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    元スレ魔王「俺も勇者やりたい」 勇者「は?」

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    251 = 1 :


    大賢者「でも、それだけでは、疑う要素にはならないのでは?」

    魔法使い「そうね。だからその時は、勇者には深くは突っ込まなかったわ」

    大賢者「序盤でかまをかけておくと、あとあとが怖いですからね」

    魔法使い「だから、当面、勇者を“疑っていない”ポーズをとることにしたの」

    大賢者「潜伏からの真偽特定ということですか。考えましたね」

    魔法使い「『疑ってませんよー』って雰囲気出してたら、向こうも油断すると思ってね……」



    魔法使い「でも、何もしなかったら、向こうも簡単に尻尾を出さないだろうなーと思ってさ」

    大賢者「ふむ……」

    魔法使い「……せっかくだし、いきなり勇者のお母さんに会ってもらったわ」

    大賢者「なるほど、身内の眼に頼りますか」

    魔法使い「でも、特になんもなかった。お母さんもなんも言って無かったし」

    大賢者「予想通りの収穫はなかったんですね」

    252 = 1 :


    魔法使い「さすがに、お母さんは気づいてくれると思ったんだけどね」

    大賢者「切り札が一枚消えましたね」

    魔法使い「うーん、勇者のお母さん、けっこうおっとり系だからなぁ……」

    大賢者「気づいていなかったか、あるいは気づいてて言わなかったか……」

    魔法使い「どちらにしても、勇者のお母さんって大物かもね」






    勇者「はっ……くしゅん!」

    勇者「あら大変、ポークソテーに胡椒かけすぎちゃったわ」

    253 = 1 :


    大賢者「しかし、勇者が本物だから、お母様が何も言わなかったというのも考えられるのでは?」

    魔法使い「まっさかー、この短期間であんなに落ち付き払えるもんですか、あの勇者が」

    大賢者「話を整理すると、その勇者とお母さんの件、四通りの答えがでる可能性がありますね」

    魔法使い「四通り?」



    大賢者「1・勇者は本物なので、お母様は何も言わなかった」

    魔法使い「ふんふん」


    大賢者「2・勇者は偽物で、お母様も気づかなかった」

    魔法使い「ほうほう。あ、私は2派ね」


    大賢者「3・勇者は偽物で、お母様は気づいていたけど、何も言わなかった」

    魔法使い「3だとしたら、お母さんに聞きに行くのが早道かもね」


    大賢者「でも、回答が4だとすれば、その選択は危険ですよ」

    魔法使い「は? じゃあ、4って何よ」

    254 = 1 :





    大賢者「4・勇者は偽物で、お母様も “偽物” だから、偽勇者をかばって何も言わなかった」


    魔法使い「     」




    魔法使い「……ちょっと! 変な空想やめてよ! 鳥肌立った!」

    大賢者「確率だけに焦点を合わせるなら、こんな仮説も作れるんですよ」

    魔法使い「余計なことすんな! 今、勇者について話してるんでしょーが!」

    大賢者「これは失敬。で、他に勇者を疑う要素はあるんですか?」

    255 = 1 :


    魔法使い「そうねえ、たとえば、戦闘中なのにボーっとしてることもあったし、」

    魔法使い「いつもガンガン攻めろみたいな戦法のはずが、今日に限って『逃げる』なんて指示だすし、」

    魔法使い「かと思えば、ゴーレム戦で、いつになく頭使った戦術も繰り出すし、」

    魔法使い「その時使った火炎魔法の魔力も、勇者にしてはちょっと強すぎるし……」



    大賢者「態度だけでなく、戦術や魔力にも変化が見られると? もはや別人ですね」

    魔法使い「でしょ。外見は勇者そのものなんだけど、性格とか思考とかガラッと変わっててさ」

    大賢者「さすがにそれは妖しすぎます」

    魔法使い「ほんとにねー。あの勇者を疑ってないやつがいるとしたら、そいつ頭がどうかしてるわよ」







    戦士「ぶぇっきしーんっ!!」

    勇者「やっぱり風邪じゃないか、戦士」

    256 = 1 :


    魔法使い「でも、まだ決定打がないのよ。偽物だっていう証拠がさ」

    大賢者「証拠ですか……」

    魔法使い「それさえ分かれば、『貴様、偽物だな! 名を名乗れ!』って問い詰めるんだけど」

    大賢者「確かに、わたしもその勇者が、本物かどうか知りたくなってきました」

    魔法使い「ということでさ、なんか知恵貸してくんない?」

    大賢者「……そうですねー」






    大賢者「では、こんな案はどうでしょう」

    魔法使い「お、何々?」

    257 = 1 :


    大賢者「あなた達は今、“古代の迷宮”を探索中ですね?」

    魔法使い「うん、今日は入り口で帰ってきちゃったけどね」

    大賢者「“古代の迷宮”には、勇者にしか装備できない伝説の武具がある。ゆえに……」

    魔法使い「ゆえに?」





    大賢者「――ダンジョンで見つけた伝説の武具を、すぐに勇者に装備させたらいいんですよ」





    魔法使い「 ! 」

    大賢者「勇者が本物なら、装備できます。勇者が偽物なら、装備できません」

    魔法使い「さっすが師匠! 冴えてるじゃん!」

    大賢者「これでも賢者ですから」

    魔法使い「亀の甲より年の功とは、よく言ったもんだわ!」

    大賢者「褒めてるつもりなんでしょうけど、嬉しくない発言ですねぇ」

    258 = 1 :


    魔法使い「ありがとうね、師匠! 頼れる師だわ!」

    大賢者「どういたしまして、久々に弟子に会えたのは嬉しかったですよ」

    魔法使い「よーし、こうなったら、明日にでも迷宮攻略して、伝説の武具をゲットしなきゃ!」

    大賢者「気合いが入ってる弟子を見るのは、楽しいですね。あ、一つ質問が」

    魔法使い「何よ」



    大賢者「どうしてそんなに、勇者の正体を暴きたいんですか?」

    魔法使い「え。もちろん、偽の勇者に、本物の勇者の居場所を聞き出して、勇者助けるのよ」

    大賢者「……なるほど、ですね」

    魔法使い「あいつがいないと、魔王が倒せないからね」

    大賢者「それ以外に理由は?」

    魔法使い「え?」

    大賢者「頭脳明晰なあなたが、それだけの理由で動く人間とは思えません」

    魔法使い「…………」

    259 = 1 :


    大賢者「あなた、幼いころから、そんなところありましたよね」

    大賢者「自分の目的を達成するために、本心を隠したまま行動する」

    大賢者「建前の理由を前面に出して、誰にも本音を伝えない」

    魔法使い「…………」



    大賢者「わたしに魔法を教えろと言った時も、そうでした」

    大賢者「喧嘩した男の子に仕返しする、というのは建前」

    大賢者「本音は、いつも危なっかい遊びをして、大人にさえ喧嘩腰だった、その男の子の身を案じて、」

    大賢者「彼が大変な時に、自分が助けられるように、魔法の力を得たかった」

    魔法使い「…………」



    大賢者「今回もそうです」

    大賢者「勇者を疑って暗躍を図りながらも、仲間の誰にもそれを伝えていない」

    大賢者「今日、わたしの元に来たことも、どうせ誰にも伝えていないんでしょう?」

    魔法使い「…………」

    260 = 1 :


    大賢者「師匠として言わせてもらいますが、あなたはもう少し、人を信頼した方がいい」

    魔法使い「…………」


    大賢者「そんな生き方していたら、いつか誤解の袋小路に立たされますよ」

    魔法使い「…………」


    大賢者「もっと、みんなに本音を話すようにしたらいいじゃないですか」

    魔法使い「…………」


    大賢者「でないと、本当のあなたを知らない人々が増えていくだけです」

    魔法使い「…………」

    261 = 1 :


    大賢者「ちなみに、これは助言ではなく、予言です」

    魔法使い「…………」


    大賢者「何故そんな未来がわたしに分かるのか、聞きたいような顔してますね」

    魔法使い「…………」



    大賢者「あなた、昔のわたしにそっくりなんですよ」

    大賢者「今のあなたは、過去のわたしで、今のわたしは、未来のあなたです」

    大賢者「もう少し自分を出すようにしないと、こんな風に孤独に余生を過ごすことになりますよ」

    大賢者「わたしは嫌いじゃないですけど、はっきり言って、こんな生活、あまりお薦めできませんね」






    魔法使い「…………」

    262 = 1 :


    魔法使い「…………」ガタッ

    大賢者「御帰りですか?」

    魔法使い「…………」コクン

    大賢者「夜道に気をつけてくださいね」

    魔法使い「…………」ス…

    大賢者「その包みは、お土産ですか?」

    魔法使い「…………」コクン

    大賢者「ありがたく頂戴しておきますよ。わたしの好きなお菓子、覚えててくれたんですね」

    魔法使い「…………じゃあね、師匠」

    大賢者「……ええ。いつでも、どうぞ。お待ちしてますよ」


      バタン


    大賢者「…………」

    大賢者「都合が悪くなると、黙り込んじゃう癖は、子供の時から変わって無いですね」

    大賢者「……さて、お菓子でもいただきますか」

    263 = 1 :


    魔法使い「…………」スタスタ

    魔法使い「…………」スタスタ


    魔法使い(本音かぁ……)

    魔法使い(うまく説明できないから、言いたくないだけなんだよね)


    魔法使い(子供のころに、町を魔物に襲撃されて、大好きな村をめちゃくちゃにされて、)

    魔法使い(こんな悲しみを、誰にも経験してほしくないから、勇者の仲間になった)

    魔法使い(一日でも早く勇者と一緒に、魔王を倒して、)

    魔法使い(もうどこかの町や村が、魔物に襲われないようにしたいだけ)

    魔法使い(そのためには、本物の勇者が力が必要。ただそれだけ)


    魔法使い(この場合、復讐ともとれるし、世直しともとれるし、)

    魔法使い(自分の気持ちを素直に言うって、骨が折れるよなぁー)




    魔法使い「あー、疲れたー。温泉入りたいー」スタスタ

    264 = 1 :

    今日はここまでです。
    魔法使いと大賢者の会話がほとんどになってしまいました。

    読んでくださってありがとうございます。
    感想や乙もはげみになっております。嬉しいです。
    また今週来ます。

    268 :



      ~露天風呂・男湯~


    戦士「いいかー、100まで数えるんだぞー」

    勇者「……ああ」

    戦士「のぼせそうになったら、『ギブアッープ!』って言ってあがるんだぞー」

    勇者「……分かった」

    戦士「そんじゃー、いーち。にーい。さーん……」

    勇者「…………」



    勇者(やっぱり、思ってたより熱くないな。なんだか、物足りない)

    勇者(しかし、人間の身体としては、適温なんだろうな。身体がポカポカしてきた)

    勇者(……気持ちいいな)チャプ



    戦士「お、ちゃんと肩までつかるなんて、偉いなー」

    269 = 1 :


    勇者(それにしても、魔王城の方は大丈夫だろうか……)

    勇者(たしか、今日も会議があったよな。あの弱小、上手くやってるだろうか)

    勇者(こういう何も無い時間って、余計なことばかり、考えてしまうな……)



    勇者(あいつ、この時間、何をしてるだろうか)

    勇者(会議はとっくのとうに終わって、たぶん夕食も済んで……)

    勇者(夜やることといえば、あとは風呂と寝る準備と……それと)

    勇者(…………!!)






    勇者「しぃまったぁあーーーー!」ザッパァ

    戦士「おーい勇者ー、そこは『ギブアップ』だっつーに」

    270 = 1 :



      ~魔王城・魔王の部屋~


    側近「それでは魔王様、また明日来ますね」

    魔王「ああ、いろいろとありがとうな。側近」

    側近「寝間着は鏡台においてあります。何か欲しいものがあれば何時でも呼んでください。それと……」

    魔王「それと?」



    側近「寝る前には“魔王の記録”を、しっかりつけてくださいね」



    魔王「……ん? 魔王の、記録?」

    271 = 1 :


    側近「ご存じありませんか?」

    魔王「うん、知らない。つーか初耳」

    側近「そうですか、ならば説明を。魔王の記録とは、とどのつまり日記みたいなものです」

    魔王「はぁ」


    側近「三代前の魔王様が、日々何をしたか、勇者の動向はどうか、などを記録しはじめて、」

    側近「以来、先代魔王様、そして現魔王様が、毎日の記録を残しているのです」


    魔王「三代前ってことは……、今の魔王のじいちゃん?」

    側近「まあ、そういうことになりますね」

    魔王「でもなんで、記録を?」

    側近「さぁ、さすがの私も2000年前のことは分かりません」

    魔王「そっか、それじゃあ仕方ないな」

    側近「ちなみに、先代魔王様の話によると、『記録を残したら後世の魔王のためになる』とか言ってたような」

    魔王「へーーー」

    魔王(……あれ? 側近って今何歳?)

    272 = 1 :


    魔王「まー、なんていうか……、勇者風に言うと“冒険の書”みたいなもんか」

    側近「そうかもしれませんね。ちなみに、魔王の記録は一番奥の本棚の左上にあります」

    魔王「そっか。ちなみに、偽物の魔王も、記録書かないと駄目?」

    側近「5歳から魔王に就任した魔王様も、毎日欠かさず書き続けてますよ」

    魔王「律儀だなー、魔王って。分かった、一応書いておくよ」

    側近「助かります。それでは、魔王様、また明日……」

    魔王「おう、じゃな」



      ――バタン



    魔王「…………」

    魔王「…………」

    魔王「……さァて」ユラリ…



    魔王「魔王の日記かァ……。そんな面白ぇモンが拝めるとは、思ってもみなかったなぁ……」ニタァ

    273 = 1 :



     まおうは ほんだなを しらべた。

     まおうは 「まおうのきろく」を みつけた! ▼



    魔王「じゃじゃーん! ついに見つけたぜー!」

    魔王「いやぁ、人の日記のぞくのって、なんでこんなに楽しいんだろうなー」ホコホコ

    魔王「……お、これ一週間前の日付じゃん。どんなこと書いてあるのかなーっと」ペラ



     『  ……暦 д月ы日


      弱小勇者がまた魔王城にやってきた。

      事務処理の途中だったから、煩わしくて早々に片づけた。

      懲りない馬鹿が勇者になると心底面倒だな。 』



    魔王「な、なにおうっ!?」

    274 = 1 :


    魔王「えっと、他の日付は……」パラパラ


     『  ……暦 д月л日


      会議で、勇者を倒すために、ダンジョン内のモンスターの強化について話し合った。

      海魔人と氷精霊が小競り合いを始めたから、激しい炎を吐いて黙らせた。

      結局、会議は終わらなくて、議決は次回に持ち越しになった。

      とはいえ、あの弱小勇者が相手だし、モンスターの強化しなくても、全然充分だと思うが。 』


    魔王「こ、こいつ……!」


     『  ……暦 ц月в日


      偵察隊からの報告。勇者たちは、まだ最初のダンジョンで手こずってるようだ。

      予算を低めでこしらえた、罠も少ないダンジョンで、何度も迷い、魔物に全滅させられているらしい。

      正直言って、失望だ。大丈夫か、この勇者。薬草が切れた? なんで買い溜めてこなかったんだ?

      これほどまで、弱小な勇者は初めて見たぞ。相手は雑魚のはずなのに、こいつは雑魚以下の弱小だな。 』


    魔王「……言いたい放題、言いやがってーーー!」

    275 = 1 :


    魔王「ん。……ここは、この記録の最初のページか」パラ…



     『  ……暦 б月ф日


      ついに勇者の一族から、新たな勇者が生まれたらしい。

      そいつは今日で16になったようだ。偵察隊の情報によると、酒場で仲間を集めているとのこと。

      これまで500年、様々な勇者を相手にしてきたが、骨のある奴はほんの一握りしかいなかった。

      こいつは俺を楽しませてくれるだろうか。魔王の仕事なんて雑務ばかりだから、いい加減飽き飽きしている。

      新しい勇者がどんな奴かは、まだわからない。

      だが、このつまらん生活が勇者の介入で、すこしでも面白くなるんじゃないか、と期待している。 』



    魔王「…………」

    魔王「あいつ……」

    魔王「……相当退屈してたんだなぁ」

    276 = 1 :


    魔王「とりあえず、俺も書いておくか」カキカキ




     『  ……歴 д月зе日


      今日は昼飯と夕飯が超美味かった! 特にステーキ!

      それから、側近はちょっと怖いけど優しい奴だって分かった。

      魔王の仕事が、すげー大変だってのも分かった。

      仲間から魔王の座を狙われてるって聞いて、ちょっとショックだった。

      会議はかなり緊張した。なんであいつら、あんなに協調性ないんだろうな。なんだか心配だ。 』




    魔王「……よし、こんな感じかな。上出来だぜ、オレ!」

    277 = 1 :


    魔王「じゃあ、魔王の記録をしまって……と」



       ――バサッ



    魔王「ん、なんか落ちた?」

    魔王「へー、古い本だなぁ。なんの本だ?」パラ…



      『  ○が つ  X にち


        おとぉ さんが あたらし ぃ まほお おしえて くれ た

      あまり じょぅずに できなかった

            でも おとおさ ん が がんばれ って いった から がんばる!! 』



    魔王「読みづらっ! なにこの汚い字!」

    魔王「どこのガキの落書き帳だ? えーと……」パラパラ

    278 = 1 :


    魔王「あ。」




      『  きょおは ぼく の 5さいの たんじょおび

             おとぉさん から この きろくしょ をもら った

        おとおさんは きょお まおおのきろく のこと おしえて くれた

      ぼく もいつか まおおに なる から  きろく お つけなさい だって

          きょお から まいにち かくって おとおさん と やくそく した』




    魔王「……もしかして、もしかするけどよ」

    魔王「これ、魔王のガキのころの日記……?」



    魔王「…………」ニタァー



    魔王「よーし読もう。全部読もう。舐めつくすかのように読み切ろう」パラパラパラ

    279 = 1 :

    今日はここまで。たぶん明日続き投下します。
    読んでくださりありがとうございます。

    281 :

    面白く読ませてもらってるけど、うまくレスが思い浮かばず、しかし淡白に乙と云うのもなんか気が引けるというか



    283 :

    >>281
    自分の気持ちそのものであり、それも的確と言うか、無駄に装飾することなく書いているオマエも中々。
    文才ねー自分が辛いわ。

    284 :

    面白いなぁ
    側近ちゃんかわええ
    乙!!

    285 :



      ~露天風呂・男湯~


    勇者「うぉおおーーー! させるかぁあーーー!」

    戦士「うわわぁあーー、勇者がご乱心だぁあーーー!」

    勇者「絶対に触れさせんッ! 俺の過去を探らせてたまるかぁあっ!」

    戦士「ちょっ、こら! ストップ! 落ちつけって!!」

    勇者「あの弱小ぉお! 決して五体満足で帰さんぞぉおおおおーーーー!」

    戦士「…………こぉのッ!」



    戦士「――必殺! 戦士ラリアットォオオ!!!」


      ドグシャア!!


    勇者「ごふぁっ!」ドサッ



    戦士「ったく、公共浴場で暴れるなよ。他のお客様に迷惑かかっちまうだろうが」

    286 = 1 :



      ザワザワ……


    戦士「いやぁ、ご迷惑をおかけして、ほんとすんませーん」ヘコヘコ

    勇者「…………」

    戦士「おい勇者ー。何、黙りこくってんだよ。おまえも謝れって」

    勇者「…………」シーン

    戦士「え、もしかして気絶してる……? おかしいな、そんなに力こめたつもりは……ハッ」

    287 = 1 :



    ----【戦士の脳内】---------------------------------------


     いま露天風呂

      ↓

     装備品全部外してる

      ↓

     勇者の守備力はその分下がってる

      ↓

     おれはもともと力自慢

      ↓

     手加減したつもりが、実は勇者のダメージ半端ない

      ↓

     勇者がのびちゃう ←今ここ

    ---------------------------------------------------------


    戦士「ゆ、勇者ーーー! しっかりしろぉおーーー!」

    288 = 1 :



      ~魔王の部屋~


    魔王「さーて、早速魔王の恥ずかしい過去を漁っちゃうぜー」ペラペラ



      『   Γがつ  Πに ち


         おかぁさん と ぷりん お つくった 

       かたまるの まつ じかん が ながく て  まちくたび れた

         ぷりん は すごく おいしかった

            ぼく おかあさんの ぷりん だいすき!  』



    魔王「……プククッ」

    魔王「そぉーかー、まおう君はプリンが好きなのかぁー」ニヤニヤ

    289 = 1 :



      『   Ψがつ α にち 


         きょお おとおさんの おしごとの へやに ないしょで はいってみた

       いろんな かみ が あった  で も  むずかしぃ じ ばかり で  よめなかった


           そしたら おとぉさんのそっきんに みつかっちゃった


         かってに はいっちゃ ダメだって さ    しかられちゃった

        でも おとおさん  には へやに はいったこと ないしょに してくれるって

            おとぉさんのそっきんは すご く やさしいんだよ  』



    魔王「ははは! あのスカした魔王も、やんちゃ坊主だったんだなー! ウケるー!」

    魔王「あー。でも、この魔王の父ちゃんの側近ってさー……」



    魔王「……まさか、だよな?」

    290 = 1 :



      『  Λがつ  Φにち


       きょおは あめが ふった

         おかあさんと きたのたに へ さんぽに いくよていだった から ざんねん

      でも おかあさん は かわりに えほん を よんで くれたょ

            ぼく の だいすきな どらごん がでてくる えほん だよ


          おひるねの とき おねしょ しちゃった

                      おかあさん ごめん なさい 』



    魔王「……!! ま、魔王のやつがおねしょって……!!」バシバシ

    魔王「駄目だ腹痛い! 面白すぎて腹痛い! 死ぬーーー!」

    291 = 1 :


    魔王「はー……、やっと落ちついた。次ーっと」


      『  νにち  Τがつ 


        あした おとおさん と おかあさん は にんげんかい にいくんだって

      ぼくは まだこども だから いっちゃ ダメだって さ

           おとおさんのそっきんと おるすばん だって さ
                                     つまんない

        でも おとお さんが あしたの ぶんも たくさん  あそんで くれた!

       ぼくも おとな だったら にんげんかい に いけたのかな

            はやく おとなに なりたいな

         きょおは おかあさんと いっしょに ねるんだ! うれしぃ! 』



    魔王「……なんだろうね、この魔界のホームドラマ。マジ和む」

    魔王「つーか、この日記。ニヤニヤ笑いが止まらねぇ」ニヤニヤ

    魔王「……魔王のご両親さん、良い人たちだったんだろうな……」

    魔王「えーと、次のページは……」

    292 = 1 :




      





              おとおさん と おかあさん が ころされた






                                                』


    293 = 1 :






         魔王「…………え」




    294 = 1 :



      『  

            もう おとおさん と おかあさん に あえない


        おとおさん とあそべない   おかあさんの ぷりんもたべれない


                 なんで


                            いやだ   どうして


           たくさん ないた  まだ なみだが とまらない

                        
                     でも  そっきん が なぐさめてくれた



           まだ かなしい       おとおさん は おかあさん は どこにいったの


               だれが おとおさん と おかあさん を ころしたの

                        ゆるさない  そいつをころしてやりたい   』

    295 = 1 :



      『  だれも おしえてくれなかった

        おとおさん と おかあさん を ころしたのは だれなのか

        どうして ころしたか        なにも

       そっきんも おしえてくれなかった

       でもそっきんは ぼくに おしえない りゆうを おしえてくれた


         ぼくが それを しったら “ ふくしゅう ” するから だって


        まおうを つぐ のは ぼくしか いないのに

       ぼくが ふくしゅうに いって もし ころされたら みんなが こまるからだって


      ぼくは もう まおうに ならないと いけないんだって

                 ぼく は まだ こどもだけど まおうに ならなきゃいけない  』



    魔王「…………!!」

    296 = 1 :



      『  Τがつ гにち


       たくさん まおうがく の べんきょうを した

       あたらしい じゅもん を 23 こ おぼえた

       ごはんを たべる じかん と ねるじかん が まえより すくなくなった

       じかん が もっとほしい

       はやく おとうさんのような りっぱな まおう に ならなきゃいけない  』



    魔王「…………」

    297 = 1 :



      『  Τがつ зеにち


       さっき こわいゆめ を みた   こわくて ねれない

       おかあさんと いっしょにねれたら おかあさん は だきしめてくれて

       あんしんさせて くれたのに おかあさん……

       ねれないから べんきょう しよう  もっと たくさん べんきょう できるように

       むずかしい じ の べんきょう を しよう   べんきょう したら りっぱなまおうに なれるから 』



    魔王「……おい」

    298 = 1 :



      『  кがつ у日


       きょう も たくさん べんきょう した  でも さいきん ねむれない

       すごくつかれて ねむかったけど がんばった   そっきんが 心ぱい してくれた

       でもいいんだ  だって ぼくは ま王 にならなきゃいけない から

       あした は ま王ぐん の ぜんぶのめいぼ を あんき しなきゃ 』



    魔王「……もういい」

    299 = 1 :



      『  е月 ы日

       ま王軍 の かん部 と会って あいさつした

       少しきん張したけど 大じょうぶ だった

       そっ近 が かん部たちは みんな なかよくないから 気をつけてと おしえてくれた

       みんな を まとめるには 力が ひつよう だとおしえてくれた

                                             力がほしい 』


    魔王「……もういいって」

    300 = 1 :



      『  ф月 ф日


       だれかが ぼくの おやつに 毒を もった

       すぐ吐きだしたけど 、 のどが焼けるようにいたかった

       少し毒をのみこんでしまって、すごく苦しかった

       でも、こんなときのために、側近が毒けし草を もたせててくれてて、よかった

       すぐ毒けし草をのみこんだから、いのちは助かった。運がよかった。

          今日のおやつはプリンだった。 もう二度とプリン食べたくない  』





    魔王「    」


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