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元スレ魔王「俺も勇者やりたい」 勇者「は?」
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>>600
今の全人類のDNAを調べると1人のアフリカ人女性に辿り着くのと同じですね
今の全人類のDNAを調べると1人のアフリカ人女性に辿り着くのと同じですね
八月いろいろと立てこんでいて、なかなか来れなくて申し訳ありませんでした
少しですけど、投下します
少しですけど、投下します
~酒場~
戦士「っはー! うめぇええー! じゃんじゃん持ってこーい!」
船乗りA「ヒュー、あんちゃん、すげー飲みっぷりだな」
戦士「あたぼうよぉ! 瓶じゃ足りねぇ! 樽ごと持ってこい!」
船乗りB「あんた、この町の奴じゃねえな。 どこから来たんだ?」
戦士「あー、どこからって……。まあ旅してるんだよ、仲間とな。おかわり!」
船乗りA「なるほどね。ていうかペース速すぎやしないか?」
船乗りB「あんまり無茶すると、痛い目みるぜー」
戦士「はっはっは! おれが酒に呑まれるもんかよ!」
船乗りA「すげえ自信だな、あんちゃん。でも、思わずげろっと行くかもしんねぇぜ?」
船乗りB「あー、げろと言えばさ。今日の遊覧船酷かったよな?」
船乗りA「ああ、午後のだっけ。どこのどいつかしんないけど、甲板に盛大にぶちまけやがって」
戦士(……ギクッ)
船乗りB「あの掃除大変だったよなぁ。臭いもひどいし、量もひどいし」
船乗りA「掃除に時間かかって、次の出港も少し遅れたし」
船乗りB「まったく、誰の仕業だろうな」
船乗りA「いずれにしろ、相当、乗り物に弱い奴なんだろうぜ」
戦士「…………」ソロリソロリ
船乗りA「お、あんちゃん帰るのか?」
戦士「えっ!? ああ、まあな! 仲間待たせてるからよ!」
船乗りB「お仲間さんによろしくなー。気をつけて帰れよー」
戦士「おうよ! じゃあなー!」
:
:
:
戦士「いやー、罪悪感半端なかったなー。思わず酔いも醒めるほどに」
戦士「……あと一軒くらい寄ってから帰るかな」
~宿屋・女部屋~
魔法使い「ただいまー」
僧侶「あ、おかえりなさい」
魔法使い「おや、僧侶ちゃん早かったね。どこ行ってたの?」
僧侶「えーと、少しお墓参りに……」
魔法使い「あら……、そう。なんか暗いけれど、流石は僧侶ちゃんってとこかな?」
僧侶「そういう魔法使いさんは、どちらへ?」
魔法使い「知人に会いに行ってあげたのよ、お土産も買ってさ」
僧侶「そうですか」
魔法使い「あ、そういえば、僧侶ちゃんさー」
僧侶「はい?」
魔法使い「勇者ちゃんには、もう告ったわけ?」
僧侶「!!?」
僧侶「ななな、ななんで……!?」
魔法使い「おや、忘れたとは言わせないよ。前回の宿では有耶無耶になったけどさ」
僧侶「で、でも無理です! 私には無理ですぅ!」
魔法使い「何言ってんの。恋愛沙汰は当って砕けろが基本姿勢よ。恐がらないで行く!」
僧侶「いやぁああ、だってぇええ!」
魔法使い「僧侶ちゃん、腹括りなさいな。ここで動かなかったら、きっと一生後悔するよ?」
僧侶「――!?」
魔法使い「勇者ちゃんは、伝説の剣を手に入れた。決着の日は近いわ」
僧侶「…………」
魔法使い「もう一緒にいられる時間は秒読みよ。そんなに後悔したいの? 僧侶ちゃん」
僧侶「……わ、私は」
魔法使い「とりあえず、勇者ちゃんに会いにいったら?」
僧侶「え?」
魔法使い「告白する気がないなら、しなくてもいいよ。したくなったらすればいいし」
僧侶「…………」
魔法使い「会って話して、何気ない言葉を交わして、少し気持ちを整理したら?」
僧侶「……はい」
魔法使い「まあ、あたしはこれでも一応、僧侶ちゃんを応援してるからね」
僧侶「……本当ですか? 面白がってるだけじゃないですか?」
魔法使い「ギクッ……そんなこと、ないわよー」
僧侶「なんで眼を反らしてるんですか?」
僧侶「はぁ……。じゃあ、行ってきますね」
魔法使い「健闘を祈るー」
僧侶「うう、気が重い……。あ、魔法使いさん、先に寝ててもいいですからね」
魔法使い「らじゃー。そのまま朝まで帰ってこなくてもいいのよ?」
僧侶「!!? なんてこと言うんですか! もう!」バタンッ
魔法使い「あー、行っちゃったー」
魔法使い「相変わらず、僧侶ちゃんは面白いなぁー」ケラケラ
魔法使い「…………」
魔法使い「僧侶には悪いけど、――これで勇者が尻尾でも出してくれればいいんだけどね」
~宿屋・男部屋~
勇者「…………」
勇者「…………」
勇者(……『伝説の剣』。やはり、本物のようだ)
勇者(海魔人との食事の後に、武器商人に見てもらったが、本物に違いないと言われた)
勇者(剣が「本物」ということは……)
コンコンコン……
勇者「入れ」
僧侶(ビクッ……!)
僧侶「…………、し、失礼します」ガチャ
勇者「僧侶か、何の用だ?」
僧侶「え、あ、その……用という用はないんですけど……」
勇者「そうか、ならば自分部屋に戻れ」
僧侶「え!?」ガーン
僧侶(どどどどうしましょう魔法使いさーーーん!)
----【僧侶回想中】--------------------------------------------------------------------
魔法使い「何言ってんの。恋愛沙汰は当って砕けろが基本姿勢よ。恐がらないで行く!」
----【僧侶回想終了】-------------------------------------------------------------------
僧侶(……そ、そうだ! 怖がっちゃ駄目だ!)
僧侶(砕けるのは嫌だけど、とにかく当たってみよう!)
僧侶「いえ、そういうわけにはいきません!」
勇者「なぜだ?」
僧侶「勇者様にお話ししたいことがあったんです!」
勇者「そうか、では言ってみろ」
僧侶「うひゃい!?」ビクッ!
僧侶(しししまったー! 何話せばいいか、考えるの忘れたーーー!)
僧侶(どうしよう! あ、でも魔法使いさんは、何気ない話でもいいって言ってたし……)
僧侶(勇者様と……、何気ない話……。あ!)
僧侶「あの、勇者様……。最近、悩んでいることとかありませんか?」
勇者( !? )
僧侶「その……、伝説の剣を手に入れてから、勇者様元気がないなと思って……」
勇者「…………」
僧侶「もし、悩んでいることがあるなら、話してくださってもいいんですよ……?」
勇者「…………」
勇者(……人間ごときに、そんなことを悟られるとは、俺も堕ちたもんだな)
勇者(どうする、いっそ言ってしまうか? どうせ明日には、魔王に戻る身分だ)
勇者(――万が一話し過ぎてしまった時は、適当に口封じすればいい話だ)
今日はここまでです。
読んでくださりありがとうございます。
また明日か、今週来ます。
読んでくださりありがとうございます。
また明日か、今週来ます。
~魔王の部屋~
魔王「えーと、今日の分の魔王の記録を……」カリカリ
『 ……歴 д月зф日
今日は朝から魔王のハンコ探しする羽目になった。
途中いろいろトラぶったけど、なんとか収拾がついた。
デスクワークとかまじハード。魔王って大変なんだな。
明日の朝は、暗黒剣士と剣の稽古があるから、早起きしないと……。
……最近、ちょっと考えてることがある。でもどうしたらいいか分からない 』
魔王「なーんか適当になった気がするけど、まあいっか」
魔王「はー、みんな元気かなー……」
魔王「…………」
魔王「――あっ!?」ガタッ
魔王「側近ーー! 側近ーーーー!」
側近「何用でしょうか、魔王様」ガチャ
魔王「うぉ、相変わらず早いな。なあ、この手紙を魔王に届けてほしいんだけど」
側近「またですか? 私は郵便屋ではありませんよ?」
魔王「だって、こんなこと頼めるの側近しかいないし、大事なことだから伝えないといけないし」
側近「……まあ、分かりました。しかし、次からは自分で行ってもらいますからね」
魔王「ありがと! ほんとに助かる!」
側近「それでは、行ってまいります。おやすみなさいませ、魔王様」パタン
魔王「ああ、側近もおやすみ」
魔王「…………」
魔王「あー、いま気づいて良かった……」
魔王「魔王のやつ、きっと『冒険の書』のことなんか知らないだろうからな」
~宿屋~
勇者「そうだな、では俺の悩みを聞いてもらうことにしよう……」
僧侶(どきどき……)
勇者「まず言っておかなければならないことがある。――俺は勇者ではない」
僧侶「はい……」
勇者「…………」
僧侶「…………」
勇者「…………」
僧侶「…………」
僧侶「――え?」
勇者(……たっぷり8秒の間が空いたな)
勇者「聞こえなかったか? 俺は勇者ではない」
僧侶「え、え、でも、だって……???」
勇者「だって……、何だ?」
僧侶「その、貴方、勇者様の姿をしてるじゃないですか」
勇者「呪文でそうしているに過ぎない」
僧侶「じゃあ、伝説の剣は……?」
勇者「そこはよく分からんが、俺は勇者じゃない」
僧侶「…………」
僧侶「…………」
僧侶「……あの」
勇者「なんだ?」
僧侶「……ほんとうに、勇者様ではないんですか?」
勇者「そうだと言っているだろう。何度言わせる気だ」
僧侶「だって、俄かに信じられなくて……」
勇者「そうか、聞くだけでは信じないか。ならば僧侶、窓を開けろ」
僧侶「え? あ、はい」カララ……
~宿屋・外~
戦士「はー、満足満足。たらふく飲んだなぁ」
戦士「宿に戻るには、ちっと早いけど皆帰ってるかなぁ」
戦士「おっ。おれと勇者の部屋の窓、明かりがついてら。勇者、先に帰ってるな」
僧侶「――? ―、――」カララ……
戦士「んん? ありゃ僧侶か? おれ達の部屋になんの用だ?」
戦士「あー、中に引っ込んじまったよ。おーい、僧……」
――ビヒョオォオオオ!!
戦士「うぉぁあっ!? なんだなんだ!?」
戦士「なんで、部屋から突然、吹雪が……」
戦士「……酔ってんのかな、おれ。酔い覚ましに、歩きまわってから帰ることにしよ」
~宿屋~
ゆうしゃは こごえる ふぶきを はいた! ▼
僧侶「ひっ――!?」
勇者「ふむ、まあこんなもんか」
勇者「さて僧侶、お前の知っている勇者は、こんな芸当ができたのか?」
僧侶「い、いえ、できません」
勇者「ならば、俺が偽物だと納得したか?」
僧侶「……はい」
勇者「よし、それでいい」
僧侶「あの、勇……。貴方に、いくつか質問があるんですが」
勇者「答えられる範囲なら答えてやってもいいぞ」
僧侶「では、まず一つ。貴方が偽物なら、貴方は本当はだれなんですか?」
勇者「あえて、今は正体は伏せさせてもらうぞ。どうせ明日になれば分かることだ」
僧侶「……そうですか。あの、本物の勇者様は、どこにいますか?」
勇者「それも答えるまでもないな。どうせ明日には其処へ行く」
僧侶「……。ちなみに、貴方はどうして勇者様に成り替わろうと思ったんですか?」
勇者「退屈で死にそうだったからだ」
僧侶(……なんか、まともに答えてもらってない気がする)
勇者(釈然としない表情っていうのは、こういう顔のことを言うんだろうな)
僧侶「……でも、ちょっとだけ納得しました」
勇者「ほう、何に対してだ?」
僧侶「薄々、最近の勇者様は、もしかしたら別人かもと思ってたので……」
勇者「そうなのか、何を根拠にそう思ったんだ?」
僧侶「だって、勇者様、いつもと雰囲気が違いましたし……」
勇者「…………」
僧侶「勇者様が、お母様と話す時も、いつもよりぎこちなかったし……」
勇者「…………」
僧侶「古代の迷宮でゴーレムと戦った時も、ちょっと怖いなって思ったし……」
勇者「…………」
僧侶「フィールドの魔物と闘うのも避けてましたし……」
勇者「…………」
僧侶「伝説の剣を装備した時も、様子がおかしかったし……」
勇者「…………」
勇者(……ずいぶんと不振がられていたんだな俺は)
勇者(ここまで一辺に並べられると、なんだか悲しくなってくる)
勇者(それにしても……)
勇者「僧侶」
僧侶「はい?」
勇者「俺が偽物かもしれないと思いながら、なぜ俺の指示に従い続けたんだ?」
僧侶「え、それは――、だって」
僧侶「貴方は、ちゃんと勇者様として、冒険してくださいましたから」
勇者「…………」
僧侶「それに、貴方はあまり表には出しませんけど、きっと優しい方なんだろうなと思って」
勇者「ふん……」
僧侶「あ、あの、すみません。何かお気に障るようなことでも……?」
勇者「気にするな、なんでもないことだ」
勇者(魔王が「優しい方」か……。不名誉極まりないな)
僧侶「それより、そろそろお聞かせ願えませんか?」
勇者「なにをだ?」
僧侶「もちろん、貴方のお悩みですよ」
勇者「ああ、それか……」
勇者(割と話し込んだものの、ここから本題に入るというのも億劫でたまらんな)
勇者(そもそも、俺の気持ちの整理もついていないし……)
勇者(……聞いてもらうのは、諦めてもらうことにしよう)
勇者「いや、それはいい。些細な問題だ」
僧侶「え?」
勇者「相談するまでもないことだ、数日も経てば、きっと忘れ……」
僧侶「そんなこといけません!」
勇者「え?」
僧侶「だって、貴方は今も苦しそうな顔をしてます」
勇者「…………」
僧侶「何日もそんな顔でいられて、私や仲間たちが心配しないとでも?」
勇者「…………」
僧侶「お願いします。私、どうしても貴方の力になりたいんです」
勇者「…………」
僧侶「私が勇……、いえ、貴方を助けるには――」
~宿屋・外~
側近「……」バサッバサッ
側近「……」バサッバサッ
側近(ようやく着いたわね。魔王様、まだ起きてるといいのだけれど……)
側近(あ。あの窓の開いている部屋、魔王様がいらっしゃるわ)
側近(ん、でも、もう一人いる――あいつは、僧侶!)
僧侶「私が……、貴方を……には――、貴方のお気持ちを聞く必要があるんです!」
側近(――!?)
側近(いま、あいつ何と言った!?)
側近(お気持ちを聞く、だと!? なんの気持ちのことだ!?)
側近(まさか、あの僧侶。既に告白を終えて、魔王様の是非を聞く段階なのか!?)
側近(…………)
側近(…………)
側近(…………)ゴゴゴゴゴ
側近( あ の 小 娘 !! )ゴゴゴゴゴ
更新遅くなってしまい申し訳ありませんでした
今日はここまでです
読んでくださりありがとうございます
また今週来ます
今日はここまでです
読んでくださりありがとうございます
また今週来ます
~宿屋・女部屋~
魔法使い「ひーまーだーわー」
魔法使い「お風呂も入っちゃったし、寝る前のスキンケアも終わっちゃったし、」
魔法使い「寝てもいいけど、寝るには早いし……」
魔法使い「……僧侶、うまくいったかなあ」
魔法使い「……ハッ! 閃いた!」
魔法使い「師匠からもらった薬草茶を淹れて、二人に持って行ってあげよ!」
魔法使い「様子も見れるし、お茶も飲めるし、一石二鳥ね」
魔法使い「というわけで、お湯沸かしにいこー」
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