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    元スレ魔王「おれと手を組め」魔法使い「断る」

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    801 :

    >>800
    でもレベル上がる前の勇者は帰ってこんからなあ。

    802 = 791 :

    ――城のそばの森

    魔法使い「はぁ……はぁ……」

     血まみれだった。
     彼女自身の血と彼女のではない血で。

     まだ息のある人間を見つけ、胸ぐらをつかんで中吊りにした。

    魔法使い「教えろ。魔王が捕まったとはどういうことだ」

    生き残りの兵「ひっ…自分は何も知らねぇ!ただ、魔王を誘き寄せたとは聞いたが…」

    魔法使い「誘き寄せた?一体どうやってだ」

    生き残りの兵「わ、分かんねぇ……本当だよ、分かんねぇんだ…」

    魔法使い「そうか」

     そのまま落とした。
     「ぐぇ」と足下から声がしたが気にしない。

    803 = 791 :

    生き残りの兵「頼むよ……見逃してくれないか」

     魔法使いの足首にすがって人間は言う。

    魔法使い「……」

    生き残りの兵「妻子がいるんだよ……」

    魔法使い「勝手にしろ」

     足首に絡まる手を振り払い、完全に興味をなくして踵をかえした。

    生き残りの兵「なぁんてな化物がァァァァァ!!」

     隠し持っていたナイフで人間が魔法使いの首筋を狙う。
     素早い動きで彼女は振りかえると、ナイフをかわしつつ右手を固めて顔面を殴った。
     湿った嫌な音がした。

    804 = 791 :

    魔法使い「これで終わりか」

    魔法使い「みんな死んじゃった」

     感情もなく呟くとそのまま崩れ落ちた。

    魔法使い(まおう……)

    魔法使い(まおう、あぶないなら、たすけにいかなきゃ)

     しかし手はおろか身体に力が入らない。

    魔法使い「バッカだなぁ――体力使い果たした…」

     夜風がふいて魔法使いの短い髪を優しく撫でた。
     静かだった。

    ??「うわ、すごいな」

     意識のどこかで声が響いた。

    805 = 791 :

    魔法使い「……あなた、は」

    黒髪の「よー」

    魔法使い「こんばんは…」

    黒髪の「魔力使い果たしたな。頑張りすぎだろ」

    魔法使い「はは…」

    黒髪の「力が欲しいか」

    魔法使い「怪しい匂いしかしないのでいいです」

    黒髪の「単純に魔力だよ、魔力」

    魔法使い「いいです」

    黒髪の「大丈夫大丈夫。――ちっと俺の魔力を渡してほしい奴もいるし」

    魔法使い「話だけは聞きましょう」

    黒髪の「目が虚ろなんだが。生きてるか?おーい」

    806 = 791 :

    魔法使い「行かなきゃ…」ググ

    黒髪の「そんなボロボロでか?」

    魔法使い「国が……魔王が……」グググ

    黒髪の「やめな姉ちゃん。死ぬぜ」

    魔法使い「え……性別」

    黒髪の「俺にはお見通しだよ。なんでもな」

    魔法使い「……」バタッ

    黒髪の「あ、死んだ」

    黒髪の「……生きてた生きてた、びっくりした」

    黒髪の「少し寝てろよ姉ちゃん。まだ始まってすらないぜ」

    黒髪の「っと、傷口失礼……」

     指で皮膚を噛みきり、魔法使いの傷口と接触させる。

    魔法使い「ん……」

    黒髪の「いま渡した魔力の半分は魔王にやってくれ」

    魔法使い「あなたは…誰なんですか?」

    807 = 791 :

     質問しながら意識が沈んでいく。
     手足の隅々が暖まっていくのをぼんやり知覚する。
     本当に魔力を流し込んでいるのか。

    黒髪の「知りたいか。知りたいよな」

     なにか言っている。
     でももう眠気が限界だ。

     月を背にしたその姿がとても誰かにそっくりだった。
     その誰かの名前もモヤがかってきている。

     それでもその誰かの、あの金色の瞳が見たかった。

     黒髪の男が何やら言ったとき、魔法使いの意識は深く落ちた。


    黒髪の「俺はほんの少し前まで魔物の国を治めていた、王だよ」

    808 = 791 :

    ――同時刻、魔王城で

    魔大臣「魔王さまが……?それは本当か?」

    「クルッポー」

    魔大臣「勇者の剣…!?そういやあんなもんあったか」

    「クルッポー」

    側近「兵の収集を頼む。女子供はいいから」

    「クルッポー」バサッ

    トロール「するト?」

    人魚「…どうする?」

    魔大臣「決まっているだろう」

    側近「人間の城に行くぞ」

    809 = 791 :

    ――人間の城、牢

    国王「…………で」

    魔王「なんだ」

    国王「何やっとるんじゃお主は…」

    魔王「捕まった」

    国王「魔王はそんなにあっさり捕まるものか!?」

    魔王「傷口に響く。もっと静かに話してくれ、人間の王よ」

    国王「激戦と聞いたが……」

    魔王「おれ対二百な。しかも対魔物用の矢」

    国王「……」

    魔王「不意討ちの不意討ちの不意討ちで脇腹にこれ――『勇者の剣』を刺されてな」

    国王「……」

    魔王「後は分かるだろ」

    国王「いや、分からん」

    810 = 791 :

    魔王「理解力のないじいさんだな」

    国王「どうして畏怖されてきた魔王が全身ボロボロなのか理解できんのじゃ…」

    魔王「簡単だよ。刺されたとたん、力をほぼコイツが封印してただの人間当然となって」

    魔王「残ってた十二人に殴る蹴るされていた。ざっと二時間」

    国王「ということは最後の力を振り絞ったんじゃな…」

    魔王「その頃には疲れていたしな」

    国王「しかし、さっきお主を連行してきたのは大臣含め六名じゃったが」

    魔王「四人死体にして三人足もいでおいたからな」

    国王「うわぁ」

    811 = 791 :

    魔王「あー、でもしくったな。あいつら上手くやれてるかな」

    国王(すごく人間味があるのう……)

    魔王「じいさん、これ抜いてくれないか」

    国王「互いに鎖に繋がれてるから無理じゃな」

    魔王「おれとか身動ぎすらできない。待遇の改善を訴えるべきだな」

    国王「……」

    魔王「というよりこれ、後ろに突き刺してるのか?馬鹿か?抜けないだろ」

    国王「しかし不思議じゃな……なぜ“勇者”でもないのに使えたのか」

    812 :

    魔王「触るだけならできるヤツもいるだろうさ。人間に関わらず魔物だって」

    国王「そ……そうなのか」

    魔王「ただ使えるかは別問題だ。今回は魔法を使って飛ばしてきやがった」

    国王「とんでもない戦闘じゃったんだな……」

    魔王「まあな。魔力封じられてるから傷も治らない。不便だ」

    国王「…“勇者”はよくこんな奴と戦えるのう…」

    魔王「だったら送り込むのやめろよ。前代国王は“勇者”を送り込まなかったぞ」

    国王「新しい“魔王”になったって聞いたから早めに潰そうと…」

    魔王「“勇者”のほうが先に潰されたが」

    813 = 812 :

    国王「あれ、一体何が問題だったんじゃろうな……」

    魔王「人材」

    国王「……」

    魔王「さらに言うなら、国王の判断ミス」

    国王「やめてくれ!こんなことになってるから凹んどるんじゃて!」

    魔王「暇だから仕方ない」

    国王「暇だから人の心を抉っとるのか!」

    魔王「いいじゃねぇか。ボケ予防になるんじゃないか」

    国王「逆にストレスばかりが溜まりそうで嫌なんじゃが」

    魔王「王はそんなもんだろ」

    国王「だれのせいじゃだれの」


    見張り(仲良しだなー)

    814 = 812 :

    魔王「――お」

    国王「?」

    魔王「明るくなるにつれて、色んな気配がしてきたな」

    国王「分かるのか…?魔力封じられているのに」

    魔王「こんなもん魔力を使うまででもない。生まれつきだ」

    国王「……」

    魔王「ふん。さて、おれを助けにきてくれる者はいるのかどうか」

    魔王「それに誰が勝者となるのか――楽しみだな」ニィ

    国王「」ゾク

    魔王「あ、いてっ。頬が腫れてるんだった」

    国王「………………」

    815 = 812 :

    ――城の前

    僧侶「夜明けですね……」

    剣士「長い戦いになるぞ」

    偵察「たたたた、大変だーーっ!!」

    剣士「なんだどうした」

    偵察「あ、あああああっちの向こうから、向こうから!」

    マスター「落ち着け。向こうからなんだって?」

    偵察「魔物が!戦の恰好をした魔物達が近づいてくる!」

    マスター「」

    剣士「」

    僧侶「」

    816 = 812 :

    ――城の前付近、魔物側

    ザッザッ

    側近「?何故人間が」

    ミノタウロス「あちらさんも同じ事情なんじゃ?」

    魔大臣「なるほど。国王が云々とか言っていたな」

    ミノタウロス「大臣ってやつは凄いなまったく。馬鹿か天才か」

    側近「むぅ、上手く手を組めないものか。さすがに二つと争うのは厳しい」

    魔大臣「それはあちらさんの出方によるだろうな」

    トロール「脅しで攻撃すル?」

    魔大臣「しない。静観だ」

    ミノタウロス「果たして人間側に静観する余裕はあるかどうか…」

    817 = 812 :

    ――城内、どこか

    大臣「始まるぞ!私の記念すべき日が!」

    大臣「魔物も人間も入り乱れて争うがいい!」

    大臣「お前達の王は私だ!」

    大臣「踊れ!歌え!そして手のひらで転がり続けていればいい!」

    818 = 812 :




    そして日が昇った。



    819 = 812 :

    続く。
    魔王さまは戦闘なれしていないの!弱いわけじゃないの!

    820 :

    乙乙!

    821 :


    黒髪が先代魔王で師匠が先々代?

    822 :

    おつ

    823 :

    >>819


    いや、戦闘の様子を聞く限り文字通り"化物"みたいな強さじゃねーかwww

    824 = 812 :

    ――城門前

    ヒュオオオオ…

    側近(城の護りは固い。恐らく我々が飛んでも打ち落とされる)

    側近(なんとかあの護りを破れば中へ入れるんだろうが)

    側近(そこまでに被害は出したくないな)

    側近(しかし、目下問題は)

    側近(百、二百メートルそばに人間がいるってこれどんな状況だ)

    トロール「近いなア」

    ミノタウロス「おかげで硬直状態が続いているんだけどな」

    魔大臣「これじゃ日が暮れてしまうぞ」

    ミノタウロス「昇ったばかりなのに?」

    825 = 812 :

    ヒュオオオオ…

    剣士(ある意味、今日一日が全てを決めるだろう)

    剣士(ぐずぐずしてられない。ただ――警備が固すぎる)

    剣士(ここで兵を減らすのは避けたいところだ)

    剣士(しかし……)

    僧侶「こ、こんな近くにたくさん魔物がいますよ…」

    マスター「妙な緊張感があるな…」

    剣士「ああもうどうすれば!!」

    826 = 812 :

     人間と魔物は相容れない。

    側近「……」

     だが、協力を申し出たいし、協力をしてほしい。

    剣士「……」

     少なくとも自分たちだけで勝てるような相手ではない。

    魔大臣「……」

     大臣派には人間と魔物が入り交じっていると聞く。

    僧侶「……」

     共に戦った方がよいに決まっている。

    ミノタウロス「……」

     だが、長年の確執が交渉を邪魔していた。

    マスター「……」

    827 = 812 :

     ふと、剣士と側近両者は後ろのほうが騒がしくなったことに気づいた。
     緊張感を持てと剣士が怒鳴る。後ろまで聞こるたかはともかく。
     同じように側近も怒鳴ろうとしたが、声が出なかった。

     おぞましいほどの魔力を感じたからだ。

    魔大臣「な、なんだ――この魔力は」

    ミノタウロス「でかすぎる!なにが来るんだよ!?」

    トロール「……」

    側近「……鳩、誰がいるか、分かるか」

    「クルッポー」バサッ

    側近「そうか……来たのか」

    828 = 812 :

     ざわざわとした声は前へと移動してくる。
     人間と魔物の間にできた道を歩いてきているようだ。

    ミノタウロス「攻撃は?」

    側近「やめろ。絶対にだ!」

    ミノタウロス「あ、ああ……」

     人影が見える。
     端がボロボロになったローブ。
     短髪。
     そして、背には大きな翼。

    魔大臣「……混血か?」

    側近「鷲族唯一の生き残りだ」

    魔大臣「なっ!?」

    側近「安心しろ、あいつは我々の味方となってくれる」

    側近(目的は――やはり魔王さまか?)

    829 = 812 :

    剣士「なんだあれ……混血か?」

    マスター「みたいだな。しかし何故ここに…」

    人間兵「攻撃体制は整っております!」

    剣士「まだ攻撃をするな。このまま様子見だ」

    人間兵「はっ」

    僧侶「……」

    剣士「僧侶?」

    僧侶「あれ……もしかして!」ダッ

    剣士「あっ、僧侶!?」ダッ

    マスター「…知り合いか?いやまさかな…」

    830 = 812 :

    ……

    側近「やはり小娘か」バサッ

    魔法使い「側近さん」

    側近「なんだその有り様は…何があった?」

    魔法使い「なんでもありません」

    側近「…見たところ傷は治ってるようだから追求はしないが」

    魔法使い「助かります。ところで魔王は、あの中ですか」

    側近「そうだ」

    ダダダダッ

    側近「!?」

    魔法使い「……僧侶」

    僧侶「勇者パーティの時のか」

    魔法使い「はい。……こんな姿をみせてしまうのか」

    側近「……」

    831 = 812 :

    僧侶「はっ、はぁっ……きゃあっ!?」ガンッ

     魔法使いまであと僅か、というところで僧侶はつまずいた。
     そのまま重力に引っ張られ地面とご対面になるところで、ふわりと支えられる。

    魔法使い「…こんなとこで怪我を作るなよ」

    僧侶「す、すいません…じゃなくて!」

     黄色がかかった目、首や手首から生える羽毛、そして翼。
     それらを見て、最後に魔法使いの顔を見て僧侶は笑った。

    僧侶「魔法使いさん!」ギュッ

    魔法使い「私だと…分かるのか?」

    僧侶「もちろんですよ!」

    832 = 812 :

    魔法使い「僧侶」

    僧侶「はい」

    魔法使い「私は、混血なんだ」

    僧侶「そうみたいですね」

    魔法使い「化物だぞ。それでも以前のように話してくれるのか」

    僧侶「関係ありません。魔法使いさんは魔法使いさんですから」

    魔法使い「…ありがとう」

    僧侶「いいえ。――着ているものが汚れていますが、どうしたんですか?」

    魔法使い「ちょっと色々ね。僧侶、傷の様子は?」

    僧侶「片腕にもだいぶ慣れました。利き手じゃなくて良かったですよ」

    魔法使い「そうか。強いな」

    僧侶「えへへ」

    833 = 812 :



    剣士「……僧侶!」

     僧侶がこけ、混血に抱き止められた時に剣士は声を出していた。

    剣士「僧侶から手をはな――」

    側近「やめんか」

     いつのまにか側にきていた鷹の魔物に翼で叩かれた。

    剣士「な、なんだ魔物!やるか!?」

    側近「おちつけ餓鬼」

    剣士「餓鬼…」

    側近「よく顔を見ろ。見覚えがあるんじゃないのか?」

    剣士「見覚えって――魔法使い!?」

    側近「このアホタレ。仲間の顔すら忘れていたのか」

    剣士(気づかなくて悪かったけど、なんで魔物に説教されてんだろ)

    834 = 812 :

    側近「それに、軽々しく小娘に混血というな。あいつ気にするから」

    剣士「小娘?誰が?」

    側近「魔法使いのことだが」

    剣士「」

    側近「そうか、ずっと男として通してきたんだったか」

    側近「…本人の口からのほうが良かったか?」

    剣士「う、嘘だ……」

    側近「?」

    剣士「あんなツルペタなやつが女なわけないじゃないかー!!」

     直後、剣士の足下が軽く爆発を起こした。

    835 :

    ちっぱいこそ正g
    あれ足元g

    836 = 812 :

    僧侶「ま、魔法使いさん!?」

    魔法使い「悪い、つい反応してしまった」

    僧侶「何にですか?」タユン

    魔法使い「……なんでもないよ」

    剣士「お、おらー!魔法使い!なにすんじゃ!」

    魔法使い「すまない」

    剣士「すまないですんだら憲兵隊いらぬわ!」

    側近「そろそろ話を進めないか」

    837 = 812 :

     魔物側からは側近、魔大臣。
     人間側からは剣士、僧侶。
     そして――どちらでもあって、どちらでもない側の魔法使い。

     五人が円となり座った。

    側近「攻撃は?」

    魔法使い「まだのようです。恐らく、兵全体が動いたら攻撃するかと」

    剣士「で、どーすんだ?」

    魔法使い「僧侶、城について説明してくれないか。魔物は知らないんだ」

    僧侶「は、はい」

     僧侶が説明を始める。

    838 = 812 :

     まず城門を入ると大きな出入り口が。そこをとおると中庭がある。
     右にいけば王室と謁見室、左にいけば客間。正面は次の中庭へと。
     階は不明だが、五、六階以上はあるはず。
     そして地下もある。

    魔大臣「正直、人間と組ませた方が早いかもな」

    僧侶「でしょうね。複雑ですから」

    剣士「……それを連中が納得してくれるかどうか」

    魔法使い「納得させるしか、ない」

    剣士「……だな」

    側近「今は、魔物だから人間だからと言っている場合じゃないからな」

    839 = 812 :

    魔法使い「じゃあ、頼んだ。側近さんと剣士が言ってくれ」

    剣士「オレの声届くかな」

    魔法使い「ん、ちょっと待て――よし。しばらくは大声になる」パァ

    側近「こちらは大丈夫だ。じゃあまずは……」

     バサリ、と側近は飛び魔王軍を見下ろす。

    側近「聞け!」

    側近「今、我々は人間と手を組まなければ勝てない!」

     ざわざわ。

    側近「我らだけでは不十分で――人間だけでも不十分だ!」

    側近「一時、力を貸してやってくれ!しばらくは因縁なんかは無しだ!」

     ……。

    側近「嫌なら帰れ。魔王さまに忠誠を誓いたいなら、残れ!!」

     ウオオッ――!と魔物が吠えた。
     去るものはいなかった。

    840 = 812 :

    剣士「さぁ国王軍ども!よく聞け!」

    剣士「まず――わりぃ、魔物が攻めてるのは嘘な!」

     えええーっとブーイング。
     しかし誰かがばらしていたのかそこまで混乱はなかった。

    剣士「今から向かうはなんか勘違いした大臣のところだ!」

    剣士「そいつに国王さまは捕まった!」

    剣士「しかもだ!やつは人間と魔物がごっちゃな軍を作ってるらしい!」

    剣士「ならこちらも人間と魔物で行くぞ!」

    剣士「倒せ!救え!」

    剣士「少しだけでいい、魔物と手を組むんだ!そして、共に戦え!」

    剣士「誰も死ぬなよ!以上!」

     割れるような歓声。

    841 = 812 :

    僧侶「……すごいですね」

    魔法使い「ああ」

    魔大臣「さすが側近といったところか」

    魔法使い「すごくスムーズに行くってわけじゃないが…勝ち目はある」スッ

    魔大臣「…どこにいく、混血」

    魔法使い「混血は嫌いか?」

    魔大臣「……」

    魔法使い「殺したいなら全て終わってからにしてくれ」

    僧侶「魔法使いさん、どこに!?」

    魔法使い「お先にいかせてもらう。僧侶、あなたは危ないから援護に行ってくれ」

    僧侶「魔法使いさんだって!」

     魔法使いは笑って僧侶の頭を撫でた。

    842 = 812 :

    魔法使い「行かなきゃ」

    僧侶「……」

    魔法使い「道を開ける。そしたらすぐに侵入を開始してくれ」

    側近「…お前だけで大丈夫か」バサッ

    魔法使い「今の私は、周りを巻き込みかねないから」

    側近「……なら、行ってこい」

    魔法使い「行ってきます」

    魔大臣「混血」

    魔法使い「?」

    魔大臣「確かに、あまり混血は良く思っていないが――」

    魔大臣「別に嫌いなわけじゃない。――それに、おまえのようなやつは好感が持てる」

    魔法使い「…そう」

     歩き出す。
     城門と城壁が騒がしくなった。
     侵入者を排除するために。

    剣士「魔法使い!」

    魔法使い「?」

    剣士「帰ったら色々聞かせてく」れ、で魔法が切れたらしい。

     一度だけ大きく手をふった。

    843 :

    剣士ェ・・・

    844 = 812 :

    魔法使い「さぁて」

     侵入を防ぐために仕舞われていた、堀の上にかかる橋を魔法で下ろした。
     その上を通りながら矢を風や小石で避けていく。

     固く閉じられた城門をやはり魔法でこじ開け、蹴り飛ばした。

     重い音をたてながら目に入るは数百の兵。

    魔法使い「はは、一番乗りで良かった」

     目の前いっぱいに多数の魔法陣を展開する。
     有り余るほど魔力があるために今ならかなり無茶しても大丈夫そうだ。

    魔法使い(魔王に渡さないといけない分もあるけど)

     あと数秒で幾百もの攻撃が魔法使いを仕留めんと向かっていくだろう
     彼女は口の端を歪めて呟いた。

    845 = 812 :



    魔法使い「―――しんじゃえ」


     攻撃は同時だった。

    846 = 812 :

    魔法使いさんキレモードで次回
    好きな演説はヘルシングのあのお方

    847 :

    おちゅ…………失礼、噛みました

    849 :


    ヤムチャ頑張れ

    850 :

    楽しみに待ってる。乙。


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