元スレ魔王「俺も勇者やりたい」 勇者「は?」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ★
1 :
勇者「……いま何て言った?」
魔王「聞こえなかったか? 勇者をやりたいと言ったんだ」
勇者「んなこと言ったって、お前魔王だろ……?」
魔王「500年も続けて魔王やってるんだ。いい加減飽きた」
勇者「いや、だからって……」
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2 = 1 :
魔王「そもそも、魔王の仕事は退屈すぎるんだ」
勇者「はぁ……」
魔王「魔界の各地域の統治、人間界への侵攻、魔物の編成・訓練・管理……」
勇者「…………」
魔王「幹部たちとの作戦会議、デスクワークやら、弱小勇者の駆除などなど――」
勇者「って、こら! オレは弱小じゃねえ!」
3 = 1 :
魔王「そうか、弱小じゃないのか」
勇者「当然だ!」
魔王「ところで貴様、俺に挑戦するの何回目だ?」
勇者「17回目だぁっ!」
魔王「で、勝率は?」
勇者「全敗だぁっ!」
魔王「それを弱小と呼ばずに、なんと呼ぶんだ」
4 = 1 :
魔王「しかも、今回の戦闘もいろいろと不様だったな」
勇者「う……」
魔王「仲間は一人残らず戦闘不能。蘇生・回復アイテムも底を尽き、お前自身MP0、HP一ケタ」
勇者「うう……」
魔王「もはや詰みだろ?」
勇者「うぐぅぅ……!」
5 = 1 :
魔王「とにかく俺は、心底うんざりしているのだよ。魔物に司令を与え、人間を襲う毎日に」
勇者「…………」
魔王「噂の勇者も、もっと骨のある奴かと思っていたが、どうやら期待はずれのようだ」
勇者「…………」
魔王「というわけで、退屈で死にそうな俺に勇者をやらせろ」
勇者「断る! 魔王の言うことなんか聞けるか!」
魔王「そうか――」
魔王「ところで勇者、呪文と打撃なら、どちらでトドメをさされたいんだ?」
勇者「すんません。言うこと聞きます。何とぞご慈悲を」
6 = 1 :
魔王「よし、では今日から俺が勇者だ」
勇者(……腑に落ちない)
魔王「で、貴様は今日から魔王だ」
勇者「はあ!? なんで!?」
魔王「当然の対処だ。俺がいない間、誰が魔王をやるというんだ」
勇者「だからって無茶苦茶だろ! オレは嫌だぞ!」
魔王「そうか――」
魔王「ところで勇者、燃えて死ぬのと、凍えて死ぬのと、どちらが好みだ?」
勇者「喜んで魔王やらせて頂きます」
7 = 1 :
魔王「では、俺の前まで来い」
勇者「ん? ああ……」
魔王「よし、それでいい」
勇者「おい、いったい何を、――わっ!?」
まおうは じゅもんを となえた!
なんと、ゆうしゃは まおうに へんしんしてしまった! ▼
魔王(勇)「うわああ! なんだこれぇええええ!?」
魔王「うむ、これなら簡単にバレることはなかろう。さて、俺も……」
8 = 1 :
まおうは じゅもんを となえた!
なんと! まおうは ゆうしゃにへんしんした! ▼
勇者「まあこんなところか」
魔王「ああああ! 魔王がオレになったあぁあああっ!?」
勇者「うるさい。俺の姿で取り乱すな」
魔王「いだだっ! 痛い! 角を引っ張らないで!」
9 = 1 :
勇者「いいか、よく聞け。貴様には、俺の能力を半分与えてやった」
魔王「はぁ……」
勇者「適当に司令を出したり、悪事を働いていれば、まずバレないだろう。
分からないことがあったら、側近にそれとなく聞くがいい」
魔王「あの……」
勇者「なんだ?」
魔王「……オレは、いつ勇者に戻れますか?」
勇者「さぁな、俺の気分次第だ」
魔王「……シクシク」
勇者「俺の顔で泣くな、まったく」
10 = 1 :
勇者「そうだ。一応これを渡しておこう」
魔王「……これは?」
勇者「魔王城の地図だ」
魔王「へー、でもなんで?」
勇者「ここは広いし複雑だからな。城で迷子にでもなられたら、手下どもに不審がられる」
魔王「あ、そうか」
勇者「トイレは各階に一か所づつあるから、早めに把握しておけ。くれぐれも廊下で漏らすなよ」
魔王「…………」じーっ
勇者「なんだ」
魔王「……魔王もトイレに行くんだな」
ゆうしゃの こうげき!
かいしんの いちげき! ▼
魔王「へぶしッ!」
11 = 1 :
勇者「う……」フラ…
魔王「ん、どうした? なんか疲れてるみたいだぞ」
勇者「ああ、どうやら変身魔法を使った際に、貴様のパラメータもコピーしてしまったようだ」
魔王「……それってつまり、MP0で、HP一ケタってこと?」
勇者「そういうことだ」
魔王「……ふーん(ニヤリ」
勇者「なんだその顔は」
12 = 1 :
魔王「死にさらせぇええ!!」
勇者「あ、しまっ――」
まおうの こうげき!
ゆうしゃに 109のダメージ!
ゆうしゃたちは ぜんめつしてしまった…… ▼
魔王「……なにこれ超爽快」
13 = 1 :
~城~
勇者「……ん、ここは?」
王様「おお勇者よ、死んでしまうとは情けない!」
勇者(……ああ、さっきので死んだのか)
勇者(確かにあれは、我ながら情けなかった……)
14 = 1 :
勇者(それにしても、これが人間の城か)
勇者(中からじっくり見るのは、初めてだ)
勇者(ふむ、煉瓦造りの壁に、貧弱そうな兵士ども……)
王様「どうしたんじゃ、勇者? 突然きょろきょろして」
勇者「いや、この程度の城なら、魔物が200体もいれば、半日とかからず
制圧できるなと思って……」
王様「生き返って早々、ずいぶんな口を聞くようになったな、おぬし」
15 = 1 :
王様「くだらんことを言ってる暇があったら、さっさと仲間を生き返らせにいかんか!」
勇者(……なるほど、全滅したときに生き返るのは、勇者だけなのか)
王様「そなたにもう一度機会を与えよう! では行くが良い、勇者よ!」
勇者「はい」
勇者(……しかし、誰かから命令されるというのは新鮮だな)
勇者(普段は命令する立場だからな)
16 = 1 :
~城下町~
勇者(…………)
勇者(……行くが良いとは言われたものの、どこへ行くべきか)
勇者(…………)
勇者(あ、でも、自分が行きたい所を選べるのか)
勇者(魔王やってる時は、毎日が過密スケジュールだったからな……)
勇者(とにかく魔王の仕事以外のことができるのは、楽しみだ)
勇者(…………♪)
勇者「――それにしても、あの“弱小”は上手いことやってるだろうか」
17 = 1 :
~魔王城~
魔王「えーっと、魔王の間を抜けたら、左に曲がって……」
魔王「真直ぐ突きあたりまで歩いたら、階段が見えてきて……お、あった」
魔王「階段あがったら、今度は右に曲がって歩いて、そしたら十字路を左に……」
魔王「で、道なりに歩いたら、また上がる階段が前方に……」
魔王「……だぁああ! なんで一か所に階段つくってないんだよ、面倒くさい!!」
18 = 1 :
魔王(でも、魔王の姿だからか、魔物に襲われないのはありがたいよな)
魔王(極悪モンスターがはびこる魔王城を、こんなに楽々歩けるなんて……)
魔王(……これはこれで嬉しい)
魔物A「4階異常なーし」
魔物B「よーし、次のフロア行くかー」
魔王(……! 階段の上から声!? 見張りの魔物たちか!?)
19 = 1 :
魔王(どうする、どうするオレ!? なんか上手い事切り抜ける方法は……)
魔物A「あ」
魔物B「これはこれは魔王様」
魔王(降りてきた! そして、気づかれた!)
魔王(ええい、こうなったら、『魔王になりすましてやり過ごす大作戦』だ!!)
魔王「いやぁ諸君! 見張りご苦労っ!! わーっはっはっはっはっは!!」
魔物A(え、っええーー!? なにこのハイテンション!?)
魔物B(良く分かんないけど、魔王様、超ご機嫌!?)
20 = 1 :
魔物A「ま、魔王様どうなさいましたか?」
魔物B「な、何か良い事でもあったんですか?」
魔王(げっ、どうしよ。なんとか誤魔化せるか……?)
魔王「うむ、先ほど勇者どもをこてんぱんにしてきたのでな。気分爽快なのだ!」
魔物A「そ、そうですか」
魔王「というわけで、オレは少し休んでくるぞ! 引き続き見張りを頼む!」
魔物B「は、はい……、いってらっしゃいませ」
魔王「わーっはっはっはっはっは……!!」
魔物A「……」
魔物B「……」
21 = 1 :
魔物A「なぁ」
魔物B「なんだ」
魔物A「魔王様、大丈夫かな? なんかキャラ変わってたような……」
魔物B「さぁなあ、高貴な身分のお方の心理は、下々の俺等じゃ計りかねる」
魔物A「……ですよねー」
魔物B「ハイ、それじゃあ見張りの続きー。三階異常なーし」
魔物A「いやいやいや! 今のは異常ありだろ!?」
22 = 1 :
~魔王の部屋~
魔王「……ぜぇ、はぁ、やっとここまで来れた」
魔王「それにしても危なかったなー。一時はどうなるかと……」
魔王「お、魔王のベッドだ。でけー。うりゃー、ダーイブ!!」
魔王「……うーむ、思った通りふかふかベッドだ。さすが魔王だな」
魔王「ふぅー、疲れたぁー……」
魔王「……」
魔王(戦士、僧侶、魔法使い……。みんな無事かな)
魔王(……いつまでオレ、このままなんだろ)
魔王(……ねむ)
魔王「……zZZ」
23 = 1 :
本日はここまでです。
また今週来ます。
24 :
面白そう期待
25 :
勇者「さて、そろそろ仲間でも生き返らせるとするか」
勇者「教会とやらに行ってもいいが、蘇生呪文を使った方が早いだろうな」
勇者「まずは……」
ゆうしゃは じゅもんをとなえた!
なんと! そうりょが いきかえった! ▼
僧侶「……ぅうん」
勇者「起きたか、僧侶」
僧侶「……あ、」
僧侶「ゆ゛うしゃさまぁ゛ああ~~~……」ボロボロ
勇者(……!? なぜ、こいつは生き返った途端、号泣するんだ!?)
26 = 1 :
勇者(……落ち着け魔王、この程度のことでうろたえるな)
勇者(こんな時、勇者だったらどうする。勇者なら……)
勇者「…………」
僧侶「ふぇ、……ぅうっ」
勇者「…………」
僧侶「うぅうーっ……ひっく」
勇者「……おい、いつまでも泣くんじゃない」
僧侶「はい、すみませ……ぐすっ、うっ」
勇者(……違うな、なにかもっと別の言葉を)
27 = 1 :
勇者「……何故、泣いているんだ?」
僧侶「だって……、ぅえ、また負けちゃって」
勇者「……」
僧侶「今度こそ、ぐす、勝とうって、でも…、」
勇者「……」
僧侶「私が、ぅう、不甲斐ない、ばかりに……ふぇえ」
勇者(……つまり、勝てなかったのは自分のせいと思っているのか)
勇者(その程度のことで泣くのか、人間は……)
勇者(……疲れる)
28 = 1 :
勇者「――そうだな、貴様は爪が甘すぎる」
僧侶「はい……、……ん、え?」
勇者「回復ばかりでなく、守備や素早さなどの補助魔法にも専念した方がいい」
僧侶「あっ、……。ごめんなさい」
勇者「勘違いするな。これは叱責ではない。助言だ」
僧侶「え……?」
勇者「つまり、次回から、そこを気をつければ、勝てるということだ」
僧侶「……」
勇者「勝ちたいんだろ? ならば、泣くより先にすることがあるんじゃないか?」
僧侶「……!」
勇者「早く涙を拭け、そして仲間を蘇生させろ。魔王に勝つためにな」
僧侶「(ゴシゴシ)……はい!」
勇者「よし、それでいい」
29 = 1 :
勇者「……」
勇者(……まてよ、)
勇者(まさか、勇者のやつ、毎回“これ”をやってるのか……?)
勇者(……案外、苦労してるんだな。あの弱小)
30 = 1 :
そうりょは じゅもんをとなえた!
なんと! せんしは いきかえった! ▼
戦士「はっ、おれは……!?」
勇者「目覚めたか、戦士」
戦士「お、勇者。久しぶり」
勇者(よかった、こいつは普通に生き還ってくれた……)ホッ…
31 = 1 :
戦士「悪かったなー。また、お前より先に死んじまったよ」
勇者「気にするな、いつものことだろ」
戦士「ああ……、え?」
勇者「貴様は魔法耐性が低いからな。装備を対魔法用に整えなければ、すぐやられるのは当然だ」
戦士「……?」
勇者「加えて、素早さも低いから先手を取られやすい。体力以外もいろいろ鍛える必要があるだろうな」
戦士「……???」
勇者「なんだ、その顔は。俺の話が理解できたか?」
戦士「なっ! 当たり前だろ! おれを馬鹿にすんなよ!」
戦士「要は、いつかは魔王に勝てるってことだよな!? なっ!?」
勇者「明らかに肝心なところが理解できてないぞ、貴様」
32 = 1 :
そうりょは じゅもんをとなえた!
なんと! まほうつかいは いきかえった! ▼
魔法使い「ふわぁ……。あら、勇者ちゃん。お早うー」
勇者「お早う、魔法使い」
魔法使い「ん? どしたの勇者ちゃん。いつもよりクールじゃない?」
勇者(……勘が鋭いな。迂闊なことは言えなさそうだ)
勇者「そうか? 気のせいじゃないか?」
魔法使い「あー、なるほどねー。気のせいかー。あるあるそういうの」
勇者(勘は鋭いが、深く考えるタイプではないようだな……)
33 = 1 :
魔法使い「にしても、この間の魔王戦惜しかったわねー」
勇者「そうだな」
魔法使い「んー、まだまだレベルが足りないのかしら?」
勇者「レベルの問題でなく戦術の問題だ」
魔法使い「……へ? どういうこと?」
勇者「いままでの戦術は、基本力押しだったろ?」
魔法使い「ん、まあね」
勇者「力押しは、長期戦に弱いんだ。加えて、アイテム補充もぬるいから、すぐにやられる」
魔法使い「ふーん……」
勇者「戦術さえあれば、レベルが多少低くても、勝利できるはずなんだがな」
魔法使い「…………」
34 = 1 :
魔法使い「……ねーねー、勇者ちゃーん」
勇者(しまっ……、感づかれたか?)
魔法使い「お腹空いたから、なんか食べに行こうよ」
勇者「貴様、恐ろしいほどマイペースだな」
35 = 1 :
戦士「あー。そういえば、おれもなんか腹減ってきたなぁ」
僧侶「あの、勇者様。もしよろしければ、私も少し休憩の時間がほしいのですが……」
勇者(しかも、何故、みんな便乗してくるんだ……?)
勇者(少人数精鋭だと、こういうのが当たり前なのだろうか……?)
勇者(いままでずっと、軍や大人数を相手にしてたから、いまいち扱い方がわからん……)
勇者(……だが、正体がばれないためにも、こいつらに合わせておいた方が無難な気がする)
36 = 1 :
勇者「……では、昼食がてらに、どこかへ食べに行くとするか」
魔法使い「きゃっほーい! 勇者ちゃん、大好きー!」
戦士「うーし、たらふく食うぞー!」
僧侶「ありがとうございます、勇者様!」
勇者「ところで魔法使い、志願したからには、どこか食べに行きたい店があるか?」
魔法使い「ん? あたしに選ばせてくれんの?」
勇者「『言いだしっぺの法則』というのは、よく聞く言葉だろ?」
魔法使い「なるほどねー、勇者ちゃん優しいー」
37 = 1 :
勇者(まあ、法則云々より、どんな店があるか知らないからという理由が大きいが……)
勇者(俺が知らないままに選ぶより、選ばせた方が自然だろう)
勇者(人間の食物が、口に合うかは不安だが……、人間の飲食店に入るのは、初めてだから楽しみだな)
勇者(…………♪)
魔法使い「じゃあ、お昼は、勇者ちゃんのお家で決ーまりっ!」
勇者「――なにっ!?」
38 = 1 :
戦士「おっ。いいねー、勇者の母上様の料理は最高だもんな」
魔法使い「でしょー。あたしも最近食べてないから、無性に食べたくなっちゃって」
僧侶「そういえば、近頃、勇者様のお母様に会ってませんからね」
魔法使い「ねー。たまには息子さんのお顔も見せてあげないとねー」
勇者「…………」
勇者(……まずい、まずいぞ)
勇者(交換初日から、勇者の肉親に顔を合わせる羽目になるとは……)
勇者(この状態では、ぼろを確実に出さないという可能性はかなり低い)
勇者(かといって、実の息子が、自分の家に帰りたくないと言いだすのも不自然だ)
勇者(ここは、合わせるしか……、ないのか……?)
39 = 1 :
魔法使い「というわけで、勇者の家にレッツゴー!」
戦士「おーーー!」
僧侶「おーー、です!」
勇者「…………」
勇者(退屈しのぎに、勇者をやってみてはいるものの……)
勇者(……なぜこんなにも早く、窮地が訪れるんだ?)
40 = 1 :
今日の分はここまでです。
また来週来ます。
41 :
ふむふむ
乙
42 :
これはいいwwww
43 :
魔王ピンチじゃねーかwwwwww
45 :
~魔王城~
側近「魔王様、魔王様」
魔王「ぐがー」
側近「起きてください、魔王様」
魔王「ふごー」
側近「……」
そっきんは じゅもんを となえた!
まおうは めをさました! ▼
魔王「…ん、ふぁ……なに?」
46 = 1 :
側近「間もなく会議が始まります。準備してください」
魔王「……へ?」
側近「本日の議題は、北地区の魔物の配備と、西国の侵攻作戦です」
魔王「え、あの……」
側近「こちらが資料です。お着替えは、鏡台の前に用意しております。時間がないので、食事は後回しです」
魔王「ちょ、ちょっと待って」
側近「質問でしたら、手短にお願いします」
魔王「えーと、君だれ?」
47 = 1 :
側近「……大分お疲れのようですね。よもや、側近の顔を忘れるとは」
魔王「あっ、ああ! 側近か! いやあ、いつも御苦労!」
側近「労いのお言葉ありがとうございます。魔王様もお疲れのようですし、会議は午後からに致しましょうか?」
魔王「ああっ、そうだな! そうしてくれると助かる!」
側近「かしこまりました。その様に手配します」
そっきんは へやを でていった…… ▼
魔王「……ふう、なんとかごまかせたみたいだぜ」
側近(……今日の魔王様、すっごく変)
48 = 1 :
~勇者の家~
勇者母「――あら」
戦士「どうもー、お世話になってます」
僧侶「こんにちはー」
魔法使い「御邪魔しまーす」
勇者「……」
魔法使い「ほら勇者ちゃん、なに黙りこくってんのさ。挨拶、挨拶」
勇者「あ、ああ……。ただいま……」
勇者母「ふふ、おかえりなさい」
勇者「……」
勇者(……つ、ついに来てしまった)
勇者(こんなに緊張するのは、何十年ぶりだ……?)
49 = 1 :
勇者母「それにしても、久しぶりに帰ってきてくれて、嬉しいわ」
戦士「すんません、なかなか来れなくて……」
勇者母「ふふ。でも、それだけ忙しくしてるってことでしょ?」
僧侶「え?」
勇者母「最近、魔王との戦いが大変なんですってね。王様から聞いてるわよ」
魔法使い「ああ、王様から」
勇者母「この子はお父さんに似て、がんばり屋さんだから」
勇者(…………)
勇者母「さあ、みなさん疲れてるでしょ? 今日は、うちで休んでってくださいな」
50 = 1 :
戦士「あ、いや。今日はそういうつもりではなくてですね」
勇者母「?」
僧侶「その、誠に申し上げにくいんですけど……」
魔法使い「勇者ちゃんのお家で、お昼御飯をいただきたいなーと思ったわけですよ」
勇者母「あらあら、そうだったのね。もちろん、お安い御用よ」
戦士「ひゃっほー! ありがてぇ!」
僧侶「ありがとうございます!」
勇者母「さて、みなさん何が食べたいですか? あまり手の込んだものは作れませんけど……」
魔法使い「だってさ勇者ちゃん。久々の家だし、好物の一つでも頼んどきなよ」
勇者(……!? お、俺が頼むのかっ!?)
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