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    元スレ勇者「すごい美人で有能な僧侶と魔法使いをお願いします」

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    301 = 271 :

    魔法使い「なっ……!!」

    長老「どうした!!」

    エルフ「庇ったの……?」

    僧侶「ぅ……ぁ……」

    勇者「……!!」

    神官「失敗」

    勇者「……」

    魔法使い「いやぁぁぁ!!!!」

    神官「処刑開始」スッ

    勇者「くっ……!!」ジリジリ

    神官「撤退不可。抵抗無意味」スタスタ

    勇者「……っ」

    魔法使い「あぁ……ぁ……!!!」ガクガク

    神官「処刑開始」スッ

    勇者「……」

    303 = 271 :

    僧侶「……」スクッ

    長老「なに?!」

    エルフ「え……!?」

    神官「……?!」バッ

    僧侶「……」

    神官「理解不能……!!」スッ

    勇者「―――でぁぁぁ!!!」

    神官「……!!」

    勇者「あぁぁぁぁ!!!!」ザンッ

    神官「はっ……ぁ……!?」

    勇者「はぁ……はぁ……戦闘中に背中を向ける奴が……あるか……ど素人め……!!」

    魔法使い「え……どうして……?」

    僧侶「や……やりま……し……」フラッ

    勇者「危ない!!」パシッ

    僧侶「ゆう……しゃ……さま……」ニコッ

    304 = 292 :

    頭も悪そうだぞ

    306 = 271 :

    長老「馬鹿な……神官の魔法を受けて……立ち上がるなんて……!!」

    勇者「彼女は常に治癒魔法が漏れている状態なんです」

    エルフ「え?」

    勇者「だから、魔力さえ残っていれば自動的に自分を治癒する」

    魔法使い「でも……もう治癒できるだけの魔力は……」

    勇者「魔力を回復させれば問題はありません。たとえ雀の涙ほどでも魔力があるなら、多少なりとも傷は癒えます」

    魔法使い「それはそうだけど……どうやって回復させたわけ……?」

    勇者「大丈夫ですか?」

    僧侶「気絶しなかったのが……奇跡……ですね……」

    勇者「本当に。だから、危ない賭けでした」

    僧侶「ふふ……私でも……お役に……立て……ましたか……?」

    勇者「ええ……」

    僧侶「うれ……し……ぃ……」

    魔法使い「大丈夫なの!?」

    勇者「気を失っただけです。問題ありません。でも、絶対安静ですね……」

    307 = 271 :

    長老「馬鹿な……人間に……負けるとは……」

    エルフ「こんなことって……」

    勇者「まずは彼女の休む場所を用意してください」

    魔法使い「大丈夫!?ねえ!!」

    僧侶「うぅ……」

    勇者「魔力はもう残っていないでしょうね。傷が殆ど癒えていない」

    長老「そんな……こんなことあってはならん……!!」

    エルフ「長老……」

    長老「人間に……我々が……!!」

    エルフ「長老、しっかりしてください」

    勇者「慢心した結果だ。人間は貴方たちが思っているほど、弱くはない」

    長老「数の暴力しか知らぬ……野蛮な種族……のはず……なのに……」

    勇者「お願いします。今は一刻も早く、彼女を休ませてあげたいのです」

    エルフ「……こちらに」

    僧侶「ぁ……ぅ……」

    308 = 271 :

    ―――エルフの家

    エルフ「……」パァァ

    僧侶「うぅ……ぅ……」

    エルフ「これで大丈夫でしょう」

    勇者「本当ですか?」

    エルフ「ええ」

    魔法使い「よかったぁ……」

    エルフ「だけど、しばらくは安静にしておかないと……」

    勇者「……」

    エルフ「それでは、ボクはこれで」

    勇者「待ってください」

    エルフ「なに?」

    勇者「……ありがとうございました」

    エルフ「……ごゆっくり」

    勇者「……」

    309 = 271 :

    僧侶「すぅ……すぅ……」

    魔法使い「本当によかった……」

    勇者「いやー、死ぬかと思いましたね」

    魔法使い「ねえ……どういうことなの?この子は魔力がなくなってたはずなのに」

    勇者「以前、彼女に携帯させた物を使ったのですよ」

    魔法使い「え?」

    勇者「すぐに魔力が枯渇する彼女にとって最大の武器に成り得る……これを」スッ

    魔法使い「それ……非常食?」

    勇者「僕を庇う直前に食べるように言っておきました。魔力は睡眠か食事を取ることで回復するとのことですので」

    魔法使い「死んだらどうするつもりだったの?」

    勇者「そのときは……諦めるしか……」

    魔法使い「……」

    勇者「申し訳ありません。僕は最低の手段を選び、彼女を危険に晒しました。どんな罰も受けるつもりです」

    魔法使い「私に言われても……困るわ……」

    勇者「申し訳……ありません……」

    310 = 271 :

    ―――長老の家

    長老「魔王様……」

    魔王『結果は?』

    長老「勇者は生きております」

    魔王『殺し損ねたか。下等種族では荷が勝ちすぎていたか?』

    長老「勇者らの体質を知っていれば、負けはしませんでした」

    魔王『言い訳はよい。して、体質とはなんだ?』

    長老「勇者は魔法の類を一切使えぬ人間であり、剣術に長けています」

    魔王『ふむ……』

    長老「そして二人の術者ですが……こやつ等が一癖ありまして……」

    魔王『早く言え』

    長老「一人は魔力の放出ができず、相手に接触しなければ傷を負わせることが叶いません」

    長老「治癒魔法を操る者は常に魔力が漏れている状態で、魔力が尽きぬ限りは自身と自身に触れた者を癒します。ですが、魔力はすぐに尽きてしまいます」

    魔王『欠陥の特異体質というわけか。ふはははは……そうか……感謝するぞ、エルフの長よ。これで我の勝利は約束された』

    長老「はい……」

    311 = 271 :

    ―――エルフの家

    僧侶「……」

    勇者「……」

    魔法使い「いい加減、休んだら?」

    勇者「……」

    魔法使い「目が覚めるまでもう少しかかるわよ」

    勇者「ですが……」

    魔法使い「いいから。もしかしてアンタ、無意味に服を脱がせたりしようなんて考えてないわよね?」

    勇者「そんなこと考えていません」

    魔法使い「本当かしらぁ?」

    勇者「僕の所為で……彼女は……」

    魔法使い「……いいから、休んで。アンタだって、傷ついてヘトヘトのはずよ?」

    勇者「……」

    魔法使い「これは命令。休め」

    勇者「わかりました……」

    312 :

    魔法使いがうざいな

    313 = 271 :

    ―――エルフの里

    勇者「……」

    エルフ「何をしている?」

    勇者「……」

    エルフ「怒っているの?」

    勇者「はい」

    エルフ「でも、貴方たちだってボクたちに対して……色々と酷い仕打ちを……」

    勇者「自分が許せません」

    エルフ「え……?」

    勇者「僕が囮になるべきだった……!!」

    エルフ「……」

    勇者「生き残れる可能性があると分かったとき……僕は最も可能性が高い方法を手にとってしまった……」

    勇者「二人を守る立場にいる僕が……」

    エルフ「でも、誰が囮になっても失敗したらみんな死んでいた。なら、成功率が高い手段を選ぶのは当然だと思うけど……」

    勇者「誰が囮になってもよかったのなら……僕がなるべきだったんです……!!」

    314 = 271 :

    エルフ「……」

    勇者「すいません。貴女にこんなことを言っても……仕方ないですね……」

    エルフ「別に……」

    勇者「……」

    エルフ「貴方達三名は現時刻をもって、解放されることになりました」

    勇者「ありがとうございます」

    エルフ「できればすぐにでも立ち去ってもらいたいのですが」

    勇者「それは……」

    エルフ「わかっています。一人は重傷ですから、暫くの間は面倒を見ます」

    勇者「もしかして僕だけを……?」

    エルフ「ええ。元はといえば、貴方が騒ぎを大きくしたわけですから。貴方がこの里からいなくなれば、誰も文句はいいません」

    勇者「わかりました。なら彼女たちだけでも―――いや、それはしないほうがいいですね……」

    エルフ「え?」

    勇者「こちらの弱点は魔王を通じて他の魔族にも伝わっているはず。彼女たちだけを置いていくことは……もう出来ません」

    エルフ「そうですか……」

    315 = 271 :

    勇者「……」

    エルフ「道中、お気をつけて」

    勇者「はい?」

    エルフ「それでは」

    勇者「ちょっと待ってください!!」

    エルフ「なんですか?」

    勇者「おかしいなことを言わないでください」

    エルフ「は?」

    勇者「貴女がどうして旅の成功を祈る側にいるのですか?」

    エルフ「だって……」

    勇者「貴女は祈られる側ですよね?」

    エルフ「なんで?!」

    勇者「あれー?約束……忘れたなんて言わないですよね?誇り高きエルフ族が、そんな馬鹿なこと……」

    エルフ「な、なんのこと……?」

    勇者「僕たちが勝てば貴女は僕の側室になるって約束……しましたよね?」

    316 = 271 :

    エルフ「あ……!!!」

    勇者「ぬほほぉ!!」

    エルフ「ボクは……!!」

    勇者「ダメ」

    エルフ「待って!!ボクはエルフだ!!人間と関係を持つことは許されない!!そういう戒律がある!!」

    勇者「あっそ。いや、でも、約束は守ってくださいね」

    エルフ「待って!!エルフ族に伝わる妖精の剣と鎧を貴方に差し上げるから!!!」

    勇者「そんなのいりません」

    エルフ「じゃあ、盾もつける!!」

    勇者「いりませんて」

    エルフ「兜もあげるぅ!!!」

    勇者「僕はね……貴女が欲しいのですよ」キリッ

    エルフ「そんなぁ……」

    勇者「では、すぐに支度を整えてください」

    エルフ「待って!!お願い!!あれはなかったことにぃ!!!」

    317 = 271 :

    ―――エルフの家

    魔法使い(アイツ……大丈夫かしら……)

    魔法使い(すごく自分を追い詰めてたみたいだけど……)

    魔法使い「はぁ……ああいうとき……どう声をかけたらよかったの……?」

    魔法使い「ねえ……?」

    僧侶「すぅ……すぅ……」

    魔法使い「私って……やっぱり……ダメね……」

    魔法使い「気の利いたことも言えないなんて……」

    勇者「ただいま戻りました」

    魔法使い「あ。さっきは―――え?」

    エルフ「おねがいしますぅぅ!!!許してくださぁぁぁい!!妖精の妙薬もあげますからぁぁぁ!!!」ギュゥゥゥ

    勇者「だから、貴女以外いらないのですよ。分からない人ですねぇ」

    エルフ「戒律を破るとボクが処刑されるんですよぉ!!!」

    勇者「なら僕が生涯をかけて匿ってあげます。ほら、解決した」

    エルフ「ちがうぅぅ!!!そういう問題じゃないぃぃ!!!」

    319 = 312 :

    あれ、エルフ仲間になったら魔法使いいらなくね

    320 = 271 :

    魔法使い(元気そうね……)

    勇者「まだ、目覚めてないのですか?」

    魔法使い「ええ」

    勇者「少々酷ですがいつでもここを発てるようにしておいてください」

    魔法使い「え……!!でも!!」

    勇者「エルフ族は仲間意識が非情に強いですから。ここに留まることは危険です。色々と」

    魔法使い「それって……他の魔物を呼んで私たちを……」

    エルフ「そんなことはしない!!」

    魔法使い「でも……魔族は魔族でしょ?―――あと、ソイツから離れてくれない?」

    エルフ「あ……」パッ

    勇者「ちっ」

    エルフ「我々は人間と友好関係を築いていた過去がある。そのため、他の魔族からは敵視されているぐらいだ」

    魔法使い「じゃあ、魔王とも敵対関係なの?」

    エルフ「中立……といいたいところだけど、魔王が何か命令してきたら逆らえない。逆らえばきっと……一族が滅びるから」

    勇者「それは酷い。こんなに美しい一族を葬るなんて……魔王!!許さん!!」

    321 = 271 :

    魔法使い「まあ、いいわ。要するに魔王には絶対服従なのね?」

    エルフ「……」

    勇者「僕たちは魔王に目をつけられていますからね。処刑命令が出てもおかしくありません」

    魔法使い「わ、私は嫌よ!!もう一度、エルフと戦うなんて!!」

    勇者「それは僕もです。だから、彼女が目覚め次第、いつでも動けるようにしておきましょう」

    魔法使い「……仕方ないわね」

    勇者「貴女もですよ」

    エルフ「ちょっ……!?」

    魔法使い「え?どういうこと?」

    勇者「彼女とは約束しましたからね。僕たちが勝てば僕の側室になると」

    魔法使い「あー……」

    エルフ「だ、だからぁ!!!あれはその場の勢いで……!!!」

    勇者「約束も守れないのか!!!それでも誉れ高きエルフ族か?!えぇ!!おい!!!こっちは命かけたんだ!!お前も命かけろ!!!」

    エルフ「め、めちゃくちゃじゃないですか……」ウルウル

    勇者「おっと。すいません。つい熱くなってしまいました。でも、大丈夫です。僕の側室になれば将来は約束されたようなものですから」

    322 = 271 :

    エルフ「いやぁ……なんで……こんなことにぃ……」メソメソ

    勇者「僕に惚れられたのが運の尽きですね」

    エルフ「全くです……」

    魔法使い「ちょっと……ということは、このエルフもこれから一緒に行動するの?」

    勇者「はい」

    魔法使い「それって……あの……」

    エルフ「あの……妖精の笛もつけますから」

    勇者「そんなに嫌ですか?」

    エルフ「はい……」

    勇者「わかりました……」

    エルフ「えっ?!」

    勇者「そこまで嫌だというなら……僕も考えましょう」

    エルフ「ほ、ほんとうに?!」

    勇者「無理強いなんてさせたくありませんからね」

    エルフ「よ、よかった……理解ある人間で……」

    323 = 271 :

    勇者「貴女が一緒にこないというなら、僕たちはこの里のことを号外で人間たちに伝えます」

    エルフ「えぇぇぇ?!」

    魔法使い「それは流石に……!!」

    勇者「そうなったらこの森に何万という人員が投入され、貴方達は……喰われますよー!!がおー!!!」

    エルフ「いやぁぁぁ!!!」

    勇者「さぁ!!!どうする?!貴女一人が犠牲になって里を救うか、それとも人間たちから逃げ隠れる道を選ぶか!!!」

    エルフ「そんなの酷いっ!!」

    勇者「好きなほうを選んでください。無理強いなんてさせたくないですから」

    魔法使い「あんた……悪魔なの……?」

    勇者「さぁ?どうするんですかぁ?」

    エルフ「くっ……」ウルウル

    勇者「ぬほほぉ……」

    エルフ「……ます……」

    勇者「え?」

    エルフ「行きます!!ボクも連れて行ってぇ!!!」

    324 :

    容赦なくなってきたな

    325 = 271 :

    ―――夜

    魔法使い「一応、いつでも出発できるようにはしておいたわ」

    勇者「ありがとうございます」

    魔法使い「……」

    勇者「軽蔑しますか?」

    魔法使い「いや……アンタらしくないなと思って……」

    勇者「どうしても必要でした」

    魔法使い「側室に?」

    勇者「……はい」

    魔法使い「あきれた……」

    勇者「……」

    魔法使い「ねえ……それじゃあ……私たちはここまでなの?」

    勇者「え?」

    魔法使い「エルフがいるなら……私たちはいらない……でしょ?エルフ一人で攻撃も治癒もできる……し……」

    勇者「何を言ってるんです?」

    326 :

    鬼畜にも劣る下種だなこの勇者……
    やはり変態紳士の名は伊達ではないということか

    327 :

    なんだかんだ言いつつ旅を続けてるうちにエルフが一番勇者に惚れる展開を所望する

    328 = 271 :

    魔法使い「だって……」

    勇者「お二人も必要ですよ。無論、連れて行きます」

    魔法使い「でも……一回、別れてるし……」

    勇者「こうして再会できました。これも赤い糸で結ばれている証拠ですよ」

    魔法使い「はぁ!?」

    勇者「それに一緒に行動してもらわないと困ります。魔王は僕たち三人を狙っているわけですから」

    魔法使い「そうだけど」

    勇者「もう休んでください。彼女の看病は僕が引き受けましょう」

    魔法使い「……」

    勇者「どうしました?」

    魔法使い「あ……ありがとう……」

    勇者「何に対してですか?」

    魔法使い「バーカ」

    勇者「……?」

    勇者「まあ、いいか」

    329 = 271 :

    勇者「……」

    僧侶「……」

    勇者「……申し訳……ありません……」

    僧侶「……勇者様……自分を責めないでください……」

    勇者「……!!」

    僧侶「あのときはああするしか……無かった……」

    勇者「しかし……」

    僧侶「貴方は最善の策を……」

    勇者「違う。貴女を危険に晒すことなく突破できた……のに……」

    僧侶「それだと……勇者様が……私のような目に……」

    勇者「……」

    僧侶「いつもそうですね……」

    勇者「なにがですか?」

    僧侶「貴方はいつも……全部一人で解決しようとしていました……。わざと別行動をとったのも……」

    勇者「やめてください。あれは僕の失言が原因です。意図もなにもありません」

    330 = 295 :

    勇者本当にブレないなぁw

    331 = 271 :

    僧侶「エルフを探そうと考えたのは……私たちだけではドラゴンに……魔王に勝てないと判断したからですよね?」

    勇者「魔王。今まで誰も魔王と対峙することが叶わず散っていったために、その力は未知数でした」

    勇者「ですが、おとぎ話の怪物を従えていると分かり、愕然としました。恐らく……いや、確実に人間では敵わないと悟った」

    僧侶「……」

    勇者「貴女たちの能力が劣っているから、僕が勇者としては未熟だからなんて理由ではない。絶望的な力の差がある」

    僧侶「だから……私たちを突き放して……同じおとぎ話のエルフ族を仲間に……?」

    勇者「貴女たちの目的が復讐だと聞き、きっと簡単には別れてくれないと思いました。だから……」

    僧侶「勇者様……」

    勇者「あの時は酷いことを……そしてこの度も……」

    僧侶「よかった……」

    勇者「何がでしょうか?」

    僧侶「少しだけ……あれは本心だったのではないかって疑っていました……でも……勇者様はやはり……お優しい……」

    勇者「……」

    僧侶「好きです……そんな勇者様が……。だから……傍にいさせてください……」

    勇者「……何を言っているのですか。貴女は側室候補。傍にいてもらわないと僕が困りますよ、はい」

    332 :

    僧侶「ふふ……嬉しい……」

    勇者「え?」

    僧侶「私は側室で構いません……よ……?」

    勇者「えっ?」

    僧侶「……」

    勇者「あの……」

    僧侶「すぅ……すぅ……」

    勇者「……おやすみなさい」

    エルフ「あのー」

    勇者「おや、どうされました?」

    エルフ「いつ出発するの?」

    勇者「明朝にします」

    エルフ「わかった。ボクは森の外で待ってるから……」

    勇者「こっそり出るのですね」

    エルフ「当然でしょ!?見つかれば極刑だし……。もうこの里には戻れないし……うぅ……」ウルウル

    333 :

    かわいいお

    334 :

    今回はもう終わり?

    335 :

    乙んつん

    勇者というのは誰よりも強固な芯みたいな物が一本通っている
    意思の強さを持っているというイメージがあるんだが、
    こんなに間違った場所に芯が通っちゃった勇者は初めて見るなwww
    いや、ちゃんと魔王を倒す意思があるのもわかってるよ

    336 :

    おっつん

    337 :

    おつ  

    338 :

    僧侶ちゃん謙虚かわいい

    339 = 332 :

    ―――翌朝

    魔法使い「起きて……ねえ……起きて……」ユサユサ

    勇者「ん……?」

    魔法使い「ほら、顔でも洗ってきて」

    勇者「あ……はい……」

    魔法使い「もう……」

    僧侶「おはようございます」

    勇者「おお!!もう大丈夫なのですか?」

    僧侶「はいっ。勇者様が一晩中、お傍にいてくれたおかげです」

    勇者「それはよかった」

    僧侶「ふふ……」

    勇者「……」

    僧侶「あの……なにか?」

    勇者「いえ。では、洗顔してきます。そのあと、すぐに出発しましょう」

    僧侶「はい」

    340 = 332 :

    魔法使い「顔色もいいし、もう大丈夫みたいね」

    僧侶「ご心配をおかけしました」

    魔法使い「いいのよ。―――それよりも……アイツが心配だわ」

    僧侶「勇者様がですか?」

    魔法使い「あんたを傷つけたって、すごく落ち込んでたから」

    僧侶「そうみたいですね……」

    魔法使い「まだ引き摺ってなきゃいいけど……」

    僧侶「……」

    勇者「―――お待たせしました」

    魔法使い「はい、荷物」

    勇者「ありがとうございます」

    魔法使い「さ、行きましょ」

    勇者「そうですね。きっとボクっ娘さんも待っていますし」

    僧侶「え?誰ですか?」

    魔法使い「エルフよ。こいつ、ついに人外にまで手を出したのよ。呆れちゃうでしょ?」

    341 = 332 :

    僧侶「その方も……側室候補なのですか?」

    勇者「はい」

    僧侶「そうですか」

    魔法使い「それだけ?もっと批難すべきよ、これは」

    僧侶「いえ。人間とエルフの恋は実際にあったと聞きます」

    魔法使い「え?」

    僧侶「それは悲恋だったようですが……。でも、勇者様ならきっとエルフとも純愛を貫けると思います」

    魔法使い「ちょっと!!側室10人って時点で不純じゃないの!!」

    僧侶「私は……勇者様のお傍に居られたら……」

    魔法使い「はぁ?!」

    僧侶「あ……すいません。失言ですね」

    魔法使い「……」

    勇者「ふっ。僕は正妻と10人の側室を区別しません。変わらぬ愛情を注ぐ覚悟があります」

    僧侶「それで十分です……勇者様……」

    魔法使い「あの……え……?」

    342 :

    ―――エルフの森

    勇者「それでは色々とお世話になりました」

    僧侶「ありがとうございました」

    魔法使い「本当、色々とお世話になったわね」

    長老「……もう会うことはないだろう」

    勇者「あの、一つだけよろしいですか?」

    長老「なんだ?」

    勇者「この里、随分と見つかりやすい場所にあったようですが……今まで、人間に見つかったことはないのですか?」

    長老「おぬしらが倒した神官たちの力を合わせれば、結界を張り集落そのものを不可視にすることも可能だ」

    魔法使い「不可視ですって?」

    僧侶「そんな……でも……私たちには今もこうして見えてますよね?」

    勇者「そのようなことができるのに、僕たちの侵入を許したのですか?」

    魔法使い(そうよね。こんなにあっさり見つけられるんじゃ、大勢の人間に見つかっているはず……)

    長老「……」

    勇者「やはり魔王ですか?」

    343 = 342 :

    長老「魔王から勇者一行が近くにいると伝えられた。そして勇者が目の前に現れれば、その能力を測れともな」

    勇者「やはりそうでしたか」

    長老「初めは一人だけだったから、また我らの身柄を狙う不貞の輩と思ったがな」

    勇者「不可視にできるのに拉致されるのですね」

    長老「人物そのものを透明にすることはできん。特定の場所に結界を張ることで初めて不可視になるのだからな」

    勇者「透明人間……というわけではないと?」

    長老「そんな魔法ありはせん。誘拐されるエルフは決まって狩りの最中だからな。結界の中に居続けるのは難しいからな」

    勇者「優秀な神官がいるからこそ広範囲で不可視にできるが、個人だと範囲が狭まると?」

    長老「そういうことだ。その範囲も人一人で限界だろう」

    勇者「……」

    魔法使い「覗きに使えるとか思ってないでしょうね?」

    勇者「どうして僕はエルフじゃないのでしょうか。神様は酷いことをしますね」

    魔法使い「この……!!」

    長老「さぁ、もういいだろう。早く行ってくれ」

    勇者「はっ。それでは、お元気で」

    344 = 342 :

    勇者「里が見えなくなっていく……」

    僧侶「すごい……」

    魔法使い「あー!!!」

    勇者「どうしました?下着を着忘れたとか!?」

    魔法使い「違うわよ!!私たちの重大な欠点を直して貰うっていう目的があったじゃない!!」

    僧侶「そうでした。色々あって忘れていましたね」

    勇者「欠点?」

    魔法使い「魔力を上手くコントロールできるようになるかもって思って、私たちはこの森にきたのよ」

    勇者「僕の側室になるために追ってきたのではないのですか?」

    魔法使い「違うわよ!!あんたからも言ってあげて!!」

    僧侶「……」モジモジ

    魔法使い「え?」

    勇者「まあまあ、とにかく今は森を出ましょう。―――外でエルフが待っているのですから」

    魔法使い「そうよ……そうだったわ。エルフが仲間になったのよね」

    僧侶「そうですね。ボクっ娘さんというエルフが仲間になってくれたのなら、私たちの欠点を改善することも―――」

    345 = 342 :

    ―――フィールド

    エルフ「無理」

    魔法使い「え……」

    僧侶「本当ですか?」

    エルフ「貴女たちはそういう特異体質だから。魔力を調整することで改善されることはないよ」

    魔法使い「そんなぁ……」

    勇者「残念でしたね」

    魔法使い「他人事だと思って……!!」

    エルフ「でも……補強はできるかもしれない」

    僧侶「補強?」

    エルフ「定期的に魔術による補強を行えば魔力が一時的に漏れないようにすることはできる」

    魔法使い「それでもいいわ」

    僧侶「お願いします」

    エルフ「かなり面倒だけど……。まあ、これから先のことを考えれば―――」

    勇者「ゆるさんっ!!!!」

    346 = 342 :

    魔法使い「なっ?!」

    僧侶「ひぐっ」ビクッ

    エルフ「どうして?」

    勇者「ならん!!!お母さんから貰った体を大切にしないやつなんて、俺は嫌いだ!!!」

    魔法使い「何言ってるのよ?!旅を続けるなら―――」

    勇者「ダメー!!!!絶対にノー!!!ノォォォ!!!!」

    エルフ「ど、どうしてそこまで……」

    僧侶「勇者様……?」

    魔法使い「どうしてよ!?私たちが一般的な魔力の扱い方ができれば、戦いだって劇的に楽になるわよ?!」

    勇者「貴女たちの体質が改善される……それすなわち、他の魔法使いや僧侶と同じになるということ」

    僧侶「そ、そうですね」

    勇者「つまり、治癒をするとき対象の人物に触れなくても大丈夫になるってことですね?」

    僧侶「はい」

    魔法使い「いちいちくっつきに行くのはタイムロスだし、離れた場所からでも治癒ができるって相当いいことじゃない」

    勇者「没個性じゃん!!!なにいってんのぉ?!」

    347 = 342 :

    エルフ「没個性って……。そんな考えで魔王と戦うつもりだったの?」

    勇者「何か問題でも?」

    エルフ「いや……」

    魔法使い「ちょっと。アンタの足りない脳みそでよく考えなさいよ」

    勇者「僕の頭には欲望がぎっしり詰まってますが」

    魔法使い「いい?私たちは基本的に前線で戦えない」

    勇者「当然です。前に出て戦うのは僕の役目ですから」

    魔法使い「でしょ?なら、離れたところから治癒ができるってすごく便利よね?」

    勇者「そうですね」

    魔法使い「分かってくれたのね」

    勇者「はい」

    魔法使い「じゃあ、補強を―――」

    勇者「ならんっ!!!」

    魔法使い「なんでよ?!」

    勇者「するなら魔力が漏れないようにするだけ!!治癒は今までどおり抱きつかないとできないようにしなさい!!!」

    348 = 342 :

    魔法使い「なんの解決にもならないでしょ!?」

    僧侶「それに魔力の漏れを防いでしまうと、密着しての治癒は不可能になりますよ」

    勇者「そうなのですか?!じゃあ、だめ!!今のままでいい!!自然体っていいですよね!!!」

    僧侶「え……」

    勇者「ね!?」

    僧侶「は、はい……」

    勇者「さあ、いざ行かん!!魔王の城!!!」

    エルフ「え?結局、補強はしなくてもいいってこと?」

    魔法使い「ちょっと!!デメリットが消せるのよ!?」

    勇者「黙ってくださいよぉ!!」

    魔法使い「拒む理由を言って!!」

    勇者「理由?そんなの……一つしかないですよ……」

    エルフ「あ……もしかして、二人の特異体質を利用して相手の意表を突く作戦を色々考えているとか?」

    魔法使い「そうなの?」

    勇者「違う。―――僕がぁ!!!いや、俺がぁ!!!合法的に女体に触る機会が減るでしょう!?分かってくださいよぉ!!!」

    349 :

    コイツ…ゲスラーだ…w

    350 :

    さすが勇者
    全くぶれないな


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