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    元スレ魔王「俺も勇者やりたい」 勇者「は?」

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    51 = 1 :


    勇者(こいつは、まずいぞ……)

    勇者(昨日今日、勇者に成りかわったばかりの俺が、あいつの好物なんか知るわけがない)

    勇者(そのうえ、人間の食べ物の名前だってろくに知らん……)

    勇者(な、なにか良い受け答えは……)



    勇者「…………」

    勇者「勇者、お昼なにが食べたい?」

    勇者「……あ、……その」

    勇者「なーに?」






    勇者「か、母さんが作ったものなら、なんでもいい……」

    52 = 1 :


    勇者「あら……、そうなの。ふふ」

    勇者「…………」






    勇者(……な、なんだかよく分からんが、いま相当恥ずかしい事を言ってしまった気がする!)

    僧侶「勇者様……? 首まで真っ赤になってますよ?」

    53 = 1 :


    戦士「おいおい勇者、遠慮することないんだぞ」

    魔法使い「そうよー、自分の家なんだからさー」

    勇者「…………」

    勇者「まあまあ。では、お昼ができるまで、皆さん、くつろいでてくださいね」



    僧侶「あ、あの、なにか手伝うことありますか?」

    勇者「いいのよ。僧侶さんもお疲れでしょうから、休んでてくださいな」

    僧侶「でも……」

    勇者「ありがとうね、心遣いだけでも嬉しいわ。すぐ出来るから待っててちょうだい」

    僧侶「……はい」

    勇者「…………」

    54 = 1 :


    勇者(これが、勇者の母か)

    勇者(僧侶が疲れているのを見抜いて、あえて手伝わせなかったとは……)

    勇者(……あの弱小とくらべて、なかなかの人格者らしい)





    勇者「あ、でも勇者は手伝ってほしいわ」






    勇者(……なぜに俺なんだ!?)

    55 = 1 :


    勇者「ふふ、勇者ったら、いま『どうして自分が?』って思ったでしょう?」

    勇者「う……」

    勇者「決まってるでしょ。お客さんを手伝わせるわけにはいかないからよ」

    勇者「…………」

    勇者「あなたが手伝ってくれたら、すぐにご飯ができるわよ。お願いね」

    勇者「……仕方ないな」



    戦士「ぅおーい、勇者ー! こちとら腹減ってんだから、頼んだぜー!」

    魔法使い「せっかくの親孝行、ぬかりなくやるのよー」



    勇者(こいつらが……、こいつらが、仲間でさえなかったら……っ!)

    僧侶(ゆ、勇者様が、拳を震わせながら、般若のような表情に……!?)

    56 = 1 :



      ~魔王城~


    魔王(ああー、オレ本当に魔王やらされてるのかー)

    魔王(まじで困る。今にもバレそうで本気で困る)

    魔王(……もしバレたら、城中の魔物にボコボコにされちまうんだろうなぁ)



    魔王「…………」






    魔王(な、なにか魔王になりすますために、いいアイテムはないかっ!?)ガサゴソ

    57 = 1 :



      まおうは ほんだなを しらべた。
      まおうは 「まおうのこころえ」を みつけた! ▼



    魔王「おっ! いいもんみっけ! こいつは使えそうだぞ!」

    魔王「なになに、『本書は全六章に分けて構成されており、』……」

    魔王「『この本を読むと、魔王になったばかりの君も、困った時にどうしたらいいか分かります。』」

    魔王「そいつはありがたいな! 今のオレに超必要な本だぜ!」



    魔王「えーと、『なお、なるべく早く、魔王のいろはを身につけたいというあなたには……』」

    魔王「『実際の場面と想定して、練習しながら読むことをお薦めします。』」

    魔王「なるほど、確かに。練習って大事だよな」



    魔王「よーし、じゃあこの花瓶と文鎮を、さっきの見張り達と見立てて、練習してみるか」

    58 = 1 :


     『 第一章――「高笑いで出迎えよう」

       第一印象は大事です。
       初めて会った時から、魔界の王者としての威厳を見せつけるなら、
       出会ったばかりの相手も、あなたに屈服するでしょう。
       また、笑い飛ばすことで、あなたの緊張や不安も吹き飛ばすことができます。 』



    魔王「なるほどー。笑って登場することは、そんなに大切だったんだな」

    魔王「えーと、こんな感じかな?」






    魔王「ククク……、ハーッハッハッハッハ! 誰かと思えば、見張りどもかっ!」

    59 = 1 :


     『 第二章――「相手をほめつつ、けなしてみよう」

       あなたは魔王といえど、王様です。 
       目下の者とはいえ、相手のがんばったことを認めて、敬意を示してあげましょう。
       でも、褒めてばかりだと、魔王ではなく、ただの良い王様になってしまいます。
       ゆえに、適度に、毒や皮肉や罵倒を浴びせることを、忘れてはいけません。 』



    魔王「へー、魔王でも誰かを褒めてやんないといけないんだな」

    魔王「意外とためになる本だな、……どれ」






    魔王「いつもご苦労だな、見張りども!」

    魔王「ただし、万が一、子ネズミ一匹侵入をゆるそうものならば……」

    魔王「貴様らの首は、職的にも物理的にも無いものと思え!」



    魔王(……なんか、ちょっと楽しくなってきたぞ)

    60 = 1 :


     『 第三章――「取引をもちかけてみよう」

       ここで高度なテクニックを紹介です。
       あなたは魔王なので、様々な権力や力を持っています。
       そこで、困った時は、相手に条件と、それに見合った報酬を突きつけ、取引をしてみましょう。
       取引は、いろんな場面で使えるテクニックなので、
       いざという時のために、マスターしておくと便利です。 』



    魔王「ふむふむ、取引かぁ。ちょっと小難しくなってきたな」

    魔王「えーと、どんな感じにやったらいいかな……」






    魔王「もしも、貴様らが、勇者を追いかえすことができたなら……」

    魔王「貴様ら二人に、魔王軍幹部の席を用意してやろう!」



    魔王(よーし、だんだん、つかめてきた気がするぜ。この調子で、どんどん進めてみるか!)

    61 = 1 :


     『 第四章――「力づくで何とかしてみよう」

       もしも、トラブルや問題がなかなか片付かなかったら、
       自分の力で解決してみましょう。
       魔王の力や威厳を見せつけるために、戦闘に持ち込むこともお薦めです。
       相手と自分の、圧倒的な力の差を見せつけてください。 』






    魔王「何ぃっ!? 勇者を逃しただと!?」

    魔王「馬鹿者どもめ! 役立たずな貴様らは、このオレが直々に懲らしめてくれるわ!!」

    62 = 1 :


     『 第五章――「手強かったら、真の姿を現してみよう」

       ごく稀に、力技だけでは解決しないトラブルもあります。
       しかし、そんな時のために、とっておきの切り札があります。
       それは、あなたの真の姿を現すことです。
       魔王たる者、最初から全力で戦ってはなりません。
       何段階かに分けて変身し、本当の力を見せつけることで、
       相手に、絶望と恐怖を、幾重にも植え付けることができます。 』






    魔王「ちぃっ、見張りの分際で、オレをここまで追い詰めるとはな……!」

    魔王「だが、見張りどもめ、とくと見よ! そして絶望しろ! これが魔王の真の姿だ――!」

    63 = 1 :


     『 第六章――「負ける時は、潔く負けよう」

       これが最終章です。
       もしも、あなたがどんな手を尽くしても、敵わないことがあったなら、潔く負けてください。
       ただし、相手の記憶にいつまでも残るように、美しくかつド派手に散ることが大切です。
       あなたは負ける時も、なお魔王なのです。 』






    魔王「ば、ばかな……!」

    魔王「この魔王が、たかが、見張りごときに……ッ!?」

    魔王「う、ぐ……、ぎ、」

    魔王「ぐぎゃぁああ、あああああーーーっ!!」

    64 = 1 :


    魔王「…………」

    魔王「…………」

    魔王「…………」



    魔王「……なんか、途中から、話の流れが変だったような気がする」

    魔王「どっかのページ飛ばしたかな……?」パラパラ

    65 = 1 :


    魔王「…………」パラパラ

    魔王「…………」パラ…

    魔王「……あっ!」






    魔王「……いま表紙みて気づいた。これ『魔王の心得――対勇者編』だったのか」

    魔王「なーんだ……。あいつが来るまで使えないじゃん、この本。ちぇっ」






    側近(…………)

    側近(……魔王様が心配だったから、少し様子を見に来てみたら、)

    側近(さっきから、花瓶と文鎮どなりつけて、何をしてらっしゃるんでしょうか……?)

    66 = 1 :

    本日はここまでです。
    読んで下さった方、コメくださった方、ありがとうございます。
    また今週来ます。

    67 :


    これは面白い
    期待

    68 :

    おっつん

    69 :


    面白いね

    70 :

    おつ

    72 :



      ~勇者の家~


    勇者「……母さん、野菜切れたよ」

    勇者「ありがと、そこに置いといてちょうだい」

    勇者「ああ」

    勇者「それと、洗いものもお願いね」

    勇者「わかった」



    勇者「あら……?」

    勇者「なんだ?」

    73 = 1 :


    勇者「少し見ないうちに、野菜の切り方上手になったじゃない」

    勇者「え?」

    勇者「厚さも均一だし、皮の剥き残しもないし……」

    勇者「そ、そうか?」

    勇者「上達したわね。さすが我が息子よ」

    勇者「…………」



    勇者(……幼少の頃、魔王学を真面目に勉強しておいてよかった)

    勇者(当時は、なぜこんなことまで学ぶんだろうと疑問に思ってたが、)

    勇者(まさか、この場面で調理技術が役に立つとは……)

    74 = 1 :


    勇者「…………」

    勇者「…………」

    勇者(……気まずい)



    勇者「……ねえ」

    勇者「……! なんだ?」

    勇者「最近どう?」

    勇者「……な、何がだ?」

    勇者「いろいろよ。旅とか、戦いとか」

    勇者「ああ……、順調にやっているが?」

    勇者「そう、それは良かった」

    勇者「…………」

    勇者「…………」



    勇者(に、日常会話って、こんなに難しいものなのか……?)

    75 = 1 :


    勇者「あのね」

    勇者(……今度はなんだ?)

    勇者「お母さんはね、たまにとてつもなく心配になる時があるのよ」

    勇者「…………」

    勇者「あなたのことを信頼していないわけじゃないけれど、」

    勇者「…………」

    勇者「母親の“さが”なんでしょうね」

    勇者「…………」

    勇者「だから、こうしてたまに顔を見せてくれると、心の底から嬉しいわ」

    勇者「…………」



    勇者「魔王討伐、がんばってね」

    勇者「……ああ」

    76 = 1 :


    勇者(…………、皮肉なことに)

    勇者(今、隣にいる男は、息子でも勇者でもなく、その魔王本人なのだがな)

    勇者(魔王と知らず、ここまで親切にされてしまうと、呆気にも似た同情を感じる)

    勇者(まあ、母親にも関わらず、見抜けないのは問題だが……)

    勇者(…………)






    勇者(とはいえ、一つだけはっきりしたことがある)

    勇者(魔族も魔物も人間も、どの種族でも、)

    勇者(――母親は偉大なものらしい)

    77 = 1 :


    勇者「はい、味見おねがい」

    勇者「ああ、……」

    勇者「どう?」

    勇者「……良いと思う」

    勇者「ふふ、よかった。じゃあ、みんなで食べましょうか」



    勇者(……いちいち、いろいろと気恥ずかしいが、)

    勇者(勇者の家は、これが普通なんだろうな……)

    勇者(…………)

    78 = 1 :



      ~魔王城~


    側近「魔王様、魔王様」コンコン

    魔王(ん、あの声は側近か……)



    魔王「なんだ?」

    側近「昼食のご用意ができたようです。お部屋までお持ちしてもよろしいでしょうか?」

    魔王「ああ、ありがとう……。持ってきてくれ」

    側近「かしこまりました」

    79 = 1 :


    魔王(……メシかぁ)

    魔王(ちょうど腹減ってたから、嬉しいなーっと♪)



    魔王(……けど、魔王って、何食べるんだろう)

    魔王(どちらかというと、草食じゃなくて肉食だと思うけど)

    魔王(……肉、か)

    魔王(…………)



    魔王(やっぱ人肉……!?)

    80 = 1 :


    側近「魔王様、魔王様。昼食をお持ちいたしました」

    魔王「……あ、ああ! 入ってくれ!」

    側近「失礼致します」



    魔王「ガクガクブルブル」

    側近「…………」



    側近「……なぜ震えているのですか?」

    81 = 1 :


    側近「さて、本日のメニューですが……」

    魔王(……やっぱ人肉か!? 人肉のオンパレードなのか!?)ガクブル



    側近「魔界南瓜のクリームスープ。腐れ百合と黒トマトのサラダ。」

    魔王「…………」

    側近「メインは、鬼ヤリイカと朧六枚貝の魔性海鮮パスタ」

    魔王「…………」

    側近「デザートは、蠍苺のミルフィーユ、七色ジェラート添えです」

    魔王「…………」



    側近「……復唱致しましょうか?」

    魔王「あ、いやいや、大丈夫!」

    82 = 1 :


    魔王(……なんか、すげえのが運ばれてきたな)

    魔王(さすが魔王のランチ)

    魔王(でも、変な名前のが多いような気が……)



    側近「何か質問が御座いますか?」

    魔王「ぅえっ!? な、なんで?」

    側近「何か、聞きたそうなお顔をされていたので……」



    魔王「あー、えっと、じゃあ、この食べ物の材料って、どこで手に入れたんだ?」

    83 = 1 :


    側近「野菜、魚介、果物、調味料……、全て魔界で獲れたものですよ」

    魔王(魔界産なのか。道理で知らないわけだ……)

    側近「魔界直送の食材をふんだんに使って、ここの専属シェフ達が腕を振るって作りました」

    魔王「へぇ……」

    側近「人間界の食材は、魔族にとって栄養価が低すぎますからね」

    魔王「なるほど」

    側近「その烏賊と貝も、今朝、魔界の海で獲れたものですよ」

    魔王「そうか。あ、もう一つ質問」

    側近「なんなりと」

    魔王「……この飯、人肉とか入ってないよね?」

    84 = 1 :


    側近「入ってないですよ。だって、魔王様は人間の肉がお嫌いでしょう?」

    魔王「ほっ、良かったー……。え、そうだっけ?」

    側近「ええ。人間の肉は臭すぎるとか、嫌な味がするとか、いつも言ってるじゃないですか」

    魔王「そ、そうなのか」

    側近「実際は、高タンパク・高カロリーな素敵な食材なんですけどね。私も大好物ですけど……」

    魔王(……人肉が、素敵食材。好物……)

    側近「まあ、魔王様の高貴な舌には、合わない食材だったということでしょう」

    魔王「……まあ、そういうことだな」



    魔王(……助かった。魔王が偏食家で助かった……!)ドキドキドキ

    85 = 1 :


    側近「ささ、魔王様。冷めないうちに……」

    魔王「あ、ああ……、いただきます」パク

    側近「…………」

    魔王「…………」モグモグモグ

    側近「…………」

    魔王「…………」ゴックン

    側近「…………」

    魔王「…………」






    魔王「なにコレ美味すぎ!!」ガツガツガブガブ!

    側近(……! 物凄い勢いで食べ始めた!?)

    86 = 1 :


    魔王「やっべー、超うめー! 側近、パスタとサラダのおかわり頼む!」

    側近「はい、かしこまりました」

    魔王「あ。それと、もう一つ頼みたいんだけど……」

    側近「?」



    魔王「厨房のシェフ全員に伝えてくれ。『すんげー美味い。ありがとうな』ってな」

    側近「――!」






    側近「かしこまりました。魔王様の仰せのままに……」

    87 = 1 :


    側近「…………」スタスタ

    側近「…………」



    側近(……ものすごく珍しい)

    側近(あの魔王様が、お食事をお褒めになるだなんて……)

    側近(普段だったら、『まあまあだな』とか、『悪くなかった』としか言わないのに)

    側近(……しかも、シェフにまで伝言だなんて、ここ百数年なかったことだわ)

    側近(というか、いつもより、全体的に雰囲気がくだけてる気がする……)



    側近(……まさか、)






    側近「あの魔王様は――」


    88 = 1 :



      ~勇者の家~


    戦士「うおお! すっげぇうめー!」

    僧侶「最高においしいです!」

    魔法使い「さすが勇者のお母様、おいしすぎですねー」

    勇者「ふふ、ありがとう。まだまだあるから、たくさん食べてね」

    勇者「…………」

    勇者「どう? おいしい? 自分も手伝った料理のお味は」

    勇者「…………」

    89 = 1 :


    勇者(……正直のところ、味が薄い)

    勇者(料理の味付けがというわけでなく、素材の味が……)

    勇者(城に取り寄せられる食材は、魔界の最高級品ばかりだったしな……)

    勇者(やはり、人間の食物は、魔族の俺には合わなかったというわけか)

    勇者(……だが、)



    勇者「美味いと思う……」

    勇者「そう、よかった」

    勇者「……おかわり」

    勇者「はいはい、ちょっと待っててね」



    勇者(……別に、世辞でも嘘でもないぞ)

    勇者(舌には合わなかったが、なぜか美味いと感じたんだ)

    90 = 1 :


    勇者「はい、どうぞ」

    勇者「……ありがとう」

    勇者「それで、みなさんは今日はこの後、何する予定なの?」



    勇者「――!?」

    勇者(しまった、まだ何も考えてなかった)



    戦士「うーん、何って言われましてもねぇ……」

    僧侶「決まってますよ! 魔王城です!」

    魔法使い「えー、またー? 最近、通いづめで飽きちゃったよー」

    勇者「あらあら、どうするの? 勇者」



    勇者(どうするの、と言われても……)

    91 = 1 :


    勇者(こんな時、勇者だったらなんて言うだろうか……)

    勇者(……あの弱小単純馬鹿のことだ。即、「魔王城!」と答えるだろうな)



    勇者(だが、俺としては、あまりそれは好ましくない)

    勇者(せっかく魔王の仕事から離れられたのに、すぐに戻るのは気が進まん)

    勇者(最低でも、もう2~3日、こうしていたいのが本音)

    勇者(その理由を、上手くカバーできる言い訳は……)



    勇者(…………)

    92 = 1 :


    勇者「――そうだな。当然、魔王城で魔王を倒すことが一番の目的だ」

    勇者「しかし、現状を見る限り、何度立ち向かっても時間の無駄……」

    勇者「となると、魔王を討つべく、万全に備える必要がある」



    戦士「へー。で、どんな準備するんだ?」



    勇者(……それを、今から考えようとしてたんだが)

    93 = 1 :


    僧侶「あ、じゃあ、勇者様! あそこに行ってみましょうよ!」

    勇者「どこへだ?」

    僧侶「以前、行こうと思ってて、なかなか行けなかった“古代の迷宮”です」



    魔法使い「あー。そういえば、そんなダンジョンもあったねー」

    戦士「なんだっけ、それ?」

    僧侶「伝説の武具が封印されている古代遺跡ですよ」

    魔法使い「ダンジョンは難解だし、魔王城並にモンスター強かったから、後回しにしてたのよねー」

    勇者(……ほう)






    戦士「なるほどな……。全く記憶に無いぜ!」

    魔法使い「あんた洞窟に入るなり、強豪モンスターに瞬殺されたからね」

    94 = 1 :


    勇者(……伝説の武具か)

    勇者(その昔、伝説の勇者が装備していたと謳われる最強装備……)

    勇者(無論、それらの武具は勇者にしか装備できないという……)

    勇者(興味が無いわけではないが、魔王の俺が勇者の冒険を進めてやるのは、何だか癪だな)

    勇者(……まあ、単なる暇つぶしと思えばいいか)

    勇者(適当な所で退いて、やはり魔王城に向かおうと言ってもいいわけだし)



    勇者「決まりだな。では、“古代の迷宮”に行くとするか」

    戦士 & 僧侶 & 魔法使い「賛成ーーー!」






    勇者「みなさーん、果物剥けましたよー」

    戦士 & 僧侶 & 魔法使い「食べまーーーす!」



    勇者(…………おい)

    95 = 1 :

    今日はここまで。
    読んで下さった方&コメントくださった方、ありがとうございます。
    また今週書きにきます。

    96 :

    側近はどこまで鋭いのか気になるな

    98 :

    続きを楽しみにまってる

    99 :

    おつ

    100 :



      ~魔王城~


    魔王「うめぇええっ! ミルフィーユ美味すぎ!」

    側近「お気に召されたようで何よりです」

    魔王「ジェラートも極上だな! ミルフィーユに乗せて食べると、さらに極上!」

    側近「おかわりお持ちしましょうか?」

    魔王「ああ、頼む!」

    側近「かしこまりました」


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