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    元スレ鳴上「月光館学園?」

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    801 = 110 :

    月光館学園 3-A 教室


    >メティスの姿を発見した。

    >席に座りながら、机の上で作業をしている。

    >どうやら、また折り紙の練習をしているようだ。


    鳴上(ラビリスの事だけが原因って訳でもなさそうか)

    鳴上「おはよう、メティス」

    ラビリス「おはよ!」

    メティス「!」

    メティス「えっと……その」

    メティス「おはようございます」

    ラビリス「んー? なにしてんの?」

    メティス「あっ……!」

    ラビリス「へえ、すっごいなあ! これ、メティスが作ったん?」


    >ラビリスは、メティスが作った折り紙のひとつを手に取り、感心しながらまじまじと見つめている。


    802 = 110 :

    メティス「……」

    メティス「そんな、お世辞なんか、いいです……」


    >メティスの折ったそれは、初めよりだいぶ上達した事は確かではあるが、まだまだ歪である事に違いはなかった。

    >それでも、ラビリスは心の底から凄いと思っているようだった。


    ラビリス「ウチ、こんなんした事ないから尊敬するわ!」

    ラビリス「メティスが作ったのすっごくかわいいな」

    メティス「っ……!」


    >メティスはラビリスの言葉に照れているようだ。


    メティス「……私も、こういう事始めたの最近ですから」

    メティス「だから、やろうと思えばきっと出来ると思いますよ」

    メティス「……ラビリス姉さんにも」

    鳴上「!」


    803 = 110 :

    鳴上(少し、心を開いたみたいだな)

    鳴上(昨日アイギスさんと話をしたのもきいてるのかも)

    メティス「一枚折ってみますか?」

    ラビリス「ええの?」

    メティス「はい。でも、私はまだまだ人に教えられるほどではありませんので……」

    メティス「一緒に鳴上さんに教わりましょう」

    メティス「いいですよね、鳴上さん?」

    鳴上「ああ」


    >HRが始まるまで、仲良く折り紙で遊んだ。

    >この調子で、メティスがラビリスと打ち解けてくれればアイギスも安心するだろう。

    >……そういえば、メティスに昨夜のマヨナカテレビの事を尋ねるのがまだだった。


    804 = 110 :

    鳴上「なあ、メティス。昨日のマヨナカテレビ……どうだった?」

    メティス「はい?」

    鳴上「映ってただろ?」

    メティス「……」

    メティス「……いえ。私は昨日、マヨナカテレビを見てはいません」

    鳴上「メティスも確認し忘れたのか、珍しいな」

    メティス「そうではありません」

    鳴上「?」

    メティス「雨が降っていたのはきちんと解っていましたから、昨夜日付が変わる頃にチェックをしましたけれども……」

    メティス「特にこれといった異常は確認していませんが」

    鳴上「えっ……?」


    805 = 110 :

    メティス「鳴上さんのテレビには映ったんですか? マヨナカテレビが」

    鳴上「映った」

    鳴上「……と思う」

    ラビリス「悠な、昨夜の記憶が眠かったせいで曖昧なんやて」

    ラビリス「そういや変な夢見たとか言うてたよね?」

    ラビリス「もしかして、そのマヨナカテレビも夢の中の事だったんちゃうの?」

    鳴上「……」

    鳴上(あれが、夢……?)

    メティス「……」

    メティス「帰ったら、アイギス姉さんたちにも聞いてみましょうか」

    鳴上「そう、だな……」


    >ただの記憶違いなのだろうか……

    >陽介への確認も早くしておいた方がいいのかもしれない。

    >……


    806 = 110 :

    【放課後】


    >今日の授業が終わった。

    >ラビリスはこれからメティスに街の中を案内してもらいに行くらしい。

    >自分も誘われたが、姉妹水入らずの邪魔をするのも気が引けたので適当な理由をつけて二人で行ってくれば良いと言った。

    >しかし、本当はこれといった予定もない……

    >陽介に電話しようかとも考えたが、おそらくまだ向こうは授業中だろう。


    鳴上(そうだな……)

    鳴上(久しぶりにベルベットルームに行ってみようかな)

    鳴上(ついでに、マーガレットにエリザベスの話でもしよう)


    >ポロニアンモールへ向かった。

    >……


    807 = 110 :

    ポロニアンモール


    >カラオケ店近くの路地の行き止まりに、ベルベットルームに続く扉がある。

    >ベルベットルームの扉は一般人は勿論のこと、ペルソナ使いですらその存在が見える者は少ない。

    >それに加えて他は何もない場所なので、ポロニアンモール内であるにも関わらず、あまり人が寄りつくような場所ではないのだが……

    >今日に限って、その路地に入ろうとしたところで奥の方から人の気配を感じた。

    >滅多にない事だ。

    >足音がこちらに近付いてくる……


    「……ああ。いまのところ特に問題はないけど」


    >片手で携帯を持って電話をしながら、もう片方の手にも携帯持ってカチカチとボタンを器用に操作している妙な人物が出てきた。

    >……暗がりからやってきたので最初は気付かなかったが、その人物は知り合いだった。


    808 = 110 :

    >視線が合いこちらの存在に気付いた人物は目を丸くして足を止める。

    >軽く会釈をすると同じように会釈を返してくれた。


    藤堂「悪い、たまき。また後でかけ直す。一回切るぞ」

    藤堂「……よ、また会ったな」

    鳴上「こんにちは、藤堂さん」

    鳴上「あの、こんな場所で何を?」

    藤堂「君こそどうしてこんな場所に?」

    藤堂「この先は行き止まりだぞ」

    鳴上「えっと……」

    藤堂「……」


    >なんて言い訳しよう……


    鳴上「ちょっとぼーっとしてて、ついこんな場所まで」

    藤堂「ふーん……?」


    809 = 110 :

    藤堂「……ま、俺も似たようなとこかな」

    藤堂「電話しながらゲームで遊んでたらこんな場所に、な」

    鳴上「ゲームですか?」

    藤堂「そう。知る人ぞ知るゲーム。……って話らしいけど」

    藤堂「知らないアドレスからのメールに添付されて送られてくるアプリゲームって知ってるか?」

    鳴上「あ。話だけなら聞いた事あります」


    >パオフゥが以前教えてくれた『仲魔』というものを集めたり合体させたりするというゲームの事だろう。


    鳴上「それ、本当に覚えのないアドレスから送られてきたものなんですか?」


    810 = 110 :

    藤堂「……ん。まあな」

    藤堂「こういうのなんだけど」


    >実際にそのアプリがどういうものなのか見せてもらった。

    >画面には『仲魔』であろう名前がいくつか表示されており、中央にはゲーム内でエンカウントしたと思われる『仲魔』に出来る何かが映っていた。

    >その『仲魔』というものは、自分の持つペルソナと似た雰囲気を持っているような気がする。


    藤堂「君のところには届いてない? こういうの」

    鳴上「こんなゲーム今まで見た事ありませんね」

    藤堂「そっか」

    藤堂「……」


    811 = 110 :

    藤堂「なあ。もし、君もこのゲームを受け取るような事があったら俺にも教えてくれないか?」

    藤堂「俺の知り合いに持ってるやついなくて」

    藤堂「その……情報を教えてもらえたらな、と」

    鳴上「そういえば他のプレイヤーと対戦とかも出来るって話でしたもんね」

    鳴上「わかりました。俺、普段ゲームなんてあまりしないんで、あまり役に立たないと思いますけど」

    藤堂「……よろしく」

    藤堂「俺のアドレス教えておこうか」


    >藤堂とメールアドレスを交換した。



    『Ⅳ 皇帝 藤堂尚也』のランクが3になった



    藤堂「じゃ、また」


    >藤堂は携帯を操作し続けながら去っていった。


    鳴上(本当にあんなゲームが存在してたんだな)

    鳴上(……)

    鳴上(やっぱり今日はベルベットルームに行くのはやめておこう)


    >寮に戻ることにした。

    >……


    812 = 110 :

    学生寮 自室


    >あの後、陽介の方から電話がかかってきた。

    >昨夜は突然電話が繋がらなくなったとの事で、心配させてしまったようだった。

    >余計に心配をかけないように言葉を選んで昨夜の自分の事を陽介に尋ねてみた。

    >それによると、やはり昨夜自分はマヨナカテレビを目撃していた様子だったらしい。

    >しかし、どんな内容だったのかまでは、電話を越しの陽介にはわからなかったようだ。

    >……

    >電話を終えて、PCを立ち上げた。

    >自分以外に昨日のマヨナカテレビを見た人がいないか探ってみよう。

    >……

    >しかし、辰巳ちゃんねるを覗いてみても、それらしき情報は掴めなかった……

    >かわりに目に付いたのは、今朝方起こったというある事件とそれに関係しているかもしれないらしい噂の話だった。


    813 = 110 :

    >……05/08(火) 港区の某所にて、20代男性の衰弱死体が発見された。

    >第一発見者は男性の母親。朝、息子が起きてこないので部屋に行ってみたところ、無惨に変わり果てた姿がそこにあったのだという。

    >男性は連日寝不足が続いている様子だったと母親は供述しているが、それが彼の衰弱死に繋がったのかどうかは不明であり……

    >このような死体が発見されたのは先月末に続きこれが二件目で、警察は事件と事故両面の可能性をみて捜査中である。

    >……といった事が、ニュースサイトにも書かれてあった。

    >奇妙な話はここからまだ続く。


    814 = 110 :

    >この話題をうけて、辰巳ちゃんねるにある噂話のスレッドにひとつのレスが書かれていた……

    >“この事件はある呪いによるものなのかもしれない”

    >本来ならば、こんな漠然とした書き込みが注目される事などなかっただろう。

    >ところが……叩くならばまだしも、そのレスに肯定的なレスがちらほらとついていたのだ。

    >もちろんそんな話など信じないものも多かったのだが、ログを辿っていくと何年か前にも同じような死体が連続して出た謎の事件があったという書き込みを見つけた。

    >そんな時にちょうどその呪いの噂が広まっていたらしい……

    >状況が酷似している。

    >おかげで、今の辰巳ちゃんねるはその話ですっかりもちきりのようだ。


    815 = 110 :

    鳴上「まさかその呪いって……シャドウが関係したりしてないよな?」


    >過去の連続衰弱死事件について、もっと詳しい情報がないだろうか。

    >……パオフゥなら知っているかもしれない。

    >急いでメッセンジャーを起動させた。

    >パオフゥはオンラインにいるようだ。

    >さっそく、聞いてみよう。


    >…
    >……
    >………


    ピロン♪


    >パオフゥから応答がきた!


    816 = 110 :

    パオフゥ:よお、番長

    パオフゥ:なんとなく、近々お前さんからまた接触がきそうな気がしてたぜ


    >ニュースやネットで大きく騒がれている事だ……きっともう、聞きたい事の察しがついているのだろう。


    番長:それなら話が早いです。

    番長:今話題になっている衰弱死体があがった事件に類似しているという、過去にあった連続衰弱死事件について聞きたいんですが。

    パオフゥ:それくらいなら過去のニュースサイトを漁れば出てきそうなもんだが……まあいいだろう

    パオフゥ:その前に、お前さんの近辺で何か気になるネタはないか教えて貰おうか

    パオフゥ:タダで教えてやるほど優しくないんでな



    鳴上「うーん……あ、それなら」


    >さっき藤堂から見せて貰った例のアプリゲームについての話をした。


    817 = 110 :

    パオフゥ:番長の目できちんと確認したのか?

    番長:はい、そうです。

    パオフゥ:どんな風だったんだ?

    番長:前にパオフゥさんから聞いた通りのゲームだったと思いました。

    パオフゥ:なら遊んでいる人間の様子はどうだった?


    鳴上「?」

    >それはどういう意味だろう……?


    パオフゥ:何もないならいいんだが

    パオフゥ:それならそれで、今の内にそのゲームをするのをやめさせた方がいいかもしれない

    番長:どうしてですか?


    >しばしの間のパオフゥが沈黙した。


    818 = 110 :

    パオフゥ:遊びすぎたせいで何処かの会社から莫大な請求がきたって話もある

    パオフゥ:ま、遊ぶにしてもほどほどにしておいた方がいいってことだ



    鳴上「勝手に送られてきたものなのに、タダで遊べるゲームじゃなかったのか」

    鳴上「それは怖いな……」



    パオフゥ:じゃあ、話を本題に移そう

    パオフゥ:過去に起こった連続衰弱死事件についてだったな

    パオフゥ:あれは今から三年ほど前に起こった事だった

    パオフゥ:その時期に謎の病が流行っていたのは記憶にあるか?



    鳴上「三年前の謎の病……って、まさか」


    819 = 110 :

    パオフゥ:無気力症

    パオフゥ:2009年の春頃から年明けにかけて爆発的に増えていた未だに原因不明だと言われてるやつだ

    パオフゥ:あの病が蔓延る傍ら、その不安をさらに煽る形で起きたのが連続衰弱死事件だった

    パオフゥ:症状は今話題になっているものと一緒

    パオフゥ:若い体でも一晩のうちに老人の孤独死にも似た骨と皮だけの衰弱死体になるというものだ

    パオフゥ:それは無気力症から派生して起こる病状だという考えもあったようだが

    パオフゥ:結局のところ何故そんな死に方をするのか判明する事はなかった

    パオフゥ:だがそれでも、いつの間にかその両方が世間から消えていた訳だな


    820 = 110 :

    パオフゥ:ここまでがニュースで取り上げられていた事実だ

    パオフゥ:さて、ここからはネットで騒がれている、その時に流行ったとされる噂についてだ

    パオフゥ:何処まで本当か、あるいは全部でたらめかもしれない話だという事をまず言っておく

    番長:呪いがどうこう、ってやつですね?

    パオフゥ:そうだ

    パオフゥ:それは魔女の呪い、なんだそうだ

    パオフゥ:魔女が見せるある夢のせいで一晩のうちにあんな惨い事になると、簡単にまとめればこういう話だな


    821 = 110 :

    番長:その夢というのは?

    パオフゥ:夢の中で何処かから落ちる

    パオフゥ:その時、目覚めることが出来なければ

    パオフゥ:現実でも死ぬ



    鳴上「!」


    >昨日見たはずのマヨナカテレビの内容をこの時になってようやく思い出した。

    >確か、あれでもこんな事を言っていたはずだ……



    パオフゥ:という話ではあるが

    パオフゥ:これっておかしな話だと思わないか?

    番長:?


    822 = 110 :

    パオフゥ:夢なんてのは見た本人しか知りようがない

    パオフゥ:仮にその夢で死んだとしても、それを語る口が動かないんだから、こんな話が広まる筈がないだろ?

    番長:なるほど、たしかに

    パオフゥ:でも、この噂にはまだ結末が残っていたりもする

    パオフゥ:当時、その夢に悩まされていた男のひとりが、この呪いに打ち勝ち終止符を打ったというものだ

    パオフゥ:そのおかげで、例の衰弱死事件は終わったのだと、そう密かに囁かれているようだな

    パオフゥ:なんでもポロニアンモールにあるクラブ エスカペイドの常連客だったらしいが

    パオフゥ:ホントに何処まで真実かわかんねぇな

    パオフゥ:もしかしたら、運が良ければそこで会えたりするのかもな

    パオフゥ:伝説の男に


    823 = 110 :

    鳴上(伝説の……男、か)



    番長:参考になりました。教えてくれてありがとうございます

    パオフゥ:ああ

    パオフゥ:今日はもうこれで落ちる

    パオフゥ:あのゲームの話、何か進展があったらまた教えてくれ


    >パオフゥとの会話を終了した。



    『Ⅸ 隠者 パオフゥ』のランクが4になった



    鳴上「……エスカペイドって、りせに連れていってもらったあの場所だよな」

    鳴上「……」

    鳴上「久々に行ってみるか」


    824 = 110 :

    【夜】


    クラブ エスカペイド


    『伝説の男』の話が何故だかどうしても気になって仕方ないので、ついここまで訪れてしまった。

    >そう都合良く会えるとは思えないが……少しくらい探してみても悪くはないかもしれない。

    >むしろそうしないと今夜は安心して眠れないかもしれないとさえ思えた。


    鳴上(よし……行くぞ)


    >そう意気込んで扉から入ろうとしたが、中から出てきた人とぶつかってしまった……


    鳴上「っと……すみません!」

    「……ちゃんと前見て歩けよ」


    >黒髪の腰まである長髪にサングラス、加えて派手な色のスーツ姿の男がそう告げて去っていった。

    >とてもカタギの人間には見えなかった……


    825 = 110 :

    鳴上(普段はあんな人間がゴロゴロ来ているのだろうか、この店は……)


    >気を取り直して、油断しないように注意しながら店の中に入った。

    >……

    >店の中は、さっきすれ違った男のような人間ではなく普通の今時の若者で賑わっていた。

    >たしかアルコールの取り扱いをやめているという話だった筈だが、それ故か十代に見える者も多い。

    >……だから、カウンターに座るその男は周りと同調する事はなく、異彩を放っていたのだ。

    >明らかにメインの客層よりも年のいった三十代ほどの男がいる。

    >彼は一人でグラスを傾けていた。


    826 = 110 :

    「……ん? こんなオッサンに何かようか?」


    >見ていた事に気付かれてしまったようだ。

    「……」


    >男もこちらをじっと見つめてきている……


    「その制服、確かこの近くの……月光館とかいう学校のだったか」

    鳴上「……あ、はい」

    「やっぱりそうか」

    「……話し相手でも探しているのか?」

    鳴上「えっと」

    「だったらそこに座って少し話をしないか」


    >隣の席をすすめられた。

    >断わる理由が咄嗟に出なかったので、なし崩し的に男の隣に座った。


    827 = 110 :

    「彼にも同じものを」

    店員「かしこまりました」


    >店員がグラスに入った謎の黒い液体を出してきた。


    「大丈夫、アルコールじゃねえから」

    「ちょっと刺激は強いかもしれねえけど」

    鳴上「はあ。……いただきます」


    >勇気を出して喉に流し込んでみた。

    >……炭酸の味がする。

    >コーラをベースにしているような感じがしたが、様々な炭酸水の混じったような不思議な味が口の中で弾けている。

    >眠気が一気に飛ぶ代物だ。


    鳴上「凄い味ですね」

    「癖になりそうだろ?」

    「本当はラムコークが飲みたかったんだけどな」

    「この店も変わっちまったな」

    店員「すみませんねえ」


    >男はグラスを傾けて中身を一気に飲み干した。


    828 = 110 :

    「……こんなんじゃ酔えねぇや」

    「……」

    「なあ、お前さ」

    「落ちると死ぬ夢の話って……聞いたことあるか?」

    鳴上「!」

    鳴上(またその話か……)

    鳴上「ありますよ。近頃ネットで流行ってるみたいですね」

    「……そう」

    「なんで今になって、また……」


    >男はしばらく黙り込んでしまった。


    「じゃあさ、その夢を見るようになる人間の条件って知ってるか?」

    鳴上「条件……? そんなものあるんですか?」

    「ああ、あるとも」

    「……お前はその条件に当てはまってるのかな」


    829 = 110 :

    鳴上「!?」

    「……」

    「なあ、お前には恋人っているか?」

    鳴上「……?」

    鳴上「いえ、いませんけど」

    「へえ?」

    「けど、結構な面構えしてるからモテそうだな」

    鳴上「そんな事ありませんよ」

    「そう思いこんでるのはお前だけだったりしたら……悲惨だぞ?」

    鳴上「えっ……」


    >さっきからこの男はなんの話がしたいのだろう……


    鳴上「あの……それで、落ちる夢を見る人間の条件っていうのは?」

    「……悪い。もう時間だ」

    鳴上「えっ」


    830 = 110 :

    >男は二人分のドリンクの代金を置いて、席から立ち上がって帰ろうとしている。


    「もし話の続きに興味があるなら、またここに来いよ」

    「ドリンク一杯分くらいならいつでも奢ってやるからさ」

    鳴上「あっ、あの……!」

    「あ、そうか。まだ名乗ってなかったな」

    「んー……そうだな」

    「ヴィンセント、っていうのはどうだ?」

    鳴上「ヴィンセントさん?」

    店員「お客様が飲んでいらっしゃる炭酸ジュースの商品名ですよ」

    「ばっか、お前! 早々にネタばらしすんなよ! せっかく格好良く決めて帰ろうと思ってたのに……」


    831 = 110 :

    ヴィンセント「……まあ、とにかく」

    ヴィンセント「この話の続きをするなら今度だ」

    ヴィンセント「お前の名前は……また会えることが出来たら、その時に聞くって事にしておこうか」

    ヴィンセント「じゃあな」


    >自らをヴィンセントと名乗る男は、そのまま去っていってしまった。

    >ヴィンセントと知り合いになった。



    『ⅩⅤ 悪魔 ヴィンセント』のコミュを入手しました

    『ⅩⅤ 悪魔 ヴィンセント』のランクが1になった



    832 = 110 :

    鳴上(また不思議な人と知り合ってしまったような気がする……)

    鳴上(結局、『伝説の男』探しは出来てないし)

    鳴上(でも、今日はもう遅いから、これを飲んだら帰った方がいいか)

    鳴上(また今度、だな)

    鳴上(……)

    鳴上(落ちると死ぬ夢……)

    鳴上(どうしてただの噂でこんなにも不安になるんだろう……)


    >炭酸ジュースを飲みながらしばらくの間ひとりで考えた……

    >…

    >……

    >………





    「あのう、ここいいですか?」



    >……


    833 = 110 :



    檻の中の羊たちがこちらを見つめている

    まるで、次にここに入るのはお前なのだとでもいうように――


    Next→


    ―stage 2 Prison of Despair

    罪人監獄―


    834 = 110 :

    これで終わります。


    豪血寺ネタは誰を出そうとかまで具体的に考える前に没にしてしまったんだけど、

    P4Uの流れで何故か豪血寺の頭首決定戦が同時に開催されて巻き込まれる形になったりとか、

    鳴上家が実は豪血寺の血を受け継いでるかもしれないという根も葉もない疑惑と噂が広がってだとか

    番長がプリンセス・シシーの婿の有力候補にあがってだとか

    もはやペルソナに関係ない流れになりそうだった……

    デビルサマナーやってるキャラとかいた筈だから上手くすれば本当に絡められたかもだけど>>1には無理だった


    ではまた次回

    838 :

    乙、他作品と絡めるのがうまいなぁ

    839 :



    これはいいアトラスオールスターだ

    840 :

    巧く転がせないと判断し、きちんと没にした決断力はすごいな
    下手したら話が変な方向に行って、エタる可能性もあるし
    しっかり話し考えてるんだなー
    ともかく乙です

    841 :

    おつおつ

    842 :

    乙でした

    843 :


    Night mare


    鳴上「……!?」

    鳴上「ここは……昨日の続きって事か!?」


    >確か、自分はクラブにいた筈なのだが……


    鳴上「あの人が帰ってから、ひとりでジュースを飲んでて、それでその後……」

    鳴上「誰か来たんだ」

    鳴上「そうだ……女の子が隣に来て、それで」

    鳴上「……思い出せない」

    鳴上「どうなっているんだ……!?」


    >そんな事を考えている間にも、また足場が徐々に崩れ落ちていっているのが振動でわかる。

    >まずは上へ行くのが先のようだ。


    「なんだ、昨日の新入りか?」


    >周りに誰かいる気配はないが、声が聞こえてくる。


    844 = 110 :

    鳴上「その声は……昨日の!?」

    「いいか、石には幾つも種類があるから気をつけろ」

    「重かったり、動かない石なんかもある。初めて見る石には注意しておけよ!」

    「あとはともかく周りをよく見て早く上まで登ってこい!」

    「上の踊り場で会おう。そこに、みんなもいるからな!」

    鳴上「みんなって……誰だ?」

    鳴上「……行けばわかる事か」






    >聞こえてきた声の通り、登る先々に置かれている石は、昨日見た事のないものが何種類かあった。

    >それでもなんとか足場を作って上を目指していくと、鐘の音が聞こえてきた。


    845 = 110 :

    鳴上「やっと終わりか!?」

    鳴上「……? なんだ、これ」


    >一番上には、周りの石よりも意匠の凝った高級そうな石と、吊り輪のようなものが下がっている。

    >これ以上は登る場所が見当たらないので、その石の上に登り、吊り輪を思い切り引っ張ってみた。

    >すると、今足場にしている石と同じ物が次々と降りてきて、上へ繋ぐための階段が出来上がった。

    >これで更に先に進める筈だ。

    >……


    踊り場


    >鐘の音がずっと鳴り響いている。

    >辿り着いた場所には、今までなかった自分以外の気配がしていた。

    >やっと誰かに話を聞ける。

    >そう思えたのはほんの一瞬の事で、目に映る光景が異常な事にすぐ気が付いた。





    >そこには、二本足で立つ羊が集まっていたのだ……


    846 = 110 :

    >一番近くにいる羊がこちらをに振り返った。


    「ちゃんと上まで登ってこれたみたいだな」

    鳴上「なっ……羊が喋った!?」

    「俺が羊に見えるのか?」

    「俺にはお前が羊に見える」

    鳴上「!?」

    「他の連中も、みんなだ」

    鳴上「その声……さっき俺に忠告してくれた奴だよな?」

    鳴上「お前は何者なんだ。ここは一体、どこなんだ!?」

    「さあな、こっちが聞きたい」

    「ただひとつ確かなのは、俺たちは……」

    「逃げなければ殺される、という事だ」

    鳴上「ころされっ……!?」


    847 = 110 :

    「ここを一度でも見たが最後、毎晩のように来る事になる」

    鳴上「毎晩って……嘘だろ、何でだ!」

    「……」

    「いいか、ここから先は自分の力で登っていけ。俺はもう行く」

    鳴上「ちょっ……待ってくれ!」


    >羊人間は先へと行ってしまった……

    >……

    >さっきの羊人間はこっちが羊に見えると言っていたが、自分で確認できる範囲では自分の体は人間のままであった。

    >ただ、何故か下着一枚の格好である事と、頭を触ってみるとふたつ角がはえている事が気になった。


    鳴上(今まで登るのに必死でこんな姿だなんて気付かなかった……)

    鳴上(とりあえず、これからどうしたらいいんだろう)


    >聞きたい事はまだ山ほどある訳だが……

    >他の羊人間に話しかけてみようか。


    848 = 110 :

    羊人間A「なっ、なんなんだよここは!?」

    羊人間B「こんなとこもう嫌だ! 誰か助けてくれぇ!」

    羊人間C「どうせ……どうせみんな死ぬんだ……」

    羊人間D「チクショウ……誰を蹴落としてでも絶対に生き延びてやる!」


    >周りの羊人間は誰もが錯乱している。

    >一人として何故こんな場所でこんな事をしているのかわかっていないようだ。


    羊人間E「絶対に逃げてやる……こんなとこで死んでたまるかよ」

    鳴上「助かる方法、探してみないか? 一緒に協力して……」

    羊人間E「お前一体誰なんだよ! 信用出来る訳ねえだろ!」


    >まともに話を取り合って貰えない……

    >みんな、自分の事だけで精一杯なのだ。

    >……


    849 = 110 :

    >踊り場の奥にある小さな建物の前までやってきた。

    >ずっと鳴り続けている鐘はこの建物の上で揺れている。

    >近くには看板が下がっていた。

    『↑Freedom』と書かれてある。


    鳴上「自由……」


    >見上げてみたが、上の方は暗くて何があるのかわからない。

    >建物の方を調べてみる事にした。

    >建物は二つの部屋で成り立っている様子だ。

    >ただ、右側の部屋の方は赤いカーテンの掛かった入り口があるのだが、左の部屋は窓があるだけで何処から入ればいいのかわからなかった。


    850 = 110 :

    >窓を覗き込んでみた。

    >……ぼんやりと黒いシルエットが映っている。


    鳴上「!」

    鳴上「誰かいるのか?」

    鳴上「よく見えないな……」


    >右の部屋から探れないか調べてみよう。

    >……

    >右の部屋は非常に狭い場所だった。

    >入ると壁に不気味な絵が飾ってあるのがすぐ目に入る。

    >後は腰を掛ける場所と、隣の部屋に面している壁に小窓があるだけだ。

    >この小窓でも、隣の部屋の様子を確認する事は出来なかった。

    >でも、隣にいる人物に話しかける事くらいなら大丈夫かもしれない。



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