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    元スレ勇者「すごい美人で有能な僧侶と魔法使いをお願いします」

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    101 = 61 :

    ―――教会

    魔法使い「はぁ……ぁ……」

    勇者「……」

    魔法使い「もう……ちょっと……だけ……」パァァ

    勇者「……」

    魔法使い「ふっ……」

    勇者「……」スリスリ

    魔法使い「ひゃぁ!?」

    勇者「……」

    魔法使い「……」

    勇者「……」スリスリ

    魔法使い「どこ触ってるのよ……」

    勇者「内腿は冷たくないんですね」

    魔法使い「凍れ!!!」ゴォォ

    勇者「ぎゃぁ!?」

    102 = 61 :

    勇者「ぶぁっくしょん!!!」

    僧侶「勇者様、だ、大丈夫ですか?」オロオロ

    勇者「さむい……」ブルブル

    僧侶「リゾットを作りました。どーぞ」

    勇者「あああ……指先が……震えて……もてません……」カタカタカタ

    勇者「も、申し訳ありません……た、たべさせてください……」ブルブル

    僧侶「わ、わかりました!!―――どうぞ、あーん……」

    勇者「うぅ……ふーふー……してください……」

    僧侶「は、はい!―――ふー、ふー。はい、あーん」

    勇者「テルアイシって繰り返し言いながら食べさせてください」

    僧侶「てるあいし?」

    勇者「お願いします。それでこの病も和らぐのです」

    僧侶「えっと……テルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテル……」

    勇者「ぬほほぉ」

    魔法使い「馬鹿だ……」

    103 = 61 :

    僧侶「そもそも貴女が悪いんじゃないですか!」

    勇者「もっと言っておあげ」

    魔法使い「セクハラしたのはどっちよ!!折角、感謝の気持ちを込めて魔力を振り絞ったっていうのにぃ!!」

    僧侶「やめてください、勇者様は病人なのですよ?!」

    勇者「うんうん」

    魔法使い「ぐっ……!!」

    僧侶「こういうことは今後、無いようにお願いしますね」

    魔法使い「私が悪いの……」

    勇者「そうだ。町の様子はどうでした?」

    僧侶「軍が動き出して残党狩りへ向かったようです」

    勇者「そうですか……。これで一安心ですね」

    僧侶「全て勇者様のおかげです!」

    勇者「いえいえ。僕の力なんて微々たるものですよ」

    僧侶「またまた、ご謙遜を」

    魔法使い「なにか狙いでもあるんじゃないかしら?」

    104 = 61 :

    僧侶「狙いなんて……ないですよね?」

    勇者「ここの姫様……まだ13歳なのですけど、中々別嬪なんですよね」

    僧侶「え?」

    勇者「ふふ……一国の姫君を側室にできるとか……役得ですよ。ホント」

    僧侶「……」

    魔法使い「ほらね」

    僧侶「あ、あの!!勇者様!!」

    勇者「はい」

    僧侶「それは自分からくださいって言ったのですか!?」

    勇者「いえいえ。王様のほうから「娘を是非」って」

    魔法使い「ここの王様は見る目がないのね」

    僧侶「それならセーフですね」

    勇者「はい、もう純白です」

    魔法使い「どの口がいうのよ……」

    勇者「流石の僕でも手を出してはいけないラインは把握しているつもりになってます」

    106 :

    おつ むっちゃおもしれー!

    107 :

    いいよいいよー

    108 :



    この変態紳士なら手を出してはいけないラインをやすやすと踏み越えそうだけどなw

    109 :

    僧侶「はい、勇者様。あーん」

    勇者「あーん……」

    魔法使い「それより、これからどうするの?」

    勇者「そうですね。僕の体調が万全になるまで少し待っていただけますか?」

    僧侶「そ、それはもちろんです!!」

    勇者「面目ありません」

    僧侶「いえ、そんな……」

    魔法使い「まあ、アンタがいないと……こっちも動けないわよね……」

    勇者「明後日にはきちんと旅立てるようにしますので」

    僧侶「あまりご無理は……」

    勇者「いえいえ。はやく魔王を倒して、悠々自適な隠居生活をしたいので」

    僧侶「そうですか」

    勇者「そうなんですよ」スリスリ

    僧侶「あの……足をそんなに触らないでください……」

    魔法使い「はぁ……かっこよく見えたのは錯覚だったわね……」

    110 = 109 :

    僧侶「では、勇者様。ゆっくり休んでくださいね」

    勇者「え?」

    魔法使い「私たちは宿に戻るわ」

    勇者「添い寝は!?ねえ?!」

    僧侶「えぇ……?」

    魔法使い「す、するわけないでしょう!!何言ってるのよ!!馬鹿っ!!」

    勇者「そんな……こんなにがんばった僕に……ご褒美もないなんて……うぅ……」

    僧侶「あ、あの……わ、私でよけれ―――」

    魔法使い「ダメよ。こいつ、ただ同情を引こうとしてるだけなんだから」

    勇者「同情!?僕が!?何をいっているんですかねぇ!?」

    魔法使い「帰るわよ」

    僧侶「あ……あの……ゆ、勇者様、ごめんなさい……」

    勇者「外道がぁ!!ガード固すぎなんだよぉ!!」

    魔法使い「散々痴漢を働いておいてなにいってんのよ!!」

    僧侶「あ、あの……その辺で……」

    111 = 109 :

    ―――宿屋

    魔法使い「全く……あいつは……。人の気も知らないで……」

    僧侶「添い寝と言っても、きっと傍に居てほしかっただけじゃないですか?」

    魔法使い「そんなわけないでしょ。襲う気満々だったじゃない」

    僧侶「そうですか?きちんと嫌だといえば……」

    魔法使い「そういう問題じゃないの」

    僧侶「勇者様はああいう態度を取っていますが、すごくお優しい方だと思います」

    魔法使い「ふん……」

    僧侶「あの」

    魔法使い「なに?」

    僧侶「明日、私たちで色々情報を集めませんか?」

    魔法使い「え?」

    僧侶「今度は私たちが勇者様のお役に立たないといけないって思うんです」

    魔法使い「……そうね。なら、朝から動くわよ」

    僧侶「はいっ」

    112 = 109 :

    ―――翌朝 広場

    僧侶「さあ、情報収集をしましょう」

    魔法使い「それはいいけど……なんの情報を集める?」

    僧侶「え?―――色々です!」

    魔法使い「だから、色々っていっても……」

    僧侶「魔王討伐に役立つ情報とか」

    魔法使い「アバウトね」

    僧侶「とにかく魔王に関することでいいじゃないですか」

    魔法使い「まあ、それしかないわね」

    僧侶「でも、どこに行けば……」

    魔法使い「お城に行ってみない?」

    僧侶「お城ですか?」

    魔法使い「王様に魔王の軍勢の残党がどうなったのかも訊きたいし、何か今後の指針になるかもしれないわ」

    僧侶「なるほど」

    魔法使い「行きましょ」

    113 = 109 :

    ―――城内 謁見の間

    「これはこれは勇者一行の!!」

    魔法使い「突然の謁見にも関わらず、ありがとうございます」

    僧侶「……ます」

    「気にする必要などない。そなたらは我が国の英雄だ」

    魔法使い「勿体無いお言葉です」

    「あの……」

    僧侶「は、はい」

    「勇者様のお体は?」

    魔法使い「ご心配には及びません。もう大丈夫です」

    「よかった……」

    「はっはっはっは。もう勇者殿の花嫁気取りか」

    「お、お父様!!」

    魔法使い「あの……本当に姫様を……?」

    「ん?話を聞いたのか?……そう。何を隠そう、我が娘を勇者殿の嫁にしようと決めたのだ」

    114 = 109 :

    僧侶「……」

    魔法使い「……」

    「お父様!!まだ私はけ、結婚など……」

    「何をいうか。あと3年もすればお前も身を固めなければならん。勇者殿では不服か?」

    「そんなことはありませんが。勇者さまの御意思も尊重せねば……」

    「勇者殿はノリノリだったぞ?」

    「うぅ……」

    魔法使い「あの……」

    「ああ、すまない。して、話とは?」

    僧侶「あの……魔王の軍勢はどうなりましたか?」

    「おお。そのことか。うむ、残っていた魔物はそれほど脅威ではなかった。軍が到着したときには大半が逃げ出していたようだ」

    魔法使い「そうですか」

    「まあ、あの首領をそなたらが討ってくれたこと。それが一番大きいがな」

    僧侶「何か特別なことはありませんでしたか?魔物たちが何かを言い残したとか、どこへ向かうとか……」

    「いや。特段、報告するようなことはなにもない。それに勇者殿にも全てを話したしな」

    115 = 109 :

    魔法使い(不発か……)

    「あの……」

    魔法使い「はい?」

    「勇者様にお伝え願いますか?」

    魔法使い「何をでしょうか?」

    「……またお会いしたい、と」

    僧侶「……」

    「ああ……恥ずかしい……」

    「はっはっはっは!!色気を出しおって!!」

    魔法使い「あの、姫様。お言葉ですが、あの勇者は少し……いえ、かなり性格に問題があるのでやめたほうがいいですよ」

    「え?」

    僧侶「えぇ?!ど、どうしてそんなこと……!!」

    魔法使い「とにかくスケベですし」

    「殿方ならそれぐらい……」

    魔法使い「度を越えているんです」

    116 = 109 :

    「度を越えているスケベなのか?」

    魔法使い「はい」

    僧侶「な、なんてことを言うのですか!?」

    魔法使い「でも、こういうことはちゃんと伝えておかないと」

    「むぅぅ……」

    兵士「失礼いたします!」

    「どうした?」

    兵士「勇者殿がお見えになりました」

    「え?!」

    魔法使い「アイツが……?」

    僧侶「どうして……」

    「よし。通せ」

    兵士「はっ!!」

    「合流する予定だったのか」

    魔法使い「そういうわけでは……」

    117 = 109 :

    勇者「失礼いたします」

    「勇者さま!!」

    勇者「ご機嫌麗しゅう、姫様。今日も変わらず美しいですね」

    「そ、そんなぁ」

    勇者「これを」スッ

    「え……」

    勇者「姫様に似合う花束をご用意しました」

    「勇者さま……」

    勇者「受けとっていただけますか?」

    「もちろんです……」

    勇者「ふふふ」

    魔法使い「ちょっと」

    勇者「え?おお。お二人とも。どうしたのですか?」

    僧侶「勇者様こそ、お体は?」

    勇者「いやぁ。もう大丈夫です。今日は姫様に昨日渡せなかった花束を渡しておきたくて」

    119 :

    この勇者って本当の意味で紳士と変態を両立させてるよなぁ
    良いキャラだ

    120 :

    おっつん

    122 :

    「すごく心配していました」

    勇者「これは光栄の極みですね」

    魔法使い「……」

    僧侶「あ、あの、勇者様。どうしてここへ……?姫様にそれを渡したかっただけですか?」

    勇者「はい」

    魔法使い「言い切った……」

    僧侶「……」

    勇者「お二人こそどうしてここへ?」

    魔法使い「行きましょう。もうここには用はないわ」

    僧侶「え……でも……」

    魔法使い「アンタも来る?」

    勇者「折角のお誘いですが僕はもう少し姫様と談笑し、絆を深めたいと思います」

    「そ、そんな……私なんかと……」

    魔法使い「……勝手にしたらいいわ」

    僧侶「あ、まってください!!―――勇者様、それでは後ほどっ」

    123 = 122 :

    「勇者さま、よかったのですか?」

    勇者「彼女たちとはこれからも長い付き合いになりますからね。今は姫様との時間を大事にしたいのですよ。ふっふふー」

    「もう……勇者さまったら」

    「いいな!!うむ!!流石は勇者殿」

    勇者「姫様、では少しお話でもどうですか?」

    「は、はい。私で宜しいのでしたら」

    勇者「感謝いたします」

    「それではお父様……」

    「ああ、ゆっくりしてくるといい」

    「ありがとうございますっ」

    勇者「王、今日は拝謁を許していただき、誠に感謝しています」

    「そなたの謁見ならばいつ如何なるときでも構わん」

    勇者「ありがとうございます。これで姫様とはいつでも会えますね」

    「い、いやですわ……そんな……」

    勇者「では、まいりましょう」

    124 = 122 :

    ―――城内 中庭

    「勇者さま、明日には旅立たれるのですか?」

    勇者「はっ。貴女の美しい肌とお尻には別れを告げねばなりません。残念です」

    「そうですか……」

    勇者「魔王の軍勢の残党は逃げたそうですし、勇者の身としては捨て置けませんからね」

    「ええ。兵士長さんの話では、列を成して東の地へと移動していったらしいですよ」

    勇者「東といえば……姫様、黄金の国はご存知ですか?」

    「はい。家が黄金で出来ているとか、井戸から金が溢れてくるとか。すごい国なのでしょうね」

    勇者「今度、ここへ戻ってくるときはその真意を確かめ、本当に黄金があるなら姫様に是非ともプレゼントいたしましょう」

    「まぁ!本当ですか!!」

    勇者「ふふふ、勇者は嘘が大嫌いです」

    「ありがとうございます。ですが、魔王の軍勢を追うのですね。東の地は魔王の手に落ちて久しいと聞いています。どうかお気をつけて」

    勇者「はい。帰りを待ってくれている貴女がいれば、死ぬに死ねませんし」

    「勇者さまぁ……」

    勇者「まだ時間がありますね。東の地について姫様が知っていること、話してもらえますか?」

    125 = 122 :

    ―――酒場

    店主「魔王のこと?」

    僧侶「何か聞いたことありませんか?」

    店主「そうだなぁ……」

    魔法使い「なんでもいいのよ。こういう顔してるとか、すごい魔法を使うとか」

    店主「そういえば、魔王の軍勢の首領はもう一匹いたって兵士の人に聞いたことがあるな」

    僧侶「え?トロルだけじゃないというのですか?」

    店主「ああ……なんでも空飛ぶトカゲとか……」

    魔法使い「それって……」

    僧侶「ド、ドラゴン……」

    店主「伝説級の魔物だから、本当かどうかはしらねえ。その兵士も未確認情報だって言ってたしね」

    魔法使い「もしドラゴンが相手なら……」

    僧侶「お話通りの魔物だとしたら、人間じゃ太刀打ちできなくないですか?」

    魔法使い「灼熱の炎を口から吐き、両翼を動かし竜巻を作る。最強の魔物ね」

    僧侶「ま、まさか……そんなの……あり得ませんよね?」

    126 = 122 :

    店主「鋼の皮膚を持ってるって言い伝えもありますねえ」

    僧侶「うわぁ……」

    魔法使い「……まあ、敵にいるかどうかもわからないし、気にするだけ無駄ね」

    僧侶「そ、それはそうですけどぉ」

    魔法使い「それぐらいかしら?」

    店主「そうですね」

    僧侶「あ、ありがとうございました!」

    店主「いえいえ。勇者様ご一行の役に立てたなら嬉しいよ」

    魔法使い「まあ、あまり買い被らないほうがいいわよ?」

    店主「え?」

    魔法使い「この国の英雄はどうしようもない屑だから」

    僧侶「そんな言い方は酷いですよ!!」

    魔法使い「だって、一国の姫君を性の捌け口としてしか見てないじゃない!!」

    僧侶「それはきっと誤解です!!」

    魔法使い「10人の側近なんて話聞いたあとに誤解も何もないわよ!!」

    127 = 122 :

    僧侶「そ、それは……」

    店主「10人の側近ってなんです?」

    魔法使い「……こっちの話よ。それじゃあ、マスター、ありがとう」

    僧侶「し、失礼します」

    店主「え、ええ。またこの町に来ることがあれば是非とも寄っていってください」

    魔法使い「必ず」

    僧侶「それでは」

    魔法使い「はぁ……あまり実のある情報とは言えなかったわね」

    僧侶「童話の話をしただけのような気もしますね」

    魔法使い「この町を出て、どこに向かえばいいのかもよくわからないし」

    僧侶「ですね……」

    魔法使い「アイツは姫様と仲良くやってるだろうし……。どういうことよ……全くもう……」

    僧侶「き、きっと、王様に仲良くしてほしいって言われているのですよ」

    魔法使い「どう見ても、アイツから手を出しているようにしか見えないけど……」

    僧侶「勇者様にも考えがあるのです!きっと!恐らく!多分!」

    128 = 122 :

    ―――宿屋

    僧侶「夕食、どうされますか

    129 = 122 :

    >>128
    投下ミス

    130 = 122 :

    ―――宿屋

    僧侶「夕食、どうされますか?」

    魔法使い「そうね……」

    勇者「ただいま戻りました」ガチャ

    魔法使い「ふんっ!!」ブンッ

    勇者「むっ?!―――パジャマパーティーの前哨戦として枕投げ大会ですか?」

    魔法使い「違うわよ!!」

    勇者「では……!?むむ……?おかしいですね、どこにもイエスの文字がないですが……?」

    魔法使い「なんでアンタにイエスノー枕を投げつけないといけないのよ!?」

    勇者「ハハッ。そうですよね。常時、イエスですよね。僕ってば頭悪いっ」

    魔法使い「こいつぅ……!!!」

    僧侶「あ、あの……きっとノックをせずに入室してくるからでは……?」

    勇者「ノックをしては着替え中に乱入するという僕の長年の夢が遠のくではないですか」

    魔法使い「アンタねえ!!魔王を倒すことより覗くのに気合入れないでよ!!」

    勇者「覗きなんてするかぁ!!!失敬な!!僕はあくまでも偶然、着替え中に遭遇したいという願望が強いだけだぁ!!」

    132 = 122 :

    魔法使い「何が違うのよ!!」

    勇者「覗きは故意!!遭遇は事故!!!全然違うだろうが!!」

    魔法使い「狙ってやってるなら故意でしょ!?」

    勇者「これは異な事を。現に僕は狙っても遭遇できてはいません。故意ならば必ず成功させるように仕向けるでしょう?」

    魔法使い「あー!!もういいわよ!!」

    勇者「え?生着替え見せてくれるんですか?眼福眼福」

    魔法使い「ころしてやろうか……」

    僧侶「あ、えと……勇者様、何か御用ですか?」

    勇者「ああ。そうでした。明日の朝、出発しましょう」

    魔法使い「どこに向かうの?」

    勇者「東の地。具体的には黄金の国と呼ばれる場所へ」

    僧侶「黄金の国ですか。でも、どうしてそこに?」

    勇者「魔王の軍勢がその方角へ逃げたらしいので。何かあるのかもしれません」

    勇者「あと、黄金を姫様にお渡ししたいので」

    魔法使い「そっちが本当の目的なの?あきれたわね……」

    133 = 122 :

    僧侶「……」

    勇者「何か?」

    僧侶「いえ……」

    魔法使い「一応、私たちも気になる情報を聞いたわ」

    勇者「え?なんでしょうか?」

    魔法使い「魔王の軍勢にはもう一匹首領がいたらしい。それも、ドラゴン」

    勇者「ドラゴン……灼熱の息を吐き、鋼の皮膚を持ち、翼から風を起こすという、あの?」

    僧侶「は、はい。未確認情報らしいですが」

    勇者「なるほど……」

    魔法使い「本当にいたら洒落にならないわね」

    勇者「そうですか……ドラゴンが……」

    僧侶「勇者様?どうかされましたか?」

    勇者「いえ。では、これで失礼します」

    僧侶「あ、夕食はどうされますか?」

    勇者「僕は既に済ませてきましたので。おやすみなさい」

    134 = 122 :

    魔法使い「何よ、アイツ……」

    僧侶「……」

    魔法使い「ご飯、食べに行きましょう?」

    僧侶「あの」

    魔法使い「なに?」

    僧侶「……勇者様はまた一人で色々調べているのではないでしょうか?」

    魔法使い「姫様から聞いたんじゃないのかしら」

    僧侶「王様、言ってましたよね?勇者様には全てを報告したって」

    魔法使い「そうね」

    僧侶「それっていつですか?」

    魔法使い「え?」

    僧侶「勇者様はずっと寝込んでいたのに……いつ、王様から話を聞いたんですか……?」

    魔法使い「それは……」

    僧侶「私、勇者様のところに行ってきます」

    魔法使い「あ、ちょっと待って!私も行くわよ!!」

    135 = 122 :

    僧侶「勇者様?」トントン

    勇者「はい?」

    魔法使い「……なにしてたの?」

    勇者「本を読んでいました」

    僧侶「そ、そうですか。それってあの……」

    勇者「エッチなやつです」

    魔法使い「さいてー」

    勇者「しかし、僕の身にもなってください。お二人のように美人が目の前にいるのに、何もできない虚しさを」

    魔法使い「知らないわよ」

    僧侶「あの、何か調べ物をされているなら……ご協力を……」

    勇者「いえ。本当にムラムラしてただけですから」

    魔法使い「……」

    僧侶「えっと……あの……」

    勇者「おっと、股間がいきり立っているようだ。どうする?戦う?」

    魔法使い「へ、へんなものみせないでっ!!!」

    136 = 122 :

    魔法使い「ただの変態よ!!」

    僧侶「お、落ち着いてください」

    魔法使い「あんたも怒るときは怒った方がいいわよ?」

    僧侶「ぜ、善処します」

    魔法使い「ホントに……別になにもしてなかったじゃない」

    僧侶「そ、そうみたいですね」

    魔法使い「なんか馬鹿らしいわね。ひょっとしたら裏で努力してるかと思ってもいたのに」

    僧侶「うーん……」

    魔法使い「あんなセクハラされてもまだ信じたいの?」

    僧侶「間が悪かっただけかもしれないと思って」

    魔法使い「ポジティブね」

    僧侶「わ、私は勇者様を信頼していますから」

    魔法使い「はいはい。ごちそうさま」

    僧侶「わ、私は純粋に勇者様のことを信じているだけですっ」

    魔法使い「分かったわよ。それよりも……お腹すいたし、何か食べに行きましょうよ」

    137 = 122 :

    ―――翌日 広場

    僧侶「いい天気ですねー」

    勇者「そうですね」

    魔法使い「なんでアンタの視線は胸に向けられてるわけ?」

    勇者「あ、そうだ。これをお渡ししておきます」

    僧侶「え?私に……ですか?」

    勇者「はい。貴女に是非」

    僧侶「……これって……所謂、非常食……?」

    勇者「貴女にとってはこの上ない武器のはずです」

    僧侶「確かにそうですね」

    魔法使い「普通は武具を渡すんじゃないの?」

    勇者「ふふ、そういわれるだろうと思い……盾も買っておきました」

    僧侶「結構大型ですね……。もてるでしょうか……?」

    勇者「普段は背負っていれば大丈夫ですよ」

    魔法使い(いつ買ったのかしら……)

    139 = 122 :

    ―――フィールド

    勇者「東の地、黄金の国まではかなりの道程ですね」

    僧侶「徒歩だとどの程度かかりそうですか?」

    勇者「7日もかからない、といったところですか」

    魔法使い「相当遠いのね」

    勇者「食料も十分に買いましたし、それに道中に村や町もあるので。問題はないかと」

    僧侶「よかった」

    勇者「しかし、どうしても野宿をしなければならないときもあるでしょう」

    魔法使い「そうね」

    勇者「魔物に気をつけながら一晩中、見張りをしなければならない」

    僧侶「はい」

    勇者「夜は寒い。寒さを凌ぐために寄り添う二人。触れ合う肩……交錯する視線……」

    魔法使い「え……?」

    勇者「そして二人は互いの息遣いを感じる距離まで近づき……惹かれるように唇を重ねる……ふふふ。ロマンスですね」

    魔法使い「なるわけないでしょ!!馬鹿っ!!」

    140 = 122 :

    ―――夜

    勇者「では、お二人は眠ってください」

    僧侶「でも……見張りは……」

    勇者「僕に任せてくれてかまいません」

    魔法使い「変なことする気?」

    勇者「しません。まだ、信用されていないのですか。ショックです」

    魔法使い「どこで信頼を得たと思ってるのよ」

    勇者「冗談はさておき、途中魔物とも戦いましたし、お二人とも魔力が残っていないでしょう?」

    僧侶「そ、れは……」

    魔法使い「まぁね。アンタが色々、指示出すから」

    勇者「なので、十分に休息を取ってください。明日の夕刻には小さな農村に着けますが、それまでに魔力不足で立ち往生はしたくないで」

    魔法使い「じゃあ……」

    僧侶「あ、ありがとうございます」

    勇者「いえ。気にしないでください。お二人は僕より何倍も働いていますから」

    魔法使い「そう……。じゃあ、お言葉に甘えるわ……おやすみ……」

    141 = 122 :

    勇者「……」

    パチパチ……

    勇者「そろそろ火を消すか……。魔物に場所を知らせるようなものだし」

    魔法使い「……ねえ」

    勇者「ん?どうかしましたか?あ、もしかして排泄行為を?」

    魔法使い「違うわ。ちょっと眠れないの」

    勇者「そうですか」

    魔法使い「さっきの言葉……どういう意味?」

    勇者「どういう意味もなにも……貴女が粗相をするのかなと思っただけですが」

    魔法使い「馬鹿っ!違うわよ!!―――どうして私たちのほうが何倍も働いてると思うの?」

    勇者「なんだ、そのことですか」

    魔法使い「私たちなんて……」

    勇者「勇者って戦闘技術は勿論、魔法の知識も有しているものなんですよね」

    魔法使い「全てに秀でているからこその勇者でしょ?」

    勇者「その通りです。―――もう気づいているでしょうけど、僕には魔法が使えないんです」

    142 = 122 :

    魔法使い「……」

    勇者「簡単な切り傷も治癒できない。魚を焼くための火すら起こせない。天候を操り雷を呼ぶなんてもってのほか」

    勇者「僕は出来損ないなんですよ」

    魔法使い「待って。じゃあ、どうして勇者に選ばれたの……?」

    勇者「わが国の勇者は半年前に命を落としました。それでも誰かを勇者として祭り上げ、魔王討伐に向かせなければならない」

    勇者「国一番の実力者を生贄にしないと国民が納得しませんからね」

    魔法使い「じゃあ、アンタが選ばれたのは……」

    勇者「剣術が秀でていたからです」

    魔法使い「そう……」

    勇者「でも、ある種幸運ではあります」

    魔法使い「どうして?死んで来いって言われたようなものでしょ?」

    勇者「勇者に選ばれたから、貴女たちと出会えた。こんなに嬉しいことがあるでしょうか?」

    魔法使い「なっ……。バ、バカじゃないの……」

    勇者「前にも言いましたが、僕は馬鹿です。あ、ちなみに世界平和のためだなんて微塵も思ってません。全ては僕の野望のためです」

    魔法使い「報奨金貰って、悠々自適に嫁と10人の側近と暮らすんでしょ?ホント、勇者としては出来損ないもいいとこだわ」

    143 = 122 :

    勇者「僕の悪口ばかりですね。許しませんよ?」

    魔法使い「許さないならどうするの?」

    勇者「僕の隣に座って、僕の肩に頭を預けて眠っていただきましょう。寝顔をさらせぇ」

    魔法使い「お断りよ。ド変態」

    勇者「僕のことが好きならはっきりそういえばいいのに」

    魔法使い「話が飛躍しすぎでしょ?!」

    勇者「でも、こういうシチュエーションの場合、恋焦がれる乙女が告白すると相場が決まっていますよ?」

    魔法使い「どこの基準よ!勝手に押し付けないで」

    勇者「そうですか。まだ側室の椅子は空っぽですから、いつでも声をかけてください。貴女なら第一側室としていつでも迎えましょう」

    魔法使い「もういい」

    勇者「はっ。まさか、嫁じゃなきゃいやとか、私だけを見てーってタイプですか?」

    勇者「でも、まあ、人の感情とは不思議なもので、そういう生活を一ヶ月ほど続ければ自然と慣れていくものですよ」

    魔法使い「もう寝るわ。アンタと話してたらおかしくなりそう」

    勇者「え?じゃあ、婚前初夜ってやつですか?まいったなぁ」

    魔法使い「なんで一緒に寝るって解釈するのよ!?」

    144 = 122 :

    勇者「ガード固いなぁ……魔法使いは普通、守備力が無いはずなんだが……」

    魔法使い「それじゃあ、おやすみ!!」

    勇者「はい。おやすみなさい」

    魔法使い「風邪、ひかないでよ?」

    勇者「馬鹿は風邪引かないって言葉、知ってますか?」

    魔法使い「違うわ。馬鹿は体調管理が出来ないから、風邪を引くのよ」

    勇者「おぉ。新説ですね」

    魔法使い「ふん……がんばってね」

    勇者「はい」

    魔法使い「バーカ……」

    勇者「……」

    パチパチ……

    勇者「はぁ……」

    勇者「ドラゴン……魔王の側近にいるなら……いずれは……」

    勇者「童話の獣と戦うなんて……想像できないな……」

    145 :

    魔法使いが側室を側近って言ってるのが気になる

    146 = 122 :

    ―――魔王城

    魔王「首尾は?」

    魔物「はい。順調でございます」

    魔王「そうか。トロルの失態で幾分かの後れは生じたが、今のところ問題はないか……」

    魔王「あるとすれば―――」

    ドラゴン「魔王様」

    魔王「ご苦労。トロルを打ち倒した者について何かわかったか?」

    ドラゴン「はい。どうやら、とある小国で選出された『勇者』のようです」

    魔王「ほう?今まで、勇者と呼ばれる人間など何の脅威でもなかったが、ここに来てついに骨のある人選をしたわけか」

    ドラゴン「しかい、交戦した者たちに聞きますとすこし可笑しなことが」

    魔王「なんだ?」

    ドラゴン「それが魔法を使う素振りを一切見せなかったようなのです」

    魔王「魔術なくしてトロルが率いていた軍勢を突破することなどできないはず。それほどまでに武芸に秀でているか……あるいは……」

    ドラゴン「もう少し調査の必要があるでしょう。幸いにも先日、その勇者一行は黄金の国に入ったとのことですので」

    魔王「それは好都合だな。既にあの地は我らの領土。そこでそやつらのことを丸裸にしてくれよう……」

    147 = 122 :

    ―――黄金の国 村

    勇者「……」

    僧侶「えと……」

    魔法使い「黄金なんてどこにも無いわね」

    勇者「なんてことだ……」

    僧侶「掘ればでるかもしれません!!金は土ですし!!」

    勇者「なるほど!!」

    魔法使い「馬鹿か……」

    村人「あの……貴方たちは?」

    勇者「どうも。遠路遥々やってきました。金をよこしやがれ」

    村人「旅の人……。悪いことはいいません。すぐに立ち去りなさい」

    僧侶「え……?どうしてですか?」

    村人「この国は魔王の手に落ちたのです」

    魔法使い「魔王に……?」

    勇者「詳しい話を聞かせてもらえますか?」

    148 = 122 :

    ―――村長の家

    勇者「失礼いたします」

    村長「旅の人か。村民から聞いておる。座りなさい。これ、茶を」

    村娘「は、はい」パタパタ

    僧侶「お構いなく」

    村長「この国のことはお聞きになりましたかな?」

    勇者「はい。魔王に占領され、酷い圧政を受けていると」

    村長「若い者は皆、連れて行かれ……どこかで奴隷のような扱いを受けていると聞きます」

    僧侶「酷い……」

    勇者「女性もよく連行されているようですが?」

    村長「この国を取り仕切っている魔物が女を好んで喰らう」

    勇者「いい趣味をしていらっしゃる」

    魔法使い「皮肉に聞こえないわよ?」

    村長「月に数人、女は生贄にされている。この村だけでなく、他の村でも同じのようだ」

    僧侶「許せませんね……」

    149 = 122 :

    勇者「いや、全くです。僕の天敵となる魔物だ。絶対に排除せねば」

    魔法使い「はぁ……」

    村娘「ど、どうぞ、お茶です……」

    勇者「……」パシッ

    村娘「え……?」

    勇者「僕の側室になってくれませんか?」

    村娘「えぇ……?」

    魔法使い「ねえ?手を貸して?」

    勇者「はい」ギュッ

    魔法使い「ありがとう」ギュッ

    勇者「あづぃぃ!?!?」

    魔法使い「痴漢。国境を越えてすぐに馬脚を露せないで」

    勇者「やけどしたぁ……。―――応急措置」ムニュ

    僧侶「きゃぁぁぁぁ!!!!!」

    魔法使い「胸を揉むなぁ!!」

    150 = 122 :

    村長「あの……。あなた方は一体?」

    勇者「ただの勇者です」キリッ

    村娘「勇者……様?」

    村長「まあ、よくわかりませんが、ともかくこの国には長居しないほうがよい」

    勇者「そうですね。ご忠告ありがとうございます」

    村長「いえ」

    勇者「行きましょう」

    魔法使い「どこに?」

    勇者「そうですね……」

    村娘「あ、あの……」

    勇者「なんですか?」

    村娘「勇者様……この国を救っていただけませんか……?」

    村長「これ!何を言っておる!他国の者を巻き込んでいい話ではない」

    勇者「貴女に頼まれては断れない。この国を恐怖に陥れている元凶はどこにいるのですか?」

    村長「な……!?本気ですか?!」


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