元スレ勇者「パーティーにまともな奴がいない……」
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901 :
魔法剣士の剣が赤く染まる。
血で濡れたので無い。
剣自体が発火し炎を纏っていた。
紅蓮の炎が剣を包み込むその姿は異様な光景だ。
「ずいぶん派手な演出だな」
勇者は小馬鹿にするように言い放つ。
意図的に苦笑し、相手の神経を逆撫でする。
だが魔法剣士はそんな事を気にする事無く、勇者目掛けて走り出す。
タッ、タッ、タッ、と足音がリズムを刻む。
勇者や女勇者ほどではないが、速い部類に分類されるだろう。
紅蓮に燃える剣が、勇者目掛けて振り下ろされる。
ゴウッ、と音が鳴り、剣を纏う炎が辺りに散らばる。
剣を回避した勇者の髪を散らばった炎が焦がす。
頬にも炎がぶつかり、皮膚を焼く。
魔法剣士はもう一度剣を高く振り上げ、勇者目掛けて振り下ろす。
紅蓮の剣が勇者目掛けて襲いかかる。
だが勇者の刀がそれを阻止した。
刃がぶつかり合う音が石造りの建物に反響する。
炎の残骸があたりに飛び散り、勇者の体を焼く。
902 = 901 :
この状態は勇者に不利だった。
魔法剣士の剣は回避しても防御しても炎が飛び散ってくる。
しかもそれは多かれ少なかれ勇者の皮膚を焼く。
たとえどんなに小さなダメージでも長期戦になれば決定打になってくる。
それは勇者が一番理解していた。
勇者は後ろに大きく跳び、魔法剣士との間合いを取る。
ここで無闇に得物をぶつけ合う必要は無い。
むしろあの剣に近距離で戦うこと自体間違っているのだ。
勇者は呼吸を調え、短く息を吐く。
「どうした、ずいぶん慎重なんだな」
魔法剣士は眼鏡を位置を直し、剣を構え直す。
相手を挑発するような顔つきで勇者を見ていた。
勇者は気にせず、少しだけ後ろに下がった。
挑発に乗るほどバカではない。
魔法剣士はつまらなそうに首を振ると走り出す。
紅蓮の剣はより一層強く燃えあがった。
それは剣が炎を纏っているというより、炎が剣を覆っているのに近い状態。
勇者は短く息を吸うと、刀を構え、紅蓮の剣との距離を推し量る。
剣を防御するだけでは意味が無い。
重要なのはどう炎を回避するかだ。
903 = 901 :
共に剣と刀が衝突した。
部屋全体に金属音が響き渡り、共鳴する。
勇者は刀を僅かに傾け、威力を受け流す。
出来る限り、炎に焼かれる時間を短縮する。
魔法剣士の剣の軌道がずれ、僅かな隙が生まれた。
一瞬の、ほんの僅かな隙。
その一瞬で勇者は魔法剣士の懐に飛び込む。
正直ここで攻めるのは良策とは言えない。
だが出来る限り勝負に決着をつける為には仕方がない。
この勝負での長期戦は勇者にとってデメリットでしかないのだ。
流れる様な動作で剣を横に振る。
無茶な戦略だが、勇者のスピードがあれば、勝機はある。
だが勇者の刀は魔法剣士の剣で止められる。
距離が近過ぎる為、常に体が焼かれる。
普段の勇者ならここで退くのだが、今回は退かない。
今退けば確実に勝機を逃す、そんな気がした。
一瞬のうちに魔法剣士の背後に回り込み、下から上に斬り上げる。
体を素早く回転させ、防御に転じようとするが、間に合わない。
間に合わせない。
904 = 901 :
刀が綺麗に魔法剣士を斬った。
赤黒い液体が噴き出し、勇者の服と顔を染める。
そのくせ刀はいつも以上に銀色に鈍く輝いていた。
さらに追撃を加える為、一歩踏み出す。
「俺の魔法が炎だけだと思うなよ」
声は嫌というくらい落ち着いていた。
氷の様に冷たい声が部屋全体を包む。
その声とほぼ同時に強風が起きた。
まるで何か巨大な生き物に押される様な感覚。
勇者の体が簡単に吹き飛ばされた。
防御する暇も耐える暇もない。
そのまま二メートルほど吹き飛ばされ、おもちゃのように地面に叩きつけられる。
勇者は刀を杖代わりにして立ち上がる。
体に異常は無さそうだ。
「調子に乗るな、ガキ」
905 = 901 :
魔法剣士の剣の発火は終わっていた。
だがその代わりに、剣を風の様なものが包み込んでいる。
もちろんそんなものは目に見えない。
だが勇者にはなんとなくわかった。
野生の勘、とでも言うべきか。
魔法剣士はゆっくりとした動作で剣を振り上げると、大きく振リ下ろした。
もちろんこの距離では剣は当たらない。
だがその瞬間、勇者の背筋を何かが走り抜けた。
動物的な勘のような、危機を知らせるものだ。
言いようの無い恐怖感が心の奥底から湧き上がる。
勇者が突発的に刀を盾にしたのとほぼ同時に刀に何かが激突した。
強烈な一撃に、勇者の右手がビリビリと痺れる。
あまりの衝撃に後ろにのけ反る。
その衝撃波とも何とも言えない何かに警戒しながらゆっくりと刀を構え直す。
目は常に相手の剣を見続ける。
魔法剣士は眼鏡の位置を直しながら不敵に笑っていた。
相変わらず相手を挑発するような笑顔だ。
「風……か?」
勇者は訝しげに聞いた。
もちろん回答なんて期待していないし、分かったとしても回避できるとは限らない。
魔法剣士は何も言わず、剣を大きく振り上げる。
906 = 901 :
勇者は魔法剣士目掛けて全力で走り出した。
防御や会費は一切考えず、相手を一撃で仕留める事だけを考える。
奥歯がギリギリと鳴き、関節が負担に耐え切れず悲鳴を上げる。
だがここで止まる訳にはいかない。
さらに態勢を低くし、加速する。
魔法剣士の剣が振り下ろされるのと、勇者の刀が魔法剣士の肩を貫いたのは同時だった。
「あ……がはっ!!」
腹部への異様な激痛に吐血する。
かすめただけでこの威力だ、直撃していたら即死だっただろう。
勇者は素早く相手から剣を引き抜き、刀を振り下ろす。
響く金属音。
勇者の刀が止められたのだ。
ギチギチと得物同士を鳴らしながら睨み合う。
勇者は距離を置く事無く、追撃を加える。
手数なら勇者の方が圧倒的に多い。
相手を翻弄するように、上段、下段、中段と、攻撃を仕掛ける。
とにかく相手に反撃する隙を与えない。
「ガキが、なめるな!!」
907 = 901 :
魔法剣士の剣に弾かれ、後ろに弾き飛ばされる。
うまく着地できず、膝をつく。
さっきのダメージがかなり効いているようだ。
だが止まっている暇は無い。
止まればそこにあるのは死だけだ。
勇者は素早く態勢を立て直し、走り出す。
生きる為の全力疾走。
腹部の激痛などを気にしている暇は無い。
魔法剣士の剣が見えない球を吐き出した。
音もなく、姿も無い、だが人を殺す事の出来る悪魔が勇者目掛けて襲いかかる。
勇者は歯を食いしばり、見えない敵に斬りかかる。
ガキィン、という高らかな音が響く。
追い返されてしまいそうな異様な力に必死で耐える。
「あ、あァァァァァァ!!」
叫び声が自然と漏れた。
右手の感覚はほとんど無い。
だが、押し切る。
押し切って見せる。
908 = 901 :
一歩踏み込み、力を押し返す。
刀が見えない何かを斬っているのがわかる。
「あァァァァァァァ!!」
強烈な風。
轟音。
勇者に襲いかかっていた何かが消滅する。
安堵のせいか疲れのせいか膝の力が抜ける。
だがここで止まる訳にはいかない。
勇者は一瞬で距離を詰める。
魔法剣士が後ろに跳ぼうとするが、その前に足を斬る。
魔法剣士の右足の膝から下が吹き飛び、そのまま地面に倒れた。
血が溢れ出て、床を赤く濡らしている。
勇者は刀を鞘にしまい、魔法剣士に近づく。
909 = 901 :
魔法剣士「俺の負けだ……ははっ」
勇者「何がおかしいんだ?」ハァハァ
魔法剣士「言っただろ、俺は勝っても負けてもいいんだよ」
勇者「どういう意味だ?」
魔法剣士「俺は戦争の火種になるって事だ、これで戦争が起こる……」
勇者「?」
弓兵「こいつの目的は戦争を起こす事だったって事だ」
勇者「殺し屋は殺したのか?」
弓兵「どっかにいるだろ、出てくる気は無いだろうけど」
勇者「戦争の火種って?」
弓兵「魔法の町は戦争を起こすきっかけを欲しがってた、でこいつがそのきっかけって事だ」
魔法剣士「魔法の町の兵士が殺されたとなれば、戦争は防げないからな」
勇者「なら殺さなきゃいいだろ」
弓兵「片足が無いこいつを魔法の町に返すのか?」
勇者「……」
魔法剣士「ははっ、買っても負けても、お前達は負け――――――がはっ!!」
弓兵は魔法剣士の腹を殴り気絶させる。
弓兵「とにかくこいつを連れて城に戻るべきだ」
910 = 901 :
勇者「そうだ、妹は!?」
妹「お兄ちゃん」タタタッ
勇者「お前大丈夫か?」
妹「うん、平気」
勇者「どうやってここに?」
妹「おじさんが開けてくれたの」
勇者「おじさん?」
妹「うん」
勇者「名前は?」
妹「名乗る者ではございませんって言ってた」
勇者「……なんだそりゃ」
弓兵「誰だっていいだろ」
勇者「まあ、そうだな」
弓兵「さっさと行くぞ」
弓兵は魔法剣士を持ちあげる。
勇者「ああ、わかった」フラフラ
911 = 901 :
今日はここまでです。
戦闘シーンがマンネリしない様にいろいろ工夫してるんですが難しいです。
912 :
乙
会費を考えなかったのか
913 :
乙
えっ有料登録必要になるのか?
こんだけ密度の濃い描写すると疲れるよね
914 :
乙
あんたは安定して面白いよ
915 :
正直ここまで面白くなるとは思わなかった
917 :
>>915完全に同意
最初に批判して申し訳なかった
918 :
~~~~~~~~~~~~~~
城
王「そうか……戦争が起こるのか……」
勇者「すいません」
王「お主が謝る事じゃない、戦争は遅かれ早かれ起きるはずじゃった」
暗殺者「大規模な戦争ってどれくらいなんだ?」
女大臣「魔法の町とその他の町の連合軍の戦いです、世界戦争と言ってもいいですね」
ドラゴン「そんなの魔法の町の惨敗に決まってるだろ」
女勇者「あの町には腐るほど兵器があるんですよ、あれを出し惜しみせず使われれば勝てるかどうかも危ういです」
女大臣「その通りです」
暗殺者「話からすると魔道騎士が最終兵器なんだろ?」
勇者「でも魔王がいないから動かせないらしい」
女勇者「……話が見えてきましたね」
暗殺者「ああ、大まかな筋書きはだいたいな」
弓兵「魔王が捕まればそれこそ大惨事だ」
ドラゴン「だがあいつ等には勇者がいないだろ」
919 = 918 :
勇者「……いや、策があるってあの眼鏡が言ってたぞ」
弓兵「策か……」
弓兵「……悪いが、魔法剣士を連れて来てくれ」
女大臣「分かりました」スタスタ
女勇者「どうするんですか?」
弓兵「聞いてみるしかないだろ」
暗殺者「素直に口を割るのか?」
弓兵「あいつ次第だな」
女勇者「ここは勇者の出番ですね」
勇者「なんでだよ」
暗殺者「だって口悪いし、よくしゃべるし」
ドラゴン「貴様の口の悪さは達人技だからな」
勇者「褒められてるはずなのに全然うれしく無いんだけど」
女勇者「褒めてません」
勇者「……あ、そう」
920 = 918 :
女大臣「連れてきました」
魔法剣士が二人の兵士に付き添われて部屋に入ってくる。
魔法剣士「ははは、いつ戦争は起きるんだ?」スタスタ
弓兵「安心しろ、どうせすぐ起こるさ」
魔法剣士「俺が拘束された事はもう魔法の町は知ってるんだろ?」
王「うむ、いつ魔法の町が宣戦布告してきてもおかしくないじゃろうな」
勇者「ずいぶん回りくどいやり方だな」
魔法剣士「魔法の町だって一枚岩じゃないんだ、町をまとめる為には立派な理由が必要だ、ガキにはわからんだろうな」
勇者「そうかもな」
女勇者「ですが、たかが兵士を一人拘束しただけで理由になるものなんですか?」
女大臣「この男はただの兵士ではありませんよ」
ドラゴン「何がどう違うんだ?」
女大臣「この男は魔法の町で特殊な訓練を受けた兵士です」
勇者「特殊な訓練?」
女大臣「はい、生まれた時から英才教育を受けた、重要な兵士という事です」
921 = 918 :
弓兵「かなりの資金を投じて育てた兵士が拘束されて足を斬られたんだ、あとは分かるだろ」
魔法剣士「言っとくが他の奴らと俺を一緒にするなよ、あいつ等は化物だからな」
勇者「一番弱いって自覚してるのか?」
魔法剣士「ああ、あいつ等は人間の強さを逸脱してる、俺なんか足元にも及ばん」
勇者「……」
黒スライム「そいつは戦争の火種としてこの町に送り込まれたんだ」ピョン
勇者「……いろいろ悪いな」
黒スライム「気にするな、好きでやってんだ」
女大臣「この方は?」
勇者「黒スライムだ」
黒スライム「こいつは最初っから戦争を起こすためにこの町に送り込まれてきたんだ」
勇者「……じゃあ復讐ってのは?」
黒スライム「火種に火をつける作戦だ」
黒スライム「こいつが勇者に勝っていても、兵士どもがこいつを殺して火種に火がついてただろうしな」
ドラゴン「じゃあどうやっても戦争の回避は不可能になるぞ?」
黒スライム「そう計画されてたって事だ」
魔法剣士「だから言っただろ、俺は勝っても負けてもいいって」
ドラゴン「ここに死にに来たのか」
922 = 918 :
魔法剣士「そうだ」
暗殺者「……じゃあお前は捨てられたのか」
魔法剣士「言いようによってはそうとも言えるな」
勇者「意味わかんねぇな、その考え方」
魔法剣士「……ガキ、お前将棋やった事あるか?」
勇者「は?」
魔法剣士「将棋だ、将棋、知らないのか?」
勇者「知ってるよ、やった事もあるし」
魔法剣士「敵の王の駒をとるためには他の駒を捨てることだってある、あれと同じ事だ」
勇者「あれはゲームだろ」
魔法剣士「戦争だってゲームだ、偉い学者や大臣達にとってはな」
ドラゴン「……貴様自身はどうなんだ」
魔法剣士「何が?」
ドラゴン「捨て駒になって良かったのか?」
魔法剣士「弱い一人の兵士として生きていくよりはよっぽどいいだろ」
女勇者「……間違った考え方とは言いませんが、私は賛同しかねます」
魔法剣士「だろうな、それに分かってもらう気はない」
923 = 918 :
勇者「あ、そう」
王「……お主に聞きたい、魔道騎士とは何なのじゃ?」
魔法剣士「魔法の力を体に組み込んだ兵器……いや、兵士とも言えるかな」
弓兵「人体実験か、ずいぶん物騒なことしてるんだな」
魔法剣士「お前等のものさしで物事を計るな」
女大臣「でも魔道騎士は動かないんですよね」
魔法剣士「魔力が足りないだけだ、それ以外はすべて完成してる」
女大臣「そこでその魔力を補うために魔王を使う訳ですね」
魔法剣士「ああ、その通りだ」
勇者「でも勇者がいないんだろ?」
魔法剣士「前にも言っただろ、策はある」
女大臣「その策というのはなんなのですか?」
魔法剣士「なんで勇者しか魔王を倒せないか知ってるか?」
暗殺者「さあな」
魔法剣士「詳しい事は知らんが、魔王の住む場所に入るには勇者の血を引く者がいないと入れないらしい」
勇者「へー、そうなんだ」
魔法剣士「知らなかったのか?」
924 = 918 :
勇者「いきなり勇者だって聞かされて旅してたんだ、そんな事知るか」
魔法剣士「まあいい、つまり入る方法さえ発見できれば勇者の協力が無くても魔王を捕まえられるってわけだ」
暗殺者「そんな事話しちまってよかったのか?」
魔法剣士「別に隠す必要なんて無いだろ」
暗殺者「気構えて損したな」
魔法剣士「お前達が勝手にそう考えてただけだろ」
暗殺者「で、お前達はそれを使って魔王を生け捕りにする訳か」
魔法剣士「その通り、そうすれば魔道騎士も動かせる訳だ」
弓兵「……こりゃ魔王討伐を急がせた方がいいかもしれんぞ」
魔法剣士「ははっ、間に合えばいいけどな」
王「船の準備はどうなっておるのじゃ?」
女大臣「もう少し時間がかかります」
王「勇者、船の準備が出来次第、雪の町へ向かうのじゃ」
勇者「わかってる」
女大臣「勇者様達は出発の準備をしておいて下さい」
女勇者「わかりました」
ドラゴン「暗殺者、腕はまだダメか?」
925 = 918 :
暗殺者「もうちょっとだな」
女大臣「あとで病院に行っておいて下さい」
暗殺者「了解」
女大臣「勇者様、あなた様もこの紙に書いてある病院に行って下さい」スッ
勇者「え?」
女大臣「今回の戦いでも怪我をしたようですし、きちんと見てもらってきて下さい」
勇者「大丈夫だって」
女大臣「分かりましたね?」
勇者「……」
女大臣「……」
勇者「わかったよ」
女大臣「分かればいいんです」
女大臣「他の皆様もきちんと休息をとっておいて下さい」
ドラゴン「わかってる」
女大臣「戦争の事は気にせず、魔王討伐だけを考えて下さい」
暗殺者「わかった」
女大臣「戦争の事は私達で何とかしますので」
女勇者「わかりました」
女勇者「行きますよ」ガチャ
勇者「ああ」スタスタ
926 = 918 :
今日はここまでです。
>>917 気にしないでください。
928 :
やべぇ!!マジで面白くなってきた!!
929 :
こんだけおもしろかったら
絵さえかければ漫画になるのに
932 :
魔王を捕獲できる前提で話してるがそんなに弱いと思ってるのかねぇ
933 :
なんか魔王も仲間にしてしまいそうだなこいつら
このパーティーで魔法の国に潜入して中から壊した方が速そうだけど……
934 :
女大臣「……その人も連れて行って下さい」
兵士「はっ」スタスタ
魔法剣士「楽しみにしてるぞ」スタスタ
弓兵「勝手に言ってろ」
黒スライム「じゃあ俺様も―――――」
女大臣「あなたは残ってもらえますか?」
黒スライム「なんでだ?」
女大臣「聞きたい事や頼みたい事がありますので」
黒スライム「……別にいいけどよ」
王「始まるのじゃな……」
弓兵「やっぱり、って感じだな」
女大臣「そうですね、ですがあそこまで魔法の町の兵器が進化していたとは思いませんでした」
弓兵「人体実験までしてるとは思わなかった、俺達の情報集めが不足してたな」
女大臣「気にする必要は無いです」
王「他の町にもその情報を伝えておいてくれるか?」
935 = 934 :
女大臣「分かりました」
弓兵「で、俺達はどう動けばいい?」
女大臣「今の所は待機ですね、もう少し時間をおくべきですね」
女大臣「下手に動いても犠牲が増えるだけですし」
弓兵「そうだな」
女大臣「黒スライムさん、でしたか?」
黒スライム「ああ」
女大臣「今分かっている事を教えていただけませんか?」
黒スライム「何をだ?」
女大臣「役に立ちそうな情報なら何でも構いません」
黒スライム「だいたいはさっきの奴が言ってた通りだ」
弓兵「魔道騎士については何か分かるか?」
黒スライム「さあな、博士って科学者が作った事と莫大な魔力を喰う事以外は分からん」
女大臣「そうですか……」
黒スライム「ただその博士って奴は勇者達と面識があるみたいだ」
936 = 934 :
弓兵「面識?」
黒スライム「詳しい事は分からん、ただ面識があるのは事実だ」
黒スライム「勇者は魔道騎士についてそんなに知らないみたいだがし、博士の居場所もわからんけどな」
弓兵「じゃあ聞いても無駄か……」
黒スライム「あと魔道騎士と博士はずいぶん関わりがあったみたいだ」
弓兵「そりゃ制作者なんだし当たり前だろ」
黒スライム「そう言う意味じゃない、魔道騎士の中の人間と深い関係だったって意味だ」
弓兵「どういう関係だ?」
黒スライム「それは分からん」
弓兵「……」
王「魔法の町の武力は分かるか?」
黒スライム「兵士の数ならお前達の方が圧倒的に多い、ただ奴等に兵器があるから何とも言えんな」
黒スライム「特に人間をベースに作られた兵器には注意が必要だ」
弓兵「……とにかく今はこちらの兵力と武力を調えるしかないな」
女大臣「そうですね」
弓兵「黒スライムだったっけ、悪いけど魔法の町について調べてくれないか?」
937 = 934 :
黒スライム「別にいいぜ」
弓兵「じゃあ任せたぞ」
王「女大臣は他の町と作戦を練っておいてくれ」
女大臣「わかりました」
王「他の国との連携はわしが話し合っておく」
弓兵「お願いします」
黒スライム「長話は情報の漏洩につながるぞ」
弓兵「そうだな、この辺でいいか?」
女大臣「十分です」
弓兵「じゃあ作戦通りに」スタスタ
黒スライム「何かわかったら伝えに来る」ピョン
女大臣「……ついに始まりますね」
王「そうじゃな……」
938 = 934 :
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
数日後 船着き場
勇者「毎回毎回悪いな」
女大臣「大臣として当然の仕事をしただけです」
女大臣「皆様、お気をつけて下さいね」
勇者「分かってる」
女勇者「戦争の事はどうなったんですか?」
女大臣「そちらの方は私達に任せておいて下さい」
女勇者「……わかりました」
暗殺者「お前等も無理するなよ」
女大臣「私達の事は気にせず魔王討伐だけを考えておいて下さい」
暗殺者「ああ、わかった」
女大臣「雪の町に着いたらここに行ってください」スッ
ドラゴン「何があるんだ?」
女大臣「私の知り合いが住んでいます、きっと力になってくれると思いますので」
939 = 934 :
ドラゴン「どんな人だ?」
女大臣「私の師です」
勇者「わかった、会いに行ってみる」
女大臣「そうして下さい」
女大臣「私ももう少し力になれればよかったのですが……」
女勇者「いえ、十分過ぎるほど力になっていますよ」
妹「お兄ちゃん」タタタッ
勇者「妹!?」
女大臣「私が呼んでおきました」
妹「早く帰ってきてね」
勇者「わかってる」
妹「いってらっしゃい」
勇者「ああ」
船乗り「出発するぞ!!」
ドラゴン「女大臣、無茶はするなよ」スタスタ
女大臣「分かっています」
女大臣「では、ご武運を」
こうして勇者一行は雪の町へと向かうのであった。
940 = 934 :
※キャラ紹介
金髪 17歳
チンピラグループの副リーダー。
チームでは尋問や情報収集が仕事。
倒すより逃げる戦闘スタイルを持つ。
そのため足はとても速い。
ちなみにかっこいい者に憧れ、そういう人なら男女を問わず惚れる。
殺し屋 28歳
裏社会のカリスマと呼ばれる凄い男。
その通り名と残虐非道な噂からよく勘違いされるが、本当は適当で軽い男。
仕事のためなら手段を選ばないが、仕事以外で人を殺す事は嫌う。
戦闘スピードは作中で最速を誇る。
また飛んでくる何本ものナイフを全て掴めるほどの動体視力を持っている。
941 = 934 :
今日はここまでです。
今日で勇者の町編が終わりました。
スレも少ないですし、雪の町編に入ってもそんない書けそうにないので、番外編、勇者達のバレンタインをやろうと思います。
明日は勇者達のバレンタインをやります。
942 :
乙かれ様です
943 :
バレンタイン……だ…と…
944 :
血のバレンタインか…
945 :
バレンタイン?
何?
酒?
946 :
乙
なんか聞き慣れない単語があるな。よくわからんが涙が出てきた
947 :
ヴァンアレンタイなら知ってる
948 :
ヴァンアレン帯消滅してリア充が宇宙線にやられる話だよな?
949 :
こんなにスレを消費していたことに今気がついた
良スレだ
950 :
血汚れートだな
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