元スレ魔王「おれと手を組め」魔法使い「断る」
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1 :
――魔王城
魔王「側近はいるか」
側近「は、ここに」
魔王「人間の町に降りる。お前も来い」
側近「畏まりました。しかし、なぜ人間の町へ?」
魔王「ああ。ついさっき面白いことを聞いてな」
側近「面白いこと、ですか?」
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2 = 1 :
魔王「勇者が殺されたらしい」
3 = 1 :
――人間界、宿場町
魔法使い「……もう夕方か」
魔法使い(朝からずっと走り回っていたんだな…)
僧侶「あっ、魔法使いさん!」タタタ
魔法使い「僧侶。なにか情報は?」
僧侶「ありません…戦士さんたちも同様らしく」
魔法使い「そうか…」
4 = 1 :
僧侶「わたし、まだ信じられません…。何故、勇者さまが…」
魔法使い「だな…」
魔法使い(宿近くの裏路地であんなにあっさりと……)
剣士「魔王が先手を打って刺客を寄越したんだろうよ」ザッ
魔法使い「剣士か。先手とはどういうことだ?」
剣士「力をつけられる前に殺したってことだ。深夜に勇者を呼び出して殺害したんじゃないか?」
魔法使い「しかし、剣は部屋に起きっぱなしだったが。呼び出されたにしては不用心だ」
剣士「なら、その時ちょうど散歩にでも出掛けてたんだろ」
魔法使い(無茶苦茶だな)
5 = 1 :
剣士「それに、見ただろ?あの勇者の身体をさ」
僧侶「う、うう…」
魔法使い「おい、剣士。少しは気を使え」
剣士「本当の事だろ――めちゃくちゃに切り刻まれていたじゃないか」
僧侶「ううう…」
魔法使い「なら何故、宿で寝ていた私たちを倒さなかったんだろうな。勇者を殺すついでにさ」
騎士「おいおい、魔法使い。しっかりしてくれよ」
騎士「魔王を倒せるのは選ばれた勇者、と剣だけだろ?」
6 = 1 :
魔法使い「ふむ…つまり私たちは倒すに値しないと判断されたわけか」
僧侶「そんな!」
騎士「命拾いしたってやつだが…くそ、胸くそ悪いな」
僧侶「勇者さま以外は脅威にすら見られてないなんて…」
剣士「残念だが、それが現実だ」
僧侶「……」
魔法使い「精神的にも疲れが溜まると良くない。宿に戻ろうか?」
7 = 1 :
剣士「そうだな…虚勢張ってバテても格好悪い」
僧侶「戻って、情報交換しましょうか」
剣士「だな」
魔法使い「……!」ピィン
僧侶「魔法使いさん?」
剣士「どうした?」
8 = 1 :
魔法使い「いや…少し気がかりなことが出来た。先に戻っていてくれないか」
僧侶「は、はぁ…分かりました」
剣士「いつ戻る?」
魔法使い「今日中には戻る」
魔法使い「明日になっても戻らなかったら警戒体制に入ってくれ」
剣士「ああ」
僧侶「…それ、いっしょに行ったほうが良いのでは?」
剣士「それで強めの敵に当たって三人仲良く全滅したら?」
9 = 1 :
僧侶「ぜ、全滅……」
魔法使い「まあ大丈夫だろう。僧侶を頼むぞ」
剣士「はいはい。僧侶には馬鹿みたいに優しいな」
魔法使い「……なあ、もう一度確認したいんだが」
剣士「ん?」
魔法使い「勇者は誰に殺されたんだと思う?」
剣士「誰って、だから魔王直属かなんかの魔物だろ」
10 = 1 :
僧侶「魔法使いさんは、何か他に考えが…?」
魔法使い「いや。まあなんだ、話し合いは後にしよう」
剣士「おう」
魔法使い「…戦士は個人行動を一番嫌がるからな。なんとか宥めておいてくれ」
剣士「ええー…あいつかなりピリピリしてるし、自分でなんとかしろよ」
魔法使い「憂鬱だ…。じゃあ、後で」
僧侶「ご幸運を……」
11 = 1 :
――町外れの森
魔法使い「……」
魔法使い(確かここらへんから弱めとは言え、魔力を感じたが……)
ピーヒョロロ-
魔法使い「鷹?」
魔法使い(向こうに誰か、居る…?鷹使いか?)
青年「……」ボソボソ
魔法使い(もしかしてあれは鷹と話しているのか?)
12 = 1 :
青年「おい、そこ」
魔法使い「……!?」ビク
青年「覗き見などと趣味が悪いな」
魔法使い「……申し訳ありません。悪気はないのです」ザッ
青年「ふむ、それは杖か。魔法を使用する者とみたが」
魔法使い「はい」
青年「ふん――なるほど、いいカモフラージュだ」
魔法使い(カモフラージュ…まさかな…)
青年「しかし何故魔力を魔力によって抑え込む?」
魔法使い「っ!」ギク
13 = 1 :
青年「どうした?おれはただ疑問を口に出しただけだ」
魔法使い「……まさか見破られるとは。高度技術を持った魔法使用者、でしょうか」
魔法使い(魔力を抑えてることなんて師匠以外には見破られなかったのに…)
青年「はは、不思議そうな顔をしているな」
魔法使い「?」
青年「まだおれの正体に気づかないのか?」
魔法使い「は――?」
青年「お前をここに招待したのはおれさ。勇者パーティーの一員、魔法使い」
14 = 1 :
魔法使い「!?」
青年「やはり話し合いをするには似ている系統同士がいいと思ってな」
魔法使い「似ている、だと?」
青年「おれもお前も、基本的には魔法を使うからさ」
魔法使い「…わざと魔力を放出させ、それに反応したものをここへ呼び出したというのか」
青年「その通り。――そっちの言葉使いのほうがいいな。新鮮だ」
魔法使い「……。一体あなたは誰だ」
青年「ふん、考えてみろよ」
魔法使い「――まさか、勇者を殺した犯人だとか」
青年「ならとうの昔にお前らは生きていないさ」
青年「それに、お楽しみは最後まで取っておくタイプなんだよ」
15 = 1 :
魔法使い「……」
青年「とはいっても、いつまでも黙っているのは性格は悪いな」ブォン
魔法使い(動作と詠唱無しに結界を!?)
青年「これで話を邪魔する雑魚はこない」メキメキ
魔法使い(頭から角が生えて……この姿は、まさか)
青年「なぁ、魔法使い。聞いたことはないか?」
魔法使い「……」
青年「ヒトに近いカタチをした、角の生えた魔物を。そして、魔物の上にたつ魔物の存在をさ――」
魔法使い「……――魔王か!!」
魔王「ご名答」ニヤリ
16 = 1 :
魔法使い(どうして気づけなかった――鷹から魔力が感じられる点で不自然だろう!)
魔法使い(不味い…私ごときが魔王になど勝てるわけもない)
魔法使い(ならばこの異変を他に伝えるしか…)ポゥ…
魔王「はっ、ダメダメだな。動作で何をするかがバレちまうだろ」パチン
フッ
魔法使い「魔法が…消えた…」
魔王「ま、座れよ。おれだって何も勇者なしのパーティーに止めを刺しに来た訳じゃない」
魔法使い(いつの間にか後ろに椅子がある)
魔法使い「…では、なにをしにきた」
魔王「ふん。なぁ魔法使い。お前は勇者がなにに殺されたか――知っているんだろ?」
17 = 1 :
魔法使い「……」
魔法使い「魔物だろう。あなた直属のな」
魔王「本気でそう思ってるのか、魔法使い」
魔法使い「……」
魔王「……」ニヤニヤ
魔法使い「魔王、あなたは相当最低な性格みたいだな」
魔王「これでも部下思いだがな」
魔法使い「…勇者の遺体に、魔法を使った形跡はなかった」
魔法使い「魔力をもったものの犯行なら、いくらか魔力が残るはずだ」
魔王「それで?」
18 = 1 :
魔法使い「全ての魔物は、微弱とはいえ魔力持ちだ」
魔法使い「魔力の痕を完全に消し去ることは私ですら不可能だ」
魔王「そうだな」
魔法使い「まとめると、《勇者から魔力は感じられなかった》」
魔法使い「《魔物は関わったものに魔力を残す》」
魔王「一種のマーキングだからな」
魔法使い「つまり、だ」
魔王「つまり?」
魔法使い「勇者を殺したものは、かなりの高度技術を持った魔法使用者か――」
19 = 1 :
魔法使い「それか、人間」
魔法使い「それも――あの勇者が剣無しで会う程に親しい関係の」
20 = 1 :
魔王「ほう?剣無しとは?」
魔法使い「私が見たかぎり、勇者は剣を非常に大切にしていた」
魔法使い「見知らぬ人間に呼ばれても手放して行くとは考えられない」
魔法使い「――だが、知り合いだったら?ある程度共に過ごした……仲間<パーティー>だったら?」
魔法使い「『散歩に行かないか。剣は重いだろうから置いていけばいい』」
魔法使い「そんな感じに言えば、多少は渋るものの勇者は置いていくと思う」
魔法使い「あいつはどちらかというと、話は聞くタイプだったからな」
魔王「ここまでの話に確証は?」
魔法使い「まさか、あるはずない。単なる私の不合理な妄想だ」
21 = 1 :
魔王「ふむ。では魔法使い、お前は犯人を見つけたいか?」
魔法使い「もちろんだ」
魔王「勇者のために?」
魔法使い「……」
『魔物は全て死ぬべきだ。そうだろう?』
『特に――』
魔法使い「ただの自己満足。身近に犯人がなんておちおち寝てもいられない」
魔王「ふん。じゃあこうしよう」
22 = 1 :
魔王「おれと手を組め」
魔法使い「断る」
23 = 1 :
魔王「何故だ」
魔法使い「魔王と犯人捜しなど意味が分からない」
魔王「敵と手を組むのがそんなに嫌か」
魔法使い「分かっているなら勝手に一人で探せ」
魔王「つれないな少年。――あ、いや少女か。すまんすまん、胸があまりにも慎ましいものだったのでつい」
魔法使い「―――魔王覚悟ッ!!」
ドゥンッ
24 = 1 :
なんちゃってミステリー(笑)
続く
25 :
貧乳魔法使いペロペロ
27 :
期待
確か少年は女性にも使えなかったっけ?
少女って言う方が一般的だと思うけど
28 :
――深夜、宿
魔法使い「ただいま…」フラッ
僧侶「ぼ、ボロボロじゃないですか!」
剣士「何があったし」
魔法使い「ちょっとな…自爆した…」
盗賊「めずらしい、普段はそんなことないのに?」
魔法使い「ちょっと気が高ぶっていてつい」
僧侶「治療しますから動かないで下さいね」キィィィン
魔法使い「ああ、ありがとう」
戦士「魔法使ァァァァい!!」バァン
全員「」ビクッ
29 = 28 :
魔法使い「なんだ、戦士。私は疲」
戦士「なんだじゃねぇ!どこほっついてたんだ、こんな時に!」
魔法使い「……すまなかった」
戦士「勇者が殺られたんだぞ!それなのに貴様は――」
魔法使い「悪いが、ここは宿で、今は深夜だ」クルリ
戦士「~~~!?」バタバタ
盗賊「いいなその杖?くれよ?」
魔法使い「あげるか。私の大切な商売道具なんだぞ」
剣士「お前らは一大事ってときに…」ハァ
僧侶「他のお客さんをこれ以上不安にさせてはいけません…静かに話しましょう」
魔法使い「そうだな」
30 = 28 :
盗賊「じゃあまず状況確認?」
僧侶「そうですね」
戦士「~~~!」バタバタ
魔法使い「小声なら出せるはずだ」
戦士「あ、本当だ。この野郎魔法使~~~~!」バタバタ
魔法使い「学習してくれよ…」
剣士「話進めていい?」
魔法使い「どうぞ」
31 = 28 :
剣士「――勇者は裏路地で発見された。裏路地といっても、まあまあ広いところだが」
剣士「そしてそれを通行人が見つけたのが雨月の18日。つまり今朝だ」
僧侶「そういえば、その通行人さんはどうなったんですか?」
剣士「ショックで寝込んでしまったそうだ」
盗賊「かわいそうに?」
魔法使い(第一発見者か…なにか他に情報を持っていないだろうか)
剣士「ここまでで、何か疑問は」
魔法使い「ん。勇者は昨日遅くまでどこに行っていたのか分かるか?」
僧侶「そういえば、昨晩異様に遅かったですよね」
32 = 28 :
盗賊「この町に来てから毎晩どっか行ってない?」
僧侶「そうですね。ふらりと」
剣士「ああ…それか。呆れるなよ……」ハァ
盗賊「なになに?」
剣士「聞き込みしてたら教えられたんだがな――」
魔法使い「」ゴクリ
剣士「アイツ、最近ずっと接待専門の酒場行っていたようだ」
戦士「……」
僧侶「えっ」
魔法使い「国から貰った金で遊びほうけていたのかあのバカは」
剣士「そして酒もしこたま飲んでいたとさ」
魔法使い(そう言われてみると勇者の部屋はすごい酒臭かったな…)
剣士「…なら、酔った勇者を倒すのは、普段より容易いものとなる」
33 :
戦士「む…なんだか、犯人が分かったみたいな話ぶりだな」
僧侶「はい。私たちが考えたのは、魔物の仕業かと」
剣士「魔王直属かなんかのな」
魔法使い「……」
魔法使い(…魔王に言い含められているだけかもしれないんだ)
魔法使い(幻想で人間の仕業だと、思い込まされていてもおかしくない)
魔法使い(あいつは私たちに仲間割れを起こさせるつもりなのだろうか)
盗賊「本当にそうかなあ?」
剣士「は?」
戦士「どういうことだ?」
盗賊「だってさぁぁ、なんでこんな時期に死なないといけない?」
34 = 33 :
盗賊「まだ旅が始まったばかりと言っても過言じゃないじゃん?」
戦士「数ヶ月は経ってるけどな」
盗賊「あと、魔王は歴代の“勇者”を墓場送りにしたんだろ?」
魔法使い「……」
盗賊「どうして早めに芽をつむ?あっちには相当な力があるのに?」
僧侶「実は勇者さんにすごい力を秘めていたから早めに始末したとか…」
盗賊「……」
剣士「……」
戦士「……」
魔法使い「……」
僧侶「…なんて」
35 = 33 :
魔法使い(むしろ最弱のほうだからなぁ)
戦士「まあな、俺も最初は思ったさ」
魔法使い(先代勇者の息子だから、“勇者”の血が流れているから)
剣士「死んだやつのことを悪くいいたくはないがな…」
魔法使い(それだけで、選ばれた――力ではなく血筋しか見ていない)
盗賊「先代“勇者”がすごすぎたんだよな?」
魔法使い(納得は出来なかったが…剣を持てるのは彼しかいなかったからしょうがない)
36 = 33 :
戦士「……」
剣士「…寝るか」
戦士「だな」
僧侶「もう日付も変わりましたしね…」
剣士「とりあえず明日、国に連絡しよう。あとは朝起きてからだ」
魔法使い「分かった」
僧侶「ではお先に」ペコ
魔法使い「おやすみ」
戦士「ほら勇……、あー…そっか、いないのか」
魔法使い「戦士…」
戦士「気にすんな。そんなヤワじゃないからな、俺は。じゃ」
盗賊「あ、戦士?すぐ寝る?」スタスタ
戦士「なんだよ」スタスタ
魔法使い「……私も寝る」
剣士「ああ。また明日」
魔法使い「また明日」
37 = 33 :
――宿部屋
キィ
魔法使い「ふぅ」ドサ
魔法使い「……」
青年「ここに一人とか豪勢だな」
魔法使い「!?」
青年「この宿は二人部屋しかないそうだから溢れたか?しかしぴったり六人のはずだが」
魔法使い「な、何でここに居る!?」
青年「もう忘れたか?おれは魔王だ。このぐらい余裕」
魔法使い「だからって人の借りた部屋でくつろぐなよ……」
青年「あ、分かった」
魔法使い「話を聞け」
青年「魔法使いお前、男って偽ってるだろ?」
38 = 33 :
続く
39 :
おつおつ
期待
40 :
ある意味主役である勇者が最初からいないのは新鮮
41 :
魔法使い「…ひとつ、言わせてくれ」
青年「なんだ」
魔法使い「順番というか、順序ってものを知っているか?」
青年「それがどうした」
魔法使い「私が女だと暴く前に今のセリフだろ。普通は」
青年「ふん。順序なんて意味のないものに付き合うほど俺は暇じゃない」
魔法使い(どうみても暇そうなんだけどな……)
42 = 41 :
青年「で、どうなんだ」
魔法使い「…ああそうだよ。私はパーティー内では男としている」
魔法使い「だいたい何故あなたは私の性別が分かった?それが不思議なのだが」
青年「簡単だ。軽く解析したら普通ヒトのオスにあるものがなかったからな」
魔法使い(いつ解析とかしたんだ?というより解析ってなんだ?)
青年「しかし迷ったぞ。なんせメスにあるはずの豊満なものも――」
ガッシャーン
43 = 41 :
僧侶『魔法使いさん!?大丈夫ですか!』ドンドン
魔法使い「あ、やあ…僧侶」ガチャ
僧侶「どうしたんですか今の音!それに何か話し声もしたような…」
魔法使い「寝ぼけていて。ちょっと今日は疲れてしまったみたいだ」
僧侶「え?そう…ですか。早く寝た方がいいですよ?」
魔法使い「いや、もう寝ていた」
僧侶「?」
魔法使い「……実は私、寝相が悪いんだ」
44 = 41 :
僧侶「まあ…」
魔法使い「秘密にしていたんだが…言わないでくれるか?恥ずかしいから」
僧侶「も、もちろんです!」
魔法使い「ありがとう。おやすみ、僧侶」
僧侶「おやすみなさい、魔法使いさん」
魔法使い「僧侶も早く寝た方がいいぞ。体力ないんだから」
僧侶「失礼です!」
魔法使い「ごめんごめん」
パタン
45 = 41 :
魔法使い「はぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
魔法使い(騙してごめん僧侶)
青年「あの少女にはおれの存在が気づけなかったみたいだな」
魔法使い「…隠れていたのか」
青年「面倒なことは嫌だからな」
魔法使い「彼女は治癒に特化しているんだ。その他は全然……」
青年「全然?」
魔法使い「…そういえば、あなたは敵だったな…」
青年「ふん。仲間の弱点は言いたくないか」
魔法使い「……」
青年「その勇者無しのパーティーでおれを倒しにいくなら言わないほうがいいな」
魔法使い「……ふん」
46 = 41 :
青年「話を戻すか。魔法使い、お前は自分を男だと認識させる魔法でも使っているのか?」
魔法使い「魔法など使わなくても、私は昔から男子に間違われていたんだ」
魔法使い「ボロをみせなければ誰も私のことなど女だと思わない」
青年「ふうん、なるほどな。やっぱ胸の大きさも関係しているんだろうか」
魔法使い「………」イラッ
青年「だが、風呂とかはどうしている?」
魔法使い「それは言うべきことなのか――」
鷹「」バサッ
47 = 41 :
魔法使い「あ、窓から鷹が」
青年「ご苦労。なにかあったか?」
鷹「いいえ」
魔法使い(喋ったよ)
青年「魔物のほうは何もなし、か。さておれらも戻るかな」スク
魔法使い「戻るって、どこへ?」
青年「向かいの宿だよ」
魔法使い「は?」
青年「寂しくなったらいつでもこい」シュンッ
魔法使い「誰が行くか!――……もういないし」
48 = 41 :
――青年の宿部屋
鷹「魔王さま」
青年「ん?」
鷹「このような質素な部屋でよろしいのですか?」
青年「いいんだよ。あまり高い部屋に何日もいたら怪しまれるしな」
鷹「ならよいのですが」
青年「それに…外は久しぶりだからな。どこであろうと楽しめる」
鷹「……前々代魔王様と前代魔王様があんなに早く引退しなければ、もう少し自由に」
青年「よせ。もう終わった話だ」
鷹「はい…申し訳ありません」
49 = 41 :
続け
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