元スレ鳴上「月光館学園?」
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651 = 110 :
【夕方】
鳴上「もうこんな時間か。……家に戻らないと」
陽介「えっ? あ、ホントだ」
千枝「時間が経つの早く感じるねー……」
雪子「明日にはもうあっちに戻っちゃうんだもんね」
りせ「ううっ、そんなあ……」
完二「このタイミングで泣くなっての! 別に一生の別れって訳でもねぇのに」
直斗「会おうと思えば機会は作れますよね?」
陽介「でも、俺たち今年三年だしな」
千枝「これから進路の事で色々あるもんね」
雪子「私は旅館を継ぐってもう決まってるけど、その為にもやっぱり前よりも忙しくなっちゃいそうかな……時間作るの厳しくなるかも」
652 = 110 :
陽介「相棒は進路、もうどうすんのか決めてるのか?」
千枝「鳴上くんは成績いいし、いい大学行けそうだよね!」
雪子「となると、やっぱり進学?」
鳴上「……」
鳴上「……ん。まあ、そんなとこ……かな」
完二「進路かあ。俺も来年はそんなんで悩まなきゃなんねーのか」
直斗「僕は卒業したら本格的に探偵としての活動と勉強に励むつもりです」
りせ「私も芸能活動復帰したとは言っても、本腰入れるのは卒業してからにしようと思ってるんだ。それまでは、学生生活の方を優先するつもり」
完二「俺もまあ、やりたい事はあっけどよ」
653 = 110 :
雪子「千枝は警察官目指してるんだよね。花村くんは進路どうするつもりなの?」
陽介「俺は大学行っとこうかなって。ゆくゆくはまあ、ジュネス継げたらいいけど」
千枝「へえー意外。花村もちゃんと考えてんだね」
陽介「俺だって自分の将来くらい考えるっつーの」
菜々子「菜々子はお兄ちゃんのおよめさんになる!」
千枝・雪子・りせ・直斗「……」
陽介「……また女子の空気が……」
鳴上(……進路)
鳴上(……)
菜々子「お兄ちゃん?」
鳴上「……ん」
鳴上「帰ろうか」
陽介「明日またみんなで見送りに行くからな!」
鳴上「ああ」
>みんなと別れて家に戻る事にした。
>……
654 = 110 :
【深夜】
>外はいつの間にか雨が降り出しているようだ。
鳴上(……)
鳴上(なんだか寝付けない……)
>一度横にした体を起こして窓の外を見た。
鳴上(あっという間の連休だったな)
鳴上(向こうに戻る頃には天気よくなってるといいけど……)
鳴上(そういえば、あの格闘番組がどうとかって噂……ちょっと気になるよな)
>何も映っていないテレビへと視線を移した。
鳴上「……いや、まさかな」
鳴上「映る筈ない、よな」
>独り言が思わず口から飛び出た。
>その時――
655 = 110 :
――ジジ――ッ――ジ――ジジジ――
鳴上「っ!?」
>唐突に、テレビに何か映り始めた……!
>画面には“P-1 Grand Prix"というタイトルが大きく表示されている。
>そして次に現れたのは――
鳴上「クッ……」
鳴上「クマ!?」
クマらしき人物『さあ、いよいよ開催が迫ったP-1 Grand Prix!』
クマらしき人物『今宵はついに注目の出場者をどどーんと紹介するクマ!』
クマらしき人物『目ぇかっぽじって見逃すなー!』
656 = 110 :
可愛い菜々子は誰にも渡さん! 鋼のシスコン番長 鳴上悠!!
寂れた田舎を踏み台に、大英雄に俺はなる! キャプテン・ルサンチマン 花村陽介!!
女を捨てた肉食獣!! 男勝りの足技系ドラゴン 里中千枝!!
王子様、私をリングへ連れてって 難攻不落の『黒』雪姫 天城雪子!!
薔薇と肉体の狂い咲き! 戦慄のガチムチ皇帝 巽完二!!
見た目は子供、頭脳はバケモノ! IQ2000のKY探偵 白鐘直斗!!
クマらしき人物『挑戦者はまだまだ受付中!』
クマらしき人物『我こそはと思う猛者共は、今すぐテレビへダーイブ!』
クマらしき人物『男の中の男たち、かかってこいクマー!』
――ブツン――
657 = 110 :
鳴上「……」
鳴上「これはひどい……」
pipipipipi……
鳴上「! 陽介からだ!」
鳴上「もしもし!?」
陽介「お、おい、相棒! さっきの番組見たか!?」
鳴上「ああ。P-1 Grand Prix……だろ?」
陽介「何なんだよあれ! キャプテンルサンチマンって!? 何語だよ!?」
鳴上「落ち着け!」
鳴上「司会してたの、クマだったよな?」
鳴上「クマは今どうしてるんだ?」
陽介「それが、一度帰るっつって、テレビの中に……
陽介「まさか、あの番組を流す為に!?」
陽介「あのクマ公、何考えてやがんだよ!」
鳴上「……とにかく」
鳴上「明日、朝一でジュネスに集合しよう」
陽介「そうだな。みんなにも連絡だ」
鳴上「ああ。じゃあ、切るぞ」
>他の仲間とも連絡を取り合ってから、さっきの番組のせいで余計寝付けなくなったものの、無理矢理寝る事にした。
>……
658 = 110 :
05/06(日) 曇り
【朝】
鳴上(帰りの電車までにはまだじゅうぶん時間がある)
鳴上(それまでに何が起こっているのか解明出来ればいいけど……)
鳴上「支度をして、ジュネスへ急ごう」
>荷物の中から持ってきていた八十神高校の制服を出して着替えた。
鳴上「制服、この家に置いていこうと持ってきてただけだったのにな……」
鳴上「……」
鳴上「行こう」
>……
ジュネス フードコート
鳴上(……)
鳴上(おかしい)
鳴上(なんで誰も来ないんだ?)
鳴上(ケータイも繋がらないし……)
鳴上「まさか……」
鳴上「……」
鳴上「……仕方ない」
>……
659 = 110 :
ジュネス 家電売場
>いつも入り口にしていたテレビの前までやってきた。
鳴上(……頼む)
鳴上(入ってくれ!)
>腕を恐る恐るテレビへと伸ばした……
鳴上「!」
鳴上「入っ……た」
>手の先が、テレビの画面に埋まっている……!
鳴上(よしっ! 行くぞ)
>テレビの中へと入った。
>……
鳴上「……え」
鳴上「ここは……?」
>テレビに入り辿り着いた場所は、見慣れない風景が広がっている……
鳴上「いつも最初に着く広場と似ているけど、ちょっと違うよな……」
660 = 110 :
>辺りをきょろきょろと見回してみる。
>すると突然、周りが真っ暗になり――
>かと思えば、スポットライトの光に照らされていたのだった。
鳴上「っ!?」
「レディースあーんどジェントルメン!」
鳴上「その声は……クマかっ!?」
クマのような声「お待たせしたクマ!」
クマのような声「ここでついに役者が揃ったクマよ!」
>クマらしき声はこちらに構わず喋り続けている。
クマのような声「というところでぇ」
クマのような声「今大会のルール説明に移るクマ!」
鳴上「大会? ルール?」
661 = 110 :
鳴上「おい、クマ! これはいったいどういう事だ!」
クマのような声「静かに静かにー、ちゃんと最後まで聞くクマ」
クマのような声「ルールは至ってシンプル! 道行く先で出会った奴らをまとめてボッコボコにしたれ~! ただそれだけクマ!」
クマのような声「武器の使用もペルソナもなんでもありなのがこのP-1 Grand Prixの面白いとこ!」
クマのような声「待ち構えるのが誰であろうと、昨日の友は今日の敵!」
クマのような声「殺らなきゃ殺られるの精神でゴーゴー!」
クマのような声「全てを乗り越えたその先には何が待っているのか……自分の目で確かめに来いクマ!」
クマのような声「これにて、クマ総統がP-1 Grand Prixの開催を宣言しちゃうクマ!」
>どこからともなく歓声がわき上がる。
>そこで、クマらしき声は途絶えてしまった。
662 = 110 :
鳴上「クマ総統……?」
鳴上「クマだとしても、なんだか様子がおかしかったな」
鳴上「役者が揃ったって言ってたけど……」
鳴上「やっぱり、みんなはもうここに来ているって事なのか?」
鳴上「……」
鳴上「……今は前に進むしかない、か」
>広場を抜けて先へと進んだ。
>……
八十神高校?
鳴上「ここは、俺が通ってたあの学校なのか?」
鳴上「なんなんだこの雰囲気は……」
鳴上「……!?」
?「……」
>誰かが物陰からこちらを窺っているような気配がした。
>しかし、その誰かはそれに気付くと同時に駆け出して離れていってしまった。
鳴上「おい、待て!」
・
・
・
663 = 110 :
体育館
鳴上「確かこっちに来たと思ったんだけど……」
鳴上「誰もいないみたいだな」
鳴上「誰か一人でもいいからいないのか?」
鳴上「……みんな」
>もう一度体育館の中を見渡してからその場を去った。
>……
?「……」
?「やっぱり今はまだやめておこうか」
?「……まだ、な?」
?「フフッ……」
?「せっかくのショーだ。存分に楽しめよ?」
664 = 110 :
>……
八十神高校? 校舎内
>だいぶ進んできたが一向に誰とも会う気配がない。
鳴上「早く、クマを見つけないとな……」
鳴上「!」
>一瞬、殺気のような何かを感じた。
>反射的にすばやく体を動かし伏せる。
バラララララ……!
>それにわずかに遅れて、音が聞こえてきた。
>……顔を上げて、後ろを振り返ってみると、壁に穴が無数に空いているのが確認できた。
鳴上「これは……」
?「……」
鳴上「!!」
>いつの間にか、目の前に人影が立ち塞がっている。
665 = 110 :
>その顔は見覚えのある人物だった……
鳴上「なっ……!」
鳴上「アイギスさん!?」
アイギス「……」
>攻撃をしかけてきたのはアイギスだった。
鳴上「どうしたんだ、アイギスさん!」
鳴上「いや、そもそも何故こんな場所に!?」
アイギス「……」
>アイギスは黙ったままこちらを見つめている。
>そして、構え直してきたのだった。
>まるで今から戦いを挑んでくるかのように……
『おおっと! これは意外な対戦カードだ!』
>今度は別の場所から声が響いてくる。
666 = 110 :
>どうやら、スピーカーを通して聞こえてきているようだ。
鳴上「この声は、りせなのか!?」
りせらしき声『鋼のシスコン番長、鳴上悠! 注目の初戦はなんと、彼と同じ寮住まいでありながらもその実態は対シャドウ兵器!」
りせらしき声『飛び入り参加で登場の、機械の乙女! アイギス選手だー!』
りせらしき声『さて、両者どうでるのでしょーか? 目が離せませんね!』
りせらしき声『ご紹介遅れましたが、ここからの実況はみんなのりせちーでお送りします♪』
>またどこからともなく歓声が響いてきた……
りせらしき声『それではみなさんご一緒に!』
りせらしき声『レディー……ゴー!』
>その声を合図にして、アイギスがこちらへと銃を撃ちながら一直線に向かってきた――!
667 = 110 :
鳴上「くっ……!」
>咄嗟にそれを避けながら、この状況に混乱した頭で必死に考える。
鳴上(みんな、一体どうしたんだ……!?)
鳴上(誰かに……何かに操られているのか?)
鳴上(……)
鳴上(本当はこんな事したくない。でも……)
鳴上「殺らなきゃ殺られるってんなら、今はそうするまでだ!」
>防御一辺倒から、瞬時に攻撃体勢へと切り替える。
鳴上「ごめんなさい、アイギスさん! ちょっとだけ眠ってて貰います!」
鳴上「イザナギ!」
>鳴上とアイギスのペルソナがぶつかり合う――
668 = 110 :
りせらしき声『両者一歩も譲らず! これは激しい戦いだあ!』
>二人は常に一定の間合いを保ちつつ、隙をついてその差を詰めて決めてしまおうと窺っていた。
>……そして、先に動いたのは。
>鳴上だった。
鳴上「っ……!」
アイギス「!?」
>身を屈めて一歩踏み込み、足のバネの力を最大限に利用して、アイギスの至近距離まで近付く。
>そして拳を一発、彼女の腹へと叩き込み。
>アイギスの体勢が崩れたのを見逃しはしなかった。
鳴上「いけ、イザナギ!」
鳴上「――ジオダイン!」
>大きな雷が、アイギスの体を走った――!
りせらしき声『決まったあああああ!』
りせらしき声『勝者、鳴上悠!』
>割れんばかりの拍手が聞こえ、鳴上にスポットライトがあたる。
669 = 110 :
鳴上「はあ……はあ……」
鳴上(これで良かったのか……?)
>少し離れた場所で、アイギスの体が横たわっている。
>反撃してくる様子はもうなかった。
鳴上「アイギスさん!」
鳴上(ヤバイ、少しやりすぎたかも……!)
>慌ててアイギスの傍まで近寄った。
アイギス「……」
アイギス「……ん」
鳴上「アイギスさん!? 大丈夫ですか!?」
>アイギスの体を、抱えて起こした。
>少ししてから、アイギスの目がぱちりと開く。
アイギス「!」
アイギス「鳴上さん! 一体どうしたんですか!?」
670 = 110 :
鳴上「えっ!?」
>そのアイギスの勢いに気圧された……
アイギス「鳴上さんに会えたと思ったのも束の間、やけに好戦的で急に襲ってくるし、りせさんは変なアナウンスをしているみたいだし……」
鳴上「……ちょっと待ってください」
鳴上「そっくりそのまま、言葉を返します」
アイギス「えっ?」
>アイギスに、自分が彼女に何をされたのかを説明した。
アイギス「どういう事でしょうか……私たちはお互いに幻でも見ていたというのでしょうか」
アイギス「少なくとも、私には私の方から仕掛けたなんて記憶はありません」
鳴上「そうですか……」
鳴上「ところで、何故アイギスさんがこんな場所にいるんですか?」
671 = 110 :
アイギス「……そう。それなんですが」
アイギス「……」
アイギス「実は、鳴上さんが出かけた直後に、美鶴さんのところへと連絡がきたんです」
アイギス「過去に作られた対シャドウ兵器の一体が突然目覚め、何処かへ逃走してしまったと」
鳴上「対シャドウ兵器って、アイギスさんやメティスと同じ?」
アイギス「はい。名前はラビリス。私とメティスの『姉』という事になりますね」
アイギス「そして、姉さんの足取りを追ううちに辿り着いたのがここという訳です」
鳴上「何故こんな場所に……」
アイギス「それはわかりません」
672 = 110 :
鳴上「!」
鳴上「もしかして、P-1 Grand Prixとかいう番組やこの空間も、クマやりせの様子がおかしいのも、さっきの幻も……」
アイギス「そうですね。ここに来ている姉さんが原因なのかもしれません」
アイギス「一刻も早く姉さんを保護しないと、これ以上どんな事が起こるかわかりません……」
アイギス「鳴上さん。姉さんを追うのを手伝ってはくれませんか?」
鳴上「もちろんです」
鳴上「アイギスさんのお姉さんに何が起こっているかはわからないけれど……この事態をどうにかする為にここに来た訳ですから」
アイギス「ありがとうございます」
アイギス「行きましょう」
アイギス「美鶴さんと、もう一人助っ人の方も一緒に来てくれている筈ですから」
>……
673 = 110 :
アイギス「……!」
アイギス「鳴上さん、止まって!」
>駆け足で先を急いでいたが、アイギスに言われ急停止をした。
鳴上「? どうしたんですか?」
アイギス「そこに誰かいます」
鳴上「!」
アイギス「いったい誰なの! 隠れていないで出てきなさい!」
鳴上「もしかしたら、仲間の誰かかも……!」
?「ふふふ……」
>身を潜ませていた人物が、静かにその姿を現した……
鳴上「……誰だ?」
>そこにいたのは、全身青い服で身を包んだエレベーターガールを連想させるような女性だった。
674 = 110 :
アイギス「!」
アイギス「あ、あなたは……!」
?「ご無沙汰しております、アイギス様」
鳴上「もしかして、この人がさっき言ってた助っ人の?」
アイギス「……いえ。違います」
アイギス「何故あなたがこのタイミングでこんな場所に?」
アイギス「……」
アイギス「こんな事は思いたくないけれど、もしかしてあなた、この一件に噛んでいるとでもいうの?」
?「はて……わたくしには何の事やら」
?「残念ながらアイギス様。わたくしが今日ここを訪れた理由は、アイギス様ではなくお隣の殿方の方にございます」
675 = 110 :
鳴上「えっ、俺……?」
アイギス「……どうしてあなたが鳴上さんに?」
?「ふふふ……」
?「お初にお目にかかります、鳴上様」
?「わたくしはベルベットルームの住人が一人、名をエリザベスと申します」
エリザベス「姉がいつもお世話になっております」
>エリザベスと名乗った女性は、深々と優雅なお辞儀をしてみせた。
鳴上「ベルベットルーム……姉……」
鳴上「もしかして、マーガレットの妹って事か?」
エリザベス「ご賢察、痛み入ります」
エリザベス「鳴上様のお話は、風の噂で耳にしております」
676 = 110 :
アイギス「お喋りは後にして。私たちは今、急いでいるの」
エリザベス「そうは参りません」
エリザベス「これを逃すと、もう機会が設けられそうにありませんもので……」
アイギス「何を言っているの?」
鳴上「あの……手短に済ませて貰えるなら聞くけど」
アイギス「鳴上さん!」
エリザベス「ありがとうございます」
エリザベス「それでは単刀直入に申し上げます」
エリザベス「わたくしとひとつ手合わせの程をお願いしたいのですが、よろしいでしょうか?」
鳴上「えっ?」
677 = 110 :
りせらしき声『これは予想外も予想外の展開だあ!』
鳴上・アイギス「!?」
りせらしき声『続く第二戦は、イレーギュラー中のイレーギュラー! 突如現れた謎のエレベーターガールがお相手です! 鋼のシスコン番長は果たしてどう立ち向かうのか!?』
鳴上「またこれか!」
アイギス「じゃあ、もしかしてこのエリザベスも幻……?」
エリザベス「どうなのでしょうか? お相手いただけないのでしょうか?」
エリザベス「……ですが、これを聞いても果たしてそう言っていられるか。見物でございます」
鳴上「?」
678 = 110 :
エリザベス「実はわたくし、只今鳴上様のお仲間方の身柄を少々預からせていただいているのです」
鳴上「なっ……!?」
エリザベス「もしもの時の為と思いまして……備えあればうれしいなとはこの事でございますね。ふふっ」
エリザベス「……ああ、ご心配には及びません。酷い怪我は負っておりませんので」
エリザベス「皆様、急所を外さず一撃でコロリ! させていただきました」
エリザベス「……さあ、どうなさいますか?」
>エリザベスは不敵な笑みを浮かべている……
鳴上「……やるしか、ないのか」
679 = 110 :
エリザベス「どうぞ、お手柔らかにお願いいたします」
エリザベス「わたくしは所詮、ラスボス前の前座に過ぎませんもので……何卒ご容赦を」
鳴上「全力でいかせて貰う」
エリザベス「ふふふ……」
りせらしき声『それでは緊張の第二戦! レディーゴー!』
鳴上「イザナギ!」
>先手を取ろうと開幕から大きく攻めに出たのは鳴上の方だった。
>イザナギがエリザベスめがけて猛スピードで突っ込んでいく。
>しかし、エリザベスは優雅さを依然と保ったまま、ひらりと軽くかわしてしまう。
680 = 110 :
>イザナギは幾度もエリザベスに切ってかかっていくが、その攻撃はいずれもかする事さえ無かった……
エリザベス「どうしてこのような事を、とお思いですね?」
鳴上「ぐっ……!?」
>エリザベスは地面を蹴ると、人間とは思えない大きな跳躍で鳴上の目前までやってくる。
>エリザベスの顔は文字通り、鳴上の目と鼻の先にあった。
>わずか一瞬の出来事で、咄嗟に反応する事はかなわなかった……
エリザベス「……」
エリザベス「……やはり、貴方様からあの人の気配を僅かながら感じます」
鳴上「え……?」
681 = 110 :
>エリザベスは鼻をすんすんと小さく鳴らし、鳴上の匂いをかぐような素振りをみせると耳元でそう囁き――
>手に持っていた分厚い本を横に払うようにして、鳴上の頭へとヒットさせた。
鳴上「ぐあっ……」
>その勢いのままに鳴上の体が真横へと吹っ飛んでいく。
>そして、エリザベスが攻撃に使った本をもう片方の手へと持ちかえると――
>不思議な事に、勝手に本のページが勢いよく捲れ始め、あるページになるとぴたりとその動きが止まったのだった。
エリザベス「さて、わたくしもそろそろウォーミングアップへと参りましょう」
>エリザベスの持つ本が青白い輝きを放つ――
682 = 110 :
エリザベス「貴方様を素敵な死への欲動へと誘ってご覧にいれましょう。おいでませ――」
エリザベス「タナトス」
アイギス「っ、あれは……!」
>鳴上が吹っ飛んでいくその終着点に、エリザベスの呼んだペルソナ――タナトスが現れる。
>タナトスは鳴上を受け取ろうとするかのように、その場に待ちかまえて腕を大きく広げていた。
エリザベス「殺られる前に殺れ。それが、この大会における基本概念だと聞き及んでおります」
エリザベス「――ので、素直にそうさせて貰う事に致しましょう」
エリザベス「マハムドオン」
683 = 110 :
>タナトスの腕の中に黒い渦が発生し始める……
>鳴上は方向転換する事も出来ず、傍からみるとそれはまるで死の抱擁に吸い込まれていくように見えた。
鳴上「っ、イザナギ!」
>しかしその直前、すんでのところでイザナギを呼び出し、体を引き上げて貰うことでそれをギリギリ回避する。
エリザベス「あら、かわされてしまったようでございますね」
エリザベス「流石です」
>エリザベスは、本を腕で挟むように持ちながら拍手をしている。
684 :
メギドラオンでございます
685 = 110 :
鳴上(皮肉にしか聞こえない……)
鳴上(さっきの殴り方は、本でやったにしても随分と重かったな……)
>殴られた場所が鈍痛で疼き、頭がくらくらしている。
エリザベス「しかし、あまり余所見をなさらない方が宜しいかと」
鳴上「!」
>そう忠告されるも、鳴上の背後には既にタナトスの姿があった。
>そこから羽交い締めをかけられるまでにそう時間はかからなかった。
鳴上「うぐっ……」
アイギス「鳴上さん!」
エリザベス「ふふふ」
エリザベス「それでは今度こそ、鳴上様も一撃でコロリ! して頂きましょう」
>エリザベスは楽しそうに鼻歌をうたいながら、緩やかに片手を上げ――高らかに宣言した。
エリザベス「メギドラオンでございます」
687 = 110 :
鳴上(くっ……!)
>そして、鳴上を中心にして辺り一帯が大きな光と衝撃にに押し潰され――
>――る事はなかった。
鳴上(……)
鳴上(……え?)
>咄嗟に瞑ってしまった目を開いてみると……そこには、こちらの事など一切気にせず懐中時計を眺めているエリザベスの姿があった。
>そして、懐中時計の蓋をぱちりと閉じるとエリザベスは深々と頭を垂れたのだった。
エリザベス「申し訳ございません、鳴上様。本日はこれにて時間切れにございます」
鳴上「えっ」
688 = 110 :
エリザベス「本日は有意義な時間をいただきまして、誠にありがとうございました」
エリザベス「かなうならば、いずれまたこの続きを、今度は時間を気にせず楽しみたいものでございます」
エリザベス「前座としては少々物足りない事かと存じますが、これにて失礼させていただきたいと思います」
エリザベス「それでは……」
>エリザベスが指をぱちんと鳴らすと、彼女の姿はいつの間にかそこから消えてしまっていた……
689 = 110 :
りせらしき声『一方的に見えた試合はまさにどんでん返し! 最後の最後まで予測不能のまま終わりを迎えてしまったようです』
りせらしき声『という訳で、エリザベス選手は棄権とみなし……』
りせらしき声『勝者は、鳴上悠選手で決まりました!』
鳴上「……」
鳴上「試合に勝って勝負に負けたってまさにこういうのを言うんだろうな……」
鳴上「って、みんなは!?」
アイギス「大丈夫です、こちらにいますよ」
>いつの間にか床に陽介、千枝、雪子、完二、直斗、クマの姿が横たわっている。
690 = 110 :
アイギス「目立った外傷はありません。気絶しているだけのようです」
鳴上「良かった……」
鳴上「……あれ」
鳴上「りせは?」
『……………………………』
『………………………い…』
『……たす…て………い…』
アイギス「……鳴上さん、何か聞こえてきませんか?」
鳴上「これは……」
『……たすけて………………』
『……たすけて! 悠先輩!』
鳴上「りせ……!?」
691 = 110 :
本日はこれにて終了でございます。
また次回までご機嫌よう。
692 :
乙ドラオンでございます
693 :
マハ乙オン
流石ベスさん貫禄の正妻
695 :
真田先輩と美鶴先輩とラビリス(シャドウ)と…
実はストーリーモード最後までクリアしてないからラスボスが分からないという
しかし家庭用では追加キャラが他にも来るだろうか
696 :
12thバトルがシャドウ?ラビリスで次の13thがエリザベスてのなら見たが…。
格ゲー出来ないのでストーリーモードなのかもわからんし、あれがBOSSなのかもよくわからん。
697 :
アークのゲームは基本家庭用の専用ストーリーで結末がわかるよ。
各キャラのシナリオも家庭用でわかる。
698 :
乙
千枝と真田の肉弾戦見たかったぜ…
699 :
>>696
あれはスコアアタックじゃないかな
ストーリーの最後はラビリスのシャドウだった気がする
700 :
>聞こえてくるりせの声は、今までの実況していた彼女の声とはまったくの別物に聞こえる。
鳴上「何処にいるんだ、りせ!」
りせ『やっと通じた……!』
りせ『悠先輩! 放送室だよ!』
鳴上「放送室?」
りせ『うん。悠先輩がいる場所から、すぐ近くのそこに捕まってるの……!』
鳴上「一体誰がそんな事を!?」
りせ『それが、クマじゃない変なクマが……あっ!?』
鳴上「りせ!」
>そこでりせの声が聞こえなくなってしまった……
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