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    元スレ勇者「パーティーにまともな奴がいない……」

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    851 = 850 :

    彼は次の矢を矢筒から取り出した。
    そしてそれを素早い動きで弓につがえ、すぐに放てる状態にする。

    硬直していた男達が一斉にこちらに向かって走り出した。
    どの男も目を血走らせ、鬼のような形相だ。
    それこそ死の恐怖から逃げる為に必死なのだろう。

    だが弓兵は表情一つ変えず、その場に立ち続ける。
    彼は弓につがえていた矢を矢筒に戻し、弓も投げ捨てると、男達を見て、僅かに嘲笑した。

    お前達に弓矢は必要ない、という意味だ。

    男達の顔がさらに険しくなる。
    一人の男が弓兵目掛け剣を振り下ろした。

    ゴウッ、という力強い音を響かせながら剣が襲いかかる。

    だが弓兵はいとも簡単にその攻撃をかわした。
    そして、剣を振り切り隙だらけの顔に回し蹴りを撃ちこむ。

    回し蹴りは相手のこめかみ辺りに直撃し、骨が折れるような音が僅かに聞こえた。
    相手の体が浮くのがわかる。

    852 = 850 :

    だが弓兵の反撃が終わった訳ではない。

    弓兵は姿勢をギリギリまで低くし、相手に急接近すると、相手の顎にアッパーカットを叩きこむ。
    メキリ、と嫌な音が聞こえる。
    あごの骨が折れたのだろう。

    男は大きく後ろに仰け反りながら地面に倒れた。
    口からは血を流し、意識はとっくに失っている。

    さっきまでこちらに走ってきていた男達は立ち止り、こちらの様子をうかがっている。

    妥当な判断だ。
    だがしかしその程度では到底技量の差はカバーできない。


    「逃げるなら逃げればいい、情報をくれるなら逃がしてやる」


    弓兵は貸金屋を睨みながら言い放った。
    低く、凄みのある声。
    普段の温厚そうな声とは真逆の声だった。


    立ち止っていた男達が窓から逃げ出していく。

    我先にと窓から飛びおりる男達の姿は滑稽で無様だった。

    弓兵は弓を拾うと、一人残された貸金屋に近づいていった。

    853 = 850 :

    弓兵「どうする?」

    貸金屋「は、話せば許してくれるんだろ!?」

    弓兵「だからそう言ってるだろ」

    貸金屋「な、何が聞きたい!!」

    弓兵「聞きたい事は一つ、魔法剣士の居場所だ」

    貸金屋「そ、それは言えない……」

    弓兵「……ならいいさ」

    貸金屋「え!?」

    弓兵「下の二人を呼んでくるかな」スタスタ

    貸金屋「待て、待ってくれ!!」

    弓兵「話す気になったのか?」

    貸金屋「た、ただ条件がある」

    弓兵「条件?」

    貸金屋「あ、ああ、俺が場所を言ったって絶対に言わないでくれ!!」

    弓兵「……」

    弓兵「わかった」

    854 = 850 :

    貸金屋「……あいつは町外れの赤い屋根の家にいる」

    弓兵「本当だな?」

    貸金屋「ほ……本当だ」

    貸金屋「これで本当に逃がしてくれるのか?」

    弓兵「……約束は守るさ」

    貸金屋「……」タタタッ

    弓兵「……」スタスタ

    勇者「終わったのか?」

    弓兵「ああ……また派手に殺したな」

    勇者「正当防衛って言えば大丈夫だろ」

    弓兵「ここまで来ると怪しいかもな」

    勇者「相手が斬りかかって来たんですから仕方のない事です」

    855 = 850 :

    弓兵「まあいい、俺が何とかしとく」

    勇者「ありがとうございます」

    勇者「で、場所は?」

    弓兵「町外れの赤い屋根の家だとさ」

    勇者「場所も分かりましたし、早くと行きましょう」

    勇者「俺が戦っていいのか?」

    弓兵「ん、どういう意味だ?」

    勇者「お前の目標ならお前が戦った方がいいんじゃないかって思ったんだけど」

    弓兵「別にいい、魔法剣士を殺すか捕まえられればな」

    勇者「ああ、そう」スタスタ

    ガチャ

    ドラゴン「お、終わったか」

    弓兵「増援はどうした?」

    金髪「ドラゴンさんが投げ飛ばしたら、みんな逃げたんすよ」

    勇者「そりゃ人をボールみたいに投げたら普通は逃げるだろ」

    ドラゴン「やはり弱いな、人間は」

    856 = 850 :

    金髪「あ、場所分かったんすか?」

    勇者「ああ、これから行ってくる」

    弓兵「勇者、俺も同行していいか?」

    勇者「別に構わねぇけど、なんでだ?」

    弓兵「保険だ、お前が殺されても俺がとどめを刺せばいいんだからな」

    金髪「勇者さんが負ける訳ないっすよ!!」

    弓兵「だから保険だって言ってるだろ」

    勇者「なんでもいい、来たいなら来い」

    弓兵「そうさせてくれ」

    勇者「では私も――――――」

    勇者「お前は待機」

    勇者「な、何でですか!!」

    勇者「大人数で行けばバレる可能性も増える訳だし、今回は人質もいる訳だから特に気をつけたい」

    勇者「ですが……」

    勇者「あくまで今回は待機なだけ」

    勇者「わ、わかりました……」

    857 = 850 :

    勇者「今回はドラゴンを守ってやってくれ」ボソッ

    勇者「わかってます」

    ドラゴン「じゃあオレ達は勇者の家で待ってるな」

    勇者「そうしてくれ」

    金髪「頑張ってくださいね」

    勇者「はいはい」

    勇者「行くぞ、弓兵」スタスタ

    弓兵「年上に行くぞは無いだろ」スタスタ

    勇者「俺は誰にでもこうやって接してんだ」スタスタ

    弓兵「まったく、俺じゃなかったらキレてるぞ」スタスタ

    勇者「うるせぇ」スタスタ

    858 = 850 :

    今日はここまでです。

    弓兵の強さが伝わったら幸いです。

    859 :

    キャラがみんないい動きをしているなあ。

    861 :


    いいキャラ多い

    862 :

    なんでか知らないけど弓兵を
    ザンギエフで脳内補完してる俺ガイル

    863 :

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~


    弓兵「場所は分かるのか?」スタスタ

    勇者「だいたい見当はついてる」スタスタ

    弓兵「……」スタスタ

    勇者「あそこだ」


    それはやけに真新しい石造りの家だった。


    弓兵「ずいぶん重々しい建物だな」

    勇者「石造りだからだろ」

    弓兵「だといいがな」

    勇者「……お前はどうするんだ?」

    弓兵「お前が戦いでも見させてもらう」

    勇者「あ、そう」

    弓兵「お前だって変に戦いに手をだされるのは嫌いだろ?」

    勇者「ああ、殺したくなる」

    弓兵「だから俺は何もする気は無い」

    864 = 863 :

    勇者「そうか」

    弓兵「じゃあ作戦も決まったし、突入するか」スタスタ

    勇者「そうだな」スタスタ

    殺し屋「おっと、そこの二人、止まりなさい」ピョンッ

    勇者「……手を出さないんじゃなかったのか?」

    殺し屋「そのつもりだったんだけど、お仕事が増えちゃってね」

    弓兵「仕事?」

    殺し屋「勇者以外のこの家に入ろうとする者を排除しろって言われちゃったんだ」

    殺し屋「やる気出ないし、正直やりたくないんだけどお金もらってる以上仕方ないよね」

    弓兵「つまり、俺を殺しに来たと」

    殺し屋「うーん、まあ言っちゃえばそうだよね」

    弓兵「勇者、先行け」

    勇者「そうするつもりだ」スタスタ

    殺し屋「頑張ってね」ニコニコ

    弓兵「こんな所で戦ってる暇無いんだけどな」ガリガリ

    殺し屋「俺だってこんな所で戦いたくないよ、勇者と魔法剣士の戦い見たいし」

    865 = 863 :

    殺し屋「でも仕事は絶対こなすのが俺のポリシーなんだよね」

    弓兵「仕事熱心だな」

    殺し屋「そうじゃなきゃ裏の世界で生きてなんていけないよ」

    殺し屋「時には情や私情も我慢しなきゃね」


    殺し屋は何処からともなく貸金屋の生首を取り出す。


    弓兵「お前が殺ったのか?」

    殺し屋「情報を漏らした裏切り者には罰を、それも俺の仕事なんだ」

    殺し屋「かわいそうだろ、あんな場面じゃ話すしか選択肢は無かっただろうにね」

    弓兵「見てたのか」

    殺し屋「ああ、もし良かったら弔ってやってくれよ」

    866 = 863 :

    弓兵「悪いが、そう言うのは俺の仕事じゃない」

    殺し屋「あ、そうだったね、ごめんごめん」

    殺し屋「無駄話はこれくらいにしようか」

    弓兵「ああ、そうだな」

    殺し屋「いざ、尋常に勝負」

    弓兵「……」

    殺し屋「あれ、今度こそ結構きまったと思ったんだけどな……」

    弓兵「お前じゃどうやってもきまらんだろ」

    殺し屋「あははは、そうかもね」

    殺し屋「まあいいや、さっさと終わらようよ」

    弓兵「同感だ」

    867 = 863 :

    殺し屋は鉈を構えて走り出した。

    規則正しい足音が草むらに響く。
    だがそれは異常だった。
    その速度はもはや人間の速度ではない。

    だが弓兵はそんな速度で走る殺し屋に的確に狙いを定める。

    下手な小細工など必要ない。
    一撃で仕留める。

    弓から矢が放たれた。

    矢は吸い込まれるように殺し屋へと一直線に突き進む。

    だが矢は綺麗に縦に真っ二つになり、地面へ落ちた。

    理由はすぐにわかった。

    殺し屋は秒速90メートルの矢の弾道を見切り、叩き斬ったのだ。
    しかもほぼ速度を落とす事無く、だ。

    もはや人間の動きではない。
    だが殺し屋はそれを普通に行っているのだ。

    868 = 863 :

    二人の距離がゼロになる。

    殺し屋は鉈を大きく横に振った。
    ビュンッ、と音をたて鉈は弓兵の喉に襲いかかる。

    弓兵はその攻撃をギリギリで回避し、腹に拳の一撃を加える。


    「う……」


    殺し屋は苦しそうに呻き、衝撃を減らすため、大きく後ろに跳ぶ。

    崩れた態勢を空中で立て直す。
    そしてそのままほとんどバランスを崩すことなく地面に着地した。


    「あはは、相撃ちか」


    殺し屋は楽しそうにそう言った。
    満面のその笑みはまるで子供のように無邪気で悪人のように邪悪だ。

    弓兵は斬られた左腕を庇いながら殺し屋を睨む。
    傷は浅いが出血がひどい。

    殺し屋は人間には到底不可能な動作で、二メートル近い高さまでジャンプする。
    そして、弓兵目掛け真っすぐに落ちてくる。

    ガキン、と音を鳴り、殺し屋の鉈が停止する。

    869 = 863 :

    弓兵は小さなナイフで殺し屋の鉈を止めていた。


    「こんな物でも、もって置いて損はないんだな」


    彼は皮肉めいた笑顔で呟く。
    ほんの僅かでも鉈かナイフがずれていれば弓兵の頭はきれいに二つになっていただろう。

    左腕からとめどなく血が流れ、地面を濡らす。

    長引けば弓兵は確実に不利になるだろう。
    なら、短期決戦をするまでだ。

    弓兵は殺し屋の頭を鷲掴みにすると、全力で地面に叩きつけた。

    殺し屋は人間が出したとは到底思えない音を上げて地面に叩きつけられる。
    地面に異様な亀裂がはしる。
    普通なら気絶、いや即死クラスの攻撃だ。

    だがしかし、殺し屋はそんな一撃をくらっても立ち上がる。
    頭からはおびただしい量の血が流れ、顔が真っ赤になってもだ。


    「ははは、最高だ、最高に最高だよ!!」


    彼は頭から血を流し、楽しそうに笑っていた。
    茶色の目が星の様に輝き、満面の笑顔を浮かべて。

    870 = 863 :

    中途半端ですが今日はここまでです。

    そう言えば弓って後衛だったような……

    871 :


    海外産の魔法使いは後衛でも筋肉モリモリマッチョマンだろ?
    いいんじゃね?

    872 :

    どっかの赤い弓兵は基本接近戦で主な武器は剣だぜ

    873 :

    別に、アレを倒してしまっても構わんのだろう?(笑)

    874 :

    体は剣で出来ている(笑)

    875 :

    弓兵なのに夫婦の双剣を操り接近戦を好む奴もいる。

    問題ない

    876 :

    弓兵っていうか備兵
    こうスタイリッシュ矢切りアクションにはならなかったのか……wwww

    877 :

    もう人質とかバカバカしくなっちゃうくらい人死んでるなぁ・・・
    妹さんが何の抑止力にも交渉材料にもなってないというか、生かしとく理由皆無というか

    梶原一騎の娘さんみたくなってそう

    878 :

    >>877
    この場合、目的は勇者をおびき寄せる事だからその意味では役に立っているだろ
    人死に過ぎなのは同意だけどさ

    879 :

    「ならそろそろ本気で行くよ!!」


    殺し屋は鉈を構え、地面を蹴る。
    今までとは比べ物に張らないくらい速かった。

    弓兵は弓を放とうとするが、間に合わない。

    気がつけば、殺し屋はもう目の前に迫ってきていた。

    弓兵は大きく横に跳び、回避した。

    変な態勢で跳んだせいで、足首に鈍い痛みが走る。
    だがそんなものを気にしている暇は無い。

    痛みに耐えながら、素早く態勢を立て直す。

    殺し屋が方向転換し、こちらに走ってくるのが見えた。

    弓兵は一瞬で弓を引き絞り、狙いを定めると、放つ。
    さっきと同様に矢は吸い寄せられるように殺し屋目掛けて飛んでいく。

    しかし、またしてもに矢は真っ二つに斬られ地面に落とされる。

    だが、彼にとってはそれは想定内。
    いや、むしろ斬り落としてもらわなくては困るのだ。

    880 = 879 :

    「な……!?」


    殺し屋が驚きの声をあげる。

    その声とほぼ同時に殺し屋の右腕と右肩に矢が突き刺さる。


    「矢が一本でしか撃てないなんて誰が言った?」


    弓兵は口元を少しだけ緩めて微笑した。
    あご髭を触りながら、殺し屋を見る。

    それは誰もが思いつき、しかし誰も出来ない事だった。
    彼は一度に三本の矢を弓につがえ、三本の矢を同時に撃ったのだ。
    さらに二本の矢が先頭の一本の矢の死角になるように計算もして。

    殺し屋は自分に突き刺さった矢を無理矢理引き抜くと、地面に放り投げた。

    その顔は痛みで僅かに歪んでいるものの、相変わらず笑顔だ。
    何がそんなに楽しいのか、僅かに声も漏れている。


    「はは、ははははは、あはははははは!!」


    何かが爆発したように大声で笑い出す。
    高らかで、まるで子供の様に澄み切った声。

    881 = 879 :

    鉈をくるりと回し、近くにある植物を斬り裂く。
    それは戦慄を覚えるほど凶暴で無邪気な姿。

    弓兵は弓を構え、殺し屋の心臓に狙いを定めた。
    後は右手を離せば、矢は殺し屋の心臓を貫くはずだ。

    だが殺し屋は気付いていないのか、まだ笑い続ける。
    戦闘中とは思えないほど無防備な姿だった。


    「こんなに命の危機を感じたのは久々だ、最高だよ!!」


    殺し屋は鉈を構え直すと、大きく跳躍した。

    小細工も何もなく、ただ一直線に弓兵に向かって跳ぶ。
    やはり速度は人間の域を超えている。

    弓兵は素早く狙いを右足に変えると矢を放つ。

    この状況で心臓に矢を放っても無意味。
    なら相手に致命傷を与えるよりも相手の速度を殺す事に専念する。

    だが彼の予想に反し、殺し屋は速度はおちなかった。
    太ももに矢が刺さるが、まったく気にせず跳んでくる。

    882 = 879 :

    弓兵が横に跳ぼうとするが間に合わない。

    殺し屋の鉈が彼の左の太ももを斬った。

    鋭い痛みにその場に膝を突く。
    傷は予想以上に深く、赤い液体が溢れてくる。

    殺し屋は方向転換し、また弓兵目掛けて走り出した。
    その顔は、次はとどめだ、と嘲笑っているように見える。

    弓兵は痛みに耐えながらも、立ち上がる。
    太ももからさらに血が溢れ、足先が痺れる。
    だがそのくせ頭はいつも以上に冷えていた。

    一度に五本の矢をつがえ、殺し屋目掛けて放つ。
    銀色の矢が一斉に殺し屋目掛けて飛びだす。

    矢が多過ぎたせいか、全体的に狙いが逸れていた。
    さらに速度も全体的に遅い。

    当たり前のように殺し屋は体をくねらせ、いとも簡単に矢を回避する。
    しかも相変わらず速度を全くおちていない。

    殺し屋が弓を回避した瞬間、弓兵は素早く何かを詠唱した。
    そして口元を緩めて僅かに笑う。

    殺し屋の顔に疑問の色が浮かぶ。

    883 = 879 :

    その瞬間、弓兵の放った五本の矢がガスに引火したかのように爆破する。
    一本一本が誘爆し、爆弾と同等、それ以上の威力を生み出す。

    爆発は容赦なく殺し屋を呑みこんだ。
    異様な熱風が辺りを通り抜けていく。

    殺し屋がいた場所は焦土と化し、ちらほら地面が燃えている。

    弓兵はゆっくり立ち上がり、照度を眺める。
    殺し屋は燃え尽きたのだろう。

    弓兵は弓をしまい、その場から立ち去ろうとする。


    「だからお前は行っちゃダメだって言っただろ」


    だが殺し屋焦土の上に立っていた。
    服は所々黒く焦げ、体にも軽傷とはいえない火傷がいくつもある。
    右手はだらりと下がり、ほとんど動いていない。

    しかし、殺し屋は確かにそこに立っていた。

    「まさか魔法を使ってくるなんてね、全然予想してなかったよ」

    「魔法が使えないなんて言ってないだろ」


    殺し屋はその言葉に笑った。
    血に塗れた真っ赤な笑顔。

    884 = 879 :

    殺し屋は左手に鉈を構える。

    今までの様な素早い動きではなく、ゾンビのようにフラフラ歩く。
    右足はまともに機能していない。

    殺し屋の顔にはいつもの笑顔は無い。
    表情の無いその顔は今までとは違う何かを感じさせた。

    弓兵は弓をしまい、殺し屋を見る。
    その顔にさっきまでの敵意は無く、いつもの温厚なおっさんになっていた。


    「武器をしまえ、もう終わりだ」


    殺し屋の体が僅かにピクリと動き、その場に停止する。
    そして笑顔に戻る。


    「あはは……そうさせてもらうよ」


    殺し屋は鉈をしまい、その場に仰向けに倒れた。

    885 = 879 :

    殺し屋「あはは、もう立てないや」

    弓兵「俺ももう無理かな」ドサッ

    弓兵「引き分けでどうだ?」

    殺し屋「何でもいいよ、俺負けとか気にしないし」

    弓兵「じゃあ引き分けだ」

    弓兵「……」

    殺し屋「帰らないの?」

    弓兵「勇者が帰ってくるまで待たんとな」

    殺し屋「あはは、そう」

    殺し屋「動けるようになったら動こうかな」

    殺し屋「大丈夫、不意打ちなんて卑怯な真似はしないから」

    弓兵「そんな事わかってる」

    殺し屋「……見に行きたかったな、あの二人の戦い……」

    弓兵「同感だ」

    886 = 879 :

    今日はここまで。

    弓を使う戦闘って難しい……しかも時間がなかったのでかなり大変でした。

    あと人がたくさん死ぬことについてですが、戦闘シーンが多く、勇者パーティーの性格を考えるとどうしても多くなってしまいます。
    ただ、読み返すと別に殺さなくてよかった様な気がするキャラもいたので(リーダー、貸金屋)これからは考えてやっていきます。

    887 :

    まともなやつがいないんだから、これぐらい死んでも許容範囲だと思うが

    888 :



    俺もこれくらい凄惨なほうが「まともじゃないパーティ」向きだと思う。
    逆にイケメン達は正統派でもいいのかな?と思わないでもない。
    ただ、彼等の手段と過程を問わない正義バカっぷりも好き

    889 :

    カッコつけて殺さない主義なんかよりはよっぽどいいよ
    このパーティーらしいし

    890 :

    マルチプルショットで8人同時とかいいよ

    891 :

    殺し屋がヤバイくらい好みだ

    892 :

    殺し屋「……」


    殺し屋は起きあがり、伸びをする。


    殺し屋「……さてと、じゃあそろそろ行こうかな」

    弓兵「下手に動くと死ぬぞ」

    殺し屋「あはは、俺って案外丈夫なんだよね」

    殺し屋「以外だろ?」

    弓兵「全然以外じゃない」

    殺し屋「あ、そう」スタスタ

    弓兵「帰るのか?」

    殺し屋「観戦だよ、決勝戦はまだ終わって無いだろ」スタスタ

    弓兵「俺を放っておいていいのか?」

    殺し屋「相討ちで俺は気を失ってました、って事で」

    弓兵「適当だな」

    殺し屋「何もしないならどうって事ないよ」

    弓兵「……」

    殺し屋「言っとくけど、邪魔したら怒るからね」

    弓兵「お前ほど子供じゃないんだ、そんな事するか」

    殺し屋「なら安心」スタスタ

    893 = 892 :

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~


    建物の中


    勇者「……」スタスタ

    魔法剣士「思ったより早かったな」

    勇者「あんたが魔法剣士?」


    そこに30歳前後の黒髪で眼鏡をかけた男が立っていた。


    魔法剣士「その通り」

    勇者「……妹は何処に居る」

    魔法剣士「ちゃんと無事だ、安心しろ」

    勇者「ならさっさと返せ」

    魔法剣士「そう焦るな」

    勇者「いいから早く言え、こんな茶番につきあってるこっちの身にもなってくれ」

    魔法剣士「ん、今なんて言った?」

    勇者「茶番だよ、茶番」

    894 = 892 :

    魔法剣士「……ほう、お前にはこれが茶番に見えるのか?」

    勇者「茶番以外のなんだって言うんだよ」

    魔法剣士「若いなお前は」

    勇者「は?」

    魔法剣士「これは茶番なんかではい、お前たちへの復讐だ」

    勇者「……お前と会ったのなんて初めてなんだけど」

    魔法剣士「お前は知らなくても俺は知ってる」

    勇者「?」

    魔法剣士「俺は魔法の町の兵士だ」

    勇者「……ああ、それで」

    魔法剣士「……まさか忘れたのか?」

    勇者「火事の事だろ、覚えてるよ」

    魔法剣士「いや、お前達は全くもって分かって無い、あそこにどれほど重要な資料や研究があったと思う」

    勇者「知らねぇよ」

    魔法剣士「知らないで済まされると思うな」

    895 = 892 :

    魔法剣士「あれで燃えたものがどれほどの事か分かるのか!!」

    勇者「だからそんな事言われてもわかんねぇよ」

    魔法剣士「……だからガキは嫌いなんだ」

    勇者「黙れ、あとガキって言うな」

    魔法剣士「あそこにあった大量の兵器の重要性が分かって無いのか」

    勇者「兵器?」

    魔法剣士「兵器だ、戦争のために造られた兵器の半分が燃えたんだぞ!!」

    勇者「そんなもん燃えた方が良かっただろ」

    勇者「だいたい戦争って何だよ」

    魔法剣士「今までに類を見ない、大規模な戦争だ」

    勇者「大規模な戦争……くだらねぇ」

    魔法剣士「お前の様な若者にはわからんだろうな」

    勇者「分からなくて結構だ」

    魔法剣士「後は魔王を生け捕りにすれば完璧だった計画がお前達のせいで崩れたんだ!!」

    勇者「戦争に魔王?」

    魔法剣士「魔王の魔力があれば魔道騎士を動かせるんだ、博士から聞いてるんだろう?」

    896 = 892 :

    勇者「何も聞いてねぇよ」

    勇者「博士は凄さは知ってるけどな」

    魔法剣士「ああ……あいつは最高の科学者だ、ただ性格に問題があったがな」

    勇者「お前等の方が問題ありだろ」

    魔法剣士「お前の主観で物事を判断するな」

    勇者「……」

    魔法剣士「……魔王生け捕りに協力する気は無いか?」

    勇者「は?」

    魔法剣士「手伝うなら妹も返してやる、火事の件も……まあいいだろう、どうする?」

    勇者「兵器を作るのに協力する気はねぇな」

    魔法剣士「……妹はどうする」

    勇者「返す気がないならお前を殺して取り返す」

    897 = 892 :

    魔法剣士「ガキが偉そうに」

    勇者「ガキをなめんなよ」

    魔法剣士「……まあいいか、策はある」

    勇者「……」

    魔法剣士「言っておくがお前は殺すぞ」

    勇者「俺だってお前を殺す気だ」

    魔法剣士「ふふっ」

    勇者「なんだ」

    魔法剣士「俺は勝っても負けてもいいんだ」

    勇者「?」

    魔法剣士「剣を抜け、ガキとの話は疲れる」


    魔法剣士は剣を抜く。


    勇者「あんたいくつだよ」

    898 = 892 :

    今日はここまでです。

    短めですいません。

    899 :

    乙!
    殺し屋がいいやつに見えてくる不思議

    900 :


    殺し屋はいいやつだろ


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