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    元スレ勇者「世界救ったら仕事がねぇ……」

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    851 :

    とりあえずモフは正義

    852 :

    >>850
    フライフェイスに助っ人を頼んだ鷲峰組の坂東くらいにはバカだと思うよ。

    853 :

    書いておりますが、今日もまとまりませんので、明日までお待ちを。
    善悪・理非をはっきりと決めているわけではござりませんので、議論は適当になさってくださいませ。


    今夜は僧侶人物評。

    勇者「僧侶さんは、なんだ、その、かわいいぜ! 面倒だけど」

    魔法使い「まあまあ、いい子じゃない? ある意味、腹の底から善人で正義漢よね。貴重な人材だわ」

    戦士「酒くらいは自由に飲ませて欲しいわな」

    商人「寝る前に筋トレはどうなんだと……しかも魔物と戦った夜に……」

    武闘家「何べんでも言いますけど、僕より攻撃力高いですから」

    盗賊「あの子に殴られた傷が、まだ痛むのよ……」

    遊び人「……ノーコメント」

    マスター「『神に捧げる肉体作り』メニューを作らされたことはあるわ」

    貴族「美しいですな! 特に大腿筋がすばらしい!」

    僧侶「神様は、私達の健全な肉体を見ておられます。また、いつでも教会においでくださいね」

    (人物評ですよ、僧侶さん)

    854 :

    ゆっくり書けよ

    855 :

    僧侶「そうです、プロテインですね」とか言い出しそうwww

    856 :

    魔法使わなくてもマッチョなのか…

    857 :

    スカラで巨大化しなくてもマッチョとは…おぅふ

    858 :

    虎さん可愛いな~もう

    世が世なら、戦士と一緒に道場とかやってそうだな……

    虎魔物「タイガー道場にようこそ!」

    859 :

    乙  僧侶筋肉質怖いよー

    860 :

    細腕とかどっかで書いたし、多分、アスリート的な筋肉のつき方じゃないかなと……
    あとスカラ的なのはもともとの筋力によると思いますし

    どうしてこうなったのか一番分からないキャラだ( ´•ω•` )

    861 :

    >>858
    鳥魔物がブルマ履いてるのか

    862 :

    乙…ここにはしまむらくんいないようだな…

    863 :

    >>849
    おっとスマン、久し振りで忘れてた

    864 :

    勇者「だが、俺は剣を捨てるっ!」

    商人「ちょっとぉお!?」

    勇者「そして雷よっ!」


    魔人たちに投げ込まれた剣に向かって、勇者はすばやく呪文を唱えた。
    激しい雷が、城の天井すら突き破って剣へと収束する。

    しかし突然の攻撃とはいえ、魔人たちは難なくそれを避けていた。
    ―――ただし、散り散りに。


    勇者「とらみぎっ!」


    勇者は叫びながら、直進して焼けた剣を拾いに走る。

    言われた虎は、相手がこちらを振り向くより先に、右手に避けた魔人の腹を蹴り飛ばした。
    轟音と共に、城の壁にめり込ませる。

    それを見て、戦士が斧を地面につきたてながら、斧を横手に振り上げた。
    今度は、しっかりと、両手に持って。
    戦士はちょうど大木に斧を入れる要領で、斜め上から思い切り振り下ろした。

    今度こそ、魔人は避けることも出来ず―――


    ずだーんッ、という見事な伐採音。


    魔人は城の壁ごと真っ二つになる。撃ち込まれた斧の持ち手には、ヒビが入っていた。
    周りの魔人どもが戦慄する。

    865 = 1 :

    勇者「うひゃひゃーっ! ぼーっとするなよ!」


    奇声を発して勇者が元冒険者に襲い掛かる。
    無論、戦士に力で劣る勇者の攻撃で、傷がつくはずもない。ないのだが。
    いまや誰もが気づいていた。
    腕力も防御力も関係の無い、どうしようもないほど恐ろしい人間が、目の前にいる。

    元冒険者が振るわれた刃を受け止めつつ、勇者の鼻柱を殴りつける。
    見事に当たって勇者は転んでしまう。
    しかしそれは、前方に向かって、つまり元冒険者の方への転倒だった。

    勇者は殴られたお礼とばかりに、元冒険者の足を取って、そのままひっくり返した。
    さらに、股間部分を殴りつける。
    激痛に耐え、逆に自分の腕を引っつかんできた元冒険者の腹で、魔法を放つ。


    勇者「燃えろッ!」


    ズドォン!


    自分が焼けることも構わない、勇者の火炎呪文が、元冒険者の腹を焼く。
    灼熱の痛みに魔人がのたうちまわる。

    振り払ったと思った時には、勇者は別の魔人の元へ体当たりをかけていた。

    866 = 1 :

    虎魔物「一匹ずつやるぞ!」

    弟子A「応!」

    戦士「商人! 斧を投げろ!」

    商人「へい、戦士の旦那!」


    とっさに上を見上げるその隙に、虎が力いっぱい魔人を殴りつけた。
    決して耐えられない攻撃ではない、だが、あまりの衝撃に跳ね飛ばされて動けない。

    一矢報いてやるとばかり、別の魔人の手によって、虎の腹に槍が突き立てられた。
    しかし、刺さったままの槍ごと体を持ち上げられた時、圧倒的な腕力の差を彼らはようやく認識した。


    虎魔物「打ち込め!」

    戦士「ああ」


    戦士は頷くと同時に、放り投げられた斧を受け取って、そのまま虎の方へと駆け出した。
    ぶら下がった魔人がもがく、しかし、間に合わない。

    戦士の斧撃は、確実に、ぶらさがった魔人を撃ち抜いた!

    867 = 1 :

    元冒険者は、絶望でも怒りでもなく、ただ混乱した。
    自分は力を手に入れたのではなかったのか。
    勇者よりも強い、少なくとも、戦士よりは強いはずだ。

    それが、目の前でさっさと仲間を屠られる様を眺めて、一体、何が起きたのかをすっかり見失ってしまった。

    自分の腕ごと焼いた相手が、戦意喪失したと見るや、勇者はすかさず立ち上がって、商人を呼んだ。


    勇者「上行くぞ、雑魚にかまうなっ!」

    商人「本気っすか!?」

    勇者「戦士ー! 後は任せたーっ!」

    戦士「早く行けーッ!」


    答える戦士の声を受けて、商人が賢者の石を握りながら駆け抜けていく。
    一方、それをちらちらと見つめて、虎の魔物が言った。


    虎魔物「俺も鳥を追いたいんだけどよ」

    戦士「行け行け。数体ならともかく、一匹くらいならもう大丈夫だ」

    虎魔物「話が分かるやつは助かるね」


    虎魔物もまた、勇者を追って、奥へと駆け出していく。

    後には撃ち捨てられた魔人と、戦士の一団が残るだけだ。
    戦士は斧を構えなおして、元冒険者に振りかぶった。

    868 = 1 :

    元冒険者「くそ……」

    戦士「終わりだな」

    元冒険者「……なんでだ」

    戦士「……」

    元冒険者「お前と俺で、何が違う。俺があの時、勇者についていったら、俺が英雄扱いされていたんじゃないか」

    戦士「そうかもな」

    元冒険者「お前と俺のレベルなんてそんなに違わなかっただろうが。なんでだよっ!」

    戦士「知らん」

    元冒険者「おかしいだろうがっ、魔王を倒さなくても、俺達は生きられたじゃないか」

    戦士「……」

    元冒険者「魔王なんか倒さなくて良かった。そうすれば、食いつなぐ分には問題なかった……」

    元冒険者「自分の仕事を奪う馬鹿がどこにいる? 俺達は何も間違ってない……」

    戦士「正しいかどうかは問題じゃない」


    戦士は斧を、両手に持ち直した。
    勢いよく振りかぶって、元冒険者の上にぎらりと刃を閃かせる。


    戦士「大事なものを奪われそうになったら」


    振り下ろす。


    戦士「誰だって戦うだろうが」

    869 = 1 :

    広間前。

    勇者達は、全力で廊下を駆け抜けていた。
    妨害多数と想像していたのは、完全に外されて、彼らは入り口にいた連中のほかは、さしたる人影にも会わず、扉の前まで走ってきた。
    息を切らせながら、勇者が叫ぶ。


    勇者「商人っ、賢者の石使えよ!」

    商人「無理っすよ、旦那! なんかこれ集中してないと発揮できねぇ!」

    虎魔物「……どれ、貸してみろ」

    商人「うわあっ、あ、あんたはでかいんだから、急に話しかけないでくれ!」

    虎魔物(どういう理屈だ)

    勇者「あーもう、役にたたねぇ! 広間つくぞっ!」


    勇者が広間の扉を蹴破る。
    彼らの目の前で、鳥魔物が哄笑を響かせていた。

    鳥魔物は、目の前の物体を手指で締め上げていた。
    ぐちゃぐちゃになったそれが、彼女の指からぼろぼろと崩れ落ちる。

    ちょこまかと逃げ回り、即席の罠をかいくぐり、小賢しいちまちました攻撃を加えてくる相手を。
    あまつさえ、自身を侮辱した人間を、ようやっと握りつぶした歓喜に、彼女は震えていた。

    ……ただし、周囲からは、玉座をにぎにぎしているようにしか見えない。


    鳥魔物「魔王様の仇を、思い知りなさい!」グワシ グワシ

    勇者「なにやってんだ、あいつ」

    870 = 1 :

    魔法使い「あまり刺激しないでね。やっと混乱呪文がかかったんだから」

    勇者「魔法使い! 無事だったか」

    魔法使い「私はなんとか。でも、お姫様とかが……」

    商人「……遅すぎです」

    勇者「あれ、お、女商人じゃねーか」

    商人「一体、今まで何をしていたのですか」

    勇者「北国に行ってたんだよ」

    商人「あなたが一歩遅れるごとに、苦しむ人が一人増えるのですよ」

    勇者「知るか。つーか、なんだよ、その丁寧語。気持ち悪いぜ?」

    商人「……頭の悪い言葉を使ってばかりだと、本気で頭が悪くなりますよね」


    ドン、と魔法使いが杖で床を叩いた。


    魔法使い「こんなときまでなんなのあんたたち」

    魔法使い「早いところこの二人を治療しなさい!」

    商人「……ちっ」

    勇者「分かってるよ! ほら、商人!」

    商人「わわわ、二人いっぺんは無理っすよ、旦那」

    871 = 1 :

    商人「商人、ネタは手に入った?」

    商人「え~っと、まあ、なんとか」

    商人「武具はちゃんと売り切ったの?」

    商人「へ、変化の杖とかは自分で使って、折っちゃいまして」

    商人「……で、売上金は」

    商人「そんな重いものを持ち歩けるわけないでしょー」

    商人「……」

    商人「い、いやいや、ほら、証文もらってますから! ほら!」

    商人「ちゃんと回収できるまで無償奉仕でいいかしら?」

    商人「か、勘弁してくださいよっ!」

    商人「ほら、そっちの足を持ちなさい。薬草の効果を高める方法を教えてあげるから」

    商人「ううっ、兵士時代だったら不敬罪だな、これ」


    商人は、姫と侍女の体を抱えながら広間を出て、廊下に寝かせる。
    女商人がそれに付き添って、四人は安全な場所へと逃げ出した。

    広間の方から、勇者の声がする。


    勇者「そっちのおっさんは!?」

    魔法使い「南将軍はもう……」

    872 = 1 :

    商人「ひいぃぃ、将軍もやられちまったのかよ! 俺って場違いすぎるよなぁ」

    商人「何を言ってるの。場違いも何も、その場に居合わせたものしか戦えないのよ」

    商人「そ、そんなもんすかね」

    商人「……いつだって勇者がやってくるわけじゃないんだから」

    商人「旦那は気紛れで行動するからなぁ」

    商人「そういう意味じゃないわ。ほら、服を脱がして、傷の具合を」

    商人「うひぃ、もう解雇されたから不敬じゃない不敬じゃない」

    商人(なんでそういうところは真面目なのかしらね)

    商人「うわ、血が……」

    商人「くっ……思ったより、あの鳥の攻撃が深手だったのかしら」

    商人「応急処置をしたら、なるべく早く医務室に行きたいっすね」

    商人「何言ってるの。お城から全力で逃げるのよ」

    商人「そ、そんなにやばい?」

    商人「城内は敵だらけでしょ」

    商人「商売って命がけだなぁ」

    商人「今更何言ってるのよ。さあ、私達ができることだけやりましょう」

    商人「……うっす!」

    873 = 1 :

    鳥魔物が混乱しているのを遠めに、三人は頭をつき合わせて相談をしていた。


    魔法使い「できれば、あの鳥をひきつけて、その間に広間の奥へ行きたいのよ」

    勇者「なんでだ?」

    魔法使い「あの中で『魔王の復活』が行われようとしているの」

    虎魔物「魔王様だと……」

    魔法使い「また説明しないといけないわけ? というか、なんで魔物がここにいるのよ」

    勇者「こっちも説明している場合じゃねぇだろ!」

    魔法使い「……あんたは私たちの敵?」

    虎魔物「俺は鳥を抑える役目で来ただけだ。だが、魔王様が復活するとなれば……」

    勇者「ストーップ! 魔法使い、魔王が復活するのか!?」

    魔法使い「しないわ」

    勇者「虎、そういうことだ。あと、お前は負けを認めて俺に従うんじゃないのか!?」

    虎魔物「……ちっ、しょうがねーな」

    勇者「うーし、じゃあ、こうしよう。虎は鳥を抑えに来たんだから、がんばれ」

    勇者「んで、魔法使いは広間の奥に行く。俺は露払いだな」

    虎魔物「適当だな」

    魔法使い「……仲間相手に、戦えるの?」

    虎魔物「一度、あいつとも戦ってみたかったからな」

    874 = 1 :

    勇者「じゃあ、その線で行こうぜ! あと姫様は……」

    魔法使い「女商人たちが、廊下に連れ出したわ」

    勇者「よし、んじゃあ、虎、任せたぜ」

    虎魔物「ああ」

    魔法使い「……後ろの人間たちを襲うつもりじゃないでしょうね」

    虎魔物「そうだな、それも可能だな」

    魔法使い「勇者、本気でこいつを信用するの?」

    勇者「虎、お前はどうしたい?」

    虎魔物「……」

    虎魔物「魔王様の復活はありえないのか」

    魔法使い「側近って分かる? 魔王城にいた」

    虎魔物「あの悪魔の小娘か。鳥が嫌っていた」

    魔法使い「そう。彼女にも、やつらがやろうとしている計画書を見てもらったわ」

    虎魔物「……なんて言ってた?」

    魔法使い「『人間にもとんでもないクズがいるもんね』」

    虎魔物「……分かった」

    虎魔物(要するに、魔王様に対する侮辱ってわけだな)

    875 = 1 :

    虎魔物「だったら、俺も腹を決めた」

    勇者「じゃあ、早速行くぞ! 魔法使い!」ダッ

    魔法使い「叫ばなくても分かってるわよ」


    勇者と魔法使いが、鳥魔物の脇を駆け抜けていく。
    虎魔物がその後を追い、いまだに混乱から覚めていない鳥魔物の頭を勢いよくぶっ叩いた。

    羽根が空中に飛散する。
    それほど力は入れていないつもりだったが、と虎が思った瞬間、羽根の乱舞が押し寄せてきた。
    虎は頭を腕でかばい、あわせて地面を思い切り踏みつけた。
    足元にある冷えた溶岩がめくれ上がり、そのつぶてで羽根を叩き落す。

    実を言えば、虎には毒が効きにくいのである。
    しかし、いちいち放たれる羽根を律儀に食らってやる必要もない。

    さきほどは反射的に攻撃したのだろう。
    鳥が虎の姿を確認すると、さすがに驚きの声を上げた。


    鳥魔物「と、虎!?」

    虎魔物「よう」

    876 = 1 :

    鳥魔物「あなた、北国で勇者を片付けていたはずでは!?」

    虎魔物「ああ、それは済んだ。済んだから、ここへ来たんだよ」

    鳥魔物「なら、あなたも手伝いなさい。魔王様が復活なさるのですよ」

    虎魔物「……」

    鳥魔物「あ、あなたも、魔王様が亡くなって、寂しそうにしていたじゃあないですか」

    虎魔物「魔王様は勇者に倒されたんだろ」

    鳥魔物「何を、そんなこと」

    虎魔物「実を言うと、俺も勇者に負けちまった」

    鳥魔物「……何ですって」

    虎魔物「正確には復数人にやられたんだがな。とにかく、もう、負けは負けだね」

    鳥魔物「魔王様が復活すれば、話は別です!」

    虎魔物「復活してどうすんだ」

    鳥魔物「は……?」

    虎魔物「確かに俺も復活はうれしい。だがそれをやってるのは、魔物じゃない、勇者と敵対している人間じゃないのか」

    鳥魔物「……」

    虎魔物「人間に復活させられれば、魔王様とてその人間に顧慮を払わないわけにはいかねーだろ」

    877 = 1 :

    虎魔物「そんなみじめな王に仕えるのか、俺らは」

    鳥魔物「そ、そんなこと……」

    虎魔物「じゃあ、どうするって? ま、みじめに生きるよりは、さっくり死んだ方がいくらかマシだと思うわけだ」

    鳥魔物「……」

    虎魔物「もちろん……」

    鳥魔物「お前は負けたからでしょう! 私は負けていない!」


    鳥魔物は羽根を大きく広げた。
    禍々しい空気が虎に向かって流れ込んでくる。

    虎は、それを胸いっぱいに吸い込みながら、嬉しそうに応えた。


    虎魔物「その通り、だから、お前も、やる気でやってくれよ!」


    虎魔物が叫んだ。
    身を低くすると、その頭上を激しい風の斬撃が通過していく。
    転がるようにして鳥の近くへ、虎が近づいた。

    鳥は大きくバックステップで間合いを広げると、爪をかざして窓のガラスを切り裂いた。
    飛び散ったガラスの破片を風に乗せて、虎にたたきつける。

    878 = 1 :

    虎が右手に避けると、足に鋭い痛みが走った。
    ばら撒かれた羽根が、なにかまきびしのように硬くなっているのだ。


    虎魔物(ちまちまと面倒くさい……!)


    大胆な攻撃と、陰険な攻撃を組み合わせて襲い掛かってくる。
    その上、虎と引けを取らぬ腕力の持ち主。
    それが鳥魔物だった。

    全力を出させてもらえない不満を飲み込むと、虎は相撲を取るような格好を取った。
    例の身を縮めて伸び上がる攻撃姿勢に、鳥魔物も間合いをさらに取る。

    取るのはいいが、そのままでは勇者たちに奥の間へ入られてしまう。


    勇者「おい、まだか!?」

    魔法使い「結界が強すぎるのよ……」


    二人がしゃべっている様を、鳥が横目でちらと見る。
    その瞬間、虎魔物が飛び出した!

    879 = 1 :

    もちろん、全力で走って飛び上がったとしても、鳥魔物に届くはずがない。
    虎は彼女の横にぶら下がっていた分厚いカーテンに飛びついたのだ。

    びりいぃっ!

    豪快に爪をふるって引き裂くと、それを手早く丸め取って脇に抱える。
    そして、丸めたカーテンを持って鳥魔物の方に走り出した。

    拍子を一つ外された鳥は、急な進路変更に戸惑いつつ、あわてて羽根を飛ばす。
    その打ち出された羽根と、鳥魔物に向かって、虎が丸めたカーテンを投網のように広げる。

    そのままカーテンに絡めとられるわけにもいかない。
    鳥魔物は広げられたカーテンから右方向へ脱出する。

    その姿を、虎の腕が捉えた。


    ずどん! という激突音。


    まさしくそれは激突だった。
    虎は腕と牙で鳥に食らいつき、鳥はそれを振りほどこうと爪で虎の顔面を滅多に切り裂き、打ちまくる。
    絡み合って、二体の獣が広間を転がっていく。

    どちらかの絶叫が何度か上がり、何回転かしたところで、鳥魔物が虎を投げ飛ばした。

    少しふらつきながら、二匹が立ち上がる。
    互いに顔面を真っ赤に染めて、片方はにやりと笑い、もう片方は反吐を吐く。


    鳥魔物「虎、虎っ!」

    虎魔物「おう、いい顔になってきたな」

    880 = 1 :

    鳥魔物「なぜ邪魔をするのです!?」

    虎魔物「邪魔じゃねーよ。俺はお前とも戦いたかったのさ」

    鳥魔物「私が、魔王様を失って、どれほど、苦しんだか……!」

    虎魔物「それで勇者への八つ当たりじゃ、つまらんわな」

    鳥魔物「お前には、魔王軍の資格はありません!」

    虎魔物「ありがてぇ、ずーっと魔王軍やめて、魔王様とかと戦いたかったからな」


    さらに二体が取っ組み合おうとしたその瞬間、扉の前にいた魔法使いが叫んだ。


    魔法使い「勇者、離れてーっ」

    勇者「うおっ」


    魔法使いが勇者を突き飛ばす。
    奥の間の扉が爆発したように吹き飛んで、魔法使いを押し倒す。

    二体が思わずそちらを見やると、闇色の空気がじわりとそこから漏れ出していた。

    魔物たちは感じていた。
    その闇の匂いはちょうど、魔王の闇の力に似ていると。

    881 = 1 :

    今夜はここまで。

    血みどろ格闘をさせてすまぬー……虎鳥ー……

    882 :

    おつ

    陰険な攻撃と大胆な攻撃を混ぜる鳥魔物(雌)
    卑猥な意味にも取れますが

    883 :


    にぎにぎかわいい

    884 :

    いちおつ

    885 :

    追いつきましたよっと
    これは続きが楽しみですねぇ~

    886 :

    本編がオワタら普通に魔王倒すまでの話が読みたいな

    もちろん今まで出たキャラ全員登場させて

    890 :

    魔法使いが人気なのかな
    まあ、一番地雷臭がしないタイプだけど

    891 :

    一番可愛いのは遊び人
    男でさえなければ…

    892 :

    虎の熱さに胸厚

    893 :

    >>886
    虎が可哀想なことになるからやめろ

    894 :

    >>893
    きっと合間合間に虎がダンジョン整備してたり暇つぶししてたりって描写が入る
    むしろそれが読みたい

    895 :

    『○月×日

    今日も勇者は来なかった。
    せっかくなのでカーペットを洗濯したら、寒さで凍った。

    部下の氷の魔人が「ぶっちゃけ嫌がらせっすよね……この任務」とつぶやいていた。

    多分、俺が訓練だからと調子に乗って、魔王城の連中を一通り病院に叩き込んだせいだと思う。
    すまねぇ、みんな。』


    これに需要があるんか(´・ω・`)
    本日の投下はもう少し待っておくれ。

    896 :

    >>895
    反対する理由は無い
    そのネタやりたまえ

    897 :

    よけいなネタをはさむなよwww
    本編そっちのけで読みたくなるじゃないかね?

    898 :

    >>895
    需要ありまくりんぐ
    本編完結したら虎日記よろしゅ

    899 = 1 :

    破裂した扉の向こう側から、南大臣が姿を見せる。
    続いて、骨の魔物が。
    最後に、真っ黒い球体が、広間の方へ転がって出てきた。

    むわっとした黒い霧が、球体から発せられる。
    思わず咳き込んで、勇者が魔法使いを引きずりつつ、距離を取る。
    だがその勇者の腕を、骨魔物の銃弾が、ドン、と一つ穿たれた。


    勇者「でっ……!」

    南大臣「これは勇者殿。わざわざお越しいただき、ありがとうございます」

    勇者「……こりゃなんだ?」

    南大臣「わが国王、そして『魔王システム』の核です」

    勇者「ふーん」


    虎魔物「人間、今なんて言った?」

    南大臣「ああ、喜びたまえ、これが君達魔物とも共存できる、『魔王システム』だ」

    虎魔物「そのへんてこな球体が魔王様だってのか?」

    南大臣「魔王ではない。魔王のかけらを集めて、その闇の力を利用できるように調整されたシステムであって……」

    鳥魔物「かけら……?」

    南大臣「……魔王の本質は、魔物を強化し、統制し、的確に運用する、闇の力にある」

    南大臣「優れて魔力の高い魔物であった魔王は、それを個人で操っていたようだが、やつが死んでもそれを利用できる画期的なシステムだ」

    南大臣「そのために、魔王の死体からいくつか『かけら』を集めさせていただいた」

    鳥魔物「……」

    900 = 1 :

    南大臣「見よ、闇を奪われた骨魔物の彼も、力を得て活き活きと動いている」

    骨魔物「活き活きは言いすぎだ……」カラカラ

    南大臣「君達も感じるだろう、魔王の闇の力を」


    吹き付ける波動は、確かに懐かしいざわめきを彼らに与える。
    しかし、鳥魔物と虎魔物は、その感覚にこそ、激しい嫌悪感を覚えた。


    南大臣「しかもこれのすばらしいところは、人間も利用できることであって……」


    びゅばっ、という音が広間をよぎり、南大臣に突き刺さる。
    鳥魔物から放たれた羽根が、まっすぐに大臣の頬に突き刺さったのだ。

    南大臣はしかし、それをつまらなそうに振り払って落とす。
    突き刺さった痕のひとつ、ふたつも見当たらない。


    南大臣「……このように、些細な攻撃を物ともしない」

    鳥魔物「人間、よもや、これが『魔王の復活』などと言うのではないでしょうね」

    南大臣「その通りだ。魔王の統治能力を、人間も利用できれば、きっとすばらしい社会が作られる」

    鳥魔物「そのくだらんクス玉が統治能力ですって?」

    南大臣「システムの核と言った。魔王がいかにして、世界中に魔物を送り込むことが出来たか、それを再現できるのだぞ」

    鳥魔物「……」


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