歩離れた位置を保ちながらついていこうとした。
その時。
この部屋に、足音がひとつ響き渡った。
いや、もしかしたら本当は足音なんて聞こえてなかったかもしれない。ここには7人もの人間がいて、ぞろぞろと同時に歩いていたのだ。ひとつの足音なんて響き渡るわけもなく、かき消されるだろう。
それでも、その足音だけは全てを無視して、俺の耳に届いたような気がした。
瞬間に俺はその足音が聞こえた方に顔を向けた。俺だけではない、そこにいた全員が同じ方向に向かって振り返った。
気が付かなかったが、この部屋には俺達が入ってきた最初の入り口だけではなく、奥にも扉があったらしい。その扉が開けられており、そこにひとりの人が立っていた。
黒のマントを広げて立っていたその人からは何か、言葉に出来ない何か──強いて表現するのならば威圧感のようなものを受けた。
ここからその人まで50メートル以上離れている。そこらの体育館の端と端ほど離れているのにも関わらず、俺はその人を見ただけで冷や汗のようなものをかいている気分になった。ゲームっぽいこの世界では汗はかかないので、あくまで気分だが。
その黒マントの人はカツン、カツンとこちらの方へ向かってくる。警戒しつつ、その黒マントを観察する。
その人は女性であった。非常に整った顔立ち、艶やかな黒髪、黒マントとやや厨二っぽい黒い服装に身を包んでいても、ところどころから覗く透き通るような白い肌。一言で言ってしまえばとんでもない美人で──どこか雪ノ下に似ている。
俺は知っている、この女性を。
そしてあいつはもっと知っている、この女性を。
???「あっれー、デーモンくんがいないなぁ……あれ、もしかして」
その女性も俺達に気が付いたようで、顔をあげた。そして俺達──もしくは雪ノ下の姿を確認すると、その顔がにこやかに歪む。
雪乃「──姉さん」
陽乃「あれー? 雪乃ちゃん? わっ、本当に雪乃ちゃんだ!」
雪ノ下陽乃。彼女から感じるこれは威圧感なのか、それともなんなのか。
234 = 1 :
書き溜めしてから、また来ます。
235 :
魔王降臨とかいきなりラスボスですか
237 = 1 :
× × ×
陽乃「わー、話には聞いてたけど、本当に雪乃ちゃんいたんだー! その勇者姿、似合ってるぞっ」
雪乃「……なぜここに」
上機嫌な陽乃さんに対して、雪ノ下の態度は非常に冷ややかなものであった。まぁ、いつも陽乃さんの前だとこんなもんな気がするが、今はただ冷ややかなだけでなく、その瞳には何故ここに姉がいるのか分からないという疑念も混じっている。
陽乃「比企谷くん達もいたんだねー、なんか勢ぞろいって感じだなー」
次に陽乃さんは他のメンバーの顔とひとりひとりと確認していった。その目が俺の目と合ったとき、寒気が背筋を襲った。相変わらず、あの奥に何を隠しているか分からない瞳に見つめられるのには慣れない。慣れたくない。
警戒を解かず、構えている俺達を見て陽乃さんはわざとらしく肩を落としてため息をついた。
陽乃「はー、そんなにピリピリしないでよー。お姉さん、傷つくなー」
平塚「そこで止まれ、陽乃。お前は何が目的だ」
そこで一歩前に出たのは平塚先生だった。その顔は険しく、平塚先生が教え子に向ける顔にしては非常に珍しかった。
陽乃「やだなぁ、静ちゃん。そんな怖い顔で睨まないでよ。せっかくこんなところで会えたっていうのに」
平塚「その呼び方はやめろと言っているだろう……まぁ、気がついてしまった以上言わないわけにもいかんだろうしな」
そこでひとつ間を入れて、そして平塚先生は言った。
平塚「お前のステータスが確認出来ない──答えろ、お前は敵側の人間か?」
238 = 1 :
それを聞くと、俺も急いで陽乃さんの方を見る。今までは例えパーティメンバーでなくても、NPCでないキャラは必ずステータスを確認出来た。パーティに入る前の小町や一色がそうだった。さらに言うなら、戦闘に加わっていないめぐり先輩でも一応ステータスは確認することが出来たのだ。
しかし、今陽乃さんの方を見てステータスを確認しようとしても出てこない。
これが意味するのは何か。
陽乃「んー、まぁもったいぶるようなことでもないしね。そうだよ、私は雪乃ちゃん達からしたら敵側だね」
陽乃さんは嘘をつくことも誤魔化すこともなく、あっけらかんとそう認めてしまった。
そして、続けて衝撃の言葉を口にする。
陽乃「私の職業は『魔王』──勇者サマが倒すべき、最終目標じゃない?」
雪乃「!?」
結衣「陽乃さんが……嘘っ……!?」
いろは「は、はるさん先輩が……!?」
パーティ内が驚愕の色に染まった。勇者達が倒すべきラスボスがまさか陽乃さんだなんて。
それを聞いた俺は。
239 = 1 :
八幡「……」
ぜーんぜん普通でした。いやもうほんといつも通り。ぶっちゃけ予想してた。
正直最初に魔王とかの話聞いてた時ですらちょろっと陽乃さんの顔が脳裏横切ってたし、めぐり先輩が姫様ってジョブついてるって知ったときには魔王とか陽乃さんやってそうだなとか超思ってたし。もしもこの世界がSSだったら1章が始まる前に魔王は陽乃ってレスがついてるまである。
横をちらっと見てみると、平塚先生も全く動じてない。俺と同じでとっくに予想していたか、例え唐突に陽乃さんが魔王ポジにいるって聞かされても納得するタイプだろう。
だが問題はそこじゃない、そんなところにはない。陽乃さんが魔王だなんて犯人はヤスとかと同レベルの周知の事実だ。
問題は、何故その魔王陽乃がここにいるかというところにある。
ここはまだ第2ステージのはずだ。そして、最初にあった王の話を聞く限り魔王の居城は5の国だったはずだ。普通、魔王というものは魔王城でふんぞり返っているものではないだろうか。
まぁ、普通のRPGならばそれがお約束だろう。だが、この世界の魔王はNPCじゃない。自分で思考することが出来る人間が魔王を務めている。
しかも、それが雪ノ下陽乃である。一体何をしでかしてくるか分からない。
240 = 1 :
陽乃「勇者サマってさ、魔王をやっつければいいわけじゃない?」
陽乃さんがそう切り出した。顔には不適な笑みを浮かべており、まさに『魔王』の風格を感じさせる。
陽乃「じゃあ、魔王って何をすれば良いと思う?」
俺達勇者側の勝利条件は魔王の討伐だ。
ならば、魔王側の勝利条件はなんなのか?
正直に言って、これは一概に決められるものではない。勇者が魔王を倒すものと相場が決まっているのに対して、魔王は作品によってやることが違う。例えばクッ○みたいにピ○チ姫を攫うのが目的だったり、世界をやり直すために全部滅ぼすのが目的だったりもする。
だが、やはり魔王といえばこれだろう。
八幡「世界征服……!?」
陽乃「あっはっは、それも面白かったかもね」
あ、あれー? 違うの……魔王といえば世界征服するものじゃないのん……?
陽乃「まぁ、私としてはどうでもいいんだよ、こんな虚偽の世界。自分の物にしたってつまんないもーん」
八幡「だったら何がするつもりだっていうんですか」
陽乃「んー、別に特に決めてないんだよねー」
決めてないんかい。
陽乃「私だって好きでこんな世界に来てるわけでも、好きで魔王役やってるわけじゃないし……あっ、じゃあこういうのはどう?」
陽乃さんは突如何かを閃くと片目をつむり、右人差し指を頬に当てて可愛く言った。
陽乃「雪乃ちゃん、私の軍門に下らない?」
241 = 1 :
雪乃「絶対にお断りするわ」
なんといきなり魔王が勇者へ降伏勧告をしてきたが、雪ノ下の返事は速攻だった。
雪ノ下がそう返事するのは分かっていたのか、陽乃さんは動じることもなくからかうような口調で続けた。
陽乃「まぁ、そうだよねぇ。でもさ、勇者が魔王を倒したら勝ちっていうなら、魔王は勇者を倒したら勝ちじゃなきゃフェアじゃないと思うのよねぇ」
八幡「雪ノ下さんが勇者を倒したら、魔王側の勝ちじゃないんですか」
陽乃「だって直接戦闘だったら私が絶対勝っちゃうでしょ、それじゃつまんない」
陽乃さんが相変わらず笑みを崩さないまま、そう言い放った。雪ノ下の顔はそれに対してだんだんと険しくなっていく。
陽乃「だから、これでいいんじゃない? 私の勝利条件は『雪乃ちゃんが降参して私の元に来る』。これでどうかな?」
雪乃「その条件だと、私は絶対に負けないわ。私が姉さんに下ることなどないのだから」
陽乃「だったらフェアだよね、私だって絶対に雪乃ちゃん達に負けることなんかないんだもーん」
そこまで言われて、雪ノ下がとうとう剣を掴んだ。そのまま鞘から刃を抜き放ち、剣と怒りを含んだ目線を陽乃さんに向けた。
雪乃「だったら、ここで姉さんを倒せないかどうか、証明しましょう」
八幡「お、落ち着け雪ノ下」
俺は慌てて雪ノ下の側に向かって剣を下すように言う。俺達は先ほどデーモンを倒してレベルが6に上がっていたが、さすがにこれでラスボスに手が届くとは思えない。
今やっても、陽乃さんの言うとおり絶対に勝てない。
242 = 1 :
雪乃「やらなければ分からないわ」
だが雪ノ下は俺の制止を振り切って、そのまま陽乃さんに向かって駆け出した。剣を構え、それを陽乃さんに向けて振るう。
雪乃「はっ!」
振るわれた剣が陽乃さんを捉え、そのまま斬る──と思ったが。
陽乃「全く、せっかくお姉ちゃんが忠告してあげたのに……『私が絶対勝っちゃうでしょ』って」
雪乃「……!!」
陽乃さんは右手の人指し指と中指で雪ノ下の剣を受け止めていた。二本の指で白羽取りって、それ二指真剣白刃取りってやつなのでは……? 陽乃さんの母校は総武高校じゃなくて、武偵高校の間違いなのではないだろうか。
そこへ平塚先生がメリケンサックを嵌めたまま、陽乃さんのところへ飛び込んできた。
平塚「加勢するぞ、雪ノ下!」
先生の、助走から容赦ない右ストレートが陽乃さんの顔面を目掛けて撃ち放たれる。
平塚「悪く思うな、陽乃」
陽乃「気にしなくてもいいのに、届いてないから」
平塚「なっ!」
だが、その右ストレートは陽乃さんの顔に届くことはなかった──その直前で、左手の人差し指一本で平塚先生の拳を止めていたのであった。
陽乃「絶望させてゴメンね──」
陽乃さんが軽く両腕を払うと、雪ノ下と平塚先生の体が浮いて数メートルほど吹き飛ばされる。
陽乃「──これがレベルの差だよ」
243 = 1 :
RPGにおけるレベルとは絶対だ。2は1の上位互換であるし、1が10に勝つことはそうそう起こり得ない。
陽乃さんはラスボス魔王だ。まだ冒険を始めたての俺達よりはるかに高いステータスを誇っているというのは想像に難くない。
数字は残酷だ。どちらが上か下なのかをキッチリと示してくる。
陽乃「じゃあ、これで終わりだよ」
雪ノ下達を吹き飛ばすと、陽乃さんの体が光に包まれる。あれは、由比ヶ浜達が呪文を唱える時の事前動作と同じものだ。
ハルノは サンダーフォースをとなえた!▼
陽乃「ばいばい、雪乃ちゃん」
陽乃さんの腕から、巨大な雷のビームのようなものが雪ノ下に向けてぶっ放された。人一人は余裕で飲み込めそうなほどの大きさはある。雪ノ下のHPであんなものをマトモに食らえば間違いなく一撃死だ。
結衣「ゆきのん!」
雪乃「──!!」
だが、雪ノ下は陽乃さんに吹き飛ばされて倒れた状態から素早く起き上がり、そして猛スピードでそこから飛び出した。これで雪ノ下があの電撃に巻き込まれることはない──
そう思い電撃の射線上を確認した時、俺はすぐさまに地面を蹴り走り出した。
雪乃「っ、由比ヶ浜さん! 逃げて!」
結衣「えっ、あっ……」
その電撃がそのまま真っ直ぐに行くと、その先には由比ヶ浜が立ち尽くしていた。由比ヶ浜は雪ノ下しか見ていなかったのか、自分の方向に電撃が飛んできていたことに気付くのが遅れていたようだ。
陽乃さんは雪ノ下に向けて電撃を撃っただけではない、その雪ノ下の後ろにいる由比ヶ浜まで射程に入れた上であの電撃ビームのようなものを撃ったのだろう。
244 = 1 :
八幡「由比ヶ浜!!」
だがそれに早く気が付き、駆け出した俺ならばまだ間に合う。そのまま全力で駆けた俺は由比ヶ浜のところへ飛び込み、両腕でそのまま突き飛ばした。
結衣「あうっ、ヒッキー!」
そして俺もそのままそこから離れようと思ったが──由比ヶ浜を突き飛ばしたことによって、由比ヶ浜がいた場所に今俺がいる。そして電撃はすぐ目の前にまで飛んできていた。
あっこれ死んだわ。もう避けられねぇ。
雪乃「比企谷くん!」
小町「お兄ちゃん!」
いろは「先輩!」
平塚「比企谷!」
戸塚「八幡!」
結衣「あ、いやっ……ヒッキー!!」
そう悟った次の瞬間。
俺の体は巨大な電撃のビームに包み込まれた。
245 = 1 :
毎度書く量も少なく早さも遅くてすんませんとです。
書き溜め尽きちゃったので、もうちょっと書いてからまた来ます。
246 :
大ボスとの負けバトル王道だな
247 :
呪文は事前動作なんだな。詠唱魔法だと良かったな
八幡「平塚先生は俺の年齢のバイキルト!」みたいな
248 :
世の中には魔王が味方になるRPGもあるからもしかすると…
249 :
まさか王道異世界ファンタジーにはまちがこんなに合うなんて思わなんだ
250 :
なにこれ違和感覚えずすげえしっくりくる
乙
みんなの評価 : ☆
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