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    元スレ勇者「すごい美人で有能な僧侶と魔法使いをお願いします」

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    151 = 122 :

    勇者「どちらにせよ、僕の夢を脅かす存在は消さねばならないので」

    村長「なんという……」

    魔法使い「まあ、ものすごい不純な動機よね」

    僧侶「でも、その想いこそが勇者様の原動力なわけですし」

    魔法使い「そんな原動力、燃えてしまえばいいのに」

    勇者「燃えているからこうして行動に移しているのではありませんか」

    魔法使い「はいはい。―――で、その支配者はどこに?」

    僧侶「ふふっ」

    魔法使い「なによ?」

    僧侶「あ、ごめんなさい。討伐することには反対じゃないんだなって思って」

    魔法使い「見てみぬフリはできないわ」

    僧侶「そうですね」

    魔法使い「ふんっ」

    村長「みなさん……ありがとうござます。では、お教えします」

    勇者「はい、お願いします」

    153 = 122 :

    勇者「地図を」

    僧侶「は、はい」

    勇者「場所からしたら……この辺りに問題の洞窟があるのですね」

    村長「ええ」

    僧侶「なるほど」

    魔法使い「ここからならそう遠くないわね」

    勇者「では、明日の朝向かいましょう。こちらも万全にしておくべきです」

    僧侶「はい」

    魔法使い「わかったわ」

    勇者「では、村長様、よそ者の僕たちに色々とありがとうございます」

    村長「気にしないでください。それより、もしよければ、今日はこの家で休んでいくといい」

    勇者「え……?」

    村娘「勇者様。是非、そうしてください」

    勇者「……なるほど。貴女の入浴中に僕が間違って入ってしまうという展開ですね?」

    魔法使い「いい加減にして」

    154 = 122 :

    ―――客間

    勇者「……」

    僧侶「勇者様?どうかされましたか?」

    勇者「黄金の国にしては随分とオープンだなと思いまして」

    魔法使い「どういうことよ?」

    勇者「自分が聞いた話では他国の人間に対しては排他的な態度を取るということだったのですが」

    僧侶「あまり隣国とも交流しない国だって言われてますね」

    勇者「得体の知れない僕たちの話を簡単に信用しているのが解せない」

    魔法使い「考えすぎじゃない?私たちだって黄金があるとかいう風説を信じてたわけだし」

    勇者「だといいですけど」

    魔法使い「……」

    勇者「まあ、でも、今はそんなことなど瑣末事ですね。なにせ、今日は相部屋ですし。これは間違いが起こる予感。いや、起きろ」

    僧侶「ま、間違いって……」

    魔法使い「早く寝てよ。明日は大変なんだから」

    勇者「馬鹿な……。同じ部屋で寝るのにぱふぱふも無しだと……?」

    155 = 122 :

    ―――翌朝 

    勇者「一食一飯の恩、忘れません。魔物の討伐をもって、返します」

    村長「それはおつりが出るぐらいだな。お願いします」

    勇者「はっ」

    僧侶「では、行きましょう」

    魔法使い「お世話になったわ」

    村娘「お気をつけて、勇者様」

    勇者「はい。貴女の笑顔を取り戻すために行って参ります」

    村娘「そ、そんなぁ……照れます……」

    魔法使い「……」ガシッ

    勇者「つめたぃ!?」

    僧侶「あの……仲良くしてください……」オロオロ


    村長「……では、行って参ります」

    村娘「できるだけ奴らの実力を引き出せ」

    村長「はい」

    156 = 122 :

    ―――洞窟

    勇者「ここか……」

    魔法使い「嫌な空気ね。魔物の巣窟だと思ったほうがいいかもしれないわ」

    勇者「ええ。十分に警戒して進みましょう」

    僧侶「は、はい……」

    勇者「僕の腕にしがみついていてもいいですよ?」

    僧侶「で、では……」ギュゥゥ

    勇者「ああ、癒される」

    魔法使い「……もう文句を言う気力もないわ」

    魔物「グルルル……!!」

    勇者「早速ですね」

    僧侶「ひっ……」

    魔法使い「……」パシンッ

    勇者「お二人は僕の後ろにいてください」

    魔物「ガァァァァ!!!」ダダダッ

    157 = 122 :

    勇者「―――随分と歩きましたね」

    僧侶「そうですね」

    魔法使い「休憩にする?」

    勇者「ええ。それがいいでしょう」

    僧侶「はぁ……申し訳ありません。私のために……」

    勇者「僕も疲れてますし。お互い様です」

    僧侶「そうですか……?」

    魔法使い「私もつかれた―――きゃっ!?」ビクッ

    勇者「どうしました?僕の魅力に興奮してしまったのですか?!」

    魔法使い「水滴が首筋に当たったの」

    僧侶「水滴……?そういえば、ここ鍾乳洞なんでしょうか?」

    勇者「地形的にそうでしょうね。きっと最深部に行けば綺麗な水がいっぱいあるのでしょう」

    僧侶「こういうところのお水は絶品だって聞きますよ」

    勇者「身を清めるのには打って付けですね。お二人とも、ここは僕を気にせず全裸になって泳ぐことをお勧めします」

    魔法使い「こういうところの水温がどれだけ低いか知ってて言ってるの?」

    158 = 122 :

    ―――最深部

    勇者「む……?」

    僧侶「誰か……いる?」

    魔法使い「もしかして……」

    勇者「奴の足下を見てください」

    僧侶「え……?な、なんですか……あれ……?」

    魔法使い「骨ね」

    僧侶「うっ……?!」

    勇者「神聖な水場でこのような蛮行を行っているとは、僕も驚きを隠せませんね。これではお二人を泳がせるわけにはいかない」

    魔法使い「泳ぐ気なんて更々ないけど」

    魔人「―――来たか」

    勇者「貴様がこの国を支配している魔物か」

    魔人「その通りだ。矮小なニンゲンどもめ。自ら餌になりに来るとは殊勝な心がけだな」

    勇者「この二人は僕が食べる!!手を出すな!!」

    魔法使い「真面目にやって……お願いだから……」

    159 = 122 :

    魔人「カカカカ!!可笑しなことをいう。今から八つ裂きにされる者が私に命令するか?」

    勇者「まあ、手を出す隙なんて与えないけどな」

    魔人「減らず口を……」

    僧侶「く、くる……!!」ササッ

    魔法使い「いいわね、盾」

    僧侶「勇者様、がんばってください」

    勇者「お二人もサポートお願いします」

    魔法使い「出来ればいいけど……」

    魔人「行くぞぉ!!!」

    勇者「こいっ!!」


    村娘「さて、その実力いかほどか」

    村娘「色々と見せてもらおうか……」

    村娘「ん……?あの後ろにいる二人は何もしないのか……?」

    村娘「それとも……何か狙いがあるのか……?」

    161 = 122 :

    勇者「せぇぇい!!!」ギィィン

    魔人「カカカカ!!!なんだそれはぁ!!」ドゴォ

    勇者「がっ?!」

    魔人「私の体を切り裂くには力量が足りないようだな」

    勇者「ふっ!!」シュッ

    魔人「きかぬわぁ!!」

    勇者「化け物め。トロルでも掠り傷程度のダメージはあったのに」

    魔人「カカカカ!!!」ドガァ

    勇者「づっ!?」

    魔人「カカカカカ!!!期待ハズレだな。ここで終わりにしてやろう!!」

    勇者「―――それはどうかな?」

    魔人「なに?」

    勇者「気がついていないのか?この空間の空気が凍りつつあることに」

    魔人「貴様ぁ!!何をしているぅ!!!」

    魔法使い「内緒に決まっているでしょ?」

    162 = 122 :

    勇者「ここは鍾乳洞だ。色々と水が多い。それが寒さで凍れば……」

    魔人「くだらぬ。私を氷柱で殺すとでもいうのか?」

    勇者「そうだ!!もう天井は無数の氷柱だらけだ!!見てみろ!!」

    魔人「なんだとぉ?!」バッ

    勇者「かかったな!!」ダダダッ

    魔人「―――ひっかかるか、アホがぁ!!!」ドゴォ

    勇者「がはっ!?」

    僧侶「勇者様!!」ダダダッ

    魔法使い「……っ」

    魔人「この程度の温度で氷柱ができるわけないだろうが!!」

    勇者「ごもっとも……」

    魔人「コケにして……死ねぇ!!!」

    勇者「ちっ!!」ギィィン

    魔人「飛び散れっ!!」ゴォォォ

    勇者「魔法か……!!」

    163 = 122 :

    魔人「ハーッハッハッハッハ!!!」

    僧侶「―――やぁぁぁ!!!」ダダダッ

    魔人「はっ!?」

    僧侶「シールドアタック!!」ガキィィン

    魔人「うおぉぉ?!」

    勇者「僕に集中しすぎたな」

    魔人「ふん。これしきで―――」ダッ

    魔法使い「あ、そこ凍ってるわよ」

    魔人「なっ―――」ツルッ

    ドボンッ!!

    勇者「よし。リムストーンプールに落ちた」

    魔法使い「私が凍らせられるのは手で触れられるところだけだから」ピトッ

    魔人「ぷはっ!!―――力では敵わぬから溺死させようとするのか?カカカカカ!!!!実に浅はかだな!!」

    魔人「魔物を舐めるのも大概にしておけぇぇ!!!ニンゲンがぁぁぁ!!!床に転がっている塵芥の骸となれぇ!!」

    魔法使い「この巨大な水溜りと一緒に凍りなさい」コォォォ

    164 = 122 :

    魔人「こ、これは……!!!凍っていく……!!」

    ピキ……ピキピキ……

    僧侶「やりました!!」

    勇者「魔物はすぐに熱くなるからわかり易くていいな」

    魔人「おのれぇ……!!これしきで私の動きを封じたと思っているのか!!」

    勇者「いいや。思ってない。だけど……すぐには身動きが取れないはずだ。これだけ深く、広い水源が一気に凍ればな」

    魔法使い「……」スッ

    魔人「なに……を……」

    魔法使い「物理攻撃に強くても魔法ならどうかしらね?」ギュッ

    魔人「きさまっ……」ゾクッ

    魔法使い「燃えろぉ!!」ゴォォォ

    魔人「ガァァァ……ァ……ァァ……」

    勇者「ここで凄惨な死を遂げた人たちにせめてもの手向けを」

    僧侶「はい。僭越ながら……祈らせていただきます……」

    魔法使い「疲れた……。なんでいつも大量の魔力を使わせるの?」

    165 = 122 :

    勇者「それは貴女が―――」

    村娘「実に有能な魔術師を連れているようですね」

    勇者「なっ!?」

    僧侶「え……」

    魔法使い「貴女は……村長さんのところにいた……」

    村娘「勇者様。全て見させてもらいました」

    勇者「もしかして……僕の側室になってくれるのですか?」

    村娘「私がニンゲンであれば……貴方に惚れていたでしょうね」

    僧侶「人間で……あれば……?」

    魔法使い「あんた……だれなの?」

    村娘「ふふふ……実力をもう少し見せてもらおうか……勇者よ!!!」メリメリ

    勇者「な……ななな……!?」

    ドラゴン「―――予想以上に部下が使えなかったのでな。行くぞ?」

    僧侶「あ……あぁぁ……」ガクガク

    魔法使い「う、うそでしょ……?」

    166 = 122 :

    勇者「バ……バカな……」プルプル

    僧侶「伝説の魔物が……いる……なんて……」ヘナヘナ

    魔法使い「しっかりして!!」

    ドラゴン「ふふふふ……。どいつも同じだな。俺の姿を見れば驚愕し萎縮する」

    ドラゴン「魔王様は魔物を統べる王。ドラゴンが傍にいても可笑しくはないだろう?」

    勇者「な……なんてことだ……そんな……ありえない……!!」プルプル

    ドラゴン「ふふふふ……。さあ……その力を見せろ。魔王様の脅威となる存在なのかどうか……!!」

    ドラゴン「ただし、勢い余って殺してしまうことになるだろうけどな」

    魔法使い「そんな……」

    僧侶「死ぬ……わたしたち……ここで……」

    勇者「く……そ……!!!」ギリッ

    ドラゴン(ふんっ。なんだ、他のニンゲンどもと変わらないようだな。恐怖に身を震わせ、絶望している。魔王様の杞憂だったか―――)

    勇者「くそぉぉぉぉ!!!!ふざけんなぁぁぁぁぁ!!!!!!てめぇぇぇ!!!!!」

    ドラゴン「……!?」ビクッ

    勇者「さっさと女の子の姿に戻れよ!!!俺はあの女の子を側室候補にしてたんだぞ!!!なのにそんな醜い姿になりやがってぇぇ!!!」

    167 :

    ブレないなあ、勇者

    168 = 122 :

    ドラゴン「み、醜いだと……!?」

    魔法使い「な、なにいってるのよ!?そんなこと言ってる場合!?」

    僧侶「そ、そうですよ!!勇者様ぁ!!」

    勇者「俺を裏切りやがってぇぇ……!!絶対に……!!絶対に許さん!!!」

    ドラゴン「き、貴様……!!俺の姿を見てなんとも思わないのか?!」

    勇者「醜いトカゲに用はないんだよぉ!!!」

    ドラゴン「きさ……ま……ニンゲンの分際で……!!!この俺に罵詈雑言を……!!」

    勇者「俺の側室候補返せぇぇ!!!」

    魔法使い「にげるわよ!!早く!!!」

    僧侶「勇者様!!お気持ちは分かりますがここは退きましょう!!」

    勇者「早く女の子に戻れ!!今なら一緒にお風呂で許してやらぁ!!!」

    ドラゴン「ぬかせぇ!!ニンゲンがぁぁ!!!灼熱の業火にやかれろぉぉ!!!!」

    勇者「こっちはとっくに腸煮えくり返ってるんだよぉ!!オオトカゲが!!」

    ドラゴン「殺すっ!!―――焼け死ねぇ!!!」ゴォォォォ!!!

    僧侶「きゃぁぁぁ!!!!」

    169 :

    勇者「お願いしますっ!!」

    魔法使い「もうアンタと出会ってから毎日のように魔力が空になるのはなんでなのよぉ!!」コォォォ

    魔法使い「―――凍れ!!」

    ボゥン!!

    ドラゴン「霧?!」

    勇者「退却!!!」ダダダッ

    魔法使い「賛成!!」ダダダッ

    僧侶「異議なしです!!」ダダダッ

    ドラゴン「これしきの目くらましなど……俺の両翼で!!!」バサバサ

    ドラゴン「―――くっ。逃げられたか」

    ドラゴン「まさか俺の灼熱を利用して霧を発生させるとは……。この水溜りを一気に氷漬けにできるなら、不可能ではないか……」

    魔人「おぉぉ……ドラゴンさま……お、た……すけ……く―――」

    ドラゴン「役立たずは不要だ」ゴォォォ

    魔人「ギャァ……ァァァ……!!!」

    ドラゴン「確かに注意が必要かもしれないな」

    170 = 169 :

    ―――フィールド

    勇者「はぁ……はぁ……」

    僧侶「はぁ……追っ手はいない……ようですね」

    魔法使い「ねえ……もしかして……この国には……」

    勇者「生きている人間はいないでしょうね」

    僧侶「そ、そんな……」

    勇者「魔王め……僕の理想郷成立を邪魔するのか……」

    魔法使い「アンタねえ……」

    勇者「完全に魔王の手によって落とされた国は、どこも同じと見ていいでしょうね」

    僧侶「許せない……」

    魔法使い「ええ。気分が悪いわ。私の力がどこまで通用するかわからないけど……」

    僧侶「勇者様……私も……がんばります。できるだけのことはします」

    魔法使い「人間を皆殺しなんてさせたくない。アンタは?」

    勇者「勿論、皆殺しなんて見過ごせません。―――それって美人な人もいなくなるってことですからね」キリッ

    魔法使い「……はぁ。はいはい。そうですね」

    171 :

    モンスターっ子に興味はない、か…

    172 :

    つまり変態レベルは俺達が上と

    173 :

    俺たちの高みまで来れるか?勇者よ

    174 :

    次の側室候補が楽しみだ

    175 :

    ドラゴンはメスなのかオスなのか…

    176 :

    そりゃ町娘に変身してたし
    >村娘「私がニンゲンであれば……貴方に惚れていたでしょうね」
    ってセリフから見て…

    オスでも心は女の子な男の娘ドラゴンや男が大好きなショタドラゴンなら大歓迎ですがね

    177 :

    本当お前らレベル高ぇなwww
    相対的にこの勇者の紳士ポイント上がるじゃねーか

    178 :

    モン娘に興味なしとか…
    スキュラとかアラクネとかスライムとか出てこないのか!

    179 :

    勇者もブレないけど、おまえ等もブレないなww

    181 :

    ドラゴン仲間フラグ立ったか

    182 :

    >>178
    おまえが魔王「世界征服やめた」のスレを見てるのはわかった

    183 :

    続きが楽しみ

    184 :

    >>178 >>182
    俺は最初にvanadisを思い浮かべた

    185 :

    ―――魔王城

    ドラゴン「魔王様、ただいま戻りました」

    魔王「どうだった?」

    ドラゴン「はい。魔王様の想像通り、中々の使い手でした」

    ドラゴン「勇者と思われる男は自分の姿を見ても冷静さを失わず、したたかに行動していました」

    ドラゴン「後方支援者と思しき術者も、空間を一瞬で凍らせるほど熟練された魔法を駆使していました」

    魔王「なるほど」

    ドラゴン「我が炎すらも掻き消すことができるニンゲンが存在するとは思いませんでした」

    魔王「……よく無傷で帰ってこれたな」

    ドラゴン「いえ。流石にそれだけでは勝てないと判断したのでしょう」

    魔王「お前の炎を相殺できるだけの力量を持ちながら、即時撤退をしたというのか?」

    ドラゴン「ええ、その通りです」

    魔王「竜族を間近で見ても冷静な行動を取れるだけの思考能力と行動力があり、しかも対抗できる術を持っていて逃亡を即断するか……?」

    ドラゴン「魔王様?」

    魔王「炎を凌ぐ以上のことはできないのか……それとも……。どちらにせよ、もう少し知りたいな……勇者一行のことを……」

    186 = 185 :

    ―――夜 夜営地

    勇者「テント、張れましたよ」

    僧侶「いつもありがとうございます」

    勇者「いえ。これぐらいのことは喜んでします」

    魔法使い「不思議ね。あのドラゴン、追ってくると思ったのに」

    勇者「初めから殺す気はなかったのでしょう」

    僧侶「どうしてですか?あんな熱そうな火まで吐いてきたのに」

    勇者「殺すなら僕たちが魔人と戦っているときに頭上かた灼熱の炎を吐けばいいだけですからね」

    魔法使い「それは仲間を巻き込みたくなかったからじゃ……」

    勇者「あのドラゴンは村娘に扮して僕たちをあの洞窟に誘いました。なら待ち伏せして丸焼けにだってできたはず」

    魔法使い「あ……言われてみればそうね」

    勇者「きっと力量を見ていたのでしょう」

    僧侶「でもどうしてそんなことを?私たちでは絶対に太刀打ちできないのに」

    勇者「あのドラゴンはきっと誰かに命令されて、あんなことをしたのでしょう。でなければ僕たちなんて瞬殺ですし」

    魔法使い「ちょっと待って。それってつまり……ドラゴンを指示している……魔王が私たちのことを警戒をしているってこと?」

    187 = 185 :

    勇者「はい」

    僧侶「ど、どうして……」

    勇者「トロルの一件が魔王を慎重にさせているのかもしれませんね」

    魔法使い「そっか。側近を倒したから、無理な特攻がしにくいのね」

    勇者「だと思います。トロルも魔王の側近だとするなら、トロル以上の強者は恐らくあまり居ない。あのドラゴンぐらいかもしれません」

    僧侶「そのトロルを倒したから、魔王は警戒して力押しで来ようとしないのですか」

    勇者「魔王からしてみればトロルが人間に倒されたことは予想外だったはずですから」

    魔法使い「魔王にとって私たちは未知の相手ってわけね」

    勇者「トロルより力がある者を嗾け、万が一、その者がやられてしまっては事です。相手は今、情報収集の最中なのでしょう」

    魔法使い「なら、ボロがでちゃったら……」

    僧侶「一気に攻めてくる……?」

    勇者「そうなっては無残に死ぬしかありません」

    魔法使い「……」

    僧侶「そ、そんな……」

    勇者「でも、安心してください。僕は死なない。貴女たちを側室に迎え入れ、楽しい隠居生活を満喫するまではっ!!」

    188 = 185 :

    魔法使い「かっこつかないわね……いちいち……」

    僧侶「そ、そうですか?」

    魔法使い「えぇ!?」

    勇者「格好の良い理想なんてありません。理想とはエゴ、私欲の塊。口にするだけで嫌悪される。それが理想というものです」

    魔法使い「アンタの場合は野望でしょ」

    勇者「願望も野望も夢も理想も全部同じですよ。人間の醜悪な部分ですね」

    僧侶「そ、そうでしょうか?」

    魔法使い「だから、アンタはそれを隠そうとしないから余計に気持ち悪く見えるんでしょう!!?」

    勇者「バカな。勇者なのに気持ち悪いとは、これいかに」

    魔法使い「あんたねえ……」

    僧侶「でも、勇者様にはその強い野望が生命力に転換されているようですし、良い事ではないでしょうか?」

    勇者「流石は神に仕えるお人だ。理解が早くて助かります」

    僧侶「い、いえ……そんなぁ」

    勇者「そう!!多くの美人をはべらせること!!それが僕の原動力!!魔王を倒す力となる!!」

    魔法使い「そんな想いで倒される身にもなりなさいよね」

    189 = 185 :

    僧侶「まぁまぁ。でも、将来の夢を持つことはいいことですよ?生きる糧になることは間違いないですし」

    魔法使い「否定はしないけど……」

    勇者「そういえばお二人とも魔王を倒すのが夢だと言っていましたね」

    僧侶「は、はい」

    勇者「どうしてそのような夢を?」

    魔法使い「……」

    僧侶「えっと……」

    勇者「お金ですか?それとも名声?」

    魔法使い「いいえ、違うわ」

    僧侶「あ……」

    魔法使い「復讐よ」

    勇者「……」

    僧侶「勇者様……あの……」

    勇者「なるほど。合点がいきました。それで貴女たちは、自ら才能がないと認めながらも魔法使いと僧侶で居続けたのですね?」

    僧侶「は、はい……」

    190 = 185 :

    魔法使い「私たちみたいな境遇の人は珍しくないわ。孤児になる理由の七割以上は魔王の軍勢による侵攻のためだもの」

    僧侶「私たちの国も魔王の軍勢に支配され……そして、親類を殺されました」

    勇者「……」

    魔法使い「だから、なんとしても魔王に一矢報いたい。そう思って、修行したわ。結果はこうだったけど」

    勇者「半ば諦めていたのでは?」

    魔法使い「ええ。最初のうちは反骨精神みたいな感じでがんばってきたけど、現実を突きつけられるうちにやっても無理だって思うようになった」

    僧侶「きっと誰かが倒してくれる。仇討ちは見知らぬ勇者様に任せてしまえばいいって……そんなことを考えたこともあります」

    魔法使い「誰についていっても役立たずでしかないし……」

    勇者「なるほど」

    魔法使い「幻滅した?」

    僧侶「も、もちろん……世界平和のためでも……」

    勇者「世界平和を盾に自分の私欲を隠さないでくれますか?」

    魔法使い「なんですって……!?」

    勇者「他人に任せてもいいと考える程度の願いでは、叶うことはないでしょうね」

    魔法使い「ちょっと……今はきちんと自力で叶えようって思ってるわよ……」

    191 = 185 :

    勇者「本当にそうですか?」

    僧侶「も、もちろんです……」

    勇者「まさかとは思いますが、僕に全てを託していませんか?」

    魔法使い「何がいいたいの?」

    勇者「貴女たちは僕を復讐の道具として見ているのではないですか?」

    魔法使い「……っ」

    僧侶「そ、そんなこと思ってません!!い、いくら勇者様でも……酷いですっ!!」

    魔法使い「アンタだって……」

    勇者「なんですか?」

    魔法使い「アンタだって私たちのことを理想ための道具にしか見てないくせによく言うわ」

    勇者「そうですよ?」

    魔法使い「なっ……!?」

    勇者「貴女たちは僕にとって理想郷を作るための材料に過ぎません」

    僧侶「そ、そんな……こと……な、仲間じゃ……?」

    魔法使い「最低ね。そんな男だなんて思わなかったわ……」

    192 = 185 :

    勇者「初めに言ったはずです。僕は体目当てだと」

    僧侶「そ、それはそうですけど……!!」

    勇者「まさか嘘か冗談だと思っていたのですか?」

    魔法使い「……」

    勇者「でも、いいではありませんか。僕は貴女たちの体が欲しい。そして貴女たちは僕を復讐のために利用する」

    僧侶「ち、違います!!」

    勇者「交換条件としては悪くありません」

    魔法使い「……本気で言っているの?」

    勇者「はい」

    僧侶「……」

    魔法使い「分かったわ」

    僧侶「あの……」

    勇者「どうかされましたか?」

    魔法使い「私は抜ける」

    僧侶「え……!?」

    193 = 185 :

    勇者「故郷に帰るのですか?」

    魔法使い「馬鹿。ここまで来て帰る訳ないでしょう?」

    勇者「な……」

    僧侶「あの!!やめてください!!」

    魔法使い「アンタのおかげで私なりの戦いかたが分かったし、独りでもやれるわ」

    勇者「何を言っているんですか。相手はドラゴンですよ?」

    魔法使い「体を張ればあのドラゴンにだって対抗できることは実証されたわけだしね」

    勇者「む……」

    僧侶「ど、どうして喧嘩になるのですか!?」

    魔法使い「まさかアンタがそういう目で見るとは思わなかった」

    勇者「……」

    魔法使い「……おやすみなさい」

    僧侶「あ、まってください!!」

    勇者「……」

    194 = 185 :

    ―――テント内

    僧侶「あの……仲直りしましょう?」

    魔法使い「……」

    僧侶「勇者様の発言には確かに問題はありました。ですけど、私たちの理由を知ればそう思われても……」

    魔法使い「違うわ」

    僧侶「え……?」

    魔法使い「アイツがあんなことを言ったのが許せないの」

    僧侶「……」

    魔法使い「自分に正直で、言ってることは変態だけど……筋が通ってて……」

    僧侶「あの……」

    魔法使い「私たちの欠点を長所に変えてくれて……嬉しかったのに……」

    僧侶「もう一度、話をすればいいじゃないですか」

    魔法使い「もういいわ。あんな奴……」

    僧侶「そんなぁ……」

    魔法使い(どうしてあんなこと……言うのよ……ばか……)

    195 = 185 :

    ―――翌朝

    魔法使い「今までお世話になったわね」

    勇者「残念ですね。ナイスバディなのに」

    魔法使い「……ホントね」

    勇者「まあ、貴女レベルなら探せば……」

    魔法使い「ふんっ!!」

    僧侶「あぁ……」

    勇者「ついていってあげてください」

    僧侶「え?」

    勇者「全身から魔法を作りだすことができても、彼女は遠距離から攻撃されたら終わりです。彼女の魔力はすぐに枯渇する」

    勇者「決して燃費がいい放出方法ではないですからね。むしろ大技を継続して発動しているようなものですし」

    僧侶「ゆ、勇者様はどうするのですか?」

    勇者「ここから北に向かうと噂の森があるでしょうから、そこを目指します」

    僧侶「噂の森……ですか?」

    勇者「おとぎ話ですよ。ただ、ドラゴンが実在したので信じてみようかなと思いまして」

    196 = 185 :

    魔法使い「……」

    僧侶「ま、まってくださーい!!」タタタッ

    魔法使い「どうしたの?」

    僧侶「はぁ……はぁ……わ、私も一緒に行きます」

    魔法使い「どうして?貴女はアイツの信者でしょ?」

    僧侶「べ、別にそういうわけではありません」

    魔法使い「そう……ありがと」

    僧侶「で、どこに向かっているのですか?」

    魔法使い「ここ。西に行けば大きな街があるみたいだから」

    僧侶「なるほど」

    魔法使い「そこなら色々と情報が集まると思うわ」

    僧侶「そうですね。では、そこに向かいましょう」

    魔法使い「本当によかったの?」

    僧侶「はい」

    魔法使い「今頃、側室候補がゼロになったから泣いてるんじゃないの?」

    197 :

    うわぁ勇者に離れると役立て無いキャラになるな…

    198 :

    未練タラタラでワロタ


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