元スレ刹那「別世界のガンダムだと…?」
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851 :
ここまで一気に読んだ
初期に比べると格段に描写が上手くなってるな~、面白い!
853 :
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一方でガロードは自身の戦う手段の元へ駆けつけていた。
機体の整備場にはビーチャ筆頭のジャンク探し少年ら4人とメカニック、ガロードに用意された
突撃砲形態をとる陸戦強襲型ガンタンクの姿があった。
「バクゥの部品を使っていじったのよ」
イーノ「急場しのぎの処置だけどね。走行には問題ないはずだよ」
ガロード「サンキュー。で、お前らは」
メカニックとイーノから離れて傍観をしている三人に目を向ける。
ビーチャ「脱出に役立ったにも拘わらずトラックのすし詰めには遺憾である!」
モンド「そーだそーだ!」
ガロード「そういうことね。もう戦争はこりごりだって言ったくせに」
ふとぶすったれた表情のエルに目を留めた。ガロードが声を掛けようとするとモンドが傍によって耳打ちする。
モンド「エルが戦うって言い出したからさ」
ガロード「へぇ……。なるほどな」
ビーチャ「おいなんだ、モンド!俺たちはなぁ、待遇を良くするために仕方なく出てやるんだ!」
エル「今度はあたしが戦うっていうんだよ!」
ビーチャ「俺は一度戦ってMSを仕留めてるんだぞ!引っ込んでな!」
二人の口げんかを他所に、ガロードはメカニックから陸戦強襲型ガンタンクの説明と
今回の作戦における役割を聞く。
襲撃があればの話であるが、その時は前に出て戦って守って見せると、心の中で決意をしていた。
854 = 853 :
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艦橋ではドモンたちの進入後に現れた変化に対応を迫られていた。
探検者達と本隊との通信の分断、高度な機器による情報収集能力への妨害。
都市からのミノフスキー粒子の拡散は自分たちの内を明かさないという意志の表れである。
「ミノフスキー粒子は今後も拡散を続け、ガンダムへの通信影響がかかります。妨害状況計測の結果を出します」
クラウス「……MS隊発進。警戒に当たらせる」
シーリン「まさか待ち伏せを」
クラウス「状況が予測以上だ。相手との戦闘は避けられないかもしれん―――シロー君、
そっちは君たちに任せる」
855 = 853 :
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かつて有数の経済都市であった名残を見せる廃墟の中で、
ドモンたちは縄張りを侵犯する者たちへの対応を取り仕切った者とMS同士で対峙していた。
彼らは凹凸のある朽ちた建物の欠片が落ちている道路の大交差点で佇んでいる。
この都市を占める者たちの代表者が乗っているらしいMS。
それはMS用の火力増強を兼ねたバイクのように跨って乗り込むサポート支援メカに搭乗し、
メカが持つ正面先端の砲口を並び立つゴッドガンダムたちに向けていた。
MSA-003ネモ・・・FXA-08Rメガライダー搭乗
待っていたかのようにそこにいたMSネモと遭遇して間もない中、シローは考えを巡らせる。
Ez-8はビームライフルと専用シールドにウェポンラックを背負い、ターンエーとゴッドガンダムはから手である。
こちらから戦闘を仕掛けるつもりはない。銃口は下を向いたまま立っているだけだ。
相手は、そのバイクの大砲を見た印象から、遠くで狙い撃つことも出来たはず。
武装で威圧しての交渉目的なのだろうか?
あちらが散布したであろうミノフスキー粒子はセンサーや通信能力を刻一刻と蝕んでいく。
突然、ロランがコックピットのカバーを開けると立ち上がり、そのパイロットスーツの生身を晒した。
ロラン「僕たちには攻撃の意思はありません!この先にいる仲間たちの元へ行くために、ここを通らせてほしいんです!」
ターンエーと共に両手を揚げて力いっぱいの声を出して呼びかける。
シローには今の状態で攻撃の意志が無いことを訴える行動としては間違っていないやり方に見えた。
ロランに倣おうと考えた。しかし、自身の勘が相手の確かな戦意を感じていた。
ドモンの方は確かに相手の戦意を感じ取っていた。コックピットの中でいつでも行動に出られるよう身構えていた。
856 :
お、続ききてるな
857 :
対してMSネモのパイロット、ヤザン・ゲーブルはコックピットの中でその牙をいざ剥かんとした。
ヤザン『目的はそうじゃないんだろう?ガンダム!』
滾らせていた戦闘意識が言葉となり溢れ出す。
ヤザン『地球と宇宙に混乱を与えて、新たな新世界を創りだすんだっけ?』
シロー「は……?」
ロラン「待ってください!そんなこと僕たちは考えていません!」
ヤザン『レジスタンスに身を置いているのは混じっている反地球政府、反コロニー連合の奴らに働きかけるためだろう!
俺は地球軍の宇宙部隊としてお前たちと戦い、次は地球で―――
しかもコロニーの奴らとの戦いに割り込まれた!二度やられたぁ!』
ヤザンはコックピットの中で恨み言を喚いた。
その姿は一見、明かした来歴とは離れた土煙で汚した草臥れのマントとテンガロンハットの装いで転落の程を示しているが、
その内側は軍人時からのノーマルスーツを着込み、現環境を物ともせず身体も生き生きとしている。
視線は獲物を捕らえ、笑っていた。
ドモン『ロラン、ヤツに話し合いの意思はない!』
危険を知らせるが、ロランは承知で続ける。
858 = 857 :
ヤザン『貴様たちの目的はどうだっていいさ。ガンダムに借りを返せさえすればいいんだ!』
メガライダーの砲にエネルギーの充填が始まる。砲口に光が宿った。
ロラン「駄目か……!」
ドモン『ロラン、退けっ!!』
シロー『ロラン!判っているだろう!』
ロランは急いでコックピットのなかに戻る。
ヤザン「遅いんだよぉ」
メガランチャー・ビームが充填されたのを察知してEz-8とゴッドガンダムはたまらず離れた。
相手の砲口が光を発したときに止まっていたターンエーが取っていたのは、
左足を引いて右足を前に突き出して股間部のコックピットを守り、胴の前で両腕を交差させた姿勢だった。
そして前に出していた右わき腹を中心にビームの直撃を受けた。
シロー「ロラーーン!!」
859 = 857 :
ターンエーは仰向けになって地面に倒れた。
受けた部分に多少凹みこそ出来ているが、装甲が溶解した様子もない。
ヤザン「メガランチャーの充填は十分だったはず……!」
ヤザンは狼狽えるも直ぐに次の作戦の為にメガライダーをそのまま後退させて反転、走り出した。
ドモン「俺はヤツを追う!」
シロー「ミノフスキー粒子の濃度は上がっている!通信だけじゃない、センサーも鈍くなるんだ!」
ドモン「油断はしないさ!」
ゴッドガンダムはバーニアを吹かしてMSネモとメガライダーの後を追い、Ez-8はターンエーの傍に寄った。
シロー「なんて頑丈な」
目の光は消えていた。
自身とパイロットを守り抜いた機体は機能停止に陥ったらしい。
コックピットの方を見ると、不透明カバーで見え難いが復旧を急ぐ無事なロランの姿は窺えた。
周囲は寂れて欠けた高層ビルが並び、こちらは道路のほぼ中心。崩れて重なったビル含む建造物の残骸はMSにとっても身を隠す場になる。
まんまと罠に嵌められた状況だった。
空は雲が掛かって陽の光は遮られている。影での判断も難しい。
こちらの情報をどれだけ掴み、作戦を立てたかがシローの不安だが、今はこの場を切り抜けることに考えを替えた。
ヤザン「ヒゲのガンダムの小僧め……!」
早々にガンダム一機撃破という戦果を挙げられた所を無効にされてしまったヤザンは
無事であろう敵パイロットへ向けて怒りを募らせていた。
大砲の前に生身を晒す無謀を行ったかと思えば、自身の保護をしっかり考えていたということの生意気さと、
またもやガンダムにしてやられたことに苛立ちを覚えるのだ。
しかし一機がこちらを追い掛けていることに、考えを改めて闘志を燃やす。作戦はまだこれからだった。
ヤザン「陽動以上の戦果を挙げてやるよ」
860 = 857 :
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レジスタンスは作戦開始時の都市との距離を変えず、此処目立って遮るもののない、ほぼ平地の場で襲撃者を迎え撃つことに決めた。
この決定は帰投するガンダムたちに余計な混乱を与えることを避けるのもあったが、
難民の護衛と移動が急な変更に向かない点も影響していた。
相手もそれを待っていたかのような機動兵器で以って襲い掛かる。
戦闘車両_戦闘バイク甲型
ZMT-A03Gモビルアーマーガリクソン
計六機の巨大バイクたちはその内一際大きいバイクに随伴してレジスタンスの群れに向けて突っ走る。
レジスタンスのMS隊は既に展開が済んでおり、ロッキー級陸上戦艦や難民用トラックの集団からさらに都市へ近づいた場所に布陣していた。
指揮官仕様含むイナクトが三機空中で待機し、一機……赤茶らしき色のイナクトはソシエの駆るカプルと共に地上で待ち構える。
その間を置いた隣に、突撃砲形態の陸戦強襲型ガンタンクがいた。
搭乗者のガロードは、レジスタンス本隊の守りになったリーオー―――ビーチャの不満を聞いていた。
ガロード「そう言うなよ。もしもここを突破されたらお前が頼りになるんだぜ」
ビーチャ『お……おう!もってこい!』
ソシエ『ダメに決まってるでしょーが!!』
ビーチャ『プライベート回線に割り込んでくるなよ!』
『オープン回線だぞ。筒抜けだ』
ガロード「ビーチャぁ……」
『ガロード。お前の機動力も頼りだ。しっかりやれよ』
ガロード「おう!―――ガンタンク、行くぜぇっ!」
861 :
敵はドゥカー・イク、レンダ(Vのバイク乗り)とサーシェスっぽいな
862 = 857 :
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シロー「ようやく見覚えのあるやつが出て来たな」
ビルの物陰から現れた……というよりはみ出たモノにすかさず機体識別の検索を掛けると、
シローはついそんな言葉を漏らしていた。相手の動きを判断する材料として、
これ幸いと思うのと、作戦を崩すため、揺さ振りをかけるためにEz-8のビームライフルが光を放った。
狙われたビルは易々と溶解し、けたたましい音が地面へ破片落下と共に響いた。
目的は果たされ、取り囲み襲わんとしていたモノたちが姿を現す。
MS-06ザクⅡ
慌てたようにビルの残骸から一機が上半身を飛び出させ、ザク・バズーカを構えた。
シローの対応は素早かった。すぐにビームライフルの銃口を合わせると、
ちょうど対面する形となる。瞬間Ez-8の方からビームが放たれ、発射が遅れたザク・バズーカの
砲弾に命中、炸裂して武器ごと右腕と頭部半分を吹き飛ばし、機体を焼いた。
動揺を誘ったはずだった。あとどのくらい隠れているかで、攻撃が変わる。
その時、回復したターンエーが立ち上がる。反撃の態勢が整い始めた。
ロラン『ターンエー、再起動しました。相手はボルジャーノン、ですね』
シロー「?……ザクか。凄いな、ターンエーは」
ロラン『もうダメかと思いました。こいつに助けられましたよ』
Ez-8の背負う、ウェポンラックの二つの扉が開いた。
ターンエーがそこからロケットランチャーの部品を取り出し繋げる。
シロー「本当かよ。くれぐれも無茶はよしてくれ」
ロラン『すいません』
863 = 857 :
ガンダム二機を取り囲み、一斉で撃ち倒してしまうつもりだったザクⅡたち。残り三機になった。
揃って物陰に隠れている内の角付きザクⅡに搭乗するゲモン・バジャックが吠える。
ゲモン「一人で飛び出しやがってぇ!作戦が台無しじゃねぇか!」
『どーするんだ!仲間のガンダムが立ち上がったぞ!』
ゲモン「てめぇらヤザンが来てから俺に生意気な口を利くようになりやがって!攻撃にきまってるだろう!ぶっつぶせぇ!」
三機のザクⅡが身を乗り出した。
ゲモン機がザク・バズーカを、残りはザク・マシンガンを構える。だが、ちょうど爆風が迫って、機体が塵を被る。
ロランたちはザクⅡが出てくる間に出来るだけの当たりを付けていたのだった。
ターンエーが構えるロケットランチャーの照準は、直撃を避けるつもりのモノである。
ゲモン「数ではこちらが有利だろうがー!」
Ez-8が放ったビームがゲモン機の頭部を一閃する。
ゲモン「ぬわーっ真っ黒だ!やられたぁ!!」
「ゲモンしっかりしろ!サブカメラを見るんだ!」
シロー「このまま押し切れるといいが……ん?」
Ez-8のカメラが空の奥が点滅したのを認めた。燦爛と青白い光の塊が二つ現れている。
ロラン「アプロディアの光!」
ゴッドガンダムが進んだ方角だった。
出てくるのはハルファスガンダムか、それとも別世界から送られたガンダムか。
865 :
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ゴッドガンダムはメガライダーに搭乗し、疾走するMSネモを追い掛け、
道路の狭まった、更なる高層建造物の密集区に誘われる。
メガライダーは器用に道路をすり抜けていき、MSネモが右手に持つビームライフルで攻撃を行った。
狙いは鋭いものだが、ワザと中てないようにしている攻撃もあった。ゴッドガンダムは攻撃を潜り抜け、
メガライダーを追い掛けてこの一帯を相手の導くままに回っている。
ドモンは相手がこちらを誘き出していることは承知の上で挑む。
レジスタンスの一団はここを通るのだから、彼らの安全の為に相手の思惑を全て挫いてしまう必要があった。
当然この状況を突破できる自信があってのことである。
ドモン「空を飛ぶのも一つの手だろうが……センサーが効かないなら相手を見失うかもしれない。
ミノフスキー粒子、この世界と宇宙世紀世界での戦争のやり方か」
ゴッドガンダムは別の寂れた高層ビルが道路の両側に立ち並ぶ路地に入った。メガライダーは変わらず逃走を続ける。
そこに、ビルの向こう側から貫通して迫った“何か”がゴッドガンダムの腕に張り付いた。
ビルを越えた所から張り付いたものを通して電撃が走り、中のドモンをも苦しませる。
電撃を流す鞭、ヒートロッドだった。ゴッドガンダムは熱を帯びるそれをすぐに外した。そしてヒートロッドが造った穴を通して相手の青い姿を見る。
MS-07グフ
動きを止めた瞬間を狙い、さらに対立するビルから同じ流れでヒートロッドが襲い掛かった。今度は左腕を絡め取られてしまう。
ドモン「ぐ……!」
電撃の痛みに苦悶しながらも、ゴッドガンダムは左腕を思いきり前へ突き出した。
同時に頭部バルカン砲が火を噴き、見つめていた穴あきビルを蜂の巣にする。隠れていたグフは逃げ出した。
そして地面を踏み直して再び左腕を突きだす。向こう側のグフはついに引っ張られビルに叩きつけられた。
ドモンの狙いは上手くいった。ヒートロッドが緩み、脱出を試みる。その時、上からゴッドガンダムの足元に向かってビームが落ちた。
瞬間飛び退けたが、ゆるく巻きつくヒートロッドがピンと張って着地時に少し下半身がぐらついた。
電撃は無くなったが、システムを通じて食らった身体に痺れが残っていた。思うように身体が動かせない。
空を確認すると、ノイズが走るモニター越しにメガライダーがその砲口を真下に向けているのを見た。
866 = 865 :
MSネモはビームライフルを収めてメガライダーのハンドルを握る。メガランチャー・ビームは充填完了だ。
ヤザン「上々だーー!吹き飛びたくなかったら離れなぁ!!」
ドモンは身体の違和感に気づく。ヒートロッドは使用者から切れていた。グフたちは既に離脱したのだ。
ドモン「やられた!」
メガライダーから放たれる砲口以上の巨大光線が降り注ぐ。
上空からのビームにより周囲の建造物は溶解して道路は焦げた土塊となって粉塵と煙が下界を覆った。
メガライダーの、今度こそガンダムを消滅せんとするビームは発射され続け、前後に動く光の柱によって狙われた一帯は焼き尽くされてしまった。
867 = 865 :
ビームの発射を終えた、MSネモのセンサーは限られた機能で残った周囲の熱を感知している。特にもっとも大きな熱は、
より上空に浮かぶ光の輪を背負う標的を示した。
ヤザン「何……!?」
ゴッドガンダムは背中の羽状の装置を畳むと、対峙するメガライダー、それを駆るMSネモへビームソードを構え突撃する。
ヤザン「クソ!」
MSネモのビームライフルによる攻撃をゴッドガンダムは掻い潜り、互いの距離はすぐに縮まっていた。
ドモン「おおおっ!」
ゴッドガンダムが横薙ぎに振るった光の刃は空を泳ぐ。
MSネモはメガライダーを離れ蹴飛ばし、上へ退いていた。右手にビームライフル、左手にはビームサーベルを備える。
ヤザン「死にかけで生き延びた後、俺が惨めな生活をしなけりゃならなかったのも!こんな所でお山の大将をしなきゃならなかったのも!
お前たちにやられた所為だ!」
MSネモはビームライフルで攻撃しつつ突撃をかけた。入れ替わった上下で相対する中、再び接近戦が行われた。
ドモン「やるな!」
互いに一刀打ちあわせ、距離の離れないなかでゴッドガンダムは透かさずビームソードを振るった。
そこにMSネモはビームライフルを突きだす。瞬間砲身は切断されるも、腰を捻り左手のサーベルの刃を叩きつける。
ゴッドガンダムはビームソードで受け止めるも、一撃に圧されてしまい怯んでしまった。
そこでMSネモはゴッドガンダムから離れて降下、スラスターを吹かして距離を空けていく。
空中戦の不利を察したヤザンは不服だが退却を選んだのだった。
ヤザン「あの女め!」
気に入らぬ雇い主との約束事は果たしたと判断して、ゲモンらとの合流を図る。
一方ドモンも追撃を止めて降下を選んだ。電撃のダメージはまだ痺れとして身体に残っており、無理を押しての
集中力の消耗と罠の危険性を考えて引き下がった。
ドモン「センサーが良くなっている。ミノフスキー粒子の効果が弱くなったのか?」
各部機器の機能を確認し、カメラも解像度が戻ってきたズーム機能を試してみた。その時、空から“あの”青白い光を確認する。
ゴッドガンダムは無事着地すると、それぞれの光から地上に降りる二機の方へ向かって行った。
870 = 869 :
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MA(モビルアーマー)ガリクソンを先頭にした戦闘バイク甲型の部隊は、いよいよ
展開されたレジスタンスのMS部隊とカメラで視認できるようにまで近づいた。
『人質の代わりでも用意しておくんだなぁ!カクメイに信用は大事だろう?』
MAガリクソンの搭乗者はノイズの入った通信による都市の通過を求めたレジスタンスの要望を退け、変わらずの進行を続ける。
クラウス『相手は難民を人質にするのが目的だ。絶対に阻止してくれ!』
『了解。攻撃を開始する!』
号令を掛けた隊長機含む空のイナクトたちが先行し、先に戦闘バイク隊に近付くと、ビームキャノンによる攻撃を受けるに至った。
反撃に上空から二機の持つリニアライフルで弾丸を降らせるも、バイクたちは分かれて散り散りになる。
両手で大きなコンテナを持つイナクトを含め三機のイナクトたちもそれぞれ分散して追いかけた。
そして、突撃砲形態の陸戦強襲型ガンタンクが正面を走る集合した二機の戦闘バイクに向けて攻撃を仕掛ける。
ガロード「ロック解除、いけー!」
左後ろのキャタピラの側面に装えられた多重連装ロケットランチャーの上半分の蓋が開き、ロケット弾を前面に撒き散らす。
攻撃を受けた戦闘バイクたちはすぐに方向を転換して逃げようとした。
逃げ遅れた一機が直前に着弾して生まれた爆風で吹き飛ぶ。後に二輪が地面に着くも、弾んで機体を転倒させてしまう。
もう一機は爆風に煽られるも、ドリフトをまぜつつ姿勢を持ち直して再び落ちた速度を上げようと走り出した。
そこを陸戦強襲型ガンタンクの後に続いて現れたカプルの、腕の三連銃が狙った。
ソシエ「バイクなんだから、タイヤを割っちゃえばいいんだ!」
カプルのほぼ対面から放った弾丸が前輪のタイヤを弾けさせ転倒を促した。
陸戦強襲型ガンタンクは次のターゲットに移る。
一方でカプルと離れた赤茶系色のイナクトは地面すれすれの飛行をしつつ大物を追っていた。
MAガリクソンはパワーが違った。
戦闘バイク以上のスピードで、イナクトに後ろを見せつつも砲塔を回してビームを放ち追跡を阻んでいた。
871 = 869 :
『“オリ”を使うぞ!』
『了解。囲い込みを!』
空の指揮官機含む二機のイナクトが走り回る戦闘バイクたちやMAガリクソンの進路先を射撃で妨害する。
前半分を持ち上げて擬似人型となった陸戦強襲型ガンタンクと、カプルも相手の周囲にロケット弾を斉射して相手の思考を奪った。
陸戦強襲型ガンタンクの多重連装ロケットランチャーはこれによって空になったが、発射した量と
空のイナクトと挟撃するようにしたことで効果を上げ戦闘バイクたちは互いに接近し合った。
『流石は元ガンダムパイロットだな!』
ガロード『“元”は余計だよ!』
ソシエ『あたしもやってるんですけど』
両手が塞がるイナクトがすかさず狙いを付けて降下して地上に向けたコンテナの出入り口を開ける。
するとコマの様な何かが現れ、狙われた戦闘バイクたちの頭上に向かって落ちて自身から伸びた棘々で檻を作り出す。
“熱砂の猟犬たち”のアッザムから回収したアッザム・リーダーだった。
「何だこれは!?」
見事に二機が囚われて、なかの一機はアッザム・リーダーの格子に当たって転倒する。残りは散らばっていた。
コンテナを捨て着地したイナクトはリニアライフルを捕獲機たちに突き出して降参を迫る。
『俺たちはお前たちとの戦争を求めてはいない』
『光から現れた二つ目角付きのことを解ってて連れているんだろう!あいつらは世界を滅茶苦茶にしたんだぜ!?』
イナクトはリニアライフルの銃口を下ろした。
彼はもう勝負は決していると思っている。そこでガンダムへの恐怖を取り除いてレジスタンスの正当性を諭そうと考えたのだった。
『人が乗っていて難民を助けている。無差別な暴力も振るわない。誤解は解ける筈だ』
『知るかよぉ!!』
だが、期待は外れた。
ただチャンスと思われ、横転している戦闘バイクの砲口が光るとイナクトの左側股関節に穴が穿たれた。
872 = 869 :
『俺はただモノが欲しいだけさ!―――二つ目角突きを連れているからてっきり“ぼく達は悪者です”と言ってるようなもんだと思っていたが!』
『ザッ―ザザ――。……―――――。』
ソシエ「あ……!」
なかの戦闘バイクたちに外側から何かが飛来して近くで割れ、黄色の粉が降りかかった。
アッザム・リーダーが発光する。
「うわぁぁ!何だ!?熱が!」
そばに来た陸戦強襲型ガンタンクが左腕二門のボップガンからアッザム・リーダーの発熱に用いる触媒を容れたカプセル弾を撃ち出したのだ。
二機の戦闘バイクは表面を超高熱に晒され、動きを止めた。
ガロード「大丈夫かっ!」
『MS以下の体積だ。直ぐに電子回路を焼かれて機能を停止する。―――“オリ”を使ってくれて、助かった』
着地した指揮官型のイナクトは左足が離れ、地面に倒れる友軍機のもとへ行く。
『お前、触媒の特殊弾を持ってるってのに……しかし、ならず者であることを差し引いても我々と世間の認識の差は大きいか』
残るMAガリクソンと戦闘バイク一機は数の不利を察して都市へ逃走し、カプルと、戦いで頭部を失った赤茶色のイナクトは追撃を中断した。
873 :
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
アプロディアの光を見たゴッドガンダムは回復した通信機能を用いてシローたちと連絡、転移してきた者たちと共に合流を図る。
そして一足先に降り立った二機のガンダムの姿を見た。
欠けたビルの頂きに降りた、両肩から生やした姿勢制御に使った放熱フィンを収納する白い機体と、
胸と頭のAマークに赤と白の太い両腕、両足が印象強い機体であった。
前者は右手にビームライフルを、後者はから手である。
F91_ガンダムF91
AGE-1T_ガンダムAGE-1タイタス
二人のパイロットは互いの確認を始めた。
フリット『あの、フリット・アスノです。シーブック・アノーさんですね?』
シーブック『そうだよ。―――ガンダム、装備が大きく変わったんだな』
フリット『はい。ガンダムタイタス。これが進化したガンダムです』
F91はAGE-1のそばに着地し、二機揃ってこちらへ歩み寄るゴッドガンダムに少し身構えた。
874 = 873 :
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MSネモは廃都市の、戦場から大分離れた根城へと戻り仲間を待っている。
ヤザン達は戦争で破壊された、大人数を容れるドーム屋根のスタジアムを根拠地にしていた。
ちょうど外側の一部が無く中身がむき出しており、MSの搭載が出来る軍艦も身を隠せる位あろう広さが機動兵器の収容場としてうってつけだったのだ。
二機のグフが戻ってくる。片方は右手にギラギラと刃が発光を続けるヒートソードを持ち、もう一機は右手のヒートロッド射出口から、
そのちぎれた焦げつきの先を出してぶら下げていた。左手フィンガーバルカンの口は今も熱を持っている。
ヤザン『最後まで戦ってた俺が一番早いってのはどうなんだ?』
『すいません。み、見てたんです。青い光からガンダムが降りてくるのを……』
ヤザン『そうさ。あいつらは増えるんだよ。毎度、ココというタイミングでな』
手下との会話の中でばら撒いたミノフスキー粒子の効果が薄くなったのもあり、Ez-8達の反撃から、
カラガラ逃げ出しているゲモンが苛立ちの籠った声を通信で届ける。
ゲモン『ザッ――おいヤザン!ガンダムを倒せなかったじゃないか!どうすればいいんだ!』
ヤザン『あの女との依頼は果たした!バイク隊と合流してずらかるぞ!』
ゲモン『あんなにガンダムへの復讐に燃えていたのに、もう諦めちまうのか?』
ヤザン『こんな面子で勝てるわけがない。それにあの女の企みに利用されるのはいけ好かん!』
ゲモン『条件を受け入れる代わりに格安でモビルスーツを譲って、かつ後払いってのは気が効きすぎるのは確かだが……』
『ヤ、ヤザン隊長!赤い光です!』
875 :
綺麗なフリット……
876 :
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赤い光から抜け出たのは黒の物体であった。
シーブックはF91のカメラ機能で肉眼では確認し切れなかった外観を補足する。
上を向いている先端を機首だと考えてしまうと、光が消えた後も上を向いたまま
手前の高層ビルの頂とそう離れていない処で浮遊し続けている姿は不気味に感じてしまうだろう。
シーブック「モビルアーマーっていうのは大概“ああいうもの”なんだな」
シロー『そうなんだ』
独り言に素っ頓狂な声が返る。唖然としていたのだろうか。恐らく、一年戦争時代にいた人にとって尚更不気味なモノばかりに映るのだろう。
同時代のアムロ・レイは“ああいうもの”に果敢に向かって行ったが。
F91とAGE-1が降り立った場所に集ったガンダム五機はこれからあのジェネレーション・システムの手先と戦う事になる。
此処に来た経緯を簡単に言えば、F91の整備が終わった時にドモン・カッシュたちの危機を悟ったアプロディアが現れて自分を連れ出したのだ。
フリットも似たような次第だった。
ドモン『わざわざならず者を雇って誘き出してきたんだ。こちらが動けばヤツも動く』
ドモン・カッシュの言葉に全員の戦う意識が高まる。
すると、こちらの戦う意識を感じたように、浮遊する物体は姿を変えた。
浮遊体の両側面から人の腕が生えて、両腕を組むような動きで腕を覆っていた装甲版を大きな盾として左腕に装着させた。
折りたたんでいた両足と地面に着かせるも、地面が不安定だったのか、片手で近くの廃ビルの屋上を抑えて踏み止まり、
空を向く先端から現れた頭部―――その二つの目がじっとこちらを見据える。
MRX−009サイコ・ガンダム……MS形態
フリット『あれは、ガンダム……!?』
シロー『デカい!倍以上の大きさか!?』
シーブック『あれをやっつければいいんですよね』
ロラン『はい。アプロディアを頼れない以上、僕たちの背後にあるレジスタンスを守ることが、目的への近道です』
シーブック『そうか……』
落胆を覚えつつも、敵への注意は怠らないように努めた。
877 :
それなりに実弾装備はあるからどうにか
878 :
ロランはジェネレーション・システムの手先が現れるまでの、シーブックたちのここへ来る直前についての話を思い返していた。
シーブックとフリットの前に現れたハルファスガンダムは、“ジェネレーション・システムのいる世界へ連れて行く”
と言って機体と共にこの世界へ転移させた。
アプロディアというハルファスガンダムに搭載される、思考するコンピュータはジェネレーション・システムと同じ
こちらの世界を見聞き出来る存在だから、戦力となるMSと共に移動させるチャンスを逃さないのだ。
そして、アプロディアが連れてきたのは目標とされる“月”ではなく地球の“ここ”であった。
仲間を助けたいシーブックの抱いた失望は相当なものだっただろう。一度親玉に挑み、敗れたことを話すと考えを改めたようではあったが。
ロラン(アプロディアは、この戦いが終わるまで僕が元の世界に戻ることを許してはくれないんだろうな)
目の前に現れた脅威に集中しつつも、自身の希望が果たされないだろうという落胆の気持ちはしばらく留まっていた。
879 = 878 :
フリット『あの巨大ガンダムは人工知能で動いてるモノなんですよね』
ドモン『どうかな。ジェネレーション・システムにスカウトされて協力している人間もいた』
フリット『あんな酷い事をする機械に協力するなんて……!』
シーブック「―――!来るぞ!」
F91が動いた。
そしてサイコ・ガンダムもGガンダムたちへ攻撃を仕掛け始める。
腹部の三連装拡散メガ粒子砲と二門の頭部ビーム砲が起動し、発光した。
散りばめられた複数のビームは周囲の建造物らを吹き飛ばしつつその一部がGガンダムたちへ襲い掛かる。
それぞれは回避行動を取り、先に動いたF91と態勢を直したEz-8がビームライフルで反撃した。
攻撃は命中するが、何の効果ももたらされなかった。
シロー「ビームが消えた!?」
シーブック「バリヤーか!」
サイコ・ガンダムは再び頭部と腹部の砲口を輝かせる。幾つものビームが届いた先はF91とEz-8のいた所も含めて破壊した。
今度は空に逃げたターンエーがロケットランチャーで狙いを定める。
狙いは対面する盾の無い右腕。確実に目標のみ破壊出来るよう高度を下げて発射した。
相手は察知して背中のスラスターで急上昇して回避する。道路を沿って飛ぶゴッドガンダムはその黒い巨体を見上げる形となった。
サイコ・ガンダムは頭部ビーム砲で逃げるように飛び続けるゴッドガンダムを攻撃する。
シーブック「つられた!」
そこを都市群の中をサイコ・ガンダムに向かって低空飛行するF91が、両腰に移したヴェスバーの砲身を両手で添えて陽動作戦に掛かった敵を撃たんとした。
「―――!」
シーブック「―――!」
突然F91はその場で上昇、その場を離れるとサイコ・ガンダムの右手の五指がF91のいた所に向けられ、それぞれに備えられたビーム砲が光を放った。
敵の攻撃への対応、攻撃力にシローたちは気圧される。
シロー『なんてすばやいんだ』
シーブック(あれは憎しみの形……。何だ?)
880 :
このスレに注目
P『アイドルと入れ替わる人生』part11【安価】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1434553574/
881 :
サイコ・ガンダムの攻撃から逃れたゴッドガンダムは様子を窺っていたAGE-1と合流する。
ドモン『あの連携攻撃に対応するとは』
フリット『次は僕が囮になります。連携して……!赤い光!?』
確認した空の光の塊は六つだった。
それぞれの光から現れた六機。その中の降下した五機のMSたちは真下に着地すると、
専用のビームライフルを手に携えて行動を開始した。
RGM-96Xジェスタ
ジェスタ・キャノン
重火器を背負うのが二機、それ以外が三機である。
彼らは戦場となっている都市において標的のゴッドガンダムたちと仲間のサイコ・ガンダムを囲うように位置していた。
5つの方角に一機ずつ、標的に向かって進んで行く。
シロー『奴らに足止めされたら、ブラックガンダムに倒される!』
声を上げたシローだけでなく、ドモンたち全員が敵の増援に脅威を覚えていた。
そして、シーブックの言葉がドモンたちを驚愕させる。
シーブック『敵のガンダムは、もしかしたらニュータイプかもしれない』
882 = 881 :
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
赤い光から現れ、降下しなかった残り一機。戦場からは高機能カメラでも非常に捉え難い所で“それ”は浮翌遊する。
この機体のパイロットこそがこの戦場の仕掛け人である。
ZMT-S35Sリグ・リング
コックピットの全天周囲モニターは搭乗している機体のカメラが捉える世界を映しており、
まるで空中に浮かんでいる様に見える座席にいるパイロットは、空に張られているように存在する四角い画面が映す映像を観ている。
その映像は、下界の廃都市でF91を始めに五機のガンダムが“こちら”に向かって猛攻撃を仕掛ける姿を見せていた。
映像は揺れて、粉塵と飛び散る炎の中を走り抜けていく。
突然AGE-1が画面の端から現れた。カメラはその姿を追う。そして突然別の方を向く。
向けた先はロケットランチャーの砲口を見せるターンエーの姿があった。撮影者側が発光。放たれたビームがターンエーのいた所を焼いた。
炎の向こうでジェスタが空を飛び下に向けて右腕側からビームを放ち、またビームを撃たれ、撃ち合っているのが見える。
そして、画面は場所が変わってEz-8を捉え、それが高層ビルの中に飛び込んだところに撮影者側がビームを放つ。
高層ビルは見事に破裂し周囲を含めて炎と瓦礫にしたが、狙いのEz-8は既に遠くへ走り去っていた。
883 = 881 :
「オールドタイプもやるな」
見ている映像―――サイコ・ガンダムのカメラが捉えて送信しているモノを観て、
被害が及ばない高さからリグ・リングのパイロットはひとりごつ。
「そうか……。ガンダム・ワールドの主役達、侮ってはいけないか」
映像でのF91の動きに目をやった。
「フフフ………。シーブック・アノーは気づいたかな。―――ニュータイプ、その感性……」
F91は崩れた建造物等を盾に地面を滑走してサイコ・ガンダムに接近していた。
F91に注視している所でゴッドガンダムが画面の下から現れてF91の姿を隠した。
カメラはゴッドガンダムを追い掛けて、ビームソードを振りかぶるそれに右腕を突きだす。
避けたゴッドガンダムは後ろを振り向き逃げ出した。サイコ・ガンダムの右腕の先が発光する。
飛び出した五本のビームはゴッドガンダムを追い掛けるだけでなく、指の向きを調節して、F91へも狙い撃ちを行う。
左腕のビーム・シールド発生器を作動させ、腰の両側からヴェスバーの砲身を出したF91は襲い来るビームを抜けた途端止まり、
右手のビームライフルを含めてサイコ・ガンダムに三門のビーム砲による斉射を放った。
サイコ・ガンダムも腹部の拡散メガ粒子砲を作動させる。
ぶつかり合う光。
二門ヴェスバーのビームは幾重もの光の粒子に阻まれてその場で炸裂する。
炸裂した光は周囲を破壊してしまうが、サイコ・ガンダムはバリヤーシステムによって守られ逃げる必要はなかった。しかし光の眩しさは画面を覆う。
一方のF91は高層建造物を越えない程の高さで飛びビームの炸裂から逃げつつも、
正面をサイコ・ガンダムへ向けたままビームライフルを撃った。
ビームはサイコ・ガンダムの頭部に向かうもビームは途中でバリヤーに掻き消される。
その後F91は遭遇した地上のジェスタ・キャノンの砲撃に襲われ、サイコ・ガンダムのカメラからジグザグに離れて行った。
一連の流れを見て、リグ・リングのパイロットは相手の実力に称賛した。
そして、これからの自身の行いがその実力者たちに与える影響を想像し、笑みをこぼす。
「さて、我も動くとしよう。サイコ・ウェーブの発動……、サイコ・ガンダムのパイロット。貴様の死神を彼等にも見せてやるがいい!」
884 :
お、更新来てるな
相変わらず面白い
885 :
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ガロード「敵のガンダムにニュータイプが乗っているって!?」
陸戦強襲型ガンタンクの滑腔砲の上、頭部の隣にあるコックピットの、開かれたままの扉から聞こえたノイズ入り通信に
ドリンクの入ったストロー付き軟性ボトルを手で持ったまま顔を突っ込んで返事をした。
戦闘バイク部隊を退けた後、レジスタンスは戦闘不能にした敵機体、捕虜の回収と前線で戦い抜いたMS達への補給を行っている。
陸戦強襲型ガンタンクもレジスタンス本隊からやってきた陸戦艇ギャロップから補給を受けており、
カプルがその長い指を使って器用に持つ、新しいロケット弾を詰め込んだ多重連装ロケットランチャーを取り付けてもらっていた。
ホレスが艦長を務めるギャロップの、前方の大きなハッチが開く事で現れている整備場には補給用の弾薬が用意されてあり、
整備員の中にはリーオーに乗ってここまで来たビーチャを追ったモンドら悪友たちやイワークもいた。
ロラン『ザッ―――シーブック・アノーがそう言ってる』
ガロードに“ニュータイプの力”について聞く為の通信だった。カプルが装備を取り付けたのを見て、ガロードはコックピットへ入った。
ガロード「そのシーブックっていうのも、ニュータイプなんだな」
ロラン『フリットがそうだって……。本人は、否定してるけれど-ザザッ-』
ミノフスキー粒子による通信妨害の効果は薄れてはいても、ロランがいま戦場にいることも加えて音声は聞き取り難い。
ガロード「……信じるよ。ニュータイプはお互いの事がわかるんだ。こっちの動きを予知するし、あの厄介なビットも使える」
ロラン『あの飛び回る小型ビーム兵器は見てない。……!―――情報ありがと――ザザ!』
すぐに通信が切れたので言葉も乱暴な断ち方になった。
886 = 885 :
ガロードはストローを口に入れてボトルを握ると同時に中身を勢いよく吸い出した。中身は水分やミネラル摂取に適した清涼飲料水だ。
ガロード「げほっ!……俺はロランたちの救援に向かう。アンタ達は艦と難民を頼む!」
作戦に参加する者全員に向けて回線を開き、宣言した。リーオーは陸戦強襲型ガンタンクに近付き、その頭を下げて上を向いた相手と顔を向き合わせる。
ビーチャ『ハァ?どうせ挑むなら一気に叩くべきだろう!』
ガロード「敵が強いんだ。大勢で挑んでも負けるかもしれない」
ソシエ『ニュータイプっていうのがそんなに強いの?』
カプルは陸戦強襲型ガンタンクの機体に手を置いている。ロランとの通信の時から接触回線が働いていたのだ。
ガロード「強い。ガンダムに乗ってるなら尚更手ごわいはずだ。……だから、ニュータイプと戦ったことのある俺が行く」
ビーチャ『そんなよく分からないものにビビッてるってことか!こっちはガンダムが五機に増えてんだろう!?』
イワーク『ビーチャ!俺たちはガロード達を信じるしかないんだ!』
ビーチャ『イワーク、ギャロップの作業場から!……でもよぉ』
ソシエ『ロランたちだけで戦って、何のためのあたしたちよ!?』
シーリン『残念だけれどそれが現状よ。ジェネレーション・システムという謎の敵と戦えるのは彼らだけ。勝利が困難で
あると判断すれば、ジェネレーション・システムが彼らに引き付けられるのを利用して、私たちは別のルートを選択して移動するわ』
エル『囮って事?置いて逃げるっていうの!?』
イーノ『そんなのズルいよ!』
シーリン『私たちは難民を抱えている。難民の保護を約束したのだから、それは絶対果たさなければならない』
脅威の克服、仲間を案じる側と冷静に集団の安全を求める側。
喧々諤々の中でガロードはコックピットからの機体チェックを終え、出撃準備に掛かった。
行く先で戦っている仲間と、何よりも大切な人を救い出したい気持ちでいっぱいだった。
イワーク『俺はお前たちが奴らを倒して帰ってくるって信じてるぞ!』
ガロード「ああ。……俺たちは必ず勝って、帰ってくるよ。難民を頼む」
887 :
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
廃都市の戦場にて、サイコ・ガンダムの他ジェスタ三機、ジェスタ・キャノン二機による攻撃を受けるガンダム達は、
反撃の機会を逃さず状況の好転を迎えようと奮闘していた。
戦場の一角、廃ビルの立ち並ぶ路地にて対決した二機、AGE-1とジェスタがぶつかり合う。
瞬時に距離を縮め、迫るビームを遣り過ごしたAGE-1の右の拳がジェスタを突き、
対するジェスタが咄嗟に前に出したシールドで受け止めるも拉げて持ち手も軋み、態勢の緩んだ機体にさらに左の拳が突き刺さった。
ジェスタの機体は浮かび、奥の廃ビルの壁まで吹き飛んで叩きつけられる。
フリット「エネルギーを右腕磁気旋光システムに集中!」
AGE-1の掲げた右腕の装甲が開き、そこを中心に光の輪が囲み
フリット「ビーム・ラリアットッ!」
噴かすスラスターの勢いに乗って、その破壊力を込めた光の円環を叩き込まんとした。
だが、AGE-1のセンサーの反応が勢いを止め、上からジェスタ・キャノンの来襲を受ける。後ろへ下がるAGE-1とビルから抜け出すジェスタの前に降りて、
透かさず専用ビームライフル、下部のグレネード・ランチャーを発射した。
フリット「うっ!」
腕に命中、炸裂するもタイタスウェアの装甲が守った。
888 = 887 :
ジェスタ・キャノンは続けて右ビームキャノン、左四連マルチランチャーの肩の装備で怯んだ相手を狙う。
その時、飛行するターンエーが空からロケットランチャーでジェスタ達のすぐ近くに爆発を引き起こした。
ロラン『ガンダムが狙ってる!』
フリット「黒のガンダム」
フリットはサイコ・ガンダムの眼光を見上げる。
額のビーム砲が光る前にAGE-1とターンエー、ジェスタ達は逃げ出した。その場はビームによって炎に包まれる。
AGE-1とターンエーが共にサイコ・ガンダムから距離を取る中で、フリットは“力”を持たないながらもニュータイプと
戦い抜いた人物との通信の収穫を尋ねた。
提案したロランが通信の為に離れた間、残り四機で敵の注意を引き付けていたのだった。
フリット『ガロード・ランさんから話は聞けたんですか!?』
ロラン『敵のニュータイプは怖いってことがわかったよ―――とにかく注意しないと』
フリットの頭に鉄仮面との戦いの記憶が蘇る。体全体で覚えた、特異な“力”の恐怖。
口頭だけ、しかも短時間ではそれを伝え切れる筈もない。弱点も……。
きっとその人も死にもの狂いだったのだ。
だが、自分の後ろには“戦う力”を持たない人たちがいる。戦い抜いて、絶対に守り抜かなくちゃならないと、フリットは意気込んだ。
フリット(僕たちが……ガンダムが、アイツ等を倒さなくちゃいけないんだ!)
889 :
乙
もう少しで4年か
891 :
四年前の今日から今の今まで残ってるとか狂気を感じるスレ
892 :
別に狂気でもなんでもない件
s速だけしか見てないならスマン
893 :
4年たって終わってないのはすごい
完結までゆっくり待ちます
894 :
初期と比べると文章うまくなってるよな
続き期待してる
895 :
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
F91とEz-8は、標的を探すサイコ・ガンダムの姿を遠くで見ていた。
シーブック「二人は無事のようだな……どうします?」
隣にいるF91に、Ez-8はビームライフルを持つ手を挙げて見せる。
シロー『コイツが効かないんじゃな。あの距離でビームに当たったら一撃の筈なんだぞ』
シーブック『時代が進んだって、ビームが当たればモビルスーツは倒せますよ。ビームの効かないモビルアーマーを倒したことだってあります』
シロー『……そうだな。相手は機械だ。必ず弱点はある……ニュータイプというのがパイロットでも!』
二機は揃ってサイコ・ガンダムへ向かって行った。
サイコ・ガンダムは今ゴッドガンダムに注意を向けている。
ドモン得意の接近戦は、ビームの群れに阻まれて試みることが出来ず苦戦しているようだった。
機動に変化を付ける為の足場にしていた高層の建造物は、標的を追って放たれるビームによって壊れていく。
あのようにサイコ・ガンダムが通った所は、ジェスタとの戦闘の時よりも酷く破壊されていき丸裸になっていた。
苦戦の中、ゴッドガンダムは隙を見て頭部バルカン砲で攻撃するも、弾丸はバリヤーシステムをすり抜けはすれど、装甲を貫く程の効果は得られなかった。
バリヤーだけではない。その威圧的な姿に見合う、堅牢な機体であることを再認識させた。
シーブック『あのビームを抜けて、装甲に直接ビームを当てるんです』
シロー『それならビームサーベルでもいいじゃないか。何でもいい、ヤツに一撃を浴びせられれば!』
近付いてくる二機に気づいたサイコ・ガンダムは左手を向ける。五指から放たれたビームが二機のいた地面を穿いた。
シロー『くそッ』
続けて、Ez-8は付近にいたジェスタ・キャノンに追い掛けられ、さらに迫るサイコ・ガンダムのビームにからがら逃げる。
F91は一機でサイコ・ガンダムのもとへ向かっていった。
896 = 895 :
シーブック「あの黒い連邦の“でか”モビルスーツ、邪魔だな……!」
約15mからの視点に4m差は大きい。体格差の威圧が障害物として余計にイライラを募らせる。
そして、もどかしさを覚えるものが一つ増えた。
赤い光の第二波、降下した五機の黒いMSと違って空に居続けた最後の一機が、
いよいよセンサーで感じ取るだけの存在ではなく、姿を視認できるようになれる高さまで降りてきた。
敵が黒の体色ばかりの中、ただ一機が黄色系の身であり、それから放たれる輝かしい光で人型とは違う機体の様子を余計に印象付けさせる。
視覚、からもそうだがシーブックの感覚が異形のMSが放つ光に警鐘を鳴らす。
―――真っ先に、奴を撃つのだ。
感覚すると共に身体が、F91が動く。
両肩の放熱フィンが展開し、機体に掛かる重みを押し上げてリグ・リングへ向かって飛び立つ。
シーブックは、一目散に目標を見据えている。
射程距離に入れば、すぐに撃ち落としてやろうと、ビームライフルの照準を意識していた。
897 = 895 :
―――――――――ふと、目の前に現れる、透き通った一指し指の、指し示す先を見た。
898 = 895 :
F91のビームライフルの銃口がそこへ向かって光る。放たれた先、ジェスタの貫かれた胴体から爆発が起こった。
撃たれる直前まで、ジェスタはF91を確実に仕留めようとビームライフルを掲げて飛び、後を追っていたのだった。
シーブックは危機を退いたことに少し気分が和らいだがそこに。
すっと―――身体の傍を冷たい固まりが通り抜ける感覚を覚える。
コックピットの空調の所為ではない。女だ。透き通った、妖艶な雰囲気を持つ女がシーブックの目の前に浮かぶ。
黒い長髪、顔と腕以外上半身に纏う黒の衣、晒している肌は作り物のように白く、腰から下は無い。女が撒き散らす黒い粉塵がシーブックを包み込む。
恐ろしさを覚え慄く彼に、笑みを湛えて女は語りかけた。
899 = 895 :
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
現在、ゴッドガンダムはサイコ・ガンダムからだいぶ距離が離れた場所にいた。
そしてここへ辿り着くまで、自身を追跡していたジェスタと戦闘を行って斬り裂かれたジェスタの機体が地面に伏している。
ドモン「あの黒いガンダムは、コイツと違う……!」
対峙したニュータイプの“力”。サイコ・ガンダムと戦った結果は戦慄を覚えさせるのに十分だった。
ドモン「俺は武闘家だ。相手の殺気を読み、動くことは心得ている。だが、ヤツはこちらの動きをわかっているんだ!」
自身の技を以ってすれば倒せるという自信は見事打ち砕かれた。
ドモン「これが、ニュータイプの“力”……!」
―――《そう。最強の称号“キング・オブ・ハート”を持つ男を恐れさせる“力”》
ドモン「誰だ!?」
気づけば、黒い霞がコックピット内に立つ自身を囲んでいた。正体不明のものに不気味さを覚える。
そこから黒髪の長髪、白い顔の女が、黒い衣装と共に上半身を抜け出した。
急に近づく白い顔にドモンは慄き口を開けて短い叫び声をあげる。しかし、負けまいと目を背けずに睨みつけた。
その顔には温かみをまるで感じない。冷たさと、自分を覆う黒い霞が与えているのであろう身体に掛かる重さがこの女の何者かを判断させる。
ドモン「“悪霊”め……!貴様に構っている暇など無い、さっさと消え去れ!」
―――《フフフフフフ……お前は強がっている。ニュータイプの“力”を目の当たりにして、あの黒いガンダムに敗北を抱いているのだ》
ドモン「ッ……黙れ!」
心の内を読まれ、そして嘲笑われたことにドモンは怒った。
女は腕に巻きつける黒く長い布を棚引かせながら、ドモンの背後に回り、こう囁きかける。
900 = 895 :
―――《私を信じるか?この戦いに逆転するやもしれぬ術があそこにある》
ドモン「何……?……悪霊の指図は受けん!」
―――《フフフフフ……。だが、急がねばならんぞ?ジェネレーション・システムは、DG細胞を使役している》
ドモン「ぐ……!」
女の言葉は見事にドモンの不安を突いた。
今までの戦いにおいて、ジェネレーション・システムはデスアーミーを繰り出したことがあった。
そして奴らを、DG細胞の力で巨大なガンダム(デビルガンダムJr.)に作り変えた。
奴らはDG細胞を操ることが出来る。
ならば、ガンダムファイターたちをDG細胞で以って凶悪な戦士としたように、捕われた者達を操り自らの手先とするかもしれない。
もし、DG細胞に完全に乗っ取られ回復が手遅れになり、この手で葬らなければならなくなってしまったら―――。
ドモン「ガロードや、ウッソたちは……!」
溜め込んでいた不安は“ニュータイプの力”を思い知ると共に一層強まった。捕われている彼女たちもニュータイプと言われているのだ。
悪霊と呼んでいた女にドモンは従い、ある方向へ進みだした。女の言葉が、ドモンの焦りに付け込み行動を支配したのである。
女は、“死神”である。
宇宙世紀0079……ジオンのキシリア・ザビが“重力戦線”と宣言した戦い。
地球連邦軍がジオン公国の新兵器、モビルスーツの威力に圧倒されていた時代。
宇宙から地上へ降臨した“それ”は、連邦、ジオンの兵士達両方に死にもの狂いの戦いを囁き、命を刈り取り続けた。
リグ・リングから放たれるサイコ・ウェーブは、この戦場をその死神の徘徊する地獄へと変えたのだ。
その果てはどうなるのか……、彼女を外へ放つという目的を終えたリグ・リングのパイロットは、再び空で観戦することにしている。
みんなの評価 : ○
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