元スレ魔王「俺も勇者やりたい」 勇者「は?」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ★
901 = 1 :
魔王『――オラァ!』
魔王「っぐは!?」
隊長「勇者の奴! 剣でなく蹴りで攻撃だと!?」
宮廷魔導士「剣は囮。本命の膝蹴りが、綺麗に鳩尾に入りましたね」
側近(本命は膝蹴り? いいや違う。勇者の狙いは――!)
魔王『ああ……、頭に詠唱が流れ込むッ!! ――喰らいやがれ、魔王!!』
『まおう』は のろいをかけた!
まおうは のろわれてしまった!! ▼
魔王「!!?」
側近(蹴りでひるませてから、呪いで動きを封じること! ――魔王様!!)
902 = 1 :
魔王『おー。初めてやったのに、案外うまくいったな』
魔王(迂闊だった……! 弱小め、いつのまに呪術なんか……!)
魔王『なんかこの姿になってから、面白いんだぜ。体は軽いし、知らない特技や呪文も使えるようになるし』
魔王(か、体が動かない……! 舌も……! これでは呪文が使えない!)
魔王『さーて、これで魔王様は、抵抗も口ごたえもできなくなったわけだ』
魔王(魔王であるこの俺に呪いをかけるとは……、生半可な魔力では到底できないこと……)
魔王『まあ、はじめから、お前の返答に従う気なんてなかったけどな』
魔王(まさかこいつ……、本当に、『魔王』になってしまったのか――?)
魔王『その目……、理解したな? そうだ。――今日から、オレが魔王だ』
903 = 1 :
側近「魔王様!! 今、呪いを解きま――」
魔王『させるわけねぇだろ、側近』ガシッ
側近(なっ! ――いつの間に、背後に!?)
魔王『お前には、オレと一緒に魔王城に行ってもらう。新魔王として、全魔物にご挨拶しなきゃいけないからな』
側近「ッ! 手を離せ! 私は魔王様を助けなければ――!」
魔王『聞こえなかったのか? 今 日 か ら オ レ が 魔 王 だ 』
側近「……!!」
側近(あの時と、同じだ。初めて、刃を交わした時と。ああ、全身に怖気が )
904 = 1 :
魔王『つーわけでみんな。王様。それから元魔王――』
魔王『オレはオレのやり方で、世界を平和にしてみせる。刃向う奴はタダじゃおかねえ』
魔王『それじゃあな。楽しみにしてろよ。この理不尽な世界を着々と変えてやる――』
『まおう』は じゅもんをとなえた! ▼
僧侶「ああっ! 勇者様ぁーーー!!」
魔法使い「移動呪文か……。それも、里の魔物も全員一緒に……!」
戦士「おー……。おれ今、びっくりするぐらい、なにもわっかんねーわ」
魔王(…………)
魔王(……、なんてことだ)
魔王(このままでは、魔界が。それに、側近も……)
905 = 1 :
王様「今じゃあーーー! 魔王と勇者の仲間をひっ捕らえろーーー!!」
兵士たち「「「ハッ!!」」」
戦士「ん? え? なに?」
僧侶「え!? えええ!? イヤぁ! こないで!!」
魔法使い「ちょっとちょっとー! なんであたし達、捕まえられないといけないのよー!」
魔王(……!?)
906 = 1 :
隊長「決まってるだろう。貴様らには、事情を説明してもらう」
僧侶「そんな! 私たちだって、なにも知りません!」
宮廷魔導士「貴方達は、仮にも魔王と旅し、勇者をやめて魔王になった彼とも旅をしてたわけです」
魔法使い「それがなんだっていうのよ!」
宮廷魔導士「事件の重要参考人として、城に連れ帰るのは、当然の対処ということですよ」
魔法使い「普通、参考人を縛り上げたりするものかしら?」
宮廷魔導士「途中で逃げられるのも面倒ですからね」
戦士「なぁにすんだぁあああああ! おれ達は無実だあああああああああああ!」
兵士A「うるさい! 少しは静かにしてろ!」
戦士「やなこったああああああ!! 縄を解いてくれたら静かにするぜえええええええええええええ!!」
兵士B「おい、猿ぐつわ噛ましとけ。いくらなんでもうるさすぎる」
兵士A「了解」
戦士「あ! てめっ卑怯な――ぅ゛っ! モガー!モガー!」
907 = 1 :
王様「やれやれ、うるさくないのは、魔王くらいじゃな」
魔王(…………)
王様「城の呪術師に、貴様の舌にかけられた呪いだけ解かせよう。その後は分かるな?」
魔王(…………)
王様「何故こんな馬鹿げたことが起きたのか、洗いざらい話してもらうぞ……?」
魔王(…………)
魔王(そんなの、俺が聞きたいくらいだ)
魔王(なにが起きているんだ)
魔王(なぜ、弱小が魔王に……。いや、そんなことより、)
908 = 1 :
魔王(魔界や魔物たち、魔王軍、そして――)
魔王(俺はこれから、どうなってしまうんだ?)
909 = 1 :
長らくお待たせしてしまい申し訳ございませんでした。
いろいろと忙しくしていて、なかなか来れず、すみませんでした。
今日の更新はここまでです。
読んでくださった方、コメントくださった方、どうもありがとうございます。
また来月来ます。
910 :
おつん
911 :
乙でした
来月ってことは、1週間後だよな?
912 :
乙でした
913 :
魔王=伝説の勇者の末裔
勇者?=魔王の末裔
過去にも同じように姿を入れ替えた?
916 :
おっもしれー乙
917 :
遂にきたか……乙!
918 :
>>913
でも、だとしたら勇者母が伝説の装備使えたのがおかしくならんか?
919 :
勇者一族も魔物だったってことでいいの?
920 :
魔王と勇者は紙一重?
921 :
やっと追いついた
乙
922 :
来ないな...
923 :
今月はまだまだあるさ
気長に待とう
924 :
よくあるSS見たいに勇者と魔王がどこかで交わってるんじゃないの?
925 :
予想はやめろとけ荒れるから
926 :
書いてあるんだから予想じゃねえだろ
927 :
>>925
とりあえずあげんな
話はそれからだ
928 :
1ヶ月か…
930 :
~勇者の家~
勇者母「…………」
勇者母「もう、すっかり暗くなっちゃったわね」
勇者母「大丈夫かしら、あの子達」
――コンコンコン
勇者母(!! ……あの子かしら!?)
勇者母「はい、おかえりなさ――」ガチャ
勇者母「……?」
勇者母「あの、どちら様で?」
931 = 1 :
大賢者「どうも初めまして、わたしはとある村のはずれに住む大賢者です」
勇者母「あら、ご丁寧にどうも。勇者の母です」
大賢者「勿論、存じてますとも。今宵は、突然お邪魔してしまいすみません」
勇者母「いえいえ、構いませんわ。ところで、大賢者さんが、何の御用事で……?」
大賢者「単刀直入に言います。――貴女の息子さんを助けるために、力を貸して頂きたいのです」
勇者母「……!?」
932 = 1 :
~城・取調室A~
魔法使い「だーから、あたしらは何も知らないって言ってんでしょー!!」
宮廷魔導士「まあまあ、そうカッカせずに」
魔法使い「これで怒らない方がどうかしてるわよ! さっきから、何遍も同じ質問して!」
宮廷魔導士「取り調べとはこういうものなんです」
宮廷魔導士「質問を何度も繰り返し、少しでも違った返答・反応があったら、徹底的に追及する」
宮廷魔導士「話の矛盾や、つじつまの合わない部分というのは、たいてい嘘であることが多いですからね」
宮廷魔導士「お分かりいただけましたでしょうか?」
魔法使い「お分かりどころか、最初から知ってるわよ、そんなもん」
宮廷魔導士「でしょうね。さすが頭脳明晰。では、気をとりなおして続けましょうか」
魔法使い「あーもー、うんざりする……。早く終われー……」
933 = 1 :
~城・取調室B~
老学者「えーと、次の質問。勇者の挙動が怪しいと思ったのは、いつからかの?」
僧侶「…………」グスッグスッ
老学者「…………」
僧侶「……ぅ、ふぇ」グスン
老学者「のう、お嬢ちゃん。泣いてばかりでは、こっちも困るんじゃが」
僧侶「だって、勇者様が、魔王様に……! 私、これからどうしたら……、ぅ、うぁああああん!!」
老学者「泣き虫という噂は聞いておったが、まさかこれほどまでとはの……」
僧侶「ぇええええん!」
老学者「かれこれ二時間、この調子か……。城中のちり紙が無くなってしまうわ」
934 = 1 :
~城・取調室C~
兵士A「な、なぁ……」
兵士B「あ? なんだよ」
戦士「…………」ゴゴゴゴゴ…
隊長「…………」ドドドドド…
兵士A「さっきからなんなんだよ。あのヤバい空気」
兵士B「え、お前知らないの? あの戦士、二か月前までこの城で兵士やってたんだぜ」
兵士A「まじで?」
兵士B「でも、あの隊長と物凄い喧嘩してクビにされたんだと」
兵士A「あー、それで……、あんなに火花が散ってるわけか」
兵士B「良く言う『会ってはならない二人が出会ってしまった……!』ってやつだな」
935 = 1 :
戦士「…………」
隊長「…………」
戦士「ばかあほまぬけー! あんぽんたん!」
隊長「うっさいゴミが! この役立たず!」
戦士「相変わらず、人の風上にもおけねぇ隊長様だな! もはや見損ないすぎたぜ!」
隊長「馬鹿同然の貴様に言われても痛くもかゆくもないわ! 愚図め! 木偶め!」
戦士「おれ知ってるぜー、お前みたいなやつ『れーけつ』って言うんだぜー?」
隊長「無能の分際で、塵にも劣る語彙を披露してくれるとは、礼も言いたくないな?」
兵士A「う、うわぁ……」
兵士B「醜い争いとは、まさにこのことだな」
936 = 1 :
戦士「ほんと最低なやつだよな、あんた! 仕事好きすぎて、人間的な心はどーこにポイしてきちまったんですかぁ?」
隊長「そういう貴様は自分が仕事できなさすぎてることを自覚しろ! 勇者のとこに行っても、役立たずとは嘆かわしい」
戦士「あーっと、あんたが好きなのは、仕事っていうか権力だったな? そんなに偉くなりたいですかー、たいちょーさまー?」
隊長「高い目標をもって何が悪い。貴様はもっと賢さをあげる努力をしろ!」
戦士「王様に尻尾ふって毎日楽しいですかー? さっきから、好き放題言いやがって、ぶん殴ってやるから覚悟しやがれ!」
隊長「力だけが取り柄の力自慢が、おれに敵うとでも? あの日の決着つけてやろうか!?」
兵士A「うわぁああ、隊長ーー! ストップストップ! やめてくださーい!」
兵士B「つーか、取り調べしろよ」
937 = 1 :
~城・地下牢~
魔王「…………」
魔王(……幾重にも巻かれた鎖。呪いのせいで、引きちぎることは不可だな)
魔王(こんな鉄格子、呪文さえ使えれば、粉微塵にしてやるのに……)
魔王(あれから、どれくらい時間が経ったのだろう。窓もないから、知ることすら叶わん)
魔王(この呪いも、いつ解けるのやら……)
魔王(…………)
魔王(早く、魔王城に帰らねば……)
魔王(あの弱小に、好き勝手される前に……!)
938 = 1 :
~魔王の部屋~
側近「……命令通りに、人間界にいる全ての魔物を招集しました」
魔王『おう、ご苦労さん』
側近「ただし、広間には全ては入りきらなかったので、大多数は城外で待機しております」
魔王『外の奴らにも、オレの声が届くようになっているか?』
側近「ええ、音波を操る魔物達に、要請済みです」
魔王『相変わらず、仕事が早いなぁ、側近』
側近「…………」
魔王『側近?』
側近「あ、はい、なんでしょう?」
939 = 1 :
魔王『側近がぼーっとしてるなんて、珍しいな』
側近「申し訳ありません、少し考え事を……」
魔王『どうせ、あっちの魔王の事だろ?』
側近「……!?」
魔王『図星だな。側近は、魔王様のことが大好きだもんなぁ』
側近「…………!」
魔王『まあ、あいつも邪魔するようなら、容赦しないけど……なっ、と』バサッ
940 = 1 :
魔王『っし、着替え完了。ちょうどいいサイズがあって良かったぜ』
側近「……魔王様のお古ですけどね」
魔王『似合うか?』クルッ
側近「そう、ですね……。生えた角や牙も相まって……、外見は十分、魔王です」
魔王『ははっ、そうか。無性にワクワクしてきたな』
魔王『さーて……、ちょっくら就任演説といきますか』
941 = 1 :
側近「……皆、一様に驚くでしょうね」
魔王『まあ、顔は勇者の時のままだからな。びっくりされて攻撃されるかも』
側近「可能性は無きにしも非ず」
魔王『だな。とはいえ、そんな奴いたら返り討ちだけど』
側近「…………」
魔王『そんなあからさまに、心配そうな顔すんなよ。半殺し程度にしとくからさ』
側近「……左様ですか」
魔王『オレが、みすみす戦力を減らすような真似すると思うか? じゃ、行ってくるわ』
側近「……どうぞ、お気を付けて」
――バタン
側近「…………」
側近(……演説は、一時間程度。この隙に、魔王様の元へ――)
942 = 1 :
魔王『おい、側近』ガチャ
側近「!? な、なんですか?」
魔王『お前のことだから、どうせ魔王様のとこに行きたいんだろ?』
側近(考えが、読まれていたか……!)
魔王『行くのは構わないけどさ、演説終わってからにしてくれないか?』
側近「……かしこまりました。そのように……」
魔王『良い子だ。じゃ、今度こそ行ってくる』
側近「行ってらっしゃいませ。私も後ほど――」
――バタン
側近(…………)
943 = 1 :
側近(……魔王様、どうかご無事で)
944 = 1 :
また来月くると言って、今日まで遅れてしまいすみませんでした。
今日の更新分はここまでです。
読んでくださった方、どうもありがとうございます。
>>980まで行ったら、次スレを立てようと思います。
それでは、また来週を目標に書き溜めてきます。
945 :
よっしゃ、エタらなかった
マジで待ってた、おつかれさまー
947 :
舞ってた
949 :
待ってた乙乙
950 :
きてたーーーーーーー乙
みんなの評価 : ★
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