元スレ魔王「おれと手を組め」魔法使い「断る」
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351 = 342 :
続く
355 :
>>350 戦士が正気に戻れば、ギルドの賞金稼ぎに24時間狙われるのか?
>>1に乙、そして展開を楽しみにしている。
356 :
魔法使い「……正直さ、分からないんだ」
魔王「ふむ」
魔法使い「人間は私のような混血を忌み嫌っている」
魔法使い「混血や“魔女”を捕まえたならすぐさまあなたの言った通り、火炙りにする」
魔王「それはなんでだ?」
魔法使い「汚れたものがこの世界に長くいないように」
側近「……」
魔法使い「だから…そういうことが――私の存在を否定するような人間がいる限り」
魔法使い「完璧には人間の味方にはなれないんだろう」
魔法使い「それに私には魔物の血も流れている。だから、完全に魔物を敵にできない」
357 = 356 :
魔王「宙ぶらりんって感じなのか」
魔法使い「だろうな。結局、私は人間側に必死にしがみついてるだけ」
魔法使い「……どちらにもなれないんだ」
側近「それじゃ駄目なのか。小娘は小娘では駄目なのか」
魔法使い「え」
側近「…なんでもない。魔王さま、わたくしは空から付いてゆきます」バサッ
魔王「分かった」
魔法使い「なんなんだ…?」
魔王「あいつもあいつなりに考えてやったんだよ」
魔法使い「ふぅん…」
魔王「で、我に返ったときに恥ずかしくなったんだろ」
魔法使い「それ言っちゃうか」
魔王(あの表は素っ気ない態度で裏ではかなり相手を大事にしていることを何と言うのだろうな)
358 :
思ってる事そのままいえば良いのに
乙
359 = 356 :
魔法使い「…ところで何の話をしていたんだっけ」
魔王「おれが人間を絞め上げる云々から発展していったな」
魔法使い「なんかさっきより言葉が過激になってないか」
魔王「気のせいだろう」
魔法使い「……絶対気のせいじゃない」
魔王「じゃ、お前がおれといかないなら先に行ってるぞ」スタスタ
魔法使い「あっ」
魔王「」スタスタ
魔法使い「…!あの野郎…」
360 = 356 :
魔法使い「待て」タタッ
魔王「おやおや、何か用かな」
魔法使い「棒読みもはなはだしいな。――行けばいいんだろ、行けば」
魔王「おやおや、なんでそうなったのかな」
魔法使い「…あなたから目を離して何かされたら堪ったもんじゃないから」
魔法使い「なら、あなたが変なことしないように私が見張ってればいい」
魔王「ふん」
魔法使い「……というか、元から私に追わせるつもりだっただろ」
魔王「おやおや、根拠は?」
361 = 356 :
魔法使い「あなたは転移魔法使えるくせに歩くか、普通」
魔王「それにあえて引っかかったお前もお前だけどな」
魔法使い「それは…まあ…なんというか…」
魔王「ま、いいだろう。人間をおれの餌食にしたくないなら、このままおれに付いてくることだな」
魔法使い「やっぱり表現が過激になってきているぞ」
魔王「気にするな」
魔法使い「はぁ……いったい私が何をしたんだろうな」
362 = 356 :
――南の街
ガヤガヤ
青年「南の街は他より賑わっているな」
魔法使い「だな。海に近いから貿易が盛んなんだ」
青年「あー、海の向こうのものを取り扱ってるから客も多くなるのか」
魔法使い「その通り」
青年「果物に、工芸品……たしかに物珍しいものが多い」
魔法使い「お前のところはどうなんだ?」
青年「文化も技術も、あまり発展していないしする必要もない」
青年「そもそもこういうものを飾る家本体がないからな」
魔法使い「へぇ」
363 = 356 :
町人A「今日は来てるってさ!」
町人B「マジかよ!ついてるなおい!」
ワイワイ
魔法使い「?」
青年「なにやら始まるみたいだな」
魔法使い「そうっぽいな」
青年「行ってみるか」
魔法使い「いや、私はまず手紙を……」ゾク
魔法使い(後ろの木から殺気が……!また頭をつつかれる!)
魔法使い「…行くか」
青年「ああ」
魔法使い(わぁい殺気がやんだ…)
364 :
ガヤガヤ
青年「ここか」
魔法使い「掘っ立て小屋…なんだか怪しげだ」
商人「さあさあみなさんお集まりかな?」
町人C「オヤジ!今日はなんだよ!」
町人D「もったいぶるなよ!」
魔法使い「へぇ。今までもなにか支持を得るものを売っていたようだな」
青年「ほう。だからここまで期待をしているのか」
魔法使い「多分」
商人「今回は男性向けじゃあないんだな」
エーナンダヨー ヒッコメ ジャアダレヨウダヨ
ブーブー
商人「女なら誰もが好きな光り物!今日はそれを格安で売りに来た!」
365 = 364 :
青年「女はそういうものなのか、魔法使い」ボソ
魔法使い「あなたは私の立場を考えろ」ボソ
青年「ふん。――女はそういうものが好きだというが、どうなんだろうな」
魔法使い「さぁな、人によりけりだろ。興味があまりないのもいる」
青年「なるほど」
町人C「宝石?なぁ、宝石?」
町人A「宝石なんか格安で買えるもんじゃねーよ」
商人「慌てるな慌てるな。――これだ」ドン
ドヨッ
青年「!」
魔法使い「……大量の真珠…あんなにたくさんどうやって」
366 = 364 :
魔法使い(二枚貝ひとつから一個しかできない貴重なものと聞いていたが…)
魔法使い(それに養殖も未だ上手くいかなくて人工ですら非常に高いとか)
商人「そして値段は――」
ドヨヨッ
魔法使い(……安い。かなり、とは言えないが…あんなに大量に、そしてこの値段)
魔法使い「…なぁ、何かおかし――」ビクッ
青年「……」
魔法使い「おい?」
青年「……」
魔法使い(無表情で――ずっと真珠を睨んでる)
青年「…魔法使い」
魔法使い「ど、どうした?」
367 = 364 :
青年「害虫を見つけたら――どうする?」
魔法使い「いきなりなんだ。面白い答えはないぞ」
魔王「いいから。答えろ」
魔法使い「その場で潰す、かな」
青年「じゃあ害虫に巣があると知っている場合は?」
魔法使い「泳がせといて、巣を見つけて、壊す…と思う」
青年「だよな」スタスタ
魔法使い「おい、何があったんだよ」
商人「そこのお兄ちゃんはいいのかー?」
魔法使い「あ、はい。ごめんなさい、大丈夫です」
少女「……」
368 = 364 :
――裏路地
魔法使い「おい、魔王ったら!」
青年「青年だ」
魔法使い「…青年。どうしたんだよいきなり」
青年「別に」
魔法使い「……」
青年「魔法使い、部屋はどうする。別々か、一緒か」
魔法使い「…別々だったら怪しまれるだろう」
青年「じゃあ部屋をとってくれないか。残念ながらあまり得意ではなくてな」
魔法使い「それはいいけど…」
青年「金は出す。しばらく滞在すると思うが、お前は?」
魔法使い「…私も留まる。あなたが何もやらかさないように」
青年「ふん。そうだったな」
369 = 364 :
魔法使い「なんか見たのか。――真珠が苦手とか」
青年「当たらずとも遠からず。ほれ」ピン
魔法使い「わっ……真珠?買ったのか?」
青年「元から持っていたやつだ。売るなりなんなり好きにしろ」
魔法使い「なんで突然…」
青年「あれ見て思い出した。――これはあれとは違って自分の意思で作られたやつだ」
魔法使い「は?」
青年「部屋が埋まらないうちにとっておけ。おれは行くところがある」
魔法使い「ちょっ」
青年「安心しろ。今日はなにもやらない」スタスタ
370 = 364 :
魔法使い「…どうしたんだいったい」
バサッバサッ
魔法使い(あの人…あの鷹?も魔王を追いかけていったみたいだ)
魔法使い「不思議なやつ」
魔法使い「……」
魔法使い(この真珠、ちょっと水色かかっててきれい)
少女「…お兄さん」スッ
魔法使い「わぁっ!?」ササッ
少女「あ、ごめんなさい…」
魔法使い「い、いや、いいんだ。私も驚いただけだし」
372 :
>>1乙 ずっと、読んでるのである。
374 :
そういや伏線もあったな乙
376 = 364 :
少女「あれ、もう一人のお兄さんは…?」キョロ
魔法使い「急な用事ができたみたいでどっか行ってしまったよ」
少女「帰ってくる?」
魔法使い「多分ね。それで、君は私たちに何か用事があるのかな」
少女「お兄さんたち、あそこで何も買わなかったね」
魔法使い「ああ、あの掘っ立て小屋のこと?うん、買わなかったけど」
少女「なんで?」
魔法使い「なんでって…いらないから」
少女「欲しくなかったの?」ズイ
魔法使い「あ、ああ…」
377 = 364 :
少女「どうして?」
魔法使い「どうしてって言われても。君こそどうしてそんな質問を…」
少女「あそこで売るものはね、魔法がかかっているの」
魔法使い「…魔法?」
少女「売ってるものが、すごーく、すごぉーく欲しくなる魔法」
魔法使い「続けて」
少女「買うのが女の人だけー、とか、男の人だけーとかの日もあるけど」
少女「なんでだか知らないけど、欲しくなっちゃうんだって」
378 = 364 :
魔法使い「君は?」
少女「ぜんぜん。友達も欲しくならないみたい」
魔法使い「それって大人だけに効いてるってこと?」
少女「かも。だからね、あの売ってる人は悪い“魔法使い”なんだよ」
魔法使い「……悪い、ね」
少女「みんなを騙して大儲けしてるの!だから倒さないといけないんだよ」
魔法使い「それで、何故私たちのところに?」
少女「やっつけて」
魔法使い「………………ん?」
少女「お兄さんは買わなかった。魔法が効かなかった」
少女「それに知ってるよ。お兄さんの杖、“魔法使い”が使うやつでしょ?」
379 = 364 :
魔法使い「うん」
魔法使い(フェイクだけどね)
少女「だから、戦えるよ。魔法を使えるお兄さんたちなら!」
魔法使い「私の意見も聞いてくれお嬢ちゃん」
少女「……ダメなの?」
魔法使い「『オッケー叩きのめす』って即答するやつは余程お人好しか脳筋だけだと思う」
少女「…のうきん?」
魔法使い「いや、こっちの話だ。…深刻な状態なのかい?」
少女「……」
魔法使い「君自身に直接ではないとはいえ――なにか、あの店がらみであったんだろう?」
少女「…うん」
380 = 364 :
魔法使い「だろうね。話し方が切羽詰まってる」
少女「…あのね」
魔法使い「ああ」
少女「あそこで何かかわないと、落ち着かなくなるんだって」
魔法使い「……」
少女「パパもママも、いらないのに買ってきてはケンカしてる」
魔法使い「捨てたりとかはできるのかな?」
少女「できるよ。でも…お金かかったから、かんたんに捨てられないって」
魔法使い(物品そのものに魔法はかかってない、ということか)
魔法使い(ならあの売人か誰かが洗脳に近い魔法をかけていると…)
381 :
宿はどうした?
382 :
まあまてゆうべはおたのしみでしたねはこのイベントで好感度をあげてからだ
383 :
魔法使い「……ふむ」
少女「……」
魔法使い「分かった。調べて――できる限りのことはやってみる」
少女「ほんと!?」パァ
魔法使い「ああ」
魔法使い「もう日も暮れる。私はここら辺に止まるから、また明日会わないか?」
少女「うん!」
魔法使い「あそこの街灯の下にでも。じゃあ明日」
少女「また明日、お兄さん!絶対だよ!」フリフリ
魔法使い「ん」フリフリ
魔法使い(私も私で、お人好し…だなぁ)
魔法使い(あ、手紙…これも明日でいいか)
384 = 383 :
――掘っ立て小屋付近
青年「……」
鷹「…思うところが、ありますか」
青年「ある。――あの真珠は“人魚”の涙だ」
鷹「と、すると」
青年「人間が“人魚”たちに何かをしているのは確定ということだ」
鷹「そのようですね」
青年「昔、人魚がおれに教えてくれたんだけどな」
青年「桜色の真珠は歓喜。黒色は恨み。水色は同情」
青年「あの真珠の色は、無色…白だったな」
鷹「はい」
青年「悲しみの時の色だ」
鷹「……悲しんでいる“人魚”がいると」
青年「それも大勢な」
385 = 383 :
青年「真珠をあれほど人間が持っている時点でおかしいんだけどな」
鷹「ええ」
青年「しかもあの金額。おれはあまり値段に詳しくはないが…安い」
鷹「……」
青年「一度あの商人の巣を調べてみる。疑問が多すぎる」
鷹「そうですね」
青年(…あとは、魔法使いにも聞かないと分からないことがある)
387 :
おつ
388 = 383 :
――宿
ザパーン
魔法使い(個室に風呂とは珍しいな…時代が変わっている)
魔法使い(警戒しながら入らなくていいのは良いけど)ザパッ
魔法使い「ふぅ」
ガラッ
青年「ほう、湯の間か」
魔法使い「」
青年「どうした?」
魔法使い「わ、わ、私!」
青年「?」
魔法使い「私は今、裸だ!!」
青年「困るものでもあるまい」
魔法使い「私が困る!ちょっと出てろ!!」ブンッ
389 = 383 :
青年「その投げた桶で隠せばいいものを。馬鹿か」スッ
魔法使い「とりあえず一回閉めろ!閉めてくれ!」
青年「分かったよ。それにしてもお前」
魔法使い「え?」
青年「脱いでも小さ――ぐぉ」スパコーン
鷹(あのまんまじゃダメだな……)
390 = 383 :
……
魔法使い「あのな、怒鳴ったのは悪かったよ。まさか裸でいるとは予想がつかないだろうから」
魔王「ああ」
魔法使い「だが、小さいと言ったのは許さん。撤回しろ」
青年「事実は曲げられん」
魔法使い「その誇らしげな顔やめろ。腹立つ」
青年「しかしそれ、成長が遅いだけなのか止まったのか分からないな」
魔法使い「いや、遅いんだ。発展途上だ」
青年「でもその容姿だからもう止まった可能性もあるな。まあ落ち込むな」
魔法使い「よし、よく分かった。戦争だ」
鷹(好きな子にちょっかい出したい年頃…か…)
391 = 383 :
魔法使い「それで。何か見つけたのか」
青年「いまいち。それで聞きたいことがあるんだが」
魔法使い「ん」
青年「あの商人から、魔力を感じはしなかったか?」
魔法使い「……同じようなことを考えていたみたいだな」
青年「そうか」
魔法使い「私はわからなかった。女だからかもしれんが」
青年「どういう意味だ?」
魔法使い「どうも売りたい相手――性別にしか効かない魔法を使っている説が」
青年「面白い。今日売りたい相手だったのは男だけだったわけか」
魔法使い「そう考えると、あなたはどうだった?」
392 = 383 :
青年「そういうちゃっちい魔法は無意識に跳ねるからな」
魔法使い「ズルいだろそれ…」
青年「おれの特権だ。ま、ある程度強いやつならダメージは食らうが」
魔法使い「催眠術系にはかからないと…」
青年「相手が一般人ならなおさらかかりやすいだろう」
鷹「それに、魔法なんか使わなくても、雰囲気で買いたくなることもあるそうだ」バサッ
魔法使い「雰囲気?」
鷹「周りが欲しい欲しいと言っていると、自分も欲しくなる。そういう現象があるらしい」
393 :
青年「そんなのがあるのか」
鷹「又聞きですので詳しくは存じませんが」
青年「ほう…魔法だけではなく、心理にも商売を持ちかけているのか」
魔法使い「じゃあ売れるわけだな…はふ」
青年「眠いのか」
魔法使い「ああ…もう私は寝るよ…」ゴソゴソ
青年「……」
魔法使い「……」
青年「……」
魔法使い「…あなたは寝ないのか?」
青年「魔物はあまり睡眠とらなくてもいい種族だからな」
魔法使い「夜どう過ごすんだよ…」
青年「お前でも眺めていようか」
魔法使い「やめろ」
青年「おやすみからおはようまで見つめ続けてやる」
魔法使い「嫌がらせかよ!」
394 = 393 :
ではまた
395 :
おつおつ
397 :
魔法使い可愛いな乙
398 :
晩御飯が無い…
399 :
魔王もかわいいな
400 :
胸もない…
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