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    元スレ魔王「俺も勇者やりたい」 勇者「は?」

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    101 = 1 :


    側近「あ、そういえば魔王様」

    魔王「ん、なに?」

    側近「先ほど郵便受けを確認したところ、魔王様宛にお手紙が届いてました」

    魔王「え、オレ宛に? 誰から?」

    側近「差し出し人は、魔王様のお母様です」

    魔王「えっ? ああ……、母さんか」



    魔王(知らなかったー。魔王にも父さん母さんがいたんだなー)

    102 = 1 :


    魔王「何の手紙だろ。見せてくれないか?」

    側近「はい、こちらになります」

    魔王「どれ……」

    側近「…………」

    魔王「……ん?」

    側近「……」



    魔王「……白紙?」

    103 = 1 :


    側近「そうですね、白紙ですね」

    魔王「……だよな。他に何も入って無いし……」

    側近「ああ、それと魔王様」キラリ

    魔王(……? いま 光っ、――刃!?)



      ……ガキィイン!!



    魔王「くっ……!」

    側近「そろそろ正体をお聞かせ願えませんかね。――偽物様?」

    104 = 1 :


    魔王(――気づかれた!?)

    側近(惜しかった……)



    魔王(一体、どの段階で!? 何かまずいことでも言ったか!?)

    側近(殺気でも気取られたか? ナイフを、ギリギリ剣の柄で受けられるとは)



    魔王(……まだ、誤魔化しが効くか? まあ、やってみるしかないよな)

    側近(ばさりと斬り捌いて、虫の息にしてから、いろいろ聞き出そうと思ったのに――)






    側近「なかなかの反射神経ですね、偽物様」

    魔王「いったい、何のことだかさっぱり分からないぞ、側近」

    側近「白々しい口を聞く偽物様ですね。もうあなたが魔王でないことは明瞭です」

    魔王「は? どこにそんな証拠が――」

    105 = 1 :


    側近「手紙、ですよ……」

    魔王「……?」

    側近「あなたは届く筈のない手紙を受け取って、平然としていた」

    魔王「……なにっ?」



    側近「魔王様がご幼少のころに、――魔王様のお母様は、すでにお亡くなりになっているんですよ」

    魔王「……!?」

    106 = 1 :


    側近「あの手紙は、私が用意したものです。あなたが、魔王か否かを知るために」

    魔王「……偽の手紙だったってことか」

    側近「ええ。本人であれば、手紙の存在を訝り、母親が死んでいることを必ず指摘するはずです」

    魔王「……つまり、オレは謀られたわけだ」

    側近「まさしくその通り。今朝方から、あなたの言動が怪しかったので、確認を取らせて頂きました」

    魔王(……言い逃れはできそうにないな)






    側近「さぁ、偽物様。――喉笛掻き切るお時間です」

    魔王「……!?」

    107 = 1 :


     ――キィン、ガキィン!


    魔王(……! 流石は魔王の側近! 女とはいえ、戦闘力がかなり高い!)



    側近「なかなかの手練れですね、偽物様」

    魔王「おい、もうよせよ! オレの正体教えるから……」

    側近「いいえ、やめません」

    魔王「なんで!?」

    側近「たとえ一時であれ、魔王を騙った下賤の者は、許すに値しません」

    魔王「……!」



    側近「全身の肉を、死なない程度に細かく刻んで、」

    側近「泣き喚くことさえ、忘れるほどの、恐怖を植え付けて、」

    側近「それからあなたの正体を、ゆっくり聞くことに致しましょう。ねぇ、偽物様?」

    108 = 1 :


    魔王「……っ!?」



    魔王(……怖気が、)

    魔王(魔物とまともに話すのは、今日が初めてだったけど、)

    魔王(こんなに冷酷な奴ら、だったなんて――)



    側近「フフフ、怯えてますね。偽物様」

    魔王「……、あ!?」



    魔王(……しまった! 壁際まで追い詰められた!?)

    109 = 1 :


    魔王「やめろ! 話を聞いてくれ!」

    側近「もう逃げられませんよ。観念なさい」

    魔王「オレは君と闘うつもりはないんだ! だからやめろって!」

    側近「……いまさら命乞いとは見苦しい!」

    魔王「いいから、とにかくやめてくれ!」

    側近「問答無用……!」



    魔王(……このっ、)






    魔王『 ――オレがやめろと言ってるんだから、 や め ろ !! 』






    側近「 !? 」

    110 = 1 :


    魔王「……?」

    側近「はぁっ、はぁ……」



    魔王(……あいつ、一瞬で退いた。あんな遠くまで……)

    側近(い、今、何が起きた! 否、何をされた!?)



    魔王(こっちは、ただ大声出しただけなのに、)

    側近(怒声を浴びせられただけなに、全身の震えが止まらない! 呼吸が…、乱れる!)



    魔王(あんなに青ざめた顔して……、そんなに怖いこと言ったか、オレ?)

    側近(あの声を聞いた時、身体の全細胞が戦慄した……! その場に居たくないほどの恐怖を覚えた!)



    魔王(……わけわかんねぇ)

    側近(あいつ、あいつは、いったい誰なんだ!?)

    111 = 1 :


    側近「あ、あなたはいったい、何者なんだ!?」

    魔王「いや、何者って、」

    側近「あなたが放ったのは怒声だけじゃない! 威圧感も凄みも、桁違いだ!」

    魔王「はぁ……」

    側近「あなたが只者では無いことは分かった! だから、正体を教えなさい!」

    魔王(……、最初にオレが正体言うって言ったのに、なんで命令し直されてるんだろう)



    魔王「えーっとな、……オレは勇者だ」

    側近「 は? 」

    112 = 1 :


    側近「そんなことが信じられるものかっ! そうだったら、魔王様は今どこにいるんだっ!?」

    魔王「だぁああっ! 分かった分かった! 全部話すから最後まで聞けぇええ!」



     ――間。



    魔王「分かったか? だから、オレはいま魔王をやらされてるんだよ」

    側近「そ、そんなことが……」

    魔王「うん。要は魔王の気まぐれに付きあわされただけ。むしろオレは被害者だ」

    側近「魔王様が、よりにもよって勇者の一味と一緒に……」

    魔王「だから、しばらくはこんな感じで、魔王のふりする予定なんだけど……」

    側近「…………」

    魔王「そのために、手を貸してくれないか?」

    側近「……なに? なぜ、私が……」

    113 = 1 :


    魔王「あんた、オレが魔王じゃないかもしれないって、もう他の奴に話したか?」

    側近「いえ、今回の件は、私の独断で動いたこです。私以外に、あなたを疑っている人はいないでしょう」

    魔王「そりゃ、よかった。ところで側近、魔王が勇者のふりして冒険してるって聞いて、どう思った?」

    側近「もちろん、そりゃあ……大ショックでしたね」

    魔王「――なら、他の魔物にも、同じ気持ちを味わわせたいか?」

    側近「……!?」

    114 = 1 :


    魔王「つまり、オレの正体がバレないことは、魔物の士気も下がらないことにつながる」

    側近「…………」

    魔王「むしろ、バレたりしたら、この城は大変な混乱になるだろうな」

    側近「ええ、目に見えてますね」

    魔王「だから、オレの正体がバレないように、いろいろと助けてほしいんだ。君の助けが必要なんだよ」

    側近「…………」

    115 = 1 :


    側近「……私は魔王様の側近です」

    魔王「…………」

    側近「ゆえに、協力するかしないかというのは、愚問に等しい」

    魔王「…………」

    側近「期間限定ですが、この側近。偽物かつ勇者とはいえ“魔王様”のために、協力させて頂きましょう」

    魔王「……! そうか、ありがとう側近!」






    側近「では、手始めにデザートのおかわりを、自分で取ってきてもらいましょうか」

    魔王「――えっ!? 協力するって言った直後に、その仕打ち!?」

    116 = 1 :


    魔王(ちくしょー、側近めぇ……)テクテク

    魔王(「偽物魔王様が、城の地理を早く覚えるための策です」なーんて言ってたけど、)

    魔王(もっともらしいこと抜かして、オレをこき使おうとしてるんじゃないか?)

    魔王(……なんだかんだで肩身がせまいなぁ)



    魔王「はぁ……」

    魔王「お、ここが厨房か」

    魔王「おーい、デザートのおかわりぃ……」



    ???「……来た! 来たぞ!」

    ???「今だ! 照明をつけろ!」

    ???「せーの……っ!」

    117 = 1 :


    料理人一同「「「魔王様!! どうもありがとうございます!!」」」



    魔王「……へ?」

    魔王「なにこれ、なんで厨房が誕生日パーティーみたいな内装に……?」



    料理人A「我々の感謝の気持ちを形にしてみました!」

    料理人B「魔王様から、料理のお褒めの言葉を頂けるなんて……!」

    料理人C「我ら料理人一同、至極感謝感激です!」

    料理人D「是非ともその旨を直接魔王様にお伝えしたかったので、」

    料理人E「側近様に伝言をお願い致した所存に御座います!」



    魔王「……あ、」

    魔王(だから、側近のやつ、自分でデザート取りに行けって言ったのか……)

    118 = 1 :


    魔王「じゃあ、いわゆるサプライズってやつなんだな」



    料理人A「はい! しかしこれだけではございません」

    料理人B「魔王様のために、皆でこちらを調理しておりました!」

    魔王「おおっ!?」


    料理人C「季節の魔界フルーツ特盛りデコレーションケーキでございます!」


    魔王「すっげぇーー! めちゃくちゃ美味そうーー!」

    料理人D「ああ、またもやお褒めの言葉が……!」

    料理人E「我々……、感動の極みにございます!」



    魔王「ありがとうな! お前ら、最高の料理人だぜ!!」

    料理人一同「「「おおおーっ! 魔王様万歳ーーー!」」」

    119 = 1 :



      ~魔王の部屋~


    側近「…………」


    側近(てっきり他の魔物か、人間が魔王様に化けてるのかと思いきや、)

    側近(まさか、勇者が魔王様に成りかわっていたなんて……)

    側近(それにしても、あの時の勇者の声は何?)

    側近(まるで聞く者を、否が応でも従わせるような、威圧に満ちた声は……?)

    側近「…………」


    側近(……考えても、答えが出なさそうね)

    側近(まあ、いつか分かる時が来るかもしれないし、)

    側近(ああ、そんなことよりも今は――)




    側近「……魔王様」

    側近「この側近、貴方様のお帰りを心待ちにしております」

    120 = 1 :

    本日はここまでです。
    読んで下さった皆さま、どうもありがとうございます。
    コメや乙は心の糧です、心底感謝です。
    次回は、たぶん来週になると思います。



    >>113 脱字発見

    × 側近「いえ、今回の件は、私の独断で動いたこです。私以外に、~~」

       ↓

    ○ 側近「いえ、今回の件は、私の独断で動いたことです。私以外に、~~」

    122 :

    おつっつ

    123 :

    おっつん

    124 :

    乙乙

    125 :

    側近いいな

    127 :

    楽しみ支援

    129 :



      ~フィールド~


    戦士「おーい、僧侶ー。古代の迷宮まで、どんくらいかかるんだー?」

    僧侶「そうですね……、このルートを使えば、夕刻前には到着するかと……」

    魔法使い「僧侶ちゃーん。地図ばっか見てないで、ちゃんと前見ないと、転んじゃうよ?」

    僧侶「あ、はぃ……、と、わわっ!?」コテンッ

    勇者「……言ったそばから」

    僧侶「い、痛いです……」

    戦士「気をつけろよー。いやー、それにしても、昼飯マジ美味かったなー!」





    勇者(魔王とはいえ、さすがに疑問に思う……)

    勇者(……世界平和の旅が、こんなにゆるくていいのだろうか?)



    勇者「……ん?」

    130 = 1 :



      まもののむれが あらわれた! ▼


    魔物A「シャギャー!」

    魔物B「フシュルルル!」



    勇者「魔物か……」

    戦士「来たな! ちょっくら食後の運動に付き合ってもらうぜ!」

    魔法使い「いいねぇ、ドンパチ派手に行きますか!」

    僧侶「魔法使いさん、魔力は温存した方が……」




    勇者(初戦闘か……)

    131 = 1 :


    勇者「…………」






    勇者(よくよく考えてみると、俺が魔物と闘うということは……)


    魔物A「ギシャシャー!」

    戦士「うぉっ!? こいつらかなり手強いぞ!?」



    勇者(……我が魔王軍の戦力が削られるということか)


    魔物B「フシャー!」

    魔法使い「きゃー! いったーい!」

    僧侶「魔法使いさん、今回復します!」

    132 = 1 :


    勇者(俺が魔王に戻った時のために、無駄な被害は出したくないところだが……)


    魔物A「グルルル…、シャギャァ!」

    戦士「痛ててて、噛むな! このぉ!」



    勇者(魔物に攻撃しない勇者というのは、さすがに怪しまれる気がする)


    魔物B「フー……、フシュシャー!」

    僧侶「あ、あれ……? なんか、眠く……zzZ」

    魔法使い「げぇ! あいつ催眠呪文使えるの!?」




    勇者(しかし、何も知らない同胞を傷つけるのも癪だ……)


    勇者「……さて、どうしたものか」

    魔法使い「勇者ーーー! ぼーっとしてないで加勢してーーー!」

    133 = 1 :


    勇者(……気がつけば、仲間がそこそこピンチに)

    戦士「勇者ー! 僧侶が眠っちまったから、回復たのむー!!」

    勇者「ああ……」パァアア…

    戦士「ふう、助かったぜー……」

    僧侶「……zzZ」

    魔法使い「どうすんのよぉー、この展開」

    勇者「そうだな……、ここは――」



    勇者「逃げよう」

    戦士 & 魔法使い「はあ?」

    134 = 1 :


    勇者(魔王軍を傷つけず……、かつこの状況を切りぬけられる方法となると、これしかない)

    戦士「おいおい、なんだよそれ。腰ぬけな作戦だなー」

    魔法使い「ちょっとがんばれば、倒せる相手でしょ、こいつら」



    勇者「この後、ダンジョン探索が待っているんだろう? 体力を温存しておくに越したことは無い」

    戦士「そりゃ、そうだけどよー」

    魔法使い「なんか、らしくないねぇ、勇者ちゃん。いつもの猪突猛進はどうしたのさ?」

    勇者「…………」






    勇者「俺の命令が聞けないなら、酒場に帰ってもらうが?」

    戦士「まじすんませんした」

    魔法使い「もう文句言いませんから、なんなりとご命令を」

    勇者「よし、それでいい」

    135 = 1 :


    勇者「では、行くぞ。戦士は僧侶を頼む」

    戦士「あいよ」

    魔法使い「うーん、かけっこは得意じゃないんだけどなぁ」

    僧侶「……ZZZ」



    魔物A「グルルル…(おい、見ろよ。あいつら逃げる準備してるぜ?)」

    魔物B「フシュウ(まじかよ。噂の勇者一行も大したことねぇな。回りこんでやるか)」



    勇者「今だ! 逃げろ!」

    戦士「うぉおおおお!」

    魔法使い「ひぇえええええ!?」

    136 = 1 :


    魔物A「シャギャア!(そうは行くか!)」

    魔物B「フシュルァア!(逃がすわけねーだろ、アホ共め!)」



    戦士「なっ!?」

    魔法使い「うっそ! 回りこまれそうじゃん!?」

    勇者「…………!」






    勇者「Миногасе! Ореъа накамада!」






    魔物A「……ギャ!?(えっ!?)」ビクッ

    魔物B「……シュア!?(なにっ!?)」ビタッ

    137 = 1 :



      ゆうしゃたちは にげだした……▼


    勇者「……ここまで来れば、安心だな」

    戦士「た、助かったー……! 危機一髪だったな!」

    魔法使い「一時はどうなるかと思ったよ…! あーしんどー!」



    戦士「にしても勇者よー、さっきの何だったんだ?」

    勇者「さっきの……?」

    魔法使い「なんか呪文の詠唱みたいなやつよ。あたし、初めて聞いたわ」

    138 = 1 :


    戦士「勇者のあの言葉聞いたら、魔物たち、ピタッと止まって追ってこなくなったよな」

    魔法使い「あれって、古代魔法か何か? そのわりには、魔力を使った気配は無かったけど」

    勇者(しまった、なんて誤魔化そう……)

    勇者「ああ、あれか……。えーとな……」






    勇者「……おばあちゃんの、とっておきのおまじないだ」

    戦士「まじでーーーーっ!?」

    魔法使い「おばあちゃん凄すぎ!!」



    勇者(……馬鹿ばかりで助かった)

    139 = 1 :


    魔物A「…………」テクテク

    魔物B「…………」スタスタ

    魔物A「なー」

    魔物B「うん?」



    魔物A「さっきの勇者の言葉さぁ……」

    魔物B「ああ、紛れもなく“魔族語”だったよな」

    140 = 1 :


    魔物A「魔界にしかない特殊言語……、それを人間が使えるなんてな」

    魔物B「あの勇者、いったい何者なんだろうな」


    魔物A「やっぱり気になるか?」

    魔物B「ああ当然だろ? 魔族語で、あんなこと言われたら、な……」



    魔物A「『見逃せ、俺は仲間だ。』――だっけか?」



    魔物B「そうそう。あー、もう、わけわからーん」

    魔物A「一応、指揮官殿に報告しとくか?」

    魔物B「さんせー。それが一番楽だ」

    魔物A「じゃあ、報告書頼むわー」

    魔物B「こら! 押し付けるな! 自分でやれ!」

    141 = 1 :



      ~古代の迷宮・入口付近~


    僧侶「ん、……ふわぁあー。なんかぐっすり眠ってしまいました」

    勇者「起きたか僧侶。迷宮は間近だぞ」

    僧侶「え、いつのまに着いたんですか?」

    勇者「貴様が寝てる間だ」

    僧侶「あ、私……、そうか。戦闘中なのに、寝ちゃってたんだ……」グスッ

    勇者「おい、もう泣くのはよせ。貴様に、してもらいたいことがある」

    僧侶「ん……、え? なんですか?」





    戦士「ぜへぇー……、ぜへぇー……」

    魔法使い「もう、無理……、これ以上走れない……」


    勇者「あいつらの回復を頼む」

    僧侶「あ、はい」

    142 = 1 :



     そうりょは じゅもんを となえた!

     せんしの たいりょくが かいふくした!
     まほうつかいの たいりょくが かいふくした! ▼


    戦士「うぉおー! 疲れがふっとんだー!」

    魔法使い「いやー、ありがとねー、僧侶ちゃん!」

    僧侶「いえ……。それより、なんでそんなに疲れてたんですか?」



    戦士「……僧侶が寝てる間に、あらゆる戦闘を逃げまくってきたんだよ」

    魔法使い「ずっと走り詰めだったし、疲れるのは当然……」

    僧侶「はぁ、なるほど」

    143 = 1 :


    勇者「軟弱だな。その程度で音を上げるとは」

    戦士「俺はずっと僧侶運んでたんだぞ! 勇者は一度も手伝わないしよぉ!」

    魔法使い「あたしだって、もともと体力ないんだからさ。長距離走はバテちゃうってば」

    戦士「魔法使いはあれだろぉ? もう三十路だから、持久力が足らなく――」






    魔法使い「――なにか、言ったかしら?」ギュウウウ

    戦士「いたたた! ギブギブギブ!」



    勇者(スリーパーホールド……、体力ないっていうのは、嘘じゃないか?)
      
    僧侶(口は災いの元って、このことですね……)

    144 = 1 :


    勇者「さて、ここが“古代の迷宮”か」

    戦士「げほっげほっ……。なーんか、只の洞窟みたいに見えるんだけど」

    僧侶「洞窟の中に、古代の人々が造った地下遺跡が眠っているんですよ」

    魔法使い「村人さんの情報によると、かなり難解なトラップが張り巡らされてるらしいわ」

    勇者「なるほど……」

    僧侶「さらに、興味深いことに、この遺跡には古代の魔術師が造った、人造の魔物が棲みついているそうです」

    勇者「ほう……」

    魔法使い「おおかた、伝説の武具を守らせるための、衛兵ってところかしら? 古代人やるわねー」



    勇者(人間の造った魔物と、ダンジョンか……、興味津津だな)

    勇者(それに、人造の魔物ということは、魔王軍ではない。つまり、俺も遠慮なく闘えるということか)

    勇者(…………♪)



    僧侶(……? 勇者様、なんだか楽しそう?)

    145 = 1 :


    戦士「まあー、よくわかんないけどさ! 要は、ダンジョン入って攻略しろってことだよな! なっ!」

    勇者「……貴様は、もっと細かいことを気にした方がいい」

    戦士「いいーじゃん、そんなの。だっておれ、あたま使うの苦手だし!」

    勇者(ここまで高らかに馬鹿宣言されると、反応に困る)



    勇者「まあ、とりあえず行ってみるか」

    戦士「いえーい! テンション上がるー!」

    僧侶「あの、何が待ってるか分からないですから、ここは慎重に……」

    魔法使い「そうねー。仮にも伝説の武具のあるダンジョンだしねー」



    ???「グゴゴ……」

    勇者「……む?」

    146 = 1 :



      ~古代の迷宮~


     めいきゅうのゴーレムが あらわれた!



    勇者「――! 人造魔物か!?」

    戦士「げぇ、初っ端から、そりゃねーだろ!?」

    僧侶「ゆ、勇者様ぁ!?」

    魔法使い「あー、忘れてた。前に来た時も、迷宮入って一歩目で、こいつ出てきたんだった」



    ゴーレム「グゴォオオ!」


     めいきゅうのゴーレムは いきなり おそいかかってきた!

    147 = 1 :


    戦士「ぐぁっ!?」



     めいきゅうのゴーレムの こうげき!
     つうこんの いちげき!

     せんしに208のダメージ!

     せんしは しんでしまった…… ▼



    僧侶「せ、戦士さん!」

    魔法使い「そうそう、前もこんな感じで戦士がやられてたような」

    勇者(ゴーレムの癖に素早いな……、どうやら魔術で強化されているようだ)


    僧侶「勇者様、どうすれば!」

    勇者「僧侶、戦士を蘇生させろ。魔法使い、防御の強化呪文を――」

    魔法使い「おっけー、任せな」



    勇者「――さて、楽しくなってきたな」

    148 = 1 :

    今日はここまでです。
    読んでくださった方、コメや乙くださった方、どうもありがとうございます。
    また、明日か明後日に書きに来ます。

    149 :


    おもしろいよ

    150 :

    おっつん


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