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    元スレ勇者「すごい美人で有能な僧侶と魔法使いをお願いします」

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    251 :

    ふむ…今の勇者の嫁は

    (GET)
    魔法使い(未)
    僧侶(未)
    ドラゴンもどい村娘(不明)
    エルフ(未)
    魔王(不明)

    後、9人か…勇者頑張れよ

    252 :

    勇者が俺の予想してた展開の斜め上を錐揉み回転しながら突っ走ってやがる

    253 :

    おっつん

    254 :

    乙女を追いかけ回すとはもう紳士じゃないな
    ただの変態だ

    255 = 246 :

    ―――牢屋

    勇者「こんなことになるなんて……困った……」

    エルフ「気分はどう?」

    勇者「おぉ……」

    エルフ「なに?」

    勇者「あの一ついいですか?」

    エルフ「……」

    勇者「森で出会ったとき、驚かれているようでしたが。あれは……?」

    エルフ「……」

    勇者「貴女の一人称がボクであることの次に気になるのですが」

    エルフ「そうだった?」

    勇者「……それにしても僕は運がいいです」

    エルフ「え?」

    勇者「エルフに出会うだけではなく、貴女のような絶世の美女エルフにも出会えましたから」

    エルフ「なに、それ……変なの……」

    256 = 246 :

    勇者「……」

    エルフ「食事、持ってきただけだから……」

    勇者「何か隠してますね?」

    エルフ「……」

    勇者「こうして貴女の……いや、貴方たちの策に嵌ってあげたというのに」

    エルフ「何がいいたいの?」

    勇者「エルフの一族は魔法を使える。人間とは比較にならないほどの高威力の魔法を。そうですよね?」

    エルフ「当たり前でしょ。ボクたちは―――」

    勇者「うはっ」

    エルフ「―――我々は魔法の基礎を築いた種族だから」

    勇者「では、どうしてあのときに殺さなかったのですか?」

    エルフ「それは……長老が言っていた通り、掟に則って貴方の処刑を……」

    勇者「三日後に?明日でも、今でもいいと思いますけど?」

    エルフ「……」

    勇者「僕をすぐに殺せない理由でもあるのですか?」

    257 = 246 :

    ―――エルフの森 深部

    魔法使い「今日はここまでにしましょう」

    僧侶「そうですね」

    魔法使い「大丈夫?随分、無理してない?」

    僧侶「はい。なんとか」

    魔法使い「見張りは私がするから、ゆっくり休んでて」

    僧侶「そういうわけには……」

    魔法使い「あんたが倒れると困るのは私だから」

    僧侶「でも……」

    魔法使い「いいから。寝てて」

    僧侶「すいません……」

    魔法使い「……あんたと居て、分かったわ……ダメね……私……」

    僧侶「え?」

    魔法使い「……」

    僧侶「あの……?」

    258 = 246 :

    魔法使い「はぁ……」

    僧侶「ダメって……そんなこと……。貴女は私なんかよりずっと役に立ってますよ」

    魔法使い「そう思う?」

    僧侶「森での一件、山での落とし穴、洞窟での戦闘、全て貴女がいないと私たちはとっくに死んでいました」

    魔法使い「……」

    僧侶「回復しかできない私とは違います」

    魔法使い「でも、私の魔力はすぐになくなる」

    僧侶「それは……」

    魔法使い「アイツは使いどころをいつも考えていたわ。多分、いつも頭を悩ましていたでしょうね」

    僧侶「……」

    魔法使い「私だけじゃ……やっぱり……。情報収集だって上手くいかないし……」

    僧侶「それは私も同じです!!」

    魔法使い「……」

    僧侶「ですから、エルフに会って……」

    魔法使い「会って……何かが変わればいいわね……」

    259 = 246 :

    ―――エルフの里 長老の家

    長老「どうだった?」

    エルフ「こちらの考えに気づいているのかいないのか……よくわかりませんでした」

    長老「だが、魔王を倒すと言った以上……奴に間違いはないはず」

    エルフ「でも、三人だって……」

    長老「違うなら記憶を奪い、森の外に出せばよい」

    エルフ「しかし……!!」

    長老「奴がここの存在を公言しては、また同胞が被害に遭うかもしれない。そうでなくとも拉致が横行しているのに……」

    エルフ「彼はそんなことしないと思います」

    長老「なぜだ?」

    エルフ「彼はボクのことしか見ていませんでした。ここには他にもエルフがいるのに」

    長老「……」

    エルフ「何故、ここへ来たのかは分かりませんが、誘拐を考えているようには思えないのです」

    長老「人間とは狡猾な生き物だ。それは散々、教えてきたはずだが?」

    エルフ「そうですが……」

    260 = 246 :

    ―――牢屋

    勇者「……」

    エルフ「まだ起きてたの……?」

    勇者「おぉ!!どうしたのですか?!おやすみのキスを?」

    エルフ「どうしてここまで足を運んだのかを聞きに」

    勇者「……第一の目的は側室探しですが、第二の目的は戦力アップのためです」

    エルフ「魔王と戦うために?」

    勇者「いえ。ドラゴンを倒すために」

    エルフ「……」

    勇者「驚かないんですね。ドラゴンですよ、ドラゴン。口から火を吐く」

    エルフ「彼は幻の存在でもなんでもないから」

    勇者「流石は魔族同士ですね。お知り合いですか?」

    エルフ「……存在を知っているだけ」

    勇者「ふむふむ」

    エルフ「ねえ、貴方に仲間は?一人旅ってことはないはずだけど……」

    262 = 246 :

    勇者「どうして?」

    エルフ「それは……」

    勇者「実は喧嘩別れをしてしまって。今は独り身なんですよ。ですから夜が寂しくて。温もりが欲しいですね」

    エルフ「……あのとき素直に帰っていればいいものを」

    勇者「何かを隠されるのは好きじゃないので」

    エルフ「……」

    勇者「やはり、僕は魔王に狙われているのですか?」

    エルフ「見つけ次第、能力を測れと魔族に通達している」

    勇者「ほう……。それは貴方たちも例外ではないと?」

    エルフ「ええ。疎まれる種族ではあっても、魔族。魔王には逆らえないから……」

    勇者「では、最初に驚いたのは?」

    エルフ「もうじき勇者がこの森に現れるというのは聞いていた。二人の仲間を連れているからって」

    勇者「でも、一人だけだった」

    エルフ「だから誘拐犯だとも思った。けれど、誘拐目的なら多人数だろうし、もう色々貴方はおかしかった」

    勇者「なるほど。だから、あんな面食らっていたわけですか」

    263 = 246 :

    エルフ「そういうこと」

    勇者「すっきりしました。では、もう結構です」

    エルフ「え?なにが?」

    勇者「それが真実なのでしょう?」

    エルフ「そうだけど」

    勇者「なら……あとは貴女を側室に迎え入れるだけだ」

    エルフ「はい?!」

    勇者「僕と添い遂げましょう」

    エルフ「嫌!!人間となんて……!!」

    勇者「異種間でのお付き合いってよくないですか?」

    エルフ「よくない!!」

    勇者「えー?」

    エルフ「ちなみにエルフは皆、同じように答えるから」

    勇者「いやいや。僕は貴女にしか興味はありませんよ?」

    エルフ「……」

    264 = 246 :

    勇者「僕は貴女を側室にしたいのですよ」

    エルフ「嘘ばっかり。ボク以外にも美人はいっぱいいるし、そもそも人間からなら同じ顔に見えるはず」

    勇者「何をいいますか。人間だって、犬や猫の容姿に優劣をつけられる!!」

    エルフ「犬猫と一緒にするな!!」

    勇者「すいません」

    エルフ「全く。自分の立場がわかっていないみたい……」

    勇者「よくわかりませんね」

    エルフ「え?」

    勇者「だって。僕の能力を測るつもりなのか、殺すつもりなのか……どっちなんですか?」

    エルフ「それは……」

    勇者「処刑までの猶予は僕が該当の人物なのか調べる期間であり、処刑は僕の力を調べる場だと考えても?」

    エルフ「そこまで考えてはいない……と思う。今のところ貴方はこの森に迷い込んだだけの旅人って扱いになっているし」

    勇者「そうですか。では、処刑はしないと?」

    エルフ「……なんの罪もない人を簡単に殺したりはしない。ボクたちは人間ではないので」

    勇者「優しい種族ですね……。魔物の一種族とは思えないぐらいに知的で紳士的です。益々、貴女のことが好きになりました」

    265 = 246 :

    エルフ「では、これで」

    勇者「待ってください」

    エルフ「まだ何か?」

    勇者「好きです」

    エルフ「……」

    勇者「アイラブユー」

    エルフ「……失礼します」

    勇者「ちっ……。どうして出会う女性は皆、ガードが固いのか。ゆるゆるだったのは姫様ぐらいだな」

    勇者「……」

    勇者(ドラゴンを倒すためにはエルフの力が必要だと、どの書物にも書かれていた……)

    勇者(でも、噂通り、エルフは大の人間嫌い……。懐柔は難しい……)

    勇者(このままでは二人と別れた意味がない。どうにかして仲間に引き入れたいところだけど……)

    勇者「月が綺麗だなぁ……」

    勇者「お二人は今頃、何をしているのか」

    勇者「ドラゴンが彼女たちを見つける前に……!」

    266 = 246 :

    ―――翌日 エルフの里

    僧侶「……」

    魔法使い「もしかして……見つけた……?」

    僧侶「あ、あそこにいる人……耳の形が私たちと違います」

    魔法使い「本当ね……。じゃあ……ここが……」

    僧侶「はい……」

    魔法使い(でも……割と簡単に見つかったわね……この集落。これなら、とっくの昔に誰かが見つけてても……)

    僧侶「ど、どうします?」

    魔法使い「行きましょう。なんのためにここまで来たと思ってるの?」

    僧侶「で、ですね……」

    魔法使い「門前払いされたら、諦めましょう」

    僧侶「門前払いで済まなかった……?」

    魔法使い「そのときは……戦うしかないわね」

    僧侶「相手は魔法の祖ですよ?!」

    魔法使い「エルフは人間のこと嫌いだっていうし、攻撃されることは頭に入れておかないとダメでしょ?」

    267 = 246 :

    僧侶「絶対に死にますよ!!」

    魔法使い「なんとか逃げればいいでしょ」

    僧侶「この森をですか?!」

    魔法使い「そうよ!」

    僧侶「魔物に襲われたらどうするんですか!!」

    魔法使い「そのときは戦うしかないでしょ?!」

    僧侶「エルフの追撃をかわしながらですか?!」

    魔法使い「そうするしかないでしょ?!」

    僧侶「どっちにしろ殺されますよ!!」

    魔法使い「じゃあ、何かいい考えあるの?!菓子折りの一つも持ってきてないでしょ?!」

    僧侶「えっと……非常食ならありますよ。勇者様に買って頂いた」

    魔法使い「馬鹿!!そんな物で―――」

    エルフ「あの」

    魔法使い「なによ!!―――あ」

    エルフ「こちらに来ていただけますか?抵抗するなら、多少痛い目を見てもらうことになりますが」

    268 = 246 :

    ―――長老の家

    長老「この者たちか」

    兵士「はっ。騒いでいましたので捕らえました」

    僧侶「ご、ごめんなさい」

    魔法使い「……」

    長老「して、何が目的だ?」

    僧侶「魔法を使いこなしたく思いまして」

    長老「なに?」

    魔法使い「私たち魔力の使い方が下手糞なの。それでエルフに会えばコツを教えてもらえるかもって思って」

    長老「ふむ。それがここまで足を運んだ理由か?」

    僧侶「はい!」

    長老「何のためだ?」

    魔法使い「魔王を倒すためよ」

    エルフ「な……」

    長老「そうか……なるほど……」

    269 = 246 :

    長老「奴をここへ」

    兵士「はっ」

    魔法使い「やつ……?」

    長老「お前たちに会わせたい人間がいる」

    魔法使い「まさか……」

    僧侶「そんなこと……」

    兵士「―――連れてきました」

    勇者「どうも」

    魔法使い「……」

    僧侶「勇者様!!!どうしたのですか?!」

    勇者「謂れの無い罪で捕まってしまいまして」

    魔法使い「どうせ女のエルフを追っかけまわしたんでしょ?」

    勇者「おや。よくわかりましたね。半分、正解です」

    僧侶「勇者様……」

    長老「やはり貴様らは仲間だったか」

    270 = 246 :

    勇者「いえ、違います」

    魔法使い「そうね。仲間だった、からね」

    僧侶「……」

    エルフ「喧嘩ですか?」

    僧侶「そうなんです」

    エルフ「ふーん」

    長老「こちらとしても都合がよいな」

    勇者「……」

    魔法使い「どういうことよ?」

    長老「三人まとめて処刑を行う」

    僧侶「えぇぇぇ?!」

    魔法使い「ちょっと待って!!この変態は死刑でもいいけど、私たちは関係ないわ!!」

    勇者「僕、勇者なのに情状酌量の余地なしですか?酷い」

    長老「我が一族の掟だ。疑わしき人間は全て罪人として処罰する」

    僧侶「そ、そんなぁ……」

    271 :

    ―――牢屋

    魔法使い「アンタねえ!!どうして別れてもこういうことに巻き込むのよ!!」

    勇者「これはもう運命の赤い糸で結ばれているのかもしれませんね」

    魔法使い「バッカじゃないの?!」

    僧侶「あの……抑えてください……」

    魔法使い「あんたもどうして文句言わないの?!」

    僧侶「えっと……私は勇者様と合流できてほっとしてますけど……」

    魔法使い「もう……」

    勇者「でも、僕たちの命もここで終わりですね」

    魔法使い「アンタの所為でね」

    勇者「勇者の血を絶やすわけにはいきません。さあ、服を脱いでください」

    魔法使い「なに考えてるのよ?!」

    僧侶「そ、そうです!どうせみんな死ぬんですから、種をまいても……」モジモジ

    魔法使い「そういう意味じゃないわ!!!」

    エルフ「楽しそうですね」

    272 = 271 :

    勇者「あ、ボクっ娘さん」

    エルフ「貴方は黙ってて」

    勇者「はっ!」

    魔法使い「なに?処刑方法が決まったの?」

    エルフ「我々の処刑は儀式的に行います。―――貴方たちは特設の舞台に上がり、そこで神官三名と戦って頂きます」

    僧侶「し、神官と戦うのですか?」

    エルフ「はい」

    魔法使い「エルフの神官って……」

    エルフ「この里で最も魔術に長けた者たちです」

    僧侶「昔、死刑囚と猛獣を戦わせ見世物にする処刑があったと聞きます……。そういった類のものですね?」

    エルフ「端的に言えばそうなります」

    魔法使い「人間じゃエルフの神官にか到底叶わないと知っていて……」

    エルフ「でなければ処刑になりませんから。ですが、万が一、神官たちを倒せば……」

    僧侶「解放されるのですね」

    エルフ「はい。それはお約束致します」

    273 = 271 :

    魔法使い「……」

    僧侶「……」

    勇者「公開処刑とはなんとも残忍な」

    エルフ「勝てばいいのです。勝てば」

    魔法使い「そんなの無理に決まっているでしょう」

    僧侶「そうですよ!!」

    勇者「……貴女もそう思っていますか?」

    エルフ「え……」

    勇者「……」

    エルフ「当然。神官たちが負けることはまずありえない」

    勇者「あーっはっはっはっはっは!!」

    エルフ「な、なに!?」

    魔法使い「ついに壊れた?」

    勇者「僕の側室候補ともあろう御人が、まさか節穴の双眸だったとは……情けない。僕はガッカリしました」

    エルフ「なんだって……?!」

    274 :

    予想外にゲスい処刑方法でワロタ

    275 = 271 :

    勇者「この二人はこの僕が!!勇者である僕が目をつけた術士だ!!!」

    僧侶「あの……」

    魔法使い「外見だけで選んだくせに」

    エルフ「それがなに?」

    勇者「つまり、エルフの神官よりも強い」

    エルフ「な……?!」

    僧侶「えぇぇぇぇ?!」

    魔法使い「そうだったの?!」

    エルフ「二人が私より驚いているけど?」

    勇者「敵を欺くにはまず味方から。二人にはいつも罵りの言葉を叩きつけてますからね。二人は自分のことをできねえやつだと思い込ませていました」

    エルフ「どうしてそんなことを……」

    勇者「自分よりも優秀な奴に勝てば励みになる。勝利の快感を覚えれば、更に努力しようと思えるでしょう?」

    勇者「自分は天才だ。勝って当たり前と思っていては、それが自分の限界だと決めつけ、努力をしなくなる!!だからこそ、僕は身を削る思いで蔑んできました」

    僧侶「そうでしたっけ?」

    魔法使い「むしろ、いつも褒めてくれてた気がするわ」

    276 = 271 :

    勇者「だから、今こそ本気を出すときです!!」

    僧侶「そう言われましても……」

    魔法使い「流石に魔法の創造主を倒すなんてこと……」

    エルフ「では、楽しみにしている」

    勇者「望むところだ。忘れるな。僕たちが勝てば、お前は俺の側室だからな」

    エルフ「誰がそんな約束した?!」

    勇者「したよ!!しらばっくれるな!!」

    エルフ「……いいでしょう。受けて立ちます」

    勇者「やったー」

    エルフ「ふんっ。どうせ、勝つことは不可能だけど……」

    勇者「やってみなくてはわかりません」

    エルフ「……」

    勇者「僕は死ぬわけにはいきません。最後まで足掻いてみせます」

    エルフ「苦しむのは貴方だ。―――魔王に歯向かわなければ、こんなにことにならなかったのに……」

    勇者「……」

    277 = 271 :

    ―――夜

    勇者「……」

    僧侶「ふわぁぁ……はぁ……」

    勇者「お二人はもう休んだほうがいいですよ?」

    魔法使い「変なことする気?」

    勇者「してもいいですか?」

    魔法使い「ダメに決まってるでしょ?」

    勇者「では、何もしません」

    僧侶「あの……勇者様、何をされて……?」

    勇者「明日、どう戦うかを考えています」

    魔法使い「無理よ。考えるだけ無駄。どんなに戦術を組んでも、圧倒的な戦力には負けるわ」

    勇者「……」

    僧侶「勇者様……」

    勇者「絶対に死なない……こんなところで……死んでたまるか……」

    魔法使い「アンタ……どうしてそこまで……」

    278 = 271 :

    ―――魔王城

    長老『―――明日、勇者と戦います』

    魔王「でかした。ふふふふ……たまには役に立つな。負けてもいい。しっかりと相手の能力を測れ」

    長老『ですが……恐らく、殺してしまいます』

    魔王「構わん。殺せるなら殺せ」

    長老『わ、わかりました……』

    魔王「ふん……。ニンゲンに魂を売った下等種族どもめ……」

    ドラゴン「捨て駒としてはいいですね」

    魔王「ああ。勇者一行の能力を調査するためには戦うしかない。しかし、全力を出させるためにはそれなりの実力者が必要だ」

    ドラゴン「とはいえ、戦の前に貴重な強者を向かわせるわけには行きませんからね。失ってしまったとき、大きな損害となりますし」

    魔王「そうだ。だが、エルフの連中はいくら死んでも良い。我らには非協力的だしなぁ」

    ドラゴン「しかも、ニンゲンよりも強い。この上ない適材者ですね」

    魔王「勇者が死ぬのならそれでよし。生きていても、勇者らの特徴は得られる。どちらに転んでも得をするのは我だ……くくくく……」

    ドラゴン「結果が楽しみですね」

    魔王「全くだな……」

    279 = 271 :

    ―――翌朝 エルフの里 牢屋

    兵士「出ろ」

    勇者「……」

    僧侶「ついに……」

    魔法使い「ふぅー……」

    兵士「ついてこい」

    勇者「……」

    僧侶「まさか……こんな森の奥で死ぬことになるなんて……」

    魔法使い「はぁ……怖くなってきたわ……」

    僧侶「わ、私も体の震えが……止まりません……」

    勇者「……」

    魔法使い「アンタは?」

    勇者「え?」

    魔法使い「怖いでしょ?」

    勇者「僕だけなら相当怖かったですが、貴女たちがいるなら怖くありませんね。むしろ、緊張できなくて困るぐらいです」

    280 = 271 :

    魔法使い「また強がり言って」

    勇者「本当ですよ」

    僧侶「相手はエルフですよ?!」

    勇者「僕は勇者です。そして貴女たちは有能な魔法使いと僧侶です」

    僧侶「そ、そんな真顔で言われても……」

    魔法使い「いい?!今までの魔物みたく本能で向かってきたり、魔法が簡単に通じる相手じゃないのよ?!」

    勇者「でしょうね。だからこそ、戦術が大事になります」

    僧侶「えぇ……」

    魔法使い「無理よ……。今度ばかりは……」

    勇者「できますよ」

    僧侶「どうして……そこまで断言できるのですか……?」

    勇者「貴女たちがすごい術者だからです」

    魔法使い「はぁ……なんの根拠もないってことね……」

    僧侶「うぅ……」

    勇者「絶対勝つぞー!!おー!!」

    281 = 271 :

    ―――処刑場

    長老「ではこれより、洗礼の儀を執り行う!!」

    長老「罪人よ。聖地へ足を踏み入れることを許可する」

    兵士「上がれ」

    勇者「……」

    僧侶「……っ」ガクガク

    魔法使い「できるだけ、苦しくない方法で殺して欲しいわね」

    僧侶「そ、そうですね……」

    長老「罪を流す者よ、聖地へ」

    神官「……」

    勇者「あの人たちが……神官ですか……」

    神官「……準備は整っております」

    神官「右に同じ」

    神官「いつでも、どうぞ」

    長老「罪深き者たちに洗礼を!!!」

    282 = 271 :

    勇者「では、手筈通りに」

    魔法使い「ほ、本当に大丈夫なんでしょうね?」

    僧侶「勇者様……本当に私は抱きついているだけでいいのですか?」ギュゥゥ

    勇者「ぬほほぉ。―――はい」キリッ

    魔法使い「なんで私が矢面に……」

    勇者「貴女の能力なら大丈夫です」

    魔法使い「信じられないけど」

    勇者「向こうは魔法のプロフェッショナル。だからこそ、貴女たちの苦しみなど絶対に分からない」

    僧侶「それって……」

    神官「では……洗礼を始める」

    勇者「来ます!!」

    魔法使い「ええい!!もうどうせ死ぬなら……!!!」

    神官「炎よ!」ゴォォォ

    魔法使い「―――はぁ!!!」コォォォ

    神官「な……!!炎を掻き消した……?!」

    283 = 271 :

    長老「ん……?!なんだ……今のは……?」

    エルフ(まさか……全力ではないとはいえ、いとも簡単に……神官の魔法を……)

    魔法使い「ほ、炎なんて私には効かないわ!!」

    魔法使い(冷気を纏っただけだけど……)

    神官「面白い……では……!!―――凍れ!!!」コォォォ

    魔法使い「氷も効かない!!」ゴォォォ

    神官「なんだと……」

    神官「中々の能力者。注意せよ」

    神官「うむ」

    魔法使い「……っ」

    勇者「よし。警戒を強めた」

    僧侶「それって……本気にさせたってことですよね?」

    勇者「さあ、次行きますよ」

    僧侶「は、はい!」ギュゥゥ

    神官「では、手加減はしない。―――雷よ!!」バリバリ

    284 = 271 :

    勇者「雷!?」

    神官「終わりだ」

    僧侶「きゃぁぁ!!!」

    勇者「絶対に離れないでください!!」

    僧侶「は、はい!!」ギュゥゥゥ

    ―――ドォォォォン!!!!

    長老「―――終わったか」

    エルフ「……」

    神官「儀式は終了」

    神官「では、死体の回収をおこな―――」

    勇者「―――はぁぁ!!!」ゴォッ

    神官「なに……!!」

    勇者「せいっ!!」ザンッ

    神官「バ……カ……な……」ドサッ

    勇者「砂塵を巻き上げては、敵を見失う。状況によっては今みたいに隙をつくることになります。覚えておいてください」

    285 = 271 :

    神官「理解不能」

    神官「何故、無傷でいる……。確かに直撃したはず……」

    勇者「結構痛いですよ。でも、僕は無敵なんで」

    僧侶「うっ……」ギュッ

    勇者「(大丈夫ですか?)」

    僧侶「(は、はい……)」

    長老「どうなっている……!?」

    エルフ「そんな馬鹿なこと……」

    勇者「これだけははっきり言っておきます。僕を倒すことはできないぞ!!!」

    神官「思考中」

    神官「魔力を解放する。肉体を滅裂させれば再生も不可能のはず」

    勇者「ああ、やっぱり力があるとそういう力押しができていいですねえ!!全くぅ!!」

    僧侶「(勇者様、流石に治癒が追いつかない傷を負えば……)」

    勇者「(分かっています)」

    魔法使い「(ちょっと、あれは多分指定した空間を爆発させる魔法よ?!どうするの?!)」

    286 = 271 :

    勇者「指定した空間を?」

    魔法使い「そうよ!!」

    勇者「やったー!!」ダダダッ

    僧侶「えぇ?!特攻?!」

    神官「なに……?!」

    勇者「爆発させる魔法は近距離では使えない。それは以前に聞きました」

    魔法使い「あ……」

    神官「くっ……!!」バッ

    勇者「遅いっ!!!」ズバッ

    神官「がっ……?!」ドサッ

    勇者「二人目だぁ!!!」

    神官「……」

    勇者「ふん。いくら魔法ができるからって、やりようはいくらでもある!!」

    神官「……」

    勇者「もう声も出ませんか?!ええ、おい!!」

    287 = 271 :

    神官「……」

    勇者「あーん?」

    神官「爆発」

    勇者「え―――」

    ドォォォォン!!!!

    僧侶「きゃぁ?!」

    魔法使い「なっ……!?自爆?!」

    勇者「うっぁ……ずっ……」

    僧侶「勇者様ぁ!!!」タタタッ

    神官「損傷甚大……」

    勇者「まさ……か……捨て身……とは……」

    僧侶「今、治癒を……!!」ギュッ

    勇者「あ、ありがとうございます」

    神官「治癒開始」

    魔法使い「一撃でしとめないと、向こうも回復しちゃうわね……」

    288 = 271 :

    神官「爆炎放出」ゴォォォ

    僧侶「きゃぁ?!」

    魔法使い「炎なら!!」コォォォ

    神官「……」

    魔法使い「効かないわ」

    神官「氷塊放出」

    魔法使い「無駄よ!!」ゴォォォ

    神官「……」

    魔法使い「はぁ……はぁ……」

    勇者(これ以上はまずい……タネがバレたら……)

    僧侶「うぅ……」ギュゥゥ

    神官「解析完了」

    魔法使い「え……?」

    神官「炎、継続放出開始」ゴォォォ

    魔法使い「なっ……!!」コォォォ

    289 = 271 :

    神官「貴殿、魔法放出不可」

    魔法使い「ちょっ……!!」

    勇者「まずい……!!早くトドメを……!!!」ダダダッ

    僧侶「勇者様!!」

    勇者「うおぉぉぉ!!!!」

    神官「爆炎放出」ゴォォォ

    勇者「うぁ!!」

    魔法使い「馬鹿!!なにやって―――」

    神官「最大出力」ゴォォォォ

    魔法使い「やめて……よ……!!もう……魔力が……!!!」コォォォ

    僧侶「ど、どちらに抱きつけば……!!」オロオロ

    神官「貴殿、魔力残量皆無」

    魔法使い「うる……さい……やれる……これぐら、い……!!!」

    神官「諦観推奨」

    魔法使い「そ、そんなこと……奨めないでよ……!!」

    290 :

    なんちゅうところで投下止めるんや・・・

    291 = 271 :

    長老「どういうことだ……これは……?」

    エルフ「あの二人の術者。少し様子が変ですね」

    長老「うむ。神官の魔法を相殺できるほどの魔力を放出しておいて、それを攻撃に転換しないとは」

    エルフ「しないというより、できないのでは?」

    長老「む……それは……」

    エルフ「できるのであれば、治癒も抱きつくほど密着する必要はないですし、魔法で攻撃するのも安全な遠距離で行うはず」

    長老「相手との力量が違いすぎるから奇をてらった方法を用いているのではないか?」

    エルフ「攻撃魔法を防御に使うのはありえますが、それなら先ほど神官が弱っているときに追撃をかけないのが不自然です」

    長老「そういえばあの術者たちは魔法について学びたいを言っておったな……」

    エルフ「魔法を上手く使いこなせないということでしょうね」

    長老「そういうことか。分かってしまえばどうということはないな」

    エルフ「ええ。時間をかければ終わります。エルフの魔力量は人間の数十から数百倍ですからね」

    長老「ああ……。人間にとっては無限に等しいだろう」

    エルフ「儀式終了も時間の問題ですね……」

    エルフ(悪く思わないで……。これも全て貴方たちが魔王と戦おうとするから……)

    292 :

    いやなエルフもあったもんだ

    293 :

    おっつん

    294 :

    面白くなってきたドン!

    295 :

    相変わらず面白い
    勇者のキャラ本当にいいなー

    ただ3人の神官はA~Cとか1~3でもいいからそれぞれに区別付けてほしい

    297 = 271 :

    勇者(このままじゃ……!!)

    神官「……」ゴォォォ

    魔法使い「くぅ……ぁ……ん……!」コォォ

    僧侶「……っ」タタタッ

    魔法使い「え……?」

    僧侶「……」ギュッ

    魔法使い「あんた……!!」

    僧侶「うぅ……」ガクガク

    魔法使い「……もう!!」コォォォ

    神官「無意味」ゴォォ

    魔法使い「死にたくないから足掻くのよ!!悪い?!」

    僧侶「うぅぅ……ぅ……ぐすっ……ゆう……しゃさま……たすけて……」

    勇者「あ……!!」

    勇者(あ、いや……上手くいくかはわからない……それ以前に二人を危険な目に合わせてしまう……)

    勇者(だが……迷ってはいられない……!!)

    298 = 271 :

    勇者「わかった!!諦める!!」

    神官「……」ピクッ

    魔法使い「ど、うし……て……」

    僧侶「そ、んな……」

    勇者「もうお二人を苦しませないでください」

    神官「……」

    魔法使い「まだ……やれる……のに……」

    勇者「もう無理ですよ。やめましょう。お二人とも、もう魔力が……」

    僧侶「あぁ……うぅ……」ガクッ

    魔法使い「しっかりして!」

    僧侶「私たち……ここで……終わり……なんですね……」ウルウル

    勇者「残念ですが……治癒する術が無い以上、勝ち目はありません」スッ

    僧侶「……」

    勇者「申し訳ありません。僕が不甲斐ないばかりに……」

    僧侶「いえ……」

    299 = 271 :

    魔法使い「やめて……」

    勇者「……」

    魔法使い「アンタはいつも諦めなかったじゃない……!!」

    勇者「勝算があったからですよ」

    魔法使い「何よ……今はないっていうの……?」

    勇者「はい」

    魔法使い「どうしてよ!?綺麗なお嫁さんと側室を10人はべらせるんでしょ?!」

    勇者「志半ばで力尽きる人が殆どですよ」

    魔法使い「なんで……やめて……」

    勇者「本当に申し訳ありません。自分が馬鹿なことをしなければ、貴方達を巻き込むこともなかったのに……」

    魔法使い「……」

    勇者「僕から処刑しろ」

    神官「……」

    魔法使い「本気なの……」

    僧侶「勇者様……」

    300 = 271 :

    長老「観念したのか……致し方ないな……。所詮は人間だったか……」

    エルフ「……」

    神官「処刑容認」スッ

    勇者「魔法で殺すのか……?」

    神官「肯定」

    勇者「できるだけ痛くないように頼みます」

    神官「了解」

    勇者「ふぅー……」

    魔法使い「いや……だ……め……」

    僧侶「……」

    神官「―――爆破」

    勇者「……っ」

    僧侶「―――やめてぇ!!!」バッ

    神官「!?」

    ドォォォン!!!


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