私的良スレ書庫
不明な単語は2ch用語を / 要望・削除依頼は掲示板へ。不適切な画像報告もこちらへどうぞ。 / 管理情報はtwitterでログインするとレス評価できます。 登録ユーザには一部の画像が表示されますので、問題のある画像や記述を含むレスに「禁」ボタンを押してください。
元スレ魔王「俺も勇者やりたい」 勇者「は?」
SS+ スレッド一覧へ / SS+ とは? / 携帯版 / dat(gz)で取得 / トップメニューみんなの評価 : ★
レスフィルター : (試験中)
~宿屋・男部屋~
僧侶「きゃあああ! 助けてーー!!」
???「クルッポーーー!」バサバサ
勇者(こいつ、突然、開いた窓から入ってきただと!?)
僧侶「鳥! 鳥がぁ! ああ、やめて! つつかないで!」
???「ポーーー!」ツンツンツンツン
勇者(あのフクロウ、間違いない……側近!?)
勇者「僧侶! 早く部屋から出るんだ! こいつは俺がなんとかする!」
僧侶「あ、はい! すみません!! 失礼しました!」
――バタン
勇者「…………」
???「……」ゼエハア
勇者「……おい」
???「……!」ビクッ
勇者「なんのつもりだ? ――側近」
???「…………」
側近「……申し訳御座いませんでした」ボムッ
勇者「何を勘違いしているんだ?」
側近「え……?」
勇者「俺が求めているのは謝罪ではない。状況の説明だ」
※側近解説中
:
:
:
勇者「……つまり、あの弱小勇者からまた手紙を預かったので、」
勇者「フクロウに変身してやってきたら、俺と僧侶のただならぬ会話を聞き、」
勇者「俺を守ろうと無我夢中で、開いた窓から侵入して、僧侶を攻撃したと……」
側近「仰る通りでございます」
勇者「気持ちは嬉しいが、叱るべきかも良くわからんから、正直複雑だ」
側近「申し訳御座いません……」
勇者「しかしあんなに動揺する側近は初めて見たな」
側近「は? 何のことですか?」
勇者「貴様、フクロウの鳴き声は知ってるよな?」
側近「ええ、まあ……。一般的には、ホーホーですよね」
勇者「さっきのクルッポーは、むしろ鳩の鳴き声だと思うんだが」
側近「…………!?」
勇者「貴様らしかぬ凡ミスだな」
側近「お、仰る通りで御座います……」
勇者(消え入りそうになるほど赤面する側近も、初めて見たな……)
勇者「ところで、弱小の手紙はどうした?」
側近「あ、はい、こちらに……」
勇者「……どれ」ガサガサ
『 魔王のボケナスへ
よお、元気か? みんなも元気にしているか?
今回、超大切なこと伝えるから心して読めよ!
お前、「冒険の書」って知ってるか? どうせ知らねーだろ。
王様のとこに行って、王様に話しかけたら、今までの冒険の記録をつけてもらえるんだぜ。
だから、今日は夜遅いからいいけど、明日の朝一に城に行って、冒険の書、書いてもらえよ!
絶対だぞ! オレだって、「魔王の記録」つけてんだから、お前も冒険の書ちゃんとやるんだぞ!
あと、今日お前の代わりに、書類仕事やってやったぞ。感謝しやがれ。
オレってば、超絶スゲー勇者だから、デスクワークなんか全然大したことなかったぞ!
じゃあな、オレの仲間にもよろしくな!
勇者より 』
勇者「……相変わらず、頭の悪そうな文章だった」
側近(魔王様が眉間にしわを……。勇者のやつ、いつも何書いてるのかしら)
側近「それでは、私はこれで」
勇者「まて、まだ戻るな側近。勇者に返事を書く」
側近「え? 魔王様がお返事を?」
勇者「ああ、短く済ませるがな」カキカキ
側近「そうですか」
勇者「それと側近、貴様にも吉報を伝えてやろう」
側近「なんですか?」
勇者「――明日、魔王城に帰ることにした」
側近「……!!?」
側近「そう……ですか、それは本当に良かったです」
勇者「また退屈な日々に戻るのかと思うと憂鬱だがな。まあ、充分息抜きはできた」
側近「…………」
勇者「よし、返事が書けた。頼んだぞ、側近」
側近「かしこまりました。それでは、おやすみなさいませ。魔王様」
勇者「ああ、おやすみ側近」
――バサッバサッ
勇者「…………」
勇者「さて、僧侶の様子でも見に行くか」
勇者「余計なことは言うなと、口止めし忘れたしな」
~宿屋・女部屋~
勇者「確か、この部屋だったかな。おい、僧――」
僧侶「……、…… ――」
勇者(話し声? 誰か部屋にいるのか?)
僧侶「……神よ、私の祈りをお聞きください」
勇者(いや、ただ祈っているだけか……)
僧侶「世界に平和が訪れますように、またそのために、ちっぽけな私に力を貸してください……」
僧侶「みんなが幸せになれますように、また苦難に遭っている人に救いの手が差し伸べられますように……」
僧侶「いまこの場にはいない勇者様の身が、何事もなく安全でありますように……」
僧侶「……グスッ、……うぅ」
僧侶「また、……勇者様でない勇者様の、悩みや苦しみが和らぎますように……グス」
勇者(…………)
勇者(人間の祈りは初めて聞いたな)
勇者(知らなかった……、人間とは泣きながら祈る生き物なんだな)
勇者「……僧侶、一人か?」コンコン
僧侶「え!? は、はい!!」
勇者「扉は開けなくていい。言い忘れたことがあったから、伝えに来ただけだ」
僧侶「な、なんでしょうか?」
勇者「いいか? 今日聞いた話は、誰にもするんじゃない――」
僧侶「……ッ!? ……はい」
勇者「よし、それでいい。おやすみ僧侶」
僧侶「……おやすみなさい」
僧侶「…………」
僧侶(……怖かった。ドア越しなのに、殺されるかもって思った……)
僧侶「……彼はいったい、誰なの?」
勇者「…………」スタスタ
魔法使い「あっれー? 勇者ちゃん、何してんの?」
勇者「別に、なんでもない」
魔法使い「あっそー、聞くだけ無駄でした的な?」
勇者「それより、何を持ってるんだ?」
魔法使い「これ? 薬草茶よ。知人にもらったの」
勇者「…………」
魔法使い「欲しい? なんなら、一杯あげるよ」
勇者「では、もらおうか」
魔法使い「はい、どうぞー」
勇者「いい匂いだな……」ゴクッ
魔法使い「でしょー、お味はどう?」
勇者(――!? これはっ!?)
魔法使い「なに? びっくりするほど美味しかった?」
勇者「……魔法使い、これを作ったのは誰だ?」
魔法使い「えー、誰って知り合いだってば。昔なじみの知り合い」
勇者「……今度、そいつに会いに行くことはできるか?」
魔法使い「げえっ」
勇者「なんでそんなに嫌そうな顔をするんだ」
魔法使い「まあ、それはあれよ、いろいろとあってね」
勇者「できることなら、なるべく早く会いたい。嫌なら住んでる場所だけでも教えろ」
魔法使い「んー、ものすごく気が進まないけど、住んでるとこは、この間の温泉の村の郊外よ」
勇者「そうか、ありがとう」
魔法使い「それより、僧侶ちゃん見なかった?」
勇者「…………」
魔法使い(あー、めっちゃ警戒されてる目だわ、こりゃ)
勇者「……見たが、それがどうかしたか?」
魔法使い「んー、僧侶ちゃんにも薬草茶あげようと思ったんだけどね」
勇者「なら、僧侶は部屋に戻っているぞ」
魔法使い「おーけー、教えてくれてありがとー。あ、僧侶ちゃんとなんか話した?」
勇者「他愛もない話をしただけだ」
魔法使い「あ、そう。じゃあねー、おやすみー」
勇者「ああ、おやすみ」スタスタ
魔法使い(……タイミングずれちゃったか。残念残念)
魔法使い(もう少し早く気付けば、会話を拾えたかもしれないのにねー)
魔法使い(まあ、悔やんでもしょうがない。明日もなんかアクションしてみよ)
~宿屋~
勇者「…………」スタスタ
勇者「…………」ピタッ
勇者(あの薬草茶とやら、俺は以前飲んだことがある……)
勇者(知ってる味だった。確か、幼い頃だっただろうか)
勇者(それも、人間界ではなく、魔界でだ……)
勇者(つまり、これを作った人物は――)
戦士「うぇっほほーい、勇者ー! 飲みすぎちったぁー! たっだいまぁーーん!!」フラフラ
勇者「……殺意の湧くタイミングと、テンションで帰ってきたな戦士」
~魔王の部屋~
魔王「…………」
魔王「……んー」ゴロン
魔王「んあーー」ゴロン
魔王「だめだー、全然寝付けねえ」
魔王「まったく、魔王のやつ。あんな手紙よこしやがって……」
『 明日、魔王城に帰る。
心して待て。
魔王より 』
魔王「だぁあーー! 寝れねぇーー! 明日早起きしないといけないのにー!!」
今日の分はここまでです
更新遅くなってもうしわけありませんでした
読んでくださりありがとうございます
次回から佳境に入るかも……?
また来週来ます
更新遅くなってもうしわけありませんでした
読んでくださりありがとうございます
次回から佳境に入るかも……?
また来週来ます
――――――――――
―――――…
―……
「おとーさん」
「なんだ?」
「ゆーしゃって、なにする人なの?」
「いい質問だな。おまえはどう思う?」
「え? んー……、わかんない」
「字を見たらよくわかるぞ。勇者は「勇ましき者」と書いて、勇者だ」
「いさま……し?」
「勇気があるってことだよ。勇気があると、恐れないで危険や困難に立ち向かえるんだ」
「へえー」
「相手が魔物だろうと、魔王だろうと、みんなのために恐れず戦う――それが勇者だ」
「ねえ、おとーさん。オレもおとーさんみたいな、ゆーしゃになれるかな?」
「んー、そうだなぁ……」
「……」ドキドキ
「……正直、分からん!」
「えっ!?」
「確かに、おまえには勇者になる素質があるよ。勇者の血を引いているからな」
「じゃあ、なんでわからんなの?」
「素質だけじゃあ勇者にはなれないんだ」
「どういうこと?」
「“血”だけじゃなくて、“心”が勇者じゃなきゃ、勇者にはなれないんだ」
「こころ……?」
「おまえにはまだちょっと、難しいかな。あ、そうだ、久々に剣の稽古でもつけてやろうか?」
「うん! おけいこする!」
「よし、じゃあいくか。母さーん、ちょっと出かけてくるぞー。夕飯までには戻るからなー」
―……
―――――…
――――――――――
~魔王城・裏庭~
――キィン ガキィン!
暗黒剣士「なかなかの腕前ですね、魔王様」
魔王「あんたもやっぱり強いな。一太刀ごとの重みが違う」
暗黒剣士「お褒めの言葉、有難く頂戴します。――ハァッ!」
魔王「うぉっと!? いいね、そうこなくっちゃな!」
:
:
暗黒剣士「魔王様、手合せ有難うございました」
魔王「おう、オレも楽しかったぜ。ありがとうな」
暗黒剣士「では、私はこれから持ち場に向かいます」
魔王「ああ、ご苦労さん。……ふぁあ」
暗黒剣士「眠そうですね、魔王様。大丈夫ですか?」
魔王「いやー、昨日ちょっと寝れなくてさ。ま、大丈夫だろ」
暗黒剣士「そうですか、あまりご無理をされないように」
魔王「そうするわ。心配してくれてありがとうな」
暗黒剣士「いえ、礼を言われるほどのことでは……、あ、魔王様」
魔王「なに?」
暗黒剣士「次回の特訓は、いつになさいましょうか?」
魔王「あー、……そうだな」
『 明日、魔王城に帰る。 』
魔王「……とりあえず、今後の予定もわからんし、また気が向いたら頼むわ」
暗黒剣士「かしこまりました。それでは行ってまいります」
魔王「おう、じゃな。がんばれよ」
魔王「…………」
魔王「……あー、今日で魔王城ともおさらばと思うと、なんか寂しいな」
魔王「二日しか経ってないのに、いろいろあったなぁ」
魔王「…………」
魔王「あいつら、いつこっち来るのかな」
魔王「せめて、昼飯食ってから帰りたいな」
魔王「…………」
魔王「あ! そんなことより、朝飯が先だ! あさめしあさめしー♪」
魔王「…………」
魔王「……はあ」
~城~
王様「よくぞ来た勇者よ! そなたらの旅の成果を、冒険の書に記録してもよいかな?」
勇者「はい」
王様「しかと記録したぞよ。ではゆくがよい! 勇者よ!」
勇者「はい」
勇者(あの弱小が強く勧める割には、案外あっさりしてたな)
勇者(しかし、二回しか来ていないのに、この貧弱な城も見納めとなると、どこか感慨深い)
戦士「なーんか、久々にお城に来た気がするなー」
僧侶「二日ぶりなんですけどね」
魔法使い「それにしても、妙だねぇ」
勇者「何がだ、魔法使い」
魔法使い「見てごらんよ」
学者「資材はこちらでよろしいですか?」
宮廷魔導士「ああ、確かに。では、あの梱包済みのやつを一階に降ろしてもらえるかい?」
学者「かしこまりました。直ちに」
兵士「隊長! 馬車と馬の手配、もう少し時間がかかりそうです!」
隊長「遅いぞ! あと40分後には出発なんだ! 何が何でも間に合わせろ!」
兵士「はっ!」
勇者「……ずいぶんと慌ただしいな」
僧侶「みなさん、走り回ってて、お忙しそうですね」
魔法使い「ね? お城っていつもこんなんだっけ?」
戦士「えー、いつもこんなんじゃなかったっけ? おれ、以前ここで働いてたけどさ」
魔法使い「戦士ちゃんが言うと、頼りになるはずのセリフも、頼りなくなるねえ。信憑性的な意味で」
勇者「……興味がわいた。少し探るか」
魔法使い「んー、では行きますか」
勇者「おい、そこの」
宮廷魔導士「おや、これはこれは勇者様。ご機嫌麗しゅう」
勇者「これから何があるんだ? ずいぶん賑やかな様子だが」
宮廷魔導士「いえ、勇者様がお気になさるようなことでもありませんよ」
魔法使い「でも、珍しくないかい? 学者さんも兵士さんも、どたばた走り回ってさ」
宮廷魔導士「我々としては、極秘任務ゆえ、外部の人間には、あまり口外したくないんですけどね」
魔法使い「そこをなんとか」
宮廷魔導士「困りますね」
勇者「魔法使い、その辺にしておけ。とりあえず、極秘任務ということは分かったんだ」
魔法使い「ちぇ、了解ー。あきらめが早いなぁ、勇者ちゃん」
勇者「誰があきらめると言った?」
魔法使い「え?」
勇者「みんな、ついてこい」
~城・研究室~
戦士「相変わらず、ここは本が多いなー」
僧侶「こちらの方々も、忙しそうですね」
魔法使い「なるほど、上位の人間が口を割らないなら、他へってことか」
勇者「そういうことだ。……おい、そこの」
老学者「ほえ? おおお勇者様、わざわざこんな所まで足を運んでくださるとは」
勇者「一つ質問がある。今日なにかあるのか? 城内がやけに騒がしいが」
老学者「うーむ、他の者にはあまり言うなと言われとっての。なんといったらよいか……」
勇者「言える範囲でいい。少し気になっただけだからな」
老学者「ふむ、そういうことなら、――実は、研究中だった魔導具が先日ついに完成しましてな」
戦士「魔導具?」
魔法使い「魔力の籠った道具のことね。使うと、魔法を使った時みたいな効果が表れる」
老学者「左様。試験運用も上々、ゆえにこれから城外で、実際に使ってみようというわけでして」
僧侶「それで馬車の手配があったんですね」
老学者「まあ、わしから言えるのはこのくらいかのぉ」
魔法使い「ありがとー、おじいちゃん。参考になったわ」
勇者「世話になった……、ではそろそろ、――!?」
戦士「ん、どうした? 勇者」
勇者「少し待ってろ」
ゆうしゃは ほんだなを しらべた。
ゆうしゃは 「ゆうしゃのけっとうとでんしょう」を みつけた! ▼
魔法使い「『勇者の血統と伝承』? へえ、面白そうな本じゃない」
僧侶「かなり古い本ですね」
老学者「確かもう廃版になっとる本じゃぞ。もう出回っとらんから、入手困難で希少な本じゃ」
勇者「じいさん、この本、借りて行きたいんだが……」
老学者「ふぉっほ、勇者様のお頼みとあらば、お断りできんとも」
勇者「ありがとう、助かる」
戦士「さーて、冒険の書も記録したし、そろそろ行くか?」
勇者「いや、まだだ」
僧侶「といいますと、どちらへ?」
勇者「まだ、充分なアイテム補充をしていない。少し買い物にでかけるぞ」
魔法使い「そうねー、古代の迷宮でけっこう使ったしね」
勇者「そのあとは、母さんに挨拶してから、魔王城に行く」
魔法使い「お、えらいぞ。ちゃんと顔見せに行くなんて」
勇者「この間、そう言われたからな」
勇者(……それに、実質これが最後になるかもしれないからな)
勇者「というわけで諸君、まずは買い物だ」
戦士 & 僧侶 & 魔法使い「おー!」
本日の分はここまでです。読んでくださりありがとうございます。
ちょっと遅れてしまい申し訳ないです。週一更新がんばります。
目標木曜、あるいは今週中にまた来ます。
ちょっと遅れてしまい申し訳ないです。週一更新がんばります。
目標木曜、あるいは今週中にまた来ます。
~魔王の部屋~
側近「本日の朝食は、魔獄高原の採れたて黒イモのポタージュとおかずパンケーキです」
魔王「……ん」
側近「パンケーキは、添えてあるトマトソースでお召し上がりください」
魔王「……おう」
側近「……魔王様、大丈夫ですか?」
魔王「んへ!? な、なにが!?」
側近「あまり元気が無さそうでしたので」
魔王「あー……」
魔王「なんていうかさ、もうすぐ魔王帰ってくるんだよな?」
側近「そうですね。そのように聞いております。何とも嬉しいことです」
魔王「……そうか、側近は嬉しいか」
側近「まお……、勇者様はどのように感じておいでですか?」
魔王「うーん。正直、……複雑」
側近「へえ、意外ですね。てっきり勇者様も喜んでいるのだとばっかり」
魔王「そりゃあ、仲間とかに会えるのは嬉しいよ。二日ぶりだけど、やっぱり嬉しい」
側近「では、なぜ複雑な心境に?」
魔王「なんて言ったらいいんだろうな……」
魔王「たった二日だけど、いろんなことがあったよな」
側近「はい」
魔王「短いなりに、魔物や魔王軍のこととか少しだけ見れて、ちょっと勉強になった」
側近「まあ、魔王として生活できる勇者なんて、ごくまれかつ希少に違いありません」
魔王「勇者としてこれから何ができるのか、考える機会にもなったけど……」
側近「けど?」
魔王「魔王城から離れるのがさ、なんだかさみしいんだ」
側近「…………」
魔王「情が移ったっていうのとは、ちょっと違うと思う」
魔王「愛着が湧いたっていうのは、近いけどやっぱり違う」
魔王「側近にもたくさん世話になった。勇者なのに、魔王軍のみんなと知り合えて良かった」
魔王「だからかな……。離れるのがさみしい」
側近「…………」
側近「魔王様、一つ質問があります」
魔王「ん、なに?」
側近「貴方は誰ですか?」
魔王「え? 勇者だけど?」
側近「なら、何も問題ないではありませんか」
魔王「なんで? なにが?」
側近「貴方は勇者です。ゆえに、いつでも魔王城にお越しください」
側近「我々魔王軍精鋭部隊が、全力をもっておもてなし致します」
側近「要は、いつでも会いにきてよろしいということです」
側近「当然、魔王の顔ではなくなるのですから、立場は変わるでしょう」
側近「しかし、仲間に隠れて、心のうちで密かに懐かしむくらいは、できるのではないですか?」
魔王「…………」
魔王「ありがとうな、側近。んじゃあ、お言葉に甘えて、ときたまお邪魔させてもらうよ」
側近「ええ、いつでもどうぞ。全兵力を用いてねじ伏せますから」
魔王「容赦ないなぁ」
側近「さ、魔王様。早くお召し上がりください。せっかくの料理が冷めてしまいます」
魔王「ああ、そうだな。いただきます」
前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 次へ / 要望・削除依頼は掲示板へ / 管理情報はtwitterで / SS+ スレッド一覧へ
みんなの評価 : ★類似してるかもしれないスレッド
- 魔王「お前、実は弱いだろ?」勇者「……」 (333) - [48%] - 2016/6/11 10:15 ★
- 提督「俺の嫁艦をバカにすると言うのか?」 (218) - [47%] - 2016/3/17 7:15 ☆
- 魔王「助けてくれぇ勇者ぁ!」 (76) - [45%] - 2018/10/15 2:47
- 姫「疲れた、おんぶして」勇者「はいはい」 (815) - [45%] - 2012/7/11 15:45 ★
- 上条「そろそろ怒っていい?」 イン「ん?」 (465) - [43%] - 2011/5/30 6:31 ★★★
- 魔王「余は何をやっておるのだ……」 (827) - [42%] - 2012/1/15 14:30 ★
トップメニューへ / →のくす牧場書庫について