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    元スレ勇者「すごい美人で有能な僧侶と魔法使いをお願いします」

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    503 :

    勇者「ここしかないでしょうね」

    エルフ「そこまで遠くないし、ボクたちも船に乗って次の国を目指すっていうのもアリかな」

    「……」

    魔法使い「船旅かぁ」

    キラーマジンガ「前マスターが言っていました。まだ海水は危ないと」

    魔法使い「錆びるの?」

    キラーマジンガ「はい」

    勇者「……いいのですか?」

    エルフ「え?」

    勇者「船旅となれば多くの人間と鮨詰めに」

    エルフ「な、なんで、そんなこと……ボクは別に……」

    勇者「……」

    魔法使い「とにかくこの子の自宅を探すのが最優先よね?がんばりましょう」

    勇者「ええ。ご両親に挨拶はしておかないといけませんしね」

    「ありがとう……」

    504 = 503 :

    ―――夜 宿屋 屋上

    エルフ「……」

    勇者「ここにいましたか」

    エルフ「どうかした?」

    勇者「今なら里に戻れますよ?」

    エルフ「……」

    勇者「嫌なんですよね、人間が多い場所は」

    エルフ「嫌というか……人間は醜い生き物だって聞かされて育ったから」

    勇者「この街に来るときも、嫌そうでしたものね」

    エルフ「よく見てるね」

    勇者「だって僕は勇者ですから」キリッ

    エルフ「人間は嫌い。だけど……魔王も好きじゃない」

    勇者「え?」

    エルフ「あの魔道士はエルフ族をもエサにしていた。なのに魔王は野放しにしていた。それって、ボクたちを魔族としてみてないってことになるよね?」

    勇者「魔族間での確執、というには些か酷いですね」

    505 = 503 :

    エルフ「今回の一件で分かった。魔王はいつかボクたちを狙ってくる」

    勇者「……」

    エルフ「人間の次は……きっとエルフ……そう思う」

    勇者「そうですか」

    エルフ「だから、魔王は倒さないといけない」

    勇者「人間と協力してでも?」

    エルフ「死ぬのは嫌だから」

    勇者「分かりました。では、僕にもそのお手伝いをさせてください」

    エルフ「何言ってるの?貴方は元々、魔王を倒すために……」

    勇者「僕の目的は飽く迄も多くの側室に囲まれて老衰死ですから。魔王討伐なんてその目的達成のための手段でしかありませんよ」

    エルフ「そう……なんだ……」

    勇者「はい。ですから、貴女が目指す魔王討伐とはまた志しが違います」

    エルフ「……」

    勇者「貴女を殺させはしない。貴女を守りましょう。我が命に代えても」

    エルフ「臭い台詞。それ、みんなに言ってるでしょ?」

    506 = 503 :

    勇者「いえ。言ってません」

    エルフ「嘘つき」

    勇者「それに僕から頼み込んだという形にしておくことも大事かと思いまして」

    エルフ「どうして?」

    勇者「人間と協力したとなると角が立つでしょう。でも、勝手についてきたならまだ印象はそこまで悪くなりませんよ」

    エルフ「そうかな」

    勇者「間違いないです。僕のことは悪質な変質者だと思ってくれて構いません」

    エルフ「実際、そうだし」

    勇者「え!?そんなぁ!!どこがぁ?!」

    エルフ「ボクを脅して同行させようとしたり、意味もなく肩を抱いてきたり……」

    勇者「それは貴女が美しいからですよ。むしろ貴女が悪いと思います」

    エルフ「……」

    勇者「好きだ!」

    エルフ「はいはい。おやすみ」スタスタ

    勇者「好きだ!!!側室になってくれぇ!!」

    507 = 503 :

    ―――宿屋 廊下

    キラーマジンガ「マスター」

    「やめろ」

    キラーマジンガ「マスターの実力と私の力があれば、人間3人とエルフ1人程度なら問題ありません」

    「奴らの能力が判明するまで直接的な戦闘はするなと魔王様に言われている」

    キラーマジンガ「魔王という人はマスターの力を過小評価しているのではないでしょうか?」

    「いいか?奴らよりも実力が上であった魔物が次々にやられている。もしこちらの想定を超えてくると怪我だけでは済まないだろう」

    キラーマジンガ「しかし」

    「いいから俺にはもう話しかけるな。お前のマスターは勇者。そうだったな?」

    キラーマジンガ「はい。マスターにそのように言われています」

    「絶対に俺が―――」

    エルフ「何してるの?」

    「……ううん。ちょっとトイレに……」

    キラーマジンガ「はい」

    エルフ「そう……。明日は早いから夜更かしはしないようにね」

    508 = 503 :

    ―――翌日 街

    僧侶「勇者様~」タタタッ

    勇者「すいません。病み上がりでおつかいを頼んでしまって」

    僧侶「いえいえ。はい、どうぞ」

    勇者「これです。ありがとうございます」

    僧侶「いつでもなんでも仰ってくださいね?」

    勇者「なんていう従順ぶり。ランクを側室奴隷に引き上げましょう」

    僧侶「やったぁ」

    魔法使い「下がってるわよね?ねえ、それって下がってるわよね?」

    勇者「―――どうぞ」

    エルフ「え?」

    勇者「貴女の武器です。空手では何かと不便なときもあるでしょう?」

    エルフ「まあ、相手があの魔道士ぐらい強ければ魔力もすぐに無くなるけど」

    勇者「ですから、武器を。ボーガンなら扱えると思いまして」

    エルフ「あ、ありがとう。でも、いらないと思うけど……」

    509 = 503 :

    キラーマジンガ「私がいますから」

    勇者「おぉ。おはようございます」

    キラーマジンガ「おはようございます。マスター」

    「お、おはよう」

    勇者「おはよう」キリッ

    キラーマジンガ「マスター。朝は早かったようですがどちらに?」

    勇者「え?ああ、色々です」

    キラーマジンガ「私に言ってくだされば何でもご要望にお応えしたのですが」

    勇者「なんという犬っぷり。君の側室ランクは犬だ」

    キラーマジンガ「恐縮です」

    僧侶「犬のほうが可愛い……」

    魔法使い「馬鹿ばっかりね……」

    エルフ「まあまあ」

    勇者「では、行きましょうか。目指すは海の方角!!!魅惑の港町!!!」

    「……」

    510 = 493 :

    かわええ

    511 = 503 :

    ―――フィールド

    エルフ「でも、こうして並んで歩くと大所帯になったね」

    魔法使い「少し前まで3人だったのにね」

    僧侶「私は楽しくていいと思いますよ」

    勇者「―――いいですか?男を振るのにも色々方法があるんですよ」

    キラーマジンガ「ふむふむ」メモメモ

    「……」

    勇者「―――待ってくれ!!俺が悪かった!!考えなおしてくれ!!!」

    勇者「―――いつも!いつもそう言ってるじゃない!!嘘つき!!もう知らない!!」

    勇者「―――今度は本当だ!心を入れ替える!!だから見捨てないでくれぇ!!!」

    勇者「―――じゃあ、昔の貴方に戻ったらまたここに帰ってくるわ。それまでは……さよなら……」

    勇者「こうして、更生したら寄りを戻すと言っておけば、上手く逃げられるわけです」

    キラーマジンガ「なるほど。男性を立ち直らせるきっかけにもなれば、別離もできる。その女性は男性にとって恋人以上の存在になるわけですね」

    勇者「そう!!もう元に戻ることはない。だけど、あの女が人生において、ただ1人のオンナだった。まるで美談!!女性も色んなところで美化される。いいことばかりだ」

    (人間とは面倒な生き物だな。そんな奴、喰えば終わりだろうに)

    512 = 503 :

    勇者「ここまでで質問は?」

    キラーマジンガ「はい」

    勇者「キラちゃん」

    キラーマジンガ「本当に更生し、もう一度やりなおそうといってきた場合はどうするのですか?」

    勇者「君ならどうする?」

    キラーマジンガ「もう一度、恋人関係に戻ります」

    勇者「どうして?」

    キラーマジンガ「男性は約束を守りました。なら、私もその約束を守ります」

    勇者「そのとき君に好きな人がいた場合はどうする?」

    キラーマジンガ「え……」

    勇者「男の更生を信じ、待ち続ける。いい話だが、待っている間にも愛を欲する。それが人間だ」

    キラーマジンガ「で、では……そのときは……」オロオロ

    勇者「―――それは君が決めることだ。人に聞くことじゃない。人間の感情とはそういうものだ。答えなんて……ない」キリッ

    キラーマジンガ「なるほど。奥が深すぎてショートしそうです」メモメモ

    (俺なら約束を守った奴に敬意を賞して縒りを戻すかな……)

    513 = 503 :

    魔法使い「ちょっとー、あんまり変なこと教えないでよ」

    勇者「キラちゃんには必要なことですから」

    魔法使い「本当に?」

    キラーマジンガ「勉強になります」

    僧侶「勇者様ならどうするんですか?」

    勇者「え?」

    僧侶「振った女性がもう一度、やり直してほしいって言ってきたら、やり直します?」

    勇者「無論―――」

    エルフ「側室にするとかは無しで」

    勇者「それはつまり僕が勇者ではなく平凡な市民で人生を終えるという平行世界での話ですね?」

    エルフ「え……うん、そんな感じだと思う」

    勇者「ならば……戻しませんね」

    魔法使い「へえ……どうして?」

    勇者「勇者というステータスがなければ愛せる女性は1人が限界。ならば、今現在愛している女性を徹底的に嬲ります」

    キラーマジンガ「流石はマスター」パチパチ

    514 = 503 :

    魔法使い「意外ね。浮気性な男かと思ってたけど」

    勇者「僕はそれほど器用ではありません。勇者という肩書きがなければ一夫多妻なんて実現はしないでしょう」

    僧侶「勇者様……」

    勇者「でも、現実はいつも悲しい。僕は勇者に選ばれてしまったぁ!!つまり、選ばれた男!!」

    勇者「女に不自由のない人生が約束されてしまったのです!!ああ!!!なんてこったぁ!!」

    魔法使い「あの……」

    勇者「故にみんなから愛されてしまう!!選ばれてしまったから!!そんなみんなの愛を無碍にはできない!!受け取るだけの資格が僕にはあるからぁ!!」

    エルフ「どうして?」

    勇者「勇者だから」キリッ

    キラーマジンガ「マスター」

    勇者「勿論、君は僕の娘としても側室としても―――」

    キラーマジンガ「魔物です」

    「え……」

    魔物「ガルルル……!!!」

    勇者「いつの間に。―――戦闘準備!!」

    515 :

    キラちゃん、かわええ

    516 = 503 :

    魔物「ガァァア!!!」

    僧侶「きゃぁぁ!!」

    魔法使い「なっ!」

    勇者「せいやぁ!!!」ズバッ

    魔物「ギャァァ……」

    魔法使い「あ、ありがとう」

    勇者「いえ」

    エルフ「やぁ!!」バシュ

    勇者「お。早速、使ってますね。ボーガン」

    エルフ「試してみただけ」

    キラーマジンガ「下がってください」

    「う、うん」

    キラーマジンガ「低級な魔物では私には勝てません」

    魔物「ガァァァァ!!!!」バッ

    キラーマジンガ「遅い」ザンッ

    517 = 503 :

    キラーマジンガ「お話になりません」

    勇者「すごい。やはり戦闘力は並じゃない」

    キラーマジンガ「マスターに迫る脅威を排除する。それが私の使命です」

    エルフ「もう居ないみたい」

    僧侶「よかったぁ。怪我はありませんか?」

    魔法使い「ええ。大丈夫よ」

    勇者「それにしてもいち早く魔物に反応したな」

    キラーマジンガ「魔物を探知する機能が搭載されています。ある程度、魔物が接近してると察知できるようになっています」

    勇者「なるほど。そんな便利機能が」

    キラーマジンガ「はい」

    エルフ「……」

    勇者「知っていましたか?」

    エルフ「う、うん……。でも……」

    勇者「ですね……」

    僧侶「どうかしました?」

    518 = 503 :

    魔法使い「ああ、そういえばこの子のエネルギーはどうするの?」

    勇者「それも考えないといけないですね」

    キラーマジンガ「私のエネルギーは無限だと聞いています」

    エルフ「でも、人間の生命エネルギーや魔力を吸い取るんでしょ?」

    キラーマジンガ「はい。ですが、ニンゲンに拘る必要はありません」

    魔法使い「ど、どういうこと?」

    勇者「まさか」

    キラーマジンガ「前マスターはニンゲンからの摂取が最も効率が良いといっていましたが、生命エネルギーはどの生物からでも一定量得ることが可能です」

    僧侶「先ほど倒した魔物からでもエネルギーを得ることができるってことですか?」

    キラーマジンガ「その通りです」

    「……」

    勇者「そういえばあの魔道士、虫や獣からでも同じエネルギーを得られるって……」

    エルフ「人間から得るとは言ってたけど、別に人間限定の話じゃなかったね」

    魔法使い「生きていればなんでも良いってこと?」

    キラーマジンガ「はい。生命体であることが第一です。あとは生命の鮮度で得られるエネルギーが増減することがあります」

    519 = 503 :

    「殺戮兵器……」

    魔法使い「ちょっと」

    「……」

    勇者「他の命を吸い取りながらでないと活動できない……」

    キラーマジンガ「はい。そのように私は作られています」

    僧侶「それって……あの……」

    エルフ「先のことは考えないようにしようよ。今は貴重な戦力であることには変わりないし」

    勇者「ええ。そうですね」

    キラーマジンガ「マスターのために尽力致します」

    勇者「ありがとう。ところで、エネルギーの補充はどれくらいの頻度で行うんだ?」

    キラーマジンガ「私が活動している限りは消費していきます。最小限の活動をしない場合でも、供給が途絶えてから七日で活動は停止します」

    勇者「そうか」

    キラーマジンガ「なので小まめな供給を推奨いたします」

    エルフ「うん。まあ、嫌でも魔物とは戦うし、意識する必要はないってことだね」

    「……」

    520 = 503 :

    ―――港町

    勇者「さて、じゃあこの子のご両親に挨拶しにいきましょうか」

    魔法使い「なんのためによ」

    勇者「側室にください。と一言言わないと怒られてしまうでしょう?」

    魔法使い「いくら丁寧に言っても怒るわよ!」

    キラーマジンガ「マスター。私が捜索に当たります」

    勇者「いやいや。僕が」

    キラーマジンガ「どうぞどうぞ」

    エルフ「じゃあ、ボクは情報収集でも」

    僧侶「わ、私も行きます」

    魔法使い「待って、私も行くわ。アンタも」

    勇者「えぇ?!だから!!ご両親にぃぃぃ!!!!」

    魔法使い「ダメ!!!」

    「……」

    キラーマジンガ「行きましょう、マスター」

    521 :

    少女に擬装してるけど、竜の漢なんだろ?
    ちっとキツイな。

    522 = 503 :

    ―――港

    僧侶「あ、あの……船は出ていますか?」

    船員「どこまで行きたいんだ?」

    魔法使い「ここから北のほうに行きたいの」

    船員「無理だな」

    僧侶「どうしてですか?」

    船員「旅の人みたいだけど、知らないのか?―――北の国はもう魔王の手に落ちたんだよ」

    勇者「……いつの話ですか?」

    船員「一、二ヶ月前だな。おかげで魔物が増えて漁船は言うに及ばず、客船だって何隻も沈んでる」

    エルフ「魔王……」

    船員「こんな海で自由に航海してるのは海賊ぐらいだな」

    勇者「……海賊ですか。それって、この海域にいるっていう噂の海賊ですね?」

    船員「よく知ってるな。色んな場所を冒険している荒くれ者の集団だ。海の魔物を退治してるから一部では英雄だが、海で商売している俺たちには害でしかない」

    勇者「聞きました。それこそ魔物と同じように漁船や客船を襲っては金品を奪うとか」

    船員「陸には盗賊や山賊もいるのに、海ぐらい平和でいきてえよ……」

    523 :

    >どうぞどうぞ

    キラーマジンガはコテコテのギャグもインプット済みなのか…

    524 :

    僧侶「困りましたね」

    魔法使い「今まで通り、陸伝いにいくしかないんじゃない?」

    エルフ「そうだけど。それだと……」

    勇者「魔王が力をつけ始めている。急がないと、手がつけられなくなるでしょう」

    僧侶「勇者様……」

    勇者「北にある国は世界でも有数の軍事国家でした。そこが陥落したとなると……」

    魔法使い「でも、どうして。今まで拮抗を保っていたんじゃないの?」

    勇者「キラーマジンガの技術を魔王が流用しているとしたら?」

    エルフ「それって……生命エネルギーを?」

    勇者「あの魔道士だって魔族。魔王と繋がりがないはずがない。技術提供もしていたと考えるほうがいい」

    僧侶「では、魔王は今……無尽蔵の魔力を手に入れているのでしょうか?」

    勇者「奴らにとって人間など視界の隅に移る塵に同じ。それが己が血肉になると分かれば喜んで手を出すでしょう」

    エルフ「そんな……それならエルフも……」

    勇者「急がないと……なんとしても海を渡る方法を……!!」

    魔法使い「故郷に帰るならまだしも、進めないんじゃ……」

    525 = 524 :

    僧侶「勇者様、やはり……」

    勇者「ええ。それしかないでしょう」

    魔法使い「どうするの?」

    勇者「海賊と接触します」

    エルフ「海賊……」

    魔法使い「待って。どこにいるかも分からないのに?」

    僧侶「そ、それなら、ちゃんと調べてきました」

    魔法使い「いつの間に?!」

    勇者「人身売買組織の盗賊団。あの人たちにですよ。前の街で聞き込みをしてきました」

    魔法使い「えー?」

    勇者「あの人たちはこの国全域で活動をしていました。情報はたんまり持っていましたよ」

    エルフ「なるほど。ああいう人たちだからこそ、様々な事を耳朶に残しておかないとダメだもんね」

    勇者「その通りです」

    魔法使い「海賊かぁ……嫌ねぇ……」

    勇者「魔物ではないので話せば分かってくれる分、楽な相手だと思いますよ?」

    526 :

    海賊に期待

    527 = 524 :

    魔法使い「それで、あの海賊は?」

    勇者「ここから西に行った沿岸部にアジト……というか村があるそうです」

    エルフ「海賊の村?」

    勇者「海賊を支持する人たちが集まっている村でしょうね」

    魔法使い「海賊を支持って、さっき言ってた英雄扱いにしている人たちのこと?」

    僧侶「恐らく。助けられた人も少なくないと聞きました」

    魔法使い「でも、やっていることは盗賊や山賊と変わらないんでしょ?」

    勇者「関係ありませんよ。命を張って戦ってくれたのなら、どんな極悪人でも命の恩人になるわけですから」

    魔法使い「そうだけど」

    エルフ「じゃあ、そこに行くの?」

    勇者「自由に航海できる人たちならきっと北の大地まで連れて行ってくれるはずです」

    僧侶「そうですね。魔王を倒すって言えばきっと協力してくれます!」

    勇者「そして……ふふふふ……ぬほほぉ……」

    魔法使い「海賊のキャプテンって女?」

    勇者「はい」キリッ

    528 :

    3基準なら大勝利すなあ

    529 = 524 :

    魔法使い「やけに真剣になっていたのはその所為ね……全く……」

    勇者「さぁ!!では、このまま突入しましょう!!」

    僧侶「おー!!」

    エルフ「二人はどうするの?」

    勇者「相手が相手ですし置いていきましょう」

    魔法使い「そうね。それがいいわ。女の子は勿論、あのマーちゃんだって見世物小屋に売られるかもしれないし」

    僧侶「マーちゃん?」

    魔法使い「キラーマジンガだからマーちゃん」

    エルフ「キラちゃんじゃなくて?」

    魔法使い「キラちゃんってなんか可愛くないじゃない?」

    僧侶「ラーちゃんじゃダメですか?」

    エルフ「それならガーちゃんでもいいよね?」

    勇者「キラちゃんはキラちゃんです」

    魔法使い「マーちゃんよ」

    僧侶「ジーちゃんでも可愛いですよね?」

    530 = 524 :

    ―――広場

    キラーマジンガ「マスター。あの雲、何かに似ていませんか?」

    「……」

    キラーマジンガ「検索中……検索中……。分かりました。猫です。あそこが耳で……あれがヒゲで……」

    「黙れ」

    キラーマジンガ「了解しました」

    (海に出るなら数多くの部下がいる。そこで奴らの力を引き出して……)

    勇者「キラちゃーん!!」

    キラーマジンガ「……」

    僧侶「ジーちゃん!」

    キラーマジンガ「……」

    魔法使い「マーちゃーん!!」

    キラーマジンガ「……」

    エルフ「ンちゃん!」

    キラーマジンガ「呼称は一つでお願いします」

    531 = 524 :

    勇者「え?見つけられなかった?」

    キラーマジンガ「申し訳ありません」

    魔法使い「じゃあ、ここじゃないの?」

    「うん……。ここじゃない……」

    僧侶「もしかして北にある国から……?」

    勇者「確かに魔王の領土から拉致されてきた可能性は高いですが」

    エルフ「とりあえず二人は宿にいて。今から船を調達してくるから」

    キラーマジンガ「お留守番ですか?」

    僧侶「そういうことになります」

    キラーマジンガ「……」

    勇者「僕から離れたくないのは分かる。でも、君を危険に晒したくはないんだ。分かっておくれ、娘よ」

    キラーマジンガ「パパ……私のこと……キライ?」

    勇者「好きだよ。毎日一緒にお風呂に入って、体の隅々を舐め回すように観察したいぐらい大好きだ」

    キラーマジンガ「そんなパパが好き……抱いて……」

    魔法使い「ちょっと。いつのまにそんなの仕込んだのよ」

    532 = 524 :

    勇者「練習ですよ」

    魔法使い「何の!?」

    キラーマジンガ「マスター曰く、私は娘でありながら実父に恋心を持つという倒錯した人物らしいので」

    魔法使い「はぁ?!」

    キラーマジンガ「その感情の勉強のために、色々教わりました。―――マスター、今のはどうでしたか?」

    勇者「70点だな」

    キラーマジンガ「くそぉ」

    エルフ「えっと……早く行こうよ」

    勇者「そうですね。じゃあ、行ってきます」

    キラーマジンガ「行ってらっしゃいませ」

    「……」

    キラーマジンガ「では、マスター。我々は宿に―――」

    「尾行するぞ」

    キラーマジンガ「了解しました」

    (目を離すわけにはいかないからな……)

    533 = 524 :

    ―――海賊の村

    勇者「ここのようですね」

    エルフ「じゃあ海賊のことを……」

    魔法使い「そんな簡単に教えてくれるのかしら?」

    僧侶「海賊さんの支持者だって言っておけば大丈夫ではないでしょうか?」

    魔法使い「そうね……あまり気乗りはしないけど」

    勇者「では二手に分かれて情報を集めましょう」

    エルフ「どうして?」

    勇者「固まっていて、もし敵だと認知された場合、一網打尽にされてしまうかもしれませんから」

    魔法使い「そうね。相手は海賊の仲間だし……」

    僧侶「わ、分かりました」

    勇者「僕と一緒に行動したい人、挙手!!」

    僧侶「はい!」ビシッ

    エルフ「……」ビシッ

    魔法使い「え!?―――じゃあ、私も!!」ビシッ

    534 = 524 :

    勇者「理由を聞こうか」

    僧侶「私は勇者様のお傍にできるだけいたいので。あと、どんな些細なことでもお手伝いしたいです」

    エルフ「ボクは二人が貴方の毒牙にかからないように」

    魔法使い「み、右に同じよ!」

    勇者「まいったな。みんな側室なんだから仲良くしてくれないと困りますよ。あっはっはっは」

    エルフ「早く決めて」

    勇者「じゃあ、行きましょうか」

    エルフ「……うん」

    僧侶「あー、残念です」

    魔法使い「……まあ、あんたじゃないだけマシね」

    僧侶「え?どうしてですか?」

    魔法使い「あんた、アイツに何されても嫌がらないどころか嬉しがってるでしょ?」

    僧侶「ダメですか?」

    魔法使い「ダメよ」

    僧侶「でも、勇者様は口に出すだけで何もしてきませんし……。私の胸を触るのも主に治癒のためですし……うーん……」

    535 = 524 :

    勇者「すいません」

    村人「はい?旅のお方ですかな?」

    勇者「ええ。実はどうしても僕たち、海を渡りたいのです」

    村人「どうして」

    エルフ「魔王を倒すために」

    村人「魔王を……?」

    勇者「はい」

    村人「なら、安心しなさい」

    勇者「え?」

    村人「魔王なら海賊団が倒してくれるから」

    エルフ「海賊といっても普通の人間のはず……。魔王に太刀打ちできるとは思えないけど」

    村人「海賊たちの力を見縊ってはいかん。ここいらの魔物なんて海賊の敵ではないからな」

    勇者「それほどまでに兵力が充実していると?」

    村人「そうだ。巨船を10隻も有する大艦隊。魔王の一団など相手にもなりはせん」

    勇者「そんなに大規模だったのか……」

    536 = 524 :

    村人「と言っても、その10隻は常に別行動を取っているけどね」

    僧侶「なるほど。あえて別の場所で活動して、広い範囲で自衛に当たっていると?」

    村人「そういうこと。魔物も、いや魔王すらも下手に手出しできないほどなんだから」

    魔法使い「でも、人間も襲っているんでしょ?」

    村人「それはちゃんと理由があるんだよ」

    僧侶「理由、ですか?」

    村人「民間船を襲うことで、危険な海に人を出さないようにしているのさ。ほら、魔物のほかにチョー強い海賊がいるとなれば、海に出ようとはしないだろ?」

    僧侶「まあ、萎縮はしますよね。そんな大きな武力を持っているなら」

    村人「そう。ちゃんと人々の安心安全も考えてるんだよ」

    魔法使い「でも、それで命を落とした人もいるんじゃないの?」

    村人「小さな犠牲は仕方ないだろ?」

    魔法使い「そうだけど……。漁船すらも海に出さないってどういうことよ?あの人たちは、それで生計を立てているのよ?」

    村人「死ぬよりはマシだろ」

    魔法使い「口で言えば分かることなのに。やり方を間違えているとしか思えないわ」

    僧侶「お、抑えてください!!言いたいことはわかりますが!!」

    537 = 524 :

    村人「てめえ……海賊のやり方にケチをつけるっていうのか?」

    魔法使い「正義の味方みたいな顔をしないでって言ってるの」

    村人「んだとぉ……!!」

    僧侶「あ、あの!!ここで騒ぎはまずいですから!!」

    魔法使い「でも……!!」

    村人「お前ら……海賊を潰しにきた兵士か……?」

    魔法使い「違うわよ。ただ、言い方が気に入らないだけよ」

    村人「あぁ?」

    魔法使い「海賊の所為で困窮している人もいることを自覚して」

    村人「んなことは分かってるよ!!」

    魔法使い「なら!!人の生活まで奪うなんてことできるわけないでしょ!!」

    村人「やっぱりお前ら……!!」

    僧侶「や、やめてくださーい!!!」

    村人「みんなー!!であえー!!!国の兵隊が海賊団を潰しにきたぞー!!!」

    魔法使い「ち、違うって言ってるでしょ!!」

    538 = 524 :

    勇者「―――え?」

    エルフ「なんだろう……?」

    勇者「嫌な予感がするので、こっそり行きましょう」

    エルフ「う、うん……」

    「捕まえろ!!」

    魔法使い「やめて!!燃やすわよ!?」

    僧侶「それはダメです!!」ギュッ

    魔法使い「くっ……」

    「悪いが牢屋に入ってもらうぜ」

    魔法使い「どうしてよ」

    「決まってるだろ。海賊団は世界を救う唯一の希望だ。それを何もできねえ国の兵士に潰されてたまるかよ」

    魔法使い「だから、兵士じゃないってば」

    僧侶「もう何を言っても無駄です……」

    魔法使い「もう……」

    「連れて行け!!」

    539 = 524 :

    勇者「むぅ……」

    エルフ「捕まったね」

    勇者「エルフの里とは立場が入れ替わりましたね」

    エルフ「どうする?」

    勇者「海賊と敵対したくはなかったですが……致し方ありませんね」

    エルフ「今は警備の目が厳しいから、夜になるまで待とうか」

    勇者「それがいいでしょう」


    「……」

    キラーマジンガ「お二人が拿捕されましたね」

    「ふんっ……馬鹿な連中だな」

    キラーマジンガ「救出いたしますか?」

    「放っておけばいい。どう逃げ出すか。いや、あいつらなら簡単に逃げ出すはずだ」

    キラーマジンガ「私も同意見です、マスター」

    (こういう事態でこそ、能力を発揮するはず。見せてもらうぞ……)

    キラーマジンガ「……潮風で錆びてしまいそうです、マスター」

    540 :

    魔法使い殺してくれ
    邪魔しかしてねぇよ…

    541 = 524 :

    ―――宿屋 寝室

    勇者「さて、夜まで待とうと思うのですが」

    エルフ「うん」

    勇者「しかしですね、考えたのですが」

    エルフ「どうかした?」

    勇者「助け出したあと、この村を離れないといけないですよね?」

    エルフ「うん。みんな怒るだろうし」

    勇者「となると海賊と接触できるチャンスがなくなりますよね」

    エルフ「まあ、ここぐらいしか会える場所はないから」

    勇者「そうなると海を渡れませんよね?」

    エルフ「そうだね」

    勇者「困りました」

    エルフ「……」

    勇者「素直に謝りますか?」

    エルフ「許してくれるかな?」

    542 :

    >>540
    あ?
    魔法使いがいなきゃとっくに全滅してるのわかんないのか?

    543 = 524 :

    勇者「あの」

    店主「なんだい、お客さん?」

    勇者「さきほど、騒ぎがありましたよね?」

    店主「ああ。海賊たちの悪口を言った奴らな」

    勇者「どうなるんですか?」

    店主「恒例だが、海賊に引き渡すだろうね」

    勇者「海賊に?」

    店主「ああ。まあ、どんなことをしたのか海賊たちが聞いて、それで処分を下すと思うよ」

    勇者「今まで捕まった人はどんなことに?」

    店主「海に放り出されたり、魔物を誘き寄せるための餌にしたり、半年以上雑用で働かせたりだな」

    勇者「なるほど」

    店主「といっても、海賊たちが自分たちのしていることはどれだけ正しいことなのかを見せ付けてから、だけどな」

    勇者「……」

    店主「どうかしたかい?」

    勇者「いえ。ありがとうございます」

    544 = 524 :

    エルフ「おかえり」

    勇者「ただいま。行きましょう」

    エルフ「どこに?」

    勇者「こうなったら、僕たちも捕まりましょう」

    エルフ「どうして?」

    勇者「捕まれば海賊と直接話ができます」

    エルフ「でも、心象最悪になるから協力してくれなくなるんじゃ」

    勇者「二人が捕らえられた時点で心象なんて気にするだけ無駄でしょう」

    エルフ「そうかもしれないけど」

    勇者「それにこれは直感ですが、海賊たちは話が分かる人たちだと思います」

    エルフ「え?」

    勇者「勿論、下っ端の人たちではダメです。上、つまり船長クラスの人なら……」

    エルフ「……信じていいの?」

    勇者「未来の夫を信じられないかい?」

    エルフ「……はいはい」

    545 = 524 :

    ―――村 広場

    勇者「海賊はー!!!わるーい!!!!」

    エルフ「わるーい」

    「なんだ!?なんだ?!」

    勇者「海賊はー!!はんざいしゃー!!!」

    エルフ「はんざいしゃー」

    「おい!!てめえ!!なにいってんだ!!!こらぁ!!!」

    「黙らせろ!!!」

    勇者「海賊はー!!!人間の屑ー!!!」

    エルフ「くずー」

    勇者「海賊、はんたーい!!!」

    エルフ「はんたーい」

    「捕まえろ!!!!」

    勇者「ええい!!無礼者!!はなせぇ!!!」

    エルフ「つかまったー」

    546 = 524 :

    ―――牢屋

    村人「入ってろ」

    勇者「おとと」

    エルフ「……」

    ガチャン

    魔法使い「ちょっと」

    勇者「これは奇遇ですね」

    僧侶「勇者様!!申し訳ありません!!捕まってしまいました!!」

    勇者「僕もです」

    僧侶「お揃いですね」

    勇者「相性バッチリじゃないですかね、これは」

    僧侶「もう……勇者様ったら」

    魔法使い「あの……助けに来てくれたんじゃないの……?」

    エルフ「うん」

    魔法使い「そう……仲間だってことがバレたのね……。ごめんなさい……」

    547 :

    魔法使いが馬鹿過ぎていらいらするわ

    548 = 524 :

    勇者「しかし、どうして逮捕されてしまう事態に?」

    魔法使い「ついカッとなって……」

    エルフ「どういうこと?」

    魔法使い「自分たちは正しいことをしているって……言うから……ちょっと腹が立って……」

    勇者「なるほど。海賊の支持者が海賊の正義を主張してきたと?」

    魔法使い「うん……。海賊の行為で苦しんでいる人もいるのに……全てを正当化して……それで……」

    勇者「……」

    魔法使い「ごめんなさい。反省しているわ」

    勇者「いえいえ。それは僕が同じ立場なら、貴女と同じ事を言っていたでしょう」

    魔法使い「え?」

    勇者「こちらにも譲れないものはあります。一元論で語れることではありません」

    魔法使い「でも……」

    勇者「気にしないでください」

    魔法使い「ごめんなさい……」

    勇者「……次のことを考えましょう。これから海賊たちに身柄を引き渡されるわけですが……いいですか?そのとき―――」

    549 = 540 :

    勇者が甘すぎるから魔法使いがうざいのかな

    550 = 524 :

    ―――海賊の村

    キラーマジンガ「皆さんが捕らえられました」

    「何やってんだ……あいつら……」

    キラーマジンガ「何か作戦があると思われます」

    「まあ、牢獄内で合流し、協力して脱獄する腹なんだろう」

    キラーマジンガ「助力いたしますか?」

    「静観でいい」

    キラーマジンガ「了解しました」

    「……」

    キラーマジンガ「……マスター」

    「……なんだ?」

    キラーマジンガ「潮風は私にとって毒です」

    「知るか」

    キラーマジンガ「出来れば屋内に退避したいのですが」

    「知らん。どうして俺がそこまで面倒をみなければいけないんだ」


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