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元スレ魔王「俺も勇者やりたい」 勇者「は?」

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1 : ◆ms.BSw - 2012/06/20(水) 15:53:37.72 ID:0Blm/QZmo (+125,+30,-75)

勇者「……いま何て言った?」

魔王「聞こえなかったか? 勇者をやりたいと言ったんだ」

勇者「んなこと言ったって、お前魔王だろ……?」

魔王「500年も続けて魔王やってるんだ。いい加減飽きた」

勇者「いや、だからって……」

SSWiki :http://ss.vip2ch.com/jmp/1340175217(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)
2 : ◆ms.BSw - 2012/06/20(水) 15:56:05.10 ID:0Blm/QZmo (+95,+30,-133)

魔王「そもそも、魔王の仕事は退屈すぎるんだ」

勇者「はぁ……」

魔王「魔界の各地域の統治、人間界への侵攻、魔物の編成・訓練・管理……」

勇者「…………」

魔王「幹部たちとの作戦会議、デスクワークやら、弱小勇者の駆除などなど――」

勇者「って、こら! オレは弱小じゃねえ!」
3 : ◆ms.BSw - 2012/06/20(水) 15:57:11.05 ID:0Blm/QZmo (+95,+30,-55)

魔王「そうか、弱小じゃないのか」

勇者「当然だ!」

魔王「ところで貴様、俺に挑戦するの何回目だ?」

勇者「17回目だぁっ!」

魔王「で、勝率は?」

勇者「全敗だぁっ!」

魔王「それを弱小と呼ばずに、なんと呼ぶんだ」
4 : ◆ms.BSw - 2012/06/20(水) 15:58:28.16 ID:0Blm/QZmo (+95,+30,-67)

魔王「しかも、今回の戦闘もいろいろと不様だったな」

勇者「う……」

魔王「仲間は一人残らず戦闘不能。蘇生・回復アイテムも底を尽き、お前自身MP0、HP一ケタ」

勇者「うう……」

魔王「もはや詰みだろ?」

勇者「うぐぅぅ……!」
5 : ◆ms.BSw - 2012/06/20(水) 15:59:27.75 ID:0Blm/QZmo (+95,+30,-153)

魔王「とにかく俺は、心底うんざりしているのだよ。魔物に司令を与え、人間を襲う毎日に」

勇者「…………」

魔王「噂の勇者も、もっと骨のある奴かと思っていたが、どうやら期待はずれのようだ」

勇者「…………」

魔王「というわけで、退屈で死にそうな俺に勇者をやらせろ」

勇者「断る! 魔王の言うことなんか聞けるか!」

魔王「そうか――」






魔王「ところで勇者、呪文と打撃なら、どちらでトドメをさされたいんだ?」

勇者「すんません。言うこと聞きます。何とぞご慈悲を」
6 : ◆ms.BSw - 2012/06/20(水) 16:00:58.03 ID:0Blm/QZmo (+95,+30,-140)

魔王「よし、では今日から俺が勇者だ」

勇者(……腑に落ちない)

魔王「で、貴様は今日から魔王だ」

勇者「はあ!? なんで!?」

魔王「当然の対処だ。俺がいない間、誰が魔王をやるというんだ」

勇者「だからって無茶苦茶だろ! オレは嫌だぞ!」

魔王「そうか――」






魔王「ところで勇者、燃えて死ぬのと、凍えて死ぬのと、どちらが好みだ?」

勇者「喜んで魔王やらせて頂きます」
7 : ◆ms.BSw - 2012/06/20(水) 16:01:46.39 ID:0Blm/QZmo (+95,+30,-121)

魔王「では、俺の前まで来い」

勇者「ん? ああ……」

魔王「よし、それでいい」

勇者「おい、いったい何を、――わっ!?」



  まおうは じゅもんを となえた!
  なんと、ゆうしゃは まおうに へんしんしてしまった! ▼



魔王(勇)「うわああ! なんだこれぇええええ!?」

魔王「うむ、これなら簡単にバレることはなかろう。さて、俺も……」
8 : ◆ms.BSw - 2012/06/20(水) 16:02:50.70 ID:0Blm/QZmo (+95,+30,-133)



  まおうは じゅもんを となえた!
  なんと! まおうは ゆうしゃにへんしんした! ▼



勇者「まあこんなところか」

魔王「ああああ! 魔王がオレになったあぁあああっ!?」

勇者「うるさい。俺の姿で取り乱すな」

魔王「いだだっ! 痛い! 角を引っ張らないで!」
9 : ◆ms.BSw - 2012/06/20(水) 16:03:47.53 ID:0Blm/QZmo (+95,+30,-118)

勇者「いいか、よく聞け。貴様には、俺の能力を半分与えてやった」

魔王「はぁ……」

勇者「適当に司令を出したり、悪事を働いていれば、まずバレないだろう。
    分からないことがあったら、側近にそれとなく聞くがいい」

魔王「あの……」

勇者「なんだ?」

魔王「……オレは、いつ勇者に戻れますか?」

勇者「さぁな、俺の気分次第だ」

魔王「……シクシク」

勇者「俺の顔で泣くな、まったく」
10 : ◆ms.BSw - 2012/06/20(水) 16:04:47.52 ID:0Blm/QZmo (+95,+30,-140)

勇者「そうだ。一応これを渡しておこう」

魔王「……これは?」

勇者「魔王城の地図だ」

魔王「へー、でもなんで?」

勇者「ここは広いし複雑だからな。城で迷子にでもなられたら、手下どもに不審がられる」

魔王「あ、そうか」

勇者「トイレは各階に一か所づつあるから、早めに把握しておけ。くれぐれも廊下で漏らすなよ」

魔王「…………」じーっ

勇者「なんだ」

魔王「……魔王もトイレに行くんだな」


 ゆうしゃの こうげき!
 かいしんの いちげき! ▼


魔王「へぶしッ!」
11 : ◆ms.BSw - 2012/06/20(水) 16:05:50.26 ID:0Blm/QZmo (+95,+30,-70)

勇者「う……」フラ…

魔王「ん、どうした? なんか疲れてるみたいだぞ」

勇者「ああ、どうやら変身魔法を使った際に、貴様のパラメータもコピーしてしまったようだ」

魔王「……それってつまり、MP0で、HP一ケタってこと?」

勇者「そういうことだ」

魔王「……ふーん(ニヤリ」

勇者「なんだその顔は」
12 : ◆ms.BSw - 2012/06/20(水) 16:07:09.22 ID:0Blm/QZmo (+90,+30,-71)

魔王「死にさらせぇええ!!」

勇者「あ、しまっ――」



  まおうの こうげき!
  ゆうしゃに 109のダメージ!

  ゆうしゃたちは ぜんめつしてしまった…… ▼



魔王「……なにこれ超爽快」
13 : ◆ms.BSw - 2012/06/20(水) 16:08:06.34 ID:0Blm/QZmo (+90,+30,-46)

  ~城~


勇者「……ん、ここは?」

王様「おお勇者よ、死んでしまうとは情けない!」

勇者(……ああ、さっきので死んだのか)





勇者(確かにあれは、我ながら情けなかった……)
14 : ◆ms.BSw - 2012/06/20(水) 16:09:14.60 ID:0Blm/QZmo (+95,+30,-107)

勇者(それにしても、これが人間の城か)

勇者(中からじっくり見るのは、初めてだ)

勇者(ふむ、煉瓦造りの壁に、貧弱そうな兵士ども……)

王様「どうしたんじゃ、勇者? 突然きょろきょろして」






勇者「いや、この程度の城なら、魔物が200体もいれば、半日とかからず
    制圧できるなと思って……」

王様「生き返って早々、ずいぶんな口を聞くようになったな、おぬし」
15 : ◆ms.BSw - 2012/06/20(水) 16:11:00.16 ID:0Blm/QZmo (+95,+30,-99)

王様「くだらんことを言ってる暇があったら、さっさと仲間を生き返らせにいかんか!」

勇者(……なるほど、全滅したときに生き返るのは、勇者だけなのか)

王様「そなたにもう一度機会を与えよう! では行くが良い、勇者よ!」

勇者「はい」






勇者(……しかし、誰かから命令されるというのは新鮮だな)

勇者(普段は命令する立場だからな)
16 : ◆ms.BSw - 2012/06/20(水) 16:12:31.81 ID:0Blm/QZmo (+95,+30,-77)


  ~城下町~


勇者(…………)

勇者(……行くが良いとは言われたものの、どこへ行くべきか)

勇者(…………)

勇者(あ、でも、自分が行きたい所を選べるのか)

勇者(魔王やってる時は、毎日が過密スケジュールだったからな……)

勇者(とにかく魔王の仕事以外のことができるのは、楽しみだ)

勇者(…………♪)






勇者「――それにしても、あの“弱小”は上手いことやってるだろうか」
17 : ◆ms.BSw - 2012/06/20(水) 16:13:32.49 ID:0Blm/QZmo (+95,+30,-82)


  ~魔王城~


魔王「えーっと、魔王の間を抜けたら、左に曲がって……」

魔王「真直ぐ突きあたりまで歩いたら、階段が見えてきて……お、あった」

魔王「階段あがったら、今度は右に曲がって歩いて、そしたら十字路を左に……」

魔王「で、道なりに歩いたら、また上がる階段が前方に……」





魔王「……だぁああ! なんで一か所に階段つくってないんだよ、面倒くさい!!」
18 : ◆ms.BSw - 2012/06/20(水) 16:14:12.21 ID:0Blm/QZmo (+95,+30,-72)

魔王(でも、魔王の姿だからか、魔物に襲われないのはありがたいよな)

魔王(極悪モンスターがはびこる魔王城を、こんなに楽々歩けるなんて……)

魔王(……これはこれで嬉しい)



魔物A「4階異常なーし」

魔物B「よーし、次のフロア行くかー」



魔王(……! 階段の上から声!? 見張りの魔物たちか!?)
19 : ◆ms.BSw - 2012/06/20(水) 16:15:08.63 ID:0Blm/QZmo (+95,+30,-116)

魔王(どうする、どうするオレ!? なんか上手い事切り抜ける方法は……)



魔物A「あ」

魔物B「これはこれは魔王様」



魔王(降りてきた! そして、気づかれた!)

魔王(ええい、こうなったら、『魔王になりすましてやり過ごす大作戦』だ!!)






魔王「いやぁ諸君! 見張りご苦労っ!! わーっはっはっはっはっは!!」

魔物A(え、っええーー!? なにこのハイテンション!?)

魔物B(良く分かんないけど、魔王様、超ご機嫌!?)
20 : ◆ms.BSw - 2012/06/20(水) 16:15:57.22 ID:0Blm/QZmo (+95,+30,-120)

魔物A「ま、魔王様どうなさいましたか?」

魔物B「な、何か良い事でもあったんですか?」

魔王(げっ、どうしよ。なんとか誤魔化せるか……?)



魔王「うむ、先ほど勇者どもをこてんぱんにしてきたのでな。気分爽快なのだ!」

魔物A「そ、そうですか」

魔王「というわけで、オレは少し休んでくるぞ! 引き続き見張りを頼む!」

魔物B「は、はい……、いってらっしゃいませ」

魔王「わーっはっはっはっはっは……!!」



魔物A「……」

魔物B「……」
21 : ◆ms.BSw - 2012/06/20(水) 16:16:44.50 ID:0Blm/QZmo (+95,+30,-119)

魔物A「なぁ」

魔物B「なんだ」

魔物A「魔王様、大丈夫かな? なんかキャラ変わってたような……」

魔物B「さぁなあ、高貴な身分のお方の心理は、下々の俺等じゃ計りかねる」

魔物A「……ですよねー」

魔物B「ハイ、それじゃあ見張りの続きー。三階異常なーし」

魔物A「いやいやいや! 今のは異常ありだろ!?」
22 : ◆ms.BSw - 2012/06/20(水) 16:17:20.58 ID:0Blm/QZmo (+95,+30,-101)


  ~魔王の部屋~


魔王「……ぜぇ、はぁ、やっとここまで来れた」

魔王「それにしても危なかったなー。一時はどうなるかと……」

魔王「お、魔王のベッドだ。でけー。うりゃー、ダーイブ!!」



魔王「……うーむ、思った通りふかふかベッドだ。さすが魔王だな」

魔王「ふぅー、疲れたぁー……」

魔王「……」



魔王(戦士、僧侶、魔法使い……。みんな無事かな)

魔王(……いつまでオレ、このままなんだろ)

魔王(……ねむ)



魔王「……zZZ」
23 : ◆ms.BSw - 2012/06/20(水) 16:24:39.71 ID:0Blm/QZmo (+89,+29,-4)
本日はここまでです。
また今週来ます。
24 : VIPにかわりま - 2012/06/20(水) 19:24:19.82 ID:BEiAvqf5o (+9,+24,-2)
面白そう期待
25 : ◆ms.BSw - 2012/06/22(金) 11:09:33.06 ID:88OjJ1O0o (+30,+30,-95)

勇者「さて、そろそろ仲間でも生き返らせるとするか」

勇者「教会とやらに行ってもいいが、蘇生呪文を使った方が早いだろうな」

勇者「まずは……」



  ゆうしゃは じゅもんをとなえた!
  なんと! そうりょが いきかえった! ▼



僧侶「……ぅうん」

勇者「起きたか、僧侶」

僧侶「……あ、」






僧侶「ゆ゛うしゃさまぁ゛ああ~~~……」ボロボロ

勇者(……!? なぜ、こいつは生き返った途端、号泣するんだ!?)
26 : ◆ms.BSw - 2012/06/22(金) 11:10:27.46 ID:88OjJ1O0o (+95,+30,-87)



勇者(……落ち着け魔王、この程度のことでうろたえるな)

勇者(こんな時、勇者だったらどうする。勇者なら……)




勇者「…………」

僧侶「ふぇ、……ぅうっ」

勇者「…………」

僧侶「うぅうーっ……ひっく」

勇者「……おい、いつまでも泣くんじゃない」

僧侶「はい、すみませ……ぐすっ、うっ」

勇者(……違うな、なにかもっと別の言葉を)
27 : ◆ms.BSw - 2012/06/22(金) 11:11:40.29 ID:88OjJ1O0o (+95,+30,-90)

勇者「……何故、泣いているんだ?」

僧侶「だって……、ぅえ、また負けちゃって」

勇者「……」

僧侶「今度こそ、ぐす、勝とうって、でも…、」

勇者「……」

僧侶「私が、ぅう、不甲斐ない、ばかりに……ふぇえ」



勇者(……つまり、勝てなかったのは自分のせいと思っているのか)

勇者(その程度のことで泣くのか、人間は……)

勇者(……疲れる)
28 : ◆ms.BSw - 2012/06/22(金) 11:12:24.66 ID:88OjJ1O0o (+95,+30,-151)

勇者「――そうだな、貴様は爪が甘すぎる」

僧侶「はい……、……ん、え?」

勇者「回復ばかりでなく、守備や素早さなどの補助魔法にも専念した方がいい」

僧侶「あっ、……。ごめんなさい」

勇者「勘違いするな。これは叱責ではない。助言だ」

僧侶「え……?」

勇者「つまり、次回から、そこを気をつければ、勝てるということだ」

僧侶「……」

勇者「勝ちたいんだろ? ならば、泣くより先にすることがあるんじゃないか?」

僧侶「……!」

勇者「早く涙を拭け、そして仲間を蘇生させろ。魔王に勝つためにな」

僧侶「(ゴシゴシ)……はい!」

勇者「よし、それでいい」
29 : ◆ms.BSw - 2012/06/22(金) 11:13:12.17 ID:88OjJ1O0o (+90,+30,-42)

勇者「……」



勇者(……まてよ、)

勇者(まさか、勇者のやつ、毎回“これ”をやってるのか……?)



勇者(……案外、苦労してるんだな。あの弱小)
30 : ◆ms.BSw - 2012/06/22(金) 11:14:04.28 ID:88OjJ1O0o (+95,+30,-48)



  そうりょは じゅもんをとなえた!
  なんと! せんしは いきかえった! ▼



戦士「はっ、おれは……!?」

勇者「目覚めたか、戦士」

戦士「お、勇者。久しぶり」

勇者(よかった、こいつは普通に生き還ってくれた……)ホッ…
31 : ◆ms.BSw - 2012/06/22(金) 11:15:37.56 ID:88OjJ1O0o (+93,+30,-172)

戦士「悪かったなー。また、お前より先に死んじまったよ」

勇者「気にするな、いつものことだろ」

戦士「ああ……、え?」

勇者「貴様は魔法耐性が低いからな。装備を対魔法用に整えなければ、すぐやられるのは当然だ」

戦士「……?」

勇者「加えて、素早さも低いから先手を取られやすい。体力以外もいろいろ鍛える必要があるだろうな」

戦士「……???」

勇者「なんだ、その顔は。俺の話が理解できたか?」

戦士「なっ! 当たり前だろ! おれを馬鹿にすんなよ!」






戦士「要は、いつかは魔王に勝てるってことだよな!? なっ!?」

勇者「明らかに肝心なところが理解できてないぞ、貴様」
32 : ◆ms.BSw - 2012/06/22(金) 11:16:22.36 ID:88OjJ1O0o (+95,+30,-135)



  そうりょは じゅもんをとなえた!
  なんと! まほうつかいは いきかえった! ▼



魔法使い「ふわぁ……。あら、勇者ちゃん。お早うー」

勇者「お早う、魔法使い」

魔法使い「ん? どしたの勇者ちゃん。いつもよりクールじゃない?」

勇者(……勘が鋭いな。迂闊なことは言えなさそうだ)



勇者「そうか? 気のせいじゃないか?」

魔法使い「あー、なるほどねー。気のせいかー。あるあるそういうの」

勇者(勘は鋭いが、深く考えるタイプではないようだな……)
33 : ◆ms.BSw - 2012/06/22(金) 11:17:20.24 ID:88OjJ1O0o (+95,+30,-129)

魔法使い「にしても、この間の魔王戦惜しかったわねー」

勇者「そうだな」

魔法使い「んー、まだまだレベルが足りないのかしら?」

勇者「レベルの問題でなく戦術の問題だ」

魔法使い「……へ? どういうこと?」

勇者「いままでの戦術は、基本力押しだったろ?」

魔法使い「ん、まあね」

勇者「力押しは、長期戦に弱いんだ。加えて、アイテム補充もぬるいから、すぐにやられる」

魔法使い「ふーん……」

勇者「戦術さえあれば、レベルが多少低くても、勝利できるはずなんだがな」

魔法使い「…………」
34 : ◆ms.BSw - 2012/06/22(金) 11:18:33.27 ID:88OjJ1O0o (+90,+30,-39)

魔法使い「……ねーねー、勇者ちゃーん」

勇者(しまっ……、感づかれたか?)






魔法使い「お腹空いたから、なんか食べに行こうよ」

勇者「貴様、恐ろしいほどマイペースだな」
35 : ◆ms.BSw - 2012/06/22(金) 11:19:23.38 ID:88OjJ1O0o (+95,+30,-132)

戦士「あー。そういえば、おれもなんか腹減ってきたなぁ」

僧侶「あの、勇者様。もしよろしければ、私も少し休憩の時間がほしいのですが……」



勇者(しかも、何故、みんな便乗してくるんだ……?)



勇者(少人数精鋭だと、こういうのが当たり前なのだろうか……?)

勇者(いままでずっと、軍や大人数を相手にしてたから、いまいち扱い方がわからん……)

勇者(……だが、正体がばれないためにも、こいつらに合わせておいた方が無難な気がする)
36 : ◆ms.BSw - 2012/06/22(金) 11:20:09.32 ID:88OjJ1O0o (+95,+30,-161)

勇者「……では、昼食がてらに、どこかへ食べに行くとするか」

魔法使い「きゃっほーい! 勇者ちゃん、大好きー!」

戦士「うーし、たらふく食うぞー!」

僧侶「ありがとうございます、勇者様!」



勇者「ところで魔法使い、志願したからには、どこか食べに行きたい店があるか?」

魔法使い「ん? あたしに選ばせてくれんの?」

勇者「『言いだしっぺの法則』というのは、よく聞く言葉だろ?」

魔法使い「なるほどねー、勇者ちゃん優しいー」
37 : ◆ms.BSw - 2012/06/22(金) 11:20:49.75 ID:88OjJ1O0o (+95,+30,-85)

勇者(まあ、法則云々より、どんな店があるか知らないからという理由が大きいが……)

勇者(俺が知らないままに選ぶより、選ばせた方が自然だろう)

勇者(人間の食物が、口に合うかは不安だが……、人間の飲食店に入るのは、初めてだから楽しみだな)

勇者(…………♪)





魔法使い「じゃあ、お昼は、勇者ちゃんのお家で決ーまりっ!」






勇者「――なにっ!?」
38 : ◆ms.BSw - 2012/06/22(金) 11:21:57.04 ID:88OjJ1O0o (+95,+30,-197)

戦士「おっ。いいねー、勇者の母上様の料理は最高だもんな」

魔法使い「でしょー。あたしも最近食べてないから、無性に食べたくなっちゃって」

僧侶「そういえば、近頃、勇者様のお母様に会ってませんからね」

魔法使い「ねー。たまには息子さんのお顔も見せてあげないとねー」



勇者「…………」



勇者(……まずい、まずいぞ)

勇者(交換初日から、勇者の肉親に顔を合わせる羽目になるとは……)

勇者(この状態では、ぼろを確実に出さないという可能性はかなり低い)

勇者(かといって、実の息子が、自分の家に帰りたくないと言いだすのも不自然だ)

勇者(ここは、合わせるしか……、ないのか……?)
39 : ◆ms.BSw - 2012/06/22(金) 11:23:46.45 ID:88OjJ1O0o (+95,+30,-83)

魔法使い「というわけで、勇者の家にレッツゴー!」

戦士「おーーー!」

僧侶「おーー、です!」

勇者「…………」







勇者(退屈しのぎに、勇者をやってみてはいるものの……)



勇者(……なぜこんなにも早く、窮地が訪れるんだ?)


40 : ◆ms.BSw - 2012/06/22(金) 11:25:21.18 ID:88OjJ1O0o (+89,+29,-14)
今日の分はここまでです。
また来週来ます。
41 : VIPにかわりま - 2012/06/22(金) 11:28:06.68 ID:5z4xYA20o (+13,+28,+0)
ふむふむ

42 : VIPにかわりま - 2012/06/22(金) 11:41:07.26 ID:yusUCudvo (+0,+15,-13)
これはいいwwww
43 : VIPにかわりま - 2012/06/23(土) 00:04:28.22 ID:QGjZ2LDFo (+19,+29,-2)
魔王ピンチじゃねーかwwwwww
45 : ◆ms.BSw - 2012/06/25(月) 15:06:13.71 ID:LCN9A+e1o (+30,+30,-73)

 ~魔王城~


側近「魔王様、魔王様」

魔王「ぐがー」

側近「起きてください、魔王様」

魔王「ふごー」

側近「……」



  そっきんは じゅもんを となえた!
  まおうは めをさました! ▼



魔王「…ん、ふぁ……なに?」
46 : ◆ms.BSw - 2012/06/25(月) 15:10:31.48 ID:LCN9A+e1o (+95,+30,-138)

側近「間もなく会議が始まります。準備してください」

魔王「……へ?」

側近「本日の議題は、北地区の魔物の配備と、西国の侵攻作戦です」

魔王「え、あの……」

側近「こちらが資料です。お着替えは、鏡台の前に用意しております。時間がないので、食事は後回しです」

魔王「ちょ、ちょっと待って」

側近「質問でしたら、手短にお願いします」



魔王「えーと、君だれ?」
47 : ◆ms.BSw - 2012/06/25(月) 15:16:18.69 ID:LCN9A+e1o (+95,+30,-96)

側近「……大分お疲れのようですね。よもや、側近の顔を忘れるとは」

魔王「あっ、ああ! 側近か! いやあ、いつも御苦労!」

側近「労いのお言葉ありがとうございます。魔王様もお疲れのようですし、会議は午後からに致しましょうか?」

魔王「ああっ、そうだな! そうしてくれると助かる!」

側近「かしこまりました。その様に手配します」



  そっきんは へやを でていった…… ▼



魔王「……ふう、なんとかごまかせたみたいだぜ」






側近(……今日の魔王様、すっごく変)
48 : ◆ms.BSw - 2012/06/25(月) 15:19:47.96 ID:LCN9A+e1o (+95,+30,-134)


  ~勇者の家~


勇者「――あら」



戦士「どうもー、お世話になってます」

僧侶「こんにちはー」

魔法使い「御邪魔しまーす」

勇者「……」

魔法使い「ほら勇者ちゃん、なに黙りこくってんのさ。挨拶、挨拶」

勇者「あ、ああ……。ただいま……」

勇者「ふふ、おかえりなさい」

勇者「……」



勇者(……つ、ついに来てしまった)

勇者(こんなに緊張するのは、何十年ぶりだ……?)
49 : ◆ms.BSw - 2012/06/25(月) 15:23:05.23 ID:LCN9A+e1o (+95,+30,-168)

勇者「それにしても、久しぶりに帰ってきてくれて、嬉しいわ」

戦士「すんません、なかなか来れなくて……」

勇者「ふふ。でも、それだけ忙しくしてるってことでしょ?」

僧侶「え?」

勇者「最近、魔王との戦いが大変なんですってね。王様から聞いてるわよ」

魔法使い「ああ、王様から」

勇者「この子はお父さんに似て、がんばり屋さんだから」

勇者(…………)



勇者「さあ、みなさん疲れてるでしょ? 今日は、うちで休んでってくださいな」
50 : ◆ms.BSw - 2012/06/25(月) 15:28:09.75 ID:LCN9A+e1o (+95,+30,-214)

戦士「あ、いや。今日はそういうつもりではなくてですね」

勇者「?」

僧侶「その、誠に申し上げにくいんですけど……」

魔法使い「勇者ちゃんのお家で、お昼御飯をいただきたいなーと思ったわけですよ」

勇者「あらあら、そうだったのね。もちろん、お安い御用よ」

戦士「ひゃっほー! ありがてぇ!」

僧侶「ありがとうございます!」

勇者「さて、みなさん何が食べたいですか? あまり手の込んだものは作れませんけど……」



魔法使い「だってさ勇者ちゃん。久々の家だし、好物の一つでも頼んどきなよ」

勇者(……!? お、俺が頼むのかっ!?)
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