元スレさやか「奇跡も魔法も……」ほむら「私のは技術よ」
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601 = 531 :
杏子「……どうだった?」
さやか「成功したって……」
杏子「そうか! よかったじゃあねぇか」
さやか「うぅ……」
杏子「おい、どうした」
さやか「よかったぁ……グスッ、治って……ずっと、ずっと不安だったよぉ……エグッ」
杏子「そうか……」
杏子「よかったな。これでおまえの願いは報われたんだな」
さやか「……うん」
杏子「もう後悔はないか?」
602 = 531 :
杏子「後はあの坊やは、リハビリってやつをするんだな。支えてやれるな?」
さやか「……うん」
杏子「ならよし」
さやか「…………」
さやか(恭介……。もし、あたしが最初から恭介の腕を治していたとすれば……)
さやか(あの時は、後悔しないって、後悔なんかあるわけないと胸を張って言える自信はあった)
さやか(なのに……魔女になるかもしれないと知ってから、ソウルジェムと魂の関係を知ってから……)
さやか(後悔するか、しないか。今、何とも言えないんだよね……。何か、わかんなくなってきた)
603 = 531 :
杏子「……さやか?」
さやか「え? 何?」
杏子「何ボケっとしてるんだよ」
さやか「いや、何でもないよ……」
杏子「……これからは悩みがあったらあたしが、みんなが一緒に背負ってやるからな。遠慮なく言えよ」
さやか「ん。ありがと……」
さやか(あたしは馬鹿だから、難しいことを考えると頭がこんがらがる)
さやか(何にしても、恭介の腕が治ったという結果がある。それでいいんだ。今は)
604 = 531 :
ジャイロ「…………」
ジャイロ(……感傷だ)
ジャイロ(俺が彼の腕を治したのは、完全に感傷によるものだ。……感傷。父上を思い出すな)
ジャイロ(ウェカピポの妹の手術に失敗してしまった時……父上は「もし成功していたらもっと悲劇的な事が起こっただろう」と言った)
ジャイロ(……気がかりではある。俺の行動は正しい判断だったのか。本当に治してよかったのだろうか、と)
ジャイロ(俺というイレギュラーな存在が……招かれざる存在の俺が手術したことで、「そういうこと」が起きないだろうか、と)
ジャイロ(こればっかりは……未来のことだからわからねえ。そう考えるのは無責任かな……?)
ジャイロ(だが……さやかが本来叶えたかった願いは、Dioのせいで叶えられなかった。だからさやかの奇跡が今、報われたという真実がある)
ジャイロ(俺は納得している)
605 = 531 :
――翌日
昼休み 屋上
杏子「それでストロベリー&チョコチップスのアイスがさー」
杏子「あ、それで思い出したんだけど、今朝大変だっただろあんたら」
まどか「唐突すぎるよ杏子ちゃん!」
ほむら「さやかが上条恭介の腕に奇跡が起きたみたいなこと言ってやかましかったわ」
杏子「違う違う、そっちじゃなくて、家出家出」
まどか「あー……もう大変だったよ。みんなからどうしてたんだーって聞かれまくってて」
マミ「それはもうお昼に私達で集まることができないくらいに大変みたいよ」
ほむら「今頃生徒指導室で色々言われてるところじゃないかしら」
杏子「ふ~ん……」
606 = 531 :
杏子「家出した生徒のフォローってどんななんだ? 覗いてっていい?」
マミ「ダメよ……あなた、さも当然のように侵入してるけど校舎内はまずいわよ」
杏子「案外バレないよ? ここのジャージでも拝借すれば校舎内も確実に歩けるんだけどなぁ」
杏子「まぁ、マミがそう言うならやめとくよ」
マミ「そういや美樹さんは家出中どこで寝泊まりしてたのかしら」
杏子「聞いた話ではあたしと同じようにホームレス生活をして、病院の屋上とかで寝てたそうだぜ」
ほむら「えぇ。流石にそれは色々まずいから表向きはその間は口裏を合わせて私の家に世話になっていたということにするのよ」
まどか「えっ……それって大丈夫なの?」
ほむら「放課後、私も呼び出されるかもしれないから今日は一緒に帰れないわ」
まどか「えぇー……」
607 = 531 :
マミ「私の家ってことにしてもよかったのに……」
ほむら「マミは受験生だからね」
杏子「……なんだかんだでほむらもアレだよな。お人好しっていうか」
ほむら「さやかの人としての尊厳を配慮した結果よ」
ほむら「私も本当は嫌よ。よりによってさやかと同居していたことになるんだから……」
まどか「さやかちゃん、調子に乗って変なこと言わなきゃいいんだけど……」
杏子「バイセクシャルキャラになっちまうかもな」
マミ「暁美さんと美樹さんが数日間同棲してたという第三のニュースがおこるかもね」
ほむら「…………」
マミ「ごめんなさい」
マミ「その時は私達がフォローするわ」
ほむら「……えぇ、そうね」
608 = 531 :
――放課後
さやか「いやー、今日は色々と大変でしたわー!」
まどか「も~、調子いいんだから」
さやか「ちょっと方向性が違うけど、ほむらが来た初日もこんな感じだったよね」
まどか「うん。ちょっとどころじゃないよね」
さやか「ほむら~、ありがとねぇ~ん」
ほむら「チッ」
さやか「舌打ちされた!?」
ほむら「家出中のあなたを匿って黙っていた私が生徒指導室に呼び出されたことはわかっているわよね」
さやか「う、はい……反省してます」
609 = 531 :
ほむら「まぁ、調子に乗って『同棲してました』とかほざかなかっただけいいとするわ」
さやか「それはもう、さやかちゃんはそういう分別できますから! あははー!」
ほむら「何故舌打ちしたかわかるわよね?」
さやか「……はい。ほんと、ご迷惑をおかけして申し訳なく存じてございましてであります」
ほむら「それじゃあ、私は先生に尋問されてきます」
さやか「ごめんなさいでした……」
まどか「さやかちゃん……」
ほむら「それじゃ」
まどか「うん、バイバイ。ほむらちゃん」
ほむら「えぇ、さよなら。まどか」
さやか「頑張れよー」
ほむら「チッ」
さやか「舌打ちされた!?」
610 = 531 :
さやか「ほむらには悪いことしちゃったなぁ……」
まどか「さやかちゃんには自業自得なところ、あるんだよ」
さやか「わかってますってば……」
まどか「それじゃあ、わたしマミさんのとこ行ってくるね」
さやか「うん」
さやか「…………」
さやか「お待たせ。仁美」
仁美「…………美樹さん」
611 = 531 :
――ファストフード店
仁美「ずっとあなたに言いたかった」
仁美「美樹さんがいなくなってから、なおさら言いたかった」
仁美「ずっと前から私……」
仁美「上条くんのこと、お慕いしておりました」
仁美「側にいて、支えてあげたい。そう考えております」
仁美「それでも、抜け駆けや横取りをするようなことは、したくありません」
仁美「宣言します。私は、あなたの恋敵になります」
さやか(……仁美から呼び出された。内容は、恭介への思いを伝える宣戦布告)
さやか(仁美が恭介のことが好きで、あたしをライバル視している。……正直驚きだった)
さやか(ほむらが、いや、杏子から聞かされた。前の時間軸の話)
612 = 531 :
さやか(別の時間軸では……あたしは魔法少女になって恭介の腕を治して……)
さやか(魔法少女の体になったことで、仁美が恭介が好きであることを告白して……)
さやか(何かまぁ色々あって、あたしは自棄になり、魔女になったらしい)
さやか(ほむらは、そんなあたしも救おうとしてくれた)
さやか(きっと、多くの時間軸でほむらは影ながらあたしの恋を応援してくれていたのだろう)
さやか(いや、恋の応援をしたんじゃあない。あたしが絶望しないように頑張ってくれたんだ)
さやか(……そして、あたしはそれを何度も無駄にしてしまったのだろう)
さやか(挙げ句に魔女のあたしは杏子と共倒れするとか色々やっちゃって……)
さやか(あたしはこの時間軸でも自棄になった。前の時間軸のあたしと動機が違うからどっちの方が自棄ってるかはわからないけど……)
さやか(きっとそんな感じに、何度も暴走してほむらの願いを邪魔したんだ)
さやか(もう、あたしは……これ以上ほむらに迷惑かけたくない)
613 = 531 :
さやか「そうか……仁美、恭介が……そうなんだね……うん」
仁美「美樹さんも、好きなのでしょう?」
さやか「…………」
さやか「仁美……」
さやか(仁美は、どの時間軸でも恭介が好きだったのだろうか)
さやか(仁美は今まで何度恭介と付き合ったのだろう)
さやか(その一方で、あたしは何度恭介に怯えていたのだろう)
さやか(あたしは何回絶望して何回後悔して何回失恋したのだろう)
さやか(後悔なんてあるわけない。あたしは、何度同じ事を言ったんだろう)
さやか「……あたし」
614 = 531 :
さやか「あたしは……」
さやか(これは……ほむらに迷惑をかけたくないから言うんじゃあない)
さやか(紛うこと無きあたしの本心だ。多くの時間軸でしまい込んでいたであろう気持ちだ)
さやか(こんな体じゃキスしてなんて言えない……それでもいい)
さやか(あたしは馬鹿だからあれこれ考えるのは後回しだ)
さやか(あたしはただ、後悔しない生き方をして、絶望して魔女にならない、素直なあたしになる)
さやか(今、言わなければ後悔する。そして、ここで宣言しなければ、あたしは仁美に負ける)
さやか「あたしは……恭介が好きだ」
さやか(あたしはあたしの心に決着をつける義務がある!)
615 = 531 :
仁美「…………」
さやか「仁美、あんたがいつから、そしてどれだけ恭介が好きかなんてのは興味ない」
さやか「それはあたしの方が前から好きだとかそんなことを考えたくないからだ」
さやか「親友からライバルになるのに心苦しいとか思わない」
さやか「後悔なんかしたくない。もう退きたくない。受けて立つよ」
さやか「……それで、恋敵って具体的にどうするの?」
仁美「…………」
仁美「正直……」
さやか「ん?」
仁美「正直なところ、私は美樹さんを見くびっていました」
仁美「上条くんへの気持ちがあやふやで、あたふたしながら私に一方的に言われ、取り残される」
仁美「そういう展開を予想しておりましたわ。失礼ながら」
さやか「へぇー……言ってくれるね」
616 = 531 :
さやか「あたしはあたしがいない間にずっと仁美が恭介にいたと思うと、そういう気持ちになる」
仁美(今、私のこの気持ちを伝えたら……有名バイオリン奏者の腕が治る見込みができたから告白するみたいで癪で仕方ない)
さやか(恭介にとってみればあたしがジャイロ……医者を紹介した存在。恩着せがましい感じで告白なんざ言いにくいったらありゃしない)
さやか/仁美((しかし、その差が、躊躇が、自分自身を食いつぶすことになる))
さやか「…………」
仁美「……ルールを考えておきました」
さやか「ルール……」
仁美「全てが落ち着くまでは……お互い、上条くんに絶対告白してはいけない。抜け駆けはしない。『全てが落ち着く日まで』は形式上停戦です」
仁美「これが『ルール』ですわ」
仁美「その『全てが落ち着く日』は美樹さんが指定してください。その言葉はどう解釈しても構いません」
仁美「もし、このルールを破って先に告白をすれば……私はあなたをその程度の人間として、絶交いたします」
さやか「……その逆も然りだよ。仁美」
仁美「ええ……。上等ですわ」
617 = 531 :
>>616の冒頭の一文を抜かしちゃいました……修正。
仁美「今の私は、上条くんの腕が治りつつあることを知らなかったのに、敗北感を覚えています」
さやか「あたしはあたしがいない間にずっと仁美が恭介にいたと思うと、そういう気持ちになる」
仁美(今、私のこの気持ちを伝えたら……有名バイオリン奏者の腕が治る見込みができたから告白するみたいで癪で仕方ない)
さやか(恭介にとってみればあたしがジャイロ……医者を紹介した存在。恩着せがましい感じで告白なんざ言いにくいったらありゃしない)
さやか/仁美((しかし、その差が、躊躇が、自分自身を食いつぶすことになる))
さやか「…………」
仁美「……ルールを考えておきました」
さやか「ルール……」
仁美「全てが落ち着くまでは……お互い、上条くんに絶対告白してはいけない。抜け駆けはしない。『全てが落ち着く日まで』は形式上停戦です」
仁美「これが『ルール』ですわ」
仁美「その『全てが落ち着く日』は美樹さんが指定してください。その言葉はどう解釈しても構いません」
仁美「もし、このルールを破って先に告白をすれば……私はあなたをその程度の人間として、絶交いたします」
さやか「……その逆も然りだよ。仁美」
仁美「ええ……。上等ですわ」
618 = 531 :
さやか「……その指定した日までに、恭介から告白されたら?」
さやか「あるいは……考えたくはないことだけど、恭介があたし達以外に惚れたら?」
仁美「前者は受け入れてもいいでしょう。相思相愛ということになりますから祝福します」
仁美「後者は考えてません」
さやか「はは……そん時は振り向かせようと努力すればいいさ。あるいは、縁がなかったということで吹っ切っちゃえ」
さやか(今までの時間軸ではどうなのか聞いておく必要があるな。恭介はバイオリン以外にベタ惚れになることがあるのか)
仁美「……ですね」
さやか「……さて、全てが落ち着く日か。……ふむ」
さやか(全てが落ち着く日……。……そうだな。今はワルプルギスの夜のことも考えたい)
さやか(ワルプルギスが現れるまでは、恭介は学校に通えるようにもなるんじゃないかな)
さやか(ワルプルギス。恭介の退院。全てが落ち着いた時と言うのは……こんなものかな)
619 = 531 :
さやか「今から一ヶ月後。全てが落ち着く日はそれがいい」
仁美「わかりましたわ」
さやか「それまでの間、恭介のリハビリの手伝いは交代交代で行おう」
仁美「えぇ。そうしましょう」
動かなくなった少年の腕を無償で治した現代のブラックジャックが見滝原にいるらしい。
中学生が闇医者の話をしていたのを看護師がたまたま聞いていたのだが、実際その次の日に「奇跡的に」治ったのだという。
噂には尾ひれが付く。実際は無償ではないし現代人でもない。
――見滝原の七不思議。その⑥
620 = 531 :
――
――――
ほむら「――と、まぁ先生に色々言われたけれど、さやか失踪事件は完全に解決したわ」
ジャイロ「大変だなぁ」
ほむら「全くよ。何を言われたか覚えれないけども」
ジャイロ「だがまぁ、これでやれることはやりつくしたんじゃあないか?」
ほむら「そうね。まどかも未契約だし、あとはワルプルギスを越えるだけだわ」
ジャイロ「そうか」
ほむら「この日のためにどれだけ苦労してきたことか……」
ほむら「みんなあなたのおかげよ。ありがとう。今度こそ、私はこの回転の力で奴を越えてみせるわ」
ジャイロ「…………」
621 = 531 :
ジャイロ「なあ……お互い秘密を言い合おうぜ」
ほむら「え? どうしたのいきなり?」
ジャイロ「人に隠してること、ひとつくらい……あるだろ? 今……この場所で言い合おう」
ほむら「……」
ジャイロ「俺から言うぞ。俺がこの世界にやってきて最初に仕入れた物をおまえに教える」
ジャイロ「それは服でも食い物でも車軸油でもなくてよォ……」
ジャイロ「俺が最初に用意したのは『クマちゃん』だ。クマのぬいぐるみ……。一人の時はいつもそばにクマちゃんを置いている」
ジャイロ「俺の親友は何とも思わなかったようだがおまえ達には馬鹿にされるだろうから言わなかった」
ジャイロ「さあ……オマエの番だぜ!」
ほむら「…………」
622 = 531 :
ほむら「……おったまげたわ! 今年最大のヒットよ。『クマちゃん』!?」
ほむら「おもちゃ屋さんとかに置いてあるやつ? 可愛いの? 超ブッタマゲNo1! まどかも好きなやつ?」
ほむら「それ本当なの? ジャイロ。いい歳してどうかしてるわ」
ジャイロ「おいッ! 早くしろ! てめーの番だろッ!」
ジャイロ「まどか達……特にさやかなんかにはそのことを口にするな! おめーこそそーゆー趣味あるんじゃないか?」
ほむら「可愛いのは好きだけど……女の子だし別に問題ないでしょ……そうね」
ほむら「……言うけども……でも……言ったら引くと思うわ」
ジャイロ「引くから秘密なんだろ! さっさと言えッ!」
ほむら「……実は……なんて言うか……コホン。エヘン」
623 = 531 :
ほむら「……『パッド』ってわかる? その……もりあげるやつ。AAからCになる」
ほむら「何て言うか……実は、かなり前だけどいくつかの時間軸中……それをずっと着けて生活してたことあるのよ」
ほむら「ある時、片方ズレ落ちた。そしてみんなの前で片方だけCカップ状態になった」
ほむら「それ以来、二度と着けないと誓った」
ほむら「以上ッ! 誰にも言わないでよ! あっ! やっぱり引いてるッ! だから引くって言ったのよ///」
ジャイロ「それを人にしゃべったら俺がヤバイくらいに引かれるわ。通報されても仕方がないレベル」
ほむら「女子の秘密を聞こうだなんて行為がそもそもデリカシーがないのよ。全く」
ジャイロ「……」
ほむら「……」
ジャイロ「絶対に言うなよ」
ほむら「あなたこそ」
624 = 531 :
ほむら「…………」
ほむら(後は、ワルプルギスの夜が訪れ、戦うだけだ)
ほむら(マミは生きている。そして信頼を得た)
ほむら(杏子はその時ばかりの共闘なんかでなく、完全な仲間となった)
ほむら(さやかは自分の気持ちに素直になり、仁美の宣戦布告を受け入れるだろう)
ほむら(まどかは未契約。そして私には新しい武器がある)
ほむら(さらにジャイロ・ツェペリという強力な味方がいる)
ほむら(今までで一番いい状況じゃないかしら……こんな気持ちでワルプルギスを迎え討つのは初めてだわ)
ほむら(鹿目さん……ついに私、あなたとの約束を果たせそう……)
625 = 573 :
ほむほむwwwwwwww
626 = 531 :
――繁華街 路地裏
「店長! 俺の給料減額ってどういうことスか!」
「……」
男「そ、それも半分も! 納得いかないです! どうしてなんスか!?」
店長「……ショウ。おまえさん……十日ほど入院してただろ?」
店長「その分の損失もあるが……それはまあいいさ。それでバイクで事故ったとかならまだいい」
店長「喧嘩売ったガキに逆上されて怪我して入院した……っておまえの弟分から聞いてんだよ」
男「あ、あいつ……! ち、違います! デタラメだ!」
627 = 531 :
店長「今にして思えばそのガキが最近噂の『青い切り裂き魔』なのかもしれねぇな……」
店長「まぁいいさ。それよりも、その病院で、同じく噂の『赤い幽霊』にビビってたそうじゃないか」
男「ほ、本当に聞いたんスよ! ラップ音!」
店長「真偽はいい」
店長「それよりもおまえさん、お客様を置いて真っ先に逃げたそうじゃあないか……お客様がおまえさんを陥れようと嘘をついてると?」
男「う……」
店長「いいか……この仕事はな……顔も大事だが何より大事なのは『信用』なんだ」
店長「ガキに斬られたのがデマだとしよう」
店長「だとすればおまえさんは同僚に信用されていないことになる。陥れようとされてたことになるからな」
店長「そういう世界だ。そういうのもいるだろう……」
628 = 531 :
店長「で、ガキに怪我させられたというのが本当だとする……」
店長「だったらおまえさんは今、俺に嘘をついたことになるよな。違うって。まぁ、少女にやられるなんざカッコワルイからな……」
男「ぐっ!」
店長「そしてここが一番重要。おまえさんは、青い切り裂き魔。赤い幽霊……その両方にビビったという事実にせよ噂にせよ、汚名があるんだよ」
店長「『そういうキャラ』で生きるのもいいが、おまえさんはオカルトにビビるキャラで信用を得ていない。お客様への信用が地に堕ちた」
男「ぐ、ぬぬ……!」
店長「おまえさんはいまどん底スレスレのマイナスだ。ゼロに戻すためには色々することがある。結果、戻せないこともある……これが現実だ」
男「う、ううぅ……そ、そんな……勘弁してくださいよ……! せ、せめて1/3額カット……半分はヒドイっスよ!」
店長「嫌なら辞めろ。おまえさんの代わりはいくらでもいるのだからな」
629 = 531 :
男「…………く、くそォォ、くそォ……!」
男「俺は……いずれNo1になるはずだった男だ! こ、こんな事が……ッ!」
男「マヌケなクソアマ共のために媚びを売り……」
男「クソみてぇな下積みも乗り超え……新人をいびり潰してこの世界を生き延びてきたのに……ッ!」
男「クソッ! 全てはあのガキのせいだ!」
男「夜道が暗いせいで顔が見えなかったが……」
男「全部あいつが悪い! 俺は被害者だ! あのクソッタレ青い切り裂き魔の被害者だ!」
男「気を使えよ! 同情しろよ! チクショオッ! チクショウッ!」
男「あのブスナースめ……! よくもあのことを抜かしてくれたな……!」
男「これだから女はッ!」
630 = 531 :
「フフフ……」
キィ…
男「!?」
車椅子の男「おまえ……気に入ったぞ……」
男「何だテメェ! 見せモンじゃねぇーぞッ!」
車椅子の男「……どうだ。俺にかわれないか?」
男「買われ……? ふざけんな! 誰がそんな……このホモ野郎!」
車椅子の男「……かわれないか、と言ったが。おまえは『買う』を連想したそうだが……」
車椅子の男「俺が言いたいのは『飼う』だ。車椅子を押すとかして……な」
631 = 531 :
車椅子の男「車椅子に乗ったはいいがどうにも操作に慣れないんだ……」
車椅子の男「雇わせてくれ……そして俺の下僕にならないか?」
車椅子の男「おまえみたいな奴、こんなちんけな世界に押し込めるにはチト勿体ない」
車椅子の男「善悪のブレーキが全くないような人間はなかなかいないからおまえで妥協するって感じなんだが……」
車椅子の男「なぁ……この手首に巻いているこいつを見てくれ」
男「…………」
車椅子の男「この時計、同じようなのをいくつも持ってるから前払いでくれてやってもいい。スイスのブレゲって職人が作った時計だぜ。質に出すなよ」
男「……ッ!」
男「………………」
男「……いくら、くれるんだ? 俺は、あんたのために何をすればいい……?」
車椅子の男「フフフ……」
某店・ホスト・ショウ
この男はある日をさかいに仕事をピタリとやめ……謎の彼方に消える……
『Dio』は知っている!
632 :
ショウさんがこんなことになるなんてwwwwwwwwww
633 = 531 :
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
Dio「お、落ちるッ! ヤバイ!」
Dio「だ、だがッ! 恐竜化ッ!」ズギャンッ
Dio「恐竜の脚力で着地して、衝撃を耐えてや……」
Dio「…………」
Dio「……ダメだ! この高さ……コンクリートのような硬い地面ではその衝撃に耐えられない……!」
Dio「そ、即死する……」
Dio「おのれ……! あの取るに足らぬ小娘の分際で……このDioが……」
Dio「このDioがアァッ!」
Dio「ウオオオアアァァァァァアアァッ!」
634 = 531 :
ゴ ゴゴゴ ゴ ゴゴ ゴ
Dio「…………」
Dio「……くそっ!」
Dio「やはりこれしか防御する『方法』がないとはな……」
Dio「しかし勝利には犠牲はつきものでもあるわけだ」
シュルッ
Dio「恐竜の尻尾……」
ズァッ
Dio「ぐうっ! くッ! ガアァッ!」
Dio「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」
メキベキ ボムギ
Dio「無駄無駄無駄無駄無駄ァァァァッ!」
ドサァッ
Dio「グハァッ! アアァッ!」
635 = 531 :
Dio「ガ……クク……ウ……」
Dio「……ハァ――ハァ――ッ!」
Dio「恐竜化……尻尾を切り落としてクッションにした」
Dio「そ、即死は……免れた……グウッ!」
Dio「だが……グアアッ、クッ、あ、脚が……」
Dio(この両脚はもう使えない……切断も視野に入れる必要があるな)
Dio(くそっ! 命がある分マシか……いや、死んでいるんだがな……)
Dio(しかしこの状態で……ジャイロ・ツェペリと魔法少女共を殺せるか……?)
Dio(…………いや、諦める程のことではない)
Dio(ジョニィ・ジョースターは……両脚が不自由ながら、追っ手に狙われながら、SBRレースの7thステージまで来たんだ)
Dio(奴は気にくわないがその点は尊敬できる。奴に幾多の障害を乗り超えられたのなら……俺にもできる……!)
Dio(這い上がってやる……! そしてとことん上から支配してやるぞ愚民共!)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
636 = 531 :
Dio(あの時……最後の最後!)
Dio(尻尾を切り落としてクッションにしていなければ……どうなっていたか!)
Dio(俺は死力を尽くしあれから社会の中に逃れた……)
Dio(車椅子を奪い、金目の物を奪い……奪って、今まで以上に飢えて生きてきた。そしてそれで準備を整えた!)
Dio(この脚を癒し、命を取り戻すには「契約」が必要だ……)
Dio(恐竜共の偵察によれば……ターゲットは鹿目まどか。こいつはまだ契約をしていない)
Dio(舞台はワルプルギスの夜。丁度いい下僕は手に入ったぞ)
Dio(待っていろ。ジャイロ・ツェペリ。暁美ほむら。巴マミ。佐倉杏子。美樹さやか……)
Dio(このDio、必ず試練を克服してみせる! おまえらはこのDioの「供え物」となるのだ!)
637 = 573 :
しぶといな、さすがDioしぶとい
638 = 531 :
今回はこの辺で。
次回。ワルプルギス戦。多分あと200レスくらいで終わるんじゃないかなーという予想。
急用とかで投稿できなくなるなんてことがない限りは日曜日に完結でしょうか
642 = 573 :
『乙した』なら、使ってもいいッ!
643 :
やっぱDioはDIOより良い感じだと思うわ ディオに近いからかな?
644 :
やっぱりクマちゃんはあったのねぇ~
乙!
645 :
乙
ショウさんワロス
法的には一度に下げれるのは10%までだよ
と言おうと思ったが辞めたし今更かww
646 :
>>645
そもそも、月給制じゃなく歩合制のような気がするが。
ひょっとしたら基本+歩合か。
休んだ分+客離れ+ペナルティで大幅減額は必然だろう。
647 :
>>645
ブラックなクラブなんじゃね?
そんなことより>>1乙、マジ乙
648 :
――ワルプルギスの夜当日
避難所
まどか「……」ソワソワ
ほむら「まどか」
まどか「あ、ほむらちゃんっ」
ほむら「周りに誰もいないわね? それで、話って何?」
まどか「呼び出しちゃってごめんね。こんな時に……」
ほむら「大丈夫よ。みんなは先に待ってるけど、まだ現れるのに時間はあるわ」
まどか「そっか。ほんとにごめんね」
ほむら「いいのよ」
649 = 648 :
まどか「……あのね」
ほむら「何?」
まどか「えっと……その」
まどか「これ!」スッ
ほむら「……? これは?」
まどか「ほむらちゃん。これ……お守り!」
ほむら「お守り? ……四つ葉のクローバーね」
まどか「四つ葉のクローバーの押し花の栞」
まどか「四つ葉のクローバーは幸運の象徴。それで、わたしの大切な物。ほむらちゃんにあげる」
まどか「わたしには、みんなの力になれないから……せめて、ほむらちゃんに持っててほしいの」
650 = 648 :
ほむら「まどか……」
まどか「そしてこの言葉をほむらちゃんに捧げるよ!」キュポッ
ほむら「サインペン?」
まどか「LUCK!(幸運を)」キュッ
まどか「そしてわたし達の未来のために」キュポッ
ほむら「赤ペン?」
まどか「PLUCK!(勇気をッ!)」キュッ
まどか「どう?」
ほむら「どう? と言われても……」
ほむら「えっと……うん」
ほむら「ありがとう。まどか」
まどか「ウェヒヒ、どういたしまして」
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