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    元スレ魔王「俺も勇者やりたい」 勇者「は?」

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    タグ : - 勇者 + - 魔王 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    1 :


    勇者「……いま何て言った?」

    魔王「聞こえなかったか? 勇者をやりたいと言ったんだ」

    勇者「んなこと言ったって、お前魔王だろ……?」

    魔王「500年も続けて魔王やってるんだ。いい加減飽きた」

    勇者「いや、だからって……」

    SSWiki :http://ss.vip2ch.com/jmp/1340175217(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)

    2 = 1 :


    魔王「そもそも、魔王の仕事は退屈すぎるんだ」

    勇者「はぁ……」

    魔王「魔界の各地域の統治、人間界への侵攻、魔物の編成・訓練・管理……」

    勇者「…………」

    魔王「幹部たちとの作戦会議、デスクワークやら、弱小勇者の駆除などなど――」

    勇者「って、こら! オレは弱小じゃねえ!」

    3 = 1 :


    魔王「そうか、弱小じゃないのか」

    勇者「当然だ!」

    魔王「ところで貴様、俺に挑戦するの何回目だ?」

    勇者「17回目だぁっ!」

    魔王「で、勝率は?」

    勇者「全敗だぁっ!」

    魔王「それを弱小と呼ばずに、なんと呼ぶんだ」

    4 = 1 :


    魔王「しかも、今回の戦闘もいろいろと不様だったな」

    勇者「う……」

    魔王「仲間は一人残らず戦闘不能。蘇生・回復アイテムも底を尽き、お前自身MP0、HP一ケタ」

    勇者「うう……」

    魔王「もはや詰みだろ?」

    勇者「うぐぅぅ……!」

    5 = 1 :


    魔王「とにかく俺は、心底うんざりしているのだよ。魔物に司令を与え、人間を襲う毎日に」

    勇者「…………」

    魔王「噂の勇者も、もっと骨のある奴かと思っていたが、どうやら期待はずれのようだ」

    勇者「…………」

    魔王「というわけで、退屈で死にそうな俺に勇者をやらせろ」

    勇者「断る! 魔王の言うことなんか聞けるか!」

    魔王「そうか――」






    魔王「ところで勇者、呪文と打撃なら、どちらでトドメをさされたいんだ?」

    勇者「すんません。言うこと聞きます。何とぞご慈悲を」

    6 = 1 :


    魔王「よし、では今日から俺が勇者だ」

    勇者(……腑に落ちない)

    魔王「で、貴様は今日から魔王だ」

    勇者「はあ!? なんで!?」

    魔王「当然の対処だ。俺がいない間、誰が魔王をやるというんだ」

    勇者「だからって無茶苦茶だろ! オレは嫌だぞ!」

    魔王「そうか――」






    魔王「ところで勇者、燃えて死ぬのと、凍えて死ぬのと、どちらが好みだ?」

    勇者「喜んで魔王やらせて頂きます」

    7 = 1 :


    魔王「では、俺の前まで来い」

    勇者「ん? ああ……」

    魔王「よし、それでいい」

    勇者「おい、いったい何を、――わっ!?」



      まおうは じゅもんを となえた!
      なんと、ゆうしゃは まおうに へんしんしてしまった! ▼



    魔王(勇)「うわああ! なんだこれぇええええ!?」

    魔王「うむ、これなら簡単にバレることはなかろう。さて、俺も……」

    8 = 1 :




      まおうは じゅもんを となえた!
      なんと! まおうは ゆうしゃにへんしんした! ▼



    勇者「まあこんなところか」

    魔王「ああああ! 魔王がオレになったあぁあああっ!?」

    勇者「うるさい。俺の姿で取り乱すな」

    魔王「いだだっ! 痛い! 角を引っ張らないで!」

    9 = 1 :


    勇者「いいか、よく聞け。貴様には、俺の能力を半分与えてやった」

    魔王「はぁ……」

    勇者「適当に司令を出したり、悪事を働いていれば、まずバレないだろう。
        分からないことがあったら、側近にそれとなく聞くがいい」

    魔王「あの……」

    勇者「なんだ?」

    魔王「……オレは、いつ勇者に戻れますか?」

    勇者「さぁな、俺の気分次第だ」

    魔王「……シクシク」

    勇者「俺の顔で泣くな、まったく」

    10 = 1 :


    勇者「そうだ。一応これを渡しておこう」

    魔王「……これは?」

    勇者「魔王城の地図だ」

    魔王「へー、でもなんで?」

    勇者「ここは広いし複雑だからな。城で迷子にでもなられたら、手下どもに不審がられる」

    魔王「あ、そうか」

    勇者「トイレは各階に一か所づつあるから、早めに把握しておけ。くれぐれも廊下で漏らすなよ」

    魔王「…………」じーっ

    勇者「なんだ」

    魔王「……魔王もトイレに行くんだな」


     ゆうしゃの こうげき!
     かいしんの いちげき! ▼


    魔王「へぶしッ!」

    11 = 1 :


    勇者「う……」フラ…

    魔王「ん、どうした? なんか疲れてるみたいだぞ」

    勇者「ああ、どうやら変身魔法を使った際に、貴様のパラメータもコピーしてしまったようだ」

    魔王「……それってつまり、MP0で、HP一ケタってこと?」

    勇者「そういうことだ」

    魔王「……ふーん(ニヤリ」

    勇者「なんだその顔は」

    12 = 1 :


    魔王「死にさらせぇええ!!」

    勇者「あ、しまっ――」



      まおうの こうげき!
      ゆうしゃに 109のダメージ!

      ゆうしゃたちは ぜんめつしてしまった…… ▼



    魔王「……なにこれ超爽快」

    13 = 1 :


      ~城~


    勇者「……ん、ここは?」

    王様「おお勇者よ、死んでしまうとは情けない!」

    勇者(……ああ、さっきので死んだのか)





    勇者(確かにあれは、我ながら情けなかった……)

    14 = 1 :


    勇者(それにしても、これが人間の城か)

    勇者(中からじっくり見るのは、初めてだ)

    勇者(ふむ、煉瓦造りの壁に、貧弱そうな兵士ども……)

    王様「どうしたんじゃ、勇者? 突然きょろきょろして」






    勇者「いや、この程度の城なら、魔物が200体もいれば、半日とかからず
        制圧できるなと思って……」

    王様「生き返って早々、ずいぶんな口を聞くようになったな、おぬし」

    15 = 1 :


    王様「くだらんことを言ってる暇があったら、さっさと仲間を生き返らせにいかんか!」

    勇者(……なるほど、全滅したときに生き返るのは、勇者だけなのか)

    王様「そなたにもう一度機会を与えよう! では行くが良い、勇者よ!」

    勇者「はい」






    勇者(……しかし、誰かから命令されるというのは新鮮だな)

    勇者(普段は命令する立場だからな)

    16 = 1 :



      ~城下町~


    勇者(…………)

    勇者(……行くが良いとは言われたものの、どこへ行くべきか)

    勇者(…………)

    勇者(あ、でも、自分が行きたい所を選べるのか)

    勇者(魔王やってる時は、毎日が過密スケジュールだったからな……)

    勇者(とにかく魔王の仕事以外のことができるのは、楽しみだ)

    勇者(…………♪)






    勇者「――それにしても、あの“弱小”は上手いことやってるだろうか」

    17 = 1 :



      ~魔王城~


    魔王「えーっと、魔王の間を抜けたら、左に曲がって……」

    魔王「真直ぐ突きあたりまで歩いたら、階段が見えてきて……お、あった」

    魔王「階段あがったら、今度は右に曲がって歩いて、そしたら十字路を左に……」

    魔王「で、道なりに歩いたら、また上がる階段が前方に……」





    魔王「……だぁああ! なんで一か所に階段つくってないんだよ、面倒くさい!!」

    18 = 1 :


    魔王(でも、魔王の姿だからか、魔物に襲われないのはありがたいよな)

    魔王(極悪モンスターがはびこる魔王城を、こんなに楽々歩けるなんて……)

    魔王(……これはこれで嬉しい)



    魔物A「4階異常なーし」

    魔物B「よーし、次のフロア行くかー」



    魔王(……! 階段の上から声!? 見張りの魔物たちか!?)

    19 = 1 :


    魔王(どうする、どうするオレ!? なんか上手い事切り抜ける方法は……)



    魔物A「あ」

    魔物B「これはこれは魔王様」



    魔王(降りてきた! そして、気づかれた!)

    魔王(ええい、こうなったら、『魔王になりすましてやり過ごす大作戦』だ!!)






    魔王「いやぁ諸君! 見張りご苦労っ!! わーっはっはっはっはっは!!」

    魔物A(え、っええーー!? なにこのハイテンション!?)

    魔物B(良く分かんないけど、魔王様、超ご機嫌!?)

    20 = 1 :


    魔物A「ま、魔王様どうなさいましたか?」

    魔物B「な、何か良い事でもあったんですか?」

    魔王(げっ、どうしよ。なんとか誤魔化せるか……?)



    魔王「うむ、先ほど勇者どもをこてんぱんにしてきたのでな。気分爽快なのだ!」

    魔物A「そ、そうですか」

    魔王「というわけで、オレは少し休んでくるぞ! 引き続き見張りを頼む!」

    魔物B「は、はい……、いってらっしゃいませ」

    魔王「わーっはっはっはっはっは……!!」



    魔物A「……」

    魔物B「……」

    21 = 1 :


    魔物A「なぁ」

    魔物B「なんだ」

    魔物A「魔王様、大丈夫かな? なんかキャラ変わってたような……」

    魔物B「さぁなあ、高貴な身分のお方の心理は、下々の俺等じゃ計りかねる」

    魔物A「……ですよねー」

    魔物B「ハイ、それじゃあ見張りの続きー。三階異常なーし」

    魔物A「いやいやいや! 今のは異常ありだろ!?」

    22 = 1 :



      ~魔王の部屋~


    魔王「……ぜぇ、はぁ、やっとここまで来れた」

    魔王「それにしても危なかったなー。一時はどうなるかと……」

    魔王「お、魔王のベッドだ。でけー。うりゃー、ダーイブ!!」



    魔王「……うーむ、思った通りふかふかベッドだ。さすが魔王だな」

    魔王「ふぅー、疲れたぁー……」

    魔王「……」



    魔王(戦士、僧侶、魔法使い……。みんな無事かな)

    魔王(……いつまでオレ、このままなんだろ)

    魔王(……ねむ)



    魔王「……zZZ」

    23 = 1 :

    本日はここまでです。
    また今週来ます。

    24 :

    面白そう期待

    25 :


    勇者「さて、そろそろ仲間でも生き返らせるとするか」

    勇者「教会とやらに行ってもいいが、蘇生呪文を使った方が早いだろうな」

    勇者「まずは……」



      ゆうしゃは じゅもんをとなえた!
      なんと! そうりょが いきかえった! ▼



    僧侶「……ぅうん」

    勇者「起きたか、僧侶」

    僧侶「……あ、」






    僧侶「ゆ゛うしゃさまぁ゛ああ~~~……」ボロボロ

    勇者(……!? なぜ、こいつは生き返った途端、号泣するんだ!?)

    26 = 1 :




    勇者(……落ち着け魔王、この程度のことでうろたえるな)

    勇者(こんな時、勇者だったらどうする。勇者なら……)




    勇者「…………」

    僧侶「ふぇ、……ぅうっ」

    勇者「…………」

    僧侶「うぅうーっ……ひっく」

    勇者「……おい、いつまでも泣くんじゃない」

    僧侶「はい、すみませ……ぐすっ、うっ」

    勇者(……違うな、なにかもっと別の言葉を)

    27 = 1 :


    勇者「……何故、泣いているんだ?」

    僧侶「だって……、ぅえ、また負けちゃって」

    勇者「……」

    僧侶「今度こそ、ぐす、勝とうって、でも…、」

    勇者「……」

    僧侶「私が、ぅう、不甲斐ない、ばかりに……ふぇえ」



    勇者(……つまり、勝てなかったのは自分のせいと思っているのか)

    勇者(その程度のことで泣くのか、人間は……)

    勇者(……疲れる)

    28 = 1 :


    勇者「――そうだな、貴様は爪が甘すぎる」

    僧侶「はい……、……ん、え?」

    勇者「回復ばかりでなく、守備や素早さなどの補助魔法にも専念した方がいい」

    僧侶「あっ、……。ごめんなさい」

    勇者「勘違いするな。これは叱責ではない。助言だ」

    僧侶「え……?」

    勇者「つまり、次回から、そこを気をつければ、勝てるということだ」

    僧侶「……」

    勇者「勝ちたいんだろ? ならば、泣くより先にすることがあるんじゃないか?」

    僧侶「……!」

    勇者「早く涙を拭け、そして仲間を蘇生させろ。魔王に勝つためにな」

    僧侶「(ゴシゴシ)……はい!」

    勇者「よし、それでいい」

    29 = 1 :


    勇者「……」



    勇者(……まてよ、)

    勇者(まさか、勇者のやつ、毎回“これ”をやってるのか……?)



    勇者(……案外、苦労してるんだな。あの弱小)

    30 = 1 :




      そうりょは じゅもんをとなえた!
      なんと! せんしは いきかえった! ▼



    戦士「はっ、おれは……!?」

    勇者「目覚めたか、戦士」

    戦士「お、勇者。久しぶり」

    勇者(よかった、こいつは普通に生き還ってくれた……)ホッ…

    31 = 1 :


    戦士「悪かったなー。また、お前より先に死んじまったよ」

    勇者「気にするな、いつものことだろ」

    戦士「ああ……、え?」

    勇者「貴様は魔法耐性が低いからな。装備を対魔法用に整えなければ、すぐやられるのは当然だ」

    戦士「……?」

    勇者「加えて、素早さも低いから先手を取られやすい。体力以外もいろいろ鍛える必要があるだろうな」

    戦士「……???」

    勇者「なんだ、その顔は。俺の話が理解できたか?」

    戦士「なっ! 当たり前だろ! おれを馬鹿にすんなよ!」






    戦士「要は、いつかは魔王に勝てるってことだよな!? なっ!?」

    勇者「明らかに肝心なところが理解できてないぞ、貴様」

    32 = 1 :




      そうりょは じゅもんをとなえた!
      なんと! まほうつかいは いきかえった! ▼



    魔法使い「ふわぁ……。あら、勇者ちゃん。お早うー」

    勇者「お早う、魔法使い」

    魔法使い「ん? どしたの勇者ちゃん。いつもよりクールじゃない?」

    勇者(……勘が鋭いな。迂闊なことは言えなさそうだ)



    勇者「そうか? 気のせいじゃないか?」

    魔法使い「あー、なるほどねー。気のせいかー。あるあるそういうの」

    勇者(勘は鋭いが、深く考えるタイプではないようだな……)

    33 = 1 :


    魔法使い「にしても、この間の魔王戦惜しかったわねー」

    勇者「そうだな」

    魔法使い「んー、まだまだレベルが足りないのかしら?」

    勇者「レベルの問題でなく戦術の問題だ」

    魔法使い「……へ? どういうこと?」

    勇者「いままでの戦術は、基本力押しだったろ?」

    魔法使い「ん、まあね」

    勇者「力押しは、長期戦に弱いんだ。加えて、アイテム補充もぬるいから、すぐにやられる」

    魔法使い「ふーん……」

    勇者「戦術さえあれば、レベルが多少低くても、勝利できるはずなんだがな」

    魔法使い「…………」

    34 = 1 :


    魔法使い「……ねーねー、勇者ちゃーん」

    勇者(しまっ……、感づかれたか?)






    魔法使い「お腹空いたから、なんか食べに行こうよ」

    勇者「貴様、恐ろしいほどマイペースだな」

    35 = 1 :


    戦士「あー。そういえば、おれもなんか腹減ってきたなぁ」

    僧侶「あの、勇者様。もしよろしければ、私も少し休憩の時間がほしいのですが……」



    勇者(しかも、何故、みんな便乗してくるんだ……?)



    勇者(少人数精鋭だと、こういうのが当たり前なのだろうか……?)

    勇者(いままでずっと、軍や大人数を相手にしてたから、いまいち扱い方がわからん……)

    勇者(……だが、正体がばれないためにも、こいつらに合わせておいた方が無難な気がする)

    36 = 1 :


    勇者「……では、昼食がてらに、どこかへ食べに行くとするか」

    魔法使い「きゃっほーい! 勇者ちゃん、大好きー!」

    戦士「うーし、たらふく食うぞー!」

    僧侶「ありがとうございます、勇者様!」



    勇者「ところで魔法使い、志願したからには、どこか食べに行きたい店があるか?」

    魔法使い「ん? あたしに選ばせてくれんの?」

    勇者「『言いだしっぺの法則』というのは、よく聞く言葉だろ?」

    魔法使い「なるほどねー、勇者ちゃん優しいー」

    37 = 1 :


    勇者(まあ、法則云々より、どんな店があるか知らないからという理由が大きいが……)

    勇者(俺が知らないままに選ぶより、選ばせた方が自然だろう)

    勇者(人間の食物が、口に合うかは不安だが……、人間の飲食店に入るのは、初めてだから楽しみだな)

    勇者(…………♪)





    魔法使い「じゃあ、お昼は、勇者ちゃんのお家で決ーまりっ!」






    勇者「――なにっ!?」

    38 = 1 :


    戦士「おっ。いいねー、勇者の母上様の料理は最高だもんな」

    魔法使い「でしょー。あたしも最近食べてないから、無性に食べたくなっちゃって」

    僧侶「そういえば、近頃、勇者様のお母様に会ってませんからね」

    魔法使い「ねー。たまには息子さんのお顔も見せてあげないとねー」



    勇者「…………」



    勇者(……まずい、まずいぞ)

    勇者(交換初日から、勇者の肉親に顔を合わせる羽目になるとは……)

    勇者(この状態では、ぼろを確実に出さないという可能性はかなり低い)

    勇者(かといって、実の息子が、自分の家に帰りたくないと言いだすのも不自然だ)

    勇者(ここは、合わせるしか……、ないのか……?)

    39 = 1 :


    魔法使い「というわけで、勇者の家にレッツゴー!」

    戦士「おーーー!」

    僧侶「おーー、です!」

    勇者「…………」







    勇者(退屈しのぎに、勇者をやってみてはいるものの……)



    勇者(……なぜこんなにも早く、窮地が訪れるんだ?)


    40 = 1 :

    今日の分はここまでです。
    また来週来ます。

    41 :

    ふむふむ

    42 :

    これはいいwwww

    43 :

    魔王ピンチじゃねーかwwwwww

    45 :


     ~魔王城~


    側近「魔王様、魔王様」

    魔王「ぐがー」

    側近「起きてください、魔王様」

    魔王「ふごー」

    側近「……」



      そっきんは じゅもんを となえた!
      まおうは めをさました! ▼



    魔王「…ん、ふぁ……なに?」

    46 = 1 :


    側近「間もなく会議が始まります。準備してください」

    魔王「……へ?」

    側近「本日の議題は、北地区の魔物の配備と、西国の侵攻作戦です」

    魔王「え、あの……」

    側近「こちらが資料です。お着替えは、鏡台の前に用意しております。時間がないので、食事は後回しです」

    魔王「ちょ、ちょっと待って」

    側近「質問でしたら、手短にお願いします」



    魔王「えーと、君だれ?」

    47 = 1 :


    側近「……大分お疲れのようですね。よもや、側近の顔を忘れるとは」

    魔王「あっ、ああ! 側近か! いやあ、いつも御苦労!」

    側近「労いのお言葉ありがとうございます。魔王様もお疲れのようですし、会議は午後からに致しましょうか?」

    魔王「ああっ、そうだな! そうしてくれると助かる!」

    側近「かしこまりました。その様に手配します」



      そっきんは へやを でていった…… ▼



    魔王「……ふう、なんとかごまかせたみたいだぜ」






    側近(……今日の魔王様、すっごく変)

    48 = 1 :



      ~勇者の家~


    勇者「――あら」



    戦士「どうもー、お世話になってます」

    僧侶「こんにちはー」

    魔法使い「御邪魔しまーす」

    勇者「……」

    魔法使い「ほら勇者ちゃん、なに黙りこくってんのさ。挨拶、挨拶」

    勇者「あ、ああ……。ただいま……」

    勇者「ふふ、おかえりなさい」

    勇者「……」



    勇者(……つ、ついに来てしまった)

    勇者(こんなに緊張するのは、何十年ぶりだ……?)

    49 = 1 :


    勇者「それにしても、久しぶりに帰ってきてくれて、嬉しいわ」

    戦士「すんません、なかなか来れなくて……」

    勇者「ふふ。でも、それだけ忙しくしてるってことでしょ?」

    僧侶「え?」

    勇者「最近、魔王との戦いが大変なんですってね。王様から聞いてるわよ」

    魔法使い「ああ、王様から」

    勇者「この子はお父さんに似て、がんばり屋さんだから」

    勇者(…………)



    勇者「さあ、みなさん疲れてるでしょ? 今日は、うちで休んでってくださいな」

    50 = 1 :


    戦士「あ、いや。今日はそういうつもりではなくてですね」

    勇者「?」

    僧侶「その、誠に申し上げにくいんですけど……」

    魔法使い「勇者ちゃんのお家で、お昼御飯をいただきたいなーと思ったわけですよ」

    勇者「あらあら、そうだったのね。もちろん、お安い御用よ」

    戦士「ひゃっほー! ありがてぇ!」

    僧侶「ありがとうございます!」

    勇者「さて、みなさん何が食べたいですか? あまり手の込んだものは作れませんけど……」



    魔法使い「だってさ勇者ちゃん。久々の家だし、好物の一つでも頼んどきなよ」

    勇者(……!? お、俺が頼むのかっ!?)


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