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    元スレ忍「隠し事、しちゃってましたね……」 アリス「……シノ」

    SS+覧 / PC版 /
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    1 :

    ※注意事項は、必ずお読み頂くようお願いします。(特に、◎の箇所は強くお願いします)

    ◎本作品は、百合がメインではありません。
     きんいろモザイクに、百合以外何も求めないという方は、読まないほうが良いかと思われます。

    ◎本作品は、きんいろモザイクの、とある最初期設定を草案としています。
     そのため、いわゆる「TSモノ」が苦手な方も、このSSは読んでいられないかもしれません。

    ・作者は、アニメは観ていますが、漫画はまだ読んでいません。
     所々でキャラの口調や呼称がおかしい点があるかと思いますが、その場合はご指摘頂けると幸いです。

    ・所々で地の文が挟まれたり、話がコミカルになったりシリアスになったりするかと思われます。


    以上、4点が大丈夫という方のみ、お読み頂けると幸いです。

    SSWiki :http://ss.vip2ch.com/jmp/1377977875

    2 = 1 :

    「ハロー!」

    「コニーチハー!」


    「ハロー!!」

    「コニーチハー!!」


     この日、イギリスのとある場所で現出した光景は、見た人の胸を打ったという。
     異なった言語を、お互いが送り合い、別れを告げる――
     言語の壁を飛び越えて、彼女たちは互いの心に、確かに近づいたのだ。


    「……シノ」

     去っていく車を熱い視線をもって見送りながら、少女は静かに決意する。


    「――いつか、私も」

    3 = 1 :

    ――二年後


    「忍、忘れ物は大丈夫?」

    「はい、大丈夫ですっ!」ニコッ

    「……行ってらっしゃい」

    「はい、行ってきます!」ガチャッ


    バタン・・・


    「……うーん」

    「どうしたのお母さん?」

    「ああ、勇。いや……なんというか」


    (なるほどね……)

    「――シノなら、大丈夫でしょ」

    「ええ、そうなんだけど、そうなんだけど……!」

    「色々と惜しいな、って……」

    (――それは、ちょっと同感かも)


    ――集合場所


    「……はぁはぁ」

    「ま、まだ誰も来てないみたいですね」

    陽子「遅いぞ、シノー!」ガシッ

    「ひゃぁっ!?」ビクッ


    「よ、陽子ちゃん」

    陽子「うーん……なんというか、あれだ」

    陽子「――やっぱり、そのカッコなんだな」

    「……はい」

    「ま、まぁ……わ、私たちの通う高校は、校則ゆるいことで有名ですし」

    陽子「……『私』?」ピクッ

    「さ、さすがに高校生ですし!」

    陽子「――おおう」クラッ

    陽子(シノの高校生活は……もしかして、私たちにかかっているのか!?)アセアセ


    「なに中途半端に重い表情してるのよ」

    陽子「うわっ、あ、綾!?」ビクッ

    「おはようございます、綾ちゃん」

    「……お、おはようシノ」

    「――ええと、その」

    「に、似合ってる、わね」

    「本当ですか! ありがとうございます!」

    4 = 1 :

    (↓小声)

    陽子「……いいか、綾?」

    「な、なによ?」

    陽子「もしかしたら、私たちは、結構な責任を背負っているのかもしれない……」

    「――わ、分かってるわよ」

    陽子「まず、だ。シノの服装でおかしな所はないか?」

    「……大丈夫じゃない。その――む、胸も」

    陽子「ああ――中学の頃より、明らかにスキルアップしてるな……」

    陽子「と、ともかく、何としてでもフォローするぞ! 友達として!」グッ

    「ええっ!」グッ

    (↑小声)


    「もう、二人で何を内緒話してるんですか?」

    陽子「い、いや、その」

    「……シノ」ガシッ

    「なんですか、綾ちゃん?」

    「わ、私たちも頑張るから!」

    「シ、シノも頑張るのよ!」

    「……ああ」

    「はい。大丈夫ですよ、綾ちゃん」

    「……ふぅ」

    陽子「――ありがとな、綾」

    「べ、別に陽子のためじゃっ……!」

    「二人とも、仲良しさんですねぇ」

    「シ、シノまで!」



    ――高校


    「……とりあえず」

    陽子「三人とも、同じクラスだっていうのは救いだな」

    「ええ」

    「最初の1年間の振る舞いが問われている、と言っても過言ではないんだから……!」ゴゴゴゴ

    陽子「――そう、だな」

    「……ふふっ」ニコニコ


    (私は、本当にいいお友達に囲まれてます)

    (陽子ちゃんと綾ちゃん。この二人と、同じ高校で、同じ時を過ごせるなんて――)

    (それに……)

    「今日は、私のホームステイ先の子もやって来るそうですし」

    陽子「……は?」ピタッ

    「楽しくなりますねー……ふふっ」

    「……はい?」ピタッ

    5 = 1 :

    陽子「ちょ、ちょっと待った!」

    「? どうしたんです、陽子ちゃん?」

    「ど、どうしたもこうしたもないわよっ!」

    「あ、綾ちゃんまで……」

    陽子「なんで、私たちに知らせてくれなかったんだ!」

    「え……昨日、メールで送っておいたはずですけど――あっ」

    「――ごめんなさい、送信失敗したまま寝てしまったみたいです」

    「……あ、あはは」

    「もう、シノらしいわねー」クスクス

    陽子「おい、綾!? なんだその、この場にそぐわない菩薩顔は!?」

    「あら、陽子? もう、そんなに騒いでもしょうがないじゃない……うふふ」ニコニコ

    陽子「あ、綾が壊れた……!」


    烏丸「皆さん、そろそろ教室に入ってくださーい」

    陽子「あ、す、すみません」

    「もう、忍ったら、おバカさん」コツン

    「えへへ、綾ちゃん、つつかないで下さいよー」

    陽子「二人とも、現実は待ってはくれないんだぞ……!」



    ――教室


    (↓ヒソヒソ話)

    (ど、どどどうするの陽子!? こ、このままじゃ――!)アセアセ

    陽子(現実に戻ったら戻ったで、分かりやすいな綾は……)アキレ

    (なんで陽子はそんなに落ち着いてるのよ!?)

    陽子(そのセリフ、そっくりそのまま、さっきの綾に返すぞ!?)


    烏丸「二人共ー? 初日から仲良いのはいいけど、話は聴いてくれると嬉しいな」

    陽子「あ、す、すみません」

    「ご、ごめんなさい」


    (↓さらにトーン下げる)

    陽子(ああ……忍から聞いた感じ、ホームステイ先の子は忍の『あれ』を知らないままだろう)

    (それは、私も同感だわ)

    陽子(そして、そのままここにやって来るということは……だ)

    (――ゴクリ)

    6 = 1 :

    烏丸「さて、初日からですがっ!」

    烏丸「今日は皆さんに、重大な発表がありますっ!」

    「そ、それは?」

    烏丸「な、なんとっ!」


    烏丸「イギリスからはるばる、このクラスに転入生がやって来ましたー!」

    全員「……え、えええええ!?」ザワッ


    子A「な、なぁ、フツー新学期初日から転入生来るか?」

    子B「……ま、まぁ、この学校ユルいからね」

    子A「――そ、それもそうか」

    子B「それでいいのかな……?」


    陽子「くっ、この学校の風紀の緩さがここに来て仇となるとは……」

    「と、ともあれ、もうこうなったら……覚悟を決めるしか!」



    烏丸「それでは! カータレットさーん?」

    アリス「ハイッ!」

    全員「……おお!」



    烏丸「それでは、自己紹介をお願いします!」

    アリス「えと――は、初めまして! アリス・カータレットといいます!」

    全員(……か、可愛い!)


    アリス「イギリスからやって来ました! み、皆さん、よろしくお願いします!」

    全員(……日本語うまっ!)



    アリス「――あっ!」

    陽子「!」

    「!」

    「……!」

    アリス「シ……シノー!」ダッ

    「――ア、アリス!」ダッ

    全員(え、えええっ!?)


    アリス「ずっと――ずっと、会いたかったよー!」ダキッ

    「アリス……私も、会いたかったです」ダキッ

    アリス「シノー!」クルクル

    「アリスー!」クルクル

    7 = 1 :

    陽子「……だ、大丈夫、か?」

    「と、とりあえず」

    陽子「まぁ、クラス内はざわついているけど、それはいいとして」

    「――あの子の様子、大丈夫よね?」






    「……あれ?」


     その時、少女にとある疑念が芽生えた。
     おかしい。何かヘンだ。

     抱きついた時の感覚。
     ずっと会いたかったはずの人に会えたことは、何とも素晴らしい。
     しかし……しかしだ。

     少女は、目の前の光景を見た。
     2年前には平坦とも言えた「そこ」は、歳相応の成長を遂げていた(「自分と比べて、なんて大きい……」という感情は、今は措く)

     やはりヘンだ。
     この「部位」の感覚は……?

    「ねぇ、シノ……?」
    「なんですか、アリス?」


    「――こ、この辺りの感触がなんか」






    陽子「せ、先生!」ガタッ

    烏丸「ひゃっ!?」

    「も、もうそろそろ、HRも終わりの時間です!」ガタッ

    「そ、そろそろ、号令をとった方がよろしいのでは?」

    烏丸「……そ、それも、そうですねぇ」

    烏丸「そ、それでは皆さん、き、起立!」




    ――休み時間


    陽子「……や、やぁ、シノ!」

    「へ、ヘロー、カータレットさん!」

    陽子(綾……焦りのせいか、初対面の人ともこんなにあっさりと――)


    「あ、陽子ちゃん、綾ちゃん!」

    アリス「……ヨーコ? アヤ?」

    陽子「あ、ああ。ええと……な、ないすとぅーみーとぅ?」

    アリス「――Hello! Nice to meet you!」

    陽子「うお!? 完璧な発音!」ビックリ

    8 = 1 :

    「と、ところで、シノ?」

    「なんですか、綾ちゃん?」

    「――こ、このカータレットさんが」

    「はい。ホームステイ先の子です!」

    アリス「シノー!」ダキッ

    「アリス~!」ダキッ

    (――まずい!)

    陽子(抱きついた!)


    アリス「……」

    アリス「えへへ」

    「?」

    アリス「シノ、やっぱり温かいや」

    「……アリスも、お日様みたいに温かいです」

    アリス「シノ――」

    「アリス――」


    「……だ、大丈夫みたいね?」ホッ

    陽子「で、でも、さっきのは?」

    アリス「……ねぇ、シノ?」

    「はい、アリス?」


    アリス「今日、シノのお家、行ってもダイジョウブ?」

    陽子「!」

    「!」

    「……今日、来るんでしたね」

    「ええ。ダイジョウブですよ!」

    アリス「やったー!」

    「わー!」


    陽子「……急展開、ってやつ?」

    「ええ――それも、限りなく危ない、わね」

    二人「…………」

    9 = 1 :

    ――すっとばして下校時刻


    アリス「シノのお家は、どんな所なんだろうなー」

    「アリスが気に入ってくれるといいですけど……」

    アリス「ダイジョウブ! シノの所なら、どこだって幸せだよ!」

    「ア、アリス~!」ダキッ

    アリス「シノ~!」ダキッ


    陽子(――通算・10回目くらいのやり取り)

    (なし崩し的に、私たちも上がらせてもらうことにはなったけど)

    陽子(状況、依然として悪し)

    (一刻の予断も許さないわね……)



    ――大宮家

    「あら、いらっしゃい」

    陽子「勇姉!」

    「あら、陽子ちゃん。こんにちは」

    「……こ、こんにちは」

    「あら、こちらは――」

    陽子「ああ、綾だよ。私たちの友達の」

    「あらあら……初めまして」

    「は、初めまして!」


    (す、凄まじい美人――!)

    (だ、ダメよ綾! こ、ここで押し負けちゃ――!)

    (し、忍のピンチを救うためにも!)

    (……よ、陽子も見てるし!)ジーッ

    陽子(何故、こっちに熱視線を送る、綾……)ビクッ

    10 = 1 :

    アリス「わー、シノのお家、広いねー」

    「ふふっ、アリスのお家の方が大きいですよ」

    アリス「もー、シノってば……」


    陽子(って、おーい!)

    「シ、シノ! な、なんで、アリスまで!」

    「あら? もう挨拶済ませて、入ったわよ?」

    陽子「い、勇姉……アバウトすぎだよ」


    「お母さん出かけてるから」

    「みんな、とりあえずリビングでお茶にでもする?」

    陽子「そ、それいいな!」

    「さ、賛成です!」

    アリス「日本のお茶……飲みたいっ!」ワクワク

    「……」


    「あの、私ちょっと、部屋で支度してから行きますね」

    陽子「!?」

    「!?」

    「……あら、そう」

    「それじゃ、また後でね」

    「はいっ」


    陽子「」

    「」

    「……」

    「――それじゃ、私たちはお茶にしましょうか」

    アリス「お茶!」

    陽子「……」

    「……」

    二人(な、なんてことに……!)



    ――大宮家・リビングルーム


    「どう? 美味しい?」

    アリス「うん、とっても!」

    アリス「イサミ、すごく上手!」

    「ふふ、ありがと」

    陽子「……お、美味しいなー」

    「そ、そうねー、このお茶菓子もまた」

    アリス「……二人共、声震えてない?」

    二人「そ、そんなことは!」

    11 = 1 :

    「……あ、そうだ」

    「アリス。トイレはそこの突き当りだから」

    「お茶飲むと、トイレ近くなっちゃうだろうから……気をつけてね?」

    アリス「――あ」

    アリス「うん。ありがとう」

    陽子「……!」ハッ

    アリス「じゃあ私、ちょっと行ってくるね」ガチャッ

    「行ってらっしゃい」ヒラヒラ


    「――ああ」

    (こ、このままじゃ、もしかしたら――!)

    陽子「……なぁ、勇姉?」

    「ん? どうしたの、陽子ちゃん?」

    陽子「もしかして、だけど」


    陽子「アリスに、きっかけ作ったりした?」


    「!」ハッ

    「……」

    「鋭いわね、陽子ちゃんは」

    陽子「――勇姉、やっぱり」

    「ねぇ、二人共? 綾ちゃんも」

    「は、はいっ」

    「……二人が、シノのために凄く頑張ってくれてるのは、よく知ってる」

    二人「……」

    「でも――」


    「きっと、どこかで……歯車は回らないといけないと思うの」

    陽子「……勇姉」

    「――陽子」

    12 = 1 :



     
     ――私は、一つの「禁」を破ってしまった。
     それは、「日本に来たら、決して嘘はつかない」ということ。

     日本人は、嘘が嫌いだ。
     だから、私はその「禁」を作った、のに――


    「……シノ」


     吸い寄せられるように、脚は階段を昇る。
     一歩、一歩。
     トイレの場所を教えてもらいながら、私がやっていることは――


    「シノ……」

     大好きな人の名前。
     それを何度も何度も紡ぎ出しながら、私は一つの扉の前に立つ。

     疑念は晴れてくれなかった。
     いや、むしろシノが好きだからこそ、その疑念は大きくなっていった。
     教室で、抱きついた時のシノ。
     その時の――感触は。

    「――シノ?」

     コンコン、とノックする。
     本当は、ノックすらしたくなかった。
     すぐに入って……確かめたかった。
     それでも、私の中の理性はそれを押しとどめてくれた。

    「……アリス」

     中から、シノの声がした。

    「――いいですよ。入って、下さい」

     いつもと何ら変わらない、シノの口調。
     シノはどんな表情をしているのだろう……?
     心拍数が上がって仕方がない。

    13 = 1 :




    「……シノ!」

     バタン、と。
     大きな音を立てて、ドアは開いて、


     そして。


     目の前には、ベッド。
     その上にいる、大好きな人。
     会いたくて会いたくて、仕方がなかった人。

     その人は今、私の前で、私と真っ向から視線を交わす。

    「……私、謝らないといけませんね」

     シノは、ちょっと照れくさそうに、そう言った。
     その顔も、愛しかった。

    「――シノ」

     ベッドの上に転がっているのは、何だろう?
     おそらく――「詰め物」だろう。
     それは、多分、きっと……

    「……ね、アリス?」

     さっきからシノは、脱いだ服を上半身に当てている。
     思考が暴走しているせいか、私はそんなことも考えられなかった。
     裸のシノが、目の前にいる。

     それ、なのに――


    「――私のこと、嫌いになっちゃいましたか?」


     ハラリ、と。
     そんな音を立てて、服は静かにベッドの下に落ちる。
     つまり、私の目の前には、上半身裸のシノがいる――

    14 = 1 :




    「……シノ」

     
     目の前の光景に、必死に目の焦点を合わせる。
     春の陽光に照らし出され、シノの身体はとても綺麗だった。
     純白の肌は、陽子や綾と比べても遜色ないくらい……「女の子」らしかった。
     でも、ただ一点。


     胸部の膨らみは、そうそれこそ……
     私よりも、無かった――



    「陽子ちゃんや綾ちゃんは、私のことをすごく頑張ってフォローしてくれました……でも」


     そこで、一呼吸置いて、


    「『ボク』は、アリスに隠し事、したくなかったんです」


     そう言い切った目の前のシノは、どこか儚げで……とても綺麗で。


    「……シノ」




     4月某日。日本でのホームステイ初日。
     天気は晴れ。部屋にはシノと私の二人きり。
     そんな、場所で。
     
     私は、大切な人のことを、知った――

    15 = 1 :

    ここまでになります。
    SS速報では、これがきんいろモザイクの初SSになるんでしょうか?(違ったらごめんなさい……)

    所々、設定が都合よく改変されてます。
    始業式での再会とか、アリスからの手紙を読む下りのカットとか。あと、どこかコミュニケーションに積極的な綾とか。

    きんいろモザイクの初期設定案を見ていたら、創作意欲が湧いてしまい、つい書いてしまった次第です。
    百合が好きというファンの方、ごめんなさい……ただ、綾だけは平常運転(?)だったような。

    それでは、この辺で。
    続きをどう書くか、今思案中です……。

    16 :

    >>15
    きんモザの初SSの「忍「私たちの願い事」」はここで書かれたよ。
    昨日も陽綾のSSが完結したし、今もカレン×久世橋先生のスレがある。

    17 = 1 :

    ――二人が出会って別れるまでに、抱いた想いに嘘はない。

     初めてアリス・カータレットが「少女」と接触した時、アリスはとても臆病だった。
     それが、異国の地で生活する「少女」に、どれだけ不安を与えただろうか。

     しかし、「少女」はそんなアリスの態度に気を害した風もなく、いやむしろ――

    「――アリス! ハロー!」
    「……コ、コニチハ!」

     ホームステイに来た「少女」のその柔らかな物腰に、アリスは心から安心し、大いに交流を楽しんだ。
     それが、アリスの心に、一つの「想い」を生ませる契機となった。


     そして、今。
     アリスは自身の頭の中で、その時の光景がクルクルと回っているような感覚に囚われていた。
     映画フィルムのごとく高スピードで回る、あのイギリスでの日々。

     何故、気付かなかったんだろう。
     あれからたった2年経っただけで、おおよその日本語は修得できたのに。
     そのフィルムの一部だけ、どうして今まで注目しなかったんだろう……?


    「……アリス、イギリスはいい国ですね」

    「――イ、イエス?」

    「はい。『イエス』です!」



    「いつか、アリスも日本に来てくれると、凄く嬉しいです」

    「――ニポン?」

    「……ええ、その時は」


    「その時は、『ボク』がアリスと一緒にいますから……」



     改めて、思い出す。
     この1ページを、自分は都合よく記憶から排除してしまっていたのか……?

     そうだ、今なら分かるはずだ。
     少なくとも一般的な日本人なら、自分のことを「ウチ」とか「私」とか「あたし」とか言うはずなのに――

     「少女」は、「ボク」と呼んだではないか。

     ホームステイで触れ合った時間の中で、アリスが「少女」の一人称を聞いたのは、ほぼ全くなかった。
     触れ合っていく中で「少女」は、少し油断してしまったのかもしれない。
     そう言った後で、ハッと「少女」が口元を抑える光景も、脳内で鮮やかに蘇ったから――

     自分の親はどうだろうか? 父も母も、「少女」のことを知っていたのだろうか?
     今、それを確かめる術はない。
     だから――

    18 = 1 :

    アリス「……勇! お茶!」

    「えー、また飲むの?」

    「アリス、今夜はトイレで寝ることになっちゃうかもよー?」コポコポ

    アリス「そ、そんなことはっ!」アセアセ

    アリス「……ああ、日本茶美味しいですねー」ズズーッ

    「あはは、アリスったら……」


    (――ヤケ飲みにしても、どこかで区切りつけなさいね?)ヒソヒソ

    アリス(……わ、分かってるもん!)ヒソヒソ


    「ふふ、アリスはお茶が大好きですねぇ」

    「私も、本場イギリスの紅茶が飲みたくなっちゃいました……」

    アリス「――シノ」キュッ

    アリス「そ、それなら、たしかお土産があったから!」

    アリス「ね? あ、後で淹れてあげる!」

    「わぁ、ありがとうございます」

    「アリス~!」ダキツキ

    アリス「……あ」

    アリス「――ご、ごめんなさい。わ、私、ちょっとトイレに!」ガタッ

    「――あ」スカッ



    「……ふむ」

    「やっぱり、アリスも――『女の子』ねぇ」

    「――『女の子』ですね」ハァ

    「シノも、心は『女の子』なのにねぇ」

    「……でも」

    「やっぱり、壁ありますよね……」

    「それはまぁ、しょうがないわね」

    「――はぁぁ」タメイキ

    19 = 1 :


    ――廊下


    アリス「……」

    アリス(――さっき)

    アリス(私、シノの抱きつきから逃げちゃった)

    アリス(……シノは、シノは)



    ――『ボク』はアリスに、隠し事、したくなかったんです。


    アリス(……!)カァァ

    アリス(あ、あの時のシノが綺麗だったとか、む、胸を除けば完全に『女の子』だったとか!)

    アリス(そ、そういうことは、今はいいのっ!)ブンブン


    「あら、アリスちゃん? どうしたの?」

    アリス「――わわっ!?」

    「随分と大きく身体を動かしてたような……」

    アリス「ぜ、全然、なんでもないよ!」

    「そう……?」

    「――まぁ、『シノ、シノ』って声はちょっと漏れちゃってたから」

    アリス「」

    「ありがとね、随分とあの子のことを慕ってくれてるみたいで」ニコニコ

    アリス「……だって」

    アリス「シノは、私の大切な――」

    アリス「大切な、人だもん!」


    「……そうね」

    「ところで、アリスちゃん?」

    アリス「な、なに?」

    「……今日から、家に来てくれるのは大歓迎なんだけど」

    アリス「う、うん」


    「――寝床、どうする?」

    アリス「……あ」



    ――夜も更けて


    「……これでよし、と」バサッ

    「こんな感じでいい?」トントン

    アリス「う、うん」

    アリス「――あ、あの」

    アリス「に、日本のお布団、好きだから!」

    「そうなの! それは良かった」

    アリス「――ふふっ」

    20 = 1 :

    「お姉ちゃん、ちょっといいですか?」コンコン

    「あ、シノ。どうぞ」

    「はい……」ガチャッ

    「――あ」

    アリス「シ、シノ」

    「……アリス」


    「お姉ちゃんと一緒に寝るなんて、羨ましいです……」

    アリス「……え?」

    「私も昔は、よく一緒に寝てましたけど」

    「お姉ちゃん、優しいから。きっと、アリスもよくしてもらえますよ」

    アリス「シ、シノ……」

    「ああ、そうだ。お姉ちゃん、ちょっと本を借りてもいいですか?」

    「ええ。大丈夫よ」

    「ありがとうございます!」

    「それじゃ、また」ガチャッ

    「――楽しんで下さいね、アリス」パタン


    アリス「……」

    「さて、シノとの挨拶も済んだところで」

    「私たちも寝ましょうか、アリス?」

    アリス「――」

    「……」


    「――シノ、全然胸ないでしょう?」

    アリス「!?」ハッ

    「パジャマ姿になっても、一見、女の子と変わりないのに」

    「シノったら……」

    アリス「……勇」


    「ねぇ、アリス?」

    アリス「……」

    「たしかに私は、正真正銘の『女の子』よ」

    アリス「……」

    「胸だってちゃんとあるし、髪だって普通に長くしちゃう」

    「たしかに、一緒の部屋で寝るのなら、普通は同性同士で寝るわね」

    「――普通は」

    アリス「……勇」

    21 = 1 :

    「アリス――私は大歓迎よ。あなたがこの家に来てくれたこと、シノとまた会って嬉しがってくれること」

    「そして、この部屋で寝ることだって」

    アリス「……」

    「――でも」


    「敢えて、訊くわ」

    「本当に、それでいいの?」

    アリス「……!」







     ――どうやら、私はアリスに距離を置かれてしまったらしいです。

    「……ふぅ」

     ベッドに寝転がり天井を見つめて、私は今日のことを思い出します。
     高校生活が始まったこと、クラス分けで陽子ちゃんと綾ちゃんと一緒になったこと。
     そして――


     ――シノ~!


     アリスと、再会したこと。

    「そろそろ、寝ましょうか」

     そう独りごちて、私は置きあがりました。
     部屋のドアの近くにある電灯のスイッチを切るために。


    「……アリス」

     それなのに、何故でしょうか。
     ベッドからドアまでのほんの僅かな距離が、酷く遠く感じてしまうのは。
     こんなに、足取りが重いのは。

    「……はぁ」

     おかしいですね。
     「こういう風」になってから、大抵のことは解決してきました。
     それも、大体は陽子ちゃんと綾ちゃんという心強い友達のおかげで。

     ああ、それなのに。

    「――解決、出来るかなぁ」

     この、チクリとする胸の痛みは……。


     さて、ようやくスイッチに辿り着きました。
     これを押して、後はベッドに戻るだけ。
     眠りに入るのが早い私は、明日までの数時間を、そこで過ごします。

     当然、一人で。
     そう、いつも通りです。
     お姉ちゃんと寝ていた頃ならいざ知らず、私だってもう――「お姉さん」です。
     だから……だから。

    22 = 1 :

    「シノ!」

    「――アリス?」

     私は、目をパチクリとさせてしまいました。
     スイッチに指をかけた私は、その姿勢のまま、突然の「闖入者」に呆然の体です。
     そこには、金髪少女がいました。
     もちろん、雑誌の切り抜きの金髪少女とは、一味も二味も違います。

     だって、アリスは――

    「……シノ!」
    「へ?」

     ついついそんな感慨に耽っていると、アリスは私にズイッと近づいてきました。
     すぐ近くに、アリスの顔があります。
     その目はどこか、潤んでいるようにも見えて――

    「――泣いてた、の?」
    「アリス?」

     いやいや、むしろ泣いていたのはアリスでは、と返そうとしたところで気づいてしまいます。
     アリスの目が潤んでいるように見えたのは、もしかすると……

    「……ちょっと、目にゴミが入っただけですよ」
    「嘘。それ、よくある言い訳だって、勉強したもん」

     アリスには、全くごまかしがききません。
     自分の手で目に触れてみれば――ははあ、なるほど。

    「ちょっと、塩辛そうな水ですね」
    「――シノ!」

     私が手で目を擦り、顔を上げると――






     ……私は、何をしているんだろう?
     気づいたら、シノに深く抱きついていた。

     どこか冷静な私の頭は、顔が触れている箇所の平坦っぷりに気づいてしまう。
     そうだ、胸板こそ柔らかいけれど――シノは。

    「ア、アリス……?」

     その声に、ハッとする。
     顔を上げれば、そこにはシノの顔があった。
     2年前より、ちょっとだけ伸びた髪。
     大きな目も優しそうな顔つきも、あの時と全く変わらない。

    「――わ、私は」

     再び抱きつく時、少しためらった。
     そして、そんな自分がちょっと嫌いになりそうになる。

     けれど、今は――


     シノが、泣いてる。


    「……シノと、一緒に、いたい」

     再び抱きついた私は、一つ一つ区切るように、言葉を重ねる。

    「でも、でもですよ」

     するとシノは、いつものほんわかとした口調を少し崩しながら、私に言葉を返す。

    「私、は……私は」


    「――本当の『女の子』じゃ、ありません」


     知っていた。
     そんなことは承知の上で、私はこうしてシノに抱きついている。

    23 = 1 :


    「だから……アリスが嫌、なら」
    「私は、何も――」

     なのに、どうして――
     どうしてシノは、そんなに気を遣うの……!

     大きく息を吸って、私は言う。

    「……勇! 布団、持ってきて!」






    「はいはーい」

    「……お、お姉ちゃん!?」

    「よっ、と――とりあえず、ここに敷いておくわねー」トントン

    アリス「ありがとう、勇」

    「ちょ、ちょっと、お姉ちゃん!?」アセアセ

    「――お母さんにも、一応言ってきたわ」

    「……!」ハッ

    「忍、さっき言ってたよね? 『私はもう、お姉さんだから』って」

    「――」

    「だったら」


    「――ここで一緒に寝て、『何か』起こさないという意志が必要になるの」


    「……」

    「起こす、わけ」

    「ないですっ」

    「――ふむ、よろしい」


    「それじゃ、そろそろ私は行くから」

    アリス「あ、あの、勇……」

    「――アリス」

    「おやすみなさい」ガチャッ

    アリス「――あ」

    アリス「お、おやすみなさい!」

    「ふふ、じゃあねー」パタン

    24 = 1 :

    ――その後

    「そ、それじゃ」

    「電気、消しますね」

    アリス「う、うん」

    「……それじゃ」カチッ

    「おやすみなさい」トコトコ

    アリス「――お、おやすみシノ」


    アリス「……」

    「……」

    アリス「……」

    「……」


    アリス「――シノ、起きてる?」パチッ

    「――私、すぐ寝ちゃうはずなんですけどねぇ」パチッ

    アリス「……眠れそう?」

    「大丈夫ですよー」ニコニコ

    「ただ、今日はちょっと――」


    「アリスが来てくれて、嬉しくなりすぎちゃったみたいです」エヘヘ


    アリス「……」

    アリス「それじゃ、私もシノと一緒にいられて、舞い上がっちゃってるみたい」

    「ふふ、私たちお揃いですね」ニコッ

    アリス「うん、お揃い」ニコッ

    25 = 1 :

    「……」

    アリス「……」

    「――アリス?」

    アリス「な、なぁに?」ピクッ

    「明日、着替える時は、言って下さいね」

    アリス「……!」ハッ

    「私、その時は廊下に出ますから」

    「――もう、アリスも私も、『お姉さん』ですからね」

    アリス「……」

    アリス「本当に」

    アリス「そう、だね」キュッ

    「はい」

    アリス「……シノ、さっきはごめんなさい」

    「へ?」

    アリス「その――リビングで、かわしちゃって」

    「……ああ」

    「大丈夫ですよ、特に怪我とかはありませんでしたし」

    アリス「そ、そういう問題じゃなくて!」ブンブン

    「――それに」


    「さっき、アリスは来てくれました」


    アリス「……」

    「それでもう、大満足です」

    アリス「――シノ」

    「さぁ、そろそろ寝ましょう」

    「――遅刻したら、叱られちゃいますから」

    アリス「……うん」


    アリス「おやすみ、シノ」ニコッ

    「おやすみなさい、アリス」ニコッ



     ――こうして、大宮家の夜は更けてゆく。
     秘密を知った少女と、自らそれを明かした「少女」。
     そんな「少女」の家族や友人等を巻き込んで――


     明日から、学校生活の幕が上がる。



    ――同時刻

    「……」

    「――えと、初めましてデス!」

    「……ふぅ」


    「ニホンゴ、難しいネー」

    26 = 1 :

    ここまでになります。

    陽子や綾の出番は、次に譲るとして、忍とアリスに焦点を当てた話です。
    最後に現れたキャラは果たして……いやもう、隠すつもりは全くありませんが。
    ちなみに、彼女は勉強をしていると思って下さい(描写を入れ忘れました)。

    きんいろモザイクらしからぬ特殊なSSですが、どうぞよろしくおねがいします。



    >>16
    調査不足でした……ご指摘、ありがとうございます。

    27 :

     ~幕間~


     ――帰り道。


     大宮家にて、アリス・カータレットと大宮忍が決定的な状況に直面している時。
     猪熊陽子と小路綾は、帰途についていた。

     二人も残っていたい気持ちはやまやまではあったが、忍の姉である大宮勇に押し切られた格好だ。
     いつものように二人で道を歩きながら、陽子はどこか拍子抜けといった表情を、綾は見るからに焦りの表情を
     それぞれ浮かべていた――



    「――ね、ねぇ、シノ大丈夫かしら?」アセアセ

    陽子「……」

    「わ、私たちが最初に思い描いてた大まかな計画が」

    「なんだか、最初から無かったことになっちゃいそう……」

    陽子「――綾」


    陽子「気づいてないのか知らないけど、さっきからその話題ループしてるぞ?」アキレ

    「……え?」

    陽子「まったく」

    陽子「綾は、本当にシノが心配なんだな」

    「――だって」

    「中学の頃、初めて声をかけてくれた相手だし……」

    「それに、今は友達じゃない。助けるのは当たり前よ」

    陽子「――へぇ」

    (初めて声をかけてくれたのは……今、目の前にいるのもそうなんだけどね)ジーッ

    陽子(おおう、綾の視線がまた――)ビクッ


    「――結局」

    「体よく、追い出されちゃったみたいな感じね」

    陽子「ああ、そうだな……」


    『――だから』

    『今日のところは、もう二人だけにしておいてあげたいんだけど……』

    『二人共、それでいいかな?』



    陽子「――勇姉の考え」

    陽子「間違えて、ないのかな?」

    「……そもそも、私たちが慎重すぎるのかもしれないって思ってきたわ」

    「高校に上がったからって、気合を入れすぎるのも良くないかもしれないし……」

    陽子「ああ――」

    28 = 27 :

    陽子「……ところで、綾?」

    「なによ?」

    陽子「偶然に乗っかって、私たちにも出来ることがありそうだぞ」

    「……どういうこと?」

    陽子「――カラスちゃん!」


    烏丸「あら……うちのクラスの、ええと」

    陽子「猪熊です」

    「こ、小路です」ペコリ

    烏丸「こんにちは、二人共」

    烏丸「今、帰りなの?」

    陽子「ん……」

    「――先生、ちょっといいですか?」

    烏丸「……?」


    陽子「――単刀直入にいくけど」

    「先生……シノ――大宮さんのこと、ご存知ですか?」

    烏丸「――大宮忍さんね」

    二人「……」

    烏丸「知っているわ、あの子のことは」

    烏丸「正直、なかなか信じられないけれど……」

    陽子「だよねぇ……」

    「あれで、『女子』じゃないとか……」

    烏丸「――まぁ、色んな子がいるからね」

    二人(……なんて理解者!)ジーン


    烏丸「でも、ちょっとした悩みはあるの」

    「と、いうと?」

    烏丸「二人は、大宮さんと同じ中学だったのね?」

    陽子「それは、まぁ……」

    烏丸「――直接的な言い方になっちゃうんだけど」

    烏丸「ほら、体育とかトイレとか、水泳とか……」

    二人「」


    烏丸「大宮さんは、どうやってきたのかなー、なんて……」

    烏丸「ば、場合によっては、個人的に彼j……大宮さんとお話しすることも考えてるんだけど」

    29 = 27 :

    「――よ、陽子、お願い」グイグイ

    陽子「い、いや、正直、私だって恥ずかしいよ」グイグイ

    「私は、もっと恥ずかしいわ! だって、じょ、女子だし……」カァァ

    陽子「こ、こんな時だけ女らしさを武器にすんな!」カァァ

    「陽子、適任」グイッ

    陽子「綾、逃げんな」グイッ

    「というより、初めからこういう話をするために先生を呼び止めたんでしょ?」

    陽子「――いやぁ、いざ話すとなると照れちゃってさぁ」エヘヘ

    「ヘタレね」ジトッ

    陽子「綾には言われたくないぞ……?」ジトッ



    烏丸(……二人共、仲良しねぇ)クスッ


    烏丸「まぁ、なんにせよ」

    烏丸「――ほら、意外とこういうのって、上手くいくと思いますし」

    陽子「どういうこと?」

    「で、でも、楽観的にすぎるのは危険じゃあ……?」

    烏丸「――たしかにそうかもしれないけれど」


    烏丸「あまり気を張りすぎると、逆に大宮さんのためにならないかもしれないな、って」

    二人「……!」


    陽子(――もしかして、勇姉は)

    (遠回しに、ちょっと私たちを諌めていた……?)

    烏丸「でも、安心しました」

    烏丸「大宮さんに、こんないいお友達がいるのなら」

    烏丸「――間違いなく、大丈夫だって確信できるから」

    陽子「カ、カラスちゃん……」ジーン

    「せ、先生……」ジーン






    ――その頃


    「……」

    「――ここが」

    「明日から通う、学校デスカー」

    「……」


    「いいコト、いっぱいあるといいですネー」

    30 = 27 :

    その頃の綾と陽子と、烏丸先生の話でした。

    さて、三人の信頼関係が着実に築かれていく一方、校舎の前に佇む少女はどう動くか――
    全く考えていないので、これからじっくり模索していきたいと思います。

    それでは。
    ようやく復活したので、投下させて頂きました。

    31 :

    おつー
    金モザはアニメしかしらないんだけど、没案なんてあったのね
    このシノはGIDなのかな?
    原作没案でも性同一性障害なのか単なる男の娘なのか

    32 :

    >>31
    いわゆる、「男の娘」って感じです。
    ちょっと描写にムラがあるせいで、どうにもシリアスに寄りすぎるきらいがありますが、GIDのような問題を扱う話ではありません。というか、それじゃ重すぎて書いてる方も気が滅入ってしまいそうですし……。







    ――ほら、またこの光景。

     視界いっぱいに広がる、草木の緑。
     ドアの近くに佇み優しい表情を浮かべる、大好きな父と母。
     草原を走り回る愛犬と、それを追う――私たち。


    「……アリスは、お人形さんみたいですね」

     そう、ここでシノがこう言うんだ。
     木陰に背を預けながら、二人で話す一時に。
     包み込むような優しい笑顔で、私に語りかけてくる。

    「ふふ、お人形さんみたいで、とても可愛いです」
    「――シ、シノだって可愛いよっ!」

     シノが私を褒めてくれればくれるほど、私の顔の赤みも増していく。
     だから、私はいつも照れ隠しをするんだ。

    「シノみたいな女の子、なかなかいないよ……」
    「――女の子、ですか」

     何故かここで、シノはいつもどこか複雑そうな表情をする。
     当時の私は、そんなシノはどこか儚げで、より魅力を感じたから気に留めなかったけれど。

    「……わ、私っ!」

     そんなシノを見ていると辛抱たまらなくなって、私は更に言葉を続ける。

    「シノに、また――会いたいからっ!」

     もうすぐ、日本に帰ってしまう、私の大好きなシノに。
     一気に、言葉を畳み掛ける。


    「いつか、日本で――シノと、一緒に……!」



     そこで、記憶は途切れる。
     その時、私はどんな言葉を続けたのか。
     そして、シノは――どんな……

    33 = 32 :

     ――朝

    「――ん」パチッ

    「……」ノビー

    「朝、ですかぁ……」ファァ


    「――はぁ」

    「あ、そうだ」

    「早くしないと、陽子ちゃんたちとの待ち合わせが……」

    「準備しなくちゃ、ですねぇ……」プチプチ

    「……」ゴソゴソ


    アリス(シノ……シノ)

    アリス(日本に来て、シノと会えて)

    アリス(それなのに……それなのに)

    アリス(何か、忘れてるような、気がするんだよ……)


    アリス「――シノっ!」ガバッ

    アリス「……あ」

    アリス(そうか、私、シノのお部屋で……)チラッ

    アリス(――シノ、まだ寝てるのか、な……!!?)ビクッ





     左方向を見て、アリスは瞠目した。
     そこにあったのは、自分の声に驚いてか、少し目をパチパチとさせるシノの姿。
     差し込んでくる朝の光は、そんなシノの肌の白さを一層際立たせる。

     ――不覚にも、アリスは見とれてしまった。
     上半身裸のシノは、まるで和風少女の完成形みたいで。
     ベッドの上に散らばっている様々な「グッズ」も、視界に入りながらアリスはシノの美しさに見惚れてしまっていた。

     そう、だから……シノの姿の「意味」に気づいた時、アリスは余計に恥ずかしさを覚えることになる。





    アリス「……」

    アリス「あわ、あわわ……」

    アリス(シノが、シノが……は、裸で……!)カァァァ

    「あ、アリスー。おはようございますー」ヒラヒラ

    アリス(シ、シノ、まさか寝ぼけてる?)

    「もぅ、アリス遅起きさんですねぇ」

    「私、先に着替えちゃいますよー……」スッ

    アリス(シ、シノが、ズボンに手を――!?」

    34 = 32 :

    アリス「ひっ……」

    アリス「きゃぁぁぁぁ!」ドタタタッ

    「……!」ハッ

    「ア、アリス!? ど、どうしたんですか!?」アセアセ

    アリス「シノの、バカ! バカ!」

    「アリス、一体どうし――あっ」

    「……ま、まさか」


    アリス「もういい! わ、私! 廊下で着替えるからぁ!」ガチャッ

    「ちょ、ちょっと! ろ、廊下って、それじゃあ!」バタン

    「――行っちゃいました」ハァ


    『ちょ、ちょっと、アリス!? な、なにしてるの!』

    アリス『だって、だってシノがぁ……』グスッ

    『シノが……』

    『――なるほど、なんとなく把握したわ』

    『とりあえず、廊下じゃマズいから、私の部屋に来なさい』

    アリス『――うう、勇ぃ』

    『シノ。ちょっと後で、お話しね』


    「あわわ……」

    「――お姉ちゃんと『お話』することに、なっちゃいました」

    「ともあれ」ゴソッ

    「まずは、今日どういう準備をしましょうか……これはここに詰めて、そして――」ブツブツ



    ――集合場所


    「……二人共、おはようございますー」フラフラ

    陽子「お、おお、シノ……」

    「な、なんだか、随分やつれてない?」

    「あ、あはは……」

    アリス「……」ツーン

    陽子「そして、アリスは」

    「『ツーン』って感じね……」


    陽子「――え、昨日」

    「同じ部屋で、寝たの……?」キョトン

    「はい」

    「いや、最初はちょっと……ということで、お姉ちゃんの部屋の予定でした」

    陽子「まぁ、勇姉が適任だよなぁ」

    「――でも、アリスが選んだのよね?」

    アリス「わ、私は、シノと一緒にいたかったわけじゃ――」アセアセ

    アリス「……あることにはあるけど」プイッ

    35 = 32 :

    陽子「おいおい……」

    「アリスったら、さっきからどこか素直じゃないわねぇ」

    アリス「だ、だってだって!」

    アリス「シ、シノが『約束』破るからぁ」カァァ

    「うう……か、勝手に着替えたのは謝ったじゃないですかぁ」

    陽子「……へ?」

    「――ん?」


    アリス「で、でもでも!」

    アリス「シノの裸のせいで、私は朝から大迷惑だよ!」

    「え……私の裸、ダメでしたか?」

    アリス「そ、そういう表情しないでっ!」アセアセ

    アリス「――だって」

    アリス「シノの裸、綺麗すぎて……頭から」

    アリス「じゃなくてっ! わ、私の居る所で着替えないって、シノから言ったんじゃない!」

    「うう……それは謝ります」

    「というわけで、今度からアリスの居る所では裸にならないようにします!」

    アリス「そ、それは当たり前だよお!」ガーン


    陽子「……なんていうか、なぁ」

    「アリスは怒ってるようでいて、顔は別の意味で真っ赤だし」

    陽子「シノも謝ってるようで、アリスの反応を楽しんでそうで」

    二人(いいコンビ、なのかなぁ(なのかしら)?)




    「しかし、実際の所、二人一緒の部屋でなんて大丈夫なのかしら?」

    陽子「そりゃまぁ――普通は、ないだろうけど」

    「まぁ『普通』は、ね」

    「――それじゃ、私と陽子が一緒に寝るのは、普通よね?」チラッ

    陽子「ん? そりゃまぁ、そうなんじゃないのか?」

    「……」



    ――よ、陽子の身体が綺麗過ぎるのが悪いっ!


    ――分かった分かった! これから、綾の前じゃ裸にならないようにするよっ!



    「――!」カァァァ

    陽子「おーい、綾ー? 顔、真っ赤だぞー?」

    「べ、別に、陽子の裸なんてどうでもいいわよ!」

    陽子「いや、なんだよいきなり!? ていうか、恥ずかしいよ!」ビクッ

    36 = 32 :

    ここまでです。

    今回も彼女の登場にはなりませんでしたが、次回辺りには登場するかと。
    もうすぐきんいろモザイクの放送も終わりますね。
    最後まで、楽しみたいものです。

    今後、色々と不自然な展開になりそうですが、それでも付き合っていただければ、と。

    それでは。

    37 :

    おつー、半裸のシノに慌てるアリスかわいい

    確かにGIDを題材に扱うのはちょっと重いかww
    ややシリアスな雰囲気を感じたからそうなのかなーとちょっと思っただけです
    真剣に自分の性と向き合うような真面目な話にもちょっと期待してたけど、気楽なイチャラブも好きなので問題なし!

    38 :

     ――幼い頃に交わした、「約束」。

     それを守るために、私ははるばるこの地に来た。
     元々、パパが日本人だったため、日本へ来る度にどこか懐かしさを覚えたものだ。

     今、私はそんな「第二の故郷」で、とある人物を待ちぶせしている。
     もうそろそろ、見えてくる、はず。

    「……あ」

     来た。
     三人の女子に囲まれ、私の大切な幼なじみが。

     昔、私よりも高かった身長は、今では10㎝超の差がついている。
     ついでに胸も……うーん、あの子の姿はどう見ても「エレメンタリースクール」にピッタリなのに……。

     さて、行こう。
     声をかけて、驚かせてやるんだ。

     と、息を巻いて向かった矢先――


    「そういえば、この辺りで金髪少女見たなぁ……」

    39 = 38 :

    ――朝・いつもの駅前


     忍「そ、それは本当ですか、陽子ちゃん!?」ズイッ

     陽子「シ、シノ、顔近いって……」

     綾「こ、こらシノ! よ、陽子が困ってるでしょ!」アセアセ

     忍「あ、す、すみません……えへへ」

     陽子「ふぅ――全く、シノは金髪少女の話題になると、眼の色が変わるんだから」アキレ

     綾(……陽子の顔、ちょっと照れてる?)チラッ

     綾「よ、陽子のエッチ……」プイッ

     陽子「は?」キョトン


     アリス「金髪少女――」

     アリス(ってことは、私と同じ……)チラッ

     忍「?」キョトン

     アリス(――シノ)

     
     アリス(大宮家のお世話になるようになって、早数日)

     アリス(初日といい初夜といい、とんでもなく驚いたし、正直、まだ戸惑っちゃうけど……)

     アリス(――それでも)


     アリス「シノには、私がいるからね……!」グッ

     忍「ええ、アリスッ!」グッ

     陽子(な、なにやら熱い雰囲気だ……)

     綾(いや、熱いのはアリス一人だけだと思うけどね……)


     陽子「ああ、そうそう。そういえば」

     陽子「この前見た金髪少女も、こんな感じだったなぁ」ポンッ

     陽子「ほら、さらさらした長いロングヘアーに、ユニオンジャックのパーカー!」

     陽子「そして――」

     綾「って、陽子!? いきなり女の子と、ふ、不純よ!」

     忍「陽子ちゃん、知らない女の子捕まえて……」

     陽子「え……い、意外と堪える反応するな、君たち」


     アリス「……あれ、カレン?」

     少「――あっ!」ピクッ

     カレン「アリスー!!」

     アリス「カレン!」

     忍「わぁ、よく見たら、すっごく可愛いです!」

     綾「え、英国少女、よね? そのパーカー的に」

     陽子「……はは、不審者か」ズーン

     綾「陽子――そろそろ立ち直って」

    41 = 38 :

     忍「き、金髪……!」

     忍(アリスとはまた違った感じの……)

     忍(タレ目なアリスと、ツリ目なカレン……あぁ、どっちも捨てがたい……!)ハァハァ

     綾「ね、ねぇ、シノの顔が凄いことに……」

     陽子「ああ――まさに、シノにとっての『ハーレム』なんだろうさ」


     カレン「改めまして! 九条カレンと申すデス!」

     陽子「え、『九条』?」

     綾「ってことは――日本人とのハーフ、かしら?」

     カレン「ハイッ!」

     カレン「遠くイギリスから、アリスを追ってやって来マシタッ!」

     陽子「おお、アリスモテモテだな!」

     忍「き、金髪ぅ……」エヘヘ

     陽子(モ、モテすぎるのも、心配だな……)ハハハ


     陽子「――あれ、その制服?」

     綾「うちの、よね?」

     カレン「ハイ! 今日から、転校シマスッ!」

     二人「えええっ!?」

     綾「ああ……金髪が二人……アリスとカレン」

     アリス「……」

     カレン「――アリス、どーしたデスカ?」

     アリス「べ、別になんでも」

     カレン「フーン……」


     カレン「アリスー!」ダキッ

     アリス「ひゃっ!? カ、カレン!?」

     カレン「フフッ、相変わらずちっこいデース!」

     アリス「む、昔は私のが大きかったよっ!」

     カレン「昔は昔、今は今、デス!」

     アリス「むー……」


     陽子「おお、あれが……」

     綾「英国流の挨拶、かしら?」

     綾「……」

     綾(ということは、国が違ったら――)


     ――陽子、久々のハグ!

     ――おお、綾。久しぶりだなぁ


     綾(なんて、ことにも……)チラチラ

     陽子(最近、綾の様子がおかしいと思うのは、気のせいじゃあるまい――)

    42 = 38 :

    カレン「あっ!」

     忍「ああ、カレン……金髪……」

     カレン「――シノ!」

     忍「え?」

     忍「わ、私の名前、知ってるんですか?」

     カレン「ハイ!」

     カレン「アリスがよく、話してマシタ!」

     忍「わぁ……!」

     カレン「シノー!」ダキッ

     忍「カレンー!」ダキッ


     陽子「!」

     綾「!」

     アリス「……あ!!」








     ……ん?

     この感じは、なんだろう?
     何かがおかしい。

     改めて、シノの胸の中で、彼女の佇まいを思い起こしてみる。
     うん、どこからどうみても女子。そして、和服が似合いそうな、和風美少女。
     ……だったら、なおさら。

     「――シ、シノ?」

    43 = 38 :

     陽子「さ、さぁさぁ二人とも!」

     カレン「!」

     綾「そ、そろそろ学校に行かなきゃ!」

     綾「ち、遅刻しちゃうわよ……!」

     カレン「……」

     カレン「そ、そーデスネッ!」

     カレン「い、いきマショ!」

     アリス「……カレン」


     忍「――やっぱり、ですか」

     アリス「し、シノ?」

     忍「うーん……どうなりますかねぇ?」

     アリス「……」

     アリス(シノ――さっきの緩みきった顔つきとは、全く違う)

     アリス(そういう表情をする必要が……シノにはあったんだろうね)

     アリス(私と、再会したときも――)キュッ

    44 = 38 :

    ――通学路


     カレン「……」

     カレン(何かがおかしいデス)

     カレン(そう、さっきシノとハグしたトキ)

     カレン(――何かが、足りない、ようナ)

     カレン(それこそ、ペッタンコなアリスはおイトイテモ)

     カレン(それとはまた違う、ナニか……)


     陽子「カ、カレンがさっきから考えこんでるな」

     綾「危ない兆候のような気もするけど……」

     陽子「まぁ、綾。勇姉もああ言ってたことだし――」

     綾「ええ……気を張りすぎることはない、わね」


     忍「……」テクテク

     アリス「……」トコトコ

     アリス(さっきから、心なし)

     アリス(シノの表情がシリアスだよぉ……)

     アリス(――カレン、「気づいちゃった」かなぁ?)アセアセ

     忍「……」ジッ


     カレン「……マサカ」

     カレン(まさか、ネ……)

     カレン(――そう、だとシタラ)


     カレン「……なんだか、恥ずかしいデース」

     忍「せ、赤面する金髪少女……!」ハァハァ

     アリス(あ、いつものシノだ……)ホッ

    45 = 38 :

    今回は、ここまで。

    最後のアリスは安心してるけどそれでいいんでしょうかね……?
    今回はカレンとの出会いのお話でした。さて、カレンは果たして……?

    それでは。
    読んでくださる方に心からの感謝を。

    46 :

    そんな、まさか……乙!

    しかし金髪フェチな女装男と文字で表すとなかなかに危ない人に見えてしまうな

    47 :

    ――廊下

    「……」

    うん、やっぱりおかしい。
    さっきの感触は、なんといっても。
    私自身、胸にパッドを当てることに抵抗がないおかげか、さっきのシノとの抱擁には――

     大いに疑問を抱いた、と言わざるをえマセン……!

    「ムゥ……」

     しかも、あの大きさ。
     シノの体格からしたら、もう少し小さくたって――!
     これじゃ、私の自信が、ちょっとなくなりマース……。

    「お、おい、転校生が自分の胸をツツいて物憂げ顔だぞ……?」
    「うーん――何か、彼女にも思う所があるんじゃないかな?」
    「……はぁ。アンタたち、鼻の下伸ばしすぎ」


    「――あ、着きましたネ」



    ――忍のクラス



    カレン「タノモー!」ガラッ

    陽子「おう、カレン」

    「どうしたの、私たちのクラスに用事?」

    カレン「ハイ!」トコトコ

    カレン「ヨーコやアヤヤもいますし!」

    「だ、だから、私は『アヤ』!」

    陽子「いーじゃん、アヤヤ可愛いし」

    「……」ハッ

    「陽子が、そう言うなら」プイッ

    陽子「?」


    カレン「トコロデ」

    カレン「シノは、どこにいますカ?」

    「――アヤヤ、か……うふふ」ニコニコ

    カレン「アヤヤ?」

    「――!」ハッ

    陽子「シノなら、そこの前の方の席にいるんじゃないかなぁ……あ、いたっ」

    カレン「ヨーコ、ありがとデスー!」


    「……」ズーン

    陽子「――おい、『アヤヤ』?」

    「も、もう……」ガタッ

    「『アヤヤ』禁止ー!」ダダダッ

    陽子「ええ……」

    48 = 47 :

    カレン「シノ、こんにちはデス!」

    「――あ、カレン」ニコッ

    アリス「カレン!」

    カレン「アリスも、デスー!」ダキッ

    アリス「ひゃぁ!? か、カレン、くすぐったいよぉ」

    カレン「……」

    アリス「?」

    カレン「――やっぱり」フニフニ

    アリス「え、え?」

    アリス(な、なんで私の胸の方に視線が……?)

    アリス(あ、あと、なんだかほんのちょっとだけ鼻で笑われた、ような……?)ハッ

    カレン「ところで、シノ?」

    アリス(しかもスルー!?)ガーン



    カレン「……」ジーッ

    「? どうしました、カレン?」

    アリス(ああ、今度はシノの胸を――!)

    アリス(カ、カレン! そ、そこは、私の場所――じゃなくてっ!)カァァ


    カレン「――うん、やっぱり」

    カレン「シノ!」ズイッ

    「ひゃっ!? な、なんですか、カレン?」ビクッ

    カレン「……」

    「?」


    カレン(どこからどう見ても、可愛い女の子デス……)

    カレン(こけしのような黒髪も似あってますし、落ち着きもアル)

    カレン(――じゃあ、さっきのは?)


    陽子「よ、よう、カレン」

    カレン「――あ、ヨーコ」

    「そ、そろそろ授業始まっちゃうわよ?」

    「自分のクラス、戻ったほうがいいんじゃない?」

    カレン「……」

    カレン「わかりマシタ。ソレデハッ!」ダダダッ

    陽子「――アリスに続き」

    「――二人目、ね」

    「……カレン、可愛かったですー」エヘヘ

    アリス「……シノ」ムッ

    49 = 47 :

    カレン「シノ、こんにちはデス!」

    「――あ、カレン」ニコッ

    アリス「カレン!」

    カレン「アリスも、デスー!」ダキッ

    アリス「ひゃぁ!? か、カレン、くすぐったいよぉ」

    カレン「……」

    アリス「?」

    カレン「――やっぱり」フニフニ

    アリス「え、え?」

    アリス(な、なんで私の胸の方に視線が……?)

    アリス(あ、あと、なんだかほんのちょっとだけ鼻で笑われた、ような……?)ハッ

    カレン「ところで、シノ?」

    アリス(しかもスルー!?)ガーン



    カレン「……」ジーッ

    「? どうしました、カレン?」

    アリス(ああ、今度はシノの胸を――!)

    アリス(カ、カレン! そ、そこは、私の場所――じゃなくてっ!)カァァ


    カレン「――うん、やっぱり」

    カレン「シノ!」ズイッ

    「ひゃっ!? な、なんですか、カレン?」ビクッ

    カレン「……」

    「?」


    カレン(どこからどう見ても、可愛い女の子デス……)

    カレン(こけしのような黒髪も似あってますし、落ち着きもアル)

    カレン(――じゃあ、さっきのは?)


    陽子「よ、よう、カレン」

    カレン「――あ、ヨーコ」

    「そ、そろそろ授業始まっちゃうわよ?」

    「自分のクラス、戻ったほうがいいんじゃない?」

    カレン「……」

    カレン「わかりマシタ。ソレデハッ!」ダダダッ

    陽子「――アリスに続き」

    「――二人目、ね」

    「……カレン、可愛かったですー」エヘヘ

    アリス「……シノ」ムッ

    50 = 47 :

    >>48 >>49 内容重複。ごめんなさい。

    ――次の休み時間


    アリス「……カ、カレン」

    カレン「OH?」

    カレン「アリス……どうしたデス?」

    アリス「そ、その」

    アリス「――カレンに、お話ししたいことが、あって」

    カレン「……」

    カレン「実は、私も――」

    アリス「カレン――!」

    カレン「そこで、なんデスガ……」


    ――大宮家


    「――はい、カレンちゃん」

    カレン「おおー、ジャパニーズ・ワガシッ!」

    「ふふ、お口に合うといいんだけど……」

    カレン「とってもおいしいデース! Delicious!」グッ

    「良かったよかった」

    「……」

    アリス「シ、シノ?」

    「――アリス」

    「カレンだけ、私の家に誘った、ということは」

    アリス「……う、うん」

    アリス「ま、前に陽子から聞いたんだけど、シノ――まだ、クラスの人たちには」

    「ええ……『中学の頃のような』ことは、まだしていません、ね」

    アリス「――カレンには、早い所」

    「明らかにしておいたほうがいい、ですよねぇ……」

    カレン「二人トモー? 何をコソコソ話してるデスカー?」

    アリス「カ、カレンッ!」

    「――あの、カレン」

    カレン「ンー?」

    「……後で、私の部屋に来て頂けますか?」

    カレン「……」

    カレン「Yes,Of Course!」グッ

    アリス「――シノ、いいんだね?」

    「……何度やっても、慣れませんけど、ね」

    アリス(――シノ、顔赤くしちゃって)

    アリス(わ、私が精一杯フォローしないと、だね!)

    「……ふふ」

    (うーん、私の出番は必要なし、かな?)


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