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    元スレ鳴上「月光館学園?」

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    タグ : - ペルソナ + - 鳴上「月光館学園?」 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    301 = 110 :

    鳴上「映画館以外に特に異常がありそうな場所がないか虱潰しに探してみるのはどうだろう」

    鳴上「……まあ、何処も異常に見える事に違いはないんだけど」

    美鶴「ここにある食料がつきる前にはどうにかしないといけない訳だしな。籠城しっぱなしというのは無理な話……」



    美鶴「……!」

    美鶴「……今、大きなシャドウの気配をこの近くに感じた!」

    美鶴「それに……」

    美鶴「とても微弱だが、シャドウ以外の生命反応を感じる」

    アイギス「どういう事ですか?」

    美鶴「……私達以外に人間がいるかもしれない」

    鳴上「!」

    美鶴「敵か味方か……もしかしたら、この空間に偶然迷い込んでしまった一般人という可能性もある」

    鳴上「外に出てみよう。もし、本当にそれが一般人だったら助けないと……!」

    美鶴「よし。では、急いで出発だ」

    美鶴「現場の指揮は頼んだぞ」

    鳴上「はい」

    美鶴「場所は……長鳴神社の方面だ」

    302 = 110 :

    >……

    長鳴神社周辺


    >道路の真ん中に、今日見た中で一番巨大なシャドウが佇んでいる……


    鳴上「あれか……!」

    コロマル「グルルル、ワンッ!」


    >コロマルが今にもそのシャドウに向かっていきそうなほど興奮している。


    美鶴「まずい……そのシャドウの中に人の気配を感じる!」

    美鶴「取りこまれてしまっているようだ……!」

    メティス「シャドウ討伐と人命救助の両方を達成しないといけないという訳ですね……」

    アイギス「でも、あのシャドウ……」

    アイギス「街中にいた小さなシャドウと同じように、今は敵意というものが感じられない。こうして、目の前に私達がいるのに」


    303 = 110 :

    >大きなシャドウは、アイギスの言うようにただゆらりと佇むだけで、こちらに攻撃をしかけてくる様子もない。


    美鶴「解析してみよう。その間、時間稼ぎを頼む」

    鳴上「了解しました」

    天田「あっ……!?」


    >シャドウに動きが見えた――

    >だが、それは鳴上達に危害を加える為ではなく、彼らから逃げるように離れていこうとしているのだった。


    鳴上「っ、この……待て!」

    鳴上(俺達から逃げるって事は、見かけ倒しなだけでそれ程強い敵でもないって事か?)


    >しかし、あのシャドウの中には人間がいる。

    >今ここで逃がす訳にはいかない。

    >みんなを連れてシャドウを追いかけた――

    304 = 110 :

    鳴上「来い、イザナギ!」


    >逃げるシャドウへと攻撃を喰らわせようとペルソナを召喚する。

    >だが……

    >それとほぼ同時に、鳴上達はどこから発生したのか解らない大きな光に包まれていた――


    鳴上「っ――」





    鳴上「……っ!?」


    >眩んだ目を再び開いた次の瞬間、鳴上の視界に入ってきたのは……




    >巨大なスクリーンだった。


    305 = 110 :

    鳴上「は……?」

    >気付くと何故か鳴上と仲間達は全員が映画館の座席に座っていたのだ……

    >目の前にあるスクリーンはそれまで映写機が回っていたようだが、その動きが止まると同時に幕がゆっくりと閉じていき――

    >そしてまた、何か強い力に引っ張られて放りだされるような感覚を味わった。


    鳴上「っ!!」


    >……すべて、一瞬だった。

    >鳴上達はまた外に出たのだったが、そこは大型のシャドウを発見した神社の周辺ではなく、映画館の前に投げ出されていたのだ。


    天田「っ、さっきから一体なんなんだよ……」

    アイギス「……また映画館のある場所に戻されてしまったのですか?」

    メティス「! あの映画館、今はもう照明は消えてるしシャッターも閉じ切っていますよ」

    美鶴「……まるでここでは何もなかったような雰囲気だな」

    鳴上「っ……」


    306 = 110 :

    >もしかしてと思い、携帯の画面を急いで確認してみた。

    >……さっきまで狂ってしまっていた日付と時刻が、今はそこにしっかりと映っている。


    鳴上「4月15日、日曜日、02:03……」

    鳴上「俺達、戻ってこれたのか……!?」

    美鶴「……」

    美鶴「街中に感じていたシャドウの気配もすっかりなくなっている」

    美鶴「ここはちゃんとした現実世界のようだな」

    天田「良かった! 僕達帰ってきたんですね!」

    メティス「でも、何故突然……?」

    鳴上「わからない、でも」

    鳴上「みんな無事で良かった……」

    アイギス「……」


    >閉じ込められてしまったと思った劇場の中の世界から帰還出来た事に、安堵を覚えると同時に気が抜けた事で疲労を一気に感じる……


    美鶴「……ここではもう敵に脅かされる事はない。気になる事はまだあるが、今は戻ろう」


    >疲れきった体をひきずるようにして、寮へと戻った……


    307 = 110 :

    学生寮


    >寮の扉は、修理してあるどころか壊れている様子も見られなかった。

    >さっきまで体験していた事も目で見たものも全て、別の世界の出来事で間違いない事がはっきりした……


    美鶴「みんな、くたびれただろう。今日はもう部屋で休むといい」

    美鶴「私も少し頭の中を整理したい……。明日の朝、ラウンジに集合してその時話をまとめよう」


    >美鶴の言葉を聞いて。メンバーは解散し各々の部屋へと足を運んでいった。


    メティス「鳴上さん」

    鳴上「……ん?」

    メティス「……あの、さっきはありがとうございました」

    鳴上「え?」

    メティス「映画館での事です。変な場所に引っ張られる前に、私を助けてくれようとしましたよね?」

    メティス「……迂闊でした。私が扉から一番近くにいたのに、即座に反応出来なかったなんて」

    メティス「そうすれば、みなさんをあんな危険な場所へ行かせる事もなかったのに……」


    308 = 110 :

    >メティスは俯いてしまっている。


    鳴上「いや、気にする事ないよ。あんな場所が存在する事も、そこにシャドウがいる事も解った訳だし」

    鳴上「どのみちあの場所に用はあった訳だ。むしろ、早く気付けてよかった」

    メティス「そうですか……?」

    鳴上「ああ。……それに、またあの世界には行く事になると思う」

    鳴上「いや、行かなきゃいけないんだ」

    鳴上「その話もまたまとめて明日にしよう。メティスもシャドウと初めて戦って今日は疲れただろ?」

    メティス「そんな、私は疲労だなんて……」

    鳴上「メティスの力、これからも期待してるよ。……おやすみ」

    メティス「……。はい、おやすみなさい」


    >劇場の中の世界という新たな未知の場所。

    >そこに住まうシャドウの存在。

    >それらの意味するものを、知らなくてはならない

    >だが、今は疲労しきって頭が回らない……

    >明日、クマにも相談すれば、何かが少しでも解るだろうか

    >……

    >部屋に戻ってすぐに休む事にした。


    309 = 110 :

    終わりです。

    また次回!

    310 :

    お疲れ! 毎回楽しみに待ってるよ!!

    313 :


    続きがめっちゃ気になる

    314 :

    連日の投下おつ。
    毎回楽しみにしてる!

    315 :

    どうも>>1です
    本日分投下の前に前回投下分の一部に修正があります

    >>306のところに誤りがありました
    正しくは以下の文になります


    ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


    >もしかしてと思い、携帯の画面を急いで確認してみた。

    >……さっきまで狂ってしまっていた日付と時刻が、今はそこにしっかりと映っている。


    鳴上「4月15日、日曜日、02:08……」

    鳴上「俺達、戻ってこれたのか……!?」

    美鶴「……」

    美鶴「街中に感じていたシャドウの気配もすっかりなくなっている」

    美鶴「ここはちゃんとした現実世界のようだな」

    天田「良かった! 僕達帰ってきたんですね!」

    メティス「でも、何故突然……?」

    鳴上「わからない、でも」

    鳴上「みんな無事で良かった……」

    アイギス「……」


    >閉じ込められてしまったと思った劇場の中の世界から帰還出来た事に、安堵を覚えると同時に気が抜けた事で疲労を一気に感じる……


    美鶴「……ここではもう敵に脅かされる事はない。気になる事はまだあるが、今は戻ろう」


    >疲れきった体をひきずるようにして、寮へと戻った……


    ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


    では、続きいきます

    316 = 110 :

    04/15(日) 晴れ 自室

    【朝】


    >カーテンの隙間から差し込む陽の光で目を覚ました。

    >今日は学校が休みだ。

    >……それは解りきっていた事ではあったのだが、携帯の画面を改めて確認してしまう。

    >画面には正常に日付と曜日と時刻が表示されていた。

    >眠っている間に、また別世界へと迷い込んでしまうような事がなくてほっとした……

    >ラウンジへ行く前に、クマに電話して事情を説明しよう。

    >……


    クマ『……ふむふむ。それじゃあ、今センセーはテレビの中には入れないけど、代わりにスクリーンの中の世界に入れるようになったって事クマ?』

    鳴上「ああ。状況から考えて、昨日起こったのはそういう事だったんだと思う」

    クマ『センセーが無事に帰ってこれてよかったクマ……』

    クマ『それにしても……今の話を聞いた限りだと、センセーの入った世界とクマのいる世界は似ているけど全然違う場所に感じるクマ』

    鳴上「なんだって?」

    317 = 110 :

    クマ『出入り口になってるものがそもそも違うからだと思うんだけど……』

    クマ『クマの世界は少なくともヨースケ達が住んでいる場所では時間に関係なくテレビさえあれば自由に出入り出来るクマ』

    クマ『でも、センセーが昨日映画館から迷い込んだ場所は、たぶん特定の条件を満たさないと出入りが出来ない所なんじゃないかクマ?』

    クマ『それに霧も出ていなかったんでしょ?』

    鳴上「そう言われてみれば、あの眼鏡がなくても周りは見えてたな……」

    クマ『入った時はともかく、どうして勝手に元の世界に帰ってきたのかもよく解らないクマ』

    クマ『そんな場所だし、たぶんジュネスのテレビから入ってもその世界にいるセンセーのところに辿り着く事は出来ないと思うクマ……』

    鳴上「……」

    クマ『オヨヨ……ごめんね、センセー。クマは役立たずのクマクマ……』

    鳴上「いや、気にするな。こっちこそ色々無理言って悪かったな」

    クマ『うん……』

    クマ『でもね、センセー! まだ今日はスペシャルサプライズがあるクマよ!』

    鳴上「スペシャルサプライズ?」

    クマ『ムフフ、きっとすぐにわかると思うクマー』

    鳴上「?」


    318 = 110 :

    >……

    >一度、クマとの通話を終了して、一階に降りる事にした。


    学生寮 ラウンジ

    >続々とメンバーが集合する。

    >全員が揃ったところで、クマと先程と話した内容を伝えた。


    美鶴「薄々感じてはいたが、やはりあの世界はテレビの中のものとは別物なのか……」

    アイギス「鳴上さんの稲羽市にいるお仲間から協力を得る事は難しくなってしまった訳ですね」

    鳴上「ああ……」

    天田「不気味な場所でしたね、あそこ」

    天田「影時間の時とはまた違う嫌な感じがしました……」

    コロマル「グルル……」

    鳴上「コロマルのやつ、昨日からずっとこんな調子のままだな」

    天田「多分、大型シャドウがいたのが神社の近くだったせいもあるんじゃないかな」

    メティス「……はい。コロマルさんはその事を凄く気にしているようです」

    メティス「現実世界の事でないとは言え、神社の安否を確かめたいみたいですね」

    319 = 110 :

    鳴上「どういう事だ?」

    鳴上(というか、メティスは犬の言葉が解るのか?)

    天田「あの神社の神主さんがコロマルの元飼い主だったんですよ。今はもう、亡くなっているんですが」

    鳴上「そっか。コロマルにとって大切な場所なんだな」


    >コロマルの頭をそっと撫でてやった。

    >そのおかげかコロマルは少し落ち着きを取り戻したようだ。


    鳴上「あの大型シャドウは確かに無視出来ない存在だ」

    鳴上「……俺達はこうして帰ってこれたけど、シャドウに飲まれている人は一緒じゃなかったんだ」

    美鶴「シャドウに囚われたまま、あの世界に今もまだとり残されていると考えて間違いはないだろうな」

    鳴上「早く助けないと……」

    天田「でも、またあの世界に行ったとして、昨夜みたいにまたすぐに帰ってこれる保証はないんですよね?」

    アイギス「無事に出入りする方法がきちんと解らなければ探索する事は不可能……こちらにとっても命取りになってしまいます」

    320 = 110 :

    美鶴「……それにについてなんだが、私なりに少し考えてみた事がある」

    美鶴「鳴上の話にも出ていたが、あの世界は特定の条件が揃った時に入る事も出る事も可能なのだと私も思う」

    美鶴「ではその具体的な条件とはなにか……」

    美鶴「まず考えられる必須条件として、現在閉鎖されている筈の4番の劇場へ行ける事がひとつ」

    美鶴「どうすれば行けるのかという点が不明瞭ではあるが、昨夜はあの場所が閉館した後日付が変わった瞬間にまた映画館に入れるようになっていたな……」

    美鶴「そして、次に鍵を握っているのが……おそらく、4番の劇場の上映プログラムの内容だ」

    天田「あれ、いきなり現れましたからね。どう考えても怪しいですけど……」

    美鶴「上映開始時刻が0:15で、上映時間は113分。確かそう記憶してる」

    美鶴「ところで……私達は何時頃にあの劇場に吸い込まれたのだろう? あの時、誰か時間を確認していた者はいるか?」


    >鳴上を含める一同は首を横に振る。


    美鶴「私もはっきりと確認はしていない。だが体感的に、あの映画館の中に入ってから15分ほどしたくらいだったと思う」

    鳴上「15分……?」

    鳴上「日付が変わってすぐにあの中に入った訳だから……」

    アイギス「……0:15、あの上映開始時刻の告知と一致する時間ですね」

    メティス「なるほど、そういう事ですか……」

    321 = 110 :

    美鶴「そして私達は、あの世界に閉じ込められた。だがある時間が経って、気付いた時には元の世界に帰ってきていた……いや、あの世界から追い出されたと言った方が正しいのかもしれない」

    天田「追い出された?」

    鳴上「こちら側に戻ってきたのは深夜の2時過ぎ……」

    鳴上「じゃあ、もしかして、あそこに書かれていた上映時間が意味してる事って」

    美鶴「あの世界で動ける制限時間……なのだろうな」

    美鶴「それまでは一度中に入ってしまうと出る事は出来ないが、113分を迎えれば外に出されてしまう訳だ」

    アイギス「ならば、もう一人あの世界にいたと思われる人物が帰ってこれなかったのは、シャドウに飲み込まれていたせいでしょうか」

    鳴上「そういうカラクリか……」

    美鶴「今述べた事を確証だと判断するにはもう一度あの世界に入ってみる必要があるが、これで概ね間違ってはいないと思う」

    メティス「まだ他に気になる事を上げるとすれば……」

    メティス「昼間、普通の営業時間での4番の劇場はどうなっているのか……という事ですね」

    322 = 110 :

    美鶴「そうだな。天田の言っていた事が正しいのなら、改装工事で閉鎖されている筈だが」

    美鶴「一度どうなっているのか確認しに出向いた方が良いかもしれない」

    鳴上「今日は日曜日だから結構人がいそうですけどね」

    美鶴「ふむ、ならば最後の上映時刻を見計らって行ってみようか」

    天田「でも、映画を見る訳でもないのにしかも大人数で映画館の中に入るのって凄く怪しくないですか? コロマルは絶対無理だろうし……」

    コロマル「クゥーン……」

    美鶴「なに、その辺の事はこちらでどうとでもなるさ」

    鳴上(桐条グループの力でって事か? おそろしい……)

    美鶴「……では、一度解散にしよう。それまでは各自自由に過ごしていてくれて構わないぞ」


    >そう美鶴から号令がかかった時、寮の外から誰かがやってくる気配を感じた。


    「失礼しまーす」

    美鶴「……? この寮に外部からの客人とは珍しいな」


    323 = 110 :

    >どうやら美鶴に心当たりは無いらしい。

    >サングラスに帽子を被った少女が入ってきたのだが、……その背格好と声は鳴上の記憶にあるものだった。


    鳴上「えっ、まさか……」

    「! 悠先輩!」

    鳴上「りせ!?」


    >サングラスと帽子を取った少女は、まさしくりせ本人だった。


    りせ「先輩、久し振り~!」

    鳴上「なんでりせがここに……!?」

    りせ「あれ? クマから聞いてない?」

    りせ「お仕事でこの近くまで来てたんだよ」

    りせ「本当は今日の朝帰る予定だったんだけど、その前に先輩に会いたくなって来ちゃった♪」

    鳴上(スペシャルサプライズってこの事だったのか……、って)

    324 = 110 :

    鳴上「仕事……?」

    鳴上「そうか、春から芸能界復帰するって話だったもんな」

    りせ「うん!」

    りせ「……っていうのが半分の理由」

    りせ「もう半分の理由は、先輩の手助けの為に来たの」

    鳴上「!」

    りせ「本当は悠先輩と一緒にテレビの中に入って、クマ達をこっちへ誘導する役って事だったんだけど……さっき電話でクマから聞いたよ」

    りせ「……映画の中の世界。訳のわからない場所だって」

    りせ「私も一緒に行って中の様子の解析を手伝う」

    鳴上「りせ……でも、」

    りせ「危険だから行かせたくないとか、そんな今更な事言うのはなしだよ? 心配してくれるのは嬉しいけどね」

    りせ「先輩の力になりたいの」

    325 = 110 :

    りせ「最初、花村先輩から話を聞いた時みんな悔しがってたよ……なんで、先輩のもとで一緒に戦えないのかって」

    りせ「だから、今日は私がみんなの代表。でも、私も明日には帰らなきゃならない……今日しかチャンスがないの」

    りせ「お願い先輩。私も連れていって」

    鳴上「……ありがとう、りせ」

    美鶴「鳴上。そちらは……?」

    天田「もしかして、久慈川りせじゃないですか!? アイドルと知り合いなんて顔が広いんですね」

    アイギス「今の話から察するに、鳴上さんの稲羽市のお仲間のひとりですか?」

    鳴上「ああ。紹介するよ」


    >みんなに、りせの事を紹介した。


    美鶴「私と同じアナライズ能力を持つペルソナ使いか」

    りせ「はい。一人より二人で解析した方がきっと色々解る事があると思います」

    美鶴「そうか……ありがとう。是非とも協力をお願いしたい」

    りせ「任せてください」

    美鶴「時間になるまでここにいるといい。鳴上とも積もる話があるだろう」

    美鶴「では、私はスムーズに映画館に入れるよう、準備をしてくる」


    >美鶴を見送り、りせを含めて仲間と共にラウンジで話をしたりしながら時を過ごした……


    326 = 110 :

    【夜】


    辰巳ポートアイランド駅前広場


    >まだ営業中の映画館が目の前に見える。


    美鶴「まずは、営業時間内の劇場の様子の調査だな」

    美鶴「今はもう、本日最後のプログラム上映の最中だ。殆どの人間は他の劇場内にいるだろうからそのうちに確認してしまおう」

    天田「コロマルはここでちょっと待ってろよ」

    コロマル「ワンッ」


    >美鶴の計らいのおかげか、入場料を払う事もなくすんなりと館内に入る事が出来た。


    4番劇場前


    >昨夜と同じ映画館の奥までやってきた。

    >しかし4番の劇場は、昨夜見た時とはまるで違い、立ち入り禁止の柵と扉を覆うブルーシートに阻まれ先へ進む事もままならない……

    >どう見ても、ここでは映画を上映しているような雰囲気は無かった。


    327 = 110 :

    美鶴「ここの責任者に確認したのだが、やはり今4番の劇場はこれから改装工事を予定している為、随分と前から閉鎖しているようだ」

    美鶴「他の劇場の工事はもう終わったのだが、ここだけ作業が滞っているらしい」

    鳴上「りせ、これを」


    >りせに自分の召喚器を貸した。


    りせ「へえ、これを使うとこんな場所でもペルソナが呼べちゃうんだ」

    りせ「――じゃあ、いくよ」


    >りせはカンゼオンを呼び、中の様子を探っている……


    りせ「……うん、今は変わった様子はないよ。至って普通の場所みたい」

    美鶴「私にも異常は感じられないな」

    メティス「営業時間内は平気だとみて大丈夫そうですね」

    天田「良かった。人が沢山集まる時間帯にあんな事が起きてたら一溜まりもないですよ」

    鳴上「じゃあ今度は、また日付が変わる頃を待つしかないか……」


    >一度映画館の外に出て、昨夜と同じ状況になるまで待機する事になった。



    328 = 110 :

    【深夜】


    >時刻は今日を終えるまであと一分を切った。


    アイギス「そろそろですね」

    鳴上「ああ……」


    >携帯の画面を確認し、時間が変わる瞬間を待つ……

    >……

    >時計の数字が、23:59から0:00と変わった。

    >……その瞬間、やはり昨夜のように営業を終了して人もいなくなっている筈の映画館に、鈍い照明がついた――!

    >閉ざされていた筈のシャッターは消えて、入口が開かれていく……


    りせ「うそ、なにこれ……!」

    美鶴「やはり、この時間にならないと入れない訳か」

    鳴上「……行こう」


    >招きを受けて、再び館内へと足を運んだ。


    329 = 110 :

    スクリーンショット 館内 4番劇場前


    >数時間前は塞がれていた筈のその場所は、立ち入り禁止の柵もブルーシートも綺麗になくなっていた。

    >上映プログラムもきちんと告知されている。


    アイギス「内容は昨日と変わっていないようですね」

    りせ「! この中から変な気配がする」

    コロマル「ガルルル……」

    美鶴「この状況もまったく同じだな」

    鳴上「……この扉、普通に開くぞ」


    >扉を引くと確かに手ごたえを感じる……


    メティス「上映開始時刻と告知されている0:15まで数分時間がありますが……」

    美鶴「予測が正しければ、その時間まではこの中に入っていても何も起こらない筈だ」

    鳴上「……」

    鳴上「……行くか」


    >中の様子に十分に注意を払いながら、重い劇場の扉をゆっくりと開いた……


    330 = 110 :

    >……

    >劇場の中は館内よりもさらに薄暗い。

    >一番前にあるスクリーンにはまだ幕が下りていた。


    りせ「変な気配、あのスクリーンのところからしてる……本当にこれが入口なんだ」

    鳴上「……時間だ」


    >手に持ちずっと気にしていた携帯の画面は0:15を表示した。

    >そして、幕が上がっていく――

    >映写機が回り、スクリーンに映った光が徐々に大きくなっていくき……

    >それが闇へと変貌すると、強風が起こりこの場にいる全員をスクリーンの中へと吸いこんだ。


    >……


    バタン――


    鳴上「っ……」


    >扉の閉まる音が聞こえると、そこは劇場内ではなくその扉の前に移動していた。


    331 = 110 :

    りせ「っ……いったあーい!」

    鳴上「大丈夫か、りせ」

    りせ「ありがと、先輩……」

    りせ「……さっきと同じ場所に見えるけど……本当に、映画の中の世界に来ちゃったんだね」

    りせ「周りの空気が、さっきの変な気配と一緒だもん。なのに、この扉の向こうからはその気配は消えた……」

    天田「扉、やっぱり今はがっちり閉まっちゃってますね。押しても引いても動かない」

    鳴上「携帯の時刻も……狂ってるな」

    美鶴「ここにいる間は経過時間がわからないのが痛いな……」

    メティス「それは大丈夫です。ここに来てすぐに、私に内蔵されているタイマーを作動させました。今はもう2分ほど時間の経過が確認出来ます」

    りせ「……昼間、話では聞いたけど本当にロボットなんだね」

    美鶴「……よし、それではこれからの行動だが」

    コロマル「ワンッ!ワンッ!」

    鳴上「っと、そうか……コロマルは神社の様子が気になるんだよな」

    コロマル「ワンッ!」

    美鶴「もしかしたらまたその辺りにあのシャドウが現れるかもしれないしな」

    鳴上「長鳴神社まで行こう」


    332 = 110 :

    >……

    長鳴神社

    >途中何度かシャドウを倒しつつ、目的地まで辿りついた。


    りせ「それにしてもここのシャドウ、本当に大人しいのが多い……昨日もこんな感じだったの?」

    鳴上「ああ。まったく抵抗されないと、なんだかこっちが悪者みたいな気分だな……」

    メティス「そんな事はありません。やつらは存在しているだけで脅威です」

    メティス「あの大型シャドウも早く見つけて倒さないといけない……そうでしょう?」

    鳴上「……。そうだったな」

    コロマル「ワンッ」

    アイギス「コロマルさんと神社の中を見回ってきましたが、特に荒らされている様子もないようです」

    鳴上「よかったな、コロマル」

    コロマル「ワンッ!」

    >……


    >その後、みんなで話合った結果、今夜はこのまま神社で待機して大きなシャドウの反応をりせと美鶴に探して貰う事になった。


    333 = 110 :

    りせ「……うーん。なかなかそれっぽい反応が見当たらない」

    美鶴「同じくだ。まさか、昨日ここで私達に遭遇したのを学習して、別の場所に隠れてしまったのか……?」

    りせ「街の中をうろついてるシャドウはどれも小さいのばかりだし、目立つ動きもなくてただその辺をふらふらしてるだけみたい」

    鳴上「まいったな……」

    メティス「ここに来てからの時間も110分を超えました」

    アイギス「もうすぐ今日のタイムリミットだと思われる時間ね……」

    りせ「……」

    りせ「ごめんね、先輩。私ってば結局何の役にも立たなかったみたい……」

    りせ「街中を出来る限り解析してみたけど、手掛かりになりそうな事は何も掴めなかった」

    鳴上「……いいんだ。りせはよくやってくれたよ。明日からは俺達がなんとかする」

    りせ「先輩……」

    りせ「無理しないでね」

    鳴上「……」

    メティス「113分、経ちました」


    334 = 110 :

    >……





    >……光に包まれ、一同は映画館の外に戻されていた。


    美鶴「……あの世界での一日の探索時間には限りがあるという事がこれではっきりしたな」

    鳴上「あの広い範囲を一日二時間足らずで探索しないといけないんだな……」

    天田「でも、これから少しずつやっていくしかないんですね」

    アイギス「まずは大型シャドウの発見と討伐を優先しましょう。あれがもしかしたらあそこの主なのかもしれません」

    メティス「私も姉さんの意見に賛成です。他のシャドウはいまのところは大人しそうですから、あれを探すついでに狩っていけばいい話だと思います」

    りせ「あそこら一帯に出ていたシャドウ、氷結系の技を使うのや耐性あるやつが多かったみたい」

    りせ「雪の女王っていうあの映画のタイトルと何か関係あるのかな……?」

    鳴上(雪の女王、か……)



    335 = 110 :

    美鶴「……今日もみんなご苦労だった。特に君には凄く助けて貰ったよ……遅くまで付き合わせてしまって悪かった」

    りせ「いいえ。私は何も……」

    美鶴「こんな時間にこれ以上女子を、しかもアイドルを出歩かせる訳にはいかないな。今日はこのまま学生寮に泊まっていってくれ」

    りせ「わあ、ありがとうございます」

    鳴上「礼を言うのはこっちの方だ。本当にありがとう、りせ」



    鳴上「……それじゃあ帰ろう、みんな」


    >ほんの僅かな事だがあの世界の事を少し知る事が出来た。

    >本格的な探索は明日から始められるだろう……

    >……今夜はこれで休む事になった。


    336 = 110 :

    いつも見てくれてるみなさんありがとう。

    今日はこれで終わります。

    また次回!

    337 :

    初代ペルソナのホラーなふいんきで良い感じです

    338 :

    毎日楽しみにしてる

    339 :

    乙乙!
    このSSは毎日の楽しみだ…

    340 :

    りせちーキターー

    342 :

    おつんつん

    344 :

    04/16(月)晴れ 自室


    【朝】


    >外は良い天気で暖かい。

    >……だが、少し体がだるいような気がする。

    >連日映画の中の世界へと行っていたせいなのだろうか……

    >……


    >今日の朝には、りせは稲羽市へと帰ってしまうらしい。

    >支度をして、駅でりせを見送ってから登校する事にした。



    学生寮 一階


    >階段をおりているところで、寮の入り口から出て行こうとするりせの後ろ姿が見えた。


    鳴上「りせ!」

    りせ「!」


    >鳴上の声にりせは振り返る。

    >とても驚いたような表情を見せてからりせは苦笑を零した。


    345 = 110 :

    りせ「あーあ、見つかっちゃったかあ……」

    鳴上「黙って帰ろうとするなんて酷いじゃないか」

    りせ「……」

    りせ「美鶴さん達に帰りは見送るって言われたけど、私から断ったんだ。忙しいとこ邪魔したくないし」

    りせ「……それに、先輩の顔見たら本当に帰りたくなくなりそうだったんだもん」

    鳴上「りせ……」

    りせ「私もここに住みたいな……先輩達のサポート、続けたい」

    りせ「なあんてね! ワガママ言っても仕方ないよね。芸能界の仕事も復帰した矢先なんだし」

    鳴上「俺も、りせがここで力になってくれるなら嬉しいけど……」

    鳴上「……」

    鳴上「……駅まで送るよ。俺も学校行くのにモノレール使うんだし」

    りせ「うん。折角だから、そうして貰っちゃおうかな」


    >りせと一緒に寮を出た。

    >駅までの足取りが二人とも自然に鈍くなっているような気がした……


    346 = 110 :


    >……


    巌戸台駅


    >いつもの登校時より時間をかけて駅まで辿り着いた。


    りせ「ここまで送ってくれてありがとね、先輩」


    >りせは名残惜しそうにこちらを見ている。

    >足もそれ以上なかなか進まないようだ。


    りせ「やっぱり帰るの嫌になってきちゃったよ……」

    鳴上「何言ってんだ。別に永遠の別れって訳じゃないだろ?」

    鳴上「5月になったら俺がそっちに遊びに行くし」

    りせ「! そうだったね!」

    りせ「みんなで楽しみにまってるから」

    鳴上「ああ」

    りせ「……だから、体には気を付けてね。先輩、今日ちょっと顔色悪く見える」

    りせ「あの世界の影響なのかな……実は、私もちょっとだけど体だるいんだよね」

    347 = 110 :

    りせ「……昨日体験した世界だけどね、クマの言う通りテレビの中の世界と似てるんだけど別物だって感じがしたんだ」

    りせ「なんていえばいいのかな。テレビの中の世界が厚揚げなら、あの世界はがんもみたいっていうか」

    鳴上「豆腐屋の孫らしい例えだな」

    鳴上「まあでも、言いたい事の雰囲気はなんとなくわかった」

    りせ「あはは……」

    りせ「とにかくね、今までの経験が役に立つ事もあればあてにならない事もあるかもって事」

    りせ「油断はしないで」

    鳴上「肝に銘じとく」

    りせ「……今度会う時も、先輩の元気な姿ちゃんと見せてね」

    鳴上「もちろん」

    りせ「うん。またね、先輩」


    >りせの姿が見えなくなるまで見送ってから、登校する事にした。


    348 = 110 :

    >……


    【昼休み】


    3-A 教室


    メティス「鳴上さん、少しよろしいですか?」

    鳴上「ん?」

    メティス「職員室まで一緒に付き合っていただきたいのです」

    鳴上「いいけど、何しに行くんだ?」

    メティス「例の意識不明の少年の事についてです。この学校の高等科の一年生なんですよね?」

    メティス「ここは初等科から学年が存在します。高等科に上がる前に事件にあっていたとしても、その方が中等科でもここに通っていたならば、どういう人物だったかどんな素行が見られたかなど解る教師もいるのではと思ったのですが……」

    メティス「それに、その方の交友関係が気になります。今となっては、こちらの方が重要度の高い情報でしょう」

    メティス「……彼が意識を失う前の第一発見者であるご友人の方、足取りが掴めなくなっているんですよね?」

    鳴上「! なるほどな。せめてその人物が具体的にどこのどういう誰かもう少し解れば……」

    鳴上「でも、どう聞いたらいいんだろうな。俺達は彼らと知り合いだって訳じゃないんだし」

    鳴上「……とりあえず、行くだけ行ってみるか」


    >メティスと共に職員室へ行く事にした。


    349 = 110 :

    >……


    「……ねえ、君たち、ちょっといい?」

    鳴上・メティス「?」


    >廊下で見知らぬ女生徒に声をかけられた。


    「聞きたい事があるの。この人、最近何処かで見た覚えないかな?」


    >彼女が描いたものなのだろうか……一人の少年の顔が描かれた絵を見せられた。

    >女生徒はそれと同じものがコピーされている用紙を何枚も手に抱えている。

    >紙の中の少年は、鳴上達より少し幼く感じる顔立ちに見えた。

    >とても上手に描かれているように見えるが……記憶にはこの絵の人物に該当する者はいなかったので、本当にそうかは解らなかった。


    鳴上「ごめん、俺はないかな」

    メティス「私にも見覚えはありません」

    「そっか……」


    >女生徒は顔を曇らせ項垂れてしまった……


    350 = 110 :

    鳴上「いったい誰なんだ?」

    「私の知り合いでね、ここの一年になったばかりの子なんだけど、ね……」

    「……今、行方不明なの」

    鳴上「!?」

    「しかも、何時何処で行方がわからなくなったのかさえよくわからなくて……」

    メティス「……」

    「だから、些細な事でいいから情報を集めたいの。それあげるから、この先何かそれっぽい事わかったら私にも教えてくれないかな?」

    「私、高等科3-Bの星あかり。じゃあ、よろしくね!」


    >星あかりと名乗った女生徒は、忙しなく廊下を走っていってしまった……


    鳴上「……メティス。今の、どう思う?」

    メティス「……」

    メティス「判断する為の情報が不足しています。しかし……」

    鳴上「もしかしたらそうなんじゃないかと思い当たる事はある、……だろ?」

    メティス「……はい」

    鳴上「これを持って職員室に行こうか」



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