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元スレ魔王「俺も勇者やりたい」 勇者「は?」
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側近「それから、魔王様。食後には、外出の準備をお願いします」
魔王「え? なんで?」
側近「二泊三日、魔王をがんばったご褒美として、ある場所を見せてさしあげます。その代り……」
魔王「その代り?」
側近「本物の魔王様には、――内緒ですよ?」
魔王「!? お、おう。分かった」
魔王(……側近に、ウインクされた)
魔王(あれ? なに、なんでオレドキドキしてんの?)
~勇者の家~
勇者母「……そう。これから魔王城に」
勇者「ああ、アイテムの補充もすんだ。もう少ししたら発つつもりだ……」
戦士「うめえ! ケーキまじうめえ!」
僧侶「勇者様のお母様って、お菓子作りも得意なんですね」
魔法使い「いやー、これは士気が上がるわ。もう最高ー」
勇者(……こいつら)
勇者母「ふふ。まだまだあるから、たくさんどうぞ」
勇者「では、俺はしばらく部屋にいるぞ」
戦士「おー、いきなりどうした?」
勇者「調べたいことがあるんだ」
勇者母「あら、魔王戦の前にお勉強だなんて感心ね」
勇者「というわけで、行ってくる」
魔法使い「ほいほい、いってらっしゃーい」
僧侶「…………」
~勇者の部屋~
勇者(そういえば、弱小の部屋に入るのは初めてだな)
勇者(至って普通の部屋だな。面白くない)
勇者(長期間空けている割に片付いているのは、母親の仕業と見て間違いないだろう)
勇者(この部屋を物色するのも一興かもしれないが、今はもっと興味をそそるものがある)
勇者「……さて」
ゆうしゃは 「ゆうしゃのけっとうとでんしょう」をつかった!
ゆうしゃのいちぞくの きげんについて かかれているようだ…… ▼
『 ****歴、人間は種としての窮地に立たされていた。
魔界から魔王と魔物たちが侵攻してきたためだ。
当時は充実した武具も、強力な魔法も数少なく、魔物と戦える人間はほとんどいなかった。
人間たちは魔物たちにおびえ、逃げ隠れるしかなかった。
そんな中、「伝説の勇者」が現れた。
戦闘力に長け、勇猛果敢に魔物と戦う「伝説の勇者」は、まさしく人々の希望であった。
「伝説の勇者」は、人間界に建てられた魔王城へ攻め入り、魔王を討伐した。
それだけでなく、魔界へ退却した魔王を追い、たった一人で魔界へ向かった。 』
勇者(****歴というと、……今から2000年ほど前だな)
勇者(単独で魔界に行くとは、「伝説の勇者」と言われるだけあるな。なかなか骨のある奴だ)
『 ……数か月後、あまりにも唐突に、世界に平和は訪れた。
人間界にやってきた魔物が、魔界へ戻り、姿を消したのだ。
「伝説の勇者」が魔王を倒したに違いない、と人々は確信し、歓喜した。
――しかし、「伝説の勇者」は、帰ってこなかった。
世界に平和が戻ったものの、人々は嘆いた。
あの勇敢な若者が、帰ってこないのはなぜなのか。
「伝説の勇者」の友人や身内の者は、必死の捜索を行った。
しかし、どれだけ力を尽くしても見つからず、とうとう魔界へまで探索の手を伸ばす者も現れた。
魔界へ向かった者も、帰ってくることはなかった。
だが、人々の望みが失われた頃、奇跡は起きた。
――「伝説の勇者」が、満身創痍で魔界から帰ってきたのだ。 』
『 「伝説の勇者」は、魔王を倒し弱った隙を狙われ、魔王軍の残党に捕らわれたそうだ。
残党は、魔王軍の再建のために、人間界にいた魔物を呼び戻したらしい。
残党曰く、新たな魔王が選出された際には、
その祝儀にて、「伝説の勇者」の肉を、魔界中の魔物の前で、魔王に喰わせるつもりだったそうだ。
傷も癒えず、力も魔力も封じ込まれた「伝説の勇者」は、独力で脱走することは叶わなかった。
幽閉されて、しばらく経ってから、「伝説の勇者」に救いの手が差し出される。
なんと、勇者捜索のために、魔界へ向かった者が、助けにきたのだ。
その者は、封印と牢獄の鍵を破り、「伝説の勇者」の手当をした。
しかし、二人で魔界から逃れようとする道中、
「伝説の勇者」を魔物の攻撃からかばって、その者は命を失った。
このようにして、「伝説の勇者」は生還したのだった。 』
『 「伝説の勇者」は傷が癒えてから、
自身の装備品を、ある高名な鍛冶屋と呪術者のもとへ持ち込んだ。
鍛冶屋に依頼したことは、
「 魔界で手に入れた“幻の金属”を使って、装備品を鍛えなおすこと 」
呪術者に依頼したことは、
「 自分の血を引く者以外は、この武具を装備することはできないという呪いをかけること 」
魔王や強靭な魔物を倒すという、あまりにも危険な宿命を、
他の者に継がせたくなかった、と勇者は語る。
これにより、「勇者」という職は、世襲制となり、
「伝説の勇者」の血を引く者だけが、勇者となることができるのである――。 』
勇者(…………)
勇者(「伝説の武具」は、“幻の金属”が使われているのか)
勇者(そして、呪術がかけられていると……)
勇者(つまり俺は、「伝説の勇者」の血を――)
――コンコンコン
勇者「入れ」
勇者母「お茶淹れてあげたわよ。お勉強ははかどっているかしら?」
勇者「まあまあだな」
勇者母「あら、ずいぶん古い本を読んでいるのね」
勇者「城で借りてきたんだ」
勇者母「ふーん……」
勇者母「そんなに熱心に、勇者一族について調べるなんて、どういうことかしら?
――私の息子の顔をした“どこかの誰か”さん」
勇者「 !? 」
本日はここまでです。
読んでくださってありがとうございます。
また来週来ます。
読んでくださってありがとうございます。
また来週来ます。
勇者「…………」
勇者母「…………」
勇者(まさか、このタイミングでバレるとは……)
勇者(いや、以前から気づいていたのを、今になって口に出されただけか?)
勇者(相手はどこまで感づいている?)
勇者(俺が魔物であると――、否、魔王であることすら気づかれているのか?)
勇者(もしそうだとしたら、“事”だな)
勇者(――弱小には悪いが、最悪の場合、口封じをする必要すら出てくるやもしれん)
勇者(とにかく、まずは現状の把握だ)
勇者(焦るな、落ち着いて処理すればいいだけの話だ……)
勇者「いつから気づいていた?」
勇者母「この間、お昼を食べに来てくれた時よ」
勇者「なぜ、気付いた?」
勇者母「だって、うちの子と大分雰囲気が違っていたから」
勇者(……やはり、初対面でバレていたのか)
勇者(それはそれでショックだな)
勇者(だが、気付いたのなら、なぜその時点で尋ねてこなかったんだ?)
勇者(仲間にも何か告げた様子はなかったし……)
勇者「なぜ、皆に黙っていた?」
勇者母「え、皆とっくに気づいているものだと思って……言うまでもないかなーって」
勇者「…………」
勇者母(あ、ちょっと泣きそうな顔してる)
勇者「……まあ、貴様の言うとおり、確かに俺は勇者ではない」
勇者母「そうよね、でもそうだとしたら大したものだわ」
勇者「何がだ?」
勇者母「だって、あなた呪文を使って変身しているでしょう?」
勇者「ああ、それがどうした?」
勇者母「普通の変身呪文じゃあ、短い時間しか変身できないわ。でもあなたは違う」
勇者母「こんなに長い時間、変身を継続できるなんて、誰にでもできることじゃない」
勇者母「高名な賢者でも難しいことを、事もなげにこなせるあなたって……」
勇者母「いったい誰なのかしらね?」
勇者「…………」
勇者母「ほらほら、そんなに警戒しないで。とりあえず、お茶でもどうぞ」
勇者「……いただこう」
勇者「……ちなみに」
勇者母「うん?」
勇者「貴様は、俺が誰だと思っているんだ?」
勇者母「そうねぇ……」
勇者(あ、この茶、意外と美味い)
勇者母「人間業とも魔物業とも思えないから、……魔王とか?」
勇者「 !? 」ブフォォッ
勇者母「あら、当たりなのね」
勇者「ゲェッホ、ゲホッ!! ゴホォ!!」
勇者母「むせたのね」
勇者「なぜバレた……」
勇者母「んー、そうねえ。女の勘?」
勇者「そんなのでバレたのか? 納得できん」
勇者母「じゃあ、もうちょっと説得力ある説明しましょうか」
勇者「是が非でも」
勇者母「百聞は一見に如かず。というわけで、これちょっと借りるわね」スゥ……
勇者「……? おい、その剣は――」
ゆうしゃのはは は でんせつのつるぎを そうびした! ▼
勇者「な、なにっ!?」
勇者母「んー、久々に持つけど、やっぱり手に馴染むわ」
勇者「馬鹿な! 伝説の武具は、勇者にしか装備できないはず!」
勇者母「ふふ、だからそういうことなのよ」
勇者「どういうことだ!」
勇者母「――20年前、私は勇者として冒険した」
勇者「!?」
勇者母「伝説の武具は、“伝説の勇者”の血を引く者が装備できる。私も勇者一族の一人」
勇者「だが待て、20年前に俺に深手を負わせた勇者は、男だったはずだ……!」
勇者母「わけあって、男の振りをしていたのよ。男装って言った方が分かりやすいかしら」
勇者「なぜそんなことを」
勇者母「女が勇者だと何かと馬鹿にされることが多くてね。それが嫌だったの」
勇者「……そうだったのか」
勇者母「覚えてなかったみたいだけど。私とあなたは、以前会ったことがあるのよ」
勇者母「だから、先日会ったとき、息子じゃないとすぐに分かったけれど、」
勇者母「あなたとは、どこかで会ったことがあるって、既視感を覚えたわ」
勇者母「なんとなく影がある雰囲気とか、憂いのある表情とか……」
勇者母「あなたたちが、“古代の迷宮”に向かった後に、思い出したの」
勇者母「もしかしたら、息子の振りをしてるのは魔王なんじゃないかって」
勇者「…………」
勇者母「20年前、相当な深手を負わせて、魔界へ退却させたけど、あの後は元気にしてた?」
勇者「傷の治癒には10年かかったが、今はこの通りだ」
勇者母「そう。元気そうで何よりだわ」
勇者「しかし、勇者としてその発言はどうなんだろうな」
勇者母「だって、後遺症とかが残ってたら悪いなーって思って」
勇者「ずいぶんと優しい勇者だな」
勇者母「ううん、あなたじゃなくて息子によ」
勇者「?」
勇者母「だって、勇者してるなら、最高のステータスの魔王と戦ってほしいじゃない」
勇者「……さすが勇者の母と言っておこうか」
勇者母「褒め言葉として受け取らせてもらうわ」
勇者母「それにしても意外だったわね。まさか、魔王が“伝説の勇者”の血を引いてるなんて」
勇者「俺はまだ信じていないぞ。だからこうして、いろいろ調べているんだ」
勇者母「まあ、あなたなりにがんばるといいわ。そんなことより――」ヒュッ
勇者「――!」
勇者母「わたしのかわいい息子は、どこにやってくれたのかしら――?」
勇者(――なんて速さだ。見えなかった。一瞬で、剣が首元に突き付けられた)
勇者(この女、勇者としての力は、いまだに衰えていないな)
勇者「……安心しろ。あの弱小は、いま魔王城にいる」
勇者母「ということは、幽閉とかしてくれちゃってるのかしら?」
勇者「いや、俺の姿に変えて代役をやらせているんだ。魔王の代役をな」
勇者母「あら、それ面白い。危ない目には遭わせてないでしょうね?」
勇者「たぶん大丈夫だ。定期的に手紙を受け取っている」
勇者母「それなら安心だわ」
勇者「……これから魔王城に向かうんだ。奴を迎えにな」
勇者母「それじゃあ、この茶番も今日限りということね?」
勇者「そういうことになるな」
勇者母「なら良かった。久々に息子の顔が見れるわね」ス……
勇者(ようやく伝説の剣を引いてくれたか。嫌な汗をかいた……)
勇者「……そろそろ、出発させてもらおう。剣を返してもらっていいか?」
勇者母「ええ、どうぞ」
勇者「それと、興味本位で2~3質問したいことがある」
勇者母「いいわよ、さすがにもう一回は会わないと思うし」
勇者「貴様の夫、勇者の父は誰なんだ?」
勇者母「20年前、一緒に冒険してくれた戦士よ」
勇者「しかし、家には姿が見えないが……?」
勇者母「いくら勇者とはいえ女より弱いのは示しがつかんって言って、武者修行に出てるわ」
勇者「ほう……」
勇者母「あの人、まだ一度も私に勝ったことないのよね」
勇者「…………」
勇者(もしや、弱小が弱小なのは、父方の遺伝か……?)
勇者「もう一つ、貴様が使っていた“伝説の剣”は、なぜ『古代の迷宮』にあったんだ?」
勇者母「私があなたを倒してから、あのダンジョンの人造魔物が剣を引き取りにきたのよ」
勇者「なに……?」
勇者母「そういうシステムなのかもしれないわね。勇者が現れるまで、あそこは剣を保管する場所みたいな」
勇者「それはそれで興味深いな」
勇者母「似たような経緯で、ほかの武具も、元の場所に返したり、引き取られたり……」
勇者「なぜ一か所に留めておかないんだろうな」
勇者母「それしたら、絶対楽なのにね。でも、“伝説の武具”ってそういうものなのかもしれないわ」
勇者「というと……?」
勇者母「きっと、勇者の手の元にしか、一か所に集まれないのよ」
勇者母「それでいて、勇者が勇者でなくなったら、伝説の武具も役目を終えて、散り散りになる」
勇者母「あなたも実際に振るってみたら、分かるかもしれないわ」
勇者「……まあ、そんな機会ないかもしれないがな」
勇者母「今日までだものね。質問タイムはもうおしまい?」
勇者「ああ、いろいろと世話になった」
勇者母「じゃあ、私からも質問一つだけ」
勇者「なんだ?」
勇者母「勇者やってみて、楽しかった?」
勇者「……ああ、思ったより楽しめたよ」
勇者母「そうよかったわ。うちの息子に会ったらよろしく伝えてね」
勇者「どうせすぐ会うじゃないか」
勇者母「それもそうだったわ。じゃあ、いってらっしゃい」
勇者「――いってきます」
――バタン
勇者母「……ふふ、なんか懐かしかったなぁ。青春を思い出すわー」
勇者母「たまになら、遊びに来てもいいわよ、って言ってあげればよかったかしら?」
勇者(……調べもの、勇者の母の話)
勇者(なにかつかめた気がするが、肝心のものを得られなかったような……)
勇者(これはこれでムシャクシャするな)
勇者(仕方ない、あの弱小をこてんぱんにのして、このモヤモヤを発散することにしよう)
勇者「おいみんな、そろそろ出発――」
魔法使い「こーこーでー、まさかの革命! 革命返しないね!? 6のダブル!」
戦士「ぎゃああああ! なんてタイミングでしかけるんだああああ!」
僧侶「あ、じゃあ5のダブル」
魔法使い「う。まさか返されるとは……。パス」
戦士「無理無理無理! ダブルなんかない!」
僧侶「では、8切りからの11のトリプルであがりです」
魔法使い「うっそ! 早いよ僧侶ちゃん!」
戦士「どうすんだよ、この手札……。絶対あがれねぇええ……!」
勇者「…………」
勇者「おい。それ終わったら、魔王城行くぞ」
戦士 & 僧侶 & 魔法使い「 はーい 」
今日はここまでです。読んでくださりありがとうございます。
なんか大富豪のルールを間違えた気がします……。
また来週、運が良ければ今週来ます。
なんか大富豪のルールを間違えた気がします……。
また来週、運が良ければ今週来ます。
乙
大富豪はローカルルールがあるからね。
ルールは合ってた。
大富豪はローカルルールがあるからね。
ルールは合ってた。
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