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    元スレ京太郎「合同合宿ですか?」

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    801 = 1 :

    誠子「いやー、須賀君がテトラポットに頭から激突していった時はさすがにどうしようかと思ったよ」

    京太郎「あはは、まさか俺も埠頭の先から海まであんな距離があるとは思いませんでしたよ」ダラダラ

    誠子「ところでまだ血、止まってないけど大丈夫?」

    京太郎「大丈夫大丈夫。こう見えて血の気は多いほうなんで」

    誠子「そっかそっか。でもおかげで大物が釣れて良かったよ。これは竿頭は須賀君に譲らないといけないかなぁ」

    京太郎「よしてくださいよ。俺はただ手伝っただけなんですから」

    ワー! キャー!

    オンナノコガー!

    京太郎「なんか騒がしいですね」

    誠子「なにかあったのかな?」

    京太郎「ちょっと見てきますね? すみませーん、なにかあったんですか?」

    晴絵「どうする。私が行くか? けど私まで溺れたら、誰が……くそっ情けない!」

    京太郎「先生? どうしたんですか?」

    晴絵「ああ、実は須賀君が海で溺れたらしくてそれは助けるために宮永さんが海に」

    京太郎「なにぃ!? 俺を助けるために咲が海に!?」

    言うが早いか、京太郎は荷物をその場に放り出し海へと駆け込んでいった。

    晴絵「あれ!? 須賀君!?」

    誠子「あの、先生。どうかしたんですか?」

    晴絵「あれあれ? 亦野さん?」

    誠子「はい、亦野ですけど?」

    晴絵「あれー?」


    つづく

    802 = 1 :

    シリアスとか書けるわけないじゃん(血涙)
    っとまぁやっぱヒロイン?枠は咲ちゃんだよね

    勢いで書いて見直しとかもほとんどしてないから出来のほどはお察しってことでひとつ

    それではまた

    803 :

    乙乙!

    804 :

    超能力ビーチバレー乙

    805 :

    やっぱりわた咲ちゃんがヒロインだよねっ!

    806 :

    久しぶりに咲ちゃんにスポットライトが当たるな

    809 :

    いや待て、溺れていたっぽい金髪はなんなんだ、誰なんだ。

    810 :

    あらたそのつかった技はまさかきょうけとーしきはなのか……?

    811 :

    (京ちゃん! 京ちゃん!!)

    咲は必死に泳いだ。

    泳ぎどころか、運動すら得意とはいえない自分だけどそれでもなお懸命に手足を動かした。

    けれど大自然のうねりの前に非力な少女一人の力など矮小に過ぎた。

    日が傾きはじめことにで海面が上昇し、波が高くなっていたのだ。

    しかし遂に、咲は水面のに漂うそれへと手をかけた。

    大切な人への思いが限界以上の力を発揮したのだ。

    「京ちゃん! 大丈、……え?」

    咲の掴んだそれは、幼馴染の少年でもなんでもなく単なるマネキンだった。

    デパートの服売り場で悠然と佇んでいる様などこにでもある人形。

    水難事故は誤報だった。

    安堵と、それを上回る虚脱感。全身の一気に抜けた。

    その瞬間、まるで悪意あるもののように迫る高波が咲の身体を頭上から飲み込んだ。

    812 = 1 :

    俺は咲の向かった方角に走り出し、波打ち際の水面を蹴り上げたところで急制動。

    視線を巡らせ、目当てのものを探す。

    あった。

    京太郎「すみません! それ貰っていいですか?」

    若い男女の女の方が手に持っていたものを指差す。

    「え? こ、これ?」

    それは飲みかけのペットボトルだった。

    俺は強く頷く。その剣幕に押されて、女はペットボトルを差し出してくる。

    手早く栓を外し中身をすべて地面に流す。そして再び栓をすると、それを握りしめながら駆け出した。

    後方からなにやら声が掛かるがすべて無視。

    京太郎(待ってろ咲!)

    海中を進み、足がつかなくなったあたりから泳ぎに移行。

    片手が塞がっているが、染谷先輩に習った古式立ち泳法を混ぜた泳ぎでなんとか進む。

    一秒でも早く。咲の許に!

    813 = 1 :

    先行していた咲の姿が高波に飲まれる瞬間が目に入る。

    焦る気持ちを精神力で抑え、なんとか距離を詰める。

    海上に潜水艦の潜望鏡のように出していた頭部を引き下げ、潜水に移行。海中に沈んだ咲の姿を探す。

    いた。少し流されたようだがおおよそ右手前方二時十三分の方向、目算で8メートル。

    俺は海水を掻き分け、身体を水平に移動。

    咲はまだ沈んで間もないため、辛うじて意識が残っているようで必死に手足をバタつかせている。

    ここだ。ここからがもっとも神経を使う作業となる。

    水難事故で最も恐ろしいのは二次災害だ。

    たとえば、よくありがちなケースとして溺れた子供を大人がすぐに飛び込んで泳いで助けに行く。っというのはよくある話だが、実はこれは最もやってはいけないことである。

    水に溺れた遭難者は基本的にパニック状態に陥っているため助けに来た救助者に必死にしがみ付こうとしたりして暴れるため、

    それによって救助者が逆に水に引きずり込まれまとめて溺れてしまうことになりかねないからだ。

    極論からいえば、遭難者が気を失ってから助けに行くのが安全なのだが生憎、目の前で苦しんでいる咲を放って置けるほど俺の気は長いほうではない。

    俺は手に持っていた500ミリリットルの空のペットボトルの感触を確かめる。

    本来なら1,5リットルのくらいの方がいいのだが仕方がない。っというかそもそも浮き輪なりなんなりを借りてくればよかった。

    やはり、自分で考えている以上に俺は冷静ではないらしい。

    814 = 1 :

    慎重に咲へと近付いていく。

    暴れる両手にぶつからない様に迂回しつつ、背中側に周り腰に腕を回す。

    鼻先を手の甲が掠める感触に鼻の奥が熱くなるが、懸命の堪えて海上を目指す。

    咲の左の肘が俺の脇腹を打つ。肺から気管支を抜けて呼気が抜けていき、俺たちよりも一足先に気泡が昇っていく。

    三半規管の混乱を押さえ込み脚で水を蹴ってさらに上昇。

    どうやら体力が限界に近いらしく咲の動きが次第に弱まってくる。

    ここで手にしていたペットボトルを咲の顎下に添える。

    これは所謂、『浮き』の役割で即席の救命具だ。

    海面の表面張力を突き破り、俺たちはなんとか海上へと顔を出した。

    貪るように酸素を吸い込む。口を開閉させ、肩を上下させながら全身で空気を取り込む。

    俺に抱きかかえられた咲は、一度大きくむせ返り鼻と口から海水を吐き出す。

    それから一呼吸置いて弱々しいながらもなんとか自力で呼吸していた。

    安堵の溜息。なんとか最悪の事態は回避できた。

    両手が塞がっているため、バタ足しかできないがそれでなんとか水を蹴って沖を目指す。

    815 = 1 :

    腕の中に納まる咲に目をやると、濡れた睫毛が微かに震える。

    「ん……あれ?」

    視界に靄がかかったように焦点が定まらず茫々と宙を泳いでいる。

    泳いでるのは俺なんだけどね。なんて冗句が浮かんでくるくらいには心身ともに回復してきた。

    いや、身体は疲れきっているが咲の無事がわかっただけでも俺にとっては活力元となる。

    京太郎「気付いたか?」

    「京ちゃ、え!? なんで?」

    京太郎「いいから、もうしばらく大人しくしてろ」

    「う、うん」

    いろいろ問い詰めたいんだろうが身体が疲れきっているため今は俺の言葉に従い口を噤む。

    問い詰めたいのは俺のほうだと言いたいが、俺もおしゃべりで無駄な体力の消耗は避けたい。

    突如発生した高波の身体が煽られる。

    816 = 1 :

    咲を放すまいと腕に力を込める。甲高い悲鳴。

    「ちょ、ちょっと! どこ触って!?」

    京太郎「どこも触ってねぇよ! いいから大人しくしてろ」

    またも波に飲まれそうになる。波濤が渦を巻き、俺たちに覆いかぶさって来る。

    「うひゃぁ!?」

    顔を真っ赤にしながら溺れかけていたとき以上の勢いで手足を暴れさせる咲。

    京太郎「バカ! だから暴れんなって!」

    「だって京ちゃんがぁ!?」

    再び左の脇腹に鈍痛。先程打ち付けられた部分と寸分違わず同位置に打ち込まれた。

    わざとでは断じてないだろうが、自分の運の悪さが腹立たしい。

    京太郎「落ち着け! なにもしない。もうすぐ陸だ、かっつ!?」

    俺の言葉はそこで途切れた。

    おわかりいただけるだろうか? 咲の脚が男の人体急所、即ち股間を正確の打ち据えた。

    全身を打ち抜く激痛。視界に火花が散る。尾?骨のあたりから力が抜くていく。

    普段の俺なら激痛に悶えるだけで済んだだろうが、いろいろ限界が来ていた俺に止めを刺すには十二分に過ぎた。

    817 = 1 :

    「あ、あれ? 京ちゃん?」

    事態が飲み込めない咲が、急に弱まった拘束に疑問を感じこちらを振り返ってくる。

    最早、返事を返すことすらできない。

    薄れ行く意識の中、目にしたのは泣きそうな顔の咲。

    ああ、そんな顔すんなよ。俺は大丈夫だから。

    視界の空が減り、減った分を水の青さが増していく。

    再び海中に沈んでいき、意識が暗黒へと混濁していった。

    頭が頭髪の先まで沈みきり、最後に掲げていた右手を誰から触れた気がした。

    818 = 1 :

    「京ちゃん!」

    誰だ?

    「京ちゃん!!」

    誰かが俺の名前を呼んでいる。

    暗闇が裂け、光が漏れ入ってくる。

    自分が目蓋を開きかけているんだと気付き、そのまま一気に開け切る。

    差し込む光量に、一瞬網膜が灼かれるがすぐに眼球が明度調整を行い、それに合わせて視界が戻ってくる。

    目の前にあったのは唇。

    小皺の見える鼻梁。

    シミの浮いた浅黒い肌。

    顎先にたくわえた髭。

    白んだ眉毛。

    禿げ上がった額。

    それらをパーツとしたどう見ても中年男性の顔面が俺へと迫った来る。

    京太郎「うわああああああああああああっ!?」

    その横っ面を盛大に殴り飛ばしてしまった。

    いや、だって……おえ、夢に出そう…………。

    「ほう? 元気そうじゃないか?」

    声とともに起き上がってきたのは、

    京太郎「大沼プロ!?」

    大沼「如何にも、ワシだ」

    京太郎「え、あれ? なんで大沼プロが?」

    大沼「決まっておるだろう。お前の貞操をいただくためだ」ジュルリ

    京太郎「」


    次回。
    【たった一人の最終決戦】

    819 = 1 :

    なんで俺こんなの書いてるんだろう(涙目)
    真剣な話これどこに需要があるんだろうな
    先にネタバレしとくとこの大沼プロは夢オチです。

    作中の京太郎の水難救助はあくまでフィクションですので
    リアルでは絶対に真似しないでください
    ただ、ペットボトルを救命具にするのは割と有用なので
    もしそういう場面に出くわしたら手段のひとつとして覚えておくといいかもしれません
    その場合は少しだけ水を入れてやると遠くに投げることが出来るのでそれも有用です

    それではまた

    820 :

    乙~
    大沼プロは夢オチで本当に良かった

    824 = 1 :

    クリスマスだし次回はちょっと脱線して
    全員性根が腐りきったソウル傾向最黒のブラッククリスマス特別編とか書こうかな

    825 :

    お、おう

    826 :

    ヴァジュリーラさんwwww
    去年もどっかの咲スレで見たような気が……

    827 :

    把握

    828 :

    本筋はいつになったら進むのか

    829 :

    いつ合宿が始まるのか

    830 :

    白い砂浜。青い空。微細な違和感。

    大沼「ははは、これー! 待たんかー!」

    京太郎「来るなああああああああああああああああっ!?」

    追いかけて来るホモ(中年)。

    なに? なんなの!? なんで俺がこんな目に合ってるの!?

    大沼「聞けぃ小僧!」

    京太郎「っ!?」

    先程の猫撫で声とは違う大沼のおっさんの突然の恫喝に思わず立ち止まる。

    大沼「今、お前は死の危機に瀕しておる」

    京太郎「どういう、ことだ?」

    大沼「ここは此岸と彼岸の境界。言わばお前さんが見ておる明晰夢のようなものだ」

    831 = 1 :

    京太郎「明晰夢?」

    確か、見ている本人が夢を夢と自覚しながら見る夢のことだったか?

    メカニズムとしては思考、意識、長期記憶などに関連する前頭葉が海馬と連携して覚醒時に入力された情報を整理する前段階において、

    前頭葉が半覚醒状態のために起こるとかどうとか。

    言われてなるほどと思う。

    身体を取り巻く鉛が纏わりついているような、独特の身体感覚のおかしさは夢の中のそれだ。

    大沼「お前は今、海で水難事故に遭い生死の境を彷徨っている」

    京太郎「……」

    そうか、俺は俺を助けようとして海に飛び込んだ咲を追ってなんやかんやあって咲に……。

    あの野郎。

    大沼「日本とシアトルでは救命率がまるで違う。なぜかわかるか?」

    京太郎「?」

    大沼「日本の救急車はたとえば、緊急の走行中に目の前に別の車両が現れるとブレーキを踏む」

    大沼「だがシアトルの救急車はノーブレーキで突っ込んでくる。だから皆、臆して救急車を避けるから日本とシアトルでは救命率がまるで違う」

    832 = 1 :

    京太郎「? それとこの状況とどんな関係がある?」

    大沼「…………ないな」

    京太郎「……」

    なぜ俺の周りには会話の前と後で論点がおかしい人間ばかりなのだろうか。

    類は共を呼ぶ。ではない。っと思う……たぶん、きっと……。

    大沼「ははは、すまんすまん」

    大沼のおっさんは照れたように頬を掻きながら笑う。

    京太郎「やめろ。中年のおっさんの照れ笑いを微笑ましいと思えるような奇特な趣味はないんだ」

    大沼「貴様の引き締まった臀部を撫で回しながら、その菊門にワシのいきり立ったイチモツを捻じ込m」

    京太郎「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!?」

    おっさん(ホモ)の汚らわしい腐れ妄想を俺の絶叫が打ち消す。

    833 = 1 :

    京太郎「とにかく、そういうことなら俺は帰らせてもらうぜ」

    踵を返しその場を後にしようとする。

    明晰夢は見るのは難しいが覚めるの簡単だと聞く。このおっさんとの物理的な距離は関係ないが、なんとなくこの場にはいたくない。

    大沼「帰ってどうする?」

    京太郎「なに?」

    大沼の挑むような声に、俺はつい振り返ってしまった。

    大沼「帰ったところでお前に居場所はあるのか?」

    大沼「すべての人間は部品だ。その部品が組み合わされことで世界が成立している」

    大沼「だが、お前はどうだ? 物語の主筋に関わらない。人数合わせの背景役の一人でしかないお前があの場に戻ってそれにどれ程の価値があるのだ?」

    834 = 1 :

    大沼の言葉に俺は打ちのめされていた。

    確かにその通りだった。咲たちが輝かしい栄光をと賛美を浴びる一方で俺は県大会初戦敗退という、なんの価値もない結果しか残せなかった。

    初心者だから、などという言葉は言い訳にもならない。

    結果がすべてなのだ。努力した人間すべてが評価されるなどそんなことはありえない。

    大沼「戻ったところで辛いだけだ。ならこの場に留まり、ワシと肉欲の限りを尽くすほうが建設的だ」

    その言葉はまるで甘露のように俺の身の内に甘く染み込んでくる。

    そうなのだろうか? そうすることが正解なのだろうか?

    『京ちゃん』

    弾かれたように顔を上げる。

    中空に気泡が浮かんでいた。その内側には懐かしい思い出たちが投影されていた。

    835 = 1 :

    京太郎「悪いなおっさん。やっぱ俺は帰らなくちゃいけないみたいだ」

    大沼「ほう?」

    京太郎「俺が側にいないとさぁ、咲が泣いちまうんだよ!」

    大沼「だが、そうかといってお前を帰すとでも思っているのか?」

    話を最後まで聞かず、俺は砂利を蹴り立てて前方へ疾走。

    京太郎「こういうわけのわからない状況ってのは、大体その場に現れた奴をぶっ飛ばせば目が覚めるって規約というか相場があるよな!」

    一気に間合いを詰め、互いの殺傷圏が衝突。

    身を捻りながら背中から肉薄。身体ごと旋回させ右足を軸に裂帛の回し蹴りを叩き込む。

    だが大沼は数歩横に移動しただけで俺の蹴りを躱す。

    左に上体が流れたその勢いを利用して、地を舐めるよな下段からの右拳の打ち上げを大沼は状態を逸らしただけで難なく回避。

    詰め寄った大沼が俺の眼前に掌を翳し、視界を封殺。反射的に動きを止めた俺の右側頭部に、そのまま裏拳が打ち込まれる。

    さらにその動きに合わせて、砂利に踏み締めていた俺の軸足を捌く。

    空手における禁じ手の一つで、頭部を左側、軸足を右側に弾くことで視界と身体が半回転。

    このままでは垂直に頭から地面に落ちる!? ……ことはなく上下を逆さまにされたまま足を掴まれ宙吊りの状態にされる。

    見上げる俺の決死の視線と、大沼の余裕の笑みが絡み合う。

    そのまま背後へ放り投げられた。空中で内臓が浮く感覚に全身が総毛立つ。

    836 = 1 :

    懸命に身を捻り、両手両脚で砂浜を削りながら手負いの四足獣の姿勢で急制動。

    視線の先。大沼秋一郎はただ悠然と佇んでいた。

    その余裕の態度が癪に障る。

    体勢を立て直し、爪先で間合いを詰めながら接近。相手の呼吸に合わせ不意を突いて加速。

    颶風を纏いながら疾駆。再び拳と蹴りの旋風を見舞ってやる。

    だが大沼はそのすべてに反応し、完璧に対応して見せた。

    京太郎「はぁ……はぁ…………」

    俺の方だけが一方的に消耗していた。

    大沼「わかったろう? お前は現実でも夢でも誰にも勝てない。指一本触れることもできず、ただ敗北に打ちのめされるだけだ」

    837 = 1 :

    どうする? 小技で攻めてもすべて対処される。

    となれば対処しきれない程の飽和攻撃で一気に攻めきるしかない。

    あれをやってみるか。

    背筋を伸ばし、深く息を吸い込む。咲、俺に力を貸してくれ。

    京太郎「確かに、俺にはこれといって秀でた才能はないし、英雄のような勇ましさも賢者のような賢明さも聖人のような高潔さもない」

    京太郎「けどなぁおっさん。そんな平凡な俺のくだらない冗句を笑ってくれる奴が俺の周りにはたくさんいるんだ」

    京太郎「そんな奴らが夢の為に懸命に戦ってきた。俺はずっとそれを側で見てきた」

    京太郎「俺はこれからもそいつらの手助けをしてやりたい。俺にしか出来ないことだってあるはずだ」

    京太郎「そういう在り方ってのも、意外と悪くないもんだぜ?」

    憮然とした態度で黙っていた大沼の目がはじめて驚愕に見開かれる。

    もう遅い。俺のくだらないおしゃべりに気を取られていたお前はすでに俺の術中に嵌っている。




    BGM:http://www.youtube.com/watch?v=-z0BaKefOyw

    838 = 1 :

    大沼秋一郎を中心に周囲を、半球状の霞が満ちている。

    雲は膨大な数の俺自身。半球内部に向け拳と視線を向けていた。

    しかし数を数えようとすると不可能になる。その姿は見えるようで見えないという不可思議な光景。

    大沼「なんだ、これは?」

    大沼は須臾と、退くか進むか逡巡した。その一瞬が致命的となった。

    大沼を包む雲から無数の須賀京太郎が同時に疾走。

    迫る俺たちを迎え撃とうと拳や蹴りが放たれるがどれ一つとして捉えられない朧がかった霞の群れ。

    無理に迎撃しようとして、体勢の崩れたプロ雀士の身体に俺は打撃の旋風を打ち込んでいく。

    顎下、左右のこめかみ、右頬、首、両肩、右上腕部、左前腕部、右手首、左胸、鳩尾、両脇腹、両太股、両脛、足払いを決めつつ、最後に眉間を打ち抜く。

    傾斜していた大沼の身体は後方へ大きく吹き飛んでいった。

    839 = 1 :

    不確定性原理によって運動が決定された身体は位置が定まらなくなり、存在する場所を確率でしか現せない粒子の雲となる。

    本来なら、身体が対象に接触する確率の総和が時間的に変化しないことを、確率の保存が保証し空間内の確率密度の総和も必ず1となるしかない。

    だが、身体が位置rに存在する絶対確率を表す方程式を操作し、確率密度の総和を1以上の膨大な数に引き上げてやることで数え切れないほどの須賀京太郎を並行的に同時存在させる。

    限定空間内の、自らの意思でコントロール可能な明晰夢という、物理法則が一定に機能しない世界だからこそ出来る芸当。

    量子を身体に置き換えて確率保存を破るため、打撃が刺さる瞬間までどの俺も決して捉えることは出来ない。

    早い話が分身の術だ。須賀京太郎は分身する。これは世界の共通認識。なーんつってつっちゃって。

    大切な人たちを護るためと教わっていたが、現実では扱えないと放棄していたがまさかこんな形で役に立つとはな。

    京太郎「けどまだまだ、ハギヨシさんの様にはいかないな」

    小さく呟きつつ、警戒心を緩めないよう心掛けながら大沼へと歩み寄る。

    840 = 1 :

    大沼「まさか、こんな姑息な手に引っ掛かるとはな」

    京太郎「の割には、どこか満足気なのは気の所為か?」

    大沼「行くのか?」

    京太郎「………………ああ」

    大沼「この先、お前自身が報われる保障などどこにもないぞ?」

    京太郎「それでもだ。生きる意味や理由付けなんて暇人の思考遊びだ」

    京太郎「俺はポンコツの世話で忙しいんだ。一々そんなことを気にしてる暇はないよ」

    大沼「そうか」

    京太郎「…………ありがとな、おっさん」

    大沼「礼などいらん。ああ、だが一つだけ心残りがあるとすれば……」

    京太郎「?」

    大沼「貴様との腐肉の饗宴を開けなかったこ、ったぶぁわっ!?」

    ふざけたことをのたまう中年ホモの顔面を盛大に踏み付けて黙らせ、今度こそ俺はこの世界から抜け出すことにした。

    周囲を取り巻いていた風景が歪み、それに代わって網膜を灼く莫光が視界を埋め尽くす。

    身体が引き上げられるような浮遊感。目を開けていられない様な閃光の中で俺はあの、懐かしい笑顔と声を感じた。

    841 = 1 :

    急激に意識が覚醒する。

    見開いた視界に、白い肌。茶色がかった前髪と、瞑られた目蓋の縁の睫毛が意外と長いなと、どうでもいいことに気付いた。

    口元に粘膜の感触。合わされた口腔から、肺腑に息が送り込まれてくる。

    内側に苦痛が生まれる。

    込み上げてくる不愉快な嘔吐感とともに、胃の中から海水が競り上がってくる。

    激しく咳き込みながら、身を捩って水を吐き出す。

    鼻と口を手の甲で拭いながらようやく一息ついた。

    状況に混乱しつつ、周囲を見回す。

    俺を取り囲むように、学校の面々が俺を見下ろしていた。

    俺はゆっくりと上体を起こす。

    傍らに座り込んでいた咲と目が合った。

    「京、ちゃん……」

    京太郎「咲……」

    「京ちゃん! よっかたよかったよぉ、京ちゃぁぁん!」

    弾かれたように縋り付いてくる咲を抱きとめる。その身体の熱さが、俺が生きているということを実感させた。

    しゃくり上げる咲の背を優しく撫でる。

    京太郎「お礼を言うのは俺の方だ。咲は俺の命の恩人だ」

    咲は無言で首を振る。俺は背を撫でていた手を咲の頭に置く。

    京太郎「本当に、本当に助かった。もう少しで……」

    死に掛けている間に見た夢の内容が脳裏にフラッシュバックする。

    目尻に熱い雫が溜まり、零れ落ちて頬を伝う。

    京太郎「怖かった……ホモに追いかけられる夢見ちゃった……」


    全員「マジ泣きだ……」

    みんなの声が妙に優しかった。

    842 = 1 :

    新年明けましておめでとうございます。
    まだまだ寒さが厳しい日々が続きますが皆様いかがお過ごしでしょうか?
    わたくしは、近頃……なんだろうな?
    そういえば最近友人にせがまれてモンハン4を買いました。はい。

    酷いなこれ…
    SSを書いてて辛いと思ったのは今回が初めてです
    皆様勘違いしちゃダメですけどこれらはすべてギャグですのでお間違いなきよう

    それではまた

    844 :

    乙です

    845 :

    お、おぅ…

    847 :

    お、乙・・・

    848 :

    新年一発目の更新だからとおもって来て見れば……
    書いてる本人が笑えない、辛いと思うギャグを披露する必要性をまるで感じないんだけどなぁ……スベリゲイというやつだろうか

    849 :

    んー、面白いつまらない以前に、誰にも要求されてないのにどうしてこういうネタを書こうと思ったの?>>1の考えが分からないからどうにも感想が言えない。書いてて辛かったなんて言われたら本当に誰も得をしてない。この投下にはどういう意味があったの?これからの展開に関わるの?

    850 :

    >>849
    わざわざ言う必要がなくね


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