元スレ提督「ウチは平和だなぁ」艦娘「表面上は」
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651 = 1 :
元帥「今後さらなる戦いの激化も予想される。最悪本土が攻撃される恐れも・・・」
提督「・・・はい」
元帥「軍人としてはな・・・お国の為に、戦って死ねと言うべきなんだろうな」
元帥「だが・・・私個人の気持ちはな・・・」
元帥「死ぬな・・・絶対に生き残って欲しい・・・それだけだ」
提督(おじさん・・・)
元帥「・・・軍人失格かな?」
提督「・・・そうは思いませんよ。そういう人の気持ちは大事だと思います」
元帥「ありがとう。所で・・・」
提督「はい、なんでしょう?」
元帥「今日の秘書艦の娘とは・・・なにか特別な関係なのかね?」
提督「ええ、まぁ・・・特別と言えば特別ですね」
元帥「恋愛的な?」
提督「いいえ。違いますよ。私にそのような相手はおりません」
元帥(・・・さっきの会議でも秘書の娘、ずーとお前のこと見てたぞ?)
元帥(あれはメスの顔だった。絶対。こういう鈍い所は父親譲りか・・・)
提督「・・・元帥?」
652 = 1 :
元帥「お前は結婚して家庭を持つ気はないのか?」
提督「考えたこともないですね・・・」
元帥「そろそろ孫の顔を見たいのだがね」
提督「私のような者が家内など持てるのでしょうか?」
元帥「・・・え?」
元帥(毎回会議の度に違う秘書艦連れてくるけど・・・)
元帥(皆、同じメスの顔してるけどな・・・幼い駆逐艦すら・・・)
元帥(もうしかしたら無意識に家庭を持つことを恐れているのかもしれないな)
元帥(幼い頃に突然家族を失ったんだ。自分でも知らない内にトラウマになって・・・)
元帥(心の奥底で枷になっているのかもしれん・・・)
提督「あの?元帥殿?」
元帥「・・・おお? なんだ? スマン。考え事を・・・」
提督(無理もない・・・深海棲艦の謎の行動・・・分からないことだらけだしな)
提督「あまり邪魔をするワケにも行きません。そろそろ私は失礼します」
元帥「もっとゆっくりしていけば良いのに」
提督「今回は挨拶に伺っただけですので・・・」
提督「それに連れの秘書を待たせてます」
653 = 1 :
元帥「そうか・・・ではまた会おう」
提督「はい。・・・元帥殿」
提督「一つプライベートなことになりますがよろしいでしょうか?」
元帥「おう、なんでも言ってみろ」
提督「あまりお酒は飲み過ぎぬよう。お体をご自愛ください。では失礼しました」
元帥「ああ、達者でな」
ガチャ バタン
元帥「あいつ・・・生意気を言うようになったな」ハハハッ
妙高(秘書)「きっと先月、呑みすぎて倒れたことを聞いたのでしょう」
元帥「息子に心配されるのは嬉しいものだな」
妙高「今の方は・・・以前お話されていた?」
元帥「ああ、親友だった男の忘れ形見だ。俺の息子みたいなもんだよ」
元帥「彼の親族が元々、結婚に反対でね・・・実家と折り合いが悪く私が面倒を見ていた」
妙高「ひょっとして・・・そこの棚にある写真立てに写っている方ですか?」
元帥「ああ、右が若い頃の俺、真ん中が親友、左が彼の奥さんだ」
妙高「奥様は艦娘だったんですか・・・」
元帥「ああ、日本最強の戦艦だった。結婚を期に解体されて人間になったがね」
654 = 1 :
20数年前・・・
突如として現れた深海棲艦。
通常兵器の効かない未知の脅威に日本の自衛隊に成す術は無かった。
日本だけでなく諸外国も脅威に晒されて海路は閉ざされた。
そんな中、日本は未知の生命体『妖精』との邂逅により、
後に艦娘と呼ばれる存在を得て反撃に移る。
艦娘の活躍により、人類側は初めて深海棲艦に勝利。
自衛隊は縮小され、新たに本土防衛、海路の奪還の為に艦娘を編入した新海軍が設立された。
現在とほぼ変わらない体制が確立され始めた時期であった。
提督父「最近はだいぶ戦況が落ち着いてきたとは言え・・・良かったのか?」
提督母「ええ、艦娘の力を失うことに躊躇いはありません」
提督母「生まれた子供の為に・・・もっともっと近くに居てあげたいんです」
提督父「ああ・・・俺もなるべく仕事を早く終わらせて時間を作らないとな」
提督母「ふふっ・・・お願いしますね。あなた」
提督父「真っ直ぐで・・・良い子に育ってほしいな」
提督母「大丈夫ですよ。私達の子供ですもの」
提督父「そうだな・・・」
続くと思われていた穏やかな時間はそう長くは続かなかった。
655 = 1 :
友人提督(元帥)「え? 南方海域に出撃する? 突然だな」
提督父「正式発表はまだだが、友軍が正体不明の敵に沈められたらしい」
友人提督「正体不明・・・? 深海棲艦の新種か?」
提督父「分からん。ただ、今まで確認されてない固体のようだ」
提督父「上層部からの命で明日出撃するよ」
友人提督「お前の所は戦力も充実しているからってことなんだろうが・・・」
提督父「・・・ひとつ頼みがある」
友人提督「なんだ? 金なら貸さんぞ? 俺もないからな」ハハハッ
提督父「もしも・・・もしもだ・・・」
友人提督「俺達に何かあったら息子を頼みたい」
友人提督「滅多なことは言うな。縁起でもない。・・・ん? 俺達?」
提督父「ああ、妻も同行する」
友人提督「何故? 彼女はもう艦娘じゃ・・・」
提督父「そうなのだが、秘書として優秀でな・・・知識もある」
提督父「本人からの要望なんだ。出来れば・・・本土で待っていて欲しいのだが」
提督父「あいつめ・・・一向に聞き入れん・・・」
友人提督「それだけお前の力になりたいんだろう。焼けるねぇ」
提督父「・・・からかうなよ」
友人提督「おまえさんに何かあったら責任を持って息子は面倒みてやる」
友人提督「ただし、何かあったらだ。絶対生きて無事に戻れよ?」
提督父「分かってる。俺も死ぬ気は無いさ」
656 = 1 :
南方海域
提督父「くっ・・・被害は!?」
部下妖精「機関部に被弾っ!! 航行不能です!!」
提督父「艦娘の皆はどうなっている・・・撤退させろ」
部下妖精「皆、名誉の戦死を遂げました」
提督父「・・・糞っ!!・・・当艦を放棄する!!」ギリ
提督父「生き残ってる者は脱出艇へ!! 急げ!!」
部下妖精「了解!! 提督、貴方も早く!」
提督父「指揮官が真っ先に逃げられるか! 俺は貴様ら全員が避難した後だ!」
他の部下達「いえ、貴方を置いて行けません!!」
提督母「あの敵・・・今までの攻撃が通用しなかった・・・何故?」
提督父「お前も早く行け! 何時沈むか分からん!」
提督母「一人では行けません。 逃げるなら貴方も一緒に・・・」
提督母「どこまでも一緒です。私達は夫婦なのだから・・・」
提督母は提督父の手を強く握った。
絶対に離さないとばかりに。
提督父「・・・ったく・・・お前らは・・・」
皆、笑いあった。絶望的な状況でも、心から皆笑った。
その直後、轟音と共に皆の居た艦橋が吹っ飛んだ。
657 = 1 :
提督母が目を覚ますと周りが燃えていた。部下達が皆死んでいた。
右手に感触があった。夫の手だ。大好きな夫の大きくてゴツゴツした手。
しかし・・・向けた視線の先は腕しかなかった。肘から下だけ。
提督母「・・・え」
理解できなかった。
こんなのは嘘。
幸せになったハズだったのに。
これから沢山の楽しいことがあったハズなのに。
ようやく子供も生まれたと言うのに。
全てはこれからだったのに・・・
壊れた艦橋の隙間から見える海。ゆっくりとこちらへ来る敵が見えた。
新種の深海棲艦。
圧倒的な強さで、猛者揃いの同僚を次々に殺した最悪の敵。
今の私に戦う力はない。
その時になって初めて後悔した。
力があれば・・・夫を死なせずに済んだのに。
力があれば・・・アイツを殺せたのに・・・
憎い・・・にくい・・・・ニくイ・・・ニクイ・・・
658 = 1 :
敵が次々に砲撃を浴びせてきた。
攻撃なんてしなくても、この艦はもう沈む。
それでも執拗に撃ってくる。
燃え盛る炎の中、ただ自分の運命を呪い、憎む。
提督母(どうか・・・残された子が・・・幸せになれますように)
憎しみで心が壊れる前に、最後に残った母の部分がそう願った。
そして暗い海へ艦は沈んでいった。
元帥(親友は生きて帰らなかった・・・)
艦隊は全滅、提督父が乗り直接指揮を執っていた艦も大ダメージを受けた。
提督父は艦橋が被弾した際に戦死したようだった。
戦闘海域に強行偵察に出た艦隊が奇跡的に彼の遺体は発見したものの、
妻の方は遺体も発見出来なかった。
659 = 1 :
正体不明の深海棲艦は後に『姫級』と呼ばれるようになる・・・
その最初に確認された固体であった。
現在は十数年の間に行われた技術改良や装備の充実により
艦娘の基本性能自体がかなり底上げされていること、
敵のデータもそれなりにあり、特定の姫級への対処方法の確立など。
以前より脅威ではないが当時としては邂逅すれば死を意味する
非常に恐ろしい敵であったのだ。
元帥(なぁ・・・親友。お前の息子は立派になったぞ?)
元帥(お前に・・・見せてやりたいよ)
妙高「どうされました? 泣いて・・・いるのですか?」
元帥「・・・ちょっと目にゴミがな」
妙高「・・・そうですか」
660 = 1 :
投下完了。
まだ本調子じゃないけどちょいちょい投下していきますね。
多くの感想ありがとうございます。
ボクはアルペイベント前に提督になりましたが
アニメも絵と演技は好きです。第六の4人の演じ分けが凄すぎ・・・
また夜中に少しだけ投下します。
661 :
俺も絵と演技は好き
乙
662 :
>>1
お疲れさまです。あまり、無理はしないペースで。
しかし…提督の生い立ちや境遇を艦娘が知ったら深海を憎むのが先か、それとも「それなら、私と一緒になって幸せな家庭を築けばいいじゃない!!」と言って行動するのが先か…。
663 :
これはラスボスが•••
664 :
ここの艦娘達なら事情を聞いても引かずに私が幸せにしてみせるだからな
おかしいな、文字で見るだけならとても健気でいい娘だよな
665 :
>>648
>女憲兵(それじゃただの五航戦じゃない)
これは確実に外に言いふらした奴がおる
666 :
乙です
ここから鈴谷のベッドシーンかな?
667 :
夜戦(意味深)
夜戦(五航戦)
もはや違和感がない
668 :
>>664
事情を拗らせると自分のモノにならないのならいっその事・・・になるから
669 = 1 :
ビジネスホテル
鈴谷「普通のホテルだねぇ」
提督「しかし・・・まさか同室とは・・・」
鈴谷「まぁいいじゃん。鈴谷は気にしないよ?」
提督「仮にも男と女だぞ? 何を考えているんだ・・・」
鈴谷「全然。全く問題ないよ? うん、本当に全然///」
提督「去年までは秘書艦とは別部屋だったのになぁ・・・」
今回は急遽開かれた会議であった為、
部屋を2つ準備するのが難しかった理由もあるが、
実は元帥のお節介によるものだとは提督達は知る由も無かった。
鈴谷(正直・・・部屋を分ける意味がないんだけどなぁ・・・)
昨年の会議で秘書として同行した雷は提督が就寝してる間に部屋に侵入し、
一緒のベッドで朝まで寝て、提督が起きる前に自室に戻って
何食わぬ顔で翌朝顔を合わせたことは提督は全く知らなかった。
これは運よく出張時期に当たった秘書艦の暗黙の特権になっていた。
経験すれば自慢出来、他者から1歩も2歩もリード出来る。
670 = 1 :
艦娘達からすれば、まさに運命に選ばれた者のみが
一時だけ到達できる領域。天龍と木曾の2人はこの領域を
『幻想の楽園(ファンタズム・アルカディア)』と勝手に呼んでいる。
その為、通常の出張時だと事前に誰が行くか分かるので鎮守府内は
水面下でギスギスし、鎮守府内の空気はマイナス5度くらい下がるのである。
出張に同行することは、宝くじの1等を当てること、
もしくは小学生がクラスでまだ誰も持っていない最新ゲーム機を自分だけが所持している、
または大人気カードゲームで誰も持って居ない超絶レアカードを一人だけ所持している。
これに匹敵するくらい喜ばしいことで、水面下では常に嫉妬の対象であったのだ。
当たった秘書艦の中には嬉しさで失神するものも居る始末なのである。
鈴谷「・・・提督は鈴谷と一緒は嫌?」
提督「俺は嫌ではないが・・・鈴谷こそ嫌じゃないか?」
鈴谷「全然っ! 楽しいじゃんっ!」
提督「まぁならいいか。ベッドも離れてるし」
鈴谷「そろそろ夕食じゃない? どうする?」
提督「そうだな・・・外に食べに行くか」
コンコンッ
671 = 1 :
提督「誰だ?・・・どうぞ」
夜曾野「おう。私だ」
提督「先輩でしたか・・・」
夜曾野「私達は一足先に自分の鎮守府に戻るから挨拶にな」
提督「そうでしたか、わざわざすいません」
夜曾野「鈴谷、お前が元気そうで安心したよ。これからもしっかりな」
鈴谷「分かってるって。ありがとうね」
夜曾野「糞後輩、また来週な」
提督「ええ、よろしくお願いします」
五月雨「提督! 早く行かないとお土産選ぶ時間が無くなりますよ!」
夜曾野「そうだった、そうだった。じゃあな!」ビッ
ガチャ バタンッ
鈴谷「ふふ・・・騒がしい女(ひと)だなぁ 相変わらず」
提督「あの騒がしさに救われたこともある。良い先輩だよ」
鈴谷「所で来週って?」
提督「演習の予定があるんだ」
鈴谷「ふ~ん」
鈴谷(夜曾野ちゃんは女だと舐められるって普段はサラシを巻いてるし・・・)
鈴谷(軍帽被って後髪隠してるから、一見小柄な美少年にしか見えないんだよね)
鈴谷(女だと知ったら他の艦娘はどんな反応するんだろうなぁ・・・楽しみ)
672 = 1 :
夜曾野「お土産何がいいかなぁ」
五月雨「ねぇ提督」
夜曾野「なんだい超絶ドジ娘」
五月雨「酷い!!?」
夜曾野「なんで帰りの電車の時間を1時間も間違えるのよ」
五月雨「・・・すいません」
夜曾野「慌てて出てくることも無かったなアホらしい・・・」
五月雨「だからすいませんって・・・」
夜曾野「で? 用件は何だい?」
五月雨「あの鈴谷さんはお知り合いなんですか?」
夜曾野「以前、助けたんだよ」
五月雨「助けた? どういうことです?」
夜曾野「彼女すんごいブラックな鎮守府に居てね、ムカついて潰したの」
五月雨「そこの方だったんですか?」
夜曾野「まぁね。暫くウチで預かったんだけど・・・」
夜曾野「全然心を開いてくれなくてね・・・」
夜曾野「後輩に丸投げしたのさ。華麗にね」
五月雨「最後まで責任持ちましょうよ!!」
夜曾野(アイツなら、なんとかするって思ったしね。あいつなら・・・)
五月雨「どうしたんです? お顔が赤いですよ」
673 = 1 :
夜曾野「うっせ・・・」ゲシッ
五月雨「蹴った!! 今、蹴りましたねっ!!?」
夜曾野「つい足が滑っちゃったゴメンネ」
五月雨「もう・・・お土産何がいいかな・・・」
夜曾野「チロルチョコとか、チュッパチャップスで良くね?」
五月雨「なんでですかっ!? 良くありませんよ!!」
夜曾野「皆、安くても良いって言ってたし・・・」
五月雨「安すぎですよ!!? 駄菓子じゃないですか!!」
夜曾野「じゃあ・・・うまい棒は?」
五月雨「同じですっ! しかもさらに値段下がってる!」
夜曾野「うまい棒の東京限定の奴とかさ。最高にクールじゃん」
五月雨「駄菓子から離れてくださいよ・・・・」
夜曾野「五月雨・・・」
五月雨「なんです?」
夜曾野「前に看板が・・・」
五月雨「へ? 痛っ!?・・・」ドンッ
夜曾野「危なっかしいなぁ・・・ほら・・・」
五月雨「早く言ってくださいよぉ・・・何です?」ヒリヒリ・・・
夜曾野「危ないから手を繋いであげよう」
五月雨「・・・もう///」ギュッ
674 = 1 :
夜曾野「さぁ早く駄菓子屋へ行こうか」
五月雨「なんで!?」
夜曾野「子供の頃に感じた・・・」
夜曾野「あのワクワクした衝動を抑えられそうに無い・・・」キラキラ
五月雨「なんでそんなに目を輝かせてるんですか・・・」
夜曾野「買おうぜぇ!3個入ってるガムの中の1個だけ超すっぱい奴とか!」
五月雨「とりあえず、それはまた今度にしてくださいよぉ」
夜曾野「冗談だよ。夜曾野ジョーク」
五月雨「ほら早く行きましょう。時間無くなりますよ」
夜曾野「はーい」
五月雨(あっ・・・足を躓いちゃった・・・)
2人「へみゅっ!?」バタン
夜曾野「なんで何も無いところで躓くの!?」
五月雨「私が一番知りたいですよっ!!」
夜曾野「私まで巻き込みやがって!!」
五月雨「手を繋いでたんだから仕方ないでしょ!?」
夜曾野「手をはーなーせー」
五月雨「はーなーしーまーせーんー」
2人は仲良く自分達の鎮守府へ帰っていった。
675 = 1 :
再び・・・
ビジネスホテル
鈴谷「あー食べた食べた」
提督「食いすぎたかもしれん。鈴谷、先に風呂入っておいで」
鈴谷「・・・今の言い方、いやらしいですな」ニマニマ
提督「・・・からかうな」
鈴谷「分かってますよー じゃあ、ありがたく先に頂くね」
それから他愛もない話をして過ごして
あっと言う間に深夜になった。
提督「鈴谷・・・? 寝たか・・・」
提督(本当に・・・よくなったな。明るくて、元気で・・・)
提督(最初に来た頃が嘘のようだ。本当に良かった)
――――誰? アンタ
俺は提督だ。これから君の上司になる。
――――――あっそ。別に興味ないし
何があったかは知ってる。
すぐに信用は出来ないかもしれない。でも・・・
君に信頼される指揮官になれるように頑張るつもりだ。
だから・・・これからよろしく頼む。
――――勝手にすれば? 私も私の勝手にするし。
提督(あの頃よりは少しは・・・君に信頼して貰ってるのかな?)
提督「これからも・・・よろしくな・・・鈴谷。おやすみ」ナデナデ
676 = 1 :
とりあえず投下完了。
いつも感想ありがとうございます。
体調には気をつけます。
もうちょっとだけ鈴谷のターン。
他の娘みたい方居たらすんませんね。
また明日の夜間に投下するでち
677 :
乙
女…だと…
678 :
乙
そういや女提督云々を書き込んでた人いたけど、
まさかここで作者氏がネタ回収するとは
679 :
乙です。
夜曾野提督と五月雨ちゃんかわいい。
てか五航戦浸透しすぎぃ・・・。
680 :
鈴谷のターンで全然いいけど皆よりもっと進んだ関係にならなきゃ……
681 :
乙です
もうずっと鈴谷のターンでええくらいや(本音)
682 :
他所の提督だから夜曾野提督って訳か
683 :
田所先輩艦娘説
684 :
鈴谷(あれ? 私・・・寝てた?)
鈴谷「提督?」
提督「・・・・zzz」
鈴谷(寝ている時は・・・あどけない可愛い顔してるねぇ)
提督は一度、寝付くと中々起きない。
鈴谷「本当に寝ている?・・・キスしちゃうよ? いいのかな? ふふっ」
鈴谷(本当に私は・・・提督が・・・大好きなんだなぁ)
あれは数年前になる。
当時、私は別の鎮守府に所属だった。
最初は国の為にと頑張っていたが・・・
黒提督「鈴谷め・・・また大破か・・・クズが。構わん、進軍しろ」
旗艦娘『・・・しかしっ鈴谷の他にも駆逐艦が一隻、大破しております!』
黒提督「ここまで来て引き返せと? 運が良ければ生き残るだろう」
旗艦娘『ですがっ!!』
黒提督「命令だ。行け。日本国軍人たるもの死を恐れるな」
旗艦娘『っ・・・了解しました』
結果、出撃海域に居た敵は殲滅したが、
最後の戦闘前に大破していた駆逐艦は轟沈。
それは私を庇ってのことだった。
そして同じく大破していた私は生き残ってしまった。
685 = 1 :
仲間が目の前で沈んだ。
皆が泣いた。
沈んだ子は泣き叫んでいた。
死にたくない、まだ死にたくないと。
沈んだ子の名前はもう思い出せない・・・
いや、思い出すことを自分が拒絶しているのだろう。
なんとか鎮守府に帰還して報告すると・・・
黒提督「そうか、沈んだか。まぁいい。大してレベルも高くなかったしな」
それだけ。たったそれだけ。
カチンと来て思わず言ってしまった。
鈴谷「提督が無茶な命令を出したせいで沈んだのにそれだけなの・・・?」
黒提督「貴様・・・俺にその口の利き方・・・何様のつもりだ?」
黒提督「弱い奴はいらん。沈んだのは弱いからだ」
黒提督「死にたくなければ被弾すんじゃねぇよ・・・」
黒提督「てめぇらの無能を棚に上げて何をほざいてやがる」
そう言うと顔面をぶん殴られた。
黒提督「おい前ら・・・連帯責任だ全員並べ」
皆『!!』
そして皆一人ずつ殴られた。
艦隊の皆が私を見る。憎悪に満ちた目で。
余計なこと言いやがって、アンタのせいだ。と目で訴えてきた。
686 = 1 :
黒提督「おい・・・お前」
駆逐艦「・・・は・・・はいっ!!」ビクビクッ
黒提督「今日はお前だ。夜、部屋に来い」
駆逐艦「・・・はい」
指名された娘は恐怖で涙目だった。
黒提督は毎晩、毎晩、艦娘を抱く。
艦娘の意思なんて関係なしに。
断れば、もっと酷いことをされる。だから従うしかない。
黒提督「戦闘で使えないクズなんだから、せめて黙って股でも開いてろっつんだよ」
黒提督「本当にお前らは使えないな・・・」
黒提督「おかげで大本営から指示された任務の半数も消化出来てない」
黒提督「これは懲罰だ。貴様らに拒否する権利はない」
当時、ただでさえ閉鎖的な軍内部でさらに、次々と造られた鎮守府の内側は
中々、監視の目が届かない世間から隔離されたような場所だった。
その為、この黒提督のように突然与えられた権力と地位に酔いしれて、
感覚が麻痺し、見えない所で好き勝手やる者も後を立たなかった。
何かしても揉み消せる、悪行をしても鎮守府での最高権力者である自分を
咎めるものは居ない。外にさえ情報が出なければなんでも出来る。
687 = 1 :
一般的な人は社会に出るに当たって、
世間的な善悪の定義を理解し、悪行は行わない。
それは行えば罪となり、囚われて法の裁きを受け、
人生の中で今まで築き上げた物も立場も全て失い、
もうその場所に戻れなくなるからだ。
社会にはルールがある。秩序がある。
それを破ることは社会に置いては異端者となる。けして許されないのだ。
だが、もしも・・・そんな世間の常識やルールが及ばないと錯覚するような立場に居たら?
何をしても、自分の力で揉み消せるような世間の目から離れた場所であったら?
『自分は大丈夫』と言う根拠の無い思い込みは、やがて欲望をむき出しにさせる。
そして一度でも一般的な良識を反故にし、自らの欲望に走った時、その人間は堕ちる。
絶対やっては行けない禁忌。その領域を超えるとタガが外れるのだ。
一度でも成功すれば2度、3度・・・
やがては、そうした行いに罪の意識は感じなくなり、行為はエスカレートする。
閉鎖的な環境は人間の持つ醜い感情が浮き彫りになりやすい場であったのだ。
688 = 1 :
なんでだろう。私達はなんで・・・
こんな奴の為に戦っているんだろう。なんの為に?
その頃は、もう戦う意思なんて無かった。黒提督に歯向かい、
とばっちりを受けた娘の噂も広まり、次第に私は孤立していった。
それから暫くしてチャンスが訪れた。
視察に来た憲兵に接触し、事情を説明した。
これでアイツは捕まる。そう思った。
だが予想は裏切られる。
憲兵「そうだな・・・お前が一発ヤラせてくれたら助けてやるよ」
憲兵2「そうだな。俺も俺も」
憲兵達「アハハ いいなそれ」
鈴谷「・・・最低っ」
憲兵「嫌なら現状のままだな。まぁしっかりやれよ?」
憲兵2「ここの提督には良くしてもらってるからな。元々告発する気もねぇしな」
憲兵3「ひでーww」
憲兵隊は新海軍設立で旧大戦以来、急遽作られた組織であった。
構成員もロクに審査もせず採用され、素行に問題がある人物も多く、
酷いもので組織として正常に機能していなかった。
とりあえず作られて、存在していた。それだけの組織。
問題を起こした提督が発覚前に賄賂を送り揉み消す。そんなことは当たり前だった。
689 = 1 :
この時期を知る艦娘は未だに憲兵を嫌っている者も多い。
中にはマジメに仕事をする者も居たが、圧倒的に少数派であった。
そんな正しい憲兵も、悪い先輩に毒されて結局欲望のままに動くようになる。
組織自体が腐りきっていた。
誰も助けてくれない。誰も味方がいない。どうしていいか分からない。
そして結論づけた。黒提督を殺そうと。
アイツを殺さないと、自分も同僚も皆殺される。だからヤルしかない。
結果だけ言うと失敗した。
黒提督は激昂して他の艦娘に命じてリンチを実行させた。
女として大事なモノは奪われなかったけど、
もう生きる希望は無くなりかけていた。
ボロボロになった私は鎮守府の牢獄に入れられた。
暗く不衛生な牢獄で私は毎晩うなされた。
690 = 1 :
私を庇って沈んだ子が夢の中で私を攻め続ける。
オマエのせいで死んだと。
オマエのせいで・・・オマエのせいで・・・私は・・・
鈴谷「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」
もう耐えられなかった。
死のう。そんなことを考えてた矢先、彼女が来た。
夜曾野(よその)提督。彼女はどうやったかは知らないが、
黒提督は摘発され逮捕された。
黒提督『俺は何もして居ない!貴様ら!俺にこんなことしてどうなるか・・・』
最後の最後まで見苦しく、腹も立ったが有罪判決を受けて、ほんの少しだけ気分が晴れた。
後になって知ったことだが、そんな軍の暗部を嫌悪し、嫌う提督達も一定数おり、
元帥を初め、夜曾野提督、提督、他にも良心的な人達による
大掛かりな軍内部の粛清であった。
その後、事件は大きく報じられて社会問題になった。
691 = 1 :
日本を守る為に命をかけて戦う艦娘に暴行を加える。
指揮をする提督の立場に居る者が権力に目がくらみ好き勝手のやりたい放題。
その行為に対し国民の怒りは凄まじかった。
さらに治安を維持し、軍を取り締まるハズの憲兵までも一部が加担していた。
それはとても衝撃的な事件であり、ごく善良な一般市民には嫌悪されるようなことだ。
インターネット、SNS等の急速な普及により以前は暗部だったモノが、
何かの拍子に外に出てしまうようになった時代。
軍上層部は徹底して内部を調査、こういった悪行を行った者は全て摘発、逮捕され有罪になった。
また、提督に取り入るために積極的に暴行に関わっていた一部艦娘も解体後に有罪として投獄された。
憲兵隊内部も大きく入れ替わった。
前任者達の悪行三昧により世間からも身内からも厳しい目で見られた
新憲兵達は正しくあろうと必要以上に厳しく職務を遂行していくことになる。
正しく在る事だけが過去のイメージを払拭させる唯一の手段だからだ。
ようやく憲兵隊は本来のような正しい役割を果たすようになった。
そして私は救出され夜曾野提督の指揮下に入った。
そこは天国と地獄くらいの差があった。夜曾野提督を初め、鎮守府の皆は優しかった。
でも、私は何もする気になれなかった。
既に戦う意思はない。
生きる意志もない。
そんな時、提督に出会った。
692 = 1 :
鈴谷「・・・誰? アンタ」
男だ。・・・汚らわしい。
提督「俺は提督だ。これから君の指揮官になる」
鈴谷「あっそ。別に興味ないし」
提督「何があったかは知っている」
鈴谷「じゃあ帰ってよ。私はもう・・・」
夜曾野「鈴谷・・・君は彼の元に行け。彼は信用出来る」
鈴谷「・・・どうせ貴女も私がいらなくなったんでしょ?」
夜曾野「違う。もう一度・・・君に生きて欲しいからだ」
鈴谷「は? 鈴谷生きてるし。ワケ分かんない」
夜曾野「・・・そうか? 今のお前さんは死んでるのも同じだよ」
鈴谷「・・・・・・」
提督「俺のこと、すぐに信用出来ないかもしれない」
鈴谷「・・・信用する気もないけど?」
提督「でも・・・君に信頼される指揮官になれるように頑張るつもりだ」
鈴谷「・・・勝手にすれば? 私も私の勝手にするし」
提督「よろしく頼む」
夜曾野「頼むぜ後輩」
提督「はい。先輩」
693 = 1 :
彼の目は、どこまでもまっすぐで誠意があった。
夜曾野提督が信頼してるくらいだ。問題はないのだろう。
初めから、こんな人が私の提督だったら・・・
違った結末もあったのかもしれない。
そう一瞬思ったがすぐに思考は戻る。
私はもう誰にも期待しない。
勝手にすればいい。私はもう疲れたんだ。
それから提督の鎮守府に配属された。
提督「今日から暫く秘書艦を頼む」
鈴谷「・・・は? めんどくさっ」
秘書艦なんて今まで一度もやったことはない。本当にめんどくさい。
提督「ごめんな? 仕事は少しづつ教えるからさ」
提督の鎮守府の艦娘は皆、楽しそうで、心から提督を慕っていた。
本当に愛されてるねこの人は・・・。
私は愛や友情なんて幻想はとうに捨てた。
期待するだけ無駄なんだ。
提督「鈴谷、そろそろ昼にするか」
鈴谷「勝手にすれば? 私はこれでいいし」
提督「・・・カロリーメイトって・・・お前」
694 = 1 :
鈴谷「私の勝手でしょ?」
提督「待ってろ・・・」
そう言うと提督はどこかへ行った。20分ほどで戻ってきた。
トレーに2つの炒飯を乗っけて。
提督「口に合うか分からんが・・・」
鈴谷「何コレ」
提督「炒飯だが・・・」
鈴谷「そんなのは知ってるよ。どうしたのこれ」
提督「厨房を借りて作ったんだ」
鈴谷「私、食べたいなんて一言も言ってないけど?」
提督「そんな食事ばかりじゃ体が持たないぞ?」
鈴谷「・・・ほっといてよ」
提督「ほら、早く食べてくれ。暖かい方が旨い」
そう言うと提督は自分の分を食べ始めた。
そして早く食べろとばかりに、こちらを見る。
鈴谷「・・・はぁ・・・食べればいいんでしょ」
提督の作ってくれた炒飯はとても美味しかった。
鈴谷「・・・美味しい」ボソッ
695 = 1 :
提督「どうだ?」
鈴谷「・・・まぁまぁ。食べれなくは無いよ」
嘘。
こんな美味しいもの食べたことがない。
もくもくと食べる私を見て、提督は優しく笑った。
私は恥かしくて、ちょっと悔しかった。
鈴谷「あんまり調子に乗らないでくれる?」
提督「ああ、分かった、分かった」
暖かい・・・気持ち。
こんな気持ちを感じたのは何時以来だろうか。
それからも、提督は私を気に掛けてくれた。
最初は鬱陶しかったそれも、今じゃ心地よく感じた。
そんな毎日を過ごすうちに・・・なんとなく、
もう一度くらい戦闘に出ても良いと思ってしまったのだ。
提督「出撃したい?」
鈴谷「何となく気が向いたからね」
提督「・・・大丈夫なのか?」
鈴谷「さぁ? どうだろうね」
696 = 1 :
提督「・・・金剛、鈴谷のこと頼むぞ」
金剛「イエス!! 泥舟に乗った気で居てくださイっ!!」
提督「・・・大船な」
しかし、久しぶりの戦闘は甘くなく、
あと少しで敵旗艦を倒せる所で大破してしまった。
私が沈む可能性もあるけど・・・
夜戦に持ち込めば・・・
鈴谷(・・・あれ?)
死んでもいい。そう思ってたはずなのに、今は凄い恐かった。
何時の間にか死にたくないと思っている自分が居る。
なんとなく脳裏に、優しく笑う提督が浮かんだ。
金剛「じゃあ撤退しマスか~」
他の娘「はーい」
鈴谷「・・・!! ちょっと待って!!」
金剛「はい? なんデス?」
鈴谷「もう少しで倒せそうなのに撤退?」
金剛「だって貴女、大破してるじゃないデスか」
鈴谷(また・・・私のせいで・・・)ギリッ
鈴谷「私のことはいいからっ!!」
697 = 1 :
金剛「ダメでーす」
鈴谷「・・・なんで?」
金剛「中破したら撤退するのがココでのルールでーす!」
鈴谷「・・・了解」
情けなくて涙が出た。
今度は・・・もうしかしたらって思ったのに。
行けると思ったのに。何時もこう。何時も私は・・・
また私は失望されるんだ。オマエはいらないって・・・
そんな重たい気持ちで帰り道は頭が一杯だった。
電「あの程度の敵ならこちらに被害なく一方的に殺せたのです」
金剛「今回は鈴谷に鎮守府のルール(表)を覚えさせるのが目的デスから」
電「・・・そういうことですか」
金剛「早く慣れて貰えればいいんだケドね」
電「そうですね・・・」
金剛「早く慣れてもらわないと秘書艦もローテできませんし」
電「・・・確かにそうなのです」
電「そう遠くない未来・・・」
電「鈴谷さんも電達の本当の仲間になって・・・」
電「皆で笑い合えれば・・・もっと毎日が楽しくなると思うのです」
698 = 1 :
金剛「鎮守府の皆は家族・・・デスからね」
電「なのです!」
しかし、帰ってみると提督は穏やかで・・・
提督「まぁ次があるさ、怪我した娘は入渠して来なさい」
鈴谷(・・・なんで?)
鈴谷「・・・怒らないの?」
提督「え? なんで?」
鈴谷「私のせいで・・・倒せなかったのに」
提督「別に鈴谷のせいじゃないだろう。あんまり気負うな」
鈴谷「・・・でもっ」
提督「今日の出撃・・・マジメに戦ったかい? 手を抜いたり、ふざけたりした?」
鈴谷「真剣にやったよ! 当たり前でしょ!!」
提督「じゃあ仕方ないだろう。 頑張った結果なんだから」
提督「それは受け入れよう。今がダメなら次がある。生きてさえいればチャンスはあるんだ」
提督「何度だって・・・生きて・・・生きてさえ居ればね」
鈴谷「・・・『次』はもっと頑張る」
提督「ああ、期待してるよ」
気まぐれで一度だけ出るつもりが・・・
何時の間にか、次も出撃する気になっている。
そんな自分に驚きを隠せなかった。
699 = 1 :
書き貯め投下完了。
いつも何時も感想ありがとうございます。
女提督ちゃんは出してみたかったので・・・
友人の提督が男で秘書とイチャイチャしてると
提督と被るってのもあるんで差別化も目的でした。
上手く言ったか分からないですけど・・・
今回の投下は多すぎたかもしれません。
書きダメで一気に大量にと、
ちょこちょこ少量ってどっちがいいんすかね?
ちょっと所用で次回は火曜か水曜辺りになります。
700 :
ちょこちょこ大量(強欲)
みんなの評価 : ★★
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