私的良スレ書庫
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元スレ魔王「俺も勇者やりたい」 勇者「は?」
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~魔王の部屋~
側近「魔王様、側近です」コンコン
側近「…………」
側近「……返事がないとは、珍しいですね」
側近「魔王様、失礼します」ガチャ
魔王「…………」
魔王「…………」
側近「魔王様……?」
魔王「あ……、側近か」
側近「どうしましたか、魔王様。顔色が優れないようですが」
魔王「いや、ちょっと胸糞悪いもん読んじまっただけだよ」
側近「といいますと?」
魔王「これだよ、これ」
側近「……ああ、魔物狩猟家の被害報告書ですか」
魔王「……魔物を罠にかけたり、襲ったりして、毛皮とか爪とか角とかをはぎ取ったり、」
魔王「子供の魔物が大人数で襲われて、連れ去られたり、」
魔王「しかも攫われた魔物は、闘技場や見世物で使われてるらしいな」
魔王「なかには、競売にかけられて、富豪に飼われたり、兵士の特訓相手にされたり……」
魔王「新しい武具や道具を作るために、実験材料に使われることも……」
側近「…………」
魔王「なぁ……、人間ってこんなことばかりしてるのか……?」
側近「ええ、遠い昔から行われてる日常です」
魔王「!!」
側近「そうやって、人間は進化してきたのですよ。魔物を倒して強くなり、魔物を材料に武器を作る」
魔王「…………」
側近「しかし、こういう物騒なことが増えたのは、数千年前からのことですかね」
魔王「…………」
側近「魔物から身を守るためでなく、魔物を使って私利私欲を満たすようなことが始まったのは……」
魔王「……汚ねぇな」
側近「分かりましたか? 魔王として生活するということは、こういうことなんです」
魔王「なに……?」
側近「戦闘では最前線には出ませんが、人間と戦う以上、奴らの本性を目の当たりにする」
側近「気をしっかり持ってください。書類で見ることはまだ序の口です」
側近「魔王生活がまだ続くなら、これよりひどい惨状を知る機会もあるでしょう」
魔王「……オレは」
側近「……?」
魔王「いつまで、魔王をやればいいんだ……?」
側近「……私には分かりかねます。どうぞ魔王様にお聞きください」
側近「それと、魔王様。もうすぐ夕食の支度ができますよ」
魔王「……わかった」
側近「失礼します……」
――パタン
側近「…………」
側近(食事の話をしても、あまり喜ばなかった)
側近(……それなりにショックを受けてるってことかしら)
魔王「…………」
魔王「…………」
―― 人間さえ良かったら、なんでもいいのか? ――
魔王「……オレは、」
―― 魔物や魔族の平和は、どうでもいいのか? ――
魔王「……一体、誰を守ったらいいんだ?」
本日はここまでです
読んでくださりありがとうございます
また今週来ます
読んでくださりありがとうございます
また今週来ます
乙!
なんだかワクワクする展開になってきた!魔王(勇者)がどう動いて行くのかがスゲー楽しみw
なんだかワクワクする展開になってきた!魔王(勇者)がどう動いて行くのかがスゲー楽しみw
~貧民街~
僧侶「……っしょ、っと」
僧侶「移動呪文が使えない身ってのは辛いですね……」
僧侶「でも、アイテムで補えるから良しとしましょう」
僧侶「帰りの分も買いましたし、綺麗なお花も買えましたし、」
僧侶「お小遣いをくれた勇者様に大変感謝ですね」
僧侶「…………」
僧侶「…………」
僧侶「……久々に来たなぁ」
僧侶「あ、いけない。こんなとこで、ボーっと立ってる場合じゃありませんでした」タタタッ
~貧民街・墓地~
僧侶「…………みなさん、やっとお墓参りに来れました」
僧侶「勇者様の旅に加えてもらってから、一度も来れてませんでしたね」
僧侶「墓標もこんなに汚れて……、きれいにしてあげないと」パシャン
僧侶「あとお花も添えて……」
僧侶「ふう、きれいになりました」
僧侶「ねえ……、聞いて頂けますか? あれから、勇者様の仲間にしてもらえたんですよ」
僧侶「おかげで、こっちにはなかなか来れなくなってしまったんですけど、」
僧侶「もうすぐ、魔王を倒せそうなんです。そしたら、平和な世の中になりますよ」
僧侶「…………」
僧侶「…………」グスッ
僧侶「あ、泣いちゃ駄目です」ゴシゴシ
~南の港町・海の上のレストラン~
勇者「まさか、波止場の桟橋の先にこんな店があったとはな」
青年「一応、この町の観光スポットでもあるんですよ。料理も眺めも素晴らしいとのことで」
勇者「詳しいんだな」
青年「僕の拠点から、もっとも近い町ですからね、ここは」
勇者(海底神殿か……、少し距離はあるが、ここからなら確かに近い)
青年「ちなみにここ、個室もあるんですよ。だから……」
勇者「他人に聞かれたくない話をするのに、うってつけということか」
青年「話が早くて助かります」
:
:
勇者「ほう、個室からの眺めもいいものだな」
青年「二階ですからね。丁度、夕日が落ちる時間に来れてよかったですよ」
勇者「……綺麗だな」
青年「そうですね」
勇者「それで、話とは?」
青年「ああ、いくつかお聞きしたいことがあったんですよ」
勇者「なんだ?」
青年「貴方は何者なのか、なぜ勇者に身を変えたか、勇者はどこにいるのか、こんな感じですね」
勇者「聞きたいことが多いようだな」
青年「他にも聞いてみたいことはあるんですけど、それはまた思いついた時にでも……」
勇者「ちなみに、俺からも聞きたいことがあるんだが、」
青年「構いませんよ、お好きな時に質問してください」
青年「それでは、最初の質問。貴方は何者ですか?」
勇者「…………」
勇者(……当然、魔王だということは伏せるべきだな)
勇者(昨晩、宿屋に側近が来たことで、側近が俺の正体に気付いたことはわかった)
勇者(側近は、口が固いから信用できるが、海魔人等の幹部や軍の者には、)
勇者(依然知らせないべきであろう。余計な混乱を招くだろうからな)
勇者(……嘘でもつくか)
勇者「……下流魔族の末端の者だ。一族の名は伏せさせてくれ、口にする価値もない」
青年「なるほど」
青年(やはり魔族か。覇気がなかったのも、下流だからといえば納得できる)
勇者「そういう貴様は、何者だ?」
青年「魔王軍幹部海域担当、海魔人です」
勇者(読み通りだな……。このまま軍の近況でも聞いてみるか)
勇者「ほう、魔王軍の者に会ったのは久しぶりだな。軍の皆はどうしている?」
青年「……なぜ、そんなことをお聞きになるんですか?」
勇者(いい質問だな……。俺と魔王軍の関連性を、探ろうとしている)
勇者「ずいぶん昔に、魔王軍で働いていたんだ。今はもう引退した身だが」
青年「なんと、魔王軍のOBでしたか。ちなみに、どの部隊に?」
勇者(いちいち、細かいことを聞く奴だな。現時点と今後の会話で、不自然にならなそうなところは……)
勇者「……魔王軍人事部だ」
青年「これは失礼……。オフィスの所属だったんですね」
青年(魔族なのに、隊長でも将軍でもなく、室内勤務だなんて……。確かに、一族の名を伏せたくなるわけだ)
――コンコン
ウェイトレス「お食事をお持ちしました」
青年「どうぞ」
ウェイトレス「失礼いたします」ガチャ
ウェイトレス「シーフードピラフと、タラとムール貝のアクアパッツァのお客様」
勇者「はい」
ウェイトレス「海藻スープと、6種の新鮮海藻サラダのお客様」
青年「はい」
ウェイトレス「ご注文は以上でよろしいでしょうか?」
青年「ええ」
ウェイトレス「ごゆっくりお召し上がりくださいませ」
――パタン
青年「ところで、人間界の食物は、お口に合いましたか?」
勇者「……いや、魔界のものと比べて、極端に味が薄い上に、栄養価も低そうだ」
青年「ですよね。故に、人間界で行動する魔物や魔族は、主食が人肉となる」
勇者「しかし……、ここの料理はなかなか美味いな」
青年「そうですか。たぶん、新鮮な素材だからですよ。幾分かはマシといったところですかね」
勇者「……ところで、貴様なぜ海藻ばかり食べてるんだ?」
青年「知らないんですか? 僕の一族は、海藻が主食なんですよ」
勇者「ああ……、知らなかった」
勇者(幹部連中と食事を共にしたこと自体、少ないから無理もない)
勇者(酒宴の席も、配下の者達とは離れていたし……)
勇者(……そもそも、いつも一人で食事していたからな)
青年「ところで貴方、なぜ勇者に身を変えていたんですか?」
勇者「…………」
勇者(……退屈だったから、という本音で通るだろうか、ここは)
勇者(だが、下流魔族の身分なら、勇者になる以外にも、退屈をまぎらす方法はありそうだし……)
勇者(……どうしたものか)
青年「あ、もしかして」
勇者「?」
青年「勇者に身を扮して、魔王を倒し、魔王の座を狙っていたとか?」
勇者「…………」
勇者(……もういいか、そういうことで)
勇者「まあ、そんなところだ」
青年「やはり。下流の出とはいえ、出世欲はそれなりにあるみたいですね」
勇者「これでも魔族だからな」
青年「勝算はありますか? 魔王に勝つ策は……」
勇者「いや、皆目見当がつかない。そもそも力の差がありすぎるからな」
青年「下流魔族と、魔王ではね。もしよかったら、僕も手を貸しますよ?」
勇者「……何?」
青年「僕も魔王の座を狙う者です。協力すれば、勝率は上がるかもしれませんよ?」
勇者(……やはりこいつも、野心があったか)
勇者(むしろ野心が無い奴の方が珍しいからな……)
勇者(…………)
勇者「助け手を差し伸べてくれるのは嬉しいが、その必要はない」
青年「え?」
勇者「諦めようと思うんだ。やはり俺なんかでは、魔王は倒せない」
青年「……なるほど」
勇者「近日中に、本物の勇者も解放するつもりだ」
青年「貴方はその後、どうするおつもりで?」
勇者「人目に触れないように隠居するよ。というか、元の生活に戻るだけだ」
青年「残念ですね、せっかくのチャンスをみすみす手放すだなんて」
勇者「いいんだ、これで。俺はひっそりと静かに生活するのが、性に合ってるんだ」
青年「…………」
勇者(そんな生活、一日たりともしたことないけどな……)
勇者(性に合うかは不明だが、憧れているのは確かだ)
勇者(いつか、誰にも煩わされず、誰も煩わさないような、静かなとこへ……)
勇者(……どうせ、当分無理だろうけどな)
青年「それでは、本物の勇者の居場所は?」
勇者「言う必要はないだろう? もうすぐ解放するんだから」
青年「……それもそうですね」
青年(これじゃあ、翼竜の作戦は使えそうにないな)
青年(そもそも、漁夫の利を狙うような卑怯な手段だったし……)
青年(魔王になるんだったら、やはり自分の手で魔王の首を落とさないと、)
青年(他の者たちも、ついてこないだろうからな)
青年(今回の策は、潔く諦めよう……)
青年「ところで、貴方の方から聞きたいこととは?」
勇者「ああ、魔王軍の連中は元気にしてるか? 何か変わったことは?」
青年「そうですねぇ……。さして変わりは……、あ」
勇者「……何かあったのか?」
青年「……はい、ありました。それも今日あがったばかりの、新鮮なネタが」
勇者「聞かせてくれないか? どうせ、俺は孤立している身分だ。他人に漏らすことはない」
青年「それもそうですね。では、これはトップシークレットですよ?」
青年「魔王軍幹部の翼竜が、裏切りを働いたため、魔界軍法会議にかけられています」
勇者「……翼竜が?」
青年「判決はまだ出ていませんが、しばらく幹部の席が一つ空くことは確かかと」
勇者(翼竜……。老齢だが、経験値の豊富さと、したたかさは幹部勢でもずば抜けていた)
勇者(それゆえに、裏切りを企む頭脳もあったというわけか……)
勇者(……このタイミングで、翼竜を失うのは痛いな)
青年「しかし、幹部の空席は誰に埋めてもらうべきですかね」
青年「翼竜の部隊と配下は、幹部の中で最も多い」
青年「それだけの数の管理を、今いる幹部に掛け持ちさせて管理するのは到底不可」
青年「しかし、幹部代理が務まる奴もいるかどうか……」
勇者「…………」
青年「ちなみに、貴方はどうお考えですか? 元人事部さん?」
勇者「……そうだな」
勇者「毒竜に任せてみたら、どうだろうか」
青年「げっ、毒竜!?」
勇者「なぜ、『げっ』なんだ?」
青年「だって彼、協調性無いし、死ぬほどマイペースだし、呪文使えないし、飛べないし……」
勇者「確かに、少し癖のあるやつだが、責任感や忠実さ、戦闘技術はなかなかのものだぞ」
青年「んー、まあそうですけど」
青年(仮にも、僕や翼竜に一撃喰らわせたやつですからね……)
勇者「幹部には力不足かもしれないが、幹部代理なら務まるかもしれん」
勇者「うまく行けば、これを期に伸びるかもしれないしな」
青年「なるほど、……一理ありますね」
青年(でも、あいつと一緒に会議席につくのか……。かなり複雑な気分だ)
青年(まともに会議出来んのかな、あいつ……)
:
:
ウェイトレス「ご来店ありがとうございました」
勇者「久しぶりに魔王軍の者と話せて楽しかったよ。ありがとうな」
青年「こちらこそ、わざわざお時間作ってくださり、大変感謝です」
勇者「気をつけて帰れよ」
青年「貴方こそ、お気をつけて」
勇者「ああ……」
勇者「…………」
勇者「……行ったか」
勇者(しかし、いろいろ知ることができて良かった)
勇者(翼竜の埋めあわせは、早急に手配しなければ……)
勇者(それに、幹部達と翼竜の配下にも連絡をいれないと……)
勇者(…………)
勇者(…………)
勇者(…………)
勇者(……つまりは、潮時だな)
勇者(――明日、魔王城に帰還しよう)
今日はここまでです。
読んでくださりありがとうございます。
次回更新は来週になります。
読んでくださりありがとうございます。
次回更新は来週になります。
~村はずれの小屋~
魔法使い「ちょっと師匠ーーー! どういうことなのよーーー!」バターン
大賢者「いきなり何ですか。もう夜ですよ」
魔法使い「夜も昼も関係無いわよ、事件よ事件!」
大賢者「勇者が『伝説の剣』を装備したのでしょう?」
魔法使い「え、何で知ってんの!?」
大賢者「各地に、使い魔を飛ばしてますからね」
大賢者「ダンジョン内部までは使い魔は侵入できませんけど、」
大賢者「出てきた時には、勇者は『伝説の剣』を装備してましたから」
魔法使い「……なるほどねー」
大賢者「……しかし、偽物と踏んでたはずの勇者が、伝説の武具を装備できたとなると」
魔法使い「いったいどういうことなのよ。私じゃもうよく分かんないわ」
大賢者「勇者はやはり本物だった、あるいは……」
魔法使い「あるいは?」
大賢者「勇者の素質を持つ者が、本物になりすましていた」
魔法使い「え、なによ。勇者の素質って」
大賢者「では、ここで質問です」
魔法使い「私が質問したのに、なんで師匠が質問するのよ」
大賢者「勇者とは、どうやったらなれるでしょうか?」
魔法使い「ええ!? ……そりゃあ、なりたくてもなれるもんじゃないでしょ」
大賢者「なぜそう思いますか?」
魔法使い「だって、転職できるとこに行っても、勇者にはなれないじゃん?」
大賢者「そうですね。勇者は、普通の人ではなれません」
魔法使い「じゃあ、どうやったらなれるのさ」
大賢者「いや、それをわたしが聞いてるんですけど」
魔法使い「降参降参、ぎぶあっぷー」
大賢者「しょうがない弟子ですね、あなた」
大賢者「勇者になるには、――勇者の血を引いていないといけません」
魔法使い「え?」
大賢者「わかりませんか? 勇者は血統によってなれるのですよ」
魔法使い「いやー、わからん」
大賢者「血統というか世襲制というか、つまり勇者と血のつながりがあれば、勇者になれます」
魔法使い「いや、そういうのは分かるけど、根本が分からん」
大賢者「といいますと?」
魔法使い「なんで、勇者の血を引いてたら勇者になれるの?」
魔法使い「そもそも、勇者の血っていっても、最初に勇者になった奴はどうだったの?」
魔法使い「一番最初の勇者は、どうやってなったの? 何の血を引いてたの?」
大賢者「…………」
大賢者「…………」
大賢者「…………」
魔法使い「おーい師匠ー」
大賢者「……大賢者でも分からないことはたくさんあります」
魔法使い「今、回答から逃げたでしょ」
大賢者「鶏と卵はどちらが先なんでしょうね?」
魔法使い「たしかにその類の問題と、似たような難解さを抱えてるけどさ」
魔法使い「じゃあ何? 師匠は、あの偽勇者が勇者の血を引いてると思ってるわけ?」
大賢者「そうです。伝説の武具は、勇者にしか装備できませんからね」
魔法使い「そこも不思議なんだけどね」
大賢者「伝説の武具は、特殊な金属でできています」
大賢者「伝説の武具は、装備する者が、真の勇者か見極めることができるんです」
大賢者「まるで武具自身が意思を持っているかのようにね」
魔法使い「……なんか曰くつきの品みたいな言い方ね」
大賢者「言い得て妙かもしれませんよ? 勇者にしか装備できないという呪いがかけられた装備品」
魔法使い「伝説を呪い呼ばわりとは、師匠やるわね」
大賢者「年寄りのたわ言です」
魔法使い「しかしあの偽勇者はいったい……。勇者のお父さん、隠し子でも作ったのかな……?」
大賢者「もっと前の世代かもしれませんよ?」
魔法使い「……なんにせよ、あの偽物のことをもっと知らないとだね」
大賢者「しかし、どう尋ねたらよいか……。皆目見当つきません」
魔法使い「さすがの師匠もお手上げかぁ……。まあ、一緒に旅してたら分かるでしょう」
大賢者「おや、今回はあっさりと引き下がるんですね」
魔法使い「偽物とはいえ、勇者の素質があるからね。魔王が倒せりゃ、私はそれでいいわ」
大賢者「そうですか……」
魔法使い「あ、そうそう。これあげる」
大賢者「おや、お土産ですか?」
魔法使い「南の港町で買ったの。おさかなさんクッキー。師匠、こういうの好きでしょ?」
大賢者「はい、好物です。可愛らしいフォルムですね」
魔法使い「ドコサヘキサエン酸配合だから、食べたら頭よくなるってさ」
大賢者「DHAですね分かります。じゃあ、これを食べながら、今回の勇者の件について考えることにします」
魔法使い「また困ったら、遊びに来るわ。じゃ、私はそろそろ行くわね」
大賢者「あ、ちょっと待ってください」
魔法使い「なによ」
大賢者「――次にここへ来るときは、あなたのお友達も、全員連れてきてくださいね」
魔法使い「……!!」
大賢者「なんですか、その顔は。なにか不服でも?」
魔法使い「えー、だって気がすすまない」
大賢者「なぜです?」
魔法使い「だって、師匠と話してると素が出ちゃうんだもん」
大賢者「といいますと?」
魔法使い「勇者たちと一緒にいる時は、キャラ作ってんのよ私」
大賢者「知ってますよ。使い魔から聞いてますから」
魔法使い「この性悪……」
大賢者「あなたが他の人の前で、少しでも本当の自分が出せるように、鍛えてあげたいんですよ」
魔法使い「いつまでも、師匠面しないでほしいな。私はもう一人前よ」
大賢者「そうですか。まあ、いつでも遊びに来てください。わたし暇なんで」
魔法使い「そう言われると、むしょうに行きたい気持ちがなくなる……」
大賢者「お茶ぐらい入れてあげますよ。あ、もし良かったら、これどうぞ」
魔法使い「なにこれ?」
大賢者「わたしのオリジナルブレンドの薬草茶の茶葉です。お仲間さん達と、一緒にどうぞ」
魔法使い「あら、良い匂い。ありがとね、師匠」
大賢者「クッキーのお礼です」
魔法使い「じゃあね、師匠。また来るわ」
大賢者「ええ、楽しみにしてますよ」
――パタン
大賢者「……さて」
大賢者「まずは、どれから頂きましょうか……。あ、これはマンボウですね」
短いですけど今日はここまでです。
読んでくださりありがとうございます。
また今週来れたら来ます。
読んでくださりありがとうございます。
また今週来れたら来ます。
一台目勇者がかなり昔の人だったら案外人類の98%くらいは勇者の血をひいてたりして
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