元スレ勇者「パーティーの中で、俺が一番弱いんだよな……」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ★
1 :
勇者に痛恨の一撃!
勇者「ぐあっ!」
戦士「バカ、下がってろ!」
魔法使い「ほい、いくぞ、極大火炎呪文」
ごおっ!
僧侶「勇者様、回復しますから!」
勇者「ご、ごめん」
戦士「このおっ!」
戦士の会心の一撃!
魔物を退治した。
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2 = 1 :
戦士「ふー、さすがにここまで来ると魔物も強力だな」
魔法使い「ジジイの身には堪えるのう」
僧侶「魔法使いさんも回復しましょうか?」
魔法使い「わしは柔らかい物を触れば回復するから大丈夫じゃ」サワッ
戦士「うひゃあ!」
魔法使い「うひゃひゃ、お前さんは固かったかな」
戦士「おい、ジジイ……」
勇者「……」
僧侶「勇者様、大丈夫ですか?」
勇者「い、いや、ありがとう」
戦士「勇者、そろそろ陽も暮れる。街はまだか?」
勇者「地図通りには来ているんだが、何しろ人の通行が少ないからなぁ」
僧侶「あ、あれは、街の灯りじゃないでしょうか?」
3 = 1 :
魔法使い「おお、ようやく街かい。かわいい女の子がいるとええのう」
戦士「おい、ジジイ」
魔法使い「別にお前さん方をdisってるわけじゃないぞ? それぞれの街の、それぞれのかわいい女の子を愛でるのがいいんじゃ」
勇者「……」
僧侶「勇者様、本当に大丈夫ですか?」
勇者「……大丈夫だよ!」
戦士「勇者、さすがに街が近いんだ。もう魔物の襲撃もないんだろうから、私が持つよ」
勇者「いや、お、俺がリーダーだからな。荷物の管理は俺に任せろ」グイッ
勇者「ととっ……」ふら
戦士「バカ。半分、いや三分の、いや、六分の一くらい持つ、街についたら整理しよう」
勇者「あー、すまん」
4 = 1 :
宿屋。
勇者「ふあー、ようやく安心できるなぁ」
僧侶「王様に挨拶しなくてよろしかったのでしょうか」
戦士「こんな夕暮れに門を開けてはくれないよ」
魔法使い「そのとおりじゃ。かえって迷惑、その上、ここの国王は何かにつけて冒険者にいちゃもんをつける」
魔法使い「んで、女の冒険者にはエロいことをふっかけてるというけしからんやつじゃ」
戦・僧「……」ジーッ
魔法使い「明日の訪問も、わしと勇者で行った方がよいじゃろ」
勇者「……」
魔法使い「ということじゃ、勇者」
勇者「お、おう!? そうだなじいさん、ちょっと酒場繰り出すか!」
戦士「おい、勇者!」
勇者「あ!? いや、しまった」
5 = 1 :
魔法使い「勇者のおごりなら仕方あるまいて」ドッコイショ
勇者「誰もおごりとは言ってねぇ」
僧侶「ふ、不潔ですよ!」
勇者「酒場に行くののどこが不潔なんですかー」
戦士「ち……どうせじじいと行くってこた、買春だろ」
魔法使い「ちょっとエッチなダンスショーを見に行くだけじゃ」
戦士「同じだろうが!」
勇者「俺は酒飲みに行くだけだし」
僧侶「ついて早々、そのような振る舞い、神もお嘆きですよ!」
魔法使い「飲酒で嘆く神様はおらんよ。ほいじゃ、行こうぞ勇者」
勇者「へいへい」
僧侶「もう、お二人とも!」
勇者「飯は適当に食っとけよ!」
戦士「うるさい、バカども!」
6 = 1 :
外。
勇者「……あ」
魔法使い「どうしたんじゃ」
勇者「財布忘れちまった、取りに戻る」
魔法使い「またかい。んじゃ、わしは一人で行ってくるぞ」
勇者「わりーな、じいさん」
魔法使い「ツケにしておくから、明日支払っといてくれよ」
勇者「おい、俺もあとで行くよ」
魔法使い「まあまあ、ジジイと飲むより、別々に若いねえちゃんと飲んだ方が酒もうまいじゃろ」
勇者「ツケが嫌なんだよ! いくら飲んだかも覚えてないくせに!」
魔法使い「呪文の詠唱は忘れとらんじゃろ」
勇者「うるせえジジイ」
魔法使い「ひょひょひょ」スタタ
勇者「……」
7 = 1 :
勇者「はぁ……」
勇者「あっちも気を使ってんだろな」
勇者「まあ、俺も、一人で飲みたいし……」
勇者「はぁ……」
勇者「くそっ、もう魔王の居城も近いっていうのに」
勇者「……」
勇者「パーティーの中で、俺が一番弱いんだよな……」
勇者「剣の腕は戦士に劣るし……」
勇者「魔法使いほどの高威力の魔法も使えない」
勇者「回復役の僧侶さんの方が、腕力がある始末だ……」
勇者「あー……」
勇者「飲むか」
8 = 1 :
酒場。
マスター「いらっしゃい」
勇者「安くてうまいの」
マスター「……ちっ」
勇者「明日も来るから」
マスター「うちは女の子とかはいないよ」
勇者「へいへい」
ぎゃははは……
勇者「……の割に騒がしいな」
マスター「冒険者が増えてきたからな」
勇者「……」
マスター「勇者ってのもいるらしいな」
勇者「みたいだな」
9 = 1 :
武闘家「でよー、俺が殴ったら一発だよ!」
戦士(男)「またその話かよ、どうせ鉄の爪を持ってましたってオチだろ?」
武闘家「うるせーよ」
どはははは……
勇者(うぜぇ……)
商人「それにしても、最近、勇者とやらが各地で武功を立てているようですな」
男戦士「あれだろ? 王家の冠を取り返したり」
武闘家「媚がうまいだけの雑魚だな、きっと!」
勇者「……」
10 = 1 :
商人「なんでも、父親も勇者で、各地の魔物を退治していたとか」
男戦士「ほれみろ、七光りだ」
武闘家「血筋って得だよな~、俺なんかど田舎だから、兵士の試験もダメでよう」
男戦士「それはお前が馬鹿だからだろ!」
武闘家「うるせーよ」
商人「まあまあ、お二人とも、パーティーにはかかせない仲間なんですし」
男戦士「お前はお世辞がうまいよな」
武闘家「うるせーよ」
男戦士「お前には言ってねぇよ」
だはははは……
勇者「……」
11 = 1 :
勇者「おやじ、お勘定」
マスター「もうかい」
勇者「ああ。昼もやってる?」
マスター「一応な」
勇者「明日、仲間と昼飯でも食いに来る」
マスター「……ま、いいだろ」
勇者「客商売なんだから、愛想よくしたら?」
マスター「一本頼んでから言ってくれ」
勇者「へいへい」
きぃ。
勇者「……」
勇者「……はぁ」
12 = 1 :
翌日。
国王「よくぞ、来た! 勇者よ!」
勇者「はい」
国王「お前の噂は聞いておる。お前の父親とも、わしは面識があるぞ」
勇者「それはどうも」
国王「……父親に比べると、ちと頼りないように見えるな」
勇者「仲間がいますんで」
魔法使い「うひひ、そういうことじゃよ、国王」
国王「う、お前は」
魔法使い「あまり無体なことをするでないぞぉ」
国王「わ、わかった。わかったから」
勇者「……あのう」
国王「う、うむ! この国は魔王の居城も近い。が、その分、兵の練度もなかなかのものだ」
国王「もしよければ、武器を整えたり、あるいは兵たちと手合わせをしていくがよい!」
国王「城の宝物は勝手に持って行くでないぞ」
勇者「はあ。どうも」
13 = 1 :
城内。
勇者「……知り合いか?」
魔法使い「若い頃も冒険しとったからな、わし」
勇者「年食っても冒険して、よくやるよ」
魔法使い「村で女の子と遊んでいたら、蓄えが尽きちまってのう」
勇者「……」
戦士「お。挨拶は終わったのか」
勇者「セクハラはされなかったよ」
僧侶「あ、当たり前です!」
戦士「それで、なんか無茶ぶりはあったのか?」
勇者「いいや、武器でも買ってけ、兵士と手合わせでもしていけってさ」
戦士「ほほう」
14 = 1 :
勇者「……手合わせなんかしないからな」
戦士「ちょっと待て。なんでそうなる」
勇者「俺達の力は魔物を退治することに使われるべきで」
戦士「バカ! ここらで勇者のパーティーの名前をだな」
僧侶「そうですよ、勇者様! お忍びのように行動していては、人々に勇気を与えられません!」
僧侶「私たちの力を、時々で発揮せねば!」
魔法使い「ま、わしも不賛成じゃな。力自慢の娘っ子どもはともかく」
僧侶「高名な女性の魔法学者様もいらっしゃいますけど……」
魔法使い「魔法比べってのもできるんかいのう」
勇者「おい、ジジイ……」
15 = 1 :
勇者「と、とにかく、ダメだ」
戦士「……お前な」
勇者「お、お前一人でってわけにもいかないだろ」
魔法使い「勇者ちゃんはびびりなんじゃ」
僧侶「勇者様、勇気を出して!」
勇者「……俺の親父は、人間と他流試合をしている時に手加減しすぎて大怪我を……」
戦士「その嘘は前に聞いた」
勇者「そ、そうだったか?」
戦士「じゃあ、手合わせは私とジジイで行ってくるから。装備の整理をしにいってこい」
勇者「う、お」
魔法使い「僧侶ちゃんも行っておいで」
16 = 1 :
僧侶「お二人の活躍が見たいのですがー」
勇者「……」
僧侶「まあ、溜め込んだ装備品を換金する必要はありますね!!」
勇者「そ、そうだよな」
僧侶「それでは、勇者様、一度宿屋で荷物を受け取りましょう!」
勇者「ああ……お前ら! あまり無茶するなよ!」
戦士「わかってるよ」
魔法使い「うひゃひゃ」
タッタッタッ。
戦士「……やれやれ」
魔法使い「面倒なやつじゃのう」
17 = 1 :
武器屋。
武器屋「ふーむ。傷はあるが、なかなかいい素材だ」
勇者「だろ? 他所のやつらは、定価だ何だでケチつけてくるからよぉ」
武器屋「潰しても元が取れるな」
勇者「だろだろ? どうだ、他にも貴重なのはあるぜ! エルフが魔法でつくったやつとか」
武器屋「そういうのは俺のとこでは扱いづらいが……ま、知り合いの行商に流すこともできるしな」
勇者「!」
勇者「僧侶、武器屋ってそういうもんなの?」ヒソヒソ
僧侶「そういうものみたいですわね」ヒソヒソ
武器屋「おい?」
勇者「あ、ああ、ごめん」
18 = 1 :
武器屋「それにしても……」
武器屋「この数はすごいな」 どっちゃり
勇者「売り時がわからなかったからなぁ」
武器屋「少し時間がかかるがいいか? 俺もこの量の買い取りは初めてだから」
勇者「おう。その間に武器を見てるよ」
僧侶(き、きた!)
僧侶「あのぉ、勇者様」
勇者「お、炎の剣かー、戦士によさそうだな」
僧侶「勇者様!」
勇者「は、はい?」
僧侶「そろそろ、勇者様も、武器を買い替えたほうがいいと思います!」
勇者「え、いいよ俺は」
19 = 1 :
僧侶「この先、魔物も手強くなってきますし」
勇者「でも、俺は戦士ほど剣の腕が……」
僧侶「少しでも、良い武器に切り替えたほうが懸命です!」
勇者「そーは言うけどね……」
僧侶「勇者様は、防具も私達優先で買われるじゃないですか」
勇者「魔法使いも僧侶も防御が低いんだ。重視するのは当然だろ」
僧侶「と、とにかくですね!」
武器屋「……武器の買い替えかい?」
勇者「ああ、いや」
僧侶「ぜひお願いします! 勇者様にぴったりのを!」
武器屋「そんなら、まず手持ちの武器を見せてみな」
僧侶「はい! はい!」グイッ
勇者「お、おい、僧侶」
20 = 1 :
武器屋「ふーむ、いやあ、こいつはひどいな」
武器屋「刃がボロボロじゃないか。これならどれに替えてもマシだな」
勇者「俺は、大して強くないからいいんだよ」
武器屋「そうは言うがな。物に引っ張られて強くなることもある」
僧侶「そうですよ!」
武器屋「錆びた包丁を使えば、かえって怪我するってこともある」
僧侶「そのとおり!」
武器屋「……あんたのお仲間はなんなんだ?」
勇者「気にせんでくれ。あれでも普段より落ち着いているくらいだ」
武器屋「いずれにしても、この状態なら引き取るのに金をいただくところだが、今ならただで引き取ろう」
勇者「うーん」
僧侶「ありがたい申し出ですよ! ね、ね」
21 = 1 :
武器屋「で、俺が代わりにオススメするのはこいつだ」
勇者「普通の剣だな」
武器屋「いや、そこそこ軽くてかなり丈夫な素材と、ちょいと特殊な製法でできている」
勇者「はぁ」
武器屋「切れ味より、壊れにくさ、扱いやすさを重視したつくりだが、何しろ地味で不格好だから、買い手がつかなくてな」
武器屋「手間暇自体はかかってるから、一万ほどなんだが……」
勇者「うおっ、けっこうするな」
武器屋「見たところ、長く、それからけっこう激しい戦闘をするんだろ? あんた向きだとは思うぜ」
僧侶「い、いいじゃないですか、勇者様!」
武器屋「買い取りの価格と相殺して見積もり出しとくから、もってくならもってけ」
勇者「……概算いくらになる?」
武器屋「……このくらいかな」
勇者「……ふむ」
勇者「そうだな。そろそろ」
僧侶(やった!)
22 = 1 :
武器屋「ほれ、さや袋。ちゃんと装備しておけ」
勇者「おう。すごいなこれ」ニギ
武器屋「なんでだ?」
勇者「新しい武器なのに、すげー馴染む」
僧侶「よかったです~、勇者様ぁ!」
勇者「お、おう」
武器屋「まだ、見積もりには時間がかかるから、昼過ぎにもう一度来てくれや」
勇者「そーだな、戦士のは本人がいないとしょうがないだろうし」
僧侶「ですね、ちょっとお散歩に行きましょう」
カランカラン。
武器屋「……あれが勇者ってやつか。オーラのなさそうな」
武器屋「……」
武器屋「しかし、あの男、使い込んでたし、本当なんだろうな」
武器屋「銅の剣でこの街までやってくるってんだから」
23 = 1 :
練兵場。
戦士「はぁっ!」 がいん!
兵士A「ぬおっ」
戦士「せやっ!」 だぁん!
兵士B「ぐわっ」
戦士「……これで終わりか」
兵士長「おお、おお。お前ら、だらしがないぞ」
兵士長「女だと思って手加減してるんじゃないだろうな」
兵士A「へ、へへ」
兵士B「それは、そのう……」
戦士(女だと思って手加減してくれるんだから、楽勝だな)
戦士(魔物はそういうわけにもいかないし)
戦士「いや、さすがにお強いですね。武器も良い物をもってらっしゃる」
兵士長「う、うむ」
24 = 1 :
戦士「もしよろしければ、兵士長殿もお手合わせは」
兵士長「私は女人を斬る趣味はないのでな」
戦士「そうですか」ニコ
戦士「ではこれで失礼します。勇者が待っておりますので」
兵士長「お、おお、あの父上殿の息子か」
戦士「ええ。強いですよ」
兵士長「それはそれは。手合わせしてみたかったな」
戦士「まあ、まだ滞在する予定ですし、機会があれば」
兵士長「そうか、うむ。そうか」
戦士「では」
カッカッカッ……
戦士(……魔王の居城に近いとはいえ、ろくな相手がいない。兵よりも、城壁や魔法によるものかな)
25 = 1 :
魔法使い「うおーい、戦士や」
戦士「ジジイ……早いじゃない」
魔法使い「ダメじゃダメじゃ。あんな婆さんと話す気にはなれんかったわい」
戦士「そりゃ、高名な魔法学者と言ったらねぇ」
魔法使い「おかしいじゃろ? 女魔法使いといえば、若い小娘ぷにぷにぴっちぴちであるべきじゃ」
戦士「知らないわよ……」
魔法使い「学者つーても、わしが若い頃に書いた研究をちょいと複雑にした程度じゃったし」
戦士「あ、そう」
魔法使い「こりゃもう、戦士の尻で埋め合わせをするしかないのう」
戦士「おい」
魔法使い「冗談じゃよ、いい時間じゃから昼飯にしようかの」
戦士(ウェイトレス触りに行く気だな……)
26 :
広場。
勇者「ん、そろそろお昼かな」
僧侶「うふふ」
勇者「……なんなんだ、さっきから」
僧侶「え!? いや、その、新しい装備ってなんだかいいですよね」
勇者「ん、手に馴染んでるせいか、新品感がないんだよな」
僧侶「少なくとも、私はうれしいですよ!」
勇者「そういうもんなの?」
僧侶「そういうものです!」
勇者「……僧侶の武器でもないんだけどな」
僧侶「いいんです!」
勇者「……防具買いに行こうか」
僧侶「は、はい!」
男戦士「……お」
武闘家「かわいい子がいるな」
27 = 1 :
男戦士「なぁ、お姉さん」
武闘家「お昼でも一緒に食べないか?」
僧侶「だからですね、年経た武器でも、新たな使い手が持てば、神のですね」
勇者「あーうんうん」
男戦士「おい、お前ら」
武闘家「ちょーっとストップ!」
僧侶「なんですか?」
勇者「うわ」
男戦士「ちょっと、君、そろそろお腹すいてきたよね」
僧侶「はあ」
武闘家「俺らとさあ、一緒に食べようぜ。冒険者同士の交流をさ」
僧侶「お断りします! パーティーがいますので」キュッ
勇者「お……」
28 = 1 :
武闘家「いやいや、そんな弱そうなやつよりも、俺たちの方が楽しいぜ?」
男戦士「それとも、あれかな。荷物持ちくんなのかな、彼は」
勇者「……」
僧侶「何を言いますか! この方は勇者様なのですよ!」
男戦士「勇者……?」
武闘家「こいつが……?」
「ぷっく……」
ぎゃはははははは!
勇者「……うぜ」
男戦士「勘弁してくれよ、こんなオーラもなさそうなやつが!」
武闘家「勇者様! ハライテー」
僧侶「まったく愚かな人たちですね!」
僧侶「顔面からして神のご加護を受けられていないくせに!」
ピタッ。
勇者(うわあ)
29 = 1 :
男戦士「おい、おねーちゃん」
武闘家「誰がなんだって?」
僧侶「あなた方は悪魔に呪われてそうな顔面をしてらっしゃいますね、と言っているのです!」
男戦士「面白いことを言うな」
武闘家「こりゃ、顔面の呪いを払ってもらわんといけんな、体で」
勇者「ぶふぉっ」
男戦士「てめぇも笑ってんじゃねぇよ!」
武闘家「ぶっ潰してやる!」
勇者「い、いや俺は、だな」
戦士「何してんの」
勇者「戦士!」
30 = 1 :
僧侶「ええ、呪いをかけられた方を解呪していたところです」
勇者(悪化させてただろう……)
戦士「はいはい」
男戦士「お、なんだよ、また女か」
戦士「連れが何か」
武闘家「ちょうどいい、まとめて……」
戦士「まとめて、なに?」
魔法使い「ほっほ、手合わせしたいということじゃないかね」
戦士「そうなんだ。力が有り余っているし、相手になってやるわよ」チャキ
勇者「おい! 町内だから、ここ!」
男戦士「や、やってやろうか!」
勇者「お前も乗るな!」
31 = 1 :
酒場。
勇者「あー、びっくりした」
戦士「せっかくだから、格の違いを見せつけてやればよかったのに」
僧侶「そうです! あんな失礼な人達!」
魔法使い「昼間に酒場に来ても面白くないのう」
勇者「昼飯食うだけなんだからいいだろ……」
マスター嫁「いらっしゃいませ~」
マスター「本当に来たのか」
勇者「うるさいな、とりあえず定食4つ」
戦士「酒」
魔法使い「わしもじゃ」
僧侶「お水を!」
勇者「お前ら……」
32 = 1 :
勇者「ちょっと、トイレ行ってくるわ」
マスター「店出て、右手」
勇者「へいへい」
戦士「……」
魔法使い「……ふむ」
僧侶「……行っちゃいましたね」
戦士「よし、それじゃあ、僧侶」
僧侶「ばっちりです! やっと武器を買い換えさせました!」
戦士「よおしっ!」
魔法使い「やっとかい……」
僧侶「武器屋の店主さんの一言が効いたみたいですね。錆びた包丁の方が危険だとかなんとか」
戦士「親父GJ!」
魔法使い「長かったのう。出会ってから一度も変えてなかったんじゃないのか」
僧侶「そういえばそうかもしれないですね……!」
33 = 1 :
戦士「ほんっとにあいつは仲間優先だもんなー」
魔法使い「自己評価が低すぎてキモいわい」
僧侶「勇者様に何度助けられたのか分かりませんのに」
戦士「そりゃ私より剣術がうまかったら、私は用なしだし」
魔法使い「わしより魔法の知恵があったら大魔道として名を残せるぞ」
僧侶「私など、勇者様が盾になってくださらなかったら、みなさんをフォローできませんし」
戦士「おかしいよな……最前列で戦っているのに、最後まで生き残ってるのはあいつなんだ……」
魔法使い「体力が異常に高いんじゃのう。見積もり、トロルの三倍くらいはありそうじゃ」
僧侶「全滅しかけた時、私達を抱えて村まで歩いて帰ったりしたらしいですね」
戦士「そもそも武器を数十人分、荷物にして背負って、なんで戦闘ができるんだよなあ」
魔法使い「指揮能力もそれなりにあるから、そんな馬鹿なことをしてても勝てるんじゃがな」
僧侶「で、でも、ようやくそれも処分しましたし!」
戦士は思わず拍手した。
34 = 1 :
戦士「私のために、いざというとき武具を持っておかないとなんて言い張るから」
魔法使い「説得が大変じゃったのう」
戦士「とにかく卑屈なんだよな。まともな武器を持てば、そのへんの連中にも負けないはずだろうに」
僧侶「さっきも戦士さんが割り込まなければ、きっと勇者様は雑魚を蹴散らして、自分の強さに気づいてましたよ!」
魔法使い「本気で乱暴じゃのう」
僧侶「わ、私は、勇者様にご自身の力に気づいていただきたいと」
戦士「あの手合いは、そのくらいで自信を手に入れるタイプでもないだろう?」
魔法使い「親父と自分を比べておるからのう」
戦士「そりゃ、親父さんも勇者だったのかもしれないけど、あいつも確かに勇者だよ」
魔法使い「周りから比べられてきたんじゃ。いやでも気になる」
魔法使い「お前さん方もそういうのはあるじゃろ」
戦士「ん……まぁな」
僧侶「わ、私は……うう」
魔法使い「あー、おねえちゃん、飯はまだかいのう!」
マスター嫁「はいはーい。もうちょっと待っててね~」
彼らが世界を救うのには、もう少し時間がかかる。
35 :
乙?でいいのかな
続き期待してますぞ
36 :
乙
勇者はダメ人間じゃなかったんだな。
37 :
乙
今書き溜めてる作品が勇者が弱い設定で被ったわ
38 :
卑屈チートか、ある意味駄目人間だな。もっと熱くなれよ!
40 = 1 :
勇者。
剣の腕は二流。魔法の力もそれほどではない。指揮能力も普通。
だが、とにかく体力が高い。そこだけ突出している。
父親と比べると確かに見劣りするが、逆に周りが動かされるようなタイプ。
時々、突拍子もない行動を取ることもあるが、本人的にはそれなりに目算がある。つもり。
戦士。
剣の腕は一流、ただし、世界一などとは言えない。
比較的、力より技の剣士であるが、はためには力自慢に見られがち。
かなり大食い。前面には複数の傷がある。
女だから、という扱いを受けたことがあり、周りを冷めた目で見ている。つもり。
魔法使い。
ジジイ。勇者SSでジジイ魔法使いが少ないので……もち、強いジジイだよ!
エロいが、別にキャラ作りではなく、かなり女好き。
年食ってからエロを許容されるようになったので、自覚的にエロを挟み込もうとする。
若いうちから冒険はしていたので、それなりに知識はある。つもりではない。
僧侶。
うざい系妹系キャラ。
僧侶なのに、かなり重たい武器を好んで持つ。結果、勇者よりもダメージソースに。
回復は普通にできる程度。自分の都合の良いように神を持ちだしてくるためか。
あまり人の話を聞かない系だが、思いやりはある。つもり。
戦士編と魔法使い編は書き上がってますので、近日中に投下します。
41 = 39 :
乙
楽しみ
42 :
おっつん
43 :
――戦士の場合。
戦士「なんでだ!? 私が何したっていうんだ」
仲間「なんでも何も、お前は金かかりすぎなんだよ」
戦士「ど、どういうことだよ」
仲間「そりゃ、確かに腕は立つが、武器も防具も最新のものを欲しがるし、食う量だって人一倍だ。正直、冒険なんかやってられん」
戦士「それは……だったら、もっといい仕事を受ければいいじゃないか! こないだの竜の巣退治とか!」
仲間「ふざけんな! あれで全滅しかかったの、覚えてないのか!」
仲間「お前はちょっと強いかもしれんがな、他の連中はついていけねぇんだよ」
仲間「パーティーを危険に導くようなやつはいらねぇよ」
戦士「お、おい! 本気で、置いて行く気か!?」
仲間「ああ。金は食う、仕事は危険なものを受けたがる、リーダーの指示には従わない、そんなやつはもうお断りだ」
戦士「な……」
44 = 1 :
戦士「わ、わかった。これからは、ちゃんと節制するから!」
仲間「もういいよ……あ、こいつの、パーティー名簿から抹消しといて」
店主「一度消したら、あんたのとこには戻せないよ?」
仲間「構わない」
戦士「おい!?」
店主「ほいほいっと」スミヌリ
戦士「お、おい。なあ、嘘だろ。装備も外されて……」
元仲間「もっと楽に儲かりそうな仕事がほしいなー」
店主「女商人さんとかどうです? 行商のついでに冒険についていってもいいと」
元仲間「かわいい?」
店主「そりゃもう」
戦士「ちょっと……待ってくれ……」
45 = 1 :
………
店主「冒険者名簿の再登録は受け付けるよ」
戦士「……」
店主「まあ、そう気を落とすなよ。最近は魔王の復活なんて噂もあるし、力自慢なら困らない世の中だ」
戦士「気の合う連中だと思ってたんだ」
店主「そりゃ気の毒に」
戦士「金勘定は苦手だから、任せっぱなしだったのは悪かったけど……」
店主「……」
戦士「前に立って戦ってりゃ、武器も防具もすぐに壊れるんだろうが! 死ぬ気で戦ってるなら、腹が減るのもしょうがないだろう!」
店主「……」
戦士「ちくしょう! あいつら!」
店主「……で、再登録する?」
戦士「……いや、もう」
ばたん。
46 = 1 :
勇者「すみません、新しい仲間を……」
店主「おやー、お客さんは初めてですか」
戦士(ん、こいつは……?)
勇者「はあ、まあ」
店主「お、勇者のところの坊主じゃないか」
勇者「俺もそろそろ冒険に出ていけって」
店主「覇気がねぇなぁ。そんなんじゃやられちまうぞ」
勇者「いいんだよ。俺は親父みたいに強くはないし」
店主「……。で、どんな仲間をご希望ですか?」
勇者「まあ、なんだ、とりあえず腕が立つ人を三人くらい」
店主「戦士や魔法使い、僧侶なんかがオススメですよ」
勇者「全員いる?」
店主「うーん、今は戦士が一人ねぇ……」チラ
47 = 1 :
戦士「……」
勇者「あんたは戦士?」
戦士「そうだけど、たった今登録を消されたばかりでね。しばらく冒険はしたくない」
勇者「……でも、腕は立つんだろ」
戦士「そりゃ、腕に自信もないのに、冒険をやりたがるやつはいないよ」
勇者「俺は、剣の才能がなくても冒険しないといけないんだ……」
戦士「はぁ? バカじゃないの」
勇者「しょうがないんだよ。勇者だから」
戦士「やりたいことやったらいいんだよ、そんなの」
勇者「勇者になるようにしか育てられてないからなぁ……才能がなくても、しょうがない」
勇者「でも、あんたは強いんだろ」
戦士「いや、そうだけどさ……」
48 = 1 :
戦士「私は金食い虫だぞ。武器も防具も、前列で戦う以上、買い替えも要求するし、食事だっていっぱい食べる」
勇者「そんなの、当然だろう。むしろ、俺の冒険はあまり稼ぎにならないかもしれないけど、いいかい?」
戦士「まあ、そりゃ、別に金稼ぎしたいわけじゃないしな」
勇者「で、どのくらい強いんだ?」
店主「竜の巣でドラゴン退治してたくらいだ」
勇者「おお~……」
戦士「いや、あのな」
勇者「あんたが良ければ、ぜひ仲間になってくれ」
戦士「いや、でもな」
勇者「頼むよ。俺は、一人じゃ何もできないんだ」
戦士「……まあ、少しくらいなら」
――戦士が仲間にくわわった!
49 = 1 :
初会合。
戦士「よろしく」
魔法使い「ほいほい」
僧侶「よろしくおねがいします! 僧侶です!」
勇者「よろしく」
勇者「じゃあ、とりあえず冒険の計画なんだけど……」
戦士(計画……?)
勇者「一応、俺らは王家公認の冒険者ってことになってる」
勇者「んだから、各国の王様の支援を取り付けて、まあ、ついでにその国の問題も解決してやれば、橋渡しにもなる」
僧侶「そ、それは外交特使というやつですか!?」
魔法使い「はした金でそこまでやらされてものう」
勇者「……俺が勇者の家系だから、うちの王様も期待してんだろう」
戦士「……」
50 = 1 :
戦士「よし、勇者。その代わりに、死ぬほどふっかけてやれ」
勇者「ふっかける?」
戦士「ああ。例えば、姫様と結婚させろとか」
僧侶「せ、政略結婚!?」
魔法使い「うひゃひゃひゃ、そりゃきっと泡吹くぞい!」
勇者「そんなもん、通るわけないだろ」
戦士「だからいいんだよ。で、じゃあ、それなりに金額の大きい報酬をよこせ、こっちは命かけてるんだってやる」
勇者「……そういうことか」
僧侶「そんな、女性の心をもてあそぶようなことを!!」
戦士「だったら、王位継承権をよこせとかでもいい。とにかく、最初にふっかけて、後でそこそこの金額で落としこむ。その手で行こう」
勇者「よし、分かった。確かに命がけだ、こっちも交渉力が必要だよな」
戦士「うん。足元見られちゃおしまいだ」
勇者「……ありがとう、戦士」
戦士「ん」
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