元スレさやか「奇跡も魔法も……」ほむら「私のは技術よ」
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51 = 36 :
ほむら「ジャイロ……あなたって人は……」
ジャイロ「最悪次の時間軸とやらに学んだ技術と経験を持ち越せば何かの役に立つだろう。ま、次だなんて考えるのは野暮なことだが」
ほむら「わかったわ……頑張ってみる」
ジャイロ「ニョホホ」
ジャイロ(俺はマルコ少年。ほむらは鹿目まどか。俺とほむらには「救いたい」という、似た心がある)
ジャイロ(俺はリタイアしちまったから……それができなかった。決して、それだからというワケではないが――)
ジャイロ(こいつの、その心を叶えてやりたい。そういう気持ちは多からず少なからず存在する)
52 = 36 :
ジャイロ「そんじゃ、早速なんか教えてやるかな」
ほむら「ええ。お願い」
ジャイロ「じゃあ、まずは……そうだな。これを俺から奪ってみろ」
スッ
ほむら「ビー玉……?」
ジャイロ「拾ったものだ」
ほむら「これを奪えばいいのね?」
ジャイロ「ああ、さぁ取ってみな。この握りこ――」
カチッ
53 = 36 :
ジャイロ「――ぶしの中から……ん?」
ほむら「取ったわ」
ジャイロ「なッ!? 無いっ!?」
バァ――ン
ジャイロ「テ、テメーッ! 今何をしたッ!」
ほむら「言われた通りに取ったのだけど……」
ジャイロ「おまえやっぱスタンド使いだろッ!」
ほむら「スタンドじゃないわよ。私は魔法少女よ」
ジャイロ「……あぁ、そうかよ」
ジャイロ(一瞬で消えた……。子どもの頃、俺は父上に「握った鉄球を取り上げてみろ」と言われて気付かぬ内に鉄球を手の中に入れられたことがあるが……これは違う)
ジャイロ(リンゴォの時と同じような……まるで時間を操っているかのような……)
ジャイロ(まあ敵じゃねーから別にどうってこともないか)
54 = 36 :
ジャイロ「とにかく……だ。どうやって取ったかいいとして、そのビー玉で練習してな」
ほむら「れ、練習? ちょっと待って。練習くらいいくらでもしてやるわよ」
ほむら「でもまず基礎を教えてもらわないと。練習もなにもないわ」
ジャイロ「いいからその『球』で練習してろってんだ。見て学べ、だぜ」
ほむら「見て学べ? わかったわよ。何にしても、もう一度見せてよ。その回転を」
ジャイロ「既にお披露目してるぜ」
ほむら「え?」
ジャイロ「手を開いてみな」
ほむら「……」スッ
シルシルシルシルシル
ほむら「なっ!?」
55 = 36 :
ほむら「び、ビー玉が回転してる……い……いつの間に……なんで気付かなかったのかしら……」
ジャイロ「いいか……。例えば腕をこうやって強く掴もうとすると……『筋肉』はこの力をふりほどこうと理解して反応してくる」
ジャイロ「肉体が本能的に身を守ろうとするのは筋肉に気づかれるからだ。それが生物の体だ………」
ジャイロ「鉄球の回転はそれを悟らせない! 皮膚までだ。だからおまえの筋肉は回転に気付かない」
ジャイロ「レッスン2……『筋肉には覚られるな』だぜ。皮膚と筋肉を支配しろ」
ほむら「……わかったわ。……やってみる」
ジャイロ「よし。じゃあ、今日はもう解散だ。次はどこで会える?」
ほむら「そうね……。時計と方位磁石とこの街の地図をあげるわ。それで……」
ガサッ キュッ
ほむら「明日は今書いた赤丸のところにいてちょうだい」
ほむら「出歩くときはせめてその帽子とマントは外してちょうだい。目立つから」
ほむら「それで時間は、そうね――」
56 = 36 :
ほむら「――と、いうわけで、よろしく」
ジャイロ「ああ。……時間遡行者は大変なんだな。色々指定しやがって」
ほむら「ええ。大変よ。まぁ未来の世界を散歩でもしていくといいわ」
ほむら「……ところで、ジャイロ。異世界人のあなたはどこで寝泊まりするの?」
ジャイロ「ん? その辺はまあ、テキトーにだな」
ほむら「一人暮らしの女の子の家にお邪魔しようだなんてやらしーこと考えないでよ」
ジャイロ「ねーよ。ちなみに死んだ身だからか、『そーゆーの』は一切『湧か』ないんだよ」
ジャイロ「回転の防御技術に皮膚を硬くするものがあるが、『そっち』のは……」
ほむら「…………」
ジャイロ「俺なりにオブラートに包んだ表現だったんだが、お気に召さなかったようだな」
ジャイロ「思春期の少女は扱いに困るぜ。とにかく、今夜はここでグータラしてるぜ」
ほむら「……えっと、まあ……そうね。取りあえず授業料ということでこの時代のお金も餞別するわ」
ジャイロ「お、気前いいな。ありがとよ。3キュー、4ever」
57 = 36 :
ジャイロ「よし、じゃあ礼にギャグを教えてやる」
ほむら「は?」
ジャイロ「これを自己紹介と時にすればホームラン間違いなしよ!」
ほむら「私そういうキャラじゃないんだけど……」
ジャイロ「じゃあそのまどかにだけやればいい」
ほむら「だからそういうキャラじゃないってば」
ジャイロ「守れれば嫌われようがどうでもいいとか言って、本当仲良くしたいんだろ?」
ほむら「……いや、それとギャグは関係ないでしょう」
58 = 36 :
ジャイロ「仲良くならなきゃいけねーんだよ。俺との契約だからな」
ほむら「……まぁ、仲良くしたいけども」
ジャイロ「よし。それじゃあ教えるぜ。なに、簡単なことさ」
ジャイロ「今イチパクリっぽいんではあるんだがよォ~……こうやって構えてだな……」
ジャイロ「ハッピーうれピーよろピくねーーー!」
ほむら「…………」
ジャイロ「おまえにはキャラ的に今のモーション……ハードル高そうだな」
ほむら「キャラ関係なしに十分高いわよ……」
ジャイロ「適当にピース突き出すとかウィンクするとかしとけ。ガハハニョホ」
ほむら「…………何か頭痛くなってきた」
59 = 36 :
~~~~~~~~~~~~~~~~
――保健室
ほむら(ジャイロからビー玉を渡されて、ずっとビー玉を弾いてみたり転がしてみたりしてみたけど……)
ほむら(う~ん……回転、か……)マジマジ
ほむら(イメージはあるのよねぇ……。木の葉がバレエダンサーみたいにクルクル舞い降りるような……)
ビシッ
ほむら「ん?」
グルグルグルグルグル
ほむら「おっ、おぉっ!? おっと、っとっと!」
グルグルグルッ
ほむら「ま、回った……!? お、おあぉっ」
シルシルシル……コツンッ…カラカラカラ…
ほむら「落としちゃった」
60 = 36 :
ほむら「……でも、回ったわね」
ほむら「回ったわよね……今……。こう回っちゃうの? で、できた……」
ほむら「とにかく……やっと一段階ってとこね……」
ほむら「……ふふ」
ほむら「やったっ♪」グッ
ほむら「これは順調だわ」
ほむら「ビー玉……どこに落ちたのかしら?」
ほむら「えーっと? あれ? どこ……? ベッドの下かし……」
61 = 36 :
まどか「…………」ジー
ほむら「あ……」
まどか「…………」
ほむら「鹿目まどか……」
まどか「…………」
ほむら「…………こ、これは、あれよ。水晶玉が、こう……宙に浮いてるように見えるっていうアレ、あるでしょ? あれの……練習、よ……ええ、うん」
まどか「そ、そう……なん、だ……。……はい、ビー玉」スッ
ほむら「ありがとう……」
まどか「お、おあぉっ!」
ほむら「!?」
ほむら「……だ、誰にも言わないでよ///」
まどか(かわいい)
まどか「……んー、鹿目まどかじゃなくてまどかって呼ぶなら秘密にするよ?」
ほむら「わ、わかったわよ……まどか」
まどか「やったっ♪」グッ
ほむら「…………」
まどか「ウェヒヒッ」
62 = 36 :
――廃墟
QB「なかなか鹿目まどかに接触する良い機会がないなぁ」
QB「それはそうと、今日はここに魔女が現れる」
QB「先回りだよ。キュップイプーイ」
QB「ん……?」
QB「なんだ……?」
QB「こ、これは一体……?」
QB「昨日までは……こんなものは無かったはずだ……」
QB「な、何が起こったんだ……?」
63 = 36 :
ゴゴ ゴ ゴ ゴ
QB「コンクリートの壁や床……いたるとこにある半球型の『穴』は……」
QB「えぐり取った跡? あるいは削り取った?」
QB「どれも完全な球形だ……」
QB「どうやったんだ? 歪んだ部分が全然ない……どれも『完璧な球』の跡」
QB「魔女の影響か……魔法少女の力か……」
QB「……ん?」
ガリガリガリガリガリ…
QB「な……何の音だろう……?」
64 = 36 :
ガリガリガリガリ
ほむら「……っと。どう、ジャイロ。よく回るようになったでしょう」
ジャイロ「ビー玉でコツをとらえたようだから鉄球を実際に回転させてみたが……飲み込みが早すぎるんじゃあねーか?」
ほむら「そうかしら?」
ジャイロ「そこら中に穴ぼこ開けちまったが……この短期間でこれはマジに上出来だぜ」
ほむら「あなたにとっては教えるのは二度目なのでしょ? なら、教え方がいいのよ」
ジャイロ「嬉しいこと言ってくれるねェー。ニョホホ」
ジャイロ「だがほどほどにしとけよ。ボコボコにしやがって」
ほむら「どうせ廃墟なんだもの。いつの間にか取り壊される運命よ」
ほむら「私だって必死だからね」
65 = 36 :
ジャイロ「そうか。そんじゃ、次は実際に投擲してみるか」
ほむら「次のステップね」
ほむら「でも、ちょっと待っててくれる? 少し、用がある」
ほむら「今日、ここに奴がくるはず」
ジャイロ「奴……まどかのことか?」
ほむら「私がまどかを奴呼ばわりするワケないでしょう」
ジャイロ「キュゥべえって奴のことか?」
ほむら「そう。本当ならまどかと奴との接触は避けたいのだけれど……」
ほむら「何にせよ、先回りというものよ」
ほむら「どうせこの元工事現場はずっとほったらかしのままだから回転の特訓場にもいいわ」
ジャイロ「ほー……そういう理由があったんだな」
66 = 36 :
QB(な……なんだ、あの二人は……!?)
QB(何をしているんだ!? 何やら丸い球のようなものを回転させている……)
QB(このたくさんの穴はあの二人が……!?)
QB(魔法……? いや、違う。あの男も鉄球のようなものを使っているから……)
QB(それに……インキュベーターだって!? 僕の本当の名を……)
QB(しかも話の流れからして、僕がここに来ることを知っている。そして僕を狙っている)
QB(助けを呼ぼう……)
QB(……あの制服は、マミとまどかが着ている物と同じじゃないか)
QB(丁度良い。ここにまどかを呼ぼう。ここには魔女が来るからマミも呼ぶまでもなくすぐに来てくれる)
QB(話の流れからしてまどかと知り合いらしい。僕と契約をさせたくないのだろうけど、危害は与えないだろう)
67 = 36 :
QB「…………」
QB「まどかは心優しいタイプの人間だ。助けてと言えば、必ず現れる」
QB「いかにも弱っている風を装うことにしよう」
QB「そうすれば、もし彼女がまどかと接触しても、まどかは衰弱しているように見える僕を優先してくれる」
QB「狙われているのは間違いないからね。嘘はついていない。これは生存戦略の一つ、擬態のようなものさ」
QB「……そこで魔女・使い魔……魔法少女の存在を知ってもらって……あわよくば身の危険からその場で契約……なんて」
QB「そうでなくてもここはマミのテリトリー。すぐに来てくれる。仲間を求めているマミと接触させれば……」
QB「ただ気になるのは、僕とまどかを接触させたくないというような感じだったということだ」
QB「……何にしても、呼ぼう」
QB『まどか……助けて……狙われている……助けて……』フラ…フラ…
68 = 36 :
――
――――
まどか「確か……ここから声が……したんだけど……」
まどか「うぅ、ちょっと怖い……かな?」
QB(来た……!)
まどか「う、うわぁっ!? な、何これ!?」
まどか「壁や床、そこら中ドーム状の穴が空いてる……」
まどか「ど、どうやったらこんな風に……削った……のかな」
まどか「ケフンッ!」
まどか「や、やっぱり削ったものなのかな……すごい粉が待ってるよ……」
「ごめんなさい。そこまで配慮してなかった」
QB「?!」
まどか「へ?」
69 = 36 :
ほむら「まどか。ここは危ないわ。今すぐに帰った方がいい」
まどか「ほ、ほむらちゃん!? そ、その格好は……?!」
まどか「それに、どうしてここに……」
ほむら「それより足下に気をつけて。床にもいくつか空けたと思うから。躓いて転んじゃうわよ」
まどか「う、うん……ほむらちゃんは、この穴ぼこ、ほむらちゃんが……?」
ほむら「ええ」
QB(こんなところにまで穴が……そして彼女……)
QB(遠くからだったからよくわからなかったが……)
QB(初めて見る魔法少女だ。少なくとも僕は契約した覚えがない……本当に何者なんだ?)
70 = 36 :
まどか「ど、どうやって……こんな穴ぼこだらけに……」
ほむら「とにかく帰りなさい」
まどか「で、でも……助けて、って助けを呼ぶ声が聞こえて……」
ほむら「それならこいつの嘘よ」
ほむら(まどかと出遭わせないことがベストだった。しかし、それをしてもどうせ出遭う時期がズレるだけ)
ほむら(今回は常に監視することはできない。ならば……敢えて会わせる)
QB「!」
まどか「え? 何? この子……」
まどか「フラフラして弱ってるみたい……! 手当しなくちゃ……!」
QB(ど、どういうことだ……接触させたくなかったんじゃないのか……!?)
71 = 36 :
ほむら「その衰弱風が嘘なのよ。あなたに心配させようと……」
QB「た、助けて……」
まどか「ほ、ほら……助けてって……すごく苦しそう……」
ほむら「だから、それは嘘なのよ。演技なの」
QB「助けて……助けて……」
まどか「え、えーっと……わ、わたしどうすればいいのかな……?」
ほむら「さっきも言ったけど、ここは危ないから帰って! 気になるなら私が介抱しておくわ!」
QB「……助けて」
ほむら「まどか……!」
まどか「うぅ……」
QB「さやか……」
ほむら「……ッ!?」
72 = 36 :
ブシュゥゥァァァァ―――z___ ッ!
ほむら「ウッ!?」
まどか「消化器ッ!?」
さやか「まどかァッ! それを連れて逃げるんだァ――ッ!」
まどか「さやかちゃん?!」
ほむら「し、しまっ……!」
ほむら(くっ……まさかさやかに助けを求めるような機転を……ッ!)
ほむら「…………」
ほむら「……チッ」
ジャイロ「おい、何騒いでんだよ。うるせぇな。……で、今の白いのがキュゥべえって奴か」
ほむら「あら、キュゥべえが見えるの? まあ何となく想像してたけど」
ジャイロ「何だそれ」
73 = 36 :
さやか「はぁ……はぁ……な、何だよ転校生!」
まどか「さやかちゃん、どうしてここに……?」
さやか「まどかがこんなとこに入ってったからついてきたんだよ!」
さやか「そしたら頭の中に助けてって声がして……」
まどか「そ、それって……わたしを同じだ」
さやか「何なんだろう。これ……犬? でも、弱ってるようなのは間違いない」
さやか「あいつ……砲丸みたいなのを持ってた! 確実に危険人物!」
まどか(……ほむらちゃんの方が嘘をついていたのかな)
まどか(わたしはさやかちゃんに言われるがまま逃げちゃったけど……)
74 = 36 :
グニャァ…
さやか「え……?」
まどか「く、空気が……いや、空間が……!?」
――結界
まどか「な、何……?! 何が起きたの!? ここは……!?」
さやか「どういうことだよこれ……? ゆ、夢? 夢なのかな?」
使い魔「――」ユラァ…
まどか「え……?」
さやか「何……こいつ……!」
使い魔「!」
まどか「襲いかかってきた!?」
さやか「うわぁ!」
バギュゥンッ!
75 = 36 :
「大丈夫かしら? 二人とも……」
まどか「あ、あなたは……」
マミ「私は巴マミ。あなた達と同じ学校の三年生よ。安心して。私はあなた達の味方よ」
さやか「そ、それは……銃?」
マミ「キュゥべえ……ぐったりとして……」
マミ「あなた達が助けてくれたのね?」
まどか「え、えーっと……」
さやか「まぁ……はい、キュゥべえ……って言うんだ。コレ……」
マミ「落ち着いてってのも無理な話だと思うけど、私が守ってあげるからね」
使い魔「――」
マミ「さっさと倒してあなた達の親玉を殲滅してあげるわ!」
76 = 36 :
――結界最奥
魔女「――――」
ジャイロ「あれが魔女か? キモイねえ」
ほむら「薔薇園の魔女よ。あぁ見えて割と温厚な性格よ。薔薇園を荒らさない限りはね」
ジャイロ「魔女にも色々いるってわけだ」
ほむら(巴マミとまどか達の接触を確認した……)
ほむら(使い魔は巴マミに任せるとして……これで安心して魔女を倒せる)
ジャイロ「この薔薇、本物か? ……まあいいか」
ジャイロ「丁度いい。投げてみろ」
ほむら「……へ?」
77 = 36 :
ジャイロ「筋肉に覚られるなとは言ったが……投げるには筋肉を使うからな」
ほむら「ちょ、ちょっと……! 今!? 今レッスンするの!?」
ジャイロ「回転を維持したまま投げるにはちとコツがいるぜ。さあ、投げろ」
ほむら「そのコツは!?」
ジャイロ「おまえはこんな短い期間で鉄球を回転できたんだぜ。できるできる」
ほむら「む、無茶よ! まだ何もわからないのに!」
ジャイロ「一ヶ月しかないんだ。百聞は一見にしかず。百見は一辺にしかず。なんてな」
ほむら「何よそれ……」
ジャイロ「つべこべ言わず、レッスン2。『回転の力を信じろ』だ! さあ、実際に投げな!」
ほむら「う、うぅ……」
ジャイロ「温厚な性格ってんならよォ~、時間は取れるぜ。大丈夫だって。感覚で何とかなるぜ! 多分」
ほむら「ま、まずは回転させて……今小さく多分って言った?」
78 = 36 :
ほむら「…………」
シルシルシルシルシル
ジャイロ「いいぞ」
ジャイロ「さ、そのまま投げてみろ。まずは回転を維持することを考えろ」
ほむら「…………」ドキドキ
ジャイロ「手首のスナップだけで投げるわけじゃない。全身にまわるエネルギーが手先に集中するイメージだ」
ほむら「…………」
ザッ
ほむら(ワルプルギスを倒す希望として見出したからには……タイムリミットが一ヶ月と言うのなら!)
ほむら(やれるようにならなければならないっ! 頑張れ私!)
ほむら「え、えぇいっ!」ブンッ
79 = 36 :
ドゴンッ
魔女「――!」
ジャイロ「ダメだ。回転していない」
ほむら「くっ……やっぱり難しい……」
魔女「――」
グアッ
ほむら「来るッ!」
ジャイロ「オラァッ!」
ドギャッ
魔女「!」
ほむえ「うあっ!」
80 = 36 :
ギャルギャルギャルギャルギャルギャル
魔女「キィィィィィィィィィコエェェェェェェェェェェ」
ほむら「ど、どうやったらあんな回転と威力が……」
ジャイロ「俺はどこからあんな声が出てるのかが気になるね。口どこだよ」
ジャイロ「ま、いいか。何にしたって、回転を学んでいく内におまえもいつか理解する時が来るさ」
ほむら「だといいけど……」
ジャイロ「ただ、俺は今ちょっとだけ手を抜いた。トドメはおまえが刺せ」
ほむら「何を考えてるのやら……」
ほむら「……」
ジャイロ「どうした?」
ほむら「いえ、ちょっと思い立った」
ジャイロ「は?」
ほむら「それじゃ、行ってくるわ」
81 = 36 :
ほむら「と、いうことで……トドメを刺してあげるわ。薔薇園の魔女……」
ほむら「……回転の投擲、今度こそ成功させてみせるわ」
シルシルシルシルシルシルシル
ジャイロ「おい! ほむら! 前を見ろ! 前を!」
魔女「――!」
グアァッ
ほむら「喰らえェェェッ!」
ガォンッ!
ほむら「ッ!」
ドコォッ
ほむら「グヘァッ……!」
82 = 36 :
ジャイロ「ほむらァッ!」
ほむら「ガ……ごほっ」
ほむら「流石に……魔女の直撃は喰らうわね……グッ」
ほむら「私の回転の方は……?」
魔女「――――ッ」
ベキャ
魔女「」
ほむら「…………」
ジャイロ「…………」
ジャイロ「おい、ほむら。大丈夫か?」
ほむら「ハァ……ハァ……吐血したわ……」
ほむら「それで……どうだった? 魔女は倒したけど」
83 = 36 :
ジャイロ「……俺の言う回転は一切してねぇのに体を貫通しやがったぞ」
ほむら「思わず肉体強化の魔法でそのままやっちゃったわ……」
ジャイロ「……」
ほむら「テヘッ。ってやつだわ」
ジャイロ「…………怖ぇ女だなおまえさん」
ジャイロ(逆鱗に触れないよう気をつけるか)
ジャイロ「――だが、まあ、投げ方自体は85点ってとこだな。なかなかいいフォームだ」
ほむら「手榴弾で慣れてるから」
ジャイロ「おまえは一体何なんだ」
ほむら「魔法少女だけど」
ほむら「それはそうと……まどか達のとこに行くわよ……ゲフッ」
ジャイロ「おい、大丈夫か?」
84 = 36 :
ジャイロ「おまえにしては冷静じゃあねぇぞ。おまえなら躱せないような攻撃じゃないように見えたが……」
ほむら「敢えてヤツの攻撃を喰らったわ」
ジャイロ「は? ……何を言ってるんだテメー」
ほむら「キュゥべえと同じことをしたのよ」
ほむら「奴が怪我だとか弱った体で接触して同情を惹こうっていうなら……」
ほむら「私はわざと怪我してまどかに心配してもらう」
ほむら「こうすることで魔法少女の危険度をまどかと美樹さやかに突きつけて契約をさらに踏み止まらせる」
ジャイロ「……無茶苦茶なヤツだぜおまえは」
ジャイロ「何を考えているのやら……」
ジャイロ「で、その傷、魔法とかで何とかなるんだよな」
ほむら「できるけど、そういう理由で今はしないわ……」
ほむら「ごめんなさい……肩貸してくれる?」
ジャイロ「ああ」
85 = 36 :
グニャ…
マミ「……あら、結界が……魔女を逃がしてしまったようね……」
さやか「景色が元に戻った……」
まどか「な、なんだったの……?」
マミ「ふぅ……」
マミ「二人とも、怪我はない?」フワッ
さやか「それにしても……か、かっこいい……」
まどか「ありがとうございます……」
マミ「ふふ、大丈夫よ。もう怖くないからね」
86 = 36 :
さやか「あ、あたしは美樹さやかって言います。こっちは鹿目まどか」
さやか「同じ学校だったんですね。ビックリ&ホッと安心ですよ」
マミ「ふふ、そう?」
マミ「……それで、キュゥべえが見えるということは同じ魔法少女の素質があるということね」
まどか「魔法少女……?」
マミ「えぇ。私、魔法少女なの。ふふ、いきなり何を言ってるのって感じ?」
マミ「それにしてもキュゥべえ……大丈夫かしら。使い魔にやられちゃったのかしらね……」
さやか「違います! 転校生がやったんです!」
マミ「転校生?」
マミ「ちょっと詳しく聞かせてもらえるかし――」
コツコツ…
87 = 36 :
まどか「あ! 床に穴があるから気をつけ……」
カクッ
マミ「ら?」
ベチィッ
マミ「グピィ!」
さやか「!?」
まどか「あ~……転んじゃった」
さやか「な、なんだこの穴は!? よく見たらあちこちに……気付かなかったよ……」
マミ「いたたたた……」
88 = 36 :
さやか「あ! 見てまどか!」
まどか「どうしたのさやかちゃん?」
さやか「あの人の見事なソフトマシーンが半球の穴にハミ出んばかりにINしてる!」
まどか「…………」
マミ「なっ……!?」
マミ(は、恥ずかしい……転んだ上に何て醜態を……////)
まどか「…………」
さやか「どうしたのまどか?」
まどか「…………」ペタペタ
まどか「…………」ジー
さやか「そ、そんな切なそうな顔で見ないで……あたしが悪かった……!」
89 = 36 :
ほむら「……何してるの?」
ジャイロ「……」
まどか「あ、ほむらちゃん……」
さやか「転校生……! って……誰? その人」
マミ「転校生……?」
ほむら「二人とも大丈夫? 怪我はない?」
まどか「うん……この人が助けてくれて……」
マミ「…………」
90 :
ほむほむマジ策士
そしてマミさんェ………
91 = 36 :
ほむら「そう……」
まどか「ほ、ほむらちゃん!?」
ほむら「どうしたの?」
まどか「く、口から血が出て……!」
ほむら「あら、本当……吐血してたのね……気付かなかった」
ほむら「でもこれくらいなんてことないわ……」
まどか「でも……こんな怪我をして……」
ほむら「心配してくれるの? ありがとう」
さやか「ほ、ほんとに大丈夫なの……?」
マミ「……結構鈍くさいのかしら?」
ほむら「…………」
92 = 36 :
ほむら「そうね……足下不注意で転んじゃうこともあるわ」
マミ「……そう、それはそれは」
ドド ド ドド ド ド
さやか(な、何だ……このプレッシャーは……!)
まどか「あ……あの……ほ、ほむらちゃん」
ほむら「何かしら」
まどか「あの……この人は……」
ジャイロ「……ん、あぁ、俺か。俺はジャイロ・ツェペリ」
ほむら「私の……まぁ、味方みたいなものよ」
まどか「そ、そうなの……?」
93 = 36 :
ジャイロ「おまえさんが鹿目まどかかい? ほむらから聞いてるぜ。そっちは美樹さやか? で、巴マミと」
まどか「は、はい……」
さやか「…………」
マミ「…………」
さやか(めちゃくちゃ怪し――――ッ!)
さやか(何あの帽子! 何あのマント! 怪し――ッ!)
マミ「……それで? 肩を借りてる転校生さん。あなたは?」
ほむら「あ、ジャイロ。もういいわ。肩、ありがとう」
ほむら「私は暁美ほむら。そこの二人の同級生。あなたの後輩にあたるわ。最近転校してきた」
ほむら「よろピ……こほん、よろしく」
さやか(ピ?)
マミ「……あぁ、そう。……よろしく。……まさか噂の転校生が魔法少女だったなんてね」
まどか「噂?」
さやか「うん……見かけがいいから他学年でも話題になってる」
94 = 36 :
ほむら「あぁ、そうだ、言うまでもなく、魔女は私達が倒したわ」
マミ「そのようね。でも、ここは私のテリトリーなの。勝手なことされたら困るわねぇ……」
まどか「ほむらちゃん……じゃあその怪我は魔女に……」
さやか「魔女……さっきのやつの親玉か」
マミ「……それで?」
マミ「あなたは……何をしたの……?」
ほむら「……ん?」
マミ「何をしたのかと聞いているのよ」
ほむら「…………ああ」
ほむら「そこの穴に躓いて転んてカッコ悪いとこ見せさせてプライドを傷つけちゃったことを謝るわ」
95 = 36 :
ほむら「訓練のために削ったのは……まぁ軽率だったと思う」
ほむら「でもいつまでも埃をつけっぱなしで小汚い姿でいるのは私のせいじゃあないわよ」
マミ「違うわよ。キュゥべえに何をしたと聞いているのよ」
マミ「…………」ポン ポン
マミ「あなたがキュゥべえを襲ったのでしょう?」
ジャイロ「おいおい……怖いネエちゃんだな」
ほむら「別に、何もしてないけど」
マミ「美樹さんに聞いたわ」
さやか「キュゥべえがあたしに助けてって言ったんだ!」
さやか「まどかは転校生に何か言われてたんだろ!?」
まどか「あ、あうぅ……」オロオロ
96 = 36 :
ほむら「……違うと言ってもどうせ信じないでしょう」
ほむら「でも一応言っておくわ。私はやっていない」
ほむら(今回はやってない。一応本当に)
マミ「……フン」
マミ「さっきの言い方からするに、この穴を空けたのはあなたよね」
ほむら「そうだけど」
マミ「建造物等破壊罪」
ほむら「そうなるわね」
マミ「それに、最近変な格好をした西洋人風の男が不審者が出るって聞いているわ」
マミ「不審者と行動を共にしている犯罪者のあなたは信用できないわ」
97 = 90 :
そんなこといったらあんただって住居不法侵にゅ(ry
98 = 36 :
ほむら「ジャイロ。不審者ですって。そういえば先生言ってた気がするわ」
ジャイロ「面と向かって不審者呼ばわりか……肝っ玉がでかいタイプか?」
ほむら「後輩の前だから見栄張って啖呵を切ってるだけよ」
ほむら「怒っちゃダメよ。あなたが不審者なのは変わらないんだから」
ジャイロ「気にしちゃいねーよ」
ほむら「出かける時にマントと帽子を脱いだ?」
ジャイロ「あぁ、そういや忘れてたわ」
ほむら「あなたねぇ……」
ジャイロ「以後、忘れない限り胸に留めておくぜ」
マミ「何ぶつくさ喋っているの! 聞いているの?!」
ジャイロ「はいはい。っと、で、何の話だったっけ?」
ほむら「私達が犯罪者だって」
ジャイロ「やべぇ。俺の鉄球、廃材からパクッたもんなんだよな。窃盗だわ」
ほむら「それを言ったら私は銃刀法違反もしてるわ」
ジャイロ「そりゃ怒るわな」
ほむら「そうね……」
マミ「……人の話を聞きなさいよ」イラッ
99 :
マミさんうぜぇw
なら銃ぶっばなしてるアンタはなんだw
見た目怪しい奴一緒に行動した犯罪者ならその格好している貴女はなんだw
100 :
マミさん出会いがしらに犯罪者よばわりとか頭弱そうに見えるな
みんなの評価 : ☆
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