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元スレ提督「墓場島鎮守府?」

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1 :


【艦これ】提督「鎮守府が罠だらけ?」【×影牢】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1467129172/

上記スレッドの番外編です。

・舞台になっている鎮守府、通称『墓場島鎮守府』の過去の話になります。
 提督の着任から、各艦娘がこの島へ着任するに至った経緯を書いていきます。

・艦娘の殆どが不幸な目に遭っておりますので、そういう話が嫌な方は閉じてください。

・影牢のキャラは出てきません。


SSWiki :http://ss.vip2ch.com/jmp/1476202236

2 = 1 :


艦娘以外の主要な登場人物

・提督
 階級は准尉。一般人には見ることも出来ない妖精と話が出来たせいで
 親からも変人扱いされ人間嫌いをこじらせる。

・小佐
 戦争は金儲けの道具と考え、中将の威光を傘に暗躍。後に大佐にまで昇進する。
 妖精と会話できる提督に危機感を覚え、離島の鎮守府に閉じ込めようとする。

・中将
 小佐の父親。有能だったらしいが息子が絡むと駄目になるらしい。

3 = 1 :

 * 太平洋上某所 離島の鎮守府 *

士官「本日より、ここがあなたの鎮守府になります」

提督「……」

士官「日本から離れたこの島で、一人で生活していただくのは大変心苦しいのですが……」

士官「これも国民のため、ひいては世界平和への貢献につながります」

提督「……ああ」

士官「この鎮守府の執務室に、少佐殿の鎮守府直通の無線機を設置しております」

士官「着任次第、連絡を入れていただくよう命令が来ておりますので、まずは少佐殿へご一報をお願いいたします」

提督「……」コク

士官「自分は別鎮守府への参集命令がありますので、荷卸しが終わり次第失礼いたします!」

士官「提督、ご武運を!」ビシッ

提督「ん……」ピッ


提督(妖精と意思疎通ができる能力を買われて、海軍入り)

提督(何の前歴もないのに、お人好しの中将に准尉の階級までもらって、息子の少佐を訪ねてみたら)

提督(これがどうしようもねえ小悪党……鎮守府の雰囲気は最悪だ、何をしないでも奴の悪行が耳に入ってくる)

提督(そのくせ、妖精から何を聞かれるかわからねえと、わざわざこんな離れ小島の鎮守府を任せて体よく幽閉とはな)

提督(まあ、ガキのころから妖精と話ができるせいで、俺をキチ扱いしやがる人間どもと縁が切れてせいせいするが……)

提督(あいつの手のひらの上にいるってのは、気に入らねえな)

4 = 1 :

提督になついている妖精(以下妖精)「やれやれ、まいったね……」ヒョコ

妖精「まさか艦娘のひとりも寄越さないうちに着任しろだなんて」

提督「電気も通ってねえくらいの島なのに、なかなか立派な建物じゃねえか」

提督「自家発はちゃちいがな」バルルルン

妖精「見栄だけの張りぼて鎮守府って感じもするね」


提督「それにしても……この島、妖精の数が多すぎねえか」

妖精「そうだね……」

提督「しかも歓迎されてねえみたいだしな」

妖精「……」

提督「ったく……大丈夫か」

妖精「うん。でも、同じ妖精から白い目を向けられるのは、結構きついね」

提督「……」


 * 執務室 *

提督「なんだこりゃ」

(配線や工具が散らかったままの執務室)

提督「設備だけ取り付けてそのまま帰ったって感じだな」

妖精「工具も片付けていかないようじゃ、少佐の部下の仕事もたかが知れてるね」ムスッ

提督「言うねえ……ん、これか」

5 = 1 :

(無線の設備につながれた旧式の通信機)

提督「へっ、えらく前時代的なブツを用意したもんだ」

妖精「……接続先を選ぶ装置がないね。すぐ通話できるってことかな」

提督「奴の鎮守府以外に連絡できないようにしてるんだろ。そういう狡い真似は得意そうだしな」キョロキョロ

妖精「どうしたの?」

提督「……スピーカーとつなぐケーブルを探してるんだが……こんだけ散らかってるなら余ったケーブルもあるだろ」

妖精「?」

 * * *

提督「さて、これで動くか」ガチャッ

 RRRR... RRRR...

スピーカー『提督か。遅かったな』

妖精「!?」

提督「……少佐か。この通信機はあんたのところに直通なんだな?」

少佐『鎮守府に着任し次第連絡をしろという命令だったが、何をしていた?』

妖精(スピーカーから二人の声が……!)

提督「発電機のトラブルだ。あんな貧弱なもん用意しやがって、予算ケチってんじゃねえよ」

少佐『口を慎め、提督准尉。今後定時連絡が10秒遅れれば、お前への配給は10日遅れると思え?』

提督「定時連絡?」

6 = 1 :

少佐『本日マルキュウサンマルより貴様はその鎮守府の提督として着任とする』

少佐『軍備の拡充及び深海棲艦の撃滅を行い戦果を挙げ、明日以降毎日ヒトロクサンマルに専用回線にて我が鎮守府へ報告せよ』

少佐『以後、命令に背けば即銃殺刑に処す。以上だ』

提督「軍備の拡充というのは?」

少佐『そんなものは島の妖精に訊け』

少佐『お前は妖精と話せるんだろう? お前はそこの連中と一生おままごとをしていれば良いんだよ』

少佐『話は以上だ。明日から連絡は寄越さなくて良いぞ』ガチャン

提督「……けっ」

妖精「むーかーつーくーーー!!」プンスカ

妖精「なんだよあれ! 言ってることが無茶苦茶だよ!」

提督「あいつがここまでやるってことは、俺が妖精と話せるのが少佐には随分と都合の悪い話だってことなんだろ」

提督「ま、定時連絡はご命令通りやってやるさ。俺にとっても苦痛だが、あいつにとっても俺の存在がストレスそのものなんだろうからな」

妖精「でも、なんでこんな会話をスピーカーに流したの? 私に聞かせたかったから?」

提督「ああ……俺たちはここで暮らすことになる。こうやって事の顛末を聞かせたほうが俺が説明する手間も省ける」

提督「ほら、そうこう言ってるうちにお客さんだ」

???「客は……君たちだろう?」

妖精「!」

7 = 1 :

島の妖精A(以下島妖精)「あんたとは……話は通じるんだな?」

提督「ああ。だが出ていけって話なら断る。船もねえしな」

島妖精B「……なら、力ずくで追い出すよ」

妖精「や、やめなよ!!」

提督「俺は構わねえよ。ただ、俺についてきた妖精には良くしてやってくれ、巻き込まれたようなもんだからな」

妖精「提督!?」

島妖精たち「……」

提督「さあて、俺はどうするかな……鎮守府ん中を見て回るか」

妖精「……一緒に行くよ」ピョコン

提督「そうかい」


島妖精たち「「…………」」

8 = 1 :

今回はここまで。

艦娘は次回か次々回あたりから少しずつ出していきます。

9 :

最上位提督イケメン金髪王子須賀京太郎様に処女を捧げる編は未だですか

11 :

では続きを投下します。

12 = 1 :

 * 工廠 *

提督「……酷え有様だな」

妖精「工廠の設備はほぼ全滅。入渠用のドック2基のうち1基が修理すれば動きそうなレベル、と」

提督「修理するにも機材やら資材やらが足りなくて修理不能、と。しばらくはこのまま放置だな」

妖精「え、このまま?」

提督「少佐に機材を催促したって寄越すとは思えねえ。それに、復旧させるにも使うにも島の妖精たちの協力も要るだろ」

提督「建造ドックは機材もボロボロで電気系統もいかれてる、自家発もあれじゃパワーが足りねえし使えるとは思えねえ」

妖精「燃料も資材も供給不十分、ドックも壊れた状態で戦果を挙げろ、かあ。どうかしてるよ」

提督「ま、そういう話を小姑みたいにねちねちと報告してやりゃあ、アレもちったあこたえるだろうさ。会話自体したくねえが」

妖精「なんだかなあ……」


 * 埠頭 *

提督「なんだこの積み荷は」

空っぽの木箱「」カラーン

提督「これが補給物資だと? 半分以上空箱じゃねえか」ガン

妖精「おそらくだけど、意図的に中身だけ減らしてるね。送付記録は満数で書いてある」ペラリ

提督「兵糧攻めとかやることがいちいち小っせえんだよ! ああ癪に障んなぁ……くそが」

提督「実数記録しとくぞ。てめえで弱み作ってんだから、いつかいびり倒してやる」

妖精(いつになるやら……)

13 = 1 :

 * 会議室 *

提督「ここが会議室か……」

妖精「すっごい埃まみれ」

提督「蜘蛛の巣もひでえな……」バッバッ

「」ブワアアアア

提督「げっほ! げほげほ!」

妖精「撤退! 戦術的撤退!!」

提督「くそ、他の部屋に行くぞ」ガチャ

妖精「……うわー」

提督「応接室も似たようなもんかよ。くそがっ!」

妖精「とりあえず窓を開けないと……固っ!?」ガチガチ

提督「錠が錆びついてんじゃねえか、安物ですませやがったな……ぶち割っちまおうか、この窓」

14 = 1 :

 * 食堂 *

提督「……無駄に広えな」

妖精「ここも埃っぽいけど、掃除すれば問題なさそうだね」

提督「碌に使ってねえ、ってことか」

妖精「そうだね……厨房も、コンロとか綺麗なままだよ」

提督「それでも一通り拭き掃除がいるな。埃かぶったまま火をつけるわけにはいかねえ」

提督「流しは……」

蛇口「」ヴジャー

提督「なんだこの水の色。錆びが酷えぞ……飲めるのか?」

妖精「しばらく出しっぱなしにしないと駄目だね……」


 * * *

提督「はぁぁ……」グッタリ

提督「なんで鎮守府の中を見て回るだけでこんなに体力使うんだよ……」

妖精「改めてみると結構広いんだね、鎮守府って」

提督「だがまあ、鎮守府の中はもういいや。次は外……だな」

提督「島の外周を回って広さを確認しねえと」

妖精「……!」ゾクッ

提督「……」

妖精「……ねえ」

提督「ああ、島の妖精たちの様子が変わったな。いったい外で何がでてくるやら」

15 = 1 :

 * 島の北東 砂浜の海岸 *

提督「……」

妖精「……ひどい」

(海岸に打ち上げられた無数の艦娘の残骸)

妖精「こんなに大勢の艦娘が……」グスッ

提督「……」スッ

島妖精A「触るな」

提督「……」

島妖精B「触るなって言ってるだろう? 彼女たちを静かに眠らせてやれって言ってるんだ」

島妖精C「お前みたいなやつが、触っていい相手じゃないんだ!」

提督「……」

提督「……なあ、訊くけどよ」

提督「こいつらは、何のために戦ってたんだ?」

島妖精A「海の平和のためだよ」

島妖精B「その子が好きだった司令官のためだった」

島妖精C「彼女は国の……民のために戦ったんだ」

提督「へーへー、そうですか。まあ模範的な解答なこって……」

島妖精たち「」イラッ

提督「そんじゃあ、もう一つ聞くか。艦娘ってのは……」

16 = 1 :

提督「土葬しても大丈夫か?」

島妖精たち「!?」

提督「お前らは、ここまで戦ったこいつらに何をしてやりたい? こいつらが元の形を失って、朽ちていくのを眺めていたいのか?」

提督「俺に触るなって言うのはわかるが、野晒しってのは可哀想だ。こいつらだってこんな姿いつまでも見られたくないだろ?」

提督「昔の軍艦なら雷撃処理とかで水葬ってのがいいんだろうが、この砂浜にはでかい鉄くずも打ち上げられてる」

提督「それだけこの辺りの潮の流れが速くて強いなら、また打ち上げられちまうだろ。で、油もなくて火葬も無理なら、土葬するのが一番だろ?」

島妖精A「……どうして、お前は艦娘にそこまでしようとする」

提督「……こいつらが人間のために戦ったから、だ」

提督「お前は海の平和のためとか言ってたが、その平和はあくまで人間の言う人間基準の平和だろう?」

提督「俺も人間だ、人間のために働いて死んだこいつらを素通りできたら、こいつらに顔向けできねえな……って、思っただけだ」

提督「こいつなんか顔も腕もぼろぼろだ。せめて弔ってやりたい、と思うのは俺のエゴだが……お前らはどうなんだ?」グッ

島妖精たち「……」

提督「くっ……い、意外と重てえ……艤装も込みだからか……っ」

提督「おい、こいつら、この島のどこに埋めてやりゃあいい!?」

17 = 1 :

 * 島の中央よりやや南西、丘の上 *

妖精「少佐の送ってきた空の木箱を、こんなところで使うことになるなんてね」

提督「ちょっと窮屈だが、ただ埋めるよりいいだろ。俺たちじゃあ立派な棺桶は作れねえ」ゼェゼェ

提督「それに、動かせるユンボが残ってて助かった。穴掘りは結構な重労働だし、な」ハァハァ

島妖精B「まだ一人しか運べてないじゃないか」

島妖精C「サボってないで次に行こうよ!」

提督「お、お前ら、無茶言うな! こんな遠くの丘の上まで運ぶのクッソしんどいんだぞ!!」

 * 夕暮れ *

提督「くそ、運べたのは結局2人だけかよ……」グッタリ

提督「地味に定時連絡が面倒くせえしよ……」

提督「くっそ……腹へった」グウウ

提督「そうだ、俺の今日からの布団とか何も準備してねえ」ハッ

島妖精A「おい」

提督「……ん?」

島妖精A「ついてこい」

提督「あ、ああ」

18 = 1 :

 * * *

提督「ここは……」

島妖精A「食堂の厨房だ」

島妖精A「補給物資にはいってた食料は、厨房の隣の貯蔵室に移動しておいた」

島妖精A「保冷庫と電気式のコンロは一応使えるようにしてる」

提督「……!」

島妖精A「人間の食べ物の味覚はよく知らないから、あんたが適当に作ってくれ」

島妖精B「ほら、次はこっちだよ」

提督「お、おう」

 * * *

提督「鎮守府のそばに離れがあったのか」

島妖精B「前任者が寝泊まりに使っていたんだ」

島妖精B「簡単にだけど掃除はしたから、寝るだけなら十分なはずだよ」

島妖精B「発電機を使えば奥のシャワー室も使えるから」

提督「……悪いな、助かる」

島妖精A「あんたが働いた分の等価を用意しただけだ。勘違いするなよ」

提督「……ああ」

提督「当分はこんな調子で野良仕事だな……飯作ってくるか」

妖精「がんばれー」

19 = 1 :

今回はここまで。

20 :

乙乙。
前日譚とはいえひでえなこれ……

21 :

墓場と聞いて鎮守府の土地に歴代の艦娘のお墓があって島風がいろいろとなるssの続編かと思った

22 :

続きを投下します。

23 = 1 :

 * 一週間後 *

提督「これで……最後の一人、か」ザッザッ

提督「墓標代わりの艤装を……これでいいな」

島妖精A「御神酒準備したぞ」

島妖精B「榊はこっちの木の枝でいい?」

島妖精C「さっき作った紙垂はどこー?」

提督「お前ら、結構信心深いんだな」フゥ

島妖精D「当然だよ、軍艦の中には神棚が作られているんだからね」

島妖精E「ほら提督、終わったんなら参列して」

提督「あ? ちょっと待て、俺一人で働いてたんだから少し休ませろ」

島妖精F「えー? 私たちだっていろいろ手伝ったよ!」

島妖精G「ユンボの使い方教えたじゃんか!」

島妖精H「艤装の外し方教えてやったのに」

提督「力仕事は全部俺じゃねえか!!」

提督「だいたい、神仏信じてねえ俺がこんなときばっかり手を合わせてもしょうがねえだろ」

妖精「でもさ、せめて敬礼くらいはしていこうよ」

島妖精B「あ、そうだね。頼むよ准尉」

島妖精A「将校の癖に、船に敬礼もできないのか?」

提督「……あーあー、わかったよ、ったく」

島妖精C「では、これより鎮魂祭を執り行います」

24 = 1 :

 * その後 *

島妖精A(以下妖精A)「私たちはもともと彼女たちの装備を管理していた装備妖精だ」

妖精B「艦娘とその装備が失われ、居場所がなくなってこの島に居着いたのが私たちだよ」

妖精C「装備があれば私らもそこに居着くんだけど、今は装備開発もできないし建造も無理」

妖精D「第一に材料が全然足りない! 鉄屑なら空き缶でもなんでも集めてこないと!」

妖精E「とりあえず、設備修理に必要な機材資材、全部不足してるから、鋼材を集めないとね」

妖精「……しばらくは砂浜のゴミ拾いかな?」

提督「だな。都合よく鉄屑含んだガラクタも流れ着いてくるし、定期的に回ったほうがよさそうだ」


 * 厨房 *

提督「……」シャッシャッシャッ トントントン

提督「……」ザクザクッ ジュワー チャカチャカチャカッ

妖精「相変わらず手際がいいよね」

提督「一人暮らしが長けりゃ誰だってそうなるだろ」

妖精A「……」ジー

妖精B「……」ジー

妖精C「……」ジー

妖精D「……」ジュルリ

提督「……お前ら少し離れてろ」

妖精E「あちっ!? 油が! 油がはねたーー!!」ゴロゴロゴロー

提督「だから言ったろうが……」ハァ

25 = 1 :

 * 倉庫 *

提督「なあ、誰か農業に心得のある奴はいねえか?」

妖精D「どうかしたの?」

提督「食料が心許ねえ。あの馬鹿、全部空箱寄越してくるときもあるから、心得のある奴に畑の作り方を習いたい」

妖精F「それならわたしが教えてあげるよ」

提督「本当か、助かる」

妖精F「だからわたしのご飯は少し多めにお願いね?」

提督「……節制したいんだがな」


 * 海岸 *

 ザァァァァ…

妖精「……あ」

提督「ん? ……あれは、艦娘か? 遠いな……良く気付いたな」

妖精「うん。わかるんだ、なんとなくだけど」

提督「……ああいう風に海の上を滑って行くのか、初めて見たぜ。あいつら、本当に船なんだな」

妖精「……」

提督「あいつらも、あんな風に海の上を走ってったんだろうな」

提督「わざわざ陸の上に連れてったけど、やっぱ余計なお世話だって思われてんのかね……」

妖精「そんなことはないよ、きっと」

提督「だといいがな」

26 = 1 :

 * そして三か月後 島の北東 砂浜の海岸 *

(ゴミや流木、鉄屑などが流れ着いている)

提督「先週も片付けたってのに、またいろいろ流れてきてやがんな……」

提督「……! また轟沈した艦娘が流れ着いてきたのか……」

艦娘「」

提督「外傷は……今までのやつに比べりゃそれほどでもねえか……?」スッ

提督「! ……まだ息がある……!?」

艦娘「……」

提督「さて……どうするか」

提督「……」

艦娘「……」

提督「……」

提督「連れて帰るしかねえよなあ。よっ……と」ダキカカエ

27 = 1 :

 * 鎮守府 工廠 *

提督「おいお前ら、とりあえずお土産だ」

妖精A「……おい、そいつは」

提督「まだ息がある。お前らなんとかできるか」

妖精B「なんとかって言われても……」

妖精C「入渠ドックは使える?」

妖精D「まだ駄目だよ! 応急処置で穴をふさいで、それで使えても10分ずつ小休止をしないと無理!」

提督「助けられないか」

妖精E「ま、まだそうと決まったわけじゃないけど」

艦娘「……う……」

妖精B「お、おい! 目を覚ましたぞ!? 話しかけてやれ!」

提督「俺がか?」

妖精C「提督以外に誰がいるのさ!」

提督「……」

艦娘「……」ボンヤリ

提督「おい」

艦娘「!」ビク

28 = 1 :

妖精D「おい、怯えてるぞ! もう少し優しく話しかけろよ!」

提督「うるせえな……」

艦娘「……」ビクビク

提督「……おいお前。生きたいか、それとも死にたいか」

妖精たち「「はぁぁぁぁぁ!?」」

妖精E「提督! よりによってそういうこと聞く!?」

提督「こいつに生きる意志がなけりゃ無理に生かしててもしょうがねえだろ」

艦娘「……う……」シュン

妖精C「提督はでりかしーがないなあ、怯えてるじゃんか」

妖精B「大丈夫? きみ、立てる?」

提督「……簡易寝台を準備だな」

提督「妖精Fはこいつに食いもんを、妖精Bはシャワーを使えるように準備だ」

妖精F「そうだね、提督には任せてられないね!」プンスカ

妖精B「僕たちに任せて提督は休んだらいいよ! ずーっと!」プンスカ

29 = 1 :

妖精「彼女の身なり、ぼろぼろだったね。激戦地で轟沈したのかな」

提督「あれは戦ってできた傷じゃねえな。服はぼろぼろだったが、もともと汚れててぼろぼろだったのが更に、って感じだ」

提督「服の燃え具合と体の傷の位置があわねえし、治りかけの傷もあるが、ありゃあたぶん戦う以前からついてた傷だな」

提督「生き延びたのに全然嬉しそうじゃなかったのも気になるな」

妖精「……彼女、もしかして不当な扱いを受けてたとか?」

提督「かもな。……はー、面倒くせえな」

妖精たち「「「ひどい!!」」」

提督「なんだ聞いてたのかお前ら」

妖精E「聞いてたもなにも声が大きいよ! 彼女が聞いてたらどうすんのさ!」

提督「あ? 知らねえよ、あいつのこれからを考えるのはあいつ自身の役目だろ」

提督「最初に訊いたろ? 生きたいか死にたいかって。あいつが何をしたいのか言えないなら、俺は何もしねえぞ」

妖精C「じゃあ提督は今何がしたいのさ」

提督「あー、当面は……少佐を殴る、最低でも10発以上」

妖精D「うわっ、子供!」

提督「うるせえ、俺はあいつのせいで死んで人生リタイアなんてしたくねえんだよくそが!」

提督「なんで俺を虐げる奴より俺が先に死ななきゃなんねえんだ! 最低でもあれのキ○タマ潰しとかねえと気がすまねえ!」

妖精C「さっきよりえげつないこと言ってるよ!?」

妖精A「……提督の意見は置いといても、この島で生きようって気がないなら、そのうちそうなる」

妖精「うん、当人が立ち直らないと駄目だね……」

30 = 1 :

今回はここまで。

31 :

続きです。

32 = 1 :

 * * *

妖精C「彼女、どうだった?」

妖精F「補給用の燃料を出してあげて、普通のごはんも出したんだけど、どっちも少ししか手を付けなかったなあ」

妖精B「今シャワーに行ってるところだよ」

提督「……」ペラリ

妖精「提督は何してるの?」

提督「あいつの艦種を調べてる」

妖精A「あの子は駆逐艦だな。艤装が少し古いタイプ……おそらく睦月型の初期の艦だな」

妖精E「あんなぼさぼさ頭の睦月型っていたっけ?」

提督「睦月型、ね……」ペラリペラリ

提督「髪飾りを見る限りこのタイプか? 2番艦、如月」

妖精A「……みたいだね。艤装の特徴が合致してる」

妖精C「うそでしょ!? 如月って言ったら綺麗好きなはずだよ! あんな汚れた服着てるはずない!」

33 = 1 :

提督「……とりあえず仮説だが」

提督「あいつの体には叩いたりぶつけたりしたような痣や切り傷のほうが多い。もちろん砲撃で受けた火傷のあとも見られるが、そっちは軽微だ」

提督「ここへ流れ着くまでに体をあちこちぶつけたりもしたんだろうが、それよりも前からつけられた傷痕があるってとこだ」

提督「たぶん棒状の得物を使われてる。木刀とか竹刀とか鉄パイプとか、まあその辺だな」

妖精E「なんでそんなことがわかるの?」

提督「俺が昔喧嘩ばかりしてたからな、痣や傷の具合で、何でやられたか、古いか新しいかくらいはまあ見当がつく」

提督「とにかく、いじめか何か知らねえが、暴力を振るわれたって想像はできるんだが……」

提督「怪我を直す入渠ドックってのは、風呂みたいなもんなんだろ? 頭を洗っちゃ駄目とかあんのか? 髪の毛や衣服の汚れがひどすぎる」

妖精F「いいや、逆に入渠と一緒に身だしなみを整えてくる艦娘のほうが多いね」

提督「となると、入渠させてもらえない事情があるか、束縛されて自由がなかったってところか?」

提督「で、艦娘の管理や鎮守府の設備の利用権限を持ってるのは誰か? って考えりゃ、犯人はだいぶ絞られるな」

妖精A「その鎮守府の指揮権を持つ司令官やその上司ってとこか。あとは憲兵くらいだが、そういう越権行為を働く憲兵の話はそう聞かない」

提督「わざわざ余所の人間が余所の艦娘に手を出すとは思えんし、そうなら司令官が脅されてるか自分から手引きしてるか」

提督「服や髪が汚いのは、どこかに閉じ込められていたか、綺麗にする気力を失うほど圧力を受けたか」

提督「こうなると、エロいことしようとして抵抗したら暴力振るわれて、って線が強そうだな」

提督「じゃなきゃ、他の艦娘が提督を骨抜きにしてて言われるがまま、それでいじめられたとか、その手の話か?」イライラ

妖精D「うわあ……」

34 = 1 :

妖精C「ちょっと提督、普段からそういうこと考えてるの?」

提督「あ? 経験論に決まってんだろうが。見てきたからな。人間のそういう部分は、嫌と言うほどな……!」ギロッ

妖精D「怖っ!?」ビクッ

妖精C「……!」ビクッ

提督「……あー、悪い。今、俺、すげえツラしてたろ……悪かったよ」ハァ

妖精C「」ウルウル

妖精E「あ、泣ーかした」

提督「ああ、本当に悪かった……くっそ、ばつが悪いから勘弁してくれよ」オロオロ

妖精F「泣ーかした泣ーかした」

妖精B「提督のいじめっこー」

提督「茶化すなよ! こうなるから嫌なんだよこういうこと考えんのは! くそ!」

妖精A「……あんたはともかく、如月はどうする気だ」

提督「……助けて欲しいなら、助けてって言やあいいんだがな。あいつがどうしたいのかわからなきゃ、俺だって手の出しようがねえ」

提督「死にたい奴は勝手に死にゃあいいのさ。俺にそれを察する義理はねえ。そもそも助けを求められていないのに助けてやろうなんてのは傲慢だ」

提督「そうじゃないなら……生きたいって本人が望んでんのなら、そのための手伝いくらいはしてやるさ」

 ポタッ ポタッ

提督「?」

艦娘「……それなら、助けて、って言えば、助けてくれるの……?」ポタポタ

提督「!」

35 = 1 :

妖精C「き、如月!?」

妖精B「体も拭かずにタオル一枚でどうしたの!?」

艦娘→如月「……消えないの」パサッ

如月「これが……この汚れが、消えないの」

妖精A「……それは」

如月「どうしても……これが、消えない、の……うっ、うう……」ポロポロ

提督「おい、ドックに入りゃあ、あの傷は消えるのか?」

妖精A「……難しいだろうな、あの傷じゃあ時間が経ち過ぎている」

提督「……」ギリ

如月「もう、嫌なの……!」

如月「面白半分に、私の体を傷つけて……弄ばれるのはもう、嫌……!!」

提督「……お前はどうしたい」

如月「助けて欲しい……もう、これ以上あの人たちに傷付けられたくない……だからお願い、助けて……!」

提督「……お前、名前は?」タオルヒロイ

如月「私は……如月。睦月型駆逐艦2番艦、如月」

提督「……湯冷めするぞ。もう一度温まってこい」タオルパサッ

提督「よし……聞いたか? 如月を助けるぞ、お前ら力を貸せ」

妖精たち「「!」」コクッ

如月「……!」

36 = 1 :

 * 翌朝 執務室 *

FAX <ピピピピー ジジジジッ

提督「昨日は結局如月に事情を聴いて、風呂に入れて休ませただけで終わっちまったが……」

提督「ん? なんだこりゃ」

書面『○月×日、貴君の鎮守府近海にて轟沈した駆逐艦 如月の捜索作業を行うため、駆逐艦 不知火を送る。不知火の命令に従い、捜索に協力せよ。以上 少佐』

提督「中身もなんだこりゃ、だな。如月を返せってか?」

如月「……あの、提督……?」

提督「おう如月。早速だが悪い報せだ」ピラッ

如月「……っ!」

提督「連中、どうやってもお前を確保したいらしいな」

如月「い、いや……戻りたくない……!!」

島妖精F「提督、お客さんだよ! 1小隊が船に乗ってきた、艦娘もいる!」

提督「ちっ、思ったより手が早えな……如月は隠れてろ」

37 = 1 :

今回はここまで。

39 :

続きです。

40 = 1 :

 * 鎮守府埠頭 *

提督「遠路はるばるご苦労さん、俺が提督だが」ピッ

不知火「駆逐艦、不知火です。今朝お送りしました文書には目を通されましたでしょうか」

提督「ん」ピラッ

不知火「早速ですが捜索の協力をお願いします」ビシッ

提督「あー……如月だっけか、沈んだの」

不知火「はい。この鎮守府に流れ着いていないか、確認せよとの少佐からの命令です」

提督「ふぅん……もしいなかったら?」

不知火「遺体でも良いから必ず探してこい、という命令を受けております」

提督「……そりゃあ骨が折れるな。あっちの連中は」チラ

不知火「この近海を調査するためのダイバーたちです」

提督「……」

不知火「……不知火に何か?」

提督「ちょっと話がしたいんだが、執務室まで来てもらえるか」

不知火「……承知しました」

41 = 1 :

 * 鎮守府 執務室 *

提督「お前、なにかやらかしたか?」

不知火「……いえ。不知火に何か落ち度でも?」

提督「お前の態度に鬼気迫るものを感じる。今回の任務がそんなに重要か、って訊いてる」

不知火「はい。ですが、これは不知火個人の問題ですので」

提督「なんで如月をそこまで必死に探すのか、理由を聞いても?」

不知火「……その件については申し上げられません」

提督「だろうな……ああ、楽にしててくれ、今そいつに訊くから」ガチャ

不知火「そいつ……!?」

 RRRR... RRRR...

スピーカーから聞こえる少佐の声『……何の用だ提督准尉』

不知火「!?」

提督「……不知火、お前はちょっと黙ってな」シー

提督「さっき不知火が来たんだが」

少佐『今朝文書で送った通りだ。詳細はすべて不知火に訊け』

提督「如月とかいう艦娘は何かしたのか?」

少佐『いいから黙ってすべて不知火の言う通りにしろ、銃殺されたいのか』

提督「この島には艦娘の遺体がたくさん流れ着いている。艦の特徴は?」

少佐『同型艦があるならすべて回収しろ。貴様とこれ以上話すことはない』プツッ

提督「……相変わらずだな、くそ野郎が」ガチャン

42 = 1 :

不知火「」ボーゼン

提督「? なんだ」

不知火「その、大丈夫なんですか? その……少佐に対する、接し方というか……とても上官に対する態度とは思えないのですが」

提督「ああ、あれには恨みしかねえからな。あれもあれで俺のことは厄介者扱いだし、お互い様だ」

不知火「……あれ、ですか」


不知火「……ここまで険悪ですと、提督には、ご協力いただけないのでしょうか」

提督「……不知火。お前が受けた命令を復唱してくれ」

不知火「はっ。『轟沈したと思われるZ提督鎮守府所属の駆逐艦如月を捜索し、少佐鎮守府へ身柄または遺体を移送せよ』と」

提督「期限は」

不知火「3日間」

提督「もし捜索できなかった場合は」

不知火「……帰還命令が出ています」

提督「で、お前が処分されるのか」

不知火「……! い、いえ」

提督「さっきから、お前の単装砲の妖精が泣きそうなんだがな。おいお前、ちょっと話してみろ」

不知火の妖精「……え?」

妖精「この提督は、私たちと話せるから大丈夫だよ」ヒョコッ

不知火の妖精「あ、あの……!!」

不知火「お、お待ちください! し、不知火が説明いたします……!」

43 = 1 :

 * * *

提督「……なるほどね、お前は今回のこれが初任務か」

不知火「着任後1年以上海に出ることもなく、鎮守府にて雑務……いえ、下働きをしておりました」

提督「中将に会う機会は?」

不知火「不知火には皆無です。秘書艦の赤城さんであってもお会いすることは稀有です」

提督「中将は普段どこにいるんだ? 会う方法は?」

不知火「中将は、少佐の鎮守府の近くの本営宿舎にいらっしゃいます」

不知火「本営とは書類や機材などの運搬のため、日に2回ほど輸送便を出していますが、人の行き来はあまりありません」

不知火「また、中将は足を怪我してからは指揮を執ることはまれで、ずっとデスクワークだと聞いております」

提督「そういや杖をついてたな。中将が鎮守府に来る予定は?」

不知火「おそらく、滅多なことがない限りはその予定はないかと」

不知火「もともと少佐の鎮守府は中将が提督として着任していましたが、中将の昇格に伴い、指揮権を息子である少佐が譲り受けました」

不知火「それ以来、中将は少佐に鎮守府の運営を任せるべく、努めて鎮守府に姿を見せないようにしています」

不知火「それから3年経ちますが……鎮守府は望ましくない方向へ変わった、と、古参の艦娘たちは口々に申しております」

提督「世襲制はろくな結果にならねえな」ククッ

44 = 1 :

不知火「提督の二つ目の質問については、実のところ不知火も掌握しておりません」

不知火「とにかく回収が絶対。そして本件については外に情報を漏らすなと釘を刺されています」

不知火「如月の特徴として『体中に傷がある』と聞かされており、また、発見した如月は拘束し猿轡をして運べと言われています」

提督「つまり、余計なことを喋らせるな、ってこったな。なるほど、なるほどねえ……」ニヤリ

不知火「?」

提督「ほかの鎮守府にも捜索願を出しているのか?」

不知火「はい。ただ、捜索範囲は極めて広範囲であるため人手が足りず……」

不知火「少佐配下の鎮守府には私のような末端の艦娘が、余所の鎮守府には少佐直属の部下がそれぞれ出向いています」

提督「なるほど、つまり戦力が分散してるのか。ますます好都合だ」ニタァ

不知火(今の邪悪な顔は一体!?)ゾクッ

提督「……さてと、どうするかね……」

不知火「……提督、如月の捜索は」

提督「急かすなよ。まあ、とりあえず海岸でも見に行こうぜ」

45 = 1 :

 * 北東の海岸 *

提督「お疲れさんです、何か見つかりましたか」

ダイバー「いえ、潮の流れがいきなり急になったりして、捜索は難航しています」

ダイバー「おそらくこの島の北にある海底火山の影響ではないかと思うのですが……」

ダイバー「おかげで……探している以外の漂流物も多い。ここの海底、見てると泣きたくなりますよ」

提督「あなたがたもあと2日で探してこいと?」

ダイバー「ええ、まあ。無茶ですが、それができなきゃ……まあ、帰って来いと」チラッ

不知火「……」

提督「……苦労なさってますね」

ダイバー「まあ、いろいろひどい話ですよ。この任務が終わったら退職しようかと思ってるくらいですから」

ダイバー「その前に、せめてこの仕事くらいはちゃんと完遂しておきたいんですが、海はそうはさせてくれないですね……」

士官「おい、そのくらいにしとけ。すみません、うちの者が」

提督「……ま、何の話なんだか自分にはわかりませんが」

士官「すみません。ともかく、今日は波も高いので、捜索はそろそろ打ち切らざるを得ないでしょう」

提督「……」

 * * *

不知火「……」

提督「……どうした」

不知火「……不知火は、このまま海へ出ることもなく解体されるのでしょうか」

提督「……お前はどうしたい」

不知火「できることならば、海に出て戦果を挙げたいと思っていました」

不知火「艦娘として生を受けたのですから、生きて、戦って……生きていることを実感したいと」

不知火「……ですが、それは……如月を犠牲にしなければ得られないというのなら、出過ぎた願いなのかもしれません」

提督「……」

46 = 1 :

 * 鎮守府 執務室 *

妖精D「なんだかよくわからないけど、少佐も焦ってるみたいだね?」

妖精A「そのせいで時間がないな」

妖精B「士官やダイバーも発見できなかったら不知火が解体されること知ってたから、明日の日の出から捜索するって言うし」

妖精F「卑怯だよね、不知火を人質にされてる感じー」

妖精E「夕餉にお酒出したら、みんな一緒になって少佐のこと愚痴ってたもんね」

妖精C「如月もそうだけど、不知火も職員の人たちも気の毒だよね」

妖精「ねえ、どうするの?」

提督「……どうしようかね」

提督「如月を渡すわけにはいかねえ」

提督「かといって如月を隠し続ければ不知火が解体される」

提督「余所にも捜索で艦娘を送り出してるらしいし、奴のことだ、放っておきゃあ不知火以外にも飛び火しそうだな」

提督「中将を引っ張り出して解決させようにも、動かせねえ要素がありすぎる」

提督「そして時間もねえときた」

提督「……」

妖精「……」

提督「そうだな……お前、一仕事できるか?」

妖精「わたしが?」

提督「ああ。この島には少佐の息のかかった奴が来てないようだし、お前の手を借りれば何かできそうだ」

提督「不知火から聞いた少佐たちのスケジュールに間違いがなけりゃあ、な」

47 = 1 :

今回はここまで。

49 :

続きです。

50 = 1 :

 * 翌朝 少佐の鎮守府、7時50分 *

少佐「如月が見つかった? 間違いないんだな!?」

通信『はっ! ただ今、如月を乗せ鎮守府へ向けて出港準備中、到着予定時刻はヒトマルサンマルになります』

少佐「よし。ご苦労」プツッ

少佐「……」ピッピッピッ

  RRRR... RRRR...

通信『こちらZ提督鎮守府』

少佐「少佐だ。Z提督に取り次いでくれ」

通信『少々お待ちを……』

通信『……』

通信『少佐! アレの件か!?』

少佐「ああ、見つかったと連絡が入った。ヒトマルサンマルにこちらに到着予定だ」

通信『そうかそうか……この件、余所に漏れてはないだろうな?』

少佐「できる限り、だがな」

通信『ああ、助かる。さすがは少佐、頼りになるな。俺はヒトマルフタマルにそちらへ行ける』

少佐「フ、困ったときはお互い様、というやつだ」

通信『そうだな……フフフ。では、失礼する。また後程』ピッ

少佐(……マルナナゴーマル……そろそろ来客があるが、到着まで2時間あるなら慌てる必要はないな)

赤城(少佐の秘書艦)「少佐、お客様がお見えです」

少佐「ああ、今行く。大事な客だ、誰も近づけるな、他の用事は待たせておけ」


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