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    元スレ利根「提督よ、お主なかなか暇そうじゃの?」 金剛「…………」

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    251 = 1 :

    加賀「……どう考えても、あの人ならば利根と一緒に壊れてしまっているでしょうね」

    比叡「……ですよね」

    加賀「壊れてしまっているのはあの日から。そして今日逢った時は普通に見えたわ。……けど、あの三人を見送っている時、もう壊れ始めていたもの」

    飛龍「本当、よく三ヶ月も我慢できましたよね。三人の話によると、至って普通に怠けているようにしか見えなかったそうですし」

    加賀「それと、この子もね」チラ

    比叡「…………」

    加賀「貴女も、最近はずっと良くなっていたわ。……本当、もう少しで割り切れそうだったのにね」

    比叡「……この鎮守府に、金剛お姉様が来てくれるのであれば問題ありません。ただ、金剛お姉様が居なくなってしまうのを見ると……」

    飛龍「私も、少しつらかったです……」

    加賀「本当、タイミングが悪いわね。……提督に利根、そして比叡が何をしたと言うのかしら」

    飛龍「金剛さんに瑞鶴さん、そして響ちゃんですからね……。偶然にしても酷過ぎます」

    比叡「……二人は、あの日の事を憶えていますか?」

    加賀「……忘れられる訳がないわ。あの日は、この鎮守府が崩壊した日だもの」

    飛龍「あの時、私達がもっと早く気付いていれば良かったのに……」

    加賀「無理だったでしょうね。あの提督が壊れてしまうなんて、誰が予想できたかしら」

    飛龍「……結局、私達は提督の事を理解していなかったのですかね」

    加賀「……どうかしらね。私は、提督も予想していなかったと思うわ」

    比叡「司令ならば大丈夫だと、誰もが思っていましたよね……」

    加賀「ええ……。多少の時間を掛ければ、ちゃんと受け入れてくれると信じていたわ。……でも、実際は違った」

    飛龍「金剛さんと瑞鶴さん、そして響ちゃんが……」

    加賀「…………」

    比叡「…………」

    飛龍「…………沈んで……も……提督は提督のままだと、勝手に思い込んでしまっていましたね……」

    252 = 1 :

    加賀「……時々、夢に見るの。あの時、私がしっかりと『偵察も六人でやるべき』と言っていれば、あの三人は帰ってきていた夢を……」

    飛龍「金剛さん、瑞鶴さん、響ちゃん……そして利根さんの四人でしたね。私達の誰もが認める、優秀な方々でした」

    比叡「出来るだけ見つからないよう、少人数で行うべき作戦だったから……。戦力的にも問題はなく、そしてギリギリ発見されにくい人数だったと、今でも思います……」

    加賀「……どうだったのかしらね。あの作戦は」

    飛龍「本当、何があったのでしょうか……」

    比叡「何があったのか、今でも知っているのはあの二人だけなんですよね……」

    加賀「…………」クイッ

    飛龍「……提督と利根が心配ですね」

    加賀「……飛龍」

    飛龍「はい、なんですか?」

    加賀「燗酒をお願い。飛びきり燗で、ね」

    飛龍「そう言うと思っていました。どうぞ」スッ

    加賀「ありがとうございます。準備が良いのね。────ッ!」クイッ

    飛龍「はい、お水です。……何せ、もう四年以上も一緒ですからね。分かりますよ」ソッ

    加賀「ん……っ」コクコク

    飛龍「辛いですよね。飛びきり燗にすると」

    加賀「ん、んく……。…………確かに辛いわ。いつも思うけれど、提督はよくこんな物を飲めるわね」

    飛龍「提督はキツいお酒がお好きでしたもんね。私も提督には敵いませんよ」

    加賀「……ねえ飛龍、比叡。カラいとツラいって、同じ漢字よね」

    比叡「はい、そうですけれど……」

    加賀「こうやって辛いお酒を飲めば、私も提督の辛さを……少しだけでも知る事が出来るのかしら」クイッ

    比叡「あ、そんな一気に──」

    加賀「──くっ!!」ガタッ

    飛龍「もう……。加賀さんも身体を大事にして下さいよ?」

    加賀「ケホッ……! はぁ……んっ……。大丈夫、よ。提督や利根より、は……自分を大事にしている、つもりよ」

    飛龍「めっ。一般的に大事にして下さい」

    加賀「考えるだけ、考えておくわ」

    比叡(……大丈夫でしょうか。加賀さんも、司令も、利根さんも……)

    …………………………………………。

    253 = 1 :

    「ア……っか、は──!!」
     冷やりとした空気が漂う満天の星空の下で、私に組み敷かれた少女は苦しそうに声を漏らす。力の限り込めた指は少女の首に喰らい付いて離れない。
     少女もまた、私の手首を掴んでいる。それは生物としての反射的な行動なのか、それとも別の意図があるのか──。
    「ひ、ァ……ッ!」
     恐らく──いや間違いなく彼女の場合は後者だ。
     そうでなければ自らを殺さんとしている手を、首へ押し付けるような真似をする訳がない。
     おまけに、その表情は苦しみよりも恍惚とした笑みを浮かべている。
    「もう死ぬか? まだ死なないか? さあ、どうなんだ、利根」
     少女の首から感じ取れる脈が速くなっていく。心臓が必死になって生きようとしているのだろう。
    「──ぎ、ァ゙……!!」
     私も、利根と同じ顔をしているのだろうか。それを知る術はないが、それはどうでも良いか。
     死にたがりの艦娘である利根を、私は殺そうとしているだけだ。
     金剛は沈んだ──。
     瑞鶴も死んだ──。
     響も殺された──。
     あの偵察から生き残った利根も、死にたがっている。
     ならば、私が殺すのが道理だ。私を愛してくれ、付き従ってくれ、慕ってくれた大事な子達を、なぜ誰かに殺されなければならない?
     装備を捨て、生身で死のうとしている利根をどうして放っておける? 私が殺さなければ深海棲艦に殺されるだけじゃないか。
    「ああそうだ。なぜだ? なぜ私は今まで我慢していた?」
     利根はあの時、言っていただろう?
    『苦しみながら沈み、提督と呟きながら沈んでいった三人を置いて、どうして自分だけ死ななかったのか』
    『自分も苦しみながら死ななければならない』
    『そうでなければ、あの三人に申し訳ない』
     そう、虚ろな目をして言っていただろう? ボロボロの身体で、絶望で塗り潰された顔で言っていただろう?
     あの時もそうだった。今もそうだ。だから、こうやって首を絞めた。だから、こうやって首を絞めている。
     少女は涙を零しながら痙攣してきた。ビクビクと、まるで何度も絶頂を迎えているかのように、いつかの金剛のように身体を跳ねさせている。
    「嬉しいよなぁ利根。最後に金剛と瑞鶴と響に会えたんだ。また私達の前から消えていったんだ。あの時と同じだなぁ、利根」
     艦娘も頑丈なだけで体内は人間とあまり変わらない。怪我をすれば血を流すし、体調が悪ければ顔色も悪くなり、気道を塞いでしまえば呼吸が出来なくなる。
    「は──ィ、ぁ…………!」
     掠れた声で、利根は何かを言う。けれど、何も伝わらない。何を言おうとしているのかも分からない。
     虚ろで、光の宿っていない目も、何を語りたいのか分からない。何もかも、分からない。
     ただ分かっているのは、彼女が死にたいと思っているという事。それだけだ。
    「どうした利根。どうしたんだ利根? 力が弱くなっているぞ。痙攣も治まってきたじゃないか」
    「ぁ……ッぁ…………ぁ……」
     ゆっくりと、彼女の瞳が閉じてゆく。
     穏やかに、安らぎを感じているように、眠るように……。
     そうだ。これから少女は眠りに就く。暗く冷たい水底で眠っている三人のように、誰にも邪魔される事なく眠り続けるんだ。
     お前は望んでいたな。三年前からずっと、こうなるよう望んでいたよな。
     なぜか毎回失敗していたが、今回は大丈夫だ。必ず眠らせてやる。
     力を込め過ぎて手が震えてきたが、ぐったりとなって抵抗が一切無い少女ならば、この程度の力でも問題無い。
    「────────」
     もう喘ぐ事も出来ないか。もう少しだ。もう少しでお前も──。
    「…………」
     不意に、思考が停止した。
     少女は──利根は、笑顔だった。とても嬉しそうに……まるで長年願っていた幸せを手に入れたかのように、優しく微笑んでいた。
     その表情が被る。指輪を渡した時と被る。断られないか柄にもなく不安に駆られながら勇気を出した時と被る。

     あの時の金剛と、同じ微笑みで──。

    「……そう、だった」
     込めていた力はスッと消え去り、腕がダラリと砂浜に投げ出される。
    「あの時も、同じだった……」
     何度だろうか。何度、私はこの微笑みを見ただろうか。何度、この微笑みを忘れたのだろうか。
    「くく……は、ははは……」
     乾いた笑みが口から漏れる。
     なぜだろうか。なぜ忘れていたのだろうか。
     いつも、この微笑みで私を戻してくれていたのに、なぜ私は忘れてしまっていたのだろうか。
     頭がクラクラする。首を絞めていたのは私だったというのに、私も酸素が足りていないようだ。
     なんとか意識を保とうとしても、抗えない。どんなに力を振り絞っても、身体は砂へと落ちていく。
    「はは、クハはハハ…………」
     最後に聴こえたのは、自分の狂った笑い声。
     そのまま、私の意識はブラックアウトした────。

    ……………………
    …………
    ……

    254 = 1 :

    「──え?」
    「どうしたんだ。まさかとは思うけど、聴こえなかったとか言うんじゃないよな?」
    「……いえ、そんな事は、ありまセン」
     唐突に告げられた死刑宣告──。今の私達は、それに等しい衝撃を受けました。
     場所は執務室。私達の帰るべき鎮守府で、テートクが作戦を告げ、必要があれば私達も訪れる場所──。
     少し……ほんの少しだけ、予想していました。だから、今こうして冷静で居られるのでしょう。動揺は隠せませんけれど……。
    「まあ、正直に言うと資材にも困ってないからどうでも良いんだけどな。処理する方法がそれくらいしかないから解体するだけだ」
     そう……私達のテートクは、同じ艦娘を二隻以上置くという事をしません。把握するのが面倒だと仰っていました。
    「真に残念な事に、今のお前らに場所は無い」
     テートクが不機嫌なのは手に取るように分かりました。恐らく、帰ってくるのなら新たに育て直す労力は無駄だったじゃないかと思っているのでしょう。
     その意思表示か、テートクの後ろには三人の艦娘が困った顔をして立っています。
     艦娘の名称は、金剛、瑞鶴、ヴェールヌイ。
     ほんの三ヶ月前、私達が立っていた場所に、別の私達が立っています。
     その三人の全員が、左薬指に指輪を嵌めていました。……私と瑞鶴が肌身離さず着けていた指輪と、全く同じ指輪……です。
    「ああ、いや。聞きたい事があった」
     ふと、思い出したかのようにテートクの不機嫌な顔はいつもの無表情に変わりました。
     ……私達に聞く事なんて、あるのでしょうか。この三ヶ月、無人島を三人で暮らしていたとは言いましたから、私達に聞く事なんて何も無いと思うのですが……。
    「お前ら二人の幸運がどれくらいなのか言え」
     ……………………?
     幸運がどれくらい、とはどういう事なのでしょうか……?
     チラリと瑞鶴に顔を向けます。けれど、瑞鶴も私と同じく困った顔をしていました。
    「どうした。自分の事だろ」
    「司令官」
     どう答えたら良いのか考えていると、響がテートクに声を掛けました。
     テートクの機嫌が悪くなったのが分かります。あからさまに舌打ちをして、私達の知っているテートクではないように……怖い顔をしていました。
    「二人は意味が分かっていないようだから、説明してくれると良いかもしれないよ」
     けれど、響は一切動じずに言葉を続けます。
     ……響は、テートクが怖くないのでしょうか。テートクの後ろに居る三人も怖がっているのに……?
     響のその言葉に、テートクは重く、イライラしている溜息を吐きました。……こんなテートクを見るのは、初めてです。
    「分からないのならもう良い。やっぱりお前らは解体だ」
    「それと、もう一つだけ良いかな」
    「チッ……なんだ」
     今にも殴り掛かりそうな雰囲気のテートク。それでも、響はいつもの調子で言葉を並べ続けます。
    「司令官の手を煩わせる必要もなく、私達を消す事が出来るよ」
    「え……響ちゃん!?」
    「ほう?」
     何を言っているのか分からなくて、一瞬頭が真っ白になった──。
     私達を消す? どういう事ですか?
    「な、何言ってるのよ!? 消すって──!!」
    「お前は黙ってろ。……で、その方法は何だ?」
     狼狽える瑞鶴を一言で黙らせると、テートクは響に興味深そうな目で聞きました。
     解体以外で、どんな方法があるですか……?
    「簡単な事だよ。今ここで出撃命令を出せば良い。私達三人じゃ、絶対に勝てない海域にね。……そうだね。マリアナとかミッドウェーとかなら十二分に沈められるんじゃないかな」
     ……マリアナやミッドウェー? それって、確か──。
    「良い事を言うな響。それなら楽だし、これからもそうするか。じゃあ出撃だ」
    「今の私達は辿り着く前に燃料が切れるから、補給はしていくけど良いかな?」
    「好きにしろ。さっさと行け」
    「うん、ありがとう司令官」
     そう言うと、響は扉へ向かって歩き出しました。
     チラリ、と私と瑞鶴にしか見えないように顔を見せます。その表情は、まるでイタズラが成功した子供のような顔でした。
    (……なるほど。やっぱりデスか)
     私は、出来るだけ無表情を貫いて瑞鶴の手を引きながら響と同じく、執務室から出て行きました。
    「……さようなら、テートク」
     最後に、お別れの言葉を口にして──。

    ……………………
    …………
    ……

    255 = 1 :

    金剛「…………」スタスタ

    「…………」トコトコ

    瑞鶴「ひ、響ちゃん! さっきのって、どういう事なの?」

    「…………」チラ

    金剛「…………」キョロキョロ

    金剛「……誰も居ませんが、念の為に小声で話しまショウ。あと、短くデス」ヒソ

    瑞鶴「…………?」

    「そうしようか。──瑞鶴さん、沈むつもりはないよ。ただ逃げるだけさ」ヒソ

    瑞鶴「逃げる……?」ヒソ

    「そう。マリアナとミッドウェーの中間にね」ヒソ

    瑞鶴「! それって、もしかして──」ヒソ

    「そういう事だよ。これ以上は喋らない方が良い。海に出てからにしよう」ヒソ

    瑞鶴「う、うん」ヒソ

    長門「……む。お前達、さっき提督が……────!!」

    瑞鶴(あ、危なっ! 響ちゃん、ナイス……!)

    長門「生きていたのか! ああ……噂は本当だったんだな……!」

    金剛「ゴシップ?」

    長門「そうだ。行方不明になっていたお前達が帰ってきたという噂を耳にしていてな。どうだ、これから久々に息抜きでもしないか?」

    瑞鶴(あ、もしかして気を遣ってくれてるのかしら?)

    「誘ってくれて嬉しいんだけど、これから私達は出撃をしなくちゃいけないんだ。イズヴィニーチェ」

    長門「これから……? 帰ってきたばかりだというのに、あの提督は……」

    「それじゃあ、行くね」トコトコ

    長門「む。あ、ああ……気を付けるんだぞ?」

    「……うん」

    金剛(…………?)

    …………………………………………。

    256 = 1 :

    金剛(鎮守府から、もう大分離れましたネ。そろそろ大丈夫デス)

    金剛「響」

    「ん、どうしたんだい?」

    金剛「長門に対して、少し冷たかったように感じまシタけど、どうしたのデスか?」

    「……後悔しないようにする為だよ」

    瑞鶴「後悔?」

    「うん。下手したら二度と会えなくなるんだ。それだったら、少し冷たいくらいで丁度良いと思う。……せっかく決断したのに、心が揺らぐのを防ぐ為……かな」

    瑞鶴「……なるほどね。確かに、優しくして貰ったら心が揺らぎそう……」

    金剛「響、前よりも強くなったのデスね」

    「私は特に変わったつもりはないけど、そうなのかな?」

    瑞鶴「私もそう思うわ。もしかしたら中将さんに影響されちゃったのかしら?」

    金剛「ナルホド。私もそんな気がしてきまシタ」

    「提督に、か……」

    金剛「どうかしまシタ?」

    「ん。今頃、何をしてるのかなって思ってたんだ」

    瑞鶴「中将さんの事だからねー……。たぶん、いつもと変わらずに海をボーっと眺めてそう」

    「うん。きっとそうしてるよね」

    金剛(……本当にそうでショウか)

    瑞鶴「金剛さんはどう思う?」

    金剛「私、デスか? 私は……エンザイティ……不安デス」

    瑞鶴「不安?」

    金剛「ハイ。どうしてかは分かりまセンが……」

    「…………?」

    金剛(心が少しざわつきマス……。二人は、本当に無事なのデスか……?)

    ……………………
    …………
    ……

    257 = 1 :

    今回はここまでです。またいつか来ますね。

    一、二回の投下どころか、このままだとあと何回の投下になるのやら……。
    やっぱり終わる終わる詐欺になりました。ごめんよ。

    258 :

    おら、ワクワクしてきたぞ

    259 :

    おつおつ
    終わる終わる詐欺、してもいいのよ?

    260 :

    乙です
    相変わらず素晴らしい雰囲気だ…

    261 :

    狂気だね

    待ち遠しいヨ

    262 :

    幸せに……、なってほしいな。
    彼らにとっての幸せでもいいから。

    264 :

    おつおつ
    相変わらず序盤からの落差が胸に痛い

    265 :

    煮込んだ甲斐あってか段々と味がでてきたではないか

    266 :

    これはいけない。

    267 :

    これの登場人物にとっての本当の幸せって何なんだろうな

    268 :

    そんなもんない
    所詮は刹那的なまやかしよ

    269 :



    この惹き込まれる感じは、あなたの作品でしか味わえない

    270 :

    幸せが無い事が幸せみたいな

    271 :

    何でもないような事が 幸せだったと思う

    272 :

    道具がろくに無くても出来るヤバイ系プレイということで
    エロの最中に窒息プレイしてるのかなーとは思ってたけど
    さすがに純粋絞殺プレイだとまでは思ってなかった

    で、提督と利根の狂気が何も知らない3人組にどう襲い掛かるのか楽しみで今から滾るネ

    273 :

    早く最後まで読みたい気持ちと終わって欲しくない気持ちとどっちも強い……
    どうしたら…

    274 :

    読まなければ永遠に終わらないよ…(ゲス顔

    275 :

    利根のSS探してたら昨日これに当たって一気に読み進めてきた。
    今日から皆さんと一緒に待ちます。

    276 :

    ??「────」

    提督(……なんだ? 何か、声が聴こえる…………)

    ??「と────てい──」

    提督(なんだろうな……。少し優しくて……温かい気持ちになる……)

    ??「ていと──て──く」

    金剛『テートク』

    提督「ッ!!」ガバッ

    ゴンッ──!

    提督「いっ……!」

    利根「あたたたたたた……。い、いきなり動くでないぞ……」

    提督「……利根、か?」

    利根「うん……? 我輩がどうかしたのかの……? あいたたた……」スリスリ

    提督「……………………」キョロ

    利根「……うん? どうしたんじゃ?」スリスリ

    提督「金剛は……」

    利根「…………夢でも見ておったのか?」

    提督「夢、だったのか?」

    利根「それは我輩に言われても分からんのう」

    提督「……一応聞いておくが、ここはあの世ではないよな?」

    利根「どうみてもいつもの島じゃろ。ほれ、足も付いておるぞ」ペシペシ

    277 = 1 :

    提督「……そうか。また、失敗したのか」

    利根「そうみたいじゃなぁ……。我輩、いつも頭がクラクラして意識が失うから何がどうして失敗しておるのか分からんのじゃ」

    提督「私もだ。お前の首を絞めていたのは憶えているが、その先がどうしても思い出せん」

    利根「ふむ……またか」

    提督「また、だな」

    利根「今もう一回やってみるかの?」

    提督「いや、止めておこう。むしろ、もうやらないと決めていたのにも関わらずやってしまった事を反省するべきだ」

    利根「……元の我輩達に戻る為に、じゃったよな」

    提督「そうだ。私達は壊れていて普通ではない。普通に戻る為には、この衝動を無くさなければならん」

    利根「……我輩は、今すぐにでも死にたいくらいじゃぞ」

    提督「それは私が許さん」

    利根「むう。首を絞めたのは提督ではないか」

    提督「私もお前も普通に戻れば、また皆と一緒に暮らせるという未来があってもか?」

    利根「……少し迷うが、やはり我輩は死んで三人に詫びたいと思うておる」

    提督「何回でも言うが、許さんぞ」

    利根「……ならば、それなりに発散させてくれぬか。我輩はもう、死にそうにならなければ満足できなくなってしまっておるんじゃぞ」

    提督「どんな方法で発散させてやれば良い」

    利根「前にも言ったように、セックスをするとか」

    提督「だから、なぜ性行為に結び付く」

    利根「どこかで知ったのじゃ。女が絶頂する時は最も死に近い感覚じゃとな」

    提督「どこの眉唾な噂だ。それに、それだったら私が手を貸さなくても構わないだろ」

    278 = 1 :

    利根「いや、一人でやってみた事があると前にも言ったじゃろ」

    提督「腕を揉んでいるのと違いが分からない、だったか」

    利根「うむ。恐らく我輩のやり方が間違っておるのじゃとは思うが、提督は何も教えてくれぬから分からぬままなのじゃ」

    提督「当たり前だ。そういう事は自分で自然と覚えろ」

    利根「じゃから、それが分からぬと言っておるじゃろうに……。あれはやっていてつまらん。……そうじゃ。それだったら、別の方法でも構わぬぞ」

    提督「ほう。何がある」

    利根「殺すつもりでなくとも構わぬ。またこうやって首を絞めてくれぬか」

    提督「断る。手違いで死なれたら、それこそ私は二度と戻れなくなるのが目に見える」

    利根「……ならば、自害するぞ提督」

    提督「禁止だ」

    利根「…………」

    利根「提督よ。我輩、これでも苦しいんじゃぞ」

    提督「……………………」

    利根「あの偵察で瑞鶴の艦載機が全て落とされ、撤退しようとした所で……我輩は直接見ておったのじゃぞ」

    提督「…………」

    利根「…………」

    提督「……まず、一つの魚雷が響を沈めた」

    利根「そうじゃ……。響は我輩達に逃げろと言っておった。…………最後の最後は、お主を呼んでおった」

    提督「次は、瑞鶴が犠牲艦になった……」

    利根「最後の言葉は、今でも鮮明に憶えておる。提督に好意を伝えれなかった事が、心残りじゃったと……」

    提督「…………」

    利根「深海棲艦共の砲撃で……瑞鶴は我輩達の盾となって沈んだ」

    279 = 1 :

    提督「……最後に、金剛が…………」

    利根「…………」

    提督「……………………」

    利根「……金剛は左舷に二本の魚雷と、敵艦載機の集中砲火を受けて、ボロボロの身体で対空砲火しておった」

    提督「…………」

    利根「我輩は金剛から全力で逃げろと言われ、振り向く事なく逃げた……。じゃがの、確かに聴こえたんじゃ」

    金剛『提督、どうか武運長久を──。私、ヴァルハラから見ているね』

    利根「……そう、言っておった。夜が明ける少し前じゃ……」

    提督「…………」

    利根「のう、提督よ。なぜ、我輩が残ってしまったんじゃ」

    提督「……それは、誰にも分からない事だ」

    利根「あの中で一隻だけ助かるのならば、我輩以外の誰かが良かった……。なぜ我輩なのじゃ……なぜ──」

    提督「もう考えるな」ソッ

    利根「じゃが……」

    提督「答えの出ないものは考えなくて構わない。そうだろう?」ポンポン

    利根「…………」

    提督「今夜はもう寝てしまおう。ほら、家に戻るぞ」

    利根「……うむ…………」

    ……………………
    …………
    ……

    280 = 1 :

    提督「…………」ボー

    利根「…………」ボー

    提督「……静かだな」

    利根「そうじゃの……」

    提督「…………」ボー

    利根「…………」ボー

    提督「金剛達が居た時は、なんだかんだで賑やかだったな……」

    利根「……うむ。初めは少し苦しかったが、段々と楽しくなっていたのう」

    提督「そうだな……私も、苦しくもあったが楽しかった……」

    利根「…………」

    提督「辛い、な……」

    利根「うむ……」

    提督「──む」

    利根「どうしたの──む?」

    提督「……遠くで何か見えるな」

    利根「うむ。なんじゃろうか、アレは」

    提督「……少しだけ、嫌な予感がする」

    利根「アレが深海棲艦なのかもしれぬ事かの?」

    提督「どうだろうか。これはただの勘だ。何の根拠も無い」

    利根「ふむ……」

    提督(もっと別の嫌な予感だが……どうなる事か……)

    …………………………………………。

    281 = 1 :

    提督・利根「────────」

    金剛・瑞鶴「…………」

    「数日振りだね」

    提督「お前達……どうしてここに来た」

    金剛「…………」チラ

    瑞鶴「…………」コクン

    金剛「……捨てられちゃいまシタ」

    提督「……どういう事だ」

    瑞鶴「私達ね、ちゃんと提督さんの元に帰ったの。……けど、そこには別の私達が居たのよね」

    利根「じゃが……お主達は錬度が充分にあるのではなかったのか……?」

    「司令官は──あの人は、同じ艦娘を二人以上置かないんだ」

    提督「あの短期間で、お前達よりも錬度よりも高い三人を新しく……か」

    金剛「ザッツライト。その通りデス」

    「それで、轟沈しろって命令が出たから、従う振りをしてここまで逃げてきたんだ」

    利根「沈め……と、命令……が……?」

    金剛(…………? なんだか、利根の様子がおかしいデス)

    瑞鶴「うん……。もう、嫌になっちゃってね」

    利根「くく…………」

    金剛「え……?」

    提督「利根、どうし──」

    利根「あハ……アハハハハ…………」

    282 = 1 :

    瑞鶴「え、え……?」ビクッ

    利根「沈め、と……。羨ましい命令ではないか……」

    金剛「ど、どうしたのデスか?」

    提督「利根、止めろ」

    利根「我輩は……我輩は沈みたいというのに……死にたいというのに、死なせてくれぬのじゃぞ」

    提督「利根」

    利根「ッ! ハハ……ハハハ……! 提督よ、身体を吊るすなど生温い事をせず、首を吊らせても良いんじゃぞ? それならば我輩も確実に死ねるじゃろう……?」

    提督「…………」

    瑞鶴「どう、なってるのこれ……? え……? 利根さん……?」

    利根「のう提督よ。次は手ではなく縄で首を締め上げて吊ってくれぬか? 良いじゃろう? 良い案じゃろう?」

    「これは……」

    提督「少し寝ていろ」ビシッ

    利根「────っぁ……」ガクン

    提督「世話の焼ける……」ソッ

    瑞鶴「あの……頭がすっごい揺れたんだけど……大丈夫なの……?」オドオド

    提督「加減くらいは分かっている。少し気を失った程度だ」

    瑞鶴(それって色々と経験済みって事……?)

    提督「……事情は話す。部屋に戻ろう。外では利根を寝かせられん」スッ

    瑞鶴「うん……」トコトコ

    金剛・「…………」トコトコ

    利根「…………」グッタリ

    瑞鶴「……ねえ、本当に利根さん大丈夫なの? 物凄くグッタリしてるけど……」

    提督「心が疲れ切っていたのかもしれん。……少しは治っていると思っていたのだが、甘かったようだ」

    「…………」タタッ

    ガチャ──

    提督「ありがとう、響」

    「ん。頭、撫でてくれる?」

    提督「利根を寝かせてからな」

    「約束だよ」

    提督「こんな小さな約束で良いのなら」

    「約束」

    提督「約束だ」

    283 = 1 :

    瑞鶴「……懐いてるわね」

    金剛「ええ……」

    提督「……ゆっくり寝ていてくれ、利根」ソッ

    利根「…………」

    「…………」ヂー

    提督「ありがとうな、響」ナデナデ

    「んっ……」

    提督「さて……」

    金剛「……何があったのか、話してくれるデスか?」

    提督「ああ。……だが、一つ頼み事がある」

    瑞鶴「? 何かしら」

    提督「話していく内に、私は私でなくなるかもしれん。その時は遠慮なく殴り倒してくれ。殺しかけても構わん」

    瑞鶴「あの……言っている意味が分からないんだけど……」

    提督「……すまない」

    瑞鶴「えっと……どういう意味なのか、もうちょっと詳しく言って欲しいかも」

    提督「…………これから話す事は、私と利根が壊れた理由だ。それを話していく内に、私も利根のように壊れるかもしれん」

    金剛「だから、殴り倒してでも……デスか」

    提督「そうだ。人間とはいえ、本気で殺しに掛かってくると痛い目を見る。だから、頼む」

    金剛「……分かりまシタ」

    瑞鶴「ええっと……うん。なんとか、頑張るね」

    …………………………………………。

    284 = 1 :

    提督「────これが、私達の過去だ」

    金剛「……私達が原因、デスか」

    提督「ただ不運だっただけだ。誰のせいでも、ない」

    瑞鶴「中将さん、大丈夫……? すっごく辛そう」

    提督「……なんとか、な」

    「無理はしないでね」

    提督「ああ……。少し、横になっても構わないか」ギシッ

    金剛「ハイ。ゆっくり休んで下サイ」

    提督「ふー……」

    金剛(……本当に辛そうデス。汗も出ていマスし、とても我慢していたのが分かりマス……)

    瑞鶴「…………」スッ

    提督「……瑞鶴?」

    瑞鶴「こうやって、手を握っていれば……少しは楽になれるかな、って」ギュゥ

    瑞鶴「私達は、ここに居るから……ね?」

    提督「……ありがとう」

    瑞鶴「ううん。あの時の、せめてのお礼。中将さんは命の恩人だもの」

    提督「そうか……」

    瑞鶴「何かあったら言ってね? 私で出来る事だったら何だってするから」

    瑞鶴『────────』

    提督「ああ……。後で叱らないとな……」

    瑞鶴「え……えぇ……?」

    提督「すまない……少しだけ眠らせてくれ……」

    瑞鶴「えっと、うん。……手、握ったままが良い?」

    提督「出来れば、そうしてくれ……」

    瑞鶴「うん。分かったわ」

    提督「……………………」スゥ

    瑞鶴「……もう寝ちゃった」

    金剛「本当に、無理をしていたのデスね。顔色も良くないデス……」

    「……何の因果があるんだろうね」

    瑞鶴「?」

    「私達は捨てられる運命にあったとしても、提督が私達と同じ艦娘を沈ませてしまうなんて、何かがあるんじゃないかって疑ってしまいそうになるよ」

    金剛「……酷い偶然デス。──デスが、もうそんな気持ちにはさせまセン」

    瑞鶴「うん。どうにかして二人の心の傷を癒してあげたい」

    「賛成だよ。……でも」

    金剛「ええ」

    瑞鶴「今は、静かに眠らせてあげましょうか」

    提督・利根「……………………」

    ……………………
    …………
    ……

    285 = 1 :

    今回はここまでにしておきます。またいつか来ますね。

    どれだけ長引くのか分からない。どうしよう。

    287 :

    乙です
    長引いても一向に構わないのよ?

    288 :

    乙です
    遠慮せずにガンガン長くしてくだち

    289 :

    乙乙

    290 :

    お疲れ様です

    やっぱり、話の展開の上手さは流石としか言えないですね

    291 :

    長くなってもええのよ?

    292 :

    この優しさが薬になるか毒になるか

    293 :

    乙です
    どれだけ長く長くなってくれてもいいのよ…?
    三人に轟沈命令を出したあの提督だけはいつか天罰が下って欲しいものだな

    294 :


    この内容なら仮にBADENDでも構わんな
    出来たらHAPPYENDにして欲しいが

    295 :

    被っても近代化改修に使う派としては轟沈命令を下す提督は残念な人にしか見えんなぁ

    296 :

    エア提督だからゲームのシステムよくわかんないが、なんか引き込まれるねこのSS

    297 :

    実際かぶっても一緒に出撃できないしのう

    298 :

    これは前作や前々作の裏設定(艦娘の出来方や深海棲艦との関係など)は引き継いでいるのかな

    299 :

    高レベル被っても使い道はあるのにな

    300 :

    金剛・響・瑞鶴だろ? 被っても問題ない面子じゃん。
    金剛は改と改二で嫁だし、響はВерと響改で嫁だし、瑞鶴は瑞鶴と改で嫁だし……。
    これくらい普通だよな?


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