元スレ提督「ウチは平和だなぁ」艦娘「表面上は」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★
751 :
この提督がホモだったらどうするの
752 :
ここの吹雪は腐っているのか
提督を襲うのがショタとかなら許すのかねww
753 :
>>751
吹雪「私そういうの嫌いじゃないですから!」
754 :
ギリギリのバランスで内部崩壊は避けてんのね
755 :
趣味がホモでも愛は一途なんてよくあること
756 :
>>744
あなた五航戦なんですか?
757 :
なんでや!五航戦可愛いやろ!!
758 :
>>757
五航戦さんちーっす
759 :
アーユーゴコウセン?
760 :
それから・・・
私は実戦で勝利を重ね、
レベルも上がり、改装を受けて航巡になった。
提督「おめでとう、鈴谷。よく頑張ったな」
提督はまるで自分のことのように喜んでくれた。
その一言が嬉しかった。
その為に頑張ってきたと思えた。
本当に・・・この人が好き・・・大好き。
なのに不安が消えない。
心の奥底では、『信じていいの? 本当に?』
そう懸念し続ける自分が居た。
そして・・・
ある日の真夜中。
私は全ての不安を消すために決心する。
コンコンッ
提督「誰だ?」
鈴谷「まだ起きていたんだ」
提督「鈴谷か・・・おまえこそまだ起きてたのか」
鈴谷「・・・・・・」
提督「ここには慣れたか?」
鈴谷「・・・うん。みんな優しいよ」
提督「そうか・・・良かった」
761 = 1 :
鈴谷「・・・私をこのまま、ここに置いていていいの?」
提督「・・・鈴谷? どういう意味だ?」
鈴谷「私さ、前の鎮守府で黒提督を殺そうとした」
提督「・・・知っている」
鈴谷「失敗しちゃったけどね」
提督「・・・・・・」
鈴谷「提督はさ、夜曾野さんに言われたから私を気に掛けてくれたの?」
提督「・・・最初はそうだったかもな。でも今は違う」
提督「君の境遇を聞いて、力になりたいって思った」
提督「心から助けたいって思った・・・」
鈴谷「優しいね・・・提督は」
鈴谷「私はさ、もう何も信用出来なかった。人も艦娘も」
鈴谷「信じても裏切るから。酷いことするから。私を否定するから」
提督「・・・・・・」
鈴谷「でも・・・ここに来て・・・」
鈴谷「暖かさを知ったんだ。とても心地がいい・・・暖かさを」
提督「そう思ってくれるなら嬉しいよ」
鈴谷「でも恐いんだ。全部、全部、全部・・・」
鈴谷「なんかの失敗で消えちゃいそうで・・・」
鈴谷「信じてもまた裏切られるんじゃないかってさ」
762 = 1 :
鈴谷「今度、裏切られたら・・・」
鈴谷「私は多分、貴方を殺してしまうかもしれない」
鈴谷「こんなに良くしてくれた仲間を殺してしまうかもしれない」
提督「・・・・そんなことはないさ」
鈴谷「皆もさ・・・」
鈴谷「仲間だって言ってくれる一方で・・・」
鈴谷「本当は提督に言われたから・・・」
鈴谷「優しくしているだけなんじゃないかって・・・」
鈴谷「そうやって・・・心の底では誰も信用してない」
鈴谷「嫌な女だよね私」
鈴谷「そんな危険な娘を置いておける?」
鈴谷「だからさ・・・私を完全に貴方のモノにしてよ」
そう言うと鈴谷は服を脱ぎ始める。
提督「・・・おいっ!!」
鈴谷「私ね、色々酷いことされたけど」
鈴谷「女として大事なモノは守ったよ? そこまで奪われたら屈辱だから」
提督「やめなさい・・・」
鈴谷「貴方だったらいいと思ったの」
鈴谷「私を滅茶苦茶にしてよ。悪いこと全部消してよ・・・」
鈴谷「そうしたら変われるから・・・」
763 = 1 :
提督は自分の上着を脱ぐと私に被せた。
鈴谷「私のことは抱けない?」
鈴谷(また私は失敗したのかな・・・)
鈴谷(私、馬鹿だから・・・)
鈴谷(もう・・・どうしていいかワカラナイや)
提督「自分の体はもっと大事にしろ・・・女の子なんだから」
鈴谷「覚悟して来たんだけどな・・・」
提督「そんなに震えてか?」
そう言われて気がついた。体が震えていることに。
鈴谷「でも、そうでもしないとっ!!」
鈴谷「私はもう裏切られない、そんな絶対的確信が欲しいの!!」
鈴谷「そうじゃないと怖いんだよ・・・」
鈴谷「ようやく楽しいって思えるようになったのにっ!!」
鈴谷「また突然、全部消えちゃう気がして・・・」
提督「もう誰も鈴谷を裏切らない!! 俺も、皆も!!!!」
鈴谷「・・・ありがとう。でも信用出来ないんだ。人なんて内面は分からないから」
提督「鈴谷っ!!!」ギュー
鈴谷「・・・え? 提督?」
鈴谷(抱きしめられてる・・・///)
764 = 1 :
提督「過去にどんな酷いことがあったかは知ってる」
提督「辛かっただろう、助けて欲しかっただろう・・・」
提督「でも、今はお前は俺の艦隊の艦娘で、大事な部下だ」
提督「オマエは俺が絶対守ってあげるから・・・」
提督「もう、二度とあんなことにはならないから・・・」
提督「絶対に裏切らない。絶対に・・・」
提督「皆だって、俺に言われたからじゃない、お前を認めてるんだよ」
提督「同じ艦隊の仲間だって、友達だって、家族だって」
鈴谷「家族か。前にも言ってくれたよね・・・」
提督「この艦隊の皆は家族だ。共に生活して、共に戦っていく・・・家族だ」
提督「ここでは、もう誰もお前に酷いことはしない」
鈴谷「今度は・・・本当に信じていいのかな?・・・」グスッ
提督「ああ、信じろ・・・信じてくれ」
提督「信じてくれたこと、後悔はさせないよ。絶対に」
提督「悲しい過去は変えられないけど・・・」
提督「これから、いくらでも楽しい未来は作れるんだ」
提督「皆と、これから作っていこう? 楽しいって思える未来をさ」
鈴谷「・・・提督」
提督「それでも・・・もし俺が裏切ったなら・・・」
提督「そう、少しでも感じたなら、その時は俺を撃てばいい」
765 = 1 :
鈴谷「・・・分かった」
鈴谷「その代わり、もし逆に私が皆を・・・」
鈴谷「提督を裏切ったら・・・提督が私を撃って・・・殺して」
提督「それは・・・・・・」
鈴谷「・・・できない?」
提督「当たり前だろう」
鈴谷「これは契約だよ。そうじゃないと私は前に進めないから・・・」
提督「・・・分かった。約束する」
提督「そして、そんなことに絶対ならないことも約束しよう」
言いたい事を全部ぶちまけたら心の奥底にあった不安は、
何時の間にか綺麗さっぱり消えていた。
鈴谷「ありがとう。改めてよろしくね。提督」
提督「ああ、よろしくな。鈴谷」
766 = 1 :
それから今まで溜まっていたモノを吐き出すように泣いた。
心に重く圧し掛かっていたモノが消えていく。
これで、ようやく全ての枷から開放された気分だった。
涙で滲む視線の先に・・・
あの時、私を庇って沈んだ娘が見えた。
鈴谷(ごめんね。私は・・・もう大丈夫だから・・・)
今まで悪夢にしか現れなかった彼女が私に向かい微笑んだ。
―――良かったね。これで私も安心して皆の所に行けるかな。
そう言われた気がした。
彼女は死んだ後も私を・・・そう思うと涙が止まらなかったが、
とてもとても優しい気持ちになれた。
言いたい事は山ほどあった。謝りたかった。
でも自然と頭に浮かんだ言葉は感謝の言葉だった。
鈴谷(本当にありがとう・・・)
彼女はとても満足そうに優しく笑いながら静かに消えていった。
まるでもう心残りはないとばかりに。
鈴谷(もう大丈夫。私は・・・前に進むよ。貴女の分まで・・・)
提督は優しく私を抱きしめて、泣き止むまで撫でてくれた。
767 = 1 :
そして現在・・・
鈴谷「色々あったよね・・・提督」
優しく、寝ている提督の頬にキスをする。
鈴谷(私は提督が大好きだよ。本当に大好き)
鈴谷(私だけじゃない、皆、提督が大好き)
鈴谷(・・・それこそ狂ってしまうくらいに)
鈴谷(本当は提督に私を選んで欲しい・・・私を・・・)
鈴谷(でもね・・・誰か一人を選んだら・・・)
鈴谷(選ばれなかった他の娘はきっと・・・堕ちると思う)
鈴谷(深い・・・深い・・・闇に・・・)
実際の所、過去何度か負の感情に飲まれそうな艦娘は居た。
だが、陥った本人も、提督も、
無自覚にそれを回避していた為、最悪の事態は免れていた。
提督は常に正しくあろうとした。
それは既に自分自身も忘れてしまった幼い頃の父と母との約束。
父と母が大好きだった幼い提督は、
両親が仕事で家を長期開ける事に不満を抱き、泣いて駄々をこねた。
幼い提督は泣けば両親が家に居てくれると思ったのだろう。
泣きじゃくる我が子に困った両親は約束した。
『正しく、良い子にしてれば、すぐ帰ってくるから』
それを聞いて、提督は頑張った。ずっとずっと。
768 = 1 :
結局、両親は帰らなかった。
それでも頑張った。ずっとずっとずっと・・・
元帥に引き取られ、そんな約束はすっかり忘れてしまっても、
無意識に正しくあろうとした。それが当たり前のこととして。
やがて、それは彼の人格となり、
本人も無自覚のまま、誰が見ても正しいと思う
模範的すぎる好青年となった。
ある種、彼もまたどこか歪であったのだ。
また、提督は軍人の父と艦娘の母の間に出来た子供であった。
血の半分が艦娘のハーフ。それが理由か定かではないが、
無自覚ながら通常の人間よりも艦娘に対して親近感が強かった。
まるで妹や自身の娘のように心から彼女達を愛していた。
さらに艦娘達からしても、提督は何か・・・
安心出来るような親しみやすい感覚があった。
まるで同族のように。
そんな提督に純粋に愛される艦娘達。
誰だって向けられる無垢な好意を悪く思う者は居ない。
ただの兵器としてではなく、
一人の女の子として、人間として見てくれる優しい人。
それが恋愛感情に変わるまで、そう時間は掛からなかった。
純粋な愛であればある程に艦娘達の恋愛感情は高くなり、
既にその感情は一般のそれとは比べられない領域にあった。
769 = 1 :
愛が強ければ強い程に裏切られたと、
一度でも思えば負の感情は大きくなる。
愛情の分だけ反転した憎悪に変わる。
もしも・・・提督が誰か一人を選んだ場合、
その負の感情は提督が選んだ、
ただ一人の娘に向けられることになるだろう。
深海棲艦と艦娘の類似点等を理由に、
沈んだ艦娘が深海棲艦化すると言う噂があった。
悲しみや、憎しみが限界を超えた時・・・堕ちると。
あくまで噂だが・・・でも、もしも・・・
もしも事実ならば・・・
きっと選ばれなかった娘達は堕ちる。
それも選ばれた一人を除いて全員が・・・
それ程までに提督は愛されているのだ。
ただでさえ、各々が通常の艦娘のセオリーから外れた
非常識な強さを身につけてる現状で、
もしも噂どおり深海棲艦になったら・・・
鈴谷(この国はどうなるのだろうね?)
770 = 1 :
艦娘である今の状態でも他の同型の娘を
遥かに凌駕しているのだ。
姫級と対峙した際も、恐ろしい相手であるハズの姫級が
一方的に嬲られて、恐怖と絶望の表情を見せ・・・
こんなことはありえないと否定し、叫びながら沈んでいった。
そんな仲間達が全て深海棲艦と化したら・・・
この国は恐らく滅ぶことになるだろう。
鈴谷(そうなるって分かっても、皆・・・)
鈴谷(提督、貴方に自分が選ばれたいんだよ?)
すやすやと寝息を立てる提督。
鈴谷(でも、提督はそんなこと知りもしないだろうけどね)
鈴谷「・・・この朴念仁」
そう言ってもう一度優しくキスをした。今度は口に。
771 = 1 :
鈴谷「それじゃあ出張権限を行使しますか」
提督のベッドに潜り込む。
提督は朝に弱いので、自分の方が早く起きるのは確実。
仮に提督が早く起きたとしても、
夜中にトイレに行って、寝ぼけて間違えたとでも言えば
なんとかなるだろう。
鈴谷(折角のチャンスなんだから堪能しないとねぇ)
鈴谷(提督・・・今・・・私、凄い幸せだよ?)
鈴谷(私を救ってくれてありがとう・・・)
鈴谷(これからもっと・・・)
鈴谷(楽しいって思える未来を作っていかないとね?)
布団の中で提督に抱きつく。
大きな背中。とても愛おしく感じた。
鈴谷(おやすみ。提督)
私はとても安心して眠ることが出来た。
772 = 1 :
投下完了。
感想何時もありがとうございます。
見ていると頑張ろうって思います。本当にありがとう。
ようやく鈴谷編終わった。長々すんませんね。
当初のプロット版から書き足し過ぎて凄い伸びちゃった!
このスレだけで終わらす予定がボリューム付けすぎて
2スレ目まで行きそうで・・・恐い・・・
ちょっと仕事の関係で5月半ばまで忙しいので
投稿頻度は遅くなるかもしれません。
また近いうちに投下しますね。(5日以内くらい)
基本的に安価とかはやるつもりはありませんが、
まだ出てない子で秘書やって欲しい娘が居たらさり気なく
書いておいて貰えると、シーンが浮かべば書き足すかも。
※扱いが一般的な常識と感性から外れる可能性もございます
長々すいません。
おやすみなさい。
773 :
おつ
774 :
鈴谷メインヒロインやんけ
775 :
まだ初期艦という超絶アド持ってる子がいるんだよなあ
776 :
乙です
クリスマスプレゼントのお返しに、浜風に髪留めをプレゼントする
777 :
このSSの五航戦どうすんだよ
778 :
面白いな…
鈴谷のメインヒロインまったなし
779 :
愛宕とか見てみたいわ
780 :
そろそろ次スレかな
781 :
那珂ちゃんお願いします
782 :
那珂ちゃんは中々やる那珂だけに
なんちて
783 :
乙
鈴谷でこのスレ終わっても良かったでー
784 :
那珂に出すぞっ!
785 :
>>784
審判死刑
786 :
まるで五航戦のようなセンスだ
788 :
鈴谷も五航戦みたいな真似してるやん
川内も着てるし認定待ったなしやな
789 :
出張特権だからへーきへーき
790 :
最終ラインはまだ越えてないし、娼鶴ちゃんみたいに裸になってないからセーフセーフ。
791 :
俺は陸軍将校の大倉井(おおぐらいだ)
今日は久しぶりの休日。
生きがいでもある大食いを楽しむ為にこの街に来た。
入ったのはラーメン店。
最近オープンしたばかりにも関わらず、
絶品と評価がうなぎ登りの店だ。
『特盛ラーメン5杯全部食べきったら無料!賞金5万円』
※残した場合はお品代を頂きます(時価)
今回はコレを挑戦しよう。
大食いこそ・・・我が生きがい・・・
こんな時代だからこそ、平和を守る軍の仕事に誇りはある。
だが、軍に入らなければ、フードファイターとして生きていただろう。
大倉井「店主、コイツに挑戦したいのだが・・・」
店主「・・・ほう?」
強面の店主の目がギラリと光る。
店主「いいのかい? コイツは・・・バケモノだぜ?」
大倉井「・・・望む所だ」
常連達『おい・・・アレ』『ああ、久しぶりの挑戦者だ』
店内がざわめく。・・・この感じが心地良い。
皆が俺に注目している。
792 = 1 :
また伝説を生んでしまうのか。
ふふふ・・・悪くない。
その時だった・・・
???「すいません、これを頂けますか?」
店主「え? お嬢ちゃんも?」
???「はい。お願いします」
店主「辞めて置いた方がいい・・・女の子が食べられる量じゃない」
???「無理でしたら御代は払いますよ」
店主「・・・後悔しても知らんぞ」
常連『まじかよ・・・』『あんな娘が?』
・・・なんだあの少女は?
俺に集まっていた注目を・・・大食いを舐めているのか?
しかし、彼女の外見はどこかで見たような・・・
どうせテレビか何かだろう。
大倉井「お嬢ちゃん、辞めておきな」
???「はい?」
大倉井「アンタには荷が重過ぎる」
???「いえ、おかまいなく」
すかした顔しやがって・・・
793 = 1 :
まぁいい、すぐに俺に注目が集まる。
常連達『やべぇ・・・対決だ』『大食い対決だ!』
暫くすると店主が品を持ってきた。
店主「お待たせしました」コトッ コトッ
バケツや洗面器のような巨大な器がそこにはあった。
量が多いのは麺とスープだけではない。
具もチャーシューと野菜がこれでもかと言うくらいの大量山盛り。
まるで、そびえ立つ山。食の大山がそこにはあった。
店主「おあがりよっ!」
???「うわぁ・・・これ全部食べていいんですか!?」
少女は目をキラキラさせて喜んでいる。
???「いただきますっ!」
とてもこんな娘が食べきれる量ではない。
戦う前から勝敗が付いているようなものだが関係ない。
どんな相手でも全力で挑む。
大倉井「・・・ズルズル」
一気に食い始める。
旨い。旨すぎる。
そう、まるで風が語りかけてくるようだ・・・
794 = 1 :
量も一級なら、味も超一級だった。
だが、今はそんなことはどうでもいい。
どんどん胃に流し込む。
常連『すげぇっ!!もう1杯目を完食したぞ!?』
ふふふ・・・そうだ・・・もっと注目しろ。
今日、この店の歴史に俺の名前が残るのだ。
ふと少女の方を見る。
???「・・・チュルチュル」
大倉井(・・・暢気なもんだ)
そんな亀みたいなペースじゃ勝てないぜ?
???「これは・・・」
???「醤油の味がしっかり出ています」
???「魚介ベースでしょうか?・・・美味しい」
???「油も癖がなく、さっぱりしているのも食べやすいです」
???「高い次元で食材がまとまっていますね・・・」
???「先ほどから手が止まりませんよ」
???「店主さん、この麺は自家製ですか?」
店主「ああ、そうだが・・・」
???「とても美味しいです」
795 = 1 :
???「良い太さです。麺とスープがよく馴染む・・・」
???「ここまで調整して合わせるには苦労されたのでは?」
店主「ここまで来るのに10年掛かったよ。今年からようやく自分の店を持てたんだ」
大倉井(ケッ 話してる余裕なんてあるのかよ?)
常連『すげぇ・・・もう3杯目だ!!』『なんて速度・・・』
???「私の方も次を頂けますか?」
店主「ああ、どうぞ」コトッ
それから黙々と食べ続け・・・
4杯目半ばに差し掛かった頃である。
大倉井(クソっ! なんてラーメンだ・・・)
ペースが落ちてきた。
食べても食べても減りやしない。
今まで、ここまでの怪物に会ったことはない。
腹は既に満腹。もう限界と体が悲鳴をあげる。
横を見ると、少女は3杯目を平らげて4杯目を貰っていた。
不味い・・・このままでは・・・負けるっ!!
無理やり口に詰め込む。熱い。苦しい。
だが・・・これが戦いだ。フードバトルだ。
この苦しみの果てに栄光がある。
796 = 1 :
負けるか・・・負けるか・・・
???「店主、5杯目を頂けますか?」
なん・・・だと・・・・?
あの小娘・・・俺より先に・・・!!
クソっ!! クソっ!!! クソっ!!!!
無理やり口に詰め込む。今だけは耐えろ。俺の体。
こんな小娘に負けては・・・プライドがズタズタだ・・・
大倉井(ダメだ・・・もう・・・・ウプッ・・・)
意識が朦朧としてきた。
店主「驚いたよお嬢ちゃん。まさか全部平らげちまうとは・・・」
常連達『おおおおっ!!!』パチパチッ
大倉井「な・・・に・・・?」
何時の間に!?
負けた!? 俺が!? こんな小娘に!?
せめて完食しなければ恥だ・・・後少し・・・うっ
大倉井「うぉぉぉぉぉっ!!!」
常連「あれはっ!!?」
常連2「知っているのか!?」
常連「ああ、あれこそは二箸流!!」
常連2「何!? あの2つの箸を自在に操るあの技か!?」
普段は封印している技を開放し、4杯目を食べ終える。
797 = 1 :
大倉井「店主、最後の・・・5杯目を・・・・」
明らかに無理だ。店主も困った顔をしている。
だが・・・引くわけには・・・・
その時、少女が声を掛けてきた。
???「やめた方がいいですよ」
???「いえ、やめてください」
大倉井「何? お前に言われる筋合いは・・・」
???「その状態じゃ食べきるなんて無理でしょう」
大倉井「・・・やって見なければ分からんっ!!邪魔をするな!!」
???「食べれもしないのに食材を無駄にする気ですか?」
???「それは食への冒涜です!!」
大倉井「・・・なんだとぉ!?」
この俺が? 食べることが生きがいの俺が?
食を冒涜するだと!? 舐めたことを・・・・っ!!
???「食事とは、それを作った人、食材になった命・・・」
???「それに感謝することを忘れてはいけません」
???「あなた、言いましたか?」
大倉井「何をだ・・・」
???「いただきますってですよ」
大倉井「・・・・!!!」
???「それにちゃんと味わってます?」
頭を殴られたような衝撃を受けた。
798 = 1 :
過去に師匠に言われたことを思い出した。
大倉井「何故です!師匠!!何故・・・」
師匠「・・・・・・」
大倉井「何故、私に奥義を授けて下さらぬのですか!」
師匠「分からんか?」
大倉井「私は常に戦い、勝利してきました!」
大倉井「私に何が足らないと言うのですか!?」
大倉井「どうか、仰ってください、お願いします」
師匠「・・・奥義など、そもそもないのだ」
師匠「食すことはどういうことか・・・」
師匠「それを知った時、お前に足りない物が見えるであろう」
師匠「それこそがお前が求める奥義なのかもしれん」
大倉井「待ってください!師匠!!師匠ぉぉぉぉーーーー!!!!」
そうだ・・・食事とは本来・・・・
作ってくれた人に感謝し、味わい、それを楽しむもの・・・
そんな一番大事なことを忘れて居たなんて・・・
師匠が言いたかったことがようやく分かった気がした。
師匠、俺は負けましたよ。
こんな小娘に完全に負けてしまいました。
799 = 1 :
大倉井「・・・店主、俺の負けだ」
その宣言の後、
店内は勝負を見守っていた客達の歓声で包まれた。
負けたが、大切なモノを取り戻せた気がする。
心は穏やかで、とても気持ちが良かった。
???「店主、別途で特製とんこつチャーシュー餃子セットください」
全員『まだ食うのかよ・・・・』
???「ふぅ・・・美味しかった」
???「店主さん、お会計お願いします」
店主「いや、いらん」
???「え? でも最後のは御代が出るのでは?」
店主「良いモノを見せてもらった・・・」
店主「作る側としては嬉しいものだよ」
店主「味わって美味しいって食べてもらうのはね」
店主「私も大切なことを再認識させられたよ」
???「・・・すいません。賞金まで頂いてしまって」
店主「最後に・・・アンタ、名前は?」
赤城「・・・赤城」
店主「え・・・? まさか・・・舞鶴の?」
赤城「そうですけど・・・?」
店主「貴女様が『舞鶴の聖食神・赤城』・・・?」
800 = 1 :
赤城「恥ずかしながら一部で、そう呼ばれてますね」
店主「あのっ!! お願いします!!サインをください!!」
店主「あなたのサインがある店は繁盛すると噂がっ!!」
赤城「ええ、それは構いませんが・・・」
店主「ありがとうございますっ!! ありがとうございますっ!!」
常連「まさか・・・あのお方が・・・・」
常連2「知ってるのか!?」
常連「聞いたことがある・・・」
常連「ごく稀に出現する伝説のフードファイターの噂を・・・」
常連「まさか・・・直に見ることが出来るとは・・・」
常連3「惚れそうになるくらい美人だなぁ」
常連「なんでも結婚していて人妻だそうだ」
常連2「旦那も苦労しそうだなぁ」
赤城「ではご馳走様でした」
ガチャ・・・バタン
大倉井(舞鶴・・・?)
大倉井(まさか・・・)
大倉井「店主、金はここに置いておくぞ!」
店主「はい、毎度」
赤城(そろそろ鎮守府に戻らないと・・・)
大倉井「待ってくれ!!」
赤城「はい?」
みんなの評価 : ★★
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