元スレさやか「奇跡も魔法も……」ほむら「私のは技術よ」
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301 = 186 :
QB「何故マミを襲うんだい!?」ヒョイ
Dio「何だ、こいつは……」
QB「僕が見えるようだね。僕はキュゥべえ。もう一度言うけど、マミを苛めないでおくれよ」
Dio「スタンドではないようだが、こんな生き物見たことがない」
クン、クン
Dio「しかし、感じるぜ……『臭い』を」
マミ(テレパシー)『キュ、キュウべえ……こいつは……き、危険よ……逃げて……』
QB(このままだと……マミが危険だ。逃げるってのはできないよマミ。今、マミを失うのは大きな損失だ……)
QB(それにしても、何者なんだこの男。ジャイロ・ツェペリ同様に僕が見えるようだが……手刀でドアのチェーンを切るあたり、人間と言えるのだろうか?)
302 = 243 :
前の紅茶の手土産はこう繋がるのか……スゲー
303 = 186 :
Dio「……それと、マミと言うらしいな。おまえから感じたのだ。『ジャイロ・ツェペリの残り香』を。だから居場所を突き止めた」
マミ「ッ!」
Dio「その反応……偶々通りすがったとかでなく、やはり、どこかでジャイロ・ツェペリと出会っているな……」
QB「……ジャイロ・ツェペリ。確かに会ったけれど……彼の知り合いなのかい?」
Dio「全て教えてもらうぞ。ジャイロのことと、この世界のこと……そしておまえらのこともな」
Dio「さぁ、殺されたくなくば、全てを話せ。ひとまず離してやるが、妙な真似はしないことだ。無駄なことだからな。邪魔するぜ」
マミ「うぅッ……!」
304 = 186 :
Dio「ああ……君もレディだものなぁ。野蛮な男を家に入れるのは不安だろうな。仕方ない」
Dio「安心しろ。『そーゆー事』はしない。神に誓う。そもそもできないからな」
Dio「不能だし湧かないんだ……いや、生前は違うぞ? 今は『こういう身』だからな……」
QB(生前? 何を言っているのかわからない……。何にしても話すだけで済むとは思えないけど、今は従うしかない)
QB「……わかったよ。何から話せばいい?」
Dio「そうだな。まずはマミが何者かを問おうか。スタンド使いか?」
~~~~~~~~~~~~~
305 = 186 :
Dio「俺は……マミとキュゥべえとかいう生き物からジャイロ、おまえの残り香を恐竜に記憶させて、捜させた」
Dio「そしてジャイロと行動しているほむらの存在を知り……おまえの推測通り、俺は、ひょっこり現れた杏子を脅して利用した」
Dio「おまえ達と『ある人物』をここに誘き寄せるよう仕向けたのだ」
ジャイロ「ある人物……?」
Dio「疑問に思ったはずだ。俺がこんな消毒液臭いところを戦いの場所に選んだのをな……」
ほむら「もう目的なんてもうどうでもいいわ。さっさと倒して恐竜化を解除してやるわ。時を止め――」
Dio「まあ、待てよ。この時代の日本人はどうしてこうもみんなせっかちなんだ? 少し考えてみろよ」
Dio「俺が……いや、何故俺達『だけ』でおまえら二人を相手してるのか、疑問に思わなかったのか?」
ジャイロ「……何が言いたい」
Dio「その気になればこんな病室を埋め尽くすくらいの恐竜を支配下にできるのに……だぜ?」
ほむら「…………ッ!」
306 = 186 :
「ギャァ――――スッ!」
ほむら「ッ!?」
ジャイロ「ッ!?」
Dio「この時を待っていたッ!」
ドガァッ!
恐竜「ギャァ―――!!」
ほむら「恐竜がドアを突き破って……まさかッ! 既にッ!」
Dio「既に病院にいる職員患者見舞客……全員とまではいかないが少し『恐竜化』しておいた」
307 = 186 :
ジャイロ「な、何だと……ッ!?」
ほむら「……なッ?!」
ほむら「そ、そんなッ!」
Dio「ある人物のおでましだぜ」
ジャイロ「何でそこの恐竜は『さやか』をくわえてるんだッ!」
恐竜「ウウゥ――」
さやか「う……く……」
QB「た、助けてっ」ジタバタ
ほむら「キュゥべえも……」
308 = 186 :
Dio「美樹さやかとキュゥべえを連れてこさせた。まどかとマミとほむらに共通してついている臭い……」
Dio「つまり、さやかの臭いを恐竜に探させていた。だから今まで時間がかかった」
Dio「全く……ここに来いと呼び出したのに勝手にうろちょろしやがって……。キュゥべえには常に恐竜の監視があるから逃げられない」
Dio「色々あってたくさんの怪我人が出たが、まあ仕方あるまい。多分死んだ奴はいないだろ」
QB「わけがわからないよ……。あの中には魔法少女の素質を将来持ちうる子もいたかもしれないのに……」
恐竜「ブハァ――……!」
ほむら「み、美樹さやかを離し――」チャッ
Dio「そしてジャイロにほむら。おまえらは躊躇した。俺らの接近を許してしまった」
ほむら「――ハッ!」バッ
ジャイロ「ッ!」
309 = 186 :
杏竜「ギャァ――!」
ガリッ!
ほむら「あぐッ!? う、うああああぁぁぁッ!?」
杏竜「ガウゥゥゥ――!」
ギリギリギリッ……
ジャイロ「ほむらァッ!」ブォンッ!
ブチィッ!
ほむら「あぐッ!」
QB「ほむらの腕が……」
Dio「よし、いいぞ。腕はいただいた」ガシィッ
シルシルシルシルシルシル
310 = 186 :
Dio「ジャイロ……時を止める寸前、腕をくっつけたな。だからその腕を狙う。盾が時間停止の鍵だ。そうでないなら既に何度も時を止めているはずだからな。そして――」
ドゴォッ
Dio「俺がほむらに追い打ちをすると思って俺の動きを予測して投げたな。俺は追い打ちしない。だから避けるまでもなかった」
ジャイロ「クッ……!」
ほむら「うああ……う、グクク……!」ガクッ
恐竜「ガァーッ」ポポイッ
QB「わぁ」
さやか「ク……」
杏竜「ガゥーッ」カプッ
Dio「さやかとキュゥべえをパスさせた。杏子、ナイスキャッチ。そして退け。……おまえはもう少しこっちに来い」
恐竜「グハァー……」ノシノシ
311 = 186 :
ジャイロ「もういっぱ――」
Dio「もう一球よこすと見せかけて……ジャイロ」
Dio「おまえは俺が躱すことを読んでいた。二球目の投擲に意識を向けさせた所に……」
Dio「実はわざと外して投げた一球目が死角から飛んでくるというわけか」
ジャイロ「ッ!」
グアッ
Dio「さやかの救出が最優先。狙うのは俺でも杏子でもない。杏子じゃない方の恐竜だった。俺はそれを読んでほむらの腕を狙い……」
ギャンッ
恐竜「ガウ」
Dio「さっさとさやかとキュゥべえをパスさせて、看護師を鉄球の軌道上に移動させた」
杏竜「ギャウ」
312 = 186 :
ドゴッ
ギャルギャルギャルギャルギャル
恐竜「ギャアァ――スッ!」
恐竜「」
スッ
看護師「……」
ドサァッ!
ほむら「元に戻った……? 気を失うと元にもどるのね……」
ジャイロ「くそっ……!」
Dio「狙い通りの標的に当てさせてやったぞ。倒れた時に鉄球を下敷きにしてしまったがな……」
Dio「流石だとしか言えない。今の一瞬で俺の行動をここまで先読みするだなんてな。ただ俺はさらに一手読んでいたが」
ジャイロ「テメェ……!」
ほむら(応急処置程度に繋げてたとは言え……左腕を二度も……やれやれ、厄日だわ)
313 = 186 :
Dio「よし、降ろせ」
杏竜「グルルルルゥ――」
ボトッ
さやか「あうっ……グ……」
Dio「いいぞ。よくやった。牙が刺さって結構傷だらけだな。災難だなさやか。……聞こえていないようだが、まあいい」
Dio「そして腕は……盾が邪魔して余計に肉を食いちぎるという芸当はできなかったか」
Dio「む……? 手の甲に宝石が埋め込まれているな……」
QB「ほ、ほむらのソウルジェム……」
Dio「これがほむらのソウルジェムか? ほほう、いいことを聞いた。まさに一石二鳥ってやつだ」
314 = 186 :
Dio「ところでおい、貴様。ほむらの能力は兵器を自在に出すものだと聞いていたが、さっき時を止めたぞ。どういうことだ。聞いてないぞ」
ジャイロ(聞いて……ということはあいつ、Dioに情報を流しやがったな)
QB「時を……? 彼女に時を止める能力があるなんて知らなかった……。彼女は本当にイレギュラーな存在だ……」
Dio「何故知らないんだ」
QB「知らないものは知らないよ。僕だって常にほむらを見ているわけじゃあないんだ」
ほむら(確かにこの時間軸、一度もキュゥべえの前では時を止めていない……)
ほむら(知られていたところであんまり関係はなさそうだけど、丁度良かった)
Dio「イレギュラーな存在だと? そう思っただなんてことも聞いてないぜ」
QB「聞かれてないからね」
Dio「……チッ、使えんやつめ。まあいいだろう」
315 = 186 :
ほむら(出血しすぎたからか……なんだかボーっとしてきた……)クラッ
ジャイロ「大丈夫か、ほむら……。血がヤバイんじゃあねーのか」
ほむら「大丈夫……よ。一個しかない鉄球で……Dioを倒すことだけを考えて」
ジャイロ「……ああ。わかった」
ほむら「それより……マズイわ。ソウルジェムが奪われた……!」
ジャイロ「そうだな……スゲーヤバイな」
Dio「さて……なぜここにさやかを連れてきたか、わかるか? 人質なんてチャチなモンじゃあないぜ――躊躇させるための餌でもない」
QB「僕もということは……まさか」
Dio「ご明察だ。誉めてやる」
さやか「…………」
316 = 186 :
Dio「……さて、こいつ曰く――さやかとまどかには魔法少女の素質があり……未契約だ、という」
ほむら「ッ!」
Dio「契約することでどんな願いも叶えられる……。だからさやかとまどかを戦いの舞台に呼ばせたのだ」
Dio「魔法少女とかいうふざけた能力に頼るのは癪だが背に腹は変えられないからな。いいかよく聞けよ美樹さやか」
さやか「ぇ……?」
Dio「契約の力で願え! 『ディエゴ・ブランドーを生き返らせろ』とッ!」
さやか「っ!」
Dio「そのためにこの小汚い小動物も連れてきた」
QB「……」
317 = 186 :
QB(さやかの素質では、犬や猫はまだしも、人間なのかどうかさえいまいちわからない知的生物の蘇生は無理だ……。Dioはそのことに気が付いていない)
QB(素質によって叶えられる願いの限界があることは聞かれてないからね。聞かれてないことは言ってない)
ジャイロ「生き返る……だと?」
Dio「元の世界に生きて戻れるというのならそれがベスト。この世界で暮らすはめになるのであればそれもいいだろう」
Dio「案外こういう世界にこそ俺の求めた平穏な暮らしがあるかもしれないからな……」
Dio「どちらにしても、俺はとにかく死んだという汚名を返上したい」
さやか「あ、あんたが……この怪物達を……ッ!」
Dio「さあ願え。もう一度言おう。俺の名はディエゴ・ブランドー。さぁ、俺を生き返らせてくれるよう願え」
さやか「だ、誰がそんな願いをッ!」
Dio「嫌か? ……仕方ない。踏め」
318 = 186 :
杏竜「グルゥゥ」
ズシィィィ
さやか「ギャァッ?! お、重いッ! 重いッ!」
ジャイロ「さやかッ!」
ほむら「クッ……!」
さやか(な、何があったの!? まどかは気絶してるし、転校生はこの角度からだとよく見えないけど、何か腕を負傷したっぽいし……)
QB「まずいよさやか。このままだと全員……」
さやか「キュ、キュゥべえ……! いてててっ!」ギリギリ
Dio「ほれ、おまえが願えば全員助かるぞ」
319 = 186 :
さやか「え、えぐいことしてくれる……ッ! いちちちっ!」
さやか(そ……そんな願いを……叶えてなるもんかぁ……! きょ、きょうす――)
杏竜「ギャウ」グッ
さやか「クヘェ?!」
Dio「早くしろ。今はまだ加減してやってるが、もたもたしてると杏子の爪が筋肉を裂くかもしれん」
さやか「あだだだだッ! いだだだだだッ!」
Dio「いいか、俺はほむらをいつでも殺せるんだぞ」
さやか「ッ?!」
ほむら「うぅッ……ひ、酷い……!」
ほむら(美樹さやかは生身なのに……容赦がないッ!)
ジャイロ「……!」
スッ
320 = 186 :
ほむら「やめて! ジャイロ!」
ジャイロ「ッ! ほ、ほむら……」
ほむら「今、鉄球を投げてはいけない……」
ほむら「ジャイロ! 感傷に流されてはいけない! 抑えて……!」
ジャイロ「だがおまえのソウルジェムが……!」
ほむら「それでもよッ!」
ほむら(必ず……必ずチャンスは訪れる!)
ほむら(Dioを……奴を出し抜く方法があるはず!)
321 = 186 :
Dio「そうだぞジャイロ。下手に攻撃をすればさやかをさらに苦しめることになるし……」
Dio「鉄球がうっかりソウルジェムにあたるかもしれないぜ?」
ジャイロ「テメェ……!」
Dio「おいさやか。苦しいか? 魔法少女になったら助けてやるよ。さあ、契約しろ!」
杏竜「ガルル……」
さやか「う、ぐぐクゥ~~~……ッ!」
Dio「……そこの気絶してるガキも素質がある。もし俺が生き返ったとして……」
Dio「この世界に留まるようであったら、そいつの契約の力も俺のために使ってもらう」
さやか「ま、まど……」
Dio「そして杏子にもまだ利用価値はあるな。そして紫色と黄色のソウルジェム……こいつをどうするべきか」
322 = 186 :
Dio「ほむら。そいつを返してもらおうか。何なら……おまえと、『それ』の持ち主の命までは取らないでやらんこともないぜ」
ほむら(やはり言うと思った。巴マミのソウルジェムを渡せと……!)
QB(契約するならするでいいけど……僕でもわかる。魔法少女が殺される。まどかもきっと殺される)
QB(魔女になってこそのエネルギー……無駄になってしまう。そういう損失は避けたい……僕には契約しか出来ないけど……)
さやか「てんこぉ……せぇ……」
ジャイロ「…………」
ほむら「…………くッ!」ギリッ
Dio「ほら、死にたくはないだろ? 痛いのは嫌だろ? 願えよ」
さやか「やぁ……だぁ……! やだぁ……!」
Dio「病院中で待機している恐竜、一気に招集してやろうか? せいぜい五、六匹だがな」
323 = 186 :
ほむら「……!」ギリギリ
ツ…
Dio「フッ、おいおい……下唇を強く噛みすぎて血が出てるぞ?」
Dio「女の子がそんな顔をするなよ。悩みすぎじゃあないか? 別に死ねと言ってるわけじゃあないのに」
ほむら「…………」
ほむら「……わかったわ」
ジャイロ「なッ……!」
Dio「フフフ……」ニヤリ
ほむら「美樹さやかを離して……。渡すわよ。巴マミのソウルジェムを……」
QB(ほむら……いけない。そんなことをすれば……君は手札を失うことになる!)
324 = 186 :
ほむら「……ジャイロ」チラッ
ジャイロ「…………!」
ジャイロ「ほむら……おまえ……」
ほむら「渡すしかないじゃない……ッ!」ポイッ
ほむら「さあ! 巴マミのソウルジェムは返した! 美樹さやかを離して!」
さやか(て、転校生……)
Dio「よし。良い判断だ」パシッ
さやか(転校生が……あたしを助けようと……でも、あれはマミさんのソウルジェム……? ど、どうしてここに?)
さやか(どうして転校生が持ってるの? マミさんもいるの? いるとしても……どこに?)
Dio「もうおまえらは用済みだな」
325 = 263 :
QBは一応味方側か
326 = 186 :
ほむら「ッ!」
さやか「な!?」
Dio「最早ほむらは死んだも同然! まずはジャイロを殺すッ!」
杏竜「KISYAAAAAAAAAAA!」
さやか「そ、そんな! 約束が違うッ!」
ジャイロ「…………」
ほむら「…………」
ほむら「……恐竜の動体視力を持ってしても」
Dio「!?」
Dio「ま、待て、杏子。まだ行くな! ……今、何て言った」
杏竜「ガゥ……」
ジャイロ「人間の心がある以上、それには抗えねぇわな……」
Dio「おまえら……何を言っている」
ほむら「私はずっと待っていたわ。あなたが巴マミのソウルジェムを渡せと言うのを……」
327 :
マミさんのジェムに回転乗せてワンチャン
328 = 186 :
ほむら「あなたは私に油断した。当然よね。武器を奪った『つもり』だったものね」
ほむら「だから何の疑問もなく、私の行動を受け入れた」
ほむら「取るに足らない小娘が……使えるとは思わないでしょうからね」
ド ド ド ド ドド ド ド
Dio「何を言っているんだ……?」
ジャイロ「テメーは油断したんだ。無敵の動体視力も必殺技も、油断しちゃあ意味がないんだよ」
Dio「貴様らッ! 何を言っているんだと聞いているッ!」
ほむら「レッスン3……『筋肉に悟られるな』……気付かなかったわね。『私』の回転に」
ほむら「よかったわジャイロ……。あなたが空気の読める人で……。もし私にも『それ』ができるって知られていたら警戒されていた」
ジャイロ「まあな。おまえの『それ』は隠し球ってやつだぜ」
Dio「ま、まさか……暁美ほむらッ!」
ほむら「私が既に回転させたわ。巴マミの『ソウルジェム』を!」
さやか「!」
329 = 186 :
Dio「――ハッ!」
シルシルシルシルシルシルシルシルシル
Dio「なっ! 何ィ~~ッ!? 俺の手でッ! 回転しているのは……! す、既にッ!」
ほむら「狩りをする本物の恐竜なら、獲物に対して決して油断はしないでしょうね」
ジャイロ「訂正が一つ……レッスン3は『回転の力を信じろ』だぜ。今おまえが言ったのはレッスン2だ」
ほむら「……やれやれだわ」
ほむら「あ、そうだ。キュゥべえ。会話の流れから、あなたが私の能力をDioにリークしていたと見受けられるわ。回転の事をよく秘密にできたわね」
QB「……僕は暁美ほむらの魔法少女としての能力を言わされたんだ。時間停止は本当に知らなかったし、回転は魔法少女の能力ではないからね」
ジャイロ「ニョホホ、融通が利かないというか都合がいいというか……まあ、助かったな」
Dio「ふ、ふざけやがっ……!」
ガクッ
330 = 263 :
マミ「目ーがーまーわーるー!」
331 = 186 :
Dio「ぐっ!?」
ドサァッ
Dio「ち、力が入らないッ……?! こ、このDioが……奴の回転をくらって、た、立つことができないだとッ……!」
ほむら「回転が腕を伝って肩、体幹、腰……脚に……。動かそうとしても動かない」
Dio「グッ! クッ……! た、立てないッ! 脚が……思うように……!」
シルシルシルシルシル
Dio(くそ! ソウルジェム! 握りつぶ……)
ピクピクッ
Dio(ダメだ! 体全体が! 自由に動かないっ! く……! 回、転……!)
ポトッ コツンッ
ほむら「よし、ソウルジェムと私の腕を落とした」
Dio(くそッ……! ソウルジェム……! ブチ壊しておくべきだった……ッ!)
Dio(……いや、それだと杏子をここまで利用できなかったか。……クソッ! どっちみち……ッ!)
332 = 186 :
ほむら「後は任せるわ」
ジャイロ「ほむら。俺はおまえの行動に敬意を表すぜ……。後は俺に任せな」
ジャイロ「……さて、Dio」
シルシルシルシルシルシル
Dio「グ……クッ……ううっ……!」
ジャイロ「『生前』は苦労したぜ……テメーに鉄球を当てるっつーのはよォ――。だが、今ならどうだ?」
ジャイロ「差詰め、トラバサミに足をとられた灰色熊といったところか」
Dio「うおおおおお! 俺を守れ! 杏――」
ジャイロ「オラァッ!」
ドッゴォッ
Dio「URYッ!」
ドガシャァ――z__ ンッ
さやか「ま、窓がッ……ここ、何階だったっけ……」
333 = 186 :
ゴオォォォォ――z___
Dio「お、落ちるッ! ヤバイ!」
Dio「だ、だがッ! 恐竜化ッ!」ズギャンッ
Dio「恐竜の脚力で着地して、衝撃を耐えてや……」
Dio「…………」
Dio「……ダメだ! この高さ……コンクリートのような硬い地面ではその衝撃に耐えられない……!」
Dio「そ、即死する……」
Dio「おのれ……! あの取るに足らぬ小娘の分際で……このDioが……」
Dio「このDioがアァッ!」
Dio「ウオオオアアァァァァァアアァッ!」
――――
――
334 = 186 :
杏竜「――」
スッ
杏子「……」
ほむら「佐倉杏子の恐竜化が解除されたということは……Dioは倒した……ようね」
ほむら「奴の最大の不運は……ジャイロが私と出会ったことかしら……それとも窓際で余裕ぶっこいてたことかしら……」
ジャイロ「そもそも上に立つことにこだわるからか、舞台を高い階にしたことだな」
ほむら「くっ……!」ガクッ
ほむら「ハァ――ハァ――……」
ジャイロ「おい、大丈夫か?」
ほむら「ちょっと……血を失いすぎた……わ。でも、心配には及ばない……」
杏子「」
ドサッ
さやか「ぐへっ!」
335 = 186 :
ほむら「佐倉杏子は……気を失ってるようね。それで、美樹さやかの上に落下」
さやか「ゲホッ、ゲホッ……」ズリズリ
さやか「踏んだり蹴ったりだよもう……でも、なんかよくわかんないけど助かった……!」
ジャイロ「大丈夫か? 手を貸すか?」
さやか「あ、ありがと……ジャイロ。でも大丈夫だよ……」スクッ
さやか「いたたた……まったく、全身がジンジンするよ。酷いことをするもんだ」
さやか「助けてくれてありがと。転こ……せ……」
さやか「ヒィッ!?」ビクッ
ほむら「ん?」
336 = 186 :
さやか「て、て、てんこっ……せっ……! ……う、腕ェェェェェッ!?」ガクガク
ほむら「えぇ……そうよ。色々あって二回も腕を切り落とされたのよ」
ほむら「気付かなかったの? 私も踏んだり蹴ったりよ……ふぅ。大分落ち着いた」
ほむら「拾ってくれるのかしら? だったらまどかが体育の時間に具合の悪くなった友達に濡れタオルと冷たいドリンクを持ってきてくれるかのようにね」
さやか(て、転校生の……腕。断面が角度的に見えないだけラッキーだ。……腕を持ってくる? ……あたしぃ? 助けてもらっといて何だけど……)チラッ
さやか「や、やだよぉ……」
ほむら「そうよね。私もソウルジェムをそう簡単に他人に触られたくない」
ジャイロ「それにしても冷静だな。うっおとしくなくていいぜ」
さやか「まぁ……魔女の結界とかで修羅場くぐり抜けてるつもりだからね。イチチチ……痛いのは嫌だけどさ」
337 = 186 :
パァッ
ほむら「腕を治してっと……。美樹さやか。あなたの擦り傷も治してあげる」
さやか「あんがと……」
さや「……ね、ねぇ、それで……あの……こんな時だけど」
ほむら「ん?」
さやか「…………」
ほむら「何よ」
~~~~~~~~~~~~
まどか「さやかちゃん……ほむらちゃんに謝りたいんだよね?」
さやか「あたし、ちょっと誤解してたから……」
まどか「それなら、また今度謝ればいいよ。ね?」
~~~~~~~~~~~~
さやか「ご……」
さやか「…………ご」
338 = 186 :
さやか「……ご覧の有様なまどかは本当に大丈夫なの?」
まどか「」
ほむら「えぇ。私の腕が一回目に吹っ飛んだ時からずっと気を失ったままよ」
ジャイロ「そりゃぁ目の前で友達の腕が吹っ飛んで血を吹き出したらそうなるだろう」
さやか「うはぁ……」
さやか(……言えなかった。何故かはよくわからないけど、言えなかった)
ジャイロ「そろそろ起こすか?」
ほむら「無理に起こすこともないわ。腕もまだ完治ってわけでもないし」
ほむら「それにこの病院内、そこかしこに恐竜に襲われた人でいっぱいでしょ?」
さやか「……うん。たくさん、噛みつかれたり引っ掻かれたりしてた」
ジャイロ「そうか……」
339 = 186 :
ほむら「きっとまどかはショックを受ける。SAN値だだ下がり。だからまだ起こすべき時ではないわ」ファサ
さやか「うん……たくさん……血が……みんな、恐竜に襲われて……」
ジャイロ「……やれやれだぜ」
さやか「それで……恭介も……標的であるあたしの側に……いた、ばっかりに……」ギリッ
ほむら「…………そう」
ほむら「でも……美樹さやか。自分を責めてはいけないわ。まずは巴マミにソウルジェムを返して、その後は治癒魔法で何とかする」
ジャイロ「俺も治療はできるぜ」
ほむら「現代の医師免許がない人の縫合はノーセンキュー。三人の魔法で何とかするわ」
さやか「三人……あぁ、そうか。そこのも、魔法少女なんだってね……」
340 = 186 :
さやか「杏子って言ったっけか……。こいつが、一枚噛んでたってわけだ」
杏子「」
ほむら「利用されていただけよ。色々事情があったから」
さやか「……許されることじゃあないよ」
ジャイロ「かもしれねーな。だが、攻めてやるな」
さやか「…………」
さやか「……あたしの目の前で、恐竜が、たくさんの人を襲ったんだよ」
さやか「エグいのを見せつけられたし、転校生は腕を食いちぎられるし……。たくさんの人がケガして……」
ほむら「美樹さやか……?」
341 = 186 :
さやか「キュゥべえ」
QB「何かな」
さやか「あたし、契約する」
ジャイロ(…………)
ほむら「……やめなさい」
さやか「無理だよ……。まどかは無事だけど、あんたも医者もナースも近所の悪ガキも、みんな大怪我して、放ってられない」
ほむら「美樹さやか。既に巴マミ、佐倉杏子も知っていると思うから、言わせてもらうわ」
ほむら「ソウルジェムは、魔法少女の魂そのもの。契約をすると、あなたの魂はソウルジェムに変換されてしまうわ」
QB「!」
さやか「え……?」
342 = 186 :
ほむら「早い話が、ソウルジェムが破壊、あるいは100mくらい距離を離すと、肉体は死体となる。そういう体になる」
QB「ほむら……君は、どうしてそのことを……」
さやか「……そ、そんな! そうなの……? キュゥべえ……」
QB「……訂正するような所はないね」
さやか「う、嘘だよ……! そんなのってないよ……!」
ジャイロ「残念だが事実だ。だからマミはどこかで死体になっている」
さやか「…………」
ジャイロ「だから、やめておけ」
さやか「…………」
ほむら「それだけじゃないわ。ソウルジェ――」
さやか「治癒魔法って完璧なの?」
ほむら「えっ……」
343 = 263 :
大事な人の命握られて、それを守るために敵になってしまった事を許せないのか
まあ事情を知らんならしゃーないけど
344 = 186 :
さやか「……後遺症とか残らない? 記憶は? トラウマになるよね?」
さやか「それに……今はかろうじて生きているけど、血がたくさん流れて、もう時間が残っていないって人もいるんだよ?」
さやか「一旦マミさんの家に行って、マミさんを生き返らせて戻ってきて……その間にも……」
さやか「それに、恭介だって……相当ヤバイと思う」
ほむら「……」
さやか「あたしが、今、契約すれば……誰も死なないで済む。誰も、苦しまなくて済む……」
ほむら「そんな……あなたって人は……!」
ジャイロ「……さやかは、受け入れられるのか? 戦いの運命に。覚悟はできているのか?」
さやか「…………ん」
ジャイロ「そうか。なら仕方ねぇな。なぁほむら」
ほむら「でも……」
345 = 186 :
ジャイロ「抜き差しならない状況っていうのもあるんだぜ」
ほむら「…………」
ほむら(もし……契約させずに、結果として誰かが亡くなったとしたら……)
ほむら(仮に、上条恭介が亡くなったら……)
ほむら(上条恭介や大多数の人を見捨てさせたら……美樹さやかは……)
ほむら(……そして、そんな美樹さやかを救おうとまどかは……)
ほむら(だからと言って今、契約させても結果的には……しかし契約しなかったら……)
さやか「…………」
ほむら(……全員を救う、か)
ほむら「…………わかったわ。美樹さやか。どうしてもってんなら、止めはしない」
さやか「……ありがと」
346 = 186 :
さやか「キュゥべえ。あたしの願いは、Dioのせいで傷つけられた人たちを元に戻してほしい。怪我とか記憶とか失った血とか……。今すぐに」
QB「それが君の願いだね」
さやか「うん」
さやか「……ねぇ、ジャイロ。病院に残って上条恭介……あたしの幼なじみなんだけど、伝えて欲しいんだ」
さやか「あたしが『ゴメン』って言ってたって。それと、理由は聞かないでくれって……」
ジャイロ「さやか……おまえというやつは……」
ほむら「…………」
ほむら(決して言い訳するつもりじゃあないけど……仕方がない、わね)
QB「君の願いはエントロピーを――」
347 = 186 :
――マミ宅
マミ「……ハッ!」
マミ「…………え? わ、私……」
まどか「マミさん!」
QB「マミ、大丈夫かい?」
さやか「おはようございます。夜だけど」
ほむら「…………」
マミ「……え? キュゥべえ。それに鹿目さんに美樹さん。それに……暁美さんまで……」
マミ「そ、そうだ! 佐倉さんはッ!? Dioはッ!? それに私は……」
ほむら「落ち着きなさい。Dioは私達が倒して、あなたのソウルジェムを取り返した。佐倉杏子も無事よ」
マミ「そ、そう……! よかった……」
348 = 186 :
ほむら「ジャイロはまだ病院に残っているわ」
マミ「病院?」
ほむら「あなたは死んでたからわからないでしょうね。まあとにかく何とかなったのよ」
マミ「佐倉さんは?」
ほむら「わからない。気が付いたらいなくなっていたわ」
マミ「そう……」
さやか「マミさん……」
マミ「鹿目さんと美樹さん……あなた達に話さなくてはいけないことが……」
まどか「ソウルジェムって、魔法少女の魂なんですよね……」
マミ「!」
さやか「転校生から聞きました」
マミ「……そう、なのね」
349 = 186 :
QB「ほむらは本当にどうして知ってたんだい? 話してないのに。イレギュラーだねほんと」
ほむら「…………」
マミ「キュゥべぇ……どうしてそのことを黙ってたの?」
QB「聞かれてないからね。その体は嫌かい? 便利だろう?」
マミ「……キュゥべえ。どっかに行ってくれないかしら」
QB「君達はいつもそうだね。本当にわけがわからないよ」
QB「それじゃ」ヒョイ
マミ「…………」
マミ「……何にしても、私、Dioにソウルジェムを奪われて、気が付いたら死んでいた」
マミ「かなりショックなはずなのに……何故か今、不思議と冷静なのよね。ソウルジェムは魂。これが魔法少女の真実」
350 = 186 :
マミ「それで……私、美樹さんと鹿目さんをを魔法少女に誘ったけど、こんな事情があったと知った以上、魔法少女になるのは……」
まどか「…………」
さやか「あたしは……」
マミ「……美樹さん?」
さやか「あたしは既に、なりました」サッ
マミ「なッ!? ……そ、それは、ソウルジェム……!」
ほむら「美樹さやかの願いはDioのせいで惨状となった状態を元に戻すこと、よ」
マミ「そんな……」
マミ「その事実を知った上で、契約したの?」
さやか「……あたし、契約しないわけにはいかなかったんです」
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