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元スレ魔王「俺も勇者やりたい」 勇者「は?」
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やっときやがった乙ッ!
勇者の何考えてるかわかんない感がたまらないな
実際深いことは考えてないかもしれんが
勇者の何考えてるかわかんない感がたまらないな
実際深いことは考えてないかもしれんが
~魔王城・広間~
――ザワザワ ガヤガヤ
氷精霊「……っはー、それにしてもえらい数やなー」
巨人「おぉよ、人間界中の魔物が集まるなんて、初めてだもんなぁああ」
暗黒剣士「広間に入りきらない魔物は、外で待機か。魔王様は一体、何を……」
海魔人「なんにせよ、何か大がかりなことが始まりそうですね」
氷精霊「んー? そういや翼竜のじっちゃんの姿が見えへんで。どないしたん?」
海魔人「あー、それは……」
毒竜「――魔王様に裏切りを働いたとのことで、軍法会議にかけられております」
氷精霊「うわっ、びっくりさせんなや! 誰やあんた!?」
海魔人(なぜ、わざわざ気配を絶って背後に立つんだ毒竜……)
毒竜「お初お目にかかります。翼竜様の部下、毒竜と申します」
巨人「おぉう、よろしくなぁ」
暗黒剣士「翼竜の……。今回の件、大層難儀だったな……」
毒竜「お気遣い感謝。しかし、魔界ではよくあることです」
氷精霊「せやかて、翼竜んとこの軍って、かなり大きいやろ? 大丈夫なん?」
毒竜「無論、しばらく混乱は、治まりませんでしたね」
巨人「翼竜がいなくても、やっていけそうかぁ?」
毒竜「まだ何とも言えませんが、翼竜軍の上層部で話し合って、現在は自分が翼竜様の代理をさせて頂いてます」
海魔人(魔王から指示を受けるまえに対応をとるとは、さすが翼竜軍といったところか……)
海魔人(……そして、ますますこいつが、幹部代理に抜擢される可能性があがったわけだ)
海魔人(憂鬱だ……)
毒竜「海魔人様、自分が代理をやると何か不都合でも?」
海魔人「おまっ……!? 読心術でも体得してるのか!?」
毒竜「いえ、顔にそう出てましたので」
海魔人(全く、こいつは……。不都合極まりないに決まってるだろ……!)
海魔人(昨日の酒場の件で、僕も魔王への裏切りを考えていたことを、こいつは聞いている)
海魔人(告げ口されようものなら、僕だって翼竜の二の舞になりかねない)
海魔人(なんとかして、懐柔しておかなければ……)
毒竜「ちなみに自分、酒や女より、甘味の方が好みです」
海魔人「いちいち僕の顔を読むな! あと賄賂を要求するな!! ふてぶてしい奴め!」
毒竜「チョコとか焼き菓子が、特に好きです」
海魔人「ガマガエル喉に詰まらせて死ね!!」
氷精霊「なしてド突き漫才しとるんや、あんたら」
暗黒剣士「おい、お前たち。魔王様が来られるようだぞ」
氷精霊「しゃーないなー。はいはい、そこなお二人さん、お黙りやー」
海魔人「ん、ああ、もう始ま――」
魔王『…………』
巨人「んぇ?」
氷精霊「はぁあッ!?」
暗黒剣士「――!?」
海魔人「馬鹿な……!!」
毒竜「……あの顔、まるで」
全員「 勇者!? 」
巨人「おぉい、わけわかんねぇぞ? どういうことだぁあ?」
氷精霊「信じられへん! なんで勇者が魔王になっとるんや!?」
暗黒剣士「確かに、勇者だな……。角や牙が生えているが……」
海魔人「一体なんのつもりだ! あんな恰好で、魔王城に侵入するとは……!」
毒竜「覚悟は……、できてるんですかね? この数の魔物の前に、身をさらすなんて――」
ザワザワ
ドヨドヨ
ガヤガヤ
側近(……やはり、混乱は免れないか)
側近(一部の魔物は攻撃体勢に入っている……)
側近(この状況、どうするつもりかしら、勇者――)
魔王『…………』
魔王『――шизумаре, орено ханасиwо кике』
全員「 !!? 」
側近(まさか、勇者が、魔族語を……!?)
側近(魔界の者にしか扱えないという言語を……、あの、勇者が)
側近(これも、体が変わった影響なのかしら……)
魔王『よーし……、全員おとなしくなったな』
魔王『お前たちの言いたいことは、だいたい分かる』
魔王『なぜ、勇者が魔王になった?』
魔王『どうして、勇者のくせに魔族語が使えるのか?』
魔王『本物の魔王はどうなった?』
魔王『ざっとこんなもんだろ』
魔王『お前らの疑問には答える。経緯も話す』
魔王『なるべく手短に済ますつもりだから、最後まで聞いてくれ』
魔王『そもそも、オレと魔王は二日前から入れ替わっていた』
魔王『あいつは、魔王の仕事に退屈したから、勇者やりたいとか言ってたぜ』
巨人(二日前ぇ? 何してた日だったかなぁあ?)
氷精霊(つーことは、あの会議の日からか……。たしかに、ちょっと雰囲気違うてたもんな)
暗黒剣士(では、昨日殺しに行った魔王も、勇者だったと……?)
毒竜(入れ替わってたとなると、港町でみかけた勇者は、魔王様ということに――)
海魔人(クソッ、なにが下流魔族だ。とんだ茶番だったわけだ……)
魔王『最初は、ただの代役をやってたんだけど、あることを起因に、オレの体は変貌した』
魔王『どういう仕組みでこうなったかは、よくわかんねぇけど、オレの体は魔界の者のソレになった』
魔王『姿形がこんなにも変わった』
魔王『魔王に匹敵する力と魔力を手に入れた』
魔王『呪文も呪術も、ソツなくこなせるようになった』
魔王『魔族語だって、話せるし、読めるし、聞けるし、書ける』
魔王『見た目も力も、魔王そのものになったわけだ』
魔王『本物の魔王は、どうなったか分かんねぇな』
魔王『たぶん、オレの仲間たちと一緒にいるんだろうけれど……』
魔王『けっこう強めの呪いをかけてやったから、しばらく身動きとれねぇぜ』
魔王『さーて、とりあえず必要なことは話したかな』
魔王『質問は、全部話し終わってから受け付けるから、そのつもりで聞いてくれ』
魔王『ここからが、本題だ。なんで、オレがこんな恰好で前に出たのかを、話す』
魔王『と、その前に、ここにいる全員、――いや』
魔王『オレの声を聴いているみんなに質問がしたい』
側近(…………)
魔王『――なぁ、おまえたちは、「こんな世界は嫌だ」って思ったことあるか?』
~勇者の家~
勇者母「――そうですか、あの子が、そんなことに」
大賢者「ええ。お辛かったでしょうが、全て聞いてくださり、ありがとうございます」
勇者母「いえ、大事なことを教えてくださって、こちらこそお礼を言わせてちょうだい」
大賢者「わたしも、事の大きさを知った時、まず貴女に伝えなければと思ったんですよ」
勇者母「光栄だわ。もう現役じゃあなくなったと思ってたのに」
大賢者「では、奥様……」
勇者母「ええ、お返事でしょう? もちろん、協力させていただくわ」
大賢者「本当に、有難うございます。わたし一人では、どうしようもできない事態でしたので」
勇者母「これでも、元勇者だもの。困ってる人を、何より――」
勇者母「――道を踏み誤った息子を、見捨てるなんてできないわ」
大賢者「それでは、早速向かいましょうか」
勇者母「ええ、でもちょっと待って、装備を整えていくわ」
大賢者「おや、これは失礼。では、わたしは外で待機してますね」
勇者母「ごめんなさいね、すぐ済ますから」
――パタン
勇者母「…………」
~勇者の家・外~
使い魔「カァ」バサ
大賢者「おや、待たせてしまってすみませんね。偵察ご苦労」
使い魔「カァカァ」
大賢者「……そうですか、城内はそんな事態に。うちの弟子も、大変そうですねぇ」
使い魔「カー」
大賢者「なるほど、伝説の剣は、地下倉庫ですか。どうもありがとうございます」
使い魔「カーカー」
大賢者「ふむ、強固な錠がついてると……。まあ、開錠呪文で一発でしょうね」
大賢者「うちの弟子には悪いですけど、まずは伝説の剣の入手を優先しないと……」
使い魔「カーカーカー」
大賢者「なに、人でなし? 失敬な。一応、悪いなーとは思ってますよ。一応ね」
使い魔「カー……」
大賢者「急がなくていいのか、ですって? まあ、確かにある種、一刻を争う事態ですが……」
大賢者「――母が、子のために涙する時間ぐらい、とってあげるのが人情というやつでは?」
勇者母「…………」
勇者母「…………」
勇者母「…………」
勇者母「…………」
勇者母「……っ、……」ポロ
勇者母「……ぅっ、ふ、」ポロポロ
勇者母「……待っててね、わたしのかわいい子」
勇者母「――お母さんが、必ず助けてあげるからね」
今日の投下はここまでです。
いつも読んでくださりありがとうございます。
コメントや乙も、大変励みになっております。
前回も言いましたが、次スレは>>980に到達したら建てます。
それでは、また来週きます。
いつも読んでくださりありがとうございます。
コメントや乙も、大変励みになっております。
前回も言いましたが、次スレは>>980に到達したら建てます。
それでは、また来週きます。
乙
どうせロシア語だろと思って翻訳してみたらちゃんと意味あってわろた
どうせロシア語だろと思って翻訳してみたらちゃんと意味あってわろた
勇者が魔王になった経緯をかあちゃんは知らないからなぁ
道を踏み外しているのは人間側っぽいのだが・・・
道を踏み外しているのは人間側っぽいのだが・・・
これだから真面目な奴はタチが悪いよな、極端から極端に走りやがる
とりあえず、生存報告です。
忙しくしてなかなかこれなくてすみません。
新スレはそのうち建てますので、建てたら誘導いたします。
忙しくしてなかなかこれなくてすみません。
新スレはそのうち建てますので、建てたら誘導いたします。
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