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    元スレ鳴上「月光館学園?」

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    851 = 110 :

    鳴上「そっちの部屋、誰かいるのか?」

    「……まずは座れ」


    >返事がかえってきた。

    >ここは素直にその言葉に従ってみよう。


    「ようこそ、告解室へ」

    鳴上「告解室?」

    鳴上「……なんで俺たちはこんな場所にいるんだ?」

    鳴上「お前の仕業なのか!?」

    鳴上「お前は誰だ!」

    鳴上「俺たちをどうしようっていうんだ!」

    「……質問が多いな」

    鳴上「答えろ!」

    「まったく、勝手なやつだ」

    「まあ、いいか。やっとまともに話してくれる気になったみたいだし」

    「こうして会話した事なんて、お前は起きればまた忘れるんだろうけどな」


    852 = 110 :

    鳴上「また……? 何の事なんだ?」

    鳴上「お前、俺と会った事あるのか?」

    「……ほらな」

    「まあ、いいさ。この夢は元々そういう風に出来てるらしいから」

    鳴上「どういう事だ」

    「夢の事を現実に持ち込まれたら困るから、忘れさせるようにしているみたいだな」

    鳴上「……さっきから、『らしい』とか『みたい』とか言ってるけど」

    鳴上「お前もよくわかってないのか? ここの事」

    「俺はこの夢の管理者」

    「……の、代行人だ」

    「けど、実際は上手いことこの夢に干渉しているだけの存在に過ぎない」


    853 = 110 :

    「だから、この夢が本来どういう意図を持っているかなんて俺の知った事じゃない」

    「というより、俺にはどうでもいい事だ」

    鳴上「どうでもいい?」

    鳴上「何だよそれ……下手したらここにいる羊たちがみんな死ぬかもしれないんだぞ!」

    鳴上「そんな風に考えている時点で、代行人だろうがなんだろうがおまえにも罪がある」

    「俺に罪?」

    「お前が俺にそんな事を言うか。……面白い」

    「しかしな、俺がこの夢の中で干渉出来るのはお前だけなんだ」

    鳴上「え……?」

    「そして、俺にとって用があるのはお前だけなんだよ、鳴上悠」

    「俺は今、お前に問いたい事があってここにいる」


    854 = 110 :

    鳴上(何故、俺の名前まで知っている? こいつは……)

    鳴上「わかった」

    鳴上「……答えればここから出してくれるのか?」


    「いいや、それは無理だ」

    「朝がきて目が覚めればそれは可能だろう」

    「でも、それまでにここで落ちて死ぬような事があれば……」

    「お前にその朝は永遠に訪れない」

    「もちろん、夜がやってきて眠りにつけばまたこの世界にやってくる事になる」

    「その繰り返しって訳だ」

    鳴上「それを終わらせるには?」

    「ひたすら上を目指すしかない」

    「……としか今は言えないな」


    855 = 110 :

    「その場に立ち止まっていても崩れるだけなんだ、それしかないだろ?」



    「さて……いい加減、こちらの質問にも答えて貰おうか」

    「そうしたら次のエリアに案内しよう」

    「質問に対して出された選択肢のうち、どちらかを選んでくれればいいだけだ」


    機械的な声「第一問です」


    >告解室からする声とはまた別の声が聞こえてくる。


    機械的な声「貴方は人付き合いが積極的な方ですか?」

    機械的な声「近いと思う方のロープを引っ張ってみてね」


    >目の前に『はい』という文字の浮かび上がるロープと、『いいえ』という文字の浮かび上がるロープが垂れ下がってきた。


    856 = 110 :

    鳴上「……」

    鳴上「おい」

    「どうした?」

    鳴上「思わせぶりな事を言っておいて、この質問はなんなんだ?」

    鳴上「こんなものに答える事に意味があるのか?」

    「……質問してるのはこっちなんだが」

    「いいから早く」

    鳴上「……」


    >釈然としないが、仕方なく片方のロープを引っ張った。


    「へえ、そっちか。なるほど」

    「……じゃあ、この告解室の説明をしようか」

    「この告解室はな、ここにやってくる羊たちの命の価値を見定める場所なんだとさ」


    857 = 110 :

    「質問の答え次第で、その命を救うべきか摘むべきか決めるとか……」

    「そう本来の管理者から聞いている」

    鳴上「命の価値を見定める? どうして、他人にそんな事をされなきゃならないんだ!」

    「さあ、なんでだろうな?」

    鳴上「それもお前には興味のない事か」

    「……」

    「俺はお前の口から語る答えが聞きたいだけだ」

    「お前の命の価値を計りたいというよりは……」

    「お前の中に存在している価値を、俺は知りたい」

    「……俺は別に、お前がここで死ねばいいとか思ったりはしてないしな」

    「ただそれと同時に、ここで死ぬような事があったりしても、それはそれでいいんじゃないかとも思ってる」

    「その時は……所詮、鳴上悠はそれしきの人間だったっていう話で終わるだけだ」

    「だから俺は、お前の話を聞く事はあっても、殺しはしないし助けたりもしない。絶対に」


    858 = 110 :

    鳴上「なんでそんな……」

    「少し喋りすぎた」

    「後がつかえている。先へ行こう」

    鳴上「っ!?」


    >入り口のカーテンがひとりでに閉まり、急に告解室が激しく揺れ出した。

    >そして、告解室がそのまま上昇していく。

    「次を登りきる事が出来たら、また会おう」


    >……


    >告解室の動きが止まり、カーテンが開いた。

    >中から出ると、目の前にはまた石の山場が待ち構えていた。

    >告解室は勢いよく下へとおりてしまいもう引き返す事も出来ない……


    鳴上「……登ればいいんだろ、わかったよ」


    859 = 110 :

    >……

    >今回の山場は、やけに脆い足場が多かった。

    >さらに、自分以外に羊がいて邪魔なせいで、なかなか思うように先に進めない。

    >進む途中で羊とぶつかって落ちそうになったり、逆に羊の方が落ちていってしまったり……

    >そんな事を繰り返しながら、また吊り輪が下がっている一番上の石までやってきた。

    >それを引っ張ると、さっきと同じように階段が上へと伸びていった……

    >……


    鳴上「そしてまた踊り場と告解室……か」


    >踊り場には登ってきた他の羊たちもいる。

    >みんな疲れているのが見ただけで解った。

    >しかしそれでも、上へ登る為の技を研究し話し合っている羊なんかもいる。

    >ここから抜け出す事を、完全に諦めている訳ではないようだ。


    860 = 110 :

    >……その中で、明らかに異質な羊を一匹見つけてしまった。

    >数匹の羊が、その羊のところに群がっているのだが……


    羊人間A「おい、コレをひとつくれ!」

    羊人間B「俺にも!」

    羊人間C「俺はソッチのヤツ!」

    「コレは8000、ソッチは10000ね!」


    >どうやら何かを売りさばいているようだ。

    >その声に、聞き覚えがあるような気がする……

    >群がる羊たちが散ったのを見計らって傍に寄ってみた。


    鳴上「トリッシュ……お前、こんなところで何してるんだ」

    トリッシュ「fm……その声は」

    トリッシュ「Hi! 悠」


    >思った通り、トリッシュだった。

    >他はみんな同じような羊に見えるのに、トリッシュだけは明らかに羊のコスプレをしているだけのような風体なのですぐにわかったのだ。


    861 = 110 :

    鳴上「トリッシュもこの世界に連れてこられたのか?」

    トリッシュ「違うよ。ボクは連れてこられたんじゃなくて、自分からやってきたのさ!」

    鳴上「なんでまた」

    トリッシュ「迷える羊たちの救済に!」


    >トリッシュはとても機嫌が良さそうに見える。

    >その理由はなんとなくわかるような気がした。

    >トリッシュの周りには大量のコインが積まれていたのだ。

    >羊人間に何かを売りつけて得たものに違いない。


    トリッシュ「悠も何か買っていきなよ」

    鳴上「買うって……何を?」

    トリッシュ「ここを登りきる為の、お助けitemだよ!」


    862 = 110 :

    鳴上「お助けアイテム?」

    トリッシュ「何もないところに置ける白い石や、特殊な石を普通の石に変える事が出来たりするベルとか……」

    トリッシュ「あと今のオススメは、この枕かな」

    トリッシュ「いかなる衝撃も吸収! 高いところから落ちても痛くない! 心地よい眠りをお守りしマス♪」

    鳴上「ふ、ふーん……」


    >一瞬胡散臭くも感じたが、場合によっては使えそうなものが揃っているようだ。


    トリッシュ「ここを登ってくる時にコインを拾わなかった? それと交換だよ」


    >そういえば、そんなものを拾っていた気がする。


    863 = 110 :

    鳴上「もう随分儲けてるみたいだけど、まだ絞れるところから絞りとる気なのか……」

    トリッシュ「何言ってるの!? まるで足りないよ!」

    トリッシュ「ああ、それにしても金が欲しい……! 円で! ドルで! マッカで!」

    トリッシュ「お金で買える命がここにはあるけど、命でお金は買えないんだよ!?」

    トリッシュ「……コホン。とにかく、買うの? 買わないの?」

    鳴上「うーん、それじゃあ……」


    >手持ちで買える範囲で使えそうなアイテムを吟味してトリッシュから購入した。


    864 = 110 :

    トリッシュ「Thank you!」

    トリッシュ「これで、無事に生き残れるといいね!」

    トリッシュ「なんか次は『デカい』のがくるってみんな噂してるみたいだから気をつけて!」

    鳴上(デカいの?)

    トリッシュ「持ってるitemで無理そうだったら、また何時でも他のものを買いにきてね」

    トリッシュ「See you again! have a nice dream!」



    『ⅩⅣ 節制 トリッシュ』のランクが3になった



    >……そろそろ告解室へ行こう。

    >……


    865 = 110 :

    告解室


    鳴上「……来たぞ」

    「よお。まずはそこに座ってからだ」


    >すすめられるまま、腰を掛けた。


    「さて、ここでひとつ朗報だ」

    「この階層……『罪人監獄』は次のエリアで終了になる」

    「上手く登りきれればその頃には朝を迎えている筈だ」

    鳴上「!」

    鳴上「じゃあ、早く連れていってくれ」

    「そう急くなよ。もうひとつ、ここの管理者からお前に伝言がある」

    「生きてここから抜け出したくば、最上階にある“カテドラル”を目指せ」

    「……との事だ」

    鳴上「“カテドラル”……?」


    866 = 110 :

    鳴上「その管理者ってのが何故俺にそんな事を?」

    鳴上「そいつには会えないのか?」

    「残念ながら、管理者は今忙しいみたいでね」

    「この世界の修復に手間取っているようだ」

    鳴上「世界の……修復?」

    「まあ、その辺の詳しい話も追々してやるよ」

    「無事に生きていられたらな」

    「……さあ、今夜最後の質問に移ろうか」

    鳴上「まだあのふざけた質問をする気なのか!?」

    「たった一問で、お前の中の価値を見極められる筈ないだろ」

    「言っておくけど、これをやらないと先に進まないからな?」


    867 = 110 :

    鳴上「くっ……」


    機械的な声「第二問です」

    機械的な声「年の離れた相手でも、恋愛対象になりえますか?」


    『はい』と『いいえ』のロープが垂れ下がってきた。


    鳴上(だからなんなんだよ、この質問は………)

    鳴上(……)

    鳴上(こっちかな)グイッ

    「ふーん……? へえ……?」

    鳴上「何か文句があるなら受け付けるぞ」

    「いやいや」

    「オッケー、記録した」

    「それじゃあ、この階層の最終エリアへ……」

    「っと、その前に」

    鳴上「まだ何かあるのか?」

    「大事な事を言い忘れていた」


    868 = 110 :

    「お前の持っているワイルドの力……ここではなんの役にも立たない事を、身を持って知るといい」

    鳴上「!?」

    鳴上「なんでお前がその事をっ……」

    「上へ行くぞ」

    鳴上「なっ!?」


    >告解室が上昇を始めた……

    >……


    >最終エリアに到着した。


    鳴上「……どういう事だ」

    鳴上「あいつの言った通りだ」

    鳴上「ペルソナが呼べない……」


    >いくら試してみても、ペルソナが現れない。

    >召喚器がない事が原因だろうか。


    鳴上「何故あいつは俺の力の事まで知っている?」

    鳴上「……」


    869 = 110 :

    鳴上「ここで立ち止まって考えてもわかる事じゃないか」

    鳴上「崩れる前に登ろう」

    鳴上「……そういえばデカいのがくるって一体なんの事なんだ?」

    鳴上「!?」


    >急に周りが振動し始めた。

    >下から大きな影が迫ってくる……!





    『愛にギモンをかんじたら、魔法の力で速効解決!!』

    鳴上「?」

    『素行調査は弊社にお任せっ!』

    鳴上「……え?」

    『キラッと登場! キラッと解決!』

    鳴上「え? え?」

    『魔女探偵ラブリーン!』





    『蜂の巣にされたいかッッ!!!!!!』


    870 = 110 :

    >足場の下からやってきたのは……

    >巨大なラブリーンと魔女犬だった。



    鳴上「なっ……」

    鳴上「なんだよこれはあああああ!!」

    『犯人はアヤツですぞ!』


    >魔女犬が、こちらに向かって突進してくる!

    >足場に衝撃がきて、そこから落ちそうになってしまった……!


    鳴上「くっ……こんなところでっ」

    鳴上「死んでる場合じゃない!」


    >必死でよじ登り、上へ向かった。

    >ラブリーンと魔女犬は次々と容赦なくその邪魔をしてくる。


    『吾輩を太陽にかざすのだ!』


    >ラブリーンが虫眼鏡を上へかざすと、熱が集まり足場が溶けていく……

    >それを巧みにかわしつつ、ゴールはまだかと急ぐ……!






    871 = 110 :

    ゴーン…… ゴーン……


    鳴上「鐘だ……! もうすぐか!?」


    >あともう少しで頂上のようだ。

    >……そこには吊り輪ではなく、扉が見える!


    鳴上「つっ……」

    鳴上「ついた!」


    >扉に手を伸ばし、取っ手を思い切り引っ張った。


    鳴上「!?」


    >扉から出ようとしたところで、ラブリーンの虫眼鏡のステッキが長く伸び……

    >こちらに向かって大きく振り下ろされたのが目に映った。


    鳴上「ぐっ……!」

    鳴上(ここまでなのか!?)


    >しかし間一髪というところで、扉の中から放出される光が鳴上を守るかのごとくそれを吹き飛ばしていく――



    ギャアアアアアアアア!!!!!!



    >凄まじい断末魔と共に、ラブリーンと魔女犬は跡形もなく消え去っていった……

    >そのうちに、急いで扉から脱出をした。



    「おめでとう。これで罪人監獄は終わりだ」


    >告解室にいた代行人の声がする……


    「明日の夜が今から楽しみだ……フフッ」


    872 = 110 :

    >…
    >……
    >………



    2nd day


    05/09(水) 曇り 自室


    【朝】


    鳴上「ッ――」

    鳴上「……あ、れ?」

    鳴上「また変な夢か……」

    鳴上「よく思い出せないけど」

    鳴上「……」

    鳴上「昨日の夜の記憶も、ない」


    >昨日、クラブに行ってからいつ寮に戻ってきたのかさっぱり覚えていない。


    鳴上「最近変な事が続いてるな……ん?」


    >ベッドから起きあがると、左腕に不思議な重みを感じた。

    >そちらへ視線を向けてみる。


    鳴上「……え」


    >左腕に絡みついていたのは

    >自分以外の人間の腕だった。


    873 = 110 :




    >自分のベッドで、隣に知らない女が気持ちよさそうに寝ている……


    鳴上(え、)

    鳴上(えええええええええええええええっ!?)



    874 = 110 :

    終わります。

    また次回。

    875 :

    おー、誰だ!?
    乙!

    876 :

    >自分のベッドで、隣に知らない女が気持ちよさそうに寝ている
    oh...乙

    877 :


    さすがは天性のコマ師、老若男女人間動物さえ見境なく魅了していくね

    878 :

    知らない女…
    いったい何者なんだー(棒

    879 :

    そういやみゆきちがcvだったな

    880 :

    みゆきちと言えば、
    エリザベス
    チドリ
    cキャサリン

    さあどれ!?

    881 :

    ショタ好きなので神郷結祈と洵君に一票!

    882 :

    鳴上(な、なんだよこの子! 誰だよ!)

    鳴上(というか、どうして一緒のベッドに!?)

    鳴上(ダメだ……! 何一つ思い出せない!)

    鳴上(とりあえず、この腕をどうにか……)

    「……ん」

    鳴上「!!」


    >女の目が開いた……

    >視線が合って、数秒時が止まったような感覚を覚える。


    鳴上「……」

    「……」

    鳴上「……あ、あの」

    「……ふふ。なあに?」

    鳴上「一体どちら様でしょうか……」

    「ひっどーい!」


    >女は勢いよく起きあがると、体を突き飛ばしてきた。

    >その勢いで、再びベッドに横になってしまう。


    883 = 110 :

    鳴上「痛っ……」

    「貴方の方から誘ったくせに! 普通そういうこと言う?」

    鳴上「は? え?」

    鳴上「誘っ、た? 君を?」

    鳴上「……俺が?」

    「そうだよ。覚えてないの?」

    鳴上( 覚 え て ま せ ん )

    「昨日クラブで顔色悪そうにしててさ」

    「ひとりで帰すの心配だったから、部屋まで付き添ってあげたんじゃない」

    「そうしたら、貴方が……」

    「今夜は帰さないって」

    「それでその後、」

    鳴上「わああああああ!!」

    鳴上(う、嘘だっ、誰か嘘だと言ってくれ!)


    >そんな事を言われてもまったく思い出せない。


    884 = 110 :

    「ふふ。照れちゃってかわいいー」


    >混乱しているうちに、女が上からのしかかってきた。


    「気持ちはわかるけどね?」

    「私だって、その……あんなの初めてだったし」


    >女は顔を赤らめながら恥じらっている。


    鳴上(あんなのって、何だ!?)

    「でも、誘われれば誰でもいいって訳じゃないから」

    「貴方の事、気に入ったからそうしたんだから。そこんとこ誤解しないでね?」

    「悠」


    >女の顔が、徐々に自分の目の前に近寄ってくる。

    >何故だか、迫る彼女の瞳から視線を逸らす事が出来ない……


    885 = 110 :

    鳴上「っ……」

    「……」

    「ああー!!」

    鳴上「うわああああ! ごめん! 俺が悪かった!」


    >意味もなく勢いで謝ってしまった。


    「悠、ガッコウ……だよね!?」

    「私も、もう行かないと!」

    「じゃあ、またね!」


    >女は身なりを素早く整え、部屋から急いで出て行ってしまった。


    鳴上「……」

    鳴上「どうしてこうなった……」

    鳴上「って、あんなに騒いでみんなに見つかったらヤバいだろ!」


    >特に、女性陣に気付かれたら何を言われるかわからない。

    >急いで部屋から出て女を追いかけた。


    886 = 110 :

    学生寮 階段


    アイギス「おはようございます、鳴上さん」

    メティス「おはようございます」

    ラビリス「おっはよー」

    鳴上「うわああああ!! おはようございますうううう!!」


    >三階に続く階段から降りてきた三人と遭遇してしまった。


    ラビリス「えっ、ちょ……悠?」

    アイギス「どうかしたんですか?」

    メティス「体温・心拍数・呼吸……普段の鳴上さんのそれとは異なっています。異常なほどの発汗も見受けられるようですが」

    アイギス「具合、悪いんですか?」

    鳴上「いやっ、あのっ……」


    887 = 110 :

    美鶴「おはよう、みんな。どうした、こんなところで揃いも揃って」

    鳴上「あああああ、本日はお日柄も良くうぅぅぅぅ!!」

    美鶴「……今日は曇っているぞ?」


    >一階から美鶴も昇ってきた。


    鳴上(つ、詰んだ……これは確実に詰んだ!)

    鳴上(……って、あれ?)

    鳴上「あの、桐条さん。一階で……誰かを見ませんでしたか?」

    美鶴「ん? 一階で?」

    美鶴「……」

    美鶴「ああ、見たな」

    鳴上「ッ――!?」

    鳴上(お、終わった……なんて説明すれば……)

    美鶴「コロマルがお腹を空かせてそわそわしているようだったが」


    888 = 110 :

    鳴上「そう、そのコロマルなんですが……え、コロマル?」

    美鶴「ああ。コロマルがどうした?」

    鳴上「あ、いえ……」

    天田「騒がしいですけど、何かありましたか?」


    >天田まで部屋から出てきてしまった。

    >集まる視線が痛い……


    コロマル「ワンッ!」

    メティス「コロマルさんが呼んでいるようです」

    アイギス「そうそう、コロマルさんにご飯をあげに行くところでした。ちょっと失礼しますね」


    >アイギスは一階へと降りていった。


    ラビリス「悠、もしかして寝ぼけてる? まだそんな格好のままやし」


    889 = 110 :

    ラビリス「また変な夢でも見たんと違う?」

    鳴上(夢……そうだったらどれだけ良い事か)


    >しかし、誰もあの女の事には気付いていないようだ。

    >とりあえずこの場は何も言い訳しなくて済みそうだ。


    ラビリス「ウチらラウンジで待ってるから、はよ悠も支度して来てな!」

    鳴上「……あ、ああ」


    >自分の部屋へと逃げるように戻った。



    自室


    >今まで気付かなかったが、携帯を見ると着信とメールがそれぞれ一件ずつ入っているのが確認できた。

    >どちらとも菜々子の携帯からのものだった。

    >時間は昨日の夜だったが……

    >おそらく、クラブにいた頃だ。

    >無視する形になってしまっているので、きちんと謝らなければ。

    >今の時間ならまだ学校に行っていない筈なので、急いで菜々子の携帯にかけてみた。


    890 = 110 :

    prrrr……


    菜々子『お兄ちゃん!? おはよう!』

    菜々子『わあい、お兄ちゃんから電話だ!』

    鳴上「おはよう菜々子。昨日は電話に出れなくて、しかもこんな時間に電話してごめんな。すぐ謝っておきたくて……」

    鳴上「何か用事だったか?」

    菜々子『ううん。ただ、急にお兄ちゃんの声が聞きたくなっただけ、なんだけど……』

    菜々子『……』


    >菜々子は急に黙ってしまった。


    鳴上「菜々子?」

    菜々子『……あ、うん。えっと』

    菜々子『お兄ちゃん……だいじょうぶ?』

    鳴上「えっ? 何が?」


    891 = 110 :

    菜々子『あのね、菜々子ね、昨日の夜とつぜんいやなヨカンを感じたの』

    菜々子『お兄ちゃんの身に何かキケンがせまってるような、そんなヨカン』

    菜々子『特に理由があった訳じゃないんだけど……』

    菜々子『これって【おんなのカン】っていうのだよね?』

    鳴上「へ、へえ……」

    菜々子『それでお兄ちゃんに電話とメールをしてみたんだ。そのあと、菜々子ねむくてすぐ寝ちゃったみたいなんだけど……』

    菜々子『だから、朝からお兄ちゃんの声がきけてよかった!』

    菜々子『……何もないよね? お兄ちゃん?』


    892 = 110 :

    >菜々子の言葉が胸に刺さる……

    >自分に何があったのか記憶がないからこそ、余計に心が痛い。


    菜々子『あ、菜々子もう学校いかなきゃ!』

    鳴上「そうだったな、長々とごめんな」

    菜々子『だいじょうぶ! じゃあまたね、お兄ちゃん』


    >菜々子との通話が終了した。


    鳴上「ヤバい。菜々子の勘がヤバい」


    >さっきまでの事は、犬に噛まれたとでも思って早く忘れてしまおう……

    >今は、学校に急がないといけない。

    >……


    893 = 110 :

    通学路


    メティス「ところで鳴上さん。昨夜はお出かけになられていて遅かったようですが、どちらに?」

    鳴上「えっ」

    鳴上(気にしないようにしてる矢先に傷口を抉られた……)

    メティス「おかげで報告が遅れてしまいました」

    鳴上「報告?」

    メティス「はい。アイギス姉さんも、美鶴さんも、天田さんも、マヨナカテレビらしきものは確認していないとの事です」

    鳴上「!」

    メティス「ちなみに昨夜もそうです」

    鳴上(そっか。昨日も夜まで雨が降っていたのか……)

    メティス「鳴上さんはどうでしたか?」


    894 = 110 :

    鳴上「いや。昨日は見ていないな」

    鳴上(そもそもテレビの様子を確認出来てなかった訳で……)

    鳴上「でも、一昨日の夜は確かにマヨナカテレビを見たんだ。裏付けもとれたし」

    鳴上「それに、マヨナカテレビに映っていた内容も思い出したよ」

    ラビリス「ホンマに? それで結局どんなんやったん!?」


    >二人に自分が見たマヨナカテレビの内容を話した。

    >そして、それが三年前や今現在噂になっている話と同じである事。

    >更に、昨日出た衰弱死事件にその噂が絡んでいるかもしれないなどという話まで広がっている事を説明した。


    895 = 110 :

    ラビリス「夢の中で落ちた時、そのまま目が覚めないと現実で死ぬかあ……変な噂やね」

    メティス「それにしても、なぜ鳴上さんだけがそのマヨナカテレビを目撃しているのでしょうね」

    メティス「もしかして、鳴上さんの部屋にあるのは特殊なテレビだったりするのでしょうか?」

    鳴上「そんな事ないと思う。市販されてるどこにでもある普通のテレビだ」

    メティス「そうですか……」

    メティス「ところで、その話が関係しているかもなどと言われている昨日の衰弱死事件ですが……」

    メティス「どうやら亡くなっているのは一人だけではないようですね」


    896 = 110 :

    鳴上「えっ!?」

    メティス「昨夜のニュースで確認しました。昨日だけで、似たような死体が三人ほどあがったとか」

    ラビリス「美鶴さんが不審がって、昨日遅くまでその事を調べてたみたいやね」

    鳴上「無気力症が流行っていた時にも連続で起きていた事件らしいからな」

    鳴上「その原因は未だに解っていないって話だし……」

    メティス「シャドウが関係しているのかもしれないという事ですね」

    ラビリス「さっき言ってた妙な夢をシャドウが人間に見せてるとか?」

    鳴上「どうだろうな」

    ラビリス「そういや、悠が見たっていう変な夢の方は思い出せたん?」

    鳴上「ん……そっちの方はさっぱりだ」

    ラビリス「もしかしてそれが落ちると死ぬ夢だったりしてなー、なんて」

    鳴上「ははっ、そんな事ある訳ないだろ」

    鳴上(……まさか、な)


    897 = 110 :

    >……


    【放課後】


    月光館学園 3-A 教室


    >午前中で授業が終わった。

    >今日は、進路指導の最終日だ。

    >メティスとラビリスはその件でもうしばらく学校にいなければならないようなので、先に帰らせてもらう事にした。

    >帰ったら、例の衰弱死事件の事や噂の事などもう少し調べてみようか。

    >……


    辰巳ポートアイランド駅前


    >久しぶりにゴスロリ服の少女をここで発見した。

    >例のごとく、チドリがスケッチブックに絵を黙々と描いている。


    鳴上「久しぶり、チドリ」

    チドリ「……悠?」


    898 = 110 :

    チドリ「こんにちは」


    >チドリは一瞬だけ手を止めてこちらに視線を移したが、すぐにまたスケッチブックに集中し始めた。

    >鉛筆をそのまま走らせながらだが、チドリは言葉を続ける。


    チドリ「このあいだは……どうも」

    鳴上「ああ、うん。無事に会えたみたいだな、順平さんと」

    チドリ「ええ」

    鳴上「順平さん、また来るって言ってたけど、もしかして今日?」

    チドリ「……さあ、どうかしら」

    鳴上「……」

    鳴上「でも、その顔は、順平さんを待ってるって顔だ」

    チドリ「……」


    899 = 110 :

    鳴上「なあ、この間から気になってたけど、順平さんの連絡先知らないのか? 電話番号とか住所とかメールアドレスとかさ」

    鳴上「どうしてそうやって、来るかもわからない時にこんな場所でいつも待っているんだ?」

    チドリ「余計なお世話」

    鳴上「……ごめん」

    チドリ「……」

    チドリ「携帯の番号は、知ってる。聞いてもいないのに教えてくれたから」

    チドリ「でも、私は携帯持ってないし、電話って好きじゃない」

    チドリ「離れていても、簡単に繋がる事が出来るものなんて……」


    >チドリは黙ってしまった。


    900 = 110 :

    >彼女の考えている事は、顔色をうかがってもよくわからない……

    >話題を変えた方がいいのだろうか。


    鳴上「えっと……あ、そうだ」

    鳴上「俺、美術部に入ったんだよ」

    鳴上「まだ、これといってまともな活動してないけど……でも、絵が描けたらチドリにも批評して欲しいな」

    チドリ「……ふうん?」

    チドリ「気が向いたらね」

    鳴上「チドリは今日、どんな絵描いているんだ?」


    >チドリのスケッチブックを覗き込んでみた。

    >そこには、ポートアイランド駅前の風景の中をたくさんの羊が行き交う絵が描かれている。



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