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    元スレさやか「奇跡も魔法も……」ほむら「私のは技術よ」

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    401 = 368 :



    ほむら「人から教わった戦い方を、そんなことに使う恩知らずにとやかく言われる筋合いはないわ」

    さやか「あんたはあたしの心を裏切ったッ!」

    ほむら「あなたはどうしてそんなに愚かなの」

    さやか「謝るなら今のうちだ!」

    ほむら「魔法少女に正義も悪もないわ」

    さやか「今なら許してやらんこともないッ!」

    ほむら「許す? あなたが今しているのは復讐に過ぎないのよ?」

    さやか「あたしを再起不能にするつもりだなッ!」

    ほむら「さやか・Eとでも名乗ったらどう? Eってのは復讐(エリンニ)を意味するわ」

    さやか「返り討ちにしてやるッ!」

    ほむら「もう喋らなくていいわ。話が通じない」

    さやか「ウオォォォォォォッ!」ダッ

    402 = 368 :




    まどか「さやかちゃんッ! やめてッ!」

    さやか「まどかァッ! 退けェッ! 巻き添えになるぞッ!」

    杏子「くっ……!」

    ほむら「ほむ……。やれやれだわ。二人とも、離れて」

    まどか「うぅ……」

    杏子「…………」

    ほむら「……ねえ、まどか。こういう自我を失った人とか自棄になって暴れる死刑囚やらなんらかを大人しくさせるにはね……」

    まどか「ほむらちゃん! 危ないッ!」

    ブワッ

    さやか「うげっ!?」

    ドサッ

    杏子「!」

    ギュッ ギリリッ

    さやか「……ッ!? なっ……!」


    403 = 368 :



    さやか「マ、マントが! 捻れて……!? し、締め付けられる……!」ギリギリギリ

    ほむら「……言葉よりも、力づくで取り押さえるのがてっとり早い。倫理的にどうかってのはさておいてね」

    シルシルシル

    杏子「て、鉄球……!」

    ほむら「時を止めて鉄球をマントに仕組んだ。鉄球の回転はあなたのマントを巻き込んで己の体を締め上げる。回転が続く限りね」

    さやか「離せェェェェェッ!」ジタバタ

    ほむら「冷静になりなさい。あなたが言っていることは、佐倉杏子にマミを見殺しにしろと言っているようなものなのよ」

    さやか「う、うるさいッ! 嘘だ! 奴はDioに協力していたんだ! 敗北したから寝返ろうと嘘をついている!」

    ほむら「恐竜化されたのは? 味方だというのなら恐竜になんかされないはず」

    さやか「そ、それは……」

    さやか「な、何にしてもこいつはグリーフシードのために使い魔を野放しにするような奴ッ! それは間違いない事実ッ!」

    さやか「あんたが言ったことだろうがッ! だからあいつはDioを味方につけて素質のあるあたし達と転校生皆殺しにしようとした悪だッ!」

    さやか「そうに決まっている! 動機がある!」

    404 = 368 :


    まどか「うぅ……」

    まどか(今、目の前で倒れている少女が……さやかちゃんじゃないことを、必死に願っている。さやかちゃんだと認めたくないわたしがいる!)

    杏子「…………」

    ほむら「あなたは次に『みんな騙されている』と言う」

    さやか「目を覚ますんだ! みんな騙されてい――――ハッ!」

    ほむら「そういう理由で佐倉杏子の事情を話したんじゃあない。あなたに彼女のそういう所も理解してほしかったのよ」

    ほむら「あなたならその事実を受け入れられると思って話した。反省をしているようなら許容できる」

    ほむら「……あなたの器を過大評価していたわ」

    さやか「あんたがそう言うなら……マミさんまで……そうなんだな。……あの人も、奴の味方なんだな……!」

    ほむら「不本意な契約をしたこと、あなたの言うゾンビになったこと。そのことで幼なじみと顔を会わせ辛いってこと……理解はしてあげる」

    ほむら(だから私はあなたを救ってあげたい。……と、言いたいとこだけど、何を言ってもどうせあなたは私を信用しない)

    ほむら(どうしてそんなことになってしまったの……美樹さやか)

    405 :

    つじつまが合わないッ!これは現実ではないッ!オレの心が見ている『幻覚』だッ!

    406 = 368 :



    シュッ

    ほむら「理解はすれど、憐れみはしない。……解放するわ。家に帰って頭を冷やしなさい」

    さやか「…………あんたもあの人も信頼してたのに」スック

    ほむら「してもいいわよ。しなくてもいいけど」

    さやか「…………」

    さやか「いいか。これは忠告でもある。あたしは『独り立ちする』と、あの人に伝えろ」

    まどか「さ、さやかちゃん……!」

    さやか「あたしは、あんたやあの人の誰とも違う。あたしが望むのは正義。正義は勝つ」

    さやか「真の正義とは、悪を許さない心だ。悪に同情するのは中途半端な奴のすること」

    さやか「器の広さをアピールしたいのかは知らんが、あたしは正義の味方ごっこじゃなくて……真の正義。救世主(メシア)となる……。悪は滅す」

    ほむら「……そう」

    407 = 368 :



    さやか「……行くよ、まどか」ツカツカ

    まどか「え、えっと……」

    さやか「まどかァッ!」

    まどか「ひっ!」ビクッ

    ほむら「……行ってあげなさい」

    まどか「……う、うん」トコトコ

    まどか(さやかちゃん怖いよぉ……)

    408 = 368 :



    ほむら「……ふぅ」

    杏子「…………」

    ほむら「ケガはしてないわね」

    杏子「……あたしに、助けられる資格なんか、ねぇ……」ボソッ

    ほむら「……」

    杏子「魔法少女なんてのは、いつ死んだっておかしく……ねえんだ」

    杏子「だから……別にマミを見捨てたって、よかった……むしろ、その方がよかったんだ……」

    杏子「マミのソウルジェムをDioに奪われて……動かなくなって……動揺しちまって……」

    杏子「Dioに屈しなければ……ッ! あたしのせいで……」

    ほむら「……佐倉杏子。自身の罪に酔ってるとこ悪いけど、私はあなたが襲われていたから助けたんじゃあない」

    杏子「…………」

    409 = 368 :



    ほむら「近い未来。ワルプルギスの夜がやってくる」

    杏子「な……え……? ……ど、どうして、それを」

    ほむら「私と共に、ワルプルギスの夜と戦って欲しい。だから、あなたを助けたし、探していた」

    杏子「…………」

    ほむら「マミも一緒よ。既にマミとも共闘を結んでいる」

    杏子「マミが……!」

    ほむら「佐倉杏子……私達と共に戦いましょう。ワルプルギスの夜に」

    杏子「でも……」


    410 = 368 :



    杏子「……あたしは、さやかの言う通り……邪悪なのかもしれねぇ」

    杏子「ほむらが来たのは偶然だ……まさに偶然。あたしは全ての意思が断たれていた……勝っていたのはむしろさやかの方……」

    杏子「あたしなんかより……さやかを仲間にした方がいい。あいつと和解してくれ。あたしがいたら、それができなくなる……」

    杏子「それにあいつは……一人だとダメになるタイプだ」

    杏子「あたしはずっと一人だからいいけど、あいつには仲間が必要なんだ。だから……」

    ほむら「全ては『結果』よ。佐倉杏子。あなたは選ばれたのよ。何かの力が。だからこうして今生きている」

    ほむら「マミはソウルジェムの真実をさやかに伝え、まどかがさやかの感情の濁りに気付いた」

    ほむら「私はここにあなたが来るだろうと思ったから、急いで来てみた」

    ほむら「あなたが助かったという結果が残っている。杏子……、杏子と呼ばせてもらうわ。自分を責めないで。美樹さやかは私達が何とかする」

    杏子「……あたしは『悪』だ」

    411 = 368 :


    ほむら「善とか悪とか関係ないわ。私達にはあなたが必要なのよ」

    杏子「……ほむらぁ」

    ほむら「それで? あなたの答えは?」

    杏子「力に……なりたいよ」

    ほむら「よろしい。私はあなたを受け入れる。マミの家に行きなさい。マミもあなたを受け入れる」

    杏子「ああ……わかった……うん」



    ほむら(Dioによって……既にソウルジェムが魔法少女の魂であることが割れてしまったけど、ひとまず、マミと杏子を仲間にはできた)

    ほむら(しかし、美樹さやかは暴走状態に入ってしまった。このままでは……きっと、いえ、確実に魔女になる)

    ほむら(魔法少女が魔女になるかもしれないことまで知られたらどうなるだろう? 少なくとも、今言えることは……美樹さやかには、それを知られるには非常にまずい)

    ほむら(美樹さやか……これは推測だけど、上条恭介の腕を治せなかった後悔を、八つ当たりすることで誤魔化している……)

    ほむら(杏子はDioに利用されていたこと事実を、杏子が使い魔を放していた事実に食い潰されてDioへの憎悪が杏子へ向かってしまった)

    ほむら(不本意な契約を交わしてすぐに上条恭介の腕に治る見込みがないと宣告された無念、抱きしめてと言えない体になった悲嘆)

    ほむら(様々な負の感情が入り乱れ、日を経るごとに増幅し、杏子が姿を消していた故に本人からの弁明がないことでさらに助長して、爆発してしまった。……そんなとこかしら)


    ほむら(上条恭介の腕……か)


    412 = 368 :




    さやか「…………」ツカツカツカ

    まどか「…………あ、あの……」

    さやか「何」ジロ

    まどか「う……。い、いや、えっと……その……」

    さやか「何さ」

    まどか「あ、あのね、その……きょ、杏子ちゃんは何も悪気があったんじゃないかなって……」

    さやか「何で」

    まどか「え、えっと……杏子ちゃんはさ……脅されてたんだよ……?」

    さやか「まどかは、気絶してたんだよね。事実はわからない。転校生は脅されているその場を見たわけじゃない」

    さやか「あの人もあいつを助けるために嘘をついてる可能性がある。そういう嘘をつける人だ」

    まどか「そ、それが嘘かもしれないってことはさ……逆に本当かもしれないって言えないかな」

    さやか「……何が言いたいの?」

    413 = 368 :



    まどか「な、何も杏子ちゃんを襲うことは――」

    さやか「あたしがゾンビになったのにッ!?」

    まどか「ひっ!」ビクッ

    さやか「人質を救う唯一の方法!? 馬鹿言わないで! みんなを罠に嵌めて! 転校生の腕を吹き飛ばさせて! 恭介を負傷させて! たくさんの人を傷つけて!」

    さやか「救うためだとか、絶対嘘だッ! Dioの願いを契約の力で叶わせるという条件で味方につけてグルになっていたと考えた方が自然なんだよッ!」

    さやか「使い魔を野放しにして人を襲わせて! 魔女を量産しようとしているような奴!」

    さやか「グリーフシードの取り分が減るから皆殺ししようとしたに違いない! そんなのに悪気もヘチマもない!」

    さやか「あの一件以来ッ! 人間じゃなくなったあたしは恭介を顔向けできない! ゾンビが見舞いだなんてちゃんちゃらおかしいからだッ!」 

    さやか「そんなあたしにまどかまでそういうことを言うのか!? あんたもみんなみんな騙されてるッ!」

    さやか「あんたも魔法少女の素質があるから殺されるッ! まどかァッ! 目を覚ませよッ!」

    まどか「あ、あぅ……」ジワッ

    414 = 368 :


    さやか「ハァ……ハァ……」

    さやか「……ごめん……怒鳴っちゃって。ちょいと、興奮した」

    まどか「うぅ……グスッ」

    さやか「まどか……あの二人はあたしにとっては……杏子の味方だから敵だ……」

    さやか「でも、あの二人とあたしは、まどかの味方という共通点がある。だから二人の側を離れちゃあいけない。それで杏子には近づくな」

    さやか「あたしは救世主だ。どんな悪の手からもあんたを、善良な一般人を守ってみせる。今はあんたを転校生に任せるけどね」

    さやか「まどかが二人の目を覚まさしてあげて……。あんたにはそれができる……あたしにはできない……」

    まどか「さやかちゃん……」

    さやか「まどかはさ……契約できる? ゾンビになってでも」

    まどか「…………」

    415 = 368 :



    さやか「……そりゃそうだよ。そうなると知ったらむしろする方がおかしい」

    さやか「絶対に後悔するからね」

    さやか「知らないからこそ、魔法少女がいるんだろうね」

    まどか「……そう、かもしれないね」

    さやか(……でも、あたしは、恭介の腕を治せていれば、後悔なんてあるわけがなかった。本心からの望みだからだ)

    さやか(もし叶えられていたら、あたしはこんな体でも顔向けできたはずだ)

    さやか(本心からの望みだから……自信が持てたに違いない)

    さやか(こんな体じゃ……あたしは……)

    さやか「それじゃ……またね」

    まどか「…………うん」


    416 = 368 :



    まどか「…………」

    まどか(わたしはいつだって無力だ……)

    まどか(見ていることしかできない)

    まどか(落ち込んでいるさやかちゃんに、気にきいた一言をかけることさえできなかった……)

    まどか(わたしは……魔法少女になるとしたら、誰かを救いたい。自信を持ちたい。そう考えてはいた)

    まどか(今は……まるで契約する覚悟がない)

    まどか(ほむらちゃんとの約束があるというのもそうだけど……その事実は……わたしには受け入れられない)

    まどか(わたしなんか……誰も救済なんかできやしないんだよ……)

    417 = 368 :

    今回はここまで。今夜また再開します。

    さやかちゃんのキャラが圧倒的にアレになりましたが、個人的にはそういうキャラのイメージなんですよね……
    人間をやめさせられたぞーって言わせたいからこんな展開にしたわけじゃないですよ。人間をやめさせられたぞーって言わせたいからこんな展開にしたわけじゃないですよ。


    前作は500レス程度で終わったのにここで400って何かヤバイような気がしてる

    418 = 405 :

    一周回って良い感じやでさやかちゃん

    419 :

    乙です
    さやかの悲惨さがギャグ調になってうまく中和されてる気がするww

    420 :


    このさやかちゃんにD4Cか何かで本編さやかちゃんを見せたら魔女化しちゃいそーだな

    421 = 364 :

    腕を治せなかったことに後悔したら病院で人を救ったことを後悔することになるからなぁ。
    悲しい奴だよこのさやさやは……


    別に2スレにイッてもいいのよ?

    422 :

    そんなびゅっびゅじゃないんだし二スレ目行っても

    423 :

    よし! >>1乙ッ! それでいいっ! それがBEST!

    424 = 422 :

    今しがた一部を読み終わったんだけどこれは何部?

    426 :

    >>424
    7部

    正確には6部で一区切りついているから、いきなり読んでもまあ大丈夫

    427 = 405 :

    でも結局その区切りが付く前のキャラや状況のオマージュ的なことが多いからやっぱ全部読んだほうがいいよ

    429 = 365 :

    ジョジョの暴走キャラっぽいさやかだな……

    この作者に乙と言ってやりたいんですが!構いませんねッ!!

    430 = 405 :

    スレの住人は何を質問するわけでもなく
    かといって 嫌悪の表情もなく 自分に言われた乙を
    うすぎたなくない>>1の前にさし出した

    431 = 363 :


    やっぱりよくなかったんじゃないですかーやだー!
    メタ視点で見てる限りさやかちゃんの
    「恭介の腕を治してさえいれば後悔なんてしなかった」って台詞に
    嘘つけ!と突っ込んでしまうのぜ

    432 :

    ただの女子中学生ですもの…
    言い訳に言い訳を重ねて現実逃避くらい普通だよ(´・ω・`)

    433 = 368 :


    ――翌日


    教室


    ほむら「おはよう」

    まどか「あ、おはよう、ほむらちゃん」

    仁美「おはようございます。暁美さん」

    まどか「今日は遅かったね。お寝坊さん?」

    ほむら「えぇ。色々とね。折角待っててくれたのにごめんなさい」

    仁美「いえいえ、一人暮らしは大変ですものね」

    ほむら「そうでもないわ。要は慣れよ。明日からは一緒に登校できるよう善処するわ」

    ほむら「寝坊と言えば……美樹さやかは来てないようね」

    仁美「えぇ。メールを送ったのですが、返ってこないのです」

    まどか「…………」

    ほむら「そう。美樹さやかが……珍しいわね」

    ほむら「メールを見る余裕がないくらいに重い風邪なのかしら」

    434 = 368 :



    仁美「昨日まで元気そうでしたのに……」

    ほむら(昨日の今日だから学校に来れるとは思っていないけど……)

    ほむら「放課後みんなで寄ってみましょうか」

    仁美「丁度いいと言ってはなんですが、今日はお稽古がないので大丈夫ですわ」

    ほむら「そう。それにしてもいつも大変ね」

    仁美「ふふ、要は慣れですわ」

    まどか「…………」

    ほむら「まどか?」

    まどか「…………」

    仁美「? ……どうかなかさったのですか?」

    まどか「あのね、二人とも。落ち着いて聞いてくれるかな」

    まどか「実は……さやかちゃんは……」



    ほむら「……!」

    仁美「え……?!」

    435 = 368 :



    ――昼休み

    屋上


    まどか「今朝……パソコンのメールをチェックしたんです」


    まどか「そしたら……さやかちゃんからメールを受信してました。予約送信システムで今朝届くようになってたんです」

    まどか「普段はケータイからメールするので、何か妙に思ったんですが、昨日のことで何かあったのかなと思って開いたら……」

    まどか「……要約すると、一人で戦うから探さないでという内容でした」

    まどか「何かの冗談かと思って、さやかちゃんのケータイに電話したんだけど、出てこなくて……」

    まどか「三回かけたくらいで、さやかちゃんのママが出て……」

    まどか「『恐らく夜中の寝ている間に、書き置き一枚を残して家を出ていったようだ』って話を聞かされたの……」

    まどか「……ケータイは家に置きっぱなしで、わたしにメールだけ送って……さやかちゃん、本当に家出したみたい」

    まどか「昨日……わたし以外は敵だって言ってたから……それで……」

    436 = 368 :



    マミ「……美樹さんが、行方不明……」

    まどか「はい……」

    マミ「昨日、何があったの?」

    ほむら「マミはその時いなかったわね。昨日、美樹さやかは杏子を闇討ちしようとしたのよ」

    マミ「な、何ですって?! 今までそんな様子はなかったのに……」

    ほむら「彼女は杏子がDioとグルだったと勘違いしていて、杏子を庇う私達も敵という認識をしている」

    ほむら「ずっと、私達への不信感と憎悪を隠しながら鍛錬して……昨日爆発した。つまりは、私達はさやかに利用されていたのよ」

    マミ「……そう、なの」

    マミ「昨日、美樹さんと佐倉さん。そんなことがあったのね……」

    437 = 368 :



    マミ「私、先輩失格だわ……美樹さんがそんなことをしてたなんて……」

    マミ「暁美さん、どうして私を呼んでくれなかったの?」 

    マミ「鹿目さんも、どうして美樹さんの異変に気付いていたのに教えてくれなかったの?」

    まどか「ほむらちゃんが内緒にしといてって……」

    ほむら「あの場にあなたがいたら余計にややこしくなるわ」

    マミ「そ、そんなこと……!」

    ほむら「あの場面だとあなたは説教をするでしょうね。でも、あの状態になった人間には逆効果なのよ」

    マミ「そんな……」

    ほむら「ジャイロはジャイロで何するかわからないし」

    マミ「…………」

    まどか「マミさんは昨日何してたんですか?」

    マミ「そのツェペリさんからかっこいいイタリア語を教えてもらってたわ」

    まどか「…………」

    438 = 368 :



    まどか「あの、杏子ちゃんからは何も聞いてなかったんですか?」

    マミ「えぇ……いきなり佐倉さんが家に来て、これから世話になるって……」

    マミ「私としては嬉しいんだけど……何で言ってくれなかったのかしら」

    杏子「聞かれなかったからな」

    マミ「だって落ち込んでたから……」

    ほむら「杏子が説明すること前提で連絡しなかったのだけど」

    マミ「だとしても一応連絡をくれるのが筋ってもんじゃない?」

    ほむら「ごめんなさい」

    マミ「……あれ?」

    439 = 368 :



    杏子「どうかしたか? マミ」

    マミ「…………」

    マミ「な、何で学校に佐倉さんがいるのよォッ!?」

    杏子「不法侵入したんだよ」

    マミ「あ、あなたねぇ……!」

    マミ「志筑さんがこの場にいなくてよかったわ……個人的に面識ないけど」

    ほむら「大丈夫よ。マミ。私が呼んだようなものだからその辺考慮してる」

    マミ「……いやいや、全く大丈夫じゃないわよ」

    まどか「杏子ちゃんにも、話しておくことがあるみたいです」

    マミ「美樹さんのこと?」

    440 = 368 :



    ほむら「ええ。今、取りあえずにね」

    ほむら「三日後。みんな予定をあけておいてちょうだい」

    杏子「……三日後? 何で?」

    ほむら「とにかくよ。三日後、美樹さやか対策会議を開く」

    まどか「対策会議?」

    ほむら「行方不明になったからといってがむしゃらに探しても埒があかないわ」

    ほむら「だから全員で集まって、その時までに私が方針を決めるから……三日後に捕獲作戦を実行する」

    まどか「ほ、捕獲?!」

    マミ「方針を決めるって……暁美さんが独断で?」

    ほむら「当てがあるのよ」

    441 = 368 :



    杏子「手札が見えないとあっちゃ信用するしかないね」

    ほむら「マミはどうせアレでしょうし杏子も遊ぶのが仕事みたいなもんだし、構わないわよね?」

    マミ「勝手にそういうキャラにしないでくれる? 一緒に遊びに行くとかはしないけどクラスメートとしてのお付き合いくらいあるんだからねっ」

    杏子「魔女狩りが本職だからな」

    まどか「……ねぇ、会議ってどれくらい時間がかかるかな?」

    ほむら「そうね……。確か……あ、いえ、結構遅くなると思うわ。だからまどかは家庭のこともあるし……」

    杏子(確か?)

    まどか「わ、わたしだけ途中退席なんてやだよ!」

    まどか「わたしもさやかちゃんを迎えに行きたいよぉ!」

    マミ「でも……ご家族が心配するわ?」

    まどか「う~……」

    442 = 368 :



    杏子「なぁ。その集会はどこでやる予定なんだ?」

    ほむら「私の家」

    杏子「じゃあ泊まればいいんじゃね?」

    ほむら「えっ」

    まどか「!」

    まどか「ほむらちゃんのお家にお泊まり……それはとっても嬉しいなって」ニッコリ

    ほむら「えーっと……」

    まどか「……ダメかな?」

    ほむら「三日後の明日は学校あるけど……まどかがいいなら、私は別に。構わないわ」

    443 = 368 :



    まどか「ウェヒヒッ、よろしくお願いしますっ!」

    ほむら「え、えぇ……」

    杏子「案外元気だな。まどか」

    マミ「少しでも空気を和ませようとしているのよ」

    マミ「さて、方針も決まったことだし、今日の放課後は私の家に集まっ――」

    ほむら「私はジャイロに会う予定があるの」

    まどか「ごめんなさい。わたしもちょっと……」

    マミ「…………」

    杏子「しょうがねーな~~~あたしが付き合ってやるよ」

    マミ「あなた同居人じゃない。でも、一人じゃないって嬉しい」

    444 = 368 :



    放課後

    ――ファストフード店


    仁美「ずっと前から私……上条くんのこと、お慕いしておりました……」


    仁美「それでも、抜け駆けや横取りをするようなことは、したくありません」

    「……えーっと」





    まどか「それをわたしに言われても……」

    仁美「…………そうなんです」

    まどか「え?」

    仁美「鹿目さんに言っても仕方ないって私もわかっているんです……」

    445 = 368 :



    仁美「美樹さんに言わなくちゃいけないのに……」

    まどか「さやかちゃんに……」

    仁美「当の美樹さんがいなくなってしまって……!」

    仁美「美樹さんは上条くんをそう思っているはずなんです……私にはわかるんですから……」

    まどか「…………仁美ちゃん」

    まどか「……わたしでよければ、全部はき出して」

    まどか「仁美ちゃんが抱えてる悩みを、誰かに聞いてほしかったんでしょ?」

    まどか「だから、わたしを誘ってくれたんでしょ?」

    仁美「……ごめんなさい。気を使わせちゃって」

    446 = 368 :


    まどか「気にしないでっ。ため込んでるもの全部はき出してスッキリして欲しいなって」

    仁美「鹿目さん……! ありがとうございます……」

    まどか「ウェヒヒッ、さやかちゃんが上条くんの事好きなのかなってのは前々から思ってたけど……」

    まどか「まさか仁美ちゃんも好きだったなんて……オッたまげたよぉ」

    仁美「秘密にしてくださいね」

    まどか「うん」

    まどか「それで……さやかちゃんに、宣戦布告っていうのかな? 言いたかったんだね」

    仁美「……はい」

    447 = 368 :



    仁美「ずっとずっと、美樹さんに言いたかった。私はあなたの恋敵だと、宣言したかった」

    仁美「しようと思った矢先に! 連絡がつかなくなるだなんて……」

    仁美「美樹さんがいないのに、私の思いを伝えるのは……卑怯なんです」

    仁美「もし私が美樹さんより先にこの思いを伝えたら、結果がどうあろうとも、私が後悔する……」

    仁美「……美樹さんが戻ってこないと、私の恋が前へ進めない」

    仁美「……私、美樹さんの事情も知らないで、実際いなくなってしまったというのに、自分のことばっかり……」

    仁美「今、美樹さんのことを心配している上条くんに、私という人間は、どうよく思われようかと考えて……」

    仁美「あろうことか、あろうことか美樹さんがいなくてチャンスと思っている私も少なからず存在している……」

    448 = 368 :



    仁美「自己嫌悪しているんです……」

    まどか「そうなんだ……」

    仁美「……こんな私の愚痴に、どこまで付き合っていただけるのですか?」

    まどか「無論、仁美ちゃんがスッキリするまでだよ。わたし達、親友だもん」

    仁美「鹿目さん……!」

    まどか(さやかちゃん……どこに行っちゃったんだろう)

    まどか(そんな……親にも仁美ちゃんにも上条くんにもクラスのみんなにも。わたし達にまで心配させてまで……どこで何をしているんだろう)


    ――――
    ――



    449 = 368 :



    ――廃墟


    ジャイロ「…………」グータラ

    「よぉ、こんなとこにいんのか、あんた」

    ジャイロ「ん……? ああ、おまえは……」

    杏子「あーっと……ジャイアンだっけ?」

    ジャイロ「ジャイロだ。ジャイロ・ツェペリ。で、杏子。どうしてここに?」

    杏子「いや、そのぉ……まぁ何だ。ほむらからこの辺にいるだろうって言われてさ」

    ジャイロ「まぁ、橋の下とか路地裏とか、色々移り移りしてる暮らしているぜ」

    杏子「あたしもそうだったよ」


    450 = 368 :



    杏子「食うかい?」

    ジャイロ「ん?」

    杏子「ま、あんたにも迷惑かけたからな……迷惑料ってわけじゃあないが」

    ジャイロ「Dioが全て悪いんだ。気にするな。それにほむらと仲間になったってことは、俺ともそういうわけだ」

    杏子「……んー、まぁ、その辺はケジメってことで」

    ジャイロ「そうか」

    ジャイロ「そうそう。おまえさんのことはほむらから聞いているぜ」

    杏子「……なんて?」

    ジャイロ「浮浪少女」

    杏子「間違っちゃあいないが……今はマミの家に世話なってるんだぜ。帰る家があるっていいな」

    ジャイロ「ああ、帰る場所があるってのはいいもんだ」


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