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元スレ魔王「俺も勇者やりたい」 勇者「は?」
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大賢者「でも、それだけでは、疑う要素にはならないのでは?」
魔法使い「そうね。だからその時は、勇者には深くは突っ込まなかったわ」
大賢者「序盤でかまをかけておくと、あとあとが怖いですからね」
魔法使い「だから、当面、勇者を“疑っていない”ポーズをとることにしたの」
大賢者「潜伏からの真偽特定ということですか。考えましたね」
魔法使い「『疑ってませんよー』って雰囲気出してたら、向こうも油断すると思ってね……」
魔法使い「でも、何もしなかったら、向こうも簡単に尻尾を出さないだろうなーと思ってさ」
大賢者「ふむ……」
魔法使い「……せっかくだし、いきなり勇者のお母さんに会ってもらったわ」
大賢者「なるほど、身内の眼に頼りますか」
魔法使い「でも、特になんもなかった。お母さんもなんも言って無かったし」
大賢者「予想通りの収穫はなかったんですね」
魔法使い「さすがに、お母さんは気づいてくれると思ったんだけどね」
大賢者「切り札が一枚消えましたね」
魔法使い「うーん、勇者のお母さん、けっこうおっとり系だからなぁ……」
大賢者「気づいていなかったか、あるいは気づいてて言わなかったか……」
魔法使い「どちらにしても、勇者のお母さんって大物かもね」
勇者母「はっ……くしゅん!」
勇者母「あら大変、ポークソテーに胡椒かけすぎちゃったわ」
大賢者「しかし、勇者が本物だから、お母様が何も言わなかったというのも考えられるのでは?」
魔法使い「まっさかー、この短期間であんなに落ち付き払えるもんですか、あの勇者が」
大賢者「話を整理すると、その勇者とお母さんの件、四通りの答えがでる可能性がありますね」
魔法使い「四通り?」
大賢者「1・勇者は本物なので、お母様は何も言わなかった」
魔法使い「ふんふん」
大賢者「2・勇者は偽物で、お母様も気づかなかった」
魔法使い「ほうほう。あ、私は2派ね」
大賢者「3・勇者は偽物で、お母様は気づいていたけど、何も言わなかった」
魔法使い「3だとしたら、お母さんに聞きに行くのが早道かもね」
大賢者「でも、回答が4だとすれば、その選択は危険ですよ」
魔法使い「は? じゃあ、4って何よ」
大賢者「4・勇者は偽物で、お母様も “偽物” だから、偽勇者をかばって何も言わなかった」
魔法使い「 」
魔法使い「……ちょっと! 変な空想やめてよ! 鳥肌立った!」
大賢者「確率だけに焦点を合わせるなら、こんな仮説も作れるんですよ」
魔法使い「余計なことすんな! 今、勇者について話してるんでしょーが!」
大賢者「これは失敬。で、他に勇者を疑う要素はあるんですか?」
魔法使い「そうねえ、たとえば、戦闘中なのにボーっとしてることもあったし、」
魔法使い「いつもガンガン攻めろみたいな戦法のはずが、今日に限って『逃げる』なんて指示だすし、」
魔法使い「かと思えば、ゴーレム戦で、いつになく頭使った戦術も繰り出すし、」
魔法使い「その時使った火炎魔法の魔力も、勇者にしてはちょっと強すぎるし……」
大賢者「態度だけでなく、戦術や魔力にも変化が見られると? もはや別人ですね」
魔法使い「でしょ。外見は勇者そのものなんだけど、性格とか思考とかガラッと変わっててさ」
大賢者「さすがにそれは妖しすぎます」
魔法使い「ほんとにねー。あの勇者を疑ってないやつがいるとしたら、そいつ頭がどうかしてるわよ」
戦士「ぶぇっきしーんっ!!」
勇者「やっぱり風邪じゃないか、戦士」
魔法使い「でも、まだ決定打がないのよ。偽物だっていう証拠がさ」
大賢者「証拠ですか……」
魔法使い「それさえ分かれば、『貴様、偽物だな! 名を名乗れ!』って問い詰めるんだけど」
大賢者「確かに、わたしもその勇者が、本物かどうか知りたくなってきました」
魔法使い「ということでさ、なんか知恵貸してくんない?」
大賢者「……そうですねー」
大賢者「では、こんな案はどうでしょう」
魔法使い「お、何々?」
大賢者「あなた達は今、“古代の迷宮”を探索中ですね?」
魔法使い「うん、今日は入り口で帰ってきちゃったけどね」
大賢者「“古代の迷宮”には、勇者にしか装備できない伝説の武具がある。ゆえに……」
魔法使い「ゆえに?」
大賢者「――ダンジョンで見つけた伝説の武具を、すぐに勇者に装備させたらいいんですよ」
魔法使い「 ! 」
大賢者「勇者が本物なら、装備できます。勇者が偽物なら、装備できません」
魔法使い「さっすが師匠! 冴えてるじゃん!」
大賢者「これでも賢者ですから」
魔法使い「亀の甲より年の功とは、よく言ったもんだわ!」
大賢者「褒めてるつもりなんでしょうけど、嬉しくない発言ですねぇ」
魔法使い「ありがとうね、師匠! 頼れる師だわ!」
大賢者「どういたしまして、久々に弟子に会えたのは嬉しかったですよ」
魔法使い「よーし、こうなったら、明日にでも迷宮攻略して、伝説の武具をゲットしなきゃ!」
大賢者「気合いが入ってる弟子を見るのは、楽しいですね。あ、一つ質問が」
魔法使い「何よ」
大賢者「どうしてそんなに、勇者の正体を暴きたいんですか?」
魔法使い「え。もちろん、偽の勇者に、本物の勇者の居場所を聞き出して、勇者助けるのよ」
大賢者「……なるほど、ですね」
魔法使い「あいつがいないと、魔王が倒せないからね」
大賢者「それ以外に理由は?」
魔法使い「え?」
大賢者「頭脳明晰なあなたが、それだけの理由で動く人間とは思えません」
魔法使い「…………」
大賢者「あなた、幼いころから、そんなところありましたよね」
大賢者「自分の目的を達成するために、本心を隠したまま行動する」
大賢者「建前の理由を前面に出して、誰にも本音を伝えない」
魔法使い「…………」
大賢者「わたしに魔法を教えろと言った時も、そうでした」
大賢者「喧嘩した男の子に仕返しする、というのは建前」
大賢者「本音は、いつも危なっかい遊びをして、大人にさえ喧嘩腰だった、その男の子の身を案じて、」
大賢者「彼が大変な時に、自分が助けられるように、魔法の力を得たかった」
魔法使い「…………」
大賢者「今回もそうです」
大賢者「勇者を疑って暗躍を図りながらも、仲間の誰にもそれを伝えていない」
大賢者「今日、わたしの元に来たことも、どうせ誰にも伝えていないんでしょう?」
魔法使い「…………」
大賢者「師匠として言わせてもらいますが、あなたはもう少し、人を信頼した方がいい」
魔法使い「…………」
大賢者「そんな生き方していたら、いつか誤解の袋小路に立たされますよ」
魔法使い「…………」
大賢者「もっと、みんなに本音を話すようにしたらいいじゃないですか」
魔法使い「…………」
大賢者「でないと、本当のあなたを知らない人々が増えていくだけです」
魔法使い「…………」
大賢者「ちなみに、これは助言ではなく、予言です」
魔法使い「…………」
大賢者「何故そんな未来がわたしに分かるのか、聞きたいような顔してますね」
魔法使い「…………」
大賢者「あなた、昔のわたしにそっくりなんですよ」
大賢者「今のあなたは、過去のわたしで、今のわたしは、未来のあなたです」
大賢者「もう少し自分を出すようにしないと、こんな風に孤独に余生を過ごすことになりますよ」
大賢者「わたしは嫌いじゃないですけど、はっきり言って、こんな生活、あまりお薦めできませんね」
魔法使い「…………」
魔法使い「…………」ガタッ
大賢者「御帰りですか?」
魔法使い「…………」コクン
大賢者「夜道に気をつけてくださいね」
魔法使い「…………」ス…
大賢者「その包みは、お土産ですか?」
魔法使い「…………」コクン
大賢者「ありがたく頂戴しておきますよ。わたしの好きなお菓子、覚えててくれたんですね」
魔法使い「…………じゃあね、師匠」
大賢者「……ええ。いつでも、どうぞ。お待ちしてますよ」
バタン
大賢者「…………」
大賢者「都合が悪くなると、黙り込んじゃう癖は、子供の時から変わって無いですね」
大賢者「……さて、お菓子でもいただきますか」
魔法使い「…………」スタスタ
魔法使い「…………」スタスタ
魔法使い(本音かぁ……)
魔法使い(うまく説明できないから、言いたくないだけなんだよね)
魔法使い(子供のころに、町を魔物に襲撃されて、大好きな村をめちゃくちゃにされて、)
魔法使い(こんな悲しみを、誰にも経験してほしくないから、勇者の仲間になった)
魔法使い(一日でも早く勇者と一緒に、魔王を倒して、)
魔法使い(もうどこかの町や村が、魔物に襲われないようにしたいだけ)
魔法使い(そのためには、本物の勇者が力が必要。ただそれだけ)
魔法使い(この場合、復讐ともとれるし、世直しともとれるし、)
魔法使い(自分の気持ちを素直に言うって、骨が折れるよなぁー)
魔法使い「あー、疲れたー。温泉入りたいー」スタスタ
今日はここまでです。
魔法使いと大賢者の会話がほとんどになってしまいました。
読んでくださってありがとうございます。
感想や乙もはげみになっております。嬉しいです。
また今週来ます。
魔法使いと大賢者の会話がほとんどになってしまいました。
読んでくださってありがとうございます。
感想や乙もはげみになっております。嬉しいです。
また今週来ます。
~露天風呂・男湯~
戦士「いいかー、100まで数えるんだぞー」
勇者「……ああ」
戦士「のぼせそうになったら、『ギブアッープ!』って言ってあがるんだぞー」
勇者「……分かった」
戦士「そんじゃー、いーち。にーい。さーん……」
勇者「…………」
勇者(やっぱり、思ってたより熱くないな。なんだか、物足りない)
勇者(しかし、人間の身体としては、適温なんだろうな。身体がポカポカしてきた)
勇者(……気持ちいいな)チャプ
戦士「お、ちゃんと肩までつかるなんて、偉いなー」
勇者(それにしても、魔王城の方は大丈夫だろうか……)
勇者(たしか、今日も会議があったよな。あの弱小、上手くやってるだろうか)
勇者(こういう何も無い時間って、余計なことばかり、考えてしまうな……)
勇者(あいつ、この時間、何をしてるだろうか)
勇者(会議はとっくのとうに終わって、たぶん夕食も済んで……)
勇者(夜やることといえば、あとは風呂と寝る準備と……それと)
勇者(…………!!)
勇者「しぃまったぁあーーーー!」ザッパァ
戦士「おーい勇者ー、そこは『ギブアップ』だっつーに」
~魔王城・魔王の部屋~
側近「それでは魔王様、また明日来ますね」
魔王「ああ、いろいろとありがとうな。側近」
側近「寝間着は鏡台においてあります。何か欲しいものがあれば何時でも呼んでください。それと……」
魔王「それと?」
側近「寝る前には“魔王の記録”を、しっかりつけてくださいね」
魔王「……ん? 魔王の、記録?」
側近「ご存じありませんか?」
魔王「うん、知らない。つーか初耳」
側近「そうですか、ならば説明を。魔王の記録とは、とどのつまり日記みたいなものです」
魔王「はぁ」
側近「三代前の魔王様が、日々何をしたか、勇者の動向はどうか、などを記録しはじめて、」
側近「以来、先代魔王様、そして現魔王様が、毎日の記録を残しているのです」
魔王「三代前ってことは……、今の魔王のじいちゃん?」
側近「まあ、そういうことになりますね」
魔王「でもなんで、記録を?」
側近「さぁ、さすがの私も2000年前のことは分かりません」
魔王「そっか、それじゃあ仕方ないな」
側近「ちなみに、先代魔王様の話によると、『記録を残したら後世の魔王のためになる』とか言ってたような」
魔王「へーーー」
魔王(……あれ? 側近って今何歳?)
魔王「まー、なんていうか……、勇者風に言うと“冒険の書”みたいなもんか」
側近「そうかもしれませんね。ちなみに、魔王の記録は一番奥の本棚の左上にあります」
魔王「そっか。ちなみに、偽物の魔王も、記録書かないと駄目?」
側近「5歳から魔王に就任した魔王様も、毎日欠かさず書き続けてますよ」
魔王「律儀だなー、魔王って。分かった、一応書いておくよ」
側近「助かります。それでは、魔王様、また明日……」
魔王「おう、じゃな」
――バタン
魔王「…………」
魔王「…………」
魔王「……さァて」ユラリ…
魔王「魔王の日記かァ……。そんな面白ぇモンが拝めるとは、思ってもみなかったなぁ……」ニタァ
まおうは ほんだなを しらべた。
まおうは 「まおうのきろく」を みつけた! ▼
魔王「じゃじゃーん! ついに見つけたぜー!」
魔王「いやぁ、人の日記のぞくのって、なんでこんなに楽しいんだろうなー」ホコホコ
魔王「……お、これ一週間前の日付じゃん。どんなこと書いてあるのかなーっと」ペラ
『 ……暦 д月ы日
弱小勇者がまた魔王城にやってきた。
事務処理の途中だったから、煩わしくて早々に片づけた。
懲りない馬鹿が勇者になると心底面倒だな。 』
魔王「な、なにおうっ!?」
魔王「えっと、他の日付は……」パラパラ
『 ……暦 д月л日
会議で、勇者を倒すために、ダンジョン内のモンスターの強化について話し合った。
海魔人と氷精霊が小競り合いを始めたから、激しい炎を吐いて黙らせた。
結局、会議は終わらなくて、議決は次回に持ち越しになった。
とはいえ、あの弱小勇者が相手だし、モンスターの強化しなくても、全然充分だと思うが。 』
魔王「こ、こいつ……!」
『 ……暦 ц月в日
偵察隊からの報告。勇者たちは、まだ最初のダンジョンで手こずってるようだ。
予算を低めでこしらえた、罠も少ないダンジョンで、何度も迷い、魔物に全滅させられているらしい。
正直言って、失望だ。大丈夫か、この勇者。薬草が切れた? なんで買い溜めてこなかったんだ?
これほどまで、弱小な勇者は初めて見たぞ。相手は雑魚のはずなのに、こいつは雑魚以下の弱小だな。 』
魔王「……言いたい放題、言いやがってーーー!」
魔王「ん。……ここは、この記録の最初のページか」パラ…
『 ……暦 б月ф日
ついに勇者の一族から、新たな勇者が生まれたらしい。
そいつは今日で16になったようだ。偵察隊の情報によると、酒場で仲間を集めているとのこと。
これまで500年、様々な勇者を相手にしてきたが、骨のある奴はほんの一握りしかいなかった。
こいつは俺を楽しませてくれるだろうか。魔王の仕事なんて雑務ばかりだから、いい加減飽き飽きしている。
新しい勇者がどんな奴かは、まだわからない。
だが、このつまらん生活が勇者の介入で、すこしでも面白くなるんじゃないか、と期待している。 』
魔王「…………」
魔王「あいつ……」
魔王「……相当退屈してたんだなぁ」
魔王「とりあえず、俺も書いておくか」カキカキ
『 ……歴 д月зе日
今日は昼飯と夕飯が超美味かった! 特にステーキ!
それから、側近はちょっと怖いけど優しい奴だって分かった。
魔王の仕事が、すげー大変だってのも分かった。
仲間から魔王の座を狙われてるって聞いて、ちょっとショックだった。
会議はかなり緊張した。なんであいつら、あんなに協調性ないんだろうな。なんだか心配だ。 』
魔王「……よし、こんな感じかな。上出来だぜ、オレ!」
魔王「じゃあ、魔王の記録をしまって……と」
――バサッ
魔王「ん、なんか落ちた?」
魔王「へー、古い本だなぁ。なんの本だ?」パラ…
『 ○が つ X にち
おとぉ さんが あたらし ぃ まほお おしえて くれ た
あまり じょぅずに できなかった
でも おとおさ ん が がんばれ って いった から がんばる!! 』
魔王「読みづらっ! なにこの汚い字!」
魔王「どこのガキの落書き帳だ? えーと……」パラパラ
魔王「あ。」
『 きょおは ぼく の 5さいの たんじょおび
おとぉさん から この きろくしょ をもら った
おとおさんは きょお まおおのきろく のこと おしえて くれた
ぼく もいつか まおおに なる から きろく お つけなさい だって
きょお から まいにち かくって おとおさん と やくそく した』
魔王「……もしかして、もしかするけどよ」
魔王「これ、魔王のガキのころの日記……?」
魔王「…………」ニタァー
魔王「よーし読もう。全部読もう。舐めつくすかのように読み切ろう」パラパラパラ
今日はここまで。たぶん明日続き投下します。
読んでくださりありがとうございます。
読んでくださりありがとうございます。
面白く読ませてもらってるけど、うまくレスが思い浮かばず、しかし淡白に乙と云うのもなんか気が引けるというか
乙
乙
~露天風呂・男湯~
勇者「うぉおおーーー! させるかぁあーーー!」
戦士「うわわぁあーー、勇者がご乱心だぁあーーー!」
勇者「絶対に触れさせんッ! 俺の過去を探らせてたまるかぁあっ!」
戦士「ちょっ、こら! ストップ! 落ちつけって!!」
勇者「あの弱小ぉお! 決して五体満足で帰さんぞぉおおおおーーーー!」
戦士「…………こぉのッ!」
戦士「――必殺! 戦士ラリアットォオオ!!!」
ドグシャア!!
勇者「ごふぁっ!」ドサッ
戦士「ったく、公共浴場で暴れるなよ。他のお客様に迷惑かかっちまうだろうが」
ザワザワ……
戦士「いやぁ、ご迷惑をおかけして、ほんとすんませーん」ヘコヘコ
勇者「…………」
戦士「おい勇者ー。何、黙りこくってんだよ。おまえも謝れって」
勇者「…………」シーン
戦士「え、もしかして気絶してる……? おかしいな、そんなに力こめたつもりは……ハッ」
----【戦士の脳内】---------------------------------------
いま露天風呂
↓
装備品全部外してる
↓
勇者の守備力はその分下がってる
↓
おれはもともと力自慢
↓
手加減したつもりが、実は勇者のダメージ半端ない
↓
勇者がのびちゃう ←今ここ
---------------------------------------------------------
戦士「ゆ、勇者ーーー! しっかりしろぉおーーー!」
~魔王の部屋~
魔王「さーて、早速魔王の恥ずかしい過去を漁っちゃうぜー」ペラペラ
『 Γがつ Πに ち
おかぁさん と ぷりん お つくった
かたまるの まつ じかん が ながく て まちくたび れた
ぷりん は すごく おいしかった
ぼく おかあさんの ぷりん だいすき! 』
魔王「……プククッ」
魔王「そぉーかー、まおう君はプリンが好きなのかぁー」ニヤニヤ
『 Ψがつ α にち
きょお おとおさんの おしごとの へやに ないしょで はいってみた
いろんな かみ が あった で も むずかしぃ じ ばかり で よめなかった
そしたら おとぉさんのそっきんに みつかっちゃった
かってに はいっちゃ ダメだって さ しかられちゃった
でも おとおさん には へやに はいったこと ないしょに してくれるって
おとぉさんのそっきんは すご く やさしいんだよ 』
魔王「ははは! あのスカした魔王も、やんちゃ坊主だったんだなー! ウケるー!」
魔王「あー。でも、この魔王の父ちゃんの側近ってさー……」
魔王「……まさか、だよな?」
『 Λがつ Φにち
きょおは あめが ふった
おかあさんと きたのたに へ さんぽに いくよていだった から ざんねん
でも おかあさん は かわりに えほん を よんで くれたょ
ぼく の だいすきな どらごん がでてくる えほん だよ
おひるねの とき おねしょ しちゃった
おかあさん ごめん なさい 』
魔王「……!! ま、魔王のやつがおねしょって……!!」バシバシ
魔王「駄目だ腹痛い! 面白すぎて腹痛い! 死ぬーーー!」
魔王「はー……、やっと落ちついた。次ーっと」
『 νにち Τがつ
あした おとおさん と おかあさん は にんげんかい にいくんだって
ぼくは まだこども だから いっちゃ ダメだって さ
おとおさんのそっきんと おるすばん だって さ
つまんない
でも おとお さんが あしたの ぶんも たくさん あそんで くれた!
ぼくも おとな だったら にんげんかい に いけたのかな
はやく おとなに なりたいな
きょおは おかあさんと いっしょに ねるんだ! うれしぃ! 』
魔王「……なんだろうね、この魔界のホームドラマ。マジ和む」
魔王「つーか、この日記。ニヤニヤ笑いが止まらねぇ」ニヤニヤ
魔王「……魔王のご両親さん、良い人たちだったんだろうな……」
魔王「えーと、次のページは……」
『
もう おとおさん と おかあさん に あえない
おとおさん とあそべない おかあさんの ぷりんもたべれない
なんで
いやだ どうして
たくさん ないた まだ なみだが とまらない
でも そっきん が なぐさめてくれた
まだ かなしい おとおさん は おかあさん は どこにいったの
だれが おとおさん と おかあさん を ころしたの
ゆるさない そいつをころしてやりたい 』
『 だれも おしえてくれなかった
おとおさん と おかあさん を ころしたのは だれなのか
どうして ころしたか なにも
そっきんも おしえてくれなかった
でもそっきんは ぼくに おしえない りゆうを おしえてくれた
ぼくが それを しったら “ ふくしゅう ” するから だって
まおうを つぐ のは ぼくしか いないのに
ぼくが ふくしゅうに いって もし ころされたら みんなが こまるからだって
ぼくは もう まおうに ならないと いけないんだって
ぼく は まだ こどもだけど まおうに ならなきゃいけない 』
魔王「…………!!」
『 Τがつ гにち
たくさん まおうがく の べんきょうを した
あたらしい じゅもん を 23 こ おぼえた
ごはんを たべる じかん と ねるじかん が まえより すくなくなった
じかん が もっとほしい
はやく おとうさんのような りっぱな まおう に ならなきゃいけない 』
魔王「…………」
『 Τがつ зеにち
さっき こわいゆめ を みた こわくて ねれない
おかあさんと いっしょにねれたら おかあさん は だきしめてくれて
あんしんさせて くれたのに おかあさん……
ねれないから べんきょう しよう もっと たくさん べんきょう できるように
むずかしい じ の べんきょう を しよう べんきょう したら りっぱなまおうに なれるから 』
魔王「……おい」
『 кがつ у日
きょう も たくさん べんきょう した でも さいきん ねむれない
すごくつかれて ねむかったけど がんばった そっきんが 心ぱい してくれた
でもいいんだ だって ぼくは ま王 にならなきゃいけない から
あした は ま王ぐん の ぜんぶのめいぼ を あんき しなきゃ 』
魔王「……もういい」
『 е月 ы日
ま王軍 の かん部 と会って あいさつした
少しきん張したけど 大じょうぶ だった
そっ近 が かん部たちは みんな なかよくないから 気をつけてと おしえてくれた
みんな を まとめるには 力が ひつよう だとおしえてくれた
力がほしい 』
魔王「……もういいって」
『 ф月 ф日
だれかが ぼくの おやつに 毒を もった
すぐ吐きだしたけど 、 のどが焼けるようにいたかった
少し毒をのみこんでしまって、すごく苦しかった
でも、こんなときのために、側近が毒けし草を もたせててくれてて、よかった
すぐ毒けし草をのみこんだから、いのちは助かった。運がよかった。
今日のおやつはプリンだった。 もう二度とプリン食べたくない 』
魔王「 」
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