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    元スレ勇者「すごい美人で有能な僧侶と魔法使いをお願いします」

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    651 :

    そういう予想はNOサンキューです
    きぼんはともかく予想はよそう

    652 :

    魔王様の指示ヘタレすぎ+ジーちゃんの子守りでドラゴンちゃんストレスやばい

    653 :

    あの魔王の度を超えた慎重っぷりなのに、部下がブーブー言わないあたり、今までの魔王の実績が凄いんだろうなぁ

    655 :

    >>651
    神経質すぎ
    あほくさ

    656 :

    ―――魔王の城

    側近「魔王様、兵が整いました」

    魔王「ご苦労だったな」

    側近「いえ」

    魔王「では、遅延していた計画を進めるとしようか」

    側近「はっ」

    魔王「兵力は十分。時間も掛けた。これで負けることは無い」

    側近「ドラゴンは呼び戻さなくてもよろしいのですか?」

    魔王「奴は我の最後の憂いを取り除く為に行動している。まだ時期ではない」

    側近「そうですか」

    魔王「海に蠢く有象無象も挑発ばかりで攻めてくる様子はないな?」

    側近「はい。兵の増強を行っているようではありますが、今のところ仕掛けてくる素振りは見せておりません」

    魔王「よし。―――では、進軍開始は三日後とする。それまでに出来うる限りの準備をしておけ」

    側近「了解いたしました」

    魔王「トロルが攻め落とせなかったあの大地……今度こそ……」

    657 :

    俺は予想レスで腐って行ったssを何本も知っている…

    わけではないけどやめとくのが良いとは思うよ、予想

    658 = 656 :

    ―――翌日 魔の海域周辺

    キャプテン「てめぇらぁ!!!男だろうが!!!股間についてるもんは飾りかぁ!!!?あぁぁ!?」

    海賊「……」

    船長「キャプテン、しかし幽霊船は俺たちにとっては禁忌で……」

    キャプテン「んなことはわかってんだよぉ!!!ダボがぁ!!!」

    勇者「揉めてますね」

    僧侶「そうですね」

    魔法使い「何があったの?」

    エルフ「幽霊船に同行する人を募ってるみたいだね。誰も行く気なさそうだけど」

    「……」

    キラーマジンガ「海賊船の乗組員の方々は、幽霊船を極度に恐れています」

    魔法使い「どうして同行させるのよ?」

    僧侶「見張りがいないと私たちが魔法銃で脅してしまうかもしれないという話になりまして」

    (魔法銃……?)

    魔法使い「そんなことするわけないじゃない。まあ、信頼できないって言っていたし、仕方ないか……」

    659 = 656 :

    勇者「分かりました。ここはキャプテンが行くべきでしょう」

    キャプテン「あぁ?!嫌ににきまってんだろ!?」

    勇者「怖い?」

    キャプテン「こ、こわくねえよ!!ざっけんな!!!」

    船長「待て。それは流石に反対だ。キャプテンに何かあったらどうする」

    キャプテン「おう!そうだ!もっといてやりな!!」

    勇者「おやおや?キャプテンは幽霊を恐れるようなか弱い御人だと?」

    船長「そんなわけねえだろ!!キャプテンはこの海で最も美しく!!気高く!!そして強いんだよ!!」

    海賊「「そーだ!そーだ!!」」

    勇者「なら、適任でしょう。僕らが魔法銃を見つけ、謀反を働こうとしたとき下っ端の人たちでは到底無理。一度負けた船長さんも無理」

    船長「そ、それは……」

    勇者「キャプテンしかつとまりませんなぁ」

    キャプテン「ぐっ……いや……でも……しかし……」

    勇者「威厳……見せるときじゃねえですか?仮にも大勢を纏める指揮官でしょう?そのカリスマを増大させるチャンスかと思いますけどねえ」

    キャプテン「だ、だから……えっと……うん……」

    660 = 656 :

    勇者「ここで武勇伝をつくれば、士気も上がる。信頼度も跳ね上がる」

    キャプテン「そ、そうかもしれないけど……」

    勇者「貴女の英雄譚を聞きつけた有能な部下が増えるかもしれない」

    キャプテン「そ、そうなのか?」

    勇者「強い人の下に強いやつが集う。これ常識アル」

    キャプテン「……」

    勇者「さあ、魔王を倒し人類の英雄となるときですよ。海賊の存在を公に認めさせるチャンス」

    キャプテン「確かに……」

    勇者「何を迷うことがありますか!!―――何かあっても僕が必ず御身を守護いたします」

    キャプテン「……」ピクッ

    勇者「神に仕える者も僕の仲間にいます。彼女がいれば幽霊なんて怖くない」

    僧侶「……」

    キャプテン「そうだな……ふっ。そうだよ。あたしは大艦隊の海賊団総轄だ!!幽霊船ごときにびびってどうすんだい!!!」

    勇者「と、言うことは……!!」

    キャプテン「いってやらぁ!!!あたしに不可能はないんだよぉ!!!」

    661 = 656 :

    勇者「聞いたかお前らぁ!!!腰抜け共に代わってキャプテン自らが出撃する意思をかためたぁ!!!」

    海賊「「おぉぉー!!!」」

    船長「キャプテン……漢だ……!!俺……俺……一生ついてきます!!!」

    キャプテン「あたしについて来る奴はいねえのかい?!」

    「幽霊船はなぁ?」

    「うん……流石に……」

    船長「生きて帰ってきてください!!!キャプテン!!!」

    キャプテン「てめえら。戻ってきたら覚えてろよ」

    勇者「では準備をしましょうか」

    キャプテン「まちな。こっちも人質を取らせてもらうよ」

    勇者「ああ、そういう約束でしたね。どなたを人質にしますか?」

    キャプテン「そうだねぇ……」

    魔法使い「人質ってどういうことよ?!」

    勇者「信頼できない相手に何かを依頼するとき、担保は必要でしょう」

    エルフ「なるほど……裏切らないように予防線を張っておくわけだ」

    662 = 656 :

    勇者「―――幽霊船に行くメンバーは、僕と」

    僧侶「はいっ」

    エルフ「はーい」

    キャプテン「ふん……」

    魔法使い「大丈夫?」

    勇者「心配してくれるのですか?ふふ、側室としての意識が芽生えたのですね」

    魔法使い「違うわよ」

    キラーマジンガ「最もバランスの取れた陣営だと思われます」

    魔法使い「はっきり言われるとなんか悔しいわね」

    勇者「まぁ、凶悪な魔物がいる可能性もありますが、危なくなったら発炎筒で危険を知らせますので」

    僧侶「悪霊の類なら魔法よりも私の力が役に立つと思います」

    キラーマジンガ「気をつけてね、パパ」

    勇者「行ってくるよ。我が娘たち」

    「……それ私も?」

    キャプテン「じゃあ、幽霊船が見つかり次第乗り込むよ」

    663 :

    あれ…このキャプテン馬鹿かわいいぞ?

    664 = 656 :

    ―――数十分後

    海賊「キャプテン!!三時の方角!!謎の船影を確認しましたぁ!!!!」

    船長「き、きたか……!?」

    キャプテン「本当に……あったんだねえ……」

    勇者「ふっ。僕が幽霊を蹴散らしてやりますよ」

    僧侶「お願いしますね」

    エルフ「幽霊か……魔法が通じる相手ならいいけど」

    魔法使い「実体がない相手には利かないと思うけど」

    「……」

    キラーマジンガ「あぁ……もしもあの幽霊船が砲撃してきたら私たちは海の底に沈む……そしたら錆びる……」ガクガク

    「おい」

    キラーマジンガ「はい?」

    魔法使い「ん……?」

    キャプテン「よ、よし……り、り、隣接……しな……」

    海賊「「あ、あああ、アイアイ、アイサー!!」」ガクガク

    666 = 656 :

    船長「キャプテーン!!おげんきでー!!!」

    「キャプテーン!!大好きでしたー!!!」

    「俺!!カーチャンにキャプテンと付き合ってるって報告してました!!ごめんなさーい!!!」

    「キャプテンのブラジャーを昔盗んだの俺でーす!!」

    キャプテン「……」

    勇者「あれ?お見送りに応えてあげないのですか?」

    キャプテン「いくぞ」

    勇者「はい」

    僧侶「もしかして緊張されているとか?」

    エルフ「そんな馬鹿な。魔物の軍勢とも何回か戦っているって言ってたのに?」

    僧侶「ですよね」

    キャプテン「あれ?!―――おい!!こら!!お前はあたしの前だろ!!なにやってんだい!!」

    勇者「そうなんですか?」

    キャプテン「勇者は先頭を歩くもんだろうが!!!そんな基本も知らないのかい!?えぇ?!あぁ!?」

    勇者「分かりました。僕が先頭になります」

    667 = 656 :

    船長「ああ……言ってしまった」

    海賊「寂しくなりますね」

    船長「ああ、そうだ。人質役になった―――」

    キラーマジンガ「やはり私たちも幽霊船に乗り込みます」

    船長「なんだと?!」

    「探さないでください」

    船長「バカ野郎!!そういうわけにも―――」

    海賊「頭ぁ!!大変だ!!!」

    船長「どうしたぁ!?」

    海賊「幽霊船の野郎がいきなり動き出して……うわぁ!?」

    ゴゴゴゴ……

    船長「なんだと?!帆だって破れてんのに波の影響でしか移動なんて……」

    キラーマジンガ「急ぎましょう。海に落ちたくありませんので。―――しっかり捕まっていてください」

    「うん」ギュッ

    船長「てめえらも勝手なことすんじゃねえよ?!」

    668 = 656 :

    キラーマジンガ「海が怖いので私は目を閉じます。飛ぶタイミングが自分ではわかりません。なので踏み切る瞬間の合図をお願いします」

    「わかった」

    船長「やめろぉ!!」

    キラーマジンガ「うおぉぉぉぉぉ!!!!!!」ダダダダダッ

    「うっ……」ギュゥゥ

    キラーマジンガ「おちたくなーい!!!!」ダダダダッ

    「―――今だっ!!!」

    キラーマジンガ「はっ!!」バッ

    海賊「本当に飛び移りやがった……」

    船長「あぁ!!キャプテンになんて言えばいいんだぁ!!」

    海賊「頭ぁ!!大変だぁ!!」

    船長「今度はなんだよぉ!!」

    海賊「もう一人の姉さんがいなくなってやがるぅ!!人質が全員いねえ!!」

    船長「ぎゃー!!キャプテンに怒られるじゃねえかぁ!!ええい!!幽霊船をおえ!!絶対に見失うなよ!!!」

    海賊「「アイアイサー!!」」

    669 = 656 :

    ―――幽霊船 甲板

    勇者「至るところがボロボロですね」

    キャプテン「……」ギュゥゥ

    勇者「板が腐っています。足下には十分に気をつけてください」

    僧侶「わかりました」

    エルフ「うん」

    勇者「ところで」

    キャプテン「魔法銃は見つかったのか?」ギュゥゥ

    勇者「僕にしがみ付いてくれるのはありがたいですが、せめて目ぐらいは開けていてもらわないと」

    キャプテン「しっかりさがせ……こらぁ……」

    僧侶「どうかしたんですか?元気が無いみたいですけど……」

    キャプテン「無駄口叩く暇があった―――」

    ―――ドンッ!!!

    キャプテン「きゃぁぁああああ!?!?!?」

    勇者「なんだ?背後から音が……?」

    670 = 656 :

    僧侶「魔物でしょうか?」

    エルフ「……」

    キャプテン「おぉ……な、なんだよ……こらぁ……」ギュゥゥ

    勇者「確かめに行きますか」

    キャプテン「待てよ……魔法銃を探せ……よぉ……」

    勇者「しかし、海には魔物も多くいます。乗り込まれたら厄介ですよ?」

    エルフ「ボクが見てくるよ。三人は待ってて」

    勇者「そんな危険です。全員で―――」

    エルフ「キャプテンが動きそうにないし」

    勇者「……わかりました。ですがすぐに戻ってきてください」

    エルフ「うん。了解」タタタッ

    僧侶「……」

    勇者「キラちゃんを連れてきたほうが良かったかもしれませんね」

    僧侶「魔物探知機能ありますもんね」

    キャプテン「まだか……よぉ……」ギュゥゥ

    671 = 656 :

    勇者「―――遅い」

    僧侶「見に行きましょう」

    勇者「物音一つしないのが気になりますが……」

    キャプテン「怨霊か!?悪霊か?!」

    僧侶「禍々しい怨嗟の念が充満していることは確かですが」

    キャプテン「やめろよ!!そういう脅しはよぉ!!」

    勇者「どうしたんですかー!!!早く戻ってきてくださーい!!」

    僧侶「船尾のほうで何かあったのでしょうか?」

    勇者「急に視界も悪くなってきましたし、やはり行きましょうか」

    僧侶「はい」

    キャプテン「魔法銃はどうなったんだよぉ」

    勇者「ちゃんと探しますから」

    キャプテン「うぅ……」

    勇者「何事もなければいいが……」

    僧侶「……」

    672 = 656 :

    勇者「どうしたんですかー!!」

    僧侶「返事をしてくださーい!!」

    キャプテン「おう……」

    勇者「貴女が返事をしてどうするのですか」

    キャプテン「わ、悪いね……」

    僧侶「いませんね」

    勇者「下に向かうような場所もないですし」

    僧侶「勇者様、ここ穴があります」

    勇者「板が腐って抜け落ちた感じですね。まさか、この穴から落ちた……?」

    僧侶「それなら私たちも」

    勇者「いえ。どこに繋がっているかわからない以上、正規のルートを辿っていくほうが安全です」

    僧侶「それもそうですね」

    勇者「行きましょう」

    僧侶「はい」

    キャプテン「まてよ……ゆっくりあるけよ……」ギュゥゥ

    673 = 656 :

    ―――幽霊船 Aフロア

    勇者「ここは……」ガチャ

    僧侶「お部屋ですね。無残な感じですけど」

    勇者「ふむ……」

    キャプテン「なんかあったか?」

    勇者「いいものがありました」

    キャプテン「なんだよ……」ソーッ

    勇者「乗組員と思しき頭蓋骨が」

    キャプテン「ぴゅっ!?」

    勇者「手がかりになるようなものはありませんね」

    僧侶「船尾のほうへ行きましょう」

    勇者「ええ」

    キャプテン「……」

    勇者「どうしました?」

    キャプテン「……こし……ぬけ……た……」

    674 = 656 :

    勇者「ガイコツぐらいで何をいっているのですか?」

    キャプテン「ばかやろう!!こういうところで見るとまた一味ちがうだろうがぁ!!」

    勇者「―――どうぞ」

    キャプテン「なんの真似だ……」

    勇者「おんぶしてあげます」

    キャプテン「ざっけんなぁ!!」

    勇者「では、ここで待っていてください」

    キャプテン「え?」

    僧侶「勇者様」

    勇者「はい」

    キャプテン「まてぇ!!おいてくなぁぁ!!!」ギュゥゥ

    勇者「なんですか?」

    キャプテン「見張りのあたしを置いていくとかありえねえなぁ!!!」

    勇者「では、おんぶで」

    キャプテン「ちくしょう……」

    675 :

    キャプテンが怖がりすぎなのか勇者たちのきもが座りすぎなのか

    676 = 656 :

    勇者「よっと」

    キャプテン「……おもくないかい?」

    勇者「いえ。いい感じに弾力があって空中に浮いてしまいそうです」

    キャプテン「はぁ?」

    僧侶「勇者様。こっちも同じような部屋だけです」

    勇者「そうですか。では、下に向かう階段を探しましょう」

    僧侶「わかりました」

    勇者「それにしても不気味なほど静かですね」

    キャプテン「たいまつの灯りは大丈夫だろうね?」

    勇者「問題ありません」

    キャプテン「……」

    僧侶「勇者様!ありました!!こっちです!!」

    勇者「わかりました」

    キャプテン「はぁ……」

    勇者「おふぅ……吐息が耳に……ぬほほぉ」

    677 = 656 :

    ―――幽霊船 Bフロア

    勇者「気配は感じますか?」

    僧侶「いえ……。船全体から悪鬼の熱を感じるので」

    勇者「幽霊の胃の中にいるようなものですか」

    僧侶「そう思ってください」

    キャプテン「あたしたち食べられたのかい?!」

    勇者「食べられに行ったというべきでしょう」

    キャプテン「帰りたい……」

    ギシ……ギシ……

    キャプテン「なに?!なになに!?」

    僧侶「誰かがこの先にいるようです」

    キャプテン「いるわけないだろう?!」

    勇者「静かにお願いします」

    キャプテン「う……」

    ギシ……ギシ……ギィィ……バタンッ

    678 = 656 :

    勇者「この部屋ですね」

    僧侶「恐らく」

    キャプテン「ひぃぃ……」チャカ

    勇者「耳元で銃は発射しないでくださいね。鼓膜が破れますから」

    キャプテン「そんな軟弱な鼓膜なのかい……」ガクガク

    勇者「鼓膜は鍛えられません」

    僧侶「開けます」

    勇者「お願いします」

    キャプテン「おぉぉ……」

    僧侶「……」ガチャ

    キャプテン「ひっ」

    勇者「……誰もいませんね」

    僧侶「違う部屋だったのでしょうか?」

    キャプテン「この部屋……見た感じ、船長かなんかの部屋っぽいね」

    勇者「何か分かるかもしれません。調べてましょう」

    679 = 656 :

    ―――船長の部屋

    勇者「うーん……」ゴソゴソ

    キャプテン「魔法銃はないねえ……」

    僧侶「……」ペラッ

    勇者「どうしました?」

    僧侶「航海日誌を見つけました」

    勇者「ほう」

    キャプテン「いいね。他人の航海日誌ほど面白いものはないよ」

    ―――今日は快晴。絶好の航海日和だ。俺たちは王国の勇者を乗せ、魔王が住む孤島へ向けて出発する

    先日の戦いで奴らは大きな痛手を負ったはずだ。魔物を駆逐する最大の好機が巡ってきたわけだ。

    エルフ族が開発した魔法の銃さえあれば、俺たちは絶対に負けない。勇者もそう確信しているからこそ、俺たちは魔王の根城に乗り込む。

    勇者は船出の際に皆に宣言した。必ず勝てる。すぐに人間たちだけの時代がくる。俺もそう信じている。

    キャプテン「時代だねえ。今じゃ魔族のほうが強すぎて、人間じゃあ歯が立たないっていうのに……」

    僧侶「そうですね。でも、魔法銃によって一度魔王を追い詰めているわけですし、自信があったのでしょう」

    勇者「続きを見てみましょう」

    680 = 656 :

    ―――今日は快晴。魔王がいる孤島まではおよそ五日の航海となる。

    その長旅の間に士気が落ちてはいけないと、勇者一行は色々と考えてくれていた。

    魔物は海にもでやがる。そこで勇者たちは海の魔物を捕らえて、魔法の銃の威力を見せてくれた。

    引き金を引くと大きな音がして魔物の顔が吹っ飛びやがった。他に捕らえた魔物の驚いた顔は傑作だった。

    写真機でも積んでおけばよかった。

    僧侶「……」

    キャプテン「ふーん。すごい威力かと思っていたけど、大したことはないのかねえ……」

    勇者「分かりません。どんなモノでも破壊する力があったのかもしれません」

    ―――今日は曇天。三日目にして問題が起きた。空を見る限り、大時化になる。

    それだけならよかったが、魔物の軍勢が攻めてくる様が肉眼ではっきりと見えた。

    ここで戦力を消耗したくはない。なるべく遠方から攻撃するべきだと勇者たちは言う。

    魔王との決戦を占う大一番になりそうだぜ。

    勇者「―――うーん……大したことは載っていなさそうですね」

    キャプテン「じゃあ、どうするのさ」

    勇者「とにかく先を急ぎましょう。今頃、逸れてしまった彼女がワンワン泣いているかもしれませんし」

    681 = 656 :

    僧侶「勇者様」

    勇者「どうしました?」

    僧侶「もう少し、この日誌を読んでみたいのですが」

    勇者「なにか気になることでも?」

    僧侶「はい」

    勇者「……わかりました。でも、絶対にここから動かないようにしてください」

    僧侶「申し訳ありません」

    キャプテン「じゃあ、あたしは……」

    勇者「僕とデートしましょう」

    キャプテン「こんな状況でよくそんなことが言えるね」

    勇者「勇者たるもの、常に平常心を保っていないと」

    キャプテン「……まあ、今は頼もしい限りだけどね」

    勇者「では、行って来ます」

    僧侶「はい」

    キャプテン「はぁ……ここから出たくないねえ……」

    682 = 656 :

    僧侶「……」ペラッ

    ―――今日は快晴。酒が旨い。勇者の指示通りに動くだけで魔物はあっという間に退散した。ざまーみろ。

    生き残りが居たので生け捕りにしてやった。こいつらで魔法の銃の試射をしようって話になったからだ。

    明日が楽しみだ。

    ―――今日は濃霧。魔王の孤島が見えた。だが、たどり着けない。

    引き返しても同じ場所に来てしまう。どうなってんだ、これは。勇者は近くに幻術使いがいると主張する。

    勇者がそういうならそうするしかない。幻術使い探しは勇者たちに任せて、俺たちは昨日捕まえた魔物で魔法の銃の練習をした。

    気持ちいいほどに魔物が死ぬ。今まで1匹倒すのも相当な労力だったのに、これはいい。最高だ。俺が独りで10匹殺したら他のやつに怒られた。

    魔物なんだから何匹殺してもいいだろうが。

    ―――今日は濃霧。魔王の孤島はまだ見えている。しかし、たどり着けない。

    幻術使いはまだ見つからないようだ。海で捕まえた魔物を魔法の銃で殺していると、勇者がそろそろやめろという。

    魔法の銃も使いすぎるとダメになるらしい。孤島に着くまでおあずけだ。

    ―――今日は濃霧。魔王の孤島はまだ見えている。進展なし。勇者に疑問を持つ奴もチラホラ現れ出した。

    食料も無限じゃない。早くなんとかしてほしいもんだ。

    僧侶「……」ペラッ

    683 = 656 :

    ―――今日も濃霧。魔王の孤島は見えている。今日はこの部屋から出ていない。

    勇者は何をやっているのか。

    ―――今日も濃霧。魔王の孤島は見えている。進展なし。

    腹が減ったと喚く奴が現れた。誰かの一喝で静かになったが。

    ―――今日も濃霧。魔王の孤島が小さくなる。他に陸は確認できない。

    地図はあるので現在位置ぐらいは分かる。そろそろ食料が底を尽きる頃だ。

    ―――今日も濃霧。魔法の孤島は確認できなくなった。今、どこなのかも分からない。

    食料はまだある。まだなんとなる。

    ―――今日も濃霧。魔王の孤島は見えない。食料はまだある。

    ―――今日も濃霧。食料はある。

    ―――今日も濃霧。食料が尽きたといって勇者が部屋に入ってくる。可笑しなことをいう。こんなにあるのに。

    ―――今日も濃霧。食料が増えた。それと同時に魔法の銃も解禁になった。今まで捌くのが大変だったから助かる。

    ―――今日も濃霧。肉ばかりで流石に飽きてきた。でも文句は言えない。

    ―――きょ うは お れがにく にな る。うで が うま そ うだ。

    僧侶「……これで最後……これって……もしかして……」

    684 = 656 :

    僧侶「濃霧……まさか……!!」

    ガチャ

    僧侶「勇者さ―――」

    「……」

    僧侶「貴女は……」

    キラーマジンガ「どうもお久しぶりです」

    僧侶「船に残っていたのでは?」

    「うん……でも、少し気になって……」

    僧侶「気になる?」

    「魔法銃のこと」

    僧侶「ああ。でも、私たちがもって帰る予定だったので」

    「それは困る」

    僧侶「え?」

    「あれはニンゲンの手に渡ってはいけないものだ」

    僧侶「貴女……もしかして……」

    685 :

    かゆ...うま...

    686 = 663 :

    にんげん くう うまかた

    687 :

    ここで引くのか……

    688 :

    もう、キャプテンの名前は平仮名でいいんじゃないかな…

    689 :

    ―――幽霊船 Aフロア

    魔法使い「ちょっと待って」

    勇者「なんですか?」

    魔法使い「アンタ、いきなり何を言い出すのよ。私は二人を追ってきて―――」

    勇者「そんなのどうでもいい」

    魔法使い「はぁ?」

    勇者「僕、やっと気づいたんです。一番好きなのは貴女だって」

    魔法使い「な……!?」

    勇者「僕と結婚してください」

    魔法使い「こ、こんなときになにいってるのよ?!バカじゃないの!?」

    勇者「側室なんて要りません。貴女が傍にいるだけでいいのです」

    魔法使い「え……」

    勇者「僕の……僕だけのお嫁さんになってもらえますか?」

    魔法使い「だ、だから……あの……」

    勇者「貴女を愛している」

    690 = 689 :

    ―――幽霊船 Cフロア

    勇者「む……」

    キャプテン「ど、どうしたんだい?」

    勇者「目の前に裸の女性がいっぱいいるんですが」

    キャプテン「な、なにいってんだい!?」

    勇者「いや、ほら、目を開けてみてください」

    キャプテン「ど、どうせまたガイコツを見せ付ける気だろ!?もう騙されないよ!!」

    勇者「本当なのですが」

    キャプテン「いいから魔法銃を探しな!!」ギュゥゥ

    勇者「といっても、皆さんが側室にして欲しいと懇願してくるのですが」

    キャプテン「あたしにはそんな声、一つも聞こえないよ!!」

    勇者「なるほど。ということは……」

    キャプテン「幽霊とかいわないでおくれよ!!!」

    勇者「それ以上に厄介ですね」

    キャプテン「早くすすみなぁ!!!」

    691 = 689 :

    ―――幽霊船 船長室

    僧侶「貴女は……貴女は……」ガクガク

    「しばらく眠っていてもらおうか」

    キラーマジンガ「申し訳ありません」

    僧侶「勇者さまぁ!!!」ダダダッ

    「え?」

    僧侶「勇者様!!ありがとうございます!!私、嬉しいです!!」

    「何を壁に向かって……」

    僧侶「勇者さまぁ……」スリスリ

    「そうか、これは……」

    キラーマジンガ「マスター。恐らく、この幽霊船を包み込んでいる魔法の影響かと思われます」

    「幻覚の魔法か。船そのものにそれを掛けてたと聞いたことはあったが……」

    キラーマジンガ「外の濃霧は魔法の副次的な効果によるものです」

    「最も恐れるモノを見えなくし、最も好むモノを見せる……。人間にしか効果はないようで助かるな」

    キラーマジンガ「はい」

    692 = 689 :

    「この状態であれば殺すのも容易いな」

    キラーマジンガ「マスター。私が殺害いたします」

    「ほう?」

    僧侶「勇者さまぁ……私を犬と扱ってくれても構いません……」スリスリ

    キラーマジンガ「では……」シャキン

    (これで……魔王様に朗報をお伝えできるな……)

    僧侶「はふぅん……」スリスリ

    キラーマジンガ「……」

    「……」

    キラーマジンガ「それでは―――マスター!!!魔物が!!」

    「なに?!」

    エルフ「―――そこまでにしてくれる?」

    「な……」

    エルフ「ガーちゃんも剣を降ろして。でないと、大事なマスターを撃つよ?」

    キラーマジンガ「状況把握しました。無駄な抵抗はやめてください。貴女独りでは私には勝てません」

    693 = 689 :

    「お前……」

    エルフ「君のことはずっと疑っていたよ」

    「……」

    エルフ「魔道士は捕らえた人は独り残らず生命力を吸い取っていたのに、君だけが元気だった」

    エルフ「ボクたちの中で一番優れたポテンシャルを持っていたのにも関わらず。魔道士はエルフでさ垂涎していたのに、君を放置なんてありえない」

    「木偶人形が余計な分析をしたからか」

    エルフ「甲板で君たちを見て、きっと何かあると思った」

    キラーマジンガ「いい読みです」

    エルフ「君は誰?何の目的でボクたちについてきたの?」

    「ふん……裏切り者の分際で……」

    エルフ「え……?」

    「俺がこうして正体を晒すリスクを負ってまでこの幽霊船に乗ったのは、お前の所為だ」

    エルフ「なにを……」

    「魔法銃。かつて、魔王様を追いつめた武具。それを作ったのはお前らだろうが」

    エルフ「君は……魔族……なの?」

    694 = 689 :

    「ここでは俺の崇高なる姿を見せられないのが残念だ。船が沈むからなぁ」

    エルフ「殺すつもりなら沈ませれば」

    「併走する海賊船がある。あれを沈めるのは俺でも無傷では済まない。―――まあ、仲間が来たら、一気に決着をつけてやるさ」

    エルフ「仲間?!」

    「本来ならそいつらと勇者一行を戦わせるだけのつもりだったが、状況が変わったな。ここでお前たちを必ず消す」

    エルフ「やめて……」

    キラーマジンガ「無駄な抵抗です。やめてください」

    エルフ「くっ……」

    「抵抗しても構わん。今のニンゲンどもはどうせ戦えない」

    僧侶「ゆうしゃさぁまぁ……」スリスリ

    エルフ「……」

    キラーマジンガ「大人しくしていれば苦しまずに死ねます」

    エルフ「ボクは魔王を倒すって決めた。同胞を食い物にするような王なんて、ボクは許せない!!!」

    「過去のことを棚に上げるのか!!?」

    エルフ「ボクたちだってニンゲンがあんなことをするなんて思わなかった!!ご先祖様たちはみんな嘆いていたよ!!」

    695 = 689 :

    「黙れ!!」

    エルフ「本当だ!!」

    キラーマジンガ「マスター、どうされますか?」

    「……まずはこの裏切りモノから始末しろ」

    キラーマジンガ「了解しました」

    エルフ「来るな!!撃つよ!?」

    「撃てば分かる。無駄な行為だ」

    エルフ「……っ」

    キラーマジンガ「お覚悟を」

    エルフ「きゃっ―――」

    ギィィィン!!!

    「な……」

    キラーマジンガ「……!」

    エルフ「……え?」

    勇者「―――そんな乱暴な子に育てた覚えはないぞ!!!娘ぇ!!!」

    696 = 689 :

    「何……?!」

    キラーマジンガ「パパ……これは……違うの……」オロオロ

    勇者「母さんに手を上げるとは何事だぁ!!けしからん!!!喝っ!!!」

    キラーマジンガ「ひっ」ビクッ

    勇者「お前の小遣いを減らすからなぁ!!」

    キラーマジンガ「やめてよぉ!来週は大好きな先輩とデートするから新しい洋服がいるっていったじゃん!!」

    勇者「だまれ!!お前みたいな不良娘など家にはいらん!!でてけぇ!!!」

    キラーマジンガ「ざけんなよ!!クソオヤジがぁ!!!」ダダダッ

    勇者「ふんっ……」

    キラーマジンガ「……パパ?」

    勇者「……なんだ?」

    キラーマジンガ「反省したから……抱いて?」

    勇者「ふっ……淫乱娘が……」

    キラーマジンガ「パパがそういう体にしたくせに……」

    「おい、やめろ」

    697 = 689 :

    キラーマジンガ「今のは確実に90点でしょう?」

    勇者「いや、87点だな」

    キラーマジンガ「どこがですか?完璧だったはず」

    勇者「最後の一言が余計だ。あれでは完全に娼婦だ。バカヤロウ」

    キラーマジンガ「くっ……道のりは険しい……!!」

    「いい加減にしろ」

    勇者「そうですね。―――大丈夫ですか?」

    エルフ「う……うん……」

    キャプテン「おーい……どこだぁ……」オロオロ

    キャプテン「―――てっ?!」ゴンッ

    勇者「目を開けてあるかないと危ないですよー」

    「貴様……幻覚が見えているはずでは……」

    エルフ「そうだよ!!大丈夫なの?!」

    勇者「問題はありません。僕は今、ヌーディストビーチの真っ只中にいるだけですから」

    エルフ「……」

    699 = 689 :

    「どういうことだ……?」

    勇者「僕が真に求めているのは側室。裸婦ではありません」

    「意味が分からん」

    キラーマジンガ「パパ。ここはお互いのために退きましょう」

    勇者「君のマスターがそれを許さないんじゃない?」

    「……」

    キラーマジンガ「マスター……」

    「ここで殺す。やれ」

    キラーマジンガ「……了解しました」

    勇者「いつかはこうなるんじゃないかと思っていましたよ」

    キラーマジンガ「はぁぁぁ!!!」

    ―――バァァン!!

    キラーマジンガ「つっ……!?」

    キャプテン「馬鹿でかい声だねえ。目を閉じてても的が分かるよ」

    勇者「今だっ!!」バッ

    700 = 689 :

    「貴様……!!」

    勇者「こっちだ!!」グイッ

    僧侶「あれ?勇者様がいっぱいいる?!」

    勇者「逆ハーレムですね」

    僧侶「はい……」ウットリ

    「逃がすかぁ!!!」ゴォォォ

    エルフ「させない!!」キュィィン

    「おのれぇ!!!」

    キラーマジンガ「逃がしません!!」

    勇者「おねえさまぁ!!!」

    キャプテン「はいよ!!」バァァン

    「くっ……!こざかしい!!」

    キラーマジンガ「ここは海の上、逃げ場はありません」

    勇者「逃げるつもりなんてない。魔法銃の回収が済んでいないしね」

    キャプテン「おい!はやくしてくれ!!こっちは不安でしょうがないんだよぉ!!」


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