のくす牧場
コンテンツ
牧場内検索
カウンタ
総計:127,062,863人
昨日:no data人
今日:
最近の注目
人気の最安値情報

    元スレ魔王「おれと手を組め」魔法使い「断る」

    SS+覧 / PC版 /
    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 :
    タグ : - 次スレ→1346245762 + - 魔王 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
    ←前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 次へ→ / 要望・削除依頼は掲示板へ / 管理情報はtwitter

    701 :

    幼き頃に半年に三回のペースで患っていた中耳炎のプロが通りますよっと

    大丈夫、鼓膜をメスで切って膿み出して消毒するだけだから
    慣れれば勝手に鼓膜も切れ目通りに破けてくれるしすぐ治る

    702 :

    幼き頃、月一ペースで鼓膜切開してたエキスパートが通りますよ

    昔は切開と耳を通す為の空気送りが主流でしたが(25年前の記憶)、
    最近は余り切らず、薬の服用で済ます耳鼻科も多いですよ

    余りにひどくて、扁桃腺除去手術までしたことあるけど、今は特に異常無くてよかた

    703 :

    メスで切るとか怖いわwww
    >>696だけど普通に機械の空気吸って投薬で治ったよ?

    704 :

    ちょっと男子ーやめなさいよー1が泣いちゃったじゃないー
    耳鼻科はお休みでした

    夜に投下です

    706 = 704 :

    ――魔王城通路

     魔王がついた時、すでに暴動は終わっていた。

    魔王「ご苦労だったな」

    ゴブリン「このぐらいなんでもありませんよ」

     ゴブリンの持つ棍棒とトロールの拳にはどろりとした液体が付着していた。
     壁や床がそこまで損傷していないところを見ると厳しい戦いではなかったようだ。
     メイド達は慣れた手つきで速やかに掃除、補修をしていく。

    魔王「生存者は?」

    ゴブリン「ふたりです。あ、あと人魚がそろそろ来ます」

    魔王「上々だ。いい部下を持った」

    ゴブリン「褒めても何も出ませんって」

    707 = 704 :

     トロールに押さえられている魔物を魔王は目を細めて見やる。
     金色の目からは思考が伺えない。

    ミノタウロス「魔王さま、来ていたんですね」

     ミノタウロスの肩に乗せられて人魚が来た。

    ゴブリン「…陸上げ」ボソッ

    人魚「鼓膜破るわよ」

    ゴブリン「それはやめて!」

    ミノタウロス「暴れるな、落ちるから」

     ゆっくりと人魚を暴動を起こした魔物の前に降ろす。
     尾ひれで床をぱしぱし叩きながら人魚は問う。

    人魚「分かってるわよね?覚悟は当然、してきたでしょ?」

    708 = 704 :

     ふたりの魔物はそれには答えず、ただ恨みのこもった目で見返すだけ。

    魔物α「……」

    魔物β「……」

     人魚はやれやれとため息をつき、こほんと咳払いをした。
     白魚のような細い指が魔物αの頬を優しく、強く包み込んだ。

    人魚「あなたが首謀者?」

     鈴のような軽やかな声。
     “人魚”の声は相手を惑わす。つまり、使い方によっては尋問時の武器となる。
     それが彼女が魔王に直直に仕える理由だ。
     人間のような足が生やせない代わりに声と魔法はずば抜けいる。

    709 = 704 :

    魔物α「チガう」

    人魚「じゃあ他にいるのね。誰かは分かる?」

    魔物α「ダイジン」

    人魚「それは誰?」

     それに答えたのは意外な人物だった。

    魔王「……そいつは人間だ」

    人魚「え?」

    ゴブリン「ん?」

    トロール「なんで魔王さまガ?」

    魔王「細かい事情は後だ。今は聞き出せるだけ聞いてくれ」

    人魚「は、はい」

     分かったことはふたつ。

     その『大臣』は魔物と人間、両方を引き連れていること。
     今、人間の国を掌握していること。

    710 = 704 :

    魔王「人間のところまでか。なんだか糸が見えんな」

    人魚「それは後で考えるとして……もういいですか?」

    魔王「ああ」

    魔物β「な、なにをするつもりだ!殺すなら早く――」ガタガタ

    魔王「焦るなよ。お望み通りにしてやるから」

     彼は暴君でもなければ慈悲深くもない。
     功績を残した部下にはそれ相応の褒美をやるし、
     逆に今回のようなことを起こした部下はしかるべき処置をする。

    魔王「人魚」

    人魚「はい」

     ふたりの魔物以外は耳が聞こえなくなった。魔王が魔法をかけたのだ。
     彼が頷くのを見て、人魚はすっと息を吸い、歌い出す。

     崩壊の歌を。

    711 = 704 :

    人魚「~~♪」

    魔王「……」

    人魚「~♪……」コク

     歌が終わった時、魔物αとβは口から泡を吹き、白目で死んでいた。
     魔法を解く。

    魔王「相変わらず、気持ち良さそうに歌うな」

    人魚「私たちにとって歌は命ですもの。例えどんな内容でも」

    ミノタウロス「それにしても、魔王さまならすぐに終わらせられたんじゃないんですか?」

    魔王「おれは基本的に散らかるからな。メイドに申し訳ない」

    メイド達「」オロオロ

    ゴブリン(変なところで気遣いするんだよなぁこの方…)

    712 = 704 :

    魔王「さてと。司書を呼んでくれるか」

    ミノタウロス「了解っす……人魚?」

    人魚「水、ミズをぉぉぉぉ……」ブルブル

    ゴブリン「やばい禁断症状が!」

    トロール「近くの水につけてこなくちャ」

    バタバタ ワアワア

    魔大臣「あれっ?」

    側近「全部終わってた」

    ゴブリン「今まで何してたん?」

    魔大臣「警戒措置をとらせるために城内を手分けして走り回ってた」

    ミノタウロス「うん、お疲れ」

    713 = 704 :

    ――街を抜けて

    戦士「人払いの結界は!?」ダッダッ

    魔法使い「抜けた!」タタタ
    戦士「だとするともう誰が敵か分かんなくなるな」

    魔法使い「攻撃してきたら敵だ」

    戦士「そんぐらい分かっとるわ馬鹿!もういっそ辺りを…」

    魔法使い「いいか、みだりに周りへ攻撃するなよ」

    戦士「なんでだよ、討たれる前に討たないと」

    魔法使い「この脳筋が。仕方がないだろ、一般人なんか攻撃してみろ」

    戦士「誰が脳筋だゴルァ」

    714 = 704 :

    魔法使い「大臣のやつ、嬉々として私たちを犯罪者に祭り上げるぞ」

    戦士「ぐっ」

    魔法使い「あまり敵は増やしたくないんだ」

    戦士「……じゃあ翼生やせよ。強くなれんだろ」

    魔法使い「あのな、混血狩りとかあるんだから。結果的には敵増やすだけだろ」

    戦士「なんかお前本当にめんどくさいな!」

    魔法使い「私がいいたいぐらいだ!」

    戦士「ちくしょう、恨むぞ大臣の野郎!」

    魔法使い「それには私も同意だちくしょうめ!」

    715 = 704 :

    ――人間の城の近く、酒場にて

    マスター「どうやら国王さまが捕まったらしい」

    「なんで?」

    「嘘だろ。平和じゃねーか」

    マスター「いや…風の噂なんだがな。真実かは知りゃせん」

    マスター「なんでもフードを被った女が『国王が危ない』と言いに来たそうだ」

    「どこに?」

    マスター「憲兵隊詰所」

    「だから最近せわしないのか」

    「季節外れのジョークだろ」

    ガタ

    マスター「帰るのかい」

    剣士「なんか、そういう気分じゃなくてな」

    716 = 704 :

    カランカラン

    剣士「いったい何が起きてるんだか…」

    剣士(いやに静かすぎるのも不気味だが)

    スタスタ

    剣士「ん?」ピタ

    フード「……」

    剣士(女、か?)

    剣士「ここは治安があまり良くないから出歩かない方がいいぞ」

    フード「今はそういうことも言ってられない状況なのです」

    剣士「え?」

    フード「」パサッ

    剣士「え、あ、あ、ああっ!?」

    僧侶「お久しぶりです、剣士さん」

    僧侶「さっそくで悪いのですが――どうか、助けてください」

    717 = 704 :

    続く

    718 :

    乙乙

    719 :

    おつ

    720 = 703 :

    乙乙!

    721 :

    おつおつ
    僧侶がどんなポジションなんだか気になるな

    722 :

    剣士「そ、僧侶……?」

    僧侶「はい」

    剣士「僧侶…」

    僧侶「そ、そうですよ。剣士さん?」

    剣士「」ポロッ

    僧侶「ええっ!?な、なにか失礼なことをしましたか!?」

    剣士「違うんだ…ただ、毎日しょうがないとはいえオッサンに囲まれてて…」ポロポロ

    僧侶「は、はあ」

    僧侶(確かどこかに所属しているんですよね、剣士さんは)

    剣士「鍛錬で汗臭い男と剣を交える日々…花のような芳しい香りなどあるはずもなく」グッ

    僧侶「」オロオロ

    723 = 722 :

    剣士「そんなところに来たのが僧侶!女神か!天使か!」

    僧侶(頭をやられてしまったのでしょうか)

    剣士「あの日以来何度教会に行こうとしたか…しかし邪魔になると思い行けず…」

    僧侶「き、基本的に来る人は拒みませんよ。お祈りの時以外は、いつでも」

    剣士「優しい…やっぱり優しいよ僧侶…」

    僧侶「…魔法使いさんには会わなかったんですか」

    剣士「だってあいつ絶対『悪いが愚痴には付き合わない』で終わるぞ」

    僧侶「…否定できません」

    724 = 722 :

    剣士「で、どうしたんだ?」

    僧侶「話が元に戻るまでずいぶんかかりましたね…」

    僧侶「出来れば、人のよらないところで話をしたいのですが」

    剣士「じゃあ、借りてる部屋があるからそこへ来るか?」

    僧侶「」カアッ

    剣士(しまった!男の部屋に女の子呼ぶとかどう考えてもアウトだろ!)

    僧侶「……剣士さんならいいですよ」

    剣士「」

    僧侶「元パーティーでしたし、信頼していますし…剣士さん?」

    剣士「」

    僧侶「立ったまま気絶していますね…」パシパシ

    725 :

    この時間にくるとは・・・

    726 = 722 :

    ――剣士の部屋

    剣士「今ランプに火をつけるから」シュボッ

    僧侶「はい」

    剣士「適当に座っていいよ。お茶持ってくる」

    僧侶「そんな…悪いです」

    剣士「いいからいいから」

    僧侶(すっきりした部屋ですね)キョロキョロ

    剣士「男の一人暮らしだからろくなもんねーけど」コト

    僧侶「ありがとうございます」

    剣士「で……なんだい?わざわざ遠くから来た理由は」

    僧侶「その前にひとつ」

    剣士「ん?」

    僧侶「この話を全て信じてくれませんか」

    727 = 722 :

    剣士「分かった。信じよう」

    僧侶「助かります」

    剣士「こっちからも一つ…憲兵隊のところに言ったのは、僧侶?」

    僧侶「……はい。しかしなかなか動いてくれないので、もう剣士さんしかいないと」

    剣士「そ、そんなにオレを頼られると困っちゃうなー」テレッ

    僧侶「話に入りますね」

    剣士「……ハイ」

    僧侶「まず、国王さま一家が捕らえられました」

    剣士「!」

    僧侶「もうお聞きですか?」

    剣士「ああ……でもなんで表向きはあんなに静かなんだ?」

    剣士「普通は『この国はおいらのだー』とか言うと思うが」

    728 = 722 :

    僧侶「ええ…普通は、その首謀者は大々的に公表するでしょうね」

    剣士「時期を見計らっていたりするのか?」

    僧侶「当たらずとも遠からず、です。まだ終わっていないのです」

    剣士「というと?」

    僧侶「この世界には大きく分けて王がふたりいるでしょう?『国王』と――」

    剣士「――『魔王』!?次は魔王を捕まえるつもりなのか」

    僧侶「単純な話、王をふたり倒せば人間と魔物、両方の王になれますからね」

    剣士「バカげてる…国王はともかく、魔王は強いんじゃ」

    729 = 722 :

    僧侶「現魔王は戦慣れをしていないと聞きます」

    剣士「というと…」

    僧侶「単体なら最強ですが、軍隊を組んで行動をしたことがないとか」

    剣士「そう言われればそうだな。魔王直直の戦争は最近ない」

    僧侶「不意打ちや罠には恐らく善処できないのではないか、と言われています」

    剣士「じゃあ…うまく行けば魔王も…」

    僧侶「…はい」

    剣士「そいつは誰なんだ?思い上がりも甚だしいそいつの名前は?」

    僧侶「…大臣さま、です」

    剣士「なっ!?」

    730 = 722 :

    僧侶「…わたしはあの人に近いため、このような話も多くされました」

    僧侶「大臣さまは今、自らの望みのために堕ちています」

    僧侶「もはやその姿は人間ではありません」

    剣士「……」

    僧侶「巻き込んでごめんなさい。でも、でも、この国は見えないところで危機に陥ってます」

    剣士「危機…」

    僧侶「わたしだけじゃもう……。どうか、国を…守ってください」

    剣士「――分かっ」

    バァン!

    剣士「!」ジャキッ

    大臣派兵「やっぱり裏切ったなぁ?この雌狐!」

    731 = 722 :

    僧侶「つけられていた…!?」

    大臣派兵「教会の人間のくせに尻が軽いな!…まあ」ジャキンッ

    大臣派兵「大臣さまのそばにいたてめーは前から気に入らなかったんだよ。ここで死ね」

    剣士「後ろに下がってくれ」

    僧侶「で、でも……」

    剣士(敵は五人、なかなかの強者に見える)

    剣士(しかもこの狭さだ。不利すぎる。だが、やるっきゃ――ないだろ)

    大臣派兵「行け!」

    大臣派兵A「ウオォォォ!!」

    剣士「くっ」ガキンッ

    732 = 722 :

    ザシュッ

    剣士「ひとり!」キィンキィン

    大臣派兵B「ひでぶぅっ」ザシュッ

    剣士「ふたり!っと――!?」

    大臣派兵C「足元がお留守だ!」

    剣士「うおっ」ドサッ

    僧侶「剣士さんっ!!」

    剣士「そ、僧侶!どけ、お前まで」

    僧侶「嫌です!」

    大臣派兵C「仲良く死―――あがっ」バタッ

    剣士「……え?」

    マスター「話は聞かせてもらった!!」

    剣士「なんでマスター……」

    733 = 722 :

    「おい剣士が羨ましいシチュエーションしてる」

    「ケッ」

    マスター「怪我はありませんか、お嬢さん」

    僧侶「は、はい」

    剣士「どうしてマスターがここに?」

    マスター「なんか変な奴いたから追いかけたらここに来た」

    剣士「運いいんだなオレ。ってか、マスター強かったんだ…」

    マスター「昔は騎士だったからな!酒が好きだから酒場を開いたが」

    剣士「っあー…なんかもう、ドッと疲れが」

    マスター「まだまだ夜は始まったばかりだ。お嬢さん、最初から話をしてくれないかな?」

    僧侶「え?」

    マスター「元は国に仕えていた身だ。国がピンチなら助けにいかないと」

    僧侶「マスターさん…」

    剣士「あれっ、これオレ空気?」

    734 = 722 :

    ――魔王城、会議室

    司書「……人間界の大臣ですか……」

    魔王「ああ。そいつの情報はあるか?」

    司書「……しばらくお待ちを……」フゥッ

    ミノタウロス「魔王さま。なぜ大臣とかってやつをご存知だったんですか?」

    魔王「…なんでだか大臣に嫌われてるやつがいてな。そいつから色々聞いたことがある」

    側近(まだ混血の差別は色濃い…わざとはぐらかされましたか)

    魔王「魔法を破る矢、魔法を使えるようになる薬。それらを開発したら張本人しい」

    735 = 722 :

    魔大臣「人間の技術力は底無しですね」

    人魚「なんで人間って魔法に憧れるのかしらね」

    トロール「なかなか手に入れられないからじゃなイ?」

    ゴブリン「憧れって怖い」

    司書「……魔王さま……」フゥ

    ゴブリン「で、でたァ――――!!」

    人魚「キャ―――――!!変態!!」

    魔大臣「うるさい」

    魔王「どうだった」

    司書「……外からは人格者、生真面目、忠誠心のある有能な人材……」

    ミノタウロス「そんな奴存在していたんだ…」

    人魚「でも裏があったじゃない。そんなもんよ」

    736 = 722 :

    魔大臣「人間の技術力は底無しですね」

    人魚「なんで人間って魔法に憧れるのかしらね」

    トロール「なかなか手に入れられないからじゃなイ?」

    ゴブリン「憧れって怖い」

    司書「……魔王さま……」フゥ

    ゴブリン「で、でたァ――――!!」ダキッ

    人魚「キャ―――――!!抱きつくな変態!!」

    魔大臣「うるさい」

    魔王「どうだった」

    司書「……外からは人格者、生真面目、忠誠心のある有能な人材……」

    ミノタウロス「そんな奴存在していたんだ…」

    人魚「でも裏があったじゃない。そんなもんよ」

    737 = 722 :

    司書「……ただ、親や生まれた場所、また城に勤めるまでどこにいたかは謎……」

    魔王「ふむ」

    司書「……なにか知られては都合が悪いらしく……」

    魔王「都合の悪い過去か。助かった」

    司書「……以上です。それでは……」フゥ

    ゴブリン「びびったぁー」ドッキドッキ

    人魚「びびりすぎ!しゃんとしなさいしゃんと!」

    側近「ああもうお前らは…」

    魔王(過去になにか罪を犯したのか?いや、ならとうに暴露されててもおかしくない)

    魔王(親すらも隠しているとなれば、可能性のひとつに――)

    738 = 722 :

    バッタァァン!!

    人魚「キャアアア―――!?」ダキッ

    ゴブリン「ウワアアア――――!?」ダキッ

    魔大臣「小心すぎるだろ」

    側近「メイド長か。どうした」

    メイド長「緊急。メイドが何人か突然倒れました。呪いの魔法かと」

    ミノタウロス「なぜ呪いにかかった?」

    メイド長「不明。今詳しいものに調査を以来しています」

    魔王「……そのメイドたち、暴動起こしたやつらの死体や血に触れたか?」

    メイド長「多分。――そこから呪いが?」

    魔王「あらかじめ仕込ませていたかもしれんな」

    739 = 722 :

    魔王「見に行く。案内を」

    メイド長「御意」

    魔王「お前たちはそれぞれすぐに動かせる兵の数を出しておいてくれ」

    側近「!」

    魔大臣「というと?」

    魔王「その大臣とやらがいつ何をやりだすか分からない」

    トロール「仲間呼ブ」

    ミノタウロス「こっちも」

    魔王「緊張はしておけ。最後まで何もなくてもだ」

    魔大臣・人魚・トロール・ゴブリン・ミノタウロス「了解!」

    740 = 722 :

    ゴブリン「あー!」

    トロール「やばイ」

    ゴブリン「棍棒でぶん殴っちゃったじゃん!」

    トロール「殴っタ」

    魔大臣「なんだって!?」

    人魚「妙ね。見た感じ呪いにはかけられてないみたい」

    側近「トロール族は昔から呪いには強いぞ。ゴブリン族は知らないが」

    トロール「良かっタ」

    ゴブリン「どうしようどうしよう」

    魔王「なにか異変を感じたら早く言え。死なないようにはする」

    ゴブリン「ぴぎゃー!」

    741 = 722 :

    ――魔王城通路

    魔王「メイド長は血には触れなかったのか?」

    メイド長「肯定。触れました」

    魔王「何か体調の違和感は?」

    メイド長「否定。ありません」

    魔王「ふむ。では何故爪を伸ばす」

    メイド長「不、明。あ、れ?からだ、の制御が、いきなり」カクカク

    魔王「どこかで操られてるか」

    メイド長「危険。魔王さま、逃げてくださいま――」ガク

    魔王「…ほう。意識までもか」

    メイド長「ハハ!はじめましてだな、魔王サマ」

    魔王「誰だ」

    742 = 722 :

    メイド長「そっちはもう首謀者が誰だか分かってるんじゃないか?」

    魔王「大臣とか言ったな」

    メイド長「大当たり。あいつらが吐いてるとは思っていたがね」

    魔王「何が目的だ」

    メイド長「そんなもの、あってないようなものだ。違うか」

    魔王「知らんな。呪いの魔法をかけたのも貴様か」

    メイド長「頼もしい私の部下だ。あれ、無理矢理解除すると死に至るからな」

    魔王「なに?」

    メイド長「人間界の城にご招待しよう。そしたら呪いも解こう」

    魔王「ふん。もっと上手い招待をするべきだな」

    743 = 722 :

    メイド長「いいのか?来なかったらお前の可愛い部下は酷い苦しみの中死ぬぞ」

    魔王「はん。三流の脅し文句か」

    メイド長「本気だ。お前みたいなたかだか百歳二百歳の若造にはまだ未経験だろうがね」

    魔王「……」

    メイド長「さぁ宣戦布告もすんだ。ああ、残念ながら私が呼んだのは魔王だけだから、」

    魔王「一人で来いってことだろう?そのぐらい予想できるさ」

    メイド長「なら話は早い。来いよ、じゃないと…」

    魔王「チョップ」ビシ

    メイド長「鈍痛。わたくしはいったいなにを?」

    魔王「何も。早く行こう、時間がない」

    744 = 722 :

    ――魔王城医務室

    医師「呪いです。無理矢理解除したら、命に関わるほど強力な」

    魔王「嘘ではなかったか」

    医師「はい?」

    魔王「なんでもない。こちらの話だ」

    医師「解決を急いでいますが……どうしたらいいものか」

    魔王「なんとかする」

    医師「魔王さま?」

    魔王「なんとかしてくる」

    745 = 722 :

    ――会議室

    側近「魔王さま!ゴブリンが!」

    魔王「…どうした?」

    トロール「いきなり倒れて…意識が戻らなイ」

    人魚「突然、突然に魔法が…巧妙な時限制の魔法だったみたいで…」

    魔王「昏倒の呪文か…おい、ゴブリン」

    ゴブリン「」

    魔王「起きろ。聞こえるか、起きろ」

    人魚「……っ」

    ミノタウロス「チクショウ…!」

    側近「……」

    魔王「…彼を医務室に。おれは出掛けてくる」

    側近「魔王さま、お一人で、ですか?」

    魔王「ああ」

    746 = 722 :

    魔王「兵は側近、魔大臣で指揮をしろ」

    側近「…は?」

    魔大臣「えっ?」

    魔王「もしも敵からおれの名前を出されても惑わされるな」

    人魚「魔王さま!?いったい何を!」

    魔王「なに、大切な部下たちに手を出されたお礼にいくんだよ」

    ミノタウロス「大切な部下って、え、」

    トロール「自分たチ?」

    魔大臣(な、なんか嫌な前触れのデレかただな…)

    魔王「ゴブリンの扱いは丁寧にな。お前らも無理をするな」

    人魚「……ま、待って下さい!なんで今、そんなことを…」

    魔王「なに、ちょっと遊びに行ってくるだけだ」バタン

    側近「魔王、さま…」

    747 = 722 :

    ――魔王城通路

    サキュバス「魔王さま!」

    魔王「サキュバスか。非戦闘員は安全な場所へ行け」

    サキュバス「どこにいくの!?どうして皆を頼らないの!」

    魔王「危険だ」

    サキュバス「あたしたちは喜んで危険に飛び込むわよ!」

    魔王「おれが良くない」

    サキュバス「あなたが優しいのよ!魔王はもっと残酷であるべきだから!」

    魔王「ふん。30年前、敵味方諸とも吹き飛ばしたおれが優しいと?」

    サキュバス「優しいわよ…優しくなかったら、孤児になったあたしを城にいれてくれなかった」

    748 = 722 :

    魔王「……そんなこともあったな」

    サキュバス「いかないで。事情はあるだろうけど――みんなを率いて戦って」

    サキュバス「お願い、一人で戦わないで」

    魔王「おれは一人じゃない。お前らがいるかぎりな」

    サキュバス「またそんな…」

    魔王「それに部下に手を出されたんだ。このまま黙っていられない」

    サキュバス「あなたは…優しくて、脆くて、鈍感」

    魔王「そうか」

    サキュバス「でもそういうところも好きなのよ、魔王さま」

    魔王「すまんな。他に、特別な相手がいるんだ」

    サキュバス「なら仕方がないわ。寝取りは嫌いなの」

    749 = 722 :

    魔王「でも気持ちは嬉しい」

    サキュバス「すっぱり断りなさいよ☆」

    魔王「じゃあ行ってくる」

    サキュバス「ええ。――ちゃんと帰ってきてね、お兄ちゃん」

    魔王「懐かしいな」

    サキュバス「あの頃は偉いひととは思わなかったからね~」

    魔王「じゃ」

    蝙蝠「トウッ」パタパタ

    魔王「皆によろしく伝えてくれ」シュンッ

    サキュバス「……」

    サキュバス「えっ、今なんかいた?」

    750 = 722 :

    続く


    ←前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 次へ→ / 要望・削除依頼は掲示板へ / 管理情報はtwitterで / SS+一覧へ
    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 :
    タグ : - 次スレ→1346245762 + - 魔王 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。

    類似してるかもしれないスレッド


    トップメニューへ / →のくす牧場書庫について