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    元スレ魔王「おれと手を組め」魔法使い「断る」

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    1 : 1 - 2012/06/16(土) 23:15:23.56 ID:QO5XfWZAO (+7165,+30,-100)
    ――魔王城

    魔王「側近はいるか」

    側近「は、ここに」

    魔王「人間の町に降りる。お前も来い」

    側近「畏まりました。しかし、なぜ人間の町へ?」

    魔王「ああ。ついさっき面白いことを聞いてな」

    側近「面白いこと、ですか?」


    SSWiki :http://ss.vip2ch.com/jmp/1339856123(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)
    2 : 1 - 2012/06/16(土) 23:16:27.50 ID:QO5XfWZAO (+87,+29,-32)




    魔王「勇者が殺されたらしい」




    3 : 1 - 2012/06/16(土) 23:16:53.05 ID:QO5XfWZAO (+95,+30,-66)
    ――人間界、宿場町

    魔法使い「……もう夕方か」

    魔法使い(朝からずっと走り回っていたんだな…)

    僧侶「あっ、魔法使いさん!」タタタ

    魔法使い「僧侶。なにか情報は?」

    僧侶「ありません…戦士さんたちも同様らしく」

    魔法使い「そうか…」
    4 : 1 - 2012/06/16(土) 23:17:56.33 ID:QO5XfWZAO (+95,+30,-164)
    僧侶「わたし、まだ信じられません…。何故、勇者さまが…」

    魔法使い「だな…」

    魔法使い(宿近くの裏路地であんなにあっさりと……)

    剣士「魔王が先手を打って刺客を寄越したんだろうよ」ザッ

    魔法使い「剣士か。先手とはどういうことだ?」

    剣士「力をつけられる前に殺したってことだ。深夜に勇者を呼び出して殺害したんじゃないか?」

    魔法使い「しかし、剣は部屋に起きっぱなしだったが。呼び出されたにしては不用心だ」

    剣士「なら、その時ちょうど散歩にでも出掛けてたんだろ」

    魔法使い(無茶苦茶だな)
    5 : 1 - 2012/06/16(土) 23:18:54.79 ID:QO5XfWZAO (+95,+30,-121)
    剣士「それに、見ただろ?あの勇者の身体をさ」

    僧侶「う、うう…」

    魔法使い「おい、剣士。少しは気を使え」

    剣士「本当の事だろ――めちゃくちゃに切り刻まれていたじゃないか」

    僧侶「ううう…」

    魔法使い「なら何故、宿で寝ていた私たちを倒さなかったんだろうな。勇者を殺すついでにさ」

    騎士「おいおい、魔法使い。しっかりしてくれよ」

    騎士「魔王を倒せるのは選ばれた勇者、と剣だけだろ?」
    6 : 1 - 2012/06/16(土) 23:19:46.79 ID:QO5XfWZAO (+95,+30,-86)
    魔法使い「ふむ…つまり私たちは倒すに値しないと判断されたわけか」

    僧侶「そんな!」

    騎士「命拾いしたってやつだが…くそ、胸くそ悪いな」

    僧侶「勇者さま以外は脅威にすら見られてないなんて…」

    剣士「残念だが、それが現実だ」

    僧侶「……」

    魔法使い「精神的にも疲れが溜まると良くない。宿に戻ろうか?」

    7 : 1 - 2012/06/16(土) 23:20:13.06 ID:QO5XfWZAO (+90,+30,-40)
    剣士「そうだな…虚勢張ってバテても格好悪い」

    僧侶「戻って、情報交換しましょうか」

    剣士「だな」

    魔法使い「……!」ピィン

    僧侶「魔法使いさん?」

    剣士「どうした?」

    8 : 1 - 2012/06/16(土) 23:20:53.08 ID:QO5XfWZAO (+95,+30,-90)
    魔法使い「いや…少し気がかりなことが出来た。先に戻っていてくれないか」

    僧侶「は、はぁ…分かりました」

    剣士「いつ戻る?」

    魔法使い「今日中には戻る」

    魔法使い「明日になっても戻らなかったら警戒体制に入ってくれ」

    剣士「ああ」

    僧侶「…それ、いっしょに行ったほうが良いのでは?」

    剣士「それで強めの敵に当たって三人仲良く全滅したら?」
    9 : 1 - 2012/06/16(土) 23:21:36.21 ID:QO5XfWZAO (+93,+30,-133)
    僧侶「ぜ、全滅……」

    魔法使い「まあ大丈夫だろう。僧侶を頼むぞ」

    剣士「はいはい。僧侶には馬鹿みたいに優しいな」

    魔法使い「……なあ、もう一度確認したいんだが」

    剣士「ん?」

    魔法使い「勇者は誰に殺されたんだと思う?」

    剣士「誰って、だから魔王直属かなんかの魔物だろ」

    10 : 1 - 2012/06/16(土) 23:22:31.47 ID:QO5XfWZAO (+95,+30,-98)
    僧侶「魔法使いさんは、何か他に考えが…?」

    魔法使い「いや。まあなんだ、話し合いは後にしよう」

    剣士「おう」

    魔法使い「…戦士は個人行動を一番嫌がるからな。なんとか宥めておいてくれ」

    剣士「ええー…あいつかなりピリピリしてるし、自分でなんとかしろよ」

    魔法使い「憂鬱だ…。じゃあ、後で」

    僧侶「ご幸運を……」
    11 : 1 - 2012/06/16(土) 23:24:21.01 ID:QO5XfWZAO (+95,+30,-56)
    ――町外れの森

    魔法使い「……」

    魔法使い(確かここらへんから弱めとは言え、魔力を感じたが……)

    ピーヒョロロ-

    魔法使い「鷹?」

    魔法使い(向こうに誰か、居る…?鷹使いか?)

    青年「……」ボソボソ

    魔法使い(もしかしてあれは鷹と話しているのか?)
    12 : 1 - 2012/06/16(土) 23:26:16.08 ID:QO5XfWZAO (+95,+30,-104)
    青年「おい、そこ」

    魔法使い「……!?」ビク

    青年「覗き見などと趣味が悪いな」

    魔法使い「……申し訳ありません。悪気はないのです」ザッ

    青年「ふむ、それは杖か。魔法を使用する者とみたが」

    魔法使い「はい」

    青年「ふん――なるほど、いいカモフラージュだ」

    魔法使い(カモフラージュ…まさかな…)

    青年「しかし何故魔力を魔力によって抑え込む?」

    魔法使い「っ!」ギク
    13 : 1 - 2012/06/16(土) 23:28:05.76 ID:QO5XfWZAO (+95,+30,-108)
    青年「どうした?おれはただ疑問を口に出しただけだ」

    魔法使い「……まさか見破られるとは。高度技術を持った魔法使用者、でしょうか」

    魔法使い(魔力を抑えてることなんて師匠以外には見破られなかったのに…)

    青年「はは、不思議そうな顔をしているな」

    魔法使い「?」

    青年「まだおれの正体に気づかないのか?」

    魔法使い「は――?」

    青年「お前をここに招待したのはおれさ。勇者パーティーの一員、魔法使い」

    14 : 1 - 2012/06/16(土) 23:28:55.02 ID:QO5XfWZAO (+95,+30,-181)
    魔法使い「!?」

    青年「やはり話し合いをするには似ている系統同士がいいと思ってな」

    魔法使い「似ている、だと?」

    青年「おれもお前も、基本的には魔法を使うからさ」

    魔法使い「…わざと魔力を放出させ、それに反応したものをここへ呼び出したというのか」

    青年「その通り。――そっちの言葉使いのほうがいいな。新鮮だ」

    魔法使い「……。一体あなたは誰だ」

    青年「ふん、考えてみろよ」

    魔法使い「――まさか、勇者を殺した犯人だとか」

    青年「ならとうの昔にお前らは生きていないさ」

    青年「それに、お楽しみは最後まで取っておくタイプなんだよ」
    15 : 1 - 2012/06/16(土) 23:32:32.54 ID:QO5XfWZAO (+95,+30,-157)
    魔法使い「……」

    青年「とはいっても、いつまでも黙っているのは性格は悪いな」ブォン

    魔法使い(動作と詠唱無しに結界を!?)

    青年「これで話を邪魔する雑魚はこない」メキメキ

    魔法使い(頭から角が生えて……この姿は、まさか)

    青年「なぁ、魔法使い。聞いたことはないか?」

    魔法使い「……」

    青年「ヒトに近いカタチをした、角の生えた魔物を。そして、魔物の上にたつ魔物の存在をさ――」


    魔法使い「……――魔王か!!」


    魔王「ご名答」ニヤリ
    16 : 1 - 2012/06/16(土) 23:33:25.62 ID:QO5XfWZAO (+95,+30,-159)
    魔法使い(どうして気づけなかった――鷹から魔力が感じられる点で不自然だろう!)

    魔法使い(不味い…私ごときが魔王になど勝てるわけもない)

    魔法使い(ならばこの異変を他に伝えるしか…)ポゥ…

    魔王「はっ、ダメダメだな。動作で何をするかがバレちまうだろ」パチン

    フッ

    魔法使い「魔法が…消えた…」

    魔王「ま、座れよ。おれだって何も勇者なしのパーティーに止めを刺しに来た訳じゃない」

    魔法使い(いつの間にか後ろに椅子がある)

    魔法使い「…では、なにをしにきた」

    魔王「ふん。なぁ魔法使い。お前は勇者がなにに殺されたか――知っているんだろ?」
    17 : 1 - 2012/06/16(土) 23:34:00.29 ID:QO5XfWZAO (+95,+30,-132)
    魔法使い「……」

    魔法使い「魔物だろう。あなた直属のな」

    魔王「本気でそう思ってるのか、魔法使い」

    魔法使い「……」

    魔王「……」ニヤニヤ

    魔法使い「魔王、あなたは相当最低な性格みたいだな」

    魔王「これでも部下思いだがな」

    魔法使い「…勇者の遺体に、魔法を使った形跡はなかった」

    魔法使い「魔力をもったものの犯行なら、いくらか魔力が残るはずだ」

    魔王「それで?」
    18 : 1 - 2012/06/16(土) 23:34:46.88 ID:QO5XfWZAO (+95,+30,-138)
    魔法使い「全ての魔物は、微弱とはいえ魔力持ちだ」

    魔法使い「魔力の痕を完全に消し去ることは私ですら不可能だ」

    魔王「そうだな」

    魔法使い「まとめると、《勇者から魔力は感じられなかった》」

    魔法使い「《魔物は関わったものに魔力を残す》」

    魔王「一種のマーキングだからな」

    魔法使い「つまり、だ」

    魔王「つまり?」

    魔法使い「勇者を殺したものは、かなりの高度技術を持った魔法使用者か――」

    19 : 1 - 2012/06/16(土) 23:35:31.44 ID:QO5XfWZAO (+90,+30,-32)





    魔法使い「それか、人間」


    魔法使い「それも――あの勇者が剣無しで会う程に親しい関係の」




    20 : 1 - 2012/06/16(土) 23:37:56.30 ID:QO5XfWZAO (+95,+30,-176)
    魔王「ほう?剣無しとは?」

    魔法使い「私が見たかぎり、勇者は剣を非常に大切にしていた」

    魔法使い「見知らぬ人間に呼ばれても手放して行くとは考えられない」

    魔法使い「――だが、知り合いだったら?ある程度共に過ごした……仲間<パーティー>だったら?」

    魔法使い「『散歩に行かないか。剣は重いだろうから置いていけばいい』」

    魔法使い「そんな感じに言えば、多少は渋るものの勇者は置いていくと思う」

    魔法使い「あいつはどちらかというと、話は聞くタイプだったからな」

    魔王「ここまでの話に確証は?」

    魔法使い「まさか、あるはずない。単なる私の不合理な妄想だ」
    21 : 1 - 2012/06/16(土) 23:38:30.21 ID:QO5XfWZAO (+95,+30,-100)
    魔王「ふむ。では魔法使い、お前は犯人を見つけたいか?」

    魔法使い「もちろんだ」

    魔王「勇者のために?」

    魔法使い「……」

    『魔物は全て死ぬべきだ。そうだろう?』

    『特に――』

    魔法使い「ただの自己満足。身近に犯人がなんておちおち寝てもいられない」

    魔王「ふん。じゃあこうしよう」

    22 : 1 - 2012/06/16(土) 23:39:29.78 ID:QO5XfWZAO (+89,+29,-12)
    魔王「おれと手を組め」

    魔法使い「断る」
    23 : 1 - 2012/06/16(土) 23:40:19.78 ID:QO5XfWZAO (+95,+30,-78)
    魔王「何故だ」

    魔法使い「魔王と犯人捜しなど意味が分からない」

    魔王「敵と手を組むのがそんなに嫌か」

    魔法使い「分かっているなら勝手に一人で探せ」

    魔王「つれないな少年。――あ、いや少女か。すまんすまん、胸があまりにも慎ましいものだったのでつい」

    魔法使い「―――魔王覚悟ッ!!」

    ドゥンッ

    24 : 1 - 2012/06/16(土) 23:40:47.68 ID:QO5XfWZAO (+56,+1,-15)
    なんちゃってミステリー(笑)
    続く
    25 : VIPにかわりま - 2012/06/16(土) 23:49:10.74 ID:/RR25Alvo (+19,+29,+0)
    貧乳魔法使いペロペロ
    26 : VIPにかわりま - 2012/06/17(日) 00:07:47.86 ID:GCZG34wIO (-12,+2,-2)
    期待
    27 : VIPにかわりま - 2012/06/17(日) 01:08:11.04 ID:zjviZEBx0 (+24,+29,-12)
    期待

    確か少年は女性にも使えなかったっけ?
    少女って言う方が一般的だと思うけど
    28 : 1 - 2012/06/18(月) 23:38:27.30 ID:QWoVgbLAO (+33,+30,-107)
    ――深夜、宿

    魔法使い「ただいま…」フラッ

    僧侶「ぼ、ボロボロじゃないですか!」

    剣士「何があったし」

    魔法使い「ちょっとな…自爆した…」

    盗賊「めずらしい、普段はそんなことないのに?」

    魔法使い「ちょっと気が高ぶっていてつい」

    僧侶「治療しますから動かないで下さいね」キィィィン

    魔法使い「ああ、ありがとう」

    戦士「魔法使ァァァァい!!」バァン

    全員「」ビクッ
    29 : 1 - 2012/06/18(月) 23:39:35.83 ID:QWoVgbLAO (+33,+30,-130)
    魔法使い「なんだ、戦士。私は疲」

    戦士「なんだじゃねぇ!どこほっついてたんだ、こんな時に!」

    魔法使い「……すまなかった」

    戦士「勇者が殺られたんだぞ!それなのに貴様は――」

    魔法使い「悪いが、ここは宿で、今は深夜だ」クルリ

    戦士「~~~!?」バタバタ

    盗賊「いいなその杖?くれよ?」

    魔法使い「あげるか。私の大切な商売道具なんだぞ」

    剣士「お前らは一大事ってときに…」ハァ

    僧侶「他のお客さんをこれ以上不安にさせてはいけません…静かに話しましょう」

    魔法使い「そうだな」
    30 : 1 - 2012/06/18(月) 23:40:04.14 ID:QWoVgbLAO (+33,+30,-92)
    盗賊「じゃあまず状況確認?」

    僧侶「そうですね」

    戦士「~~~!」バタバタ

    魔法使い「小声なら出せるはずだ」

    戦士「あ、本当だ。この野郎魔法使~~~~!」バタバタ

    魔法使い「学習してくれよ…」

    剣士「話進めていい?」

    魔法使い「どうぞ」
    31 : 1 - 2012/06/18(月) 23:42:56.81 ID:QWoVgbLAO (+33,+30,-179)
    剣士「――勇者は裏路地で発見された。裏路地といっても、まあまあ広いところだが」

    剣士「そしてそれを通行人が見つけたのが雨月の18日。つまり今朝だ」

    僧侶「そういえば、その通行人さんはどうなったんですか?」

    剣士「ショックで寝込んでしまったそうだ」

    盗賊「かわいそうに?」

    魔法使い(第一発見者か…なにか他に情報を持っていないだろうか)

    剣士「ここまでで、何か疑問は」

    魔法使い「ん。勇者は昨日遅くまでどこに行っていたのか分かるか?」

    僧侶「そういえば、昨晩異様に遅かったですよね」

    32 : 1 - 2012/06/18(月) 23:45:57.48 ID:QWoVgbLAO (+30,+30,-179)
    盗賊「この町に来てから毎晩どっか行ってない?」

    僧侶「そうですね。ふらりと」

    剣士「ああ…それか。呆れるなよ……」ハァ

    盗賊「なになに?」

    剣士「聞き込みしてたら教えられたんだがな――」

    魔法使い「」ゴクリ

    剣士「アイツ、最近ずっと接待専門の酒場行っていたようだ」

    戦士「……」

    僧侶「えっ」

    魔法使い「国から貰った金で遊びほうけていたのかあのバカは」

    剣士「そして酒もしこたま飲んでいたとさ」

    魔法使い(そう言われてみると勇者の部屋はすごい酒臭かったな…)

    剣士「…なら、酔った勇者を倒すのは、普段より容易いものとなる」
    33 : 1 - 2012/06/19(火) 00:05:06.57 ID:rz/v2xqAO (+33,+30,-138)
    戦士「む…なんだか、犯人が分かったみたいな話ぶりだな」

    僧侶「はい。私たちが考えたのは、魔物の仕業かと」

    剣士「魔王直属かなんかのな」

    魔法使い「……」

    魔法使い(…魔王に言い含められているだけかもしれないんだ)

    魔法使い(幻想で人間の仕業だと、思い込まされていてもおかしくない)

    魔法使い(あいつは私たちに仲間割れを起こさせるつもりなのだろうか)

    盗賊「本当にそうかなあ?」

    剣士「は?」

    戦士「どういうことだ?」

    盗賊「だってさぁぁ、なんでこんな時期に死なないといけない?」
    34 : 1 - 2012/06/19(火) 00:05:32.61 ID:rz/v2xqAO (+33,+30,-135)
    盗賊「まだ旅が始まったばかりと言っても過言じゃないじゃん?」

    戦士「数ヶ月は経ってるけどな」

    盗賊「あと、魔王は歴代の“勇者”を墓場送りにしたんだろ?」

    魔法使い「……」

    盗賊「どうして早めに芽をつむ?あっちには相当な力があるのに?」

    僧侶「実は勇者さんにすごい力を秘めていたから早めに始末したとか…」

    盗賊「……」

    剣士「……」

    戦士「……」

    魔法使い「……」

    僧侶「…なんて」
    35 : 1 - 2012/06/19(火) 00:07:57.17 ID:rz/v2xqAO (+33,+30,-125)
    魔法使い(むしろ最弱のほうだからなぁ)

    戦士「まあな、俺も最初は思ったさ」

    魔法使い(先代勇者の息子だから、“勇者”の血が流れているから)

    剣士「死んだやつのことを悪くいいたくはないがな…」

    魔法使い(それだけで、選ばれた――力ではなく血筋しか見ていない)

    盗賊「先代“勇者”がすごすぎたんだよな?」

    魔法使い(納得は出来なかったが…剣を持てるのは彼しかいなかったからしょうがない)

    36 : 1 - 2012/06/19(火) 00:17:01.58 ID:rz/v2xqAO (+33,+30,-133)
    戦士「……」

    剣士「…寝るか」

    戦士「だな」

    僧侶「もう日付も変わりましたしね…」

    剣士「とりあえず明日、国に連絡しよう。あとは朝起きてからだ」

    魔法使い「分かった」

    僧侶「ではお先に」ペコ

    魔法使い「おやすみ」

    戦士「ほら勇……、あー…そっか、いないのか」

    魔法使い「戦士…」

    戦士「気にすんな。そんなヤワじゃないからな、俺は。じゃ」

    盗賊「あ、戦士?すぐ寝る?」スタスタ

    戦士「なんだよ」スタスタ

    魔法使い「……私も寝る」

    剣士「ああ。また明日」

    魔法使い「また明日」
    37 : 1 - 2012/06/19(火) 00:24:55.82 ID:rz/v2xqAO (+33,+30,-122)
    ――宿部屋

    キィ

    魔法使い「ふぅ」ドサ

    魔法使い「……」

    青年「ここに一人とか豪勢だな」

    魔法使い「!?」

    青年「この宿は二人部屋しかないそうだから溢れたか?しかしぴったり六人のはずだが」

    魔法使い「な、何でここに居る!?」

    青年「もう忘れたか?おれは魔王だ。このぐらい余裕」

    魔法使い「だからって人の借りた部屋でくつろぐなよ……」

    青年「あ、分かった」

    魔法使い「話を聞け」

    青年「魔法使いお前、男って偽ってるだろ?」
    38 : 1 - 2012/06/19(火) 00:26:03.72 ID:rz/v2xqAO (+10,+22,+0)
    続く
    39 : VIPにかわりま - 2012/06/19(火) 00:27:05.26 ID:AcTEvwCSo (+11,+26,-2)
    おつおつ
    期待
    40 : VIPにかわりま - 2012/06/19(火) 12:27:37.06 ID:AYq/B4rK0 (+24,+29,-18)
    ある意味主役である勇者が最初からいないのは新鮮
    41 : 1 - 2012/06/23(土) 09:16:47.28 ID:GJnMgxMAO (+35,+30,-76)
    魔法使い「…ひとつ、言わせてくれ」

    青年「なんだ」

    魔法使い「順番というか、順序ってものを知っているか?」

    青年「それがどうした」

    魔法使い「私が女だと暴く前に今のセリフだろ。普通は」

    青年「ふん。順序なんて意味のないものに付き合うほど俺は暇じゃない」

    魔法使い(どうみても暇そうなんだけどな……)
    42 : 1 - 2012/06/23(土) 09:17:36.51 ID:GJnMgxMAO (+35,+30,-148)
    青年「で、どうなんだ」

    魔法使い「…ああそうだよ。私はパーティー内では男としている」

    魔法使い「だいたい何故あなたは私の性別が分かった?それが不思議なのだが」

    青年「簡単だ。軽く解析したら普通ヒトのオスにあるものがなかったからな」

    魔法使い(いつ解析とかしたんだ?というより解析ってなんだ?)

    青年「しかし迷ったぞ。なんせメスにあるはずの豊満なものも――」

    ガッシャーン
    43 : 1 - 2012/06/23(土) 09:18:23.61 ID:GJnMgxMAO (+35,+30,-91)
    僧侶『魔法使いさん!?大丈夫ですか!』ドンドン

    魔法使い「あ、やあ…僧侶」ガチャ

    僧侶「どうしたんですか今の音!それに何か話し声もしたような…」

    魔法使い「寝ぼけていて。ちょっと今日は疲れてしまったみたいだ」

    僧侶「え?そう…ですか。早く寝た方がいいですよ?」

    魔法使い「いや、もう寝ていた」

    僧侶「?」

    魔法使い「……実は私、寝相が悪いんだ」
    44 : 1 - 2012/06/23(土) 09:18:49.66 ID:GJnMgxMAO (+35,+30,-87)
    僧侶「まあ…」

    魔法使い「秘密にしていたんだが…言わないでくれるか?恥ずかしいから」

    僧侶「も、もちろんです!」

    魔法使い「ありがとう。おやすみ、僧侶」

    僧侶「おやすみなさい、魔法使いさん」

    魔法使い「僧侶も早く寝た方がいいぞ。体力ないんだから」

    僧侶「失礼です!」

    魔法使い「ごめんごめん」

    パタン
    45 : 1 - 2012/06/23(土) 09:20:24.30 ID:GJnMgxMAO (+35,+30,-143)
    魔法使い「はぁぁぁぁぁぁぁぁ……」

    魔法使い(騙してごめん僧侶)

    青年「あの少女にはおれの存在が気づけなかったみたいだな」

    魔法使い「…隠れていたのか」

    青年「面倒なことは嫌だからな」

    魔法使い「彼女は治癒に特化しているんだ。その他は全然……」

    青年「全然?」

    魔法使い「…そういえば、あなたは敵だったな…」

    青年「ふん。仲間の弱点は言いたくないか」

    魔法使い「……」

    青年「その勇者無しのパーティーでおれを倒しにいくなら言わないほうがいいな」

    魔法使い「……ふん」
    46 : 1 - 2012/06/23(土) 09:21:03.31 ID:GJnMgxMAO (+35,+30,-107)
    青年「話を戻すか。魔法使い、お前は自分を男だと認識させる魔法でも使っているのか?」

    魔法使い「魔法など使わなくても、私は昔から男子に間違われていたんだ」

    魔法使い「ボロをみせなければ誰も私のことなど女だと思わない」

    青年「ふうん、なるほどな。やっぱ胸の大きさも関係しているんだろうか」

    魔法使い「………」イラッ

    青年「だが、風呂とかはどうしている?」

    魔法使い「それは言うべきことなのか――」

    「」バサッ
    47 : 1 - 2012/06/23(土) 09:21:31.18 ID:GJnMgxMAO (+35,+30,-109)
    魔法使い「あ、窓から鷹が」

    青年「ご苦労。なにかあったか?」

    「いいえ」

    魔法使い(喋ったよ)

    青年「魔物のほうは何もなし、か。さておれらも戻るかな」スク

    魔法使い「戻るって、どこへ?」

    青年「向かいの宿だよ」

    魔法使い「は?」

    青年「寂しくなったらいつでもこい」シュンッ

    魔法使い「誰が行くか!――……もういないし」
    48 : 1 - 2012/06/23(土) 09:26:46.57 ID:GJnMgxMAO (+35,+30,-149)
    ――青年の宿部屋

    「魔王さま」

    青年「ん?」

    「このような質素な部屋でよろしいのですか?」

    青年「いいんだよ。あまり高い部屋に何日もいたら怪しまれるしな」

    「ならよいのですが」

    青年「それに…外は久しぶりだからな。どこであろうと楽しめる」

    「……前々代魔王様と前代魔王様があんなに早く引退しなければ、もう少し自由に」

    青年「よせ。もう終わった話だ」

    「はい…申し訳ありません」
    49 : 1 - 2012/06/23(土) 09:30:04.51 ID:GJnMgxMAO (+12,+22,-1)
    続け
    50 : VIPにかわりま - 2012/06/23(土) 10:01:28.46 ID:iPnP4QE8o (-8,+6,-2)

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