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    元スレ真美「はるるんのリボンを取ったら動かなくなった」

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    451 = 421 :

    春香「ところでさっき、いったんもめんから不可思議な発言があった気がする」

    千早「何かしら、チン毛散らし?」

    亜美「千早お姉ちゃんは、生粋のやよいスキーじゃなかった?」

    真美「むしろ千早お姉ちゃんの中では、宇宙=やよいぐらいの勢いだよね」

    千早「ああ、そのことね」

    伊織「今のでわかるんだ」

    千早「実は先日、高槻さんのお家にお邪魔したのだけど」

    やよい「ホントに邪魔でした」

    亜美「やよいっちが音もたてずに部屋に入ってきた」

    真美「冷蔵庫の中にでも隠れてたんだ」

    春香「これからやよいを妖怪・餓鬼と呼ぼう」

    伊織「」ブチブチッ

    春香「」バターン

    亜美「今度はいおりんが強硬策に出た」

    真美「逆鱗に触れちゃったんだね」

    453 = 421 :

    千早「餓鬼って冷蔵庫の中に住んでるのかしら?」

    亜美「現代に存在してたら、そんな感じじゃない?」

    真美「てか千早お姉ちゃんは怒らなくていいの?」

    千早「ぽっこりお腹の高槻さん……か、かわいいいィィィッッ!!」ハァハァハァ

    亜美「ダメだこりゃ」

    春香「う、うーん……」

    真美「既にはるるんの頭が、リボンを中心に半分くらい縮れ毛で覆われている」

    亜美「チン毛頭だね」

    「おそろいですね、春香さん!」ドゴーン

    真美「愛ぴょんが音もたてずに部屋に入ってきた」

    伊織「いや、かなり大きな音がしたわよ。壁を砕く音が」

    千早「残念だけど、日高さんの頭はチンコ頭であって、チン毛頭とは似て非なるものよ」

    「そうなんですか、私の早ちんちんとりでした!それじゃ帰ります!」バリーン

    亜美「窓を突き破って出て行った」

    伊織「コイツらはドアというものを知らないのかしら」

    春香「愛ちゃんは何と言いたかったんだろう」

    やよい「多分『早とちり』だと思います」

    454 = 421 :

    千早「話を戻すわ」

    真美「千早お姉ちゃんが高槻家の団らんを邪魔しに行ったときのことだね」

    千早「今まで気づかなかったのだけど、高槻さんにはかすみという妹がいてね」

    亜美「うわぁ」

    春香「踏み込んではいけない領域に踏み込んだよ」

    やよい「ペッ」ビチャ

    伊織「や、やよい!?」

    千早「高槻さんが私の顔に唾を……これがツンデレというやつなのね!」

    真美「千早お姉ちゃんがツンデレをはき違えてる」

    千早「高槻さんの唾の匂いが……イイイイィィハァァァァァンンッッ!!」ドロドロ

    春香「人間が踏み込んではならない領域に踏み込んだよ」

    亜美「もう何度目だろうね」

    455 = 421 :

    伊織「そんな……やよいがツンデレだなんて……」

    真美「いおりんもツンデレをはき違えてる」

    春香「今までの伊織の種々の言動は一体なんだったんだろう」

    亜美「まぁ、いおりんは無自覚にやってるからね」

    千早「『敵意』のないツンデレこそ『真の邪悪』よ」

    真美「ツンデレって邪悪なの?」

    千早「多くの人間を狂わせているじゃない」

    春香「確かに」

    亜美「てか『敵意』のあるツンデレってなんなのさ」

    真美「ただの嫌がらせでしょ」

    伊織「ア……アンタ達は、私のやることが嫌だったの……?」シュン

    春香「ドキーン///」

    亜美「しおらしいいおりんキタァァァァァ!!」ガタン

    伊織「う、うるさいっ!何言ってんのよこのバカッ!」

    真美「この流れるような感情の切り替え、お見事でござる」

    千早「やっぱり邪悪だわ」チッ

    亜美「千早お姉ちゃんが不機嫌だ」

    真美「はるるんを取られそうだからね」

    456 :

    やよい「とりあえず千早さんは金輪際ウチの敷居をまたがないでください」

    千早「ふふ、ヤキモチ焼いちゃってかわいいわね。やっぱり高槻さんが一番よ」

    亜美「ホント鉄壁のメンタルだなぁ」

    春香「これから千早ちゃんを妖怪・ぬりかべと呼ぼう」

    千早「」ブチブチッ

    春香「痛い痛いッ!」

    真美「千早お姉ちゃんがはるるんの髪の毛を引き抜いている」

    亜美「もはやリボンは関係ないんだね」

    春香「やめて!このままじゃ私、妖怪・伊織になっちゃう!」

    伊織「」ブチブチッ

    春香「痛い痛い痛いッ!」

    やよい「すごい光景……」

    真美「妖怪だってこんな悪さはしないよ」

    457 = 456 :

    春香「ううっ……」

    亜美「はるるんの周りが床屋さんみたいだ」

    伊織「美容院じゃなくて?」

    亜美「床屋さんって言った方が、散らかってるイメージがあるかなって」

    伊織「失礼なこと言ってんじゃないわよ……」

    真美「でもその割に、はるるんの頭はハゲ散らかってないよ」

    春香「ああ、私髪の毛伸びるの早いから」

    やよい「あっ!もう元に戻りかけてます!」

    亜美「まるでチン毛だね」

    千早「チン毛ってそんなに伸びるの早いの?」

    真美「兄ちゃん曰く、抜いても抜いても2、3日で元通りらしいよ」

    伊織「そろそろアイツも事務所の清掃員に格下げした方がよくないかしら?」

    458 = 456 :

    千早「まぁ、チン毛散らしが名実ともにチン毛だと判明して、私は満足だわ」

    亜美「はるるんも、強烈な個性を手に入れてよかったね!」

    春香「そうだね!あはは、ありがとう!」

    やよい「髪の毛を抜かれ過ぎて、頭がおかしくなってるかも」

    伊織「それより、この髪の毛どうしようかしら」

    真美「とりあえず、いぬ美のエサ皿に盛りつけよう」

    ガチャ

    「ただいまー」

    春香「響ちゃんおかえりー」

    「ん、なんだこれ?」

    亜美「沖縄名物ソーキそばだよ」

    「本当か!いただきまーす」パクッ

    真美「えっ?」

    459 = 456 :

    「ペッペッ、マズいぞこれ!」

    亜美「どうしてペットの皿に盛りつけられたものを、ためらいなく食べられるんだろう」

    真美「ウソだと分かりやすくするために、ひびきんに馴染みのある物の名前まで出したのに」

    「一体なんなんだこれは!?」

    千早「春香のチン毛よ」

    「うっぎゃぁ~~!大変なものを食べてしまったぞ!」ペッペッ

    春香「私のチン毛って言葉に、少しくらい疑問を持ってほしいなぁ」

    やよい「響さんには、ちょっと難しいかもです」

    伊織「やよいも大分言うようになってきたわね」

    亜美「なにはともあれ、イタズラ大成功だね!」

    真美「でもひびきんの今後を考えると、気分は晴れないよ」



    第二十六話 終わり

    460 :

    明日はどっちだ

    461 :

    亜美真美がかなりまともに見えるから困る
    いや今回のは全体的に前よりまともだったが

    まとも……だよな?

    462 :

    相対的にはまともなキャラだったように思えるが
    狂ってる事に代わりはない

    463 = 456 :

    ━第二十七話━

    464 = 456 :

    私は雪歩。

    かわいい雪歩。

    今日もお家のお庭で、お父様と一緒に優雅なティータイムを過ごすの。

     社長「はっはっは。萩原くん、お茶を入れてくれるかね?」

     雪歩「ごめんね、お父様。古い雑巾を昨日処分してしまったから、今はお茶を入れてあげられないの」

     社長「はっはっは。それは実に残念だ」

    お父様の笑顔を見ると、もっと頑張らなきゃって気持ちになるの。

    ミスミスミスタードリドリラー、がんばれ自分、負けるな自分っ!

    465 = 456 :

    ふと庭の隅の茂みに目を移すと、インカムをつけたウサギさんが立っているわ。

     小鳥「急がなきゃ……急がなきゃ……」

    ウサギさんは懐中時計を見ながら、何やら慌てているの。

     小鳥「30歳まであとXXXX時間XX分XX秒……ヤバいヤバいヤバい……」

    えっと、『X』が4つってことは最大で9999時間だから……おっと危ない危ない。

    ウサギさんの世界が、10進法とは限らないからね。

    固定概念に縛られた思考は、脳の老化を早めてしまうわ。

     小鳥「誕生日まであと64日……ヤバいヤバいヤバヤバヤバババババbbbbbb」

    あらら、どうやら10進法だったみたい。

    たまには常識にとらわれて思いを巡らすのも、悪くはないかもね。

    466 = 456 :

    私はスコップを片手に、ウサギさんに話しかけるの。

     雪歩「そこのかわいらしいウサギさん。よかったら一緒に星の声を聴きましょう?」

     小鳥「きゃっ、雪歩ちゃん!?星の声って?」

     雪歩「お星様は昼間は見えないけれど、耳をすませば声が聴こえるよ。
        空のカーテンの後ろでひみつのかくれんぼをしてるんだよ。」

     小鳥「よく分からないけど、『かわいらしい』ってのは聞こえたわ!
        雪歩ちゃんの子宮の声を聞かせてェェェェェェェェ!!」

    うーん、どうやらウサギさんには人間の言葉が通じないみたい。

    こうなったら万国共通、ボディランゲージの出番だね。

    私はウサギさんの右耳めがけて思い切りスコップを振り下ろすの。

    467 = 456 :

    バシュ

     小鳥「ヒ、ヒギャァァァァァ!!」

    ああっ、ウサギさん。そんなに慌ててどこへ行くの?

    私はウサギさんをおいかける。

    数十メートル走ったところで、ウサギさんは止まったわ。

    まるでアラサー女のように体力のないウサギさんね。

    よく今まで、オオカミさんとかに捕まらなかったね?

    たまたまオオカミさんの目にとまらなかっただけなのか。

    それとも体内に毒を持ってて、オオカミさんが近寄れなかったのかも。

    私は警戒しつつ、ウサギさんに近づく。

    468 = 456 :

     雪歩「ウサギさん、さっきの『声』はとってもよかったよ。さぁ、もっと会話をしましょう」

    そう。『声』はなにも、口から出るものだけではない。

    ウサギさんの怯えきった表情も、右耳から流れ出る真っ赤なワインも。

    それはウサギさんの『声』なのだ。

    会話の基本はキャッチボール。

    投げられた『声』は全力で打ち返さないとね。

    私はスコップで素振りをはじめた。

     小鳥「こ、こうなったら……!」

    ピョン

    ウサギさんは突然、近くにあった穴に飛び込んだ。

    困ったなぁ。穴に埋まるのは私の専売特許なのに。

    いじわるなウサギさんなんて、きらいっ。だいきらいっ。絶対に許すものか。

    そう思って、私は穴に飛び込んだ。

    469 :

    また変わったことをやりだしたぞ

    470 :

    >投げられた『声』は全力で打ち返さないとね。
    それキャッチボールやない!バッティングや!

    471 = 456 :

    飛び込んだのはただの穴だと思ったら、周りを見るとなんだか図書館みたい。

    本棚が下の下の下の方まで、ずぅっと続いているの。

    おまけに落ちるのがとってもゆっくり。

    それはもう、本のタイトルがはっきりわかるくらい。

    私は何気なく目に留まった本を手に取る。

     雪歩「『まこ×あみ』……!」

    なぜか分からないけど、激しい憎悪が体中を駆け巡った。

     小鳥「ゲヘヘ、それに目をつけるとは、お目が高いでゲスね。
        だけどあいにく、それはアイマスじゃなくてセーラームーン……」

    私はウサギさんの後頭部を思いっきりスコップでお尻ペンペンした。

    まだ、ウサギさんに『声』を返してなかったものね。

    ごめんねウサギさん、さびしかったね?

     小鳥「」ヒューーー……

    ウサギさんはものすごいスピード、というよりはごく普通のスピードで落ちていった。

    そうか、生き物はとってもゆっくり落ちるんだね。

    ウサギさん、またね。

    472 = 456 :

    図書館の底に到着すると、そこにウサギさんの姿はなかったの。

    かわりに部屋の真ん中にテーブルがあって、ラーメンが置いてあるわ。

     貴音「萩原雪歩」

     雪歩「あっ、お姉様」

    言い忘れたけど、私には一つ上のお姉様がいるの。

    でも、どうしてこんなところにいるんだろう?

     貴音「これを飲みなさい、萩原雪歩」

     雪歩「でもお姉様、これはラーメンです」

     貴音「構いません。しおらぁめんは飲み物です」

    18歳になると脳が老化し始めるのね、私も気をつけないと。

    473 = 456 :

    ズルズル ゴクゴク

     雪歩「……きゃあ!?」

    塩ラーメンを食べ、もとい飲み終えると、私の胸が急に縮み始めたわ。

     千早「ゲラゲラゲラゲラ」

    気がつくと目の前に、まな板のようなおばけがいるわ。

     千早「ゲラゲラゲラゲラ」スッ

    おばけは私に巻き尺を渡したの。

    さっそく私は自分のバストを測ったわ。

     雪歩「……71cm!?」

    まぁ大変!これじゃあ、お城の舞踏会用のドレスを着れないわ!
     
     千早「キョーッキョッキョッキョッ」

    おばけがとても喜んでいる。これがおばけの『声』なのね。

    私も『声』を打ち返さないと。右目のあたりがいいかしら。

    でも、なんてこと!胸が縮んで、腕に力が入らないわ。

    胸が貧しいことが、こんなに大きなハンディキャップだったなんて。

     千早「お前いくらなんでもバカにし過ぎだぞコラ」

    おばけの方から何か聞こえたわ。空耳ね、間違いなく。

    474 = 456 :

     貴音「ご安心を、萩原雪歩」

     雪歩「お姉様?」

     貴音「このしおらぁめんを食べなさい」コトッ

    お姉様はそう言って、カップ麺をテーブルに置いたわ。

     雪歩「塩ラーメンは飲み物じゃないんですか?」

     貴音「ええ。ですがこれは日清のSIOらぁめんなのです」

    ラーメンを食べ過ぎると脳が腐るのかしら。今度お父様に試してみなくっちゃ。

    475 = 456 :

    ズルズル ゴクゴク

     雪歩「……きゃあ!?」

    SIOラーメンを食べみ終えると、私の胸が急に膨らみ始めたわ。

    さっそく巻き尺で測ってみなくっちゃ。

     雪歩「……90cm!?」

     千早「ギリギリギリギリ」

    まぁ大変!これじゃあ、お城の舞踏会用のドレスを着れないわ!

    でも確か、お姉様のバストが90cmだから、お姉様のドレスを借りればいいかしら。

    お姉様とお揃いのドレスなんて、考えただけでお股が濡れ濡れになっちゃうの。

     貴音「それは間違っております、萩原雪歩」

     雪歩「間違ってないです!私はお姉様を真剣に愛しているもの!」

     貴音「そうではなくて、私とあなたではヒップのサイズが異なります」

    まぁ、なんてこと!これじゃ結局ドレスを着れないわ。

     千早「ギリギリギリギリ」

    さっきから、おばけの歯ぎしりのような『声』がうるさいけど、この際無視するわ。

    476 = 456 :

     雪歩「あんまりですぅ。お姉様と結ばれることができないなんて……」ポロポロ

     貴音「よしよし。涙をふいてあげましょう」ペロペロ

     雪歩「お姉様///」

    お姉様にペロペロされることで私の内なるパッションが最高潮に達したわ。

    ドガァァァァァン

     貴音「は、萩原雪歩の胸が……爆発した……!?」

     雪歩「……あ!胸が元に戻ってます!」

    気づくと私の胸は元通り。81cm。ちんちくりんだけど、慣れ親しんだ私の胸。

     千早「チ、チンチクリン……?ギリギリギリギリ」

    私の内なる『声』に呼応して、おばけの『声』も最高潮に達したわ。

    ガラガラガラガラ

    周りの壁が音を立てて崩れていく。歯ぎしりのような『声』の振動によるものね。

    これでようやく外に出られるわ。

     雪歩「ありがとう、おばけさん」

    そう言って私は、おばけの右目をスコップで突いた。

    477 = 456 :

    外をしばらく歩くと、ズブ濡れのネズミさんが雨の中を走っているのを見つけたの。

     雪歩「ズブ濡れのネズミさん。よかったら一緒に、空の嘆きに心を通わせてみないかな?」

     「雪歩?何言ってるんだ?」

    私ったらドジね。初対面の人に話しかけるときは、まず本題の前に世間話から入らないと。

     雪歩「ネズミさんは、どうしてズブ濡れなの?」

     「聞いてくれよ雪歩ー。今、『生っすか!?』の収録中なんだけどさ。
       絶対に番組中に完走できない距離を走らされてて……。
       おまけに雨が降ってきて前が見えなくて……」グスッ

    ネズミさんったら!話す言葉の沖縄なまりがひどくって、全然聞き取れないわ!

    こうなったら、ケツの穴から直接『声』を聴こうかしら。

    478 = 456 :

     亜美「ゆきぴょん、ひびきん、どったの?」

    急にアヒルさんが目の前に現れたわ。

     「聞いてくれよ亜美ー。今、『生っすか!?』の収録中なんだけどさ。
       ……ってあれ?そもそも亜美達は収録ないのか?これ、生放送なんだけど」

     真美「てか『生っすか!?』って何?」

     亜美「また兄ちゃんの悪い冗談に騙されてるんじゃないの?」

     「え゙!?」

    わぁすごい!ドードーさんも現れたよ。

    アヒルさんとドードーさんは別の生き物なのに、まるで双子みたいにそっくり。

    不思議なこともあるんだね。

    479 = 456 :

     真美「それにしてもひびきん、ズブ濡れだねぇ」

     雪歩「確かに、乾かさないと風邪引いちゃうね」

     亜美「んっふっふ~。体を乾かすには、ス→パ→ジャンケンが一番だよ!」

     真美「ス→パ→ジャンケン?何それ→?」

     雪歩「どんなルールなの?」

     亜美「グ→とチョキとパ→の他にね→、無敵のチョモルメランがあるんだよ→」

     真美「チョモルメラン!?なんかおもろそ→だね」

     「それじゃチョモルメランを出し続けたら決着がつかないんじゃないか?」

     亜美「だからいいんだよ」

     真美「いつまで経っても決着がつかないから、ス→パ→ジャンケンをやってるうちに
        いつの間にか体が乾いてるって寸法だよ」

    アヒルさんとドードーさんはすごいなぁ。

    トリは脳みそがクソ小さいっていうのは、やっぱり本当だったのかな。

    お家に帰ったら図鑑で調べてみようっと。

    480 = 456 :

     亜美「それじゃさっそくはじめるよ→」

     「いや、だから自分は収録が……」

     雪歩「観念しなよ、ネズミさん」

     真美「大体カメラマンもいないのに、どうやって収録してたのさ」

     「……えっ!?あれ、えっ?」



    ~6時間後~

     亜美「ジャ→ンケ→ン、チョモルメラン!」

     「チョモルメラン!……あっ、体が乾いてるぞ!」パパパパーン

     雪歩「よかったね、ネズミさん」

     真美「真美たちにかかればこんなもんっしょ!それじゃ、ス→パ→ジャンケン終わり!」

    疲れた。クソ疲れた。早く『声』を聴きたい。

    アヒルさんとドードーさんのお腹を切り裂いて、子宮の『声』を聴いてやる。

    ダメだ、それじゃさっきの毒ウサギさんと同じ発想だ。

    ああ、どうしたものか。どうしたものか。

    481 = 456 :

     「それで、誰がスーパージャンケンの勝者なんだ?」

     亜美「そりゃ、み→んな、だよ」

     真美「み→んなが勝ったから、全員が賞品をもらわないとね」

    何言ってるんだコイツら。何言ってるんだコイツら。

     「でも、誰が賞品をくれるんだ?」

     亜美「そりゃ、ゆきぴょんに決まってるっしょ」

     真美「しょ→ひん!しょ→ひん!」

    どうしよう、ポケットに何か入ってないかな。ホウ酸団子とか。

    ……あれ?昨日処分したはずの雑巾が入ってるよ。

    きっと、お父様がもしものときの為に入れておいてくださったんだわ。

    ありがとう、お父様。

    これからは、トイレ掃除をする前の雑巾でお茶をいれてあげるね。

    482 = 456 :

     雪歩「ふふっ。それじゃみんなに、私特製のお茶をいれてあげるね」

     「やったぞー!」

    できあがったお茶に、雑巾のしぼり汁をたっぷり入れて。

    この雑巾はもういらないから、刻んで入れておこう。

    三匹とも脳みそがアメーバ並だから、バレないバレない。

     亜美「でも、ゆきぴょんだって賞品をもらわないと、ねぇ」

     真美「真美たちがなんか作ってあげるよ!」

     雪歩「じゃあ、モノじゃなくて権利を一つもらえるかな」

     「権利?」

     雪歩「うん。みんながお茶を飲む前に、出発する権利。先を急ぐからね」

     亜美「そんなんでよければ、お安いごようだYO!」

     真美「じゃあねゆきぴょん、まったね→」

    ああ、気がつくと雨は上がっていたわ。

    私の歩く道の両脇には、色とりどりの花が咲いている。

    ふふ、お花さん、キレイに咲いてくれてありがとう。

    483 = 456 :

    道を歩いていると、森に着いたわ。

    ふと見上げると、何メートルか先の木の枝に、チェシャ猫さんが座っていたの。

     雪歩「チェシャ猫さん、こんにちは」

     伊織「何言ってるの雪歩?私は伊織よ」

    わぁ嬉しい。チェシャ猫さんは、人間の言葉が分かるみたい。

     雪歩「お願い、教えてチェシャ猫さん。私はここからどっちへ行ったらいいのかな?」

     伊織「そりゃアンタがどっちに行きたいかによるわよ」

     雪歩「どっちでもいいんだけど……」

     伊織「ならどっちに行っても関係ないじゃない」

     雪歩「でも、どこかへは着きたいの」

     伊織「どこかへは着くわよ、間違いなく。アンタの足が棒になるまでタップリ歩けばね」

    このデコ猫さんめ。デコの真ん中をスコップで突いて、天津飯みたいにしてやろうかしら。

    484 = 456 :

     雪歩「ところで、ここらへんには、どんな人が住んでるの?」

     伊織「あっちの方向では、律子が帽子屋をやってるわ。
        それと、向こうの方向にはあずさがいるわよ。
        好きな方を訪ねるといいわ。まぁ、どっちも狂人だけど」

     雪歩「でも、狂人のとこなんか行きたくないよ」

     伊織「それはどうしようもないわね。ここらじゃみんな狂人よ。アンタも含めて」

     雪歩「どうして私が狂人なの?」

     伊織「アンタ、今までの自分の行いを振り返ってごらんなさいよ?」

    ずるいよ。そんなの何の証明にもなっていないもの。

    485 = 456 :

     雪歩「チェシャ猫さんは狂人じゃないの?」

     伊織「もちろんよ」

     雪歩「それはおかしいなぁ」

     伊織「なんですって?」

     雪歩「まず、いぬ美ちゃんは狂人じゃない。それはいいかな?」

     伊織「まぁそうね」

     雪歩「すると、ね。いぬ美ちゃんは好きな人には甘えて、嫌いな人にはツンツンした態度を取るよね」

     伊織「ええ」

     雪歩「さて、チェシャ猫さんは好きな人にはツンツンした態度を取って、嫌いな人にもツンツンした態度を取る。
        よって、チェシャ猫さんは狂人」

     伊織「キィィィィィ!!いいからさっさとどっか行きなさいよ!!」ドロン

    ああ、チェシャ猫さんが消えちゃった。

    486 = 456 :

    さて、どっちに行こうかな。確かあっちが帽子屋さんで、向こうが三月ウサギさんだったね。

    今は七月だから、誕生日が間近で焦ってる三月ウサギさんの方が面白いよね。

    ほんのしばらく歩くと、三月ウサギさんのお家が見えてきたよ。

    間違いないね。だって屋根がおっぱいの形をしていて、えんとつが乳首の形をしているもの。

    お家の前の木の下にはテーブルが出ていて、三月ウサギさんと帽子屋さんがお茶をしているわ。

    ヤマネさんが二人の間でぐっすり寝ていて、ヤマネさんのチンコをクッション代わりにしているの。

    ああっ!あのチンコを見ていると……なんだか……お股がジュンッってなっちゃうよぉ。

    487 = 456 :

    それにしても、大きなテーブルなのに、二人は随分端っこに座ってるのね。

    空いている席にお邪魔して、と。

     あずさ「あら雪歩ちゃん、こんにちは」

     律子「雪歩、ここはもう満員よ」

     雪歩「どこが満員なんですか?いっぱい席が空いてますよ」

     あずさ「真ちゃんのチンコが満員ってことよ」

     律子「残念だったわね」

     雪歩「」バシャッ

     「アヅッッ!」ビクン

     雪歩「あはっ、ごめんなさい」

    ヤマネさんを起こしちゃったね。しっぱいしっぱい。

     律子「あーあ、これで真のチンコをクッションにできなくなっちゃったわ」

     あずさ「あらあら、残念ねぇ」

     「言っときますけど、そんなモノついてないですからね!」

    488 = 456 :

     雪歩「ところで皆さん、なんでお茶会をしてるんですか?」

     律子「お祝いよ」

     雪歩「何かの記念日なんですか?」

     あずさ「ええ。今日は『なんでもない日』だからね」

     雪歩「なんでそんな日を祝うんですか?」

     律子「それが分からないとは、まだまだ子供ね」

     あずさ「大人にとって、誕生日なんて祝うどころか忌むべき日なのよ」

     律子「この業界にいると、祝日も関係なく仕事だからね。
        むしろオフィス近くの定食屋が休みだったり、休日ダイヤで動き辛かったり。
        いいことなんてこれっぽっちもないわ」

     あずさ「だから『なんでもない日』は素晴らしいのよ」

    帽子屋さんと三月ウサギさんの言うことはよく分からないなぁ。

    チェシャ猫さんの言うとおり、この二人は狂人なのかも。

    489 = 456 :

     「ウトウト……」

    ヤマネさんがまた寝ようとしているわ。

    きっと昨日オナニーのし過ぎで、疲れてるのね。

     あずさ「ねぇ律子さん。真ちゃんのお股にニンジンを挟まない?」

     律子「いいですね。それでハンカチを被せれば、翌日には本物のチンコになってるに違いありません」

    まぁステキ!ヤマネさんの本物のチンコ、私もぜひ見てみたいなぁ。

    でも、あと丸一日この人たちと一緒にいたら、私まで狂人になっちゃう。

    名残惜しいけど、先に進もうっと。

    490 = 456 :

    しばらく歩くと、大きなお庭に着いたわ。

    お庭の入り口には、大きなバラの木が立っているの。

    あぁ、このバラをさっきのヤマネさんがくわえたら、さぞステキだったでしょうに!

    そしてヤマネさんのチンコを私がくわえ……おっと、いけないいけない。

    でもこのバラ、よく見ると真っ白だわ。

     P「大変だ、大変だ。急がないと春香に踏みつけられてしまう」

     やよい「フルスロットル飛ばしてみましょ~」

    ふと見ると、二人の庭師さんがペンキでバラを赤く塗っています。

    491 :

    ジミー大西が花瓶をすっげえ滅茶苦茶な色彩で描いてて、
    さんまがお前それ何やって聞いたら「見たまんまですやん」と
    返されたという逸話を思い出した。

    あなたの世界が狂っているように見えるとき、
    それはつまりあなたの脳が狂っているのです。

    492 = 456 :

     雪歩「庭師さん。ピンクのバラのささやきは、碧いうさぎの甘い吐息に似ていると思いませんか?」

     P「どこの狂人かと思えば、雪歩じゃないか」

     やよい「雪歩さん、こんにちはー」

    まぁ、ここでも私の『声』は届かないのね。くやしいくやしいくやしいっ。

    でもよく見ると、忙しくてそれどころではないって感じね。

    まずはこの人たちのお手伝いをしましょうか。

     雪歩「すみません、なぜそのバラにペンキを塗ってるんですか?」

     P「ああ、ここには赤いバラの木を植えるはずだったんだがな」

     やよい「白バラの方が安そうだったから白を発注しちゃいましたー」

     P「お釣りはお駄賃って言っちゃったのがマズかったなぁ」
     
     雪歩「実際、安かったんですか?」

     やよい「発注書が読めないので分かりません」

    どうしよう、この人たちと関わらない方がよかったかなぁ。

    493 = 456 :

    コツッコツッコツッ

     やよい「あ!あの足音は春香さんです!」

     P「マズい!雪歩、あとで埋め合わせはするから、今はお前も手伝ってくれ!」

     雪歩「わかりました!」

    私は男の庭師さんの後頭部を、思いっきりスコップで叩き潰しました。

    庭師さんの頭から真っ赤なペンキが飛び散って、周囲の白バラを赤く塗りつぶしていきます。

    そういえば、私は男の人が苦手なのに、この庭師さんはなぜか平気だな。

    もしかしたら、この人が……私の運命の人、なのかもしれない。

    そんな風に考えていると、男の庭師さんはゆっくりとヒザを地面につき、倒れてしまいました。

     やよい「うっうー!なんとか間に合いました!」ピョンピョン

    女の子の庭師さんが喜んでいる。いいことをした後は気持ちがいいね。

    494 = 456 :

    そうこうしているうちに、赤の女王がやってきたよ。

     春香「あら、見ない顔だと思ったら雪歩じゃない」

     雪歩「はじめまして赤の女王。ステキなお衣装ですね」

    赤の女王は真っ赤なドレスに真っ赤なリボンをつけてるよ。

    闘牛の群れに放り込みたいなぁ。

     春香「そう?やっぱりメインヒロインたるもの、衣装にも気を使わないとね!」フフン

     雪歩「衣装でしか個性をアピールできないなんて、滑稽だね」

     春香「そこに跪いて!首をちょん切ってあげるわ!」

    そんなのまっぴらゴメンだよ。首を切られたら『声』が聴こえなくなっちゃう。

    耳がなくても、『声』は聴こえる。

    目がなくても、『声』は聴こえる。

    鼻がなくても、口がなくても、肌がなくても、『声』は聴こえる。

    でもそれらすべてを失ったら『声』は聴こえなくなっちゃう。

    させない。邪魔はさせない。『声』を聴く邪魔だけは。

    495 = 456 :

    どれほどの距離を歩いたのかな。

    気づくと、森の入口にいたよ。

    ふと見上げると、前と同じ木の枝に、チェシャ猫さんが座っていたの。

     美希「雪歩、お帰りなさいなの」

     雪歩「チェシャ猫さん、この前と顔が違わない?」

     美希「チェシャ猫はビッチの役目だからなの。デコちゃんは疲れたからお休みなの」

     雪歩「チェシャ猫さんは、淫乱なの?」

     美希「いんらんってなぁに?」ポカーン

    このチェシャ猫さんとは会話がかみ合わないなぁ。すごくイライラする。

    前のクリリンの方がよかったな。あれ、亀仙人だっけ?どっちでもいいや。

    496 = 456 :

     美希「ビッチっていうのは、15歳の女の子って意味なの」

     雪歩「そうだっけ?」

     美希「そうだよ。これで雪歩も一つ賢くなったの。ミキのおかげなの」

    ものすごく無駄なことに脳の容量を割いてしまった。

    こんな知識は『声』を聴くのに不要だ。

    即刻デリートだ。デリートしなければ。

    私はスコップで自分の頭を叩いた。

    ゴツン

    ゴツン

    ゴツン

    ゴツン

    ゴツン



    グシャ

    497 = 456 :

     社長「萩原くん、大丈夫かね?」

     雪歩「……あれ?」

     社長「お茶を飲んでいたら、急にウトウトしはじめてね。疲れているのかもな」

    辺りを見渡す。ここは、私のお家のお庭。

    いつもお父様とティータイムを過ごすお庭。

     雪歩「夢だったのかなぁ」

    そう言って私は自分の手元を見る。

    愛用のスコップは血にまみれていた。

    ウサギさんの血。

    おばけさんの血。

    男の庭師さんの血。

    そして私の血。

    血。

    チ。

    チ?

    498 = 456 :

     社長「起きたばかりで悪いんだが、お茶を入れてもらえないかな?
        萩原くんのお茶はおいしいからね」

     雪歩「はい、お父様」

    今の私に、もう雑巾は必要ない。

    お父様の後頭部めがけて、思いっきりスコップを振りかぶる。

    庭の隅の茂みから、草木の優しい『声』が聴こえた気がした。

    499 = 456 :

    ――――――――――――――――――――
    ―――――――――――――――――
    ――――――――――――――

    雪歩「……っていう夢を見たの」

    「くぅ~、いいよいいよ雪歩!乙女チックオーラ全開だよ!」

    律子「雪歩、そこを動かないで。動いたら撃つわ」

    「もしもし、向かいの心療内科ですか?急患を一人、いや二人お願いします」

    亜美「ゆきぴょん……」

    真美「ゆきぴょんごめんね……」

    「えー、いい話じゃないか。自分のポジションも、お茶をごちそうしてもらったし満足だぞ」

    伊織「プロデューサー、急患を一人追加よ」

    あずさ「そういえば今日は七夕ねぇ」

    貴音「一年に一度の情事に勤しむ織姫と彦星から、最大級の電波が降り注いだのでしょう」

    やよい「うっうー、大惨事!」



    第二十七話 終わり

    500 :

    この感情はなんと表現すれば良いのか……


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