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    元スレ魔王「俺も勇者やりたい」 勇者「は?」

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    701 = 1 :


    側近「それから、魔王様。食後には、外出の準備をお願いします」

    魔王「え? なんで?」

    側近「二泊三日、魔王をがんばったご褒美として、ある場所を見せてさしあげます。その代り……」

    魔王「その代り?」



    側近「本物の魔王様には、――内緒ですよ?」

    魔王「!? お、おう。分かった」






    魔王(……側近に、ウインクされた)

    魔王(あれ? なに、なんでオレドキドキしてんの?)

    702 = 1 :



      ~勇者の家~


    勇者「……そう。これから魔王城に」

    勇者「ああ、アイテムの補充もすんだ。もう少ししたら発つつもりだ……」



    戦士「うめえ! ケーキまじうめえ!」

    僧侶「勇者様のお母様って、お菓子作りも得意なんですね」

    魔法使い「いやー、これは士気が上がるわ。もう最高ー」



    勇者(……こいつら)

    勇者「ふふ。まだまだあるから、たくさんどうぞ」

    703 = 1 :


    勇者「では、俺はしばらく部屋にいるぞ」

    戦士「おー、いきなりどうした?」

    勇者「調べたいことがあるんだ」

    勇者「あら、魔王戦の前にお勉強だなんて感心ね」

    勇者「というわけで、行ってくる」

    魔法使い「ほいほい、いってらっしゃーい」

    僧侶「…………」

    704 = 1 :



      ~勇者の部屋~


    勇者(そういえば、弱小の部屋に入るのは初めてだな)

    勇者(至って普通の部屋だな。面白くない)

    勇者(長期間空けている割に片付いているのは、母親の仕業と見て間違いないだろう)

    勇者(この部屋を物色するのも一興かもしれないが、今はもっと興味をそそるものがある)



    勇者「……さて」



      ゆうしゃは 「ゆうしゃのけっとうとでんしょう」をつかった!

      ゆうしゃのいちぞくの きげんについて かかれているようだ…… ▼

    705 = 1 :



     『  ****歴、人間は種としての窮地に立たされていた。

        魔界から魔王と魔物たちが侵攻してきたためだ。



        当時は充実した武具も、強力な魔法も数少なく、魔物と戦える人間はほとんどいなかった。

        人間たちは魔物たちにおびえ、逃げ隠れるしかなかった。



        そんな中、「伝説の勇者」が現れた。

        戦闘力に長け、勇猛果敢に魔物と戦う「伝説の勇者」は、まさしく人々の希望であった。

        「伝説の勇者」は、人間界に建てられた魔王城へ攻め入り、魔王を討伐した。

        それだけでなく、魔界へ退却した魔王を追い、たった一人で魔界へ向かった。  』




    勇者(****歴というと、……今から2000年ほど前だな)

    勇者(単独で魔界に行くとは、「伝説の勇者」と言われるだけあるな。なかなか骨のある奴だ)

    706 = 1 :



     『  ……数か月後、あまりにも唐突に、世界に平和は訪れた。

        人間界にやってきた魔物が、魔界へ戻り、姿を消したのだ。

        「伝説の勇者」が魔王を倒したに違いない、と人々は確信し、歓喜した。



        ――しかし、「伝説の勇者」は、帰ってこなかった。



        世界に平和が戻ったものの、人々は嘆いた。

        あの勇敢な若者が、帰ってこないのはなぜなのか。

        「伝説の勇者」の友人や身内の者は、必死の捜索を行った。

        しかし、どれだけ力を尽くしても見つからず、とうとう魔界へまで探索の手を伸ばす者も現れた。

        魔界へ向かった者も、帰ってくることはなかった。



        だが、人々の望みが失われた頃、奇跡は起きた。

        ――「伝説の勇者」が、満身創痍で魔界から帰ってきたのだ。  』

    707 = 1 :



     『  「伝説の勇者」は、魔王を倒し弱った隙を狙われ、魔王軍の残党に捕らわれたそうだ。

        残党は、魔王軍の再建のために、人間界にいた魔物を呼び戻したらしい。



        残党曰く、新たな魔王が選出された際には、

        その祝儀にて、「伝説の勇者」の肉を、魔界中の魔物の前で、魔王に喰わせるつもりだったそうだ。

        傷も癒えず、力も魔力も封じ込まれた「伝説の勇者」は、独力で脱走することは叶わなかった。

        幽閉されて、しばらく経ってから、「伝説の勇者」に救いの手が差し出される。



        なんと、勇者捜索のために、魔界へ向かった者が、助けにきたのだ。



        その者は、封印と牢獄の鍵を破り、「伝説の勇者」の手当をした。

        しかし、二人で魔界から逃れようとする道中、

        「伝説の勇者」を魔物の攻撃からかばって、その者は命を失った。

        このようにして、「伝説の勇者」は生還したのだった。  』

    708 = 1 :



     『  「伝説の勇者」は傷が癒えてから、

        自身の装備品を、ある高名な鍛冶屋と呪術者のもとへ持ち込んだ。




        鍛冶屋に依頼したことは、

           「 魔界で手に入れた“幻の金属”を使って、装備品を鍛えなおすこと 」


        呪術者に依頼したことは、

           「 自分の血を引く者以外は、この武具を装備することはできないという呪いをかけること 」




        魔王や強靭な魔物を倒すという、あまりにも危険な宿命を、

        他の者に継がせたくなかった、と勇者は語る。



        これにより、「勇者」という職は、世襲制となり、

        「伝説の勇者」の血を引く者だけが、勇者となることができるのである――。  』

    709 = 1 :


    勇者(…………)

    勇者(「伝説の武具」は、“幻の金属”が使われているのか)

    勇者(そして、呪術がかけられていると……)



    勇者(つまり俺は、「伝説の勇者」の血を――)



      ――コンコンコン



    勇者「入れ」

    勇者「お茶淹れてあげたわよ。お勉強ははかどっているかしら?」

    勇者「まあまあだな」

    勇者「あら、ずいぶん古い本を読んでいるのね」

    勇者「城で借りてきたんだ」

    勇者「ふーん……」

    710 = 1 :





    勇者「そんなに熱心に、勇者一族について調べるなんて、どういうことかしら?

        ――私の息子の顔をした“どこかの誰か”さん」




    勇者「  !?  」



    711 = 1 :

    本日はここまでです。
    読んでくださってありがとうございます。
    また来週来ます。

    715 :

    やっぱばれてたか

    716 :



    親は偉大か

    718 :


    母だけある

    719 :

    おつ
    続き気になる

    720 :


    なんという生殺し

    722 :

    まだかな~

    724 :



    勇者「…………」

    勇者「…………」



    勇者(まさか、このタイミングでバレるとは……)

    勇者(いや、以前から気づいていたのを、今になって口に出されただけか?)

    勇者(相手はどこまで感づいている?)

    勇者(俺が魔物であると――、否、魔王であることすら気づかれているのか?)

    勇者(もしそうだとしたら、“事”だな)




    勇者(――弱小には悪いが、最悪の場合、口封じをする必要すら出てくるやもしれん)




    勇者(とにかく、まずは現状の把握だ)

    勇者(焦るな、落ち着いて処理すればいいだけの話だ……)

    725 = 1 :


    勇者「いつから気づいていた?」

    勇者「この間、お昼を食べに来てくれた時よ」


    勇者「なぜ、気付いた?」

    勇者「だって、うちの子と大分雰囲気が違っていたから」


    勇者(……やはり、初対面でバレていたのか)

    勇者(それはそれでショックだな)

    勇者(だが、気付いたのなら、なぜその時点で尋ねてこなかったんだ?)

    勇者(仲間にも何か告げた様子はなかったし……)





    勇者「なぜ、皆に黙っていた?」

    勇者「え、皆とっくに気づいているものだと思って……言うまでもないかなーって」



    勇者「…………」

    勇者(あ、ちょっと泣きそうな顔してる)

    726 = 1 :


    勇者「……まあ、貴様の言うとおり、確かに俺は勇者ではない」

    勇者「そうよね、でもそうだとしたら大したものだわ」

    勇者「何がだ?」

    勇者「だって、あなた呪文を使って変身しているでしょう?」

    勇者「ああ、それがどうした?」



    勇者「普通の変身呪文じゃあ、短い時間しか変身できないわ。でもあなたは違う」

    勇者「こんなに長い時間、変身を継続できるなんて、誰にでもできることじゃない」

    勇者「高名な賢者でも難しいことを、事もなげにこなせるあなたって……」

    勇者「いったい誰なのかしらね?」



    勇者「…………」



    勇者「ほらほら、そんなに警戒しないで。とりあえず、お茶でもどうぞ」

    勇者「……いただこう」

    727 = 1 :


    勇者「……ちなみに」

    勇者「うん?」

    勇者「貴様は、俺が誰だと思っているんだ?」

    勇者「そうねぇ……」

    勇者(あ、この茶、意外と美味い)





    勇者「人間業とも魔物業とも思えないから、……魔王とか?」





    勇者「 !? 」ブフォォッ


    勇者「あら、当たりなのね」

    勇者「ゲェッホ、ゲホッ!! ゴホォ!!」

    勇者「むせたのね」

    728 = 1 :


    勇者「なぜバレた……」

    勇者「んー、そうねえ。女の勘?」

    勇者「そんなのでバレたのか? 納得できん」

    勇者「じゃあ、もうちょっと説得力ある説明しましょうか」

    勇者「是が非でも」

    勇者「百聞は一見に如かず。というわけで、これちょっと借りるわね」スゥ……

    勇者「……? おい、その剣は――」




     ゆうしゃのはは は でんせつのつるぎを そうびした! ▼




    勇者「な、なにっ!?」

    勇者「んー、久々に持つけど、やっぱり手に馴染むわ」

    729 = 1 :


    勇者「馬鹿な! 伝説の武具は、勇者にしか装備できないはず!」

    勇者「ふふ、だからそういうことなのよ」

    勇者「どういうことだ!」



    勇者「――20年前、私は勇者として冒険した」



    勇者「!?」

    勇者「伝説の武具は、“伝説の勇者”の血を引く者が装備できる。私も勇者一族の一人」

    勇者「だが待て、20年前に俺に深手を負わせた勇者は、男だったはずだ……!」

    勇者「わけあって、男の振りをしていたのよ。男装って言った方が分かりやすいかしら」

    勇者「なぜそんなことを」

    勇者「女が勇者だと何かと馬鹿にされることが多くてね。それが嫌だったの」

    勇者「……そうだったのか」

    730 = 1 :


    勇者「覚えてなかったみたいだけど。私とあなたは、以前会ったことがあるのよ」

    勇者「だから、先日会ったとき、息子じゃないとすぐに分かったけれど、」

    勇者「あなたとは、どこかで会ったことがあるって、既視感を覚えたわ」

    勇者「なんとなく影がある雰囲気とか、憂いのある表情とか……」

    勇者「あなたたちが、“古代の迷宮”に向かった後に、思い出したの」

    勇者「もしかしたら、息子の振りをしてるのは魔王なんじゃないかって」



    勇者「…………」

    731 = 1 :


    勇者「20年前、相当な深手を負わせて、魔界へ退却させたけど、あの後は元気にしてた?」

    勇者「傷の治癒には10年かかったが、今はこの通りだ」

    勇者「そう。元気そうで何よりだわ」

    勇者「しかし、勇者としてその発言はどうなんだろうな」

    勇者「だって、後遺症とかが残ってたら悪いなーって思って」

    勇者「ずいぶんと優しい勇者だな」

    勇者「ううん、あなたじゃなくて息子によ」

    勇者「?」



    勇者「だって、勇者してるなら、最高のステータスの魔王と戦ってほしいじゃない」

    勇者「……さすが勇者の母と言っておこうか」

    勇者「褒め言葉として受け取らせてもらうわ」

    732 = 1 :


    勇者「それにしても意外だったわね。まさか、魔王が“伝説の勇者”の血を引いてるなんて」

    勇者「俺はまだ信じていないぞ。だからこうして、いろいろ調べているんだ」

    勇者「まあ、あなたなりにがんばるといいわ。そんなことより――」ヒュッ

    勇者「――!」






    勇者「わたしのかわいい息子は、どこにやってくれたのかしら――?」






    勇者(――なんて速さだ。見えなかった。一瞬で、剣が首元に突き付けられた)

    勇者(この女、勇者としての力は、いまだに衰えていないな)

    733 = 1 :


    勇者「……安心しろ。あの弱小は、いま魔王城にいる」

    勇者「ということは、幽閉とかしてくれちゃってるのかしら?」

    勇者「いや、俺の姿に変えて代役をやらせているんだ。魔王の代役をな」

    勇者「あら、それ面白い。危ない目には遭わせてないでしょうね?」

    勇者「たぶん大丈夫だ。定期的に手紙を受け取っている」

    勇者「それなら安心だわ」



    勇者「……これから魔王城に向かうんだ。奴を迎えにな」

    勇者「それじゃあ、この茶番も今日限りということね?」

    勇者「そういうことになるな」

    勇者「なら良かった。久々に息子の顔が見れるわね」ス……

    勇者(ようやく伝説の剣を引いてくれたか。嫌な汗をかいた……)

    734 = 1 :


    勇者「……そろそろ、出発させてもらおう。剣を返してもらっていいか?」

    勇者「ええ、どうぞ」

    勇者「それと、興味本位で2~3質問したいことがある」

    勇者「いいわよ、さすがにもう一回は会わないと思うし」




    勇者「貴様の夫、勇者の父は誰なんだ?」

    勇者「20年前、一緒に冒険してくれた戦士よ」

    勇者「しかし、家には姿が見えないが……?」

    勇者「いくら勇者とはいえ女より弱いのは示しがつかんって言って、武者修行に出てるわ」

    勇者「ほう……」

    勇者「あの人、まだ一度も私に勝ったことないのよね」

    勇者「…………」




    勇者(もしや、弱小が弱小なのは、父方の遺伝か……?)

    735 = 1 :


    勇者「もう一つ、貴様が使っていた“伝説の剣”は、なぜ『古代の迷宮』にあったんだ?」

    勇者「私があなたを倒してから、あのダンジョンの人造魔物が剣を引き取りにきたのよ」

    勇者「なに……?」

    勇者「そういうシステムなのかもしれないわね。勇者が現れるまで、あそこは剣を保管する場所みたいな」

    勇者「それはそれで興味深いな」

    勇者「似たような経緯で、ほかの武具も、元の場所に返したり、引き取られたり……」



    勇者「なぜ一か所に留めておかないんだろうな」

    勇者「それしたら、絶対楽なのにね。でも、“伝説の武具”ってそういうものなのかもしれないわ」

    勇者「というと……?」

    736 = 1 :


    勇者「きっと、勇者の手の元にしか、一か所に集まれないのよ」

    勇者「それでいて、勇者が勇者でなくなったら、伝説の武具も役目を終えて、散り散りになる」

    勇者「あなたも実際に振るってみたら、分かるかもしれないわ」




    勇者「……まあ、そんな機会ないかもしれないがな」

    勇者「今日までだものね。質問タイムはもうおしまい?」

    勇者「ああ、いろいろと世話になった」

    勇者「じゃあ、私からも質問一つだけ」

    勇者「なんだ?」

    737 = 1 :


    勇者「勇者やってみて、楽しかった?」

    勇者「……ああ、思ったより楽しめたよ」

    勇者「そうよかったわ。うちの息子に会ったらよろしく伝えてね」

    勇者「どうせすぐ会うじゃないか」

    勇者「それもそうだったわ。じゃあ、いってらっしゃい」

    勇者「――いってきます」



      ――バタン



    勇者「……ふふ、なんか懐かしかったなぁ。青春を思い出すわー」

    勇者「たまになら、遊びに来てもいいわよ、って言ってあげればよかったかしら?」

    738 = 1 :


    勇者(……調べもの、勇者の母の話)

    勇者(なにかつかめた気がするが、肝心のものを得られなかったような……)

    勇者(これはこれでムシャクシャするな)

    勇者(仕方ない、あの弱小をこてんぱんにのして、このモヤモヤを発散することにしよう)



    勇者「おいみんな、そろそろ出発――」



    魔法使い「こーこーでー、まさかの革命! 革命返しないね!? 6のダブル!」

    戦士「ぎゃああああ! なんてタイミングでしかけるんだああああ!」

    僧侶「あ、じゃあ5のダブル」

    魔法使い「う。まさか返されるとは……。パス」

    戦士「無理無理無理! ダブルなんかない!」

    僧侶「では、8切りからの11のトリプルであがりです」

    魔法使い「うっそ! 早いよ僧侶ちゃん!」

    戦士「どうすんだよ、この手札……。絶対あがれねぇええ……!」



    勇者「…………」

    739 = 1 :




    勇者「おい。それ終わったら、魔王城行くぞ」


    戦士 & 僧侶 & 魔法使い「 はーい 」



    740 = 1 :

    今日はここまでです。読んでくださりありがとうございます。
    なんか大富豪のルールを間違えた気がします……。
    また来週、運が良ければ今週来ます。

    741 :


    また次回楽しみ待ってます

    742 :

    おつ

    743 :

    まちがってるけど気にすんな!

    744 :

    え?

    あってるだろ?

    745 :

    緊張感ねーなこいつらwwww

    746 :

    おつ

    747 :


    大富豪はローカルルールがあるからね。
    ルールは合ってた。

    748 :

    8切り、革命返しはあるものだと思ってた

    749 :

    >>740
    ここまで一気に読んだ
    面白いな、続きが気になる!
    乙!!

    750 :


    大富豪のルールとか知らん


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