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    元スレ刹那「別世界のガンダムだと…?」

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    701 :

    一気に読んでしまった
    よくこんな文章量のレスをこんなに投下できるな、素直に尊敬するわ
    映像作品で出てない主人公は残りコウだけか

    702 :

    この人戦闘描写の地の文がうまい

    703 :

    ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    シローはギャロップでやってきたレジスタンスの代表者たちが集まる、軍基地跡の会議室として使われていた一室へ入る。
    そこにはレジスタンスの代表者であるクラウス・グラード(以下クラウス)、シーリン・バフティヤール(以下シーリン)の他に、
    難民の一人であるマリナ・イスマイール(以下マリナ)がいた。

    マリナはこの軍基地を有していた国の、要人の娘である。
    ジェネレーション・システムの襲来により亡国となったため、その地位は失っている。
    彼女はシーリンと同じ国で生まれ育ち、友人同士であった。

    このレジスタンスの救援行為は、シーリンの個人的な願いが発端だった。
    駐留軍基地跡にある物資の入手、またマリナを【失った国を取り戻す】、というジェネレーション・システム打倒、
    その御旗と士気高揚の為のプロパガンダとして利用できる、等を利点として挙げ、救助活動を要請した。

    レジスタンスの首脳勢からは反対の色が濃かった。
    この混乱した状況では国が亡くなることは普通のことになっていたため、
    彼らはいちいちそれで人員を動かすのは埒が明かないと判断する者が多かった。
    もっと大事な場面で動きたい、そう考えていた。

    しかしこうして活動できているのは、シーリンの願いがレジスタンス内で発言力の高いクラウスに届いたのと、
    レジスタンス内での弱者救済を掲げる層が力を貸したためであった。
    ジェネレーション・システム打倒という目的で手を組む彼らだが、それぞれ思惑は多様である。

    シローはクラウスたちに要件を話した。
    その内容は捕えた陸戦強襲型ガンタンクの操縦者から得た、この軍基地跡を狙う武装集団の存在についてであった。

    704 :

    この素晴らしき作品との出会いに感謝

    705 :

    ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    ガロード「そうか…なら作業を急がないと」

    ドモン、ガロード、ロランはシローに集められ、その件を知った。

    ドモン「尋問も担当していたとはな」

    シロー「まさか別世界まで来て軍と似たような仕事をすることになると思わなかったよ」

    ロラン「アムロと同じ軍隊で兵隊の隊長をなさっていたんですよね?」

    シロー「そうだが、アムロ・レイ少尉と面識はない。彼の活躍が周りから聞こえてくる位だ。
         ……一緒に戦ったことのある君たちの方がよく知ってるんじゃないか?」

    ドモン「そんなものか」

    シロー「軍の規模が大きいからな」

    ロラン「……そういえばそれ以前に、同じ歴史を辿ってはいても違う世界の人、の場合があるんでしたね」

    ガロード「ああ。そうアプロディアが言った、って刹那から聞いてたから、
          ラウ・ル・クルーゼ……だっけ?の言うことが信じられなかったんだよ」

    ドモン「そういえばカミーユがアムロのいる世界へ行った際、
         話に聞いていた戦いの地で“あった”と記録されていたはずの兵器が存在してなかったとか言ってたか」

    シロー「へぇ……」

    706 = 705 :

    ガロード「……それで、本当に難民を連れて行くための応援は来てくれるんだろうな?」

    シロー「大丈夫だ……ただ、110m級の陸上戦艦と、人員運搬用の大型トラックによる移動になる。
         難民の人数約720名全員、漏れることはない」

    ドモン「その代わり、窮屈な長旅をすることになる、か」

    シロー「陸上戦艦は基地跡の物資運搬用、難民はトラックだ。これぐらいの手配が限界だったらしい。
         ドモンの言う通り、難民にとっては辛い移動になる。女性や子どもたちには優先的に陸上戦艦へ乗せられるだろうが……すまない」

    ロラン「そんな、あなたが謝ることはないですよ」

    ドモン「お前はただギャロップに俺より先に拾われただけだろう。レジスタンスが勝手にそう決めていただけのことだ」

    シロー「ありがとう。……出来れば早く別世界から来たみんなと、こうして顔を会わせて話してみたかったんだが、
         色々任されて後回しになっちまったなぁ」

    ガロード「別に後でもよかったじゃねぇか。武装集団のことも、他の人に伝えさせればよかったし」

    シロー「まあ、なんというか、これから一緒に戦う事になる仲間だから、どんな人たちか早く知りたかったんだ」

    ガロード「なるほどな。……同じガンダム乗りで、アプロディアから連れて来られた仲間同士、よろしくな、シロー」

    シロー「ああ、よろしく」

    707 = 705 :

    ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    駐留軍基地跡にシローやドモン、レジスタンスが来訪してから二日が過ぎた。

    その間、ドモンはホレスたちとGガンダムの修理に勤しみ、
    シローはクラウス、シーリンらレジスタンスのリーダー陣と共に難民移動の打ち合わせや武装集団への対策等の計画を練り、
    ガロードとロランはレジスタンスや難民の者たちで移動の為の荷造りを行っていた。


    今、ロランは休憩中のガロードを探している。

    シローから此処の防衛についての件で集まって欲しい、と連絡されたからだ。
    ガロードは休憩の際ひょっこりといなくなる。人のいない所へ行っているらしく、捜すのに一苦労していた。

    その途中で子どもたちに囲まれているドモンを見かける。

    声を掛けると、彼も休憩を取っていたようで「自分ももう少ししたら向かう」と
    自身に興味津々の子どもたちを見ながら言っていた。表情はどことなく柔らかかった。

    彼といえば眉間に皺を寄せた表情の印象、を持っていたロランにとっては、意外な一面を見たように思った。

    708 = 705 :

    ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    ガロードはMSや重機、人が犇めく騒がしい倉庫を抜け出し、空の箱型コンテナの影に入り、地面に座り込んでいた。

    近くにはそこかしこにテントが張ってある。避難民たちの生活の場だ。

    ここでは複雑な機械操作や力仕事に向かない女性や子どもが中心で、
    レジスタンスの構成員ら指導の下、移動のための作業を行っている。主に持って行ける荷物の選別だ。
    シローから聞いた話の通りなら、ほとんどの用品や私物を置き捨てていくことになるだろう。

    難民たちは以前から準備や心構えこそしてきたものの、予想以上の待遇に多少なり困惑はあるようだ。

    レジスタンス側からすればこれでも頑張った方で、
    クラウスたちが出発する頃はまだどの程度の戦力を用意できるのかは決まり切ってなかった。

    始めにやって来たレジスタンスがギャロップ一隻とカプル一機だったのもそのためである。

    地位も人望もあるこの作戦の主導者がその程度の戦力で武装集団が徘徊する
    こんな状況の中を飛び出していったので、賛同者たちは急ぎ戦力を整え、後を追っている、とのことだ。

    その際、やはりクラウスたちは武装集団に襲われ、ちょうど転移してきたシローとEz8がその窮地を救い、
    その後ドモンとGガンダムを拾って此処に来たという次第であった。

    709 = 705 :

    ここも人の声や作業音等が飛び交うが、あの倉庫と比べればずっと穏やかな場所である。

    ガロードは今日も快晴の青空を見る。

    ハルファスの力を使った後、宇宙へ行く道を探すことのなんと遠いことか。

    だが、立ち止まっているわけには行かない。ティファを助け出すために、一刻も早く宇宙へ飛び出したい。
    このままアプロディアを待つだけなのは嫌なのだ。

    レジスタンスは、話を聞く限り地球から宇宙へ行くための手段を持っていない。

    だが宇宙まで一歩、踏み出してはいるはずだ。

    だから世話になった分も含め、何としてもこの移動は成功させたいと思っていた。

    「ガロード」

    ここに自分がいたのが意外だったと思わせるような声で名前を呼ばれ、ガロードはその声の主の方を向く。

    ガロード「マリナ、さん」

    マリナ「呼び捨てでいいわ。……ロランくんもいないし」

    ガロードの慣れていない言葉づかいにマリナは浮かない顔ながらも笑顔で返す。

    710 = 705 :

    彼女は所謂上流であった身だが、その身なりは繊維が粗雑で、
    地味目な茶系色の上下でズボンを履いているという、およそそのような人物とは思えないものである。

    本人は動きやすいという理由でその恰好を選んでおり、
    子どもたちの面倒や炊事洗濯等の生活に関わる仕事を避難民に混ざり行っている。

    ここは丁度人がおらず、そのためガロードはここを休憩の場に選んだ。

    ガロード「レジスタンスの依頼、断ったって聞いたよ」

    振った話題は彼女の表情を曇らせた後、やんわりと頭を振る。

    マリナ「……もう少し、考える時間をもらったの」

    マリナはシーリンからの再三の説得に呼ばれ、そう返答した後の帰りであった。

    彼女は兵器による戦いそのものを忌避していた。対話することで問題を解決することを望んでいる。

    故に、レジスタンスへの協力によって自身の所為で新しい戦乱を創りだしてしまうのを懸念していた。
    一方で、この協力は難民たちの待遇を良くする可能性も十分にあった。
    心情と利益と、それを考えたいため、シーリンからの提案を“保留”にしたのだ。

    ガロードはビーチャたちから「断った」と聞いていたため、彼らの勘違いか何かだったのだ、と思った。
    ただ、彼女の頑なさは聞かされていたため、考えた末断るのかもしれないとも考えた。

    マリナは暴力での解決を望んではいないだけで、この災厄に見舞われた際、軍基地への避難を提案して難民たちを導き、
    難民の捜索や避難生活の向上、レジスタンスへの道を拓くための障害物撤去目的ならば、
    軍基地跡に置き捨ててあったMS使用も、レジスタンスの勧めに同意し実行している。

    それらの率先した提案と動きは、避難民の感心と支持を得ていた。

    そして、それらはレジスタンスに参加してこの国の、自分たちの意思を背負っていくことへの期待も芽生えさせた。

    その上でレジスタンスへの協力要請に答えの保留を求めればどうなるか、マリナは承知の上で自身の意思を示している。
    今も悩みと葛藤を抱えながら。

    711 = 705 :

    ガロード「まぁ決めるのはアンタの勝手だし、戦いは俺たちに任せればいいさ。
          ガンダムや他のMS、そのパイロットだって手に入るんだ。あんたがレジスタンスに入らなくても満足するって」

    マリナ「あなたにも、戦って欲しくないのよ」

    ガロード「無茶言うなよ。ジェネレーション・システムは戦争が目的のマシンだ。対話も何もない」

    マリナ「それは……」

    ガロード「アンタが戦いたくないのはわかった。でも俺はティファを取り戻さなくちゃならない。
          そのためには、戦うしかないんだ」

    ガロードは立ち上がり、マリナと向かい合ってそう言った。

    マリナはガロードの有様にただ感心する。

    マリナ「……大切な人のために、あなたは戦って、強く、生きてきたのね」

    ガロード「今の状況みたいに目茶目茶な世界でずっと生きてきたからさ。逃げたり、戦ったり、俺にはこれが普通なんだよ。
          ……そうか、ここ、元々は争いと関係ない街だったんだから、マリナにとってこんな状況の今は普通じゃあ、ないか」

    ガロードが一人マリナの戸惑いに納得しているなか、マリナはガロードがさらりと出した自身の境遇に悲しみに満ちた口調で言葉を零す。

    マリナ「……そんな、悲しい世界で生きてきたなんて」

    ガロード「――悲しい時代。思い出も、悲しい……」

    マリナの呟きに、ガロードはティファの言葉を思い出し、それを言葉に出す。

    マリナ「え?」

    ガロード「ティファがそう言ってたんだよ。…………ティファ」

    ガロードの表情が曇りだした。

    マリナは感じ取る。

    ガロードは強くあろうとしているのだ。悲しみを乗り越え戦っているのだ、と。

    ティファが無事でいる。必ず助け出せる。

    そう信じることが、ガロードの心の支えとなっていた。

    712 :

    この二人の会話いいなぁ

    714 :

    アストラル;ここまで来ているのに 10ダメージを許可しないつもりか!? 反物質質量

    715 :

    ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    休憩から上がったガロードはロランと会い、軍基地施設の会議室に向かった。

    ドモンは既におり、シロー、クラウス、シーリン、そしてギャロップに座っているカプルのパイロット、
    ソシエ・ハイム(以下ソシエ)やレジスタンスの他面々もそこにいてガロードたちを待っていた。

    ソシエ「遅い!」

    ロラン「すいません、おじょ……ソシエさん」

    ガロードとロランは遅れたことへの謝辞を述べた後、空いたスペースに入る。

    クラウスとシーリンと向かい合う以外は皆それぞれ数少ないイスに座るか、
    ドモンのように壁にもたれるなり、真面目に直立する等していた。

    ロランの、初めてソシエを見た際の受けた衝撃は大きかった。
    しかし、彼女がGジェネレーションの世界の人間で、この世界の常識に沿って生きているのを知ると、
    少しずつ“この世界の住人”であることを受け入れている。

    会議の内容は、難民大移動の道程とその間に攻めてくるかもしれない武装集団からの防衛についてが主であった。

    その中で陸戦強襲型ガンタンクの男から聞き出した、MS商人の存在にも触れた。

    あの男はそのMS商人から陸戦強襲型ガンタンクを買い取り、またこの駐留軍基地の状況とガンダムの存在を教えられたという。

    このMS商人は他の所へ行ってはMSを安く売渡し、この軍駐留基地跡のことを話して回っている。

    もし此処を狙っている者たちがいるとして、多少なりともこちらの事情が知られているとするならば、襲われるのは戦力の少ない今。

    そしてジェネレーション・システムの存在である。

    ロランたちがここに来て以降、出現することはなかった。

    元々神出鬼没の存在であるため、後手に回らざるを得ない相手ではある。

    ただ、ガンダムを狙うことは今までの経験から可能性が高いため、
    来た場合すぐに難民たちの下を離れ対応していくことはこの会議内で決まった。

    716 = 715 :

    ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    ロランたちは早速、軍駐留基地跡の防衛作戦への準備に入った。

    倉庫の中はMSや作業車両の発進で慌ただしくなっている。

    ソシエ「素人は足を引っ張らないでちょうだいね!」

    ビーチャ「へっ!あんたもそのチンチクリンなMSで迷惑かけるなよ!」

    ソシエ「カプルは関係ないでしょ、ナマイキ!」

    リーオー搭乗での作業に志願したビーチャとソシエの言い合いにイーノとエルが諌めているのをガロードとシローは傍目で見ている。

    シロー「助けるはずの子どもにここまで手伝わせることになるなんてなぁ……」

    ガロード「ビーチャの強い希望があったしな。それにレジスタンスにすら他に動かせる人がいなかったし、
         この作業で動ければ、このままビーチャがリーオーに乗っててもいいわけだ」

    シロー「そうなんだが」

    ガロード「シローのいる世界では、やっぱり珍しいか?子どもがこういうのに混ざるの」

    シロー「いや」

    ガロード「そっか。……戦争だもんな……知り合いとかにいるのかい?」

    シロー「お前みたいに年上に“さん”付けをしない、元気がいいのがいるよ」

    ガロード「う……悪かったな」

    ビーチャとソシエの口論は、エルを交えての口論となり、ロランが入っていって、
    イーノがビーチャとエルを引っ張って行って事なきを得た。

    717 :

    応援してる

    718 :

    ガロードとシローのもとにドモンが来る。

    ドモン「ロランはまだ取り込み中か」

    ドモンがロランの方に視線を向けると、ちょうどよく、ロランがガロードたちの方へ歩いてきた。
    その後ろを不満いっぱいな表情のソシエが付いてくる。

    シロー「頼りにしてるぞ、ソシエ。君が彼らを支えるんだ」

    ソシエ「わかってる」

    ガロード「よろしくな」

    先程までの態度を一転、真剣な面持ちでガロードに向く。

    ソシエ「あの子たちを連れて作業に向かうのよね」

    ガロード「ああ。この辺りでモノを集めてた分、アイツらが一番今の地理を知っている」

    ドモン「確かに、作業には適任だな」

    ソシエ「ドモンさん、またふらっと出て行ったりしないわよね」

    ドモン「あれはアンタがゴッドガンダムを見て喚いたりするからだ」

    ソシエ「カタキに似た顔のが出てきたら誰だって嫌よ!」

    ロラン「カタキ」

    ソシエ「お父様の、お母様の、お姉さまの、メシェーの……!」

    ソシエの深まる顔の険しさ、語気の強まりと共に語られる犠牲者の名にロランの顔も青ざめていく。

    シロー「ソシエ。俺たちに恨み言を言っても仕方ない」

    ソシエ「……そうね、お門違いだわ。ごめんなさい」

    ソシエはその場を去る。

    ドモン「ゴッドガンダムの整備に戻る。ロラン、ホレスが見てもらいたい道具があると言っていた」

    ロラン「わかりました」

    719 = 718 :

    ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    ロランはターンエーの整備場近くの壁に掛けてあるMS用の道具に目をやる。

    ロラン「これは」

    ミンチドリル。MSイーゲルが持っていた武器である。元の世界で一時期、ターンエーはこれを使い採掘作業を行っていた。

    ホレス「ターンエーのサイズならこれを扱えると思いましてね。これからの作業には便利だと思い、
         ギャロップから引っ張り出して使えるようにしたんです」

    ロラン「使えるでしょうね」

    イワーク「ロラン」

    ロラン「イワークさんも参加するんですね」

    ホレス「今回の作業は、一緒に組んでもらいます」

    イワーク「戦闘はともかく、こういった作業ならデスペラードでも十分だ」

    ロラン(この世界に来てから、元の世界のことを意識させるのがいっぱい出てくる。
         ――それにあの話、いくら別人といったって……!)

    イワーク「ロラン、大丈夫か。遠い目をしていたぞ」

    ロラン「え、大丈夫です」

    ホレス「働き詰めでしたからね。少し休憩してからいきますか?」

    ロラン「いえ……何かしてる方がいいです。作業は一刻も早い方がよいでしょうし」

    720 = 718 :

    ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    数日後、ついに軍駐留基地跡を狙う者たちが現れた。

    それらは青のMSと黒のMSで構成された集団である。青い機体が八機、ほぼ横一列に並び、その前を黒い機体が一機走る。

    TMF/A-802バクゥ

    TMF/A-802W2ケルベロスバクゥハウンド

    軍団はあちこちのMSや建造物の残骸や瓦礫の山々を尻目にデコボコの地上を走る。

    デコボコの道から、多少人の手が入ったと思われる場所に入ると、それらの獣を模した脚部は動作を速める。

    「あそこを手に入れれば、廃墟生活からおさらばだぜ!」

    「こっちはMS商人から仕入れたとっておきもあるんだ!獲物はしっかり仕留めてやる。
      俺ら“熱砂の猟犬たち”がな!」

    熱砂の猟犬たちが狙うのはバクゥのスピードを活かした速攻。駐留軍基地跡の難民たちを人質にとり、レジスタンスの戦力を無力化させ、奪い取る。

    MS商人の話ではレジスタンスの戦力は弱く三機のガンダムに頼っている、という話である。
    ガンダム、とは謎の赤い光から現れる機動兵器たちの中にいる二つ目で角付きのMS。
    MS商人に聞くまで名前を知らなかった存在だ。強力らしい。

    らしい、というのも空に赤い光が出たらそこから離れるのが利口であるのだからどんなものかよく知らなかった。
    赤い光のMSに何かしようとすれば、どんどんMSを出現させ襲い掛かってくるヤツらなのだ。

    遠目で空にポツポツ現れた赤い光の点からMSが次々現れ、降りてくる光景は関わってはいけない災厄の類にしか見えない。
    おかげで、今までの窮屈は消え、今のような力さえあれば何とでもなるいい世界になったのだが。

    721 = 718 :

    “レジスタンスは口だけの存在である”。

    政府の不甲斐なさや軍の負け続きにうんざりした人々が囃し立て、祭り上げた存在でしかない。
    あの赤い光に勝利した戦いは一度もない。
    奴らは宣伝ばかりして人と金を集めるだけ集め、いい暮らしと自分たちの安全を高めているだけなのだ。

    とにかく、ガンダムとやらが協力であっても三機ではあの広大かつ、開けた所に立地する駐留軍基地跡を守りきることはできない。そこを衝くのだ。

    と、MS商人からの助言もある。

    進んだ先にはいくつもの破片や瓦礫で出来た山があった。大きさは大小バラバラ。
    不ぞろいに配置されてこちらを待ち受ける。

    「センサーが熱を感知してやがる……障害物の爆弾のつもりか?素人め、事故りすらしねぇよ!」

    「こんなちゃっちい罠しかなくて、いまだMSの一つも出てこないんだからレジスタンスもたかが知れている」

    バクゥたちはそのまま瓦礫の山々の隙間を通り抜けることにした。通り抜けるには丁度いい間隔だった。
    勢いで壊してしまってもいいが、こんなのに使うにはやはり弾が勿体ない。

    バクゥが瓦礫の山の間をすり抜けた瞬間、付近の瓦礫の山の先端から赤く発光している物体が爆音と共に空へ向かって飛び出した。

    「……信号弾!?」

    722 = 718 :

    ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    ドモン「来たな!」

    Gガンダムは上空へ打ち上がる赤い発光物の方へ向かって走り出した。
    彼は罠に掛かったバクゥたちとは別の方面の守りを担っていた。
    修繕やごまかしの効かない表面の傷と、一部の機能以外は回復したGガンダムは背中のバーニアを吹かせて加速し、侵略者の元へ急ぐ。

    ドモンたちやレジスタンス側にしてみれば、いつ、何処から敵が来るか分からない。

    全方位、四六時中行き届いた監視ができるわけがなく、対抗できる戦力の数も少ない。
    この罠はそれらの弱点を補うためのモノである。

    信号弾の発射装置を瓦礫やMS他機械の残骸、破片、土塊等で覆い瓦礫の山にする。
    それらをある一定の距離まで不ぞろいに配置する。これで駐留軍基地跡を多くの瓦礫の山が輪を作って囲んでいるカタチとなっている。

    瓦礫の山々の間にはスイッチを設置している。
    地上からの4tほどの重圧で押される程度の深さに埋まっており、踏めば信号がケーブルを伝わり弾が打ち上げられるという流れだ。

    723 = 718 :

    ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    呆気に取られた彼らは動きを止めていた。

    そこに一筋の光線が襲い掛かる。

    「うわっ!」

    それはバクゥたちのどれかを狙ったわけではなく、瓦礫の山の一つに真っ直ぐ命中した。
    すると瓦礫の山が爆発を起こし、山を作りだしていた破片や瓦礫などが飛び散り熱や爆風とともに付近のバクゥに降りかかる。

    瓦礫の山には爆発物も混じらせていたのだ。

    光線――ビームを撃ったのはEz8だ。

    瓦礫の山々の外、駐留軍基地跡の方へ続く凸凹の少ない地面となっている所から、
    右手に持つビームライフルを前方に向け左手のシールドで機体を覆いつつバクゥたちの元へ走っていく。

    シロー「俺が一番乗りだったようだな!」

    シローは照準をガラクタの山々に適当に合わせ、ビームライフルをその性能に合わせて撃ち続ける。

    放たれた数発のビームは瓦礫の山一つ一つに命中し、仕込んでいた爆発物が破裂、瓦礫や破片が飛び散る。

    バクゥたちは攻撃に合わせた回避行動を取るなかでスイッチを踏んだ。
    近くの瓦礫の山から信号弾が撃ち上がる。

    「うわあああ」

    状況に動転し、山にぶつかるバクゥもいた。

    瓦礫の山々の不ぞろいの配置は行動を制限させ、音と衝撃と、敵の攻撃からくる恐怖はバクゥたちに混乱を引き起こしていた。

    作戦は成功である。

    Ez8は背中のバーニアを噴射し、さらに加速して接近する。

    背中にはウェポンラックも背負っていない。彼らの機動力が削がれている今ならば。

    724 = 718 :

    「3番と5番は迎撃に回れぇ!俺を援護しろ!残りはついてこい!!」

    ケルベロスバクゥハウンドに乗り込むリーダー格からの指示でバクゥたちは態勢を立て直し、二機のバクゥがEz8に向かって突っ込む。

    二機のバクゥの背部レールキャノンから放たれた弾丸をかわし、Ez8はビームライフルの銃口をバクゥに向け反撃に出る。

    シロー「一機でも多くここで仕留める!」

    先に瓦礫の山々の罠から脱し、Ez8のいるオウトツの少ない地面に出た二機のバクゥは四本の足を間接に合わせて折り畳み、
    一本ずつに仕込んでいる無限軌道を引き出す。

    姿勢を低くとり、四つの足の無限軌道による走行形態となった二機のバクゥは
    その姿勢による安定性と生まれた速度でEz8を囲み、動き回り翻弄する。

    シロー「誘いに入ったら負けだ……!」

    Ez8は頭部機関砲でバクゥ二機に向けて攻撃する。

    バクゥたちは攻撃を軽々と避けていき、レールキャノンでEz8に反撃する。

    Ez8はバクゥたちの攻撃をかわしつつ、機関砲の弾丸をばらまいた。
    同時にビームライフルの照準を合わせようとする。

    「くそっ!とっとと仕留めてやる!」

    一機のバクゥが頭部の先端から、横の両端に向け二つのビームの刀身を出し、Ez8に向かって突進する。

    シロー「誘いに乗った!」

    Ez8はビームライフルの引き金を引いた。

    放たれたビームはバクゥのレールキャノンを撃ち抜き、
    装備の爆発による衝撃で速度を強引に落とされて、バクゥは地べたへ押され怯んだ。

    Ez8は距離を取り、もう一機にビームライフルを向ける。

    725 = 718 :

    ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    二機のバクゥの奮闘のおかげで、残った六機のバクゥとケルベロスバクゥハウンドは瓦礫の山々の罠とEz8の猛攻から抜け出した。

    ここから先は障害物が無く、オウトツの少ない地面になる。

    センサーによると、この先には再び瓦礫の山々がある。おそらく先程と同じ罠だろう。
    そこを過ぎれば駐留軍基地跡に辿り着く。まずはこの場を一気に走り抜け、障害物を破壊して進めば目的は達成だ。

    しかし、この障害の少ない地点を素早く移動するための通路にしているのはドモンたちも一緒だった。

    Gガンダムがバクゥの群れに突進する。

    「角付きで二つ目!貴様がガンダムか!」

    バクゥたちはGガンダムに向けてレールキャノンによる砲撃を開始する。
    ケルベロスバクゥハウンドもケルベロスウィザードに付いている自身と同じ頭部、を模したビーム砲で攻撃した。

    Gガンダムはビームソードを取り出し、攻撃を掻い潜って群れに突入しバクゥたちを散らばらせる。

    ジェネレーション・システムとの戦いでターンXによって失われて以降、ビームソードは一本のままだ。

    ドモン「でぇぇりゃぁあ!」

    Gガンダムはバクゥの懐に飛び込み、機体とレールキャノンの接合部分を横薙ぎに切り裂く。
    そしてバクゥの腹部を蹴り上げ、横転させその場を離れた。

    転ばされたバクゥはそのまま仰向けになる。四本脚を動かすも、立て直しは叶わない。

    726 = 718 :

    Gガンダムは動きを止めずにバーニアを吹かし、足を地に付けない程度の飛行で滑走して
    バクゥたちに砲撃態勢を取らせぬよう飛びまわる。

    バクゥたちはチームワークを荒らされたことで一機一機での対処を余儀なくされ、
    隙を見せた一機が懐に飛び込まれ、ビームソードで右前脚と後ろ右脚を切断された。

    「速い」

    「MS商人の情報と違うぞ!」

    「誰だ数でかかれば勝てるって言ったの!」

    ケルベロスバクゥハウンドからの号令に従い残った四機のバクゥたちはGガンダムから逃げ、
    無限軌道による走行形態に変形して目的地を目指した。

    バクゥたちはケルベロスバクゥハウンドの前方に二機、後方に二機位置し、ケルベロスバクゥハウンドを守る形となった。

    「楽じゃねぇよ」

    アラームがパイロットに高熱を持つ何かが迫るのを知らせる。

    前方からビームが襲い掛かり、先を行くバクゥの左の前脚と後ろ脚を焼き切った。

    727 = 718 :

    ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    ターンエーは目元にビームライフルを寄せ、構えたまま前方を見遣る。
    ビームライフルのグリップを収納し、右手は側面にあるダイヤルへ、左手は銃身を支える射撃の姿勢を取っていた。

    その右隣にはマシンガンを持つリーオーとスクラップから取ってきた鉄柱を持つウァッドがいて、
    それぞれにビーチャとガロード、モンドが乗っている。

    三機は信号弾や火薬などを詰め込んだ瓦礫の山々の前に立つ。
    ここを過ぎれば駐留軍基地跡までもうすぐである。最後の防衛線だ。

    ビーチャ「すげぇ……カメラを拡大したって、MSがぼやけて見えるんだぜ」

    ターンエーはビームライフルで射撃する。

    ロラン「ギャロップとカプルはそのまま……。はい。シローさんやドモンさんとでやれそうです」

    ロランは別の方面を守る、クラウスらが搭乗するギャロップに通信を送りつつ、ここからGガンダムとEz8への援護を行う。

    ガロード「何とかなりそうだな」

    728 :

    ラスボス候補会議

    シャア 「私がアクシズ落として粛正してやろうと言うのだよ。」

    デュランダル 「いやここは私がデスティニープランを発動するのだろう。(なんだか他人には思えないな。)」

    リボンズ 「Gジェネウォーズの時のように僕が0ガンダムに乗るんだ!もしくはリボンーズガンダムで!!」

    シャア 「アムロ!?…いや人違いか…。」

    ラクス 「何言ってるのあなた達ジャンクにするわよ。」

    デュランダル 「中の人ネタは止めて頂きたいのだが…。」

    729 :

    倒せない時はいつでもお呼びください。

    IΔONより

    また、ラスボスにもなります。

    730 :

    なお、シャアとアムロとジュドーが揃えばどうにか出来るもよう

    731 :

    ラクス 「私の天下はまだ続くのですわ。」

    シャア 「どういうことだ?」

    デュランダル 「SEEDdes以下略のリマスターの他にローゼンメイデン(新)が始まるらしい。それにガ○パンの映画やるらしい…。『やっぱり他人とは思えないな…。』」

    リボンズ 「メタい…。」

    シャア 「こうなれば私シャア・アズナブルはガスマスクを被る役でもやるしかあるまい。」

    リボンズ 「C3シーキ○ーブですねわかります。」

    デュランダル 「私は種死…SEED運命のリマスターを地道にやってくか…。」

    リボンズ 「その次はガンダム00だね。僕の時代の幕開けだ!」

    732 :

    >>731
    そういうのいいから

    733 :

    ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    遠方の、こちらでは捉えられない距離にいる、ターンエーからの攻撃にバクゥたちはたじろぎ、
    そこへGガンダムが乗り込んでバクゥたちを散らばらせる。

    そして二機のバクゥを沈黙させたEz8が接近する。

    シロー「このまま一気に……!」

    轟音と共に幾つもの信号弾が上空へ飛び上がる。

    ドモン「新しい侵入者か、それとも迎えのレジスタンスか?」

    装置が示す二つの信号。これはMSクラスが二機こちらに迫っていることを表している。

    「増援か!」

    「何言っている、この予定はない!」

    Ez8のカメラが姿を捉える。

    シロー「四足の獣……アイツらと同じタイプのMSか!」

    二機のそれらは空へ飛び跳ねた。光を背にして影となったそれらは、シルエットを獣から人の形へと変える。

    ドモン「変形した」

    降り立ったのは黒と朱をそれぞれ主な体色にしている二つの機体だった。

    ZGMF-X88Sガイアガンダム

    シロー「ガンダム」

    734 = 733 :

    ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    状況は一変した。

    ロランたちの元に、別の方面を守っているギャロップとカプルが二機のMSと遭遇したと報告が入った。

    クラウス『ガンダムだ!妙な姿だが、間違いない!二体いる!』

    ロラン「分かりました。すぐに向かいます!」

    ガロード『ここは任せろ』

    ロラン「頼む!」

    ターンエーはそこへ向かって吹き出し、脚部の裏全体のスラスター・ベーンで機体を一気に飛び立たせた。

    ガロード「ビーチャ、代わるなら今のうちだぜ」

    ビーチャ『バカいえ!俺たちが戦いに出なきゃ、レジスタンスに適当に扱われるかもしれないんだ!』

    ガロード「わかったよ」

    ウァッドの上下の座操縦席、その下に座るガロードはウァッドがセンサー等から得た情報を見る。

    モンド「あいつら口では難民救済とか言っているけれど、“使えない”と分かったらどういう待遇になるか……」

    上の操縦席でモンドが今の状況への不安をこぼす。

    ガロード(俺たちみたいな異邦人とこの世界を生きるビーチャたちとじゃ、レジスタンスに頼ることの問題の深さが違うんだな)

    735 = 733 :

    ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    二機のガイアガンダムの乱入、それらの自分たちを無視したGガンダムとEz8への集中攻撃に、
    “熱砂の猟犬たち”の気後れしていた士気は高まっていた。

    ガイアガンダムたちは二つの形態を器用に扱いドモンたちを翻弄する。

    人型と四足獣形態を使い分けることによる機動性は二機のガンダムを追い掛け、逃げ回ることに十分に発揮され、
    さらにもう一機との連携によってその効果を強めていた。

    「どうやらあのガンダムどもは俺たちに興味を示さないらしいな」

    「しかしあのビームライフル持ってる赤い目のヤツ、ガンダムに当たり負けしてねぇ」

    「もしかしたらヤツもガンダムだったってわけか。だとすればレジスタンスのガンダムはあと一機……これはチャンスだ!」

    「リーダー、援軍がもうじき到着するそうですぜ!」

    「よし、残り一機のガンダムをアレで引き付け、その隙に基地跡に攻め込む!」

    様子見をしていたバクゥたちが駐留軍基地跡へ向かいだす。

    シロー「……待て!」

    Ez8は後を追おうとするがバクゥが後部に回頭させたレールキャノンの適当に放った砲撃に阻まれた。

    「ガンダムはガンダム同士でやりあってな!」

    736 = 733 :

    GガンダムはMS形態になっている、朱色のガイアガンダムに向かってビームソードで斬りかかる。

    ガイアガンダムは距離を詰め放たれたGガンダムの攻撃をかわし、ビームライフルでGガンダムを狙う。

    銃口と向かいあおうとした瞬間、Gガンダムは咄嗟に胴体に向けて回し蹴りを繰り出し、蹴り飛ばした。
    ガイアガンダムの機体が吹き飛び地面に倒れるも、すぐに起き上がる。装甲に傷はない。

    ドモン「技を浴びせても大して手ごたえが感じられない!この感覚は――あの時のガンダムか!」

    Gガンダムはガイアガンダムを無視し、駐留軍基地跡へ向かったバクゥたちを追う。

    シロー「こいつらがジェネレーション・システムか!」

    ドモン『恐らくな!アイツらの味方ではないことは確かだ……気を付けろ!こいつ等は特殊な装甲をしている。
         少なくとも打撃は効かない!』

    シロー「ならビームライフルだ!」

    Ez8は目の前に立ち塞がる黒色のガイアガンダムに向けて銃口を向け、発射する。

    黒色のガイアガンダムは左腕に装備するシールドでビームを受け止める。対ビーム処理が為されているこのシールドは、
    襲いかかったビームを防ぎきった。

    シロー「何っ!?」

    シローは防がれたと判断すると、直ぐにその場から動いた。

    ガイアガンダムはシールドで受けたことによる衝撃を背中のバーニアで押しとどめやりすごすと、直ぐにビームライフルで反撃する。

    反応が一瞬速かったため、ビームを避けることができたが、
    地面に向かって飛び込むかのような前傾姿勢で動作をしたため態勢を崩して転んでしまう。

    Gガンダムは黒色のガイアガンダムへ突っ込んでいき、Ez8から注意を逸らさせる。

    737 = 733 :

    シロー「ビームを防ぐなんて……!」

    Ez8が立ち上がったと同時に、四足獣形態の朱色のガイアガンダムが背部ビーム突撃砲と右肩に掛けたビームライフルで
    Gガンダムたちを攻撃しながら突進する。

    Gガンダムは黒色のガイアガンダムから離れざるを得なかった。

    ドモン「ゴッドガンダムを動かせるようにするのを最優先にしていて、ハイパー・モードの調整は後回しにしていた」

    バクゥたちは着実にGガンダムたちから距離を離し、駐留軍基地跡へ進んで行く。

    シロー「ビーチャとガロードたちでは荷が重い」

    ロランが別の方面で出現した二機のガンダムの対応に向かったという報せは二人に届いていた。

    ドモン『俺があのガンダムたちを抑える!ガロードたちを助けに行け!』

    Gガンダムは頭部バルカン砲で攻撃するが、朱色のガイアガンダムは被弾も構わず突進する。

    Gガンダムは朱色のガイアガンダムからのビームライフルによる攻撃を避け、
    後ろから迫った黒色のガイアガンダムのビームライフルでの射撃も反応し回避する。

    ガイアガンダム二機のビームライフルによる別位置からの同時攻撃。

    この十字砲火はGガンダムを苦しめるも、Ez8からのビームで陣形は崩された。

    738 = 733 :

    シロー「一機では危険だ!」

    ドモン「俺に構うな!ガロードたちや基地のみんなが危ないんだ!」

    シロー「くっ」

    Ez8は駐留軍基地跡の方角へ走り出した。

    シロー「頼んだぞ……!」

    Ez8を追おうとした朱色のガイアガンダムの足元にGガンダムはマシンキャノンで砲撃し、注意をこちらに向けさせる。

    並び立った二機のガイアガンダムは、四足獣形態となってカラ手で向かってきたGガンダムに襲い掛かる。

    先んじた黒色のガイアガンダムが胴体背面の側面に飛び出ているウィングに装備する武装グリフォン2ビームブレイドを作動させ、
    そのビームの刃で切り刻もうとした。

    Gガンダムは迫る黒色のガイアガンダムの突進を、接触するか否かの所で脚を使い飛び跳ねてその真上に逃げることで避け、
    落下と共にその獣の頭を踏みつけ再び跳ねた。

    ドモン「ゴッドスラァッシュ!」

    左腰部ホルダーに収めていたビームソードを取り出し、黒色のガイアガンダムに続いて
    ビームブレイドの一撃を加えようとしていた朱色のガイアガンダムに向け、機体の落下と共にビームの刃を振り下ろす。

    朱色のガイアガンダムは咄嗟に四本脚で後ろに飛び跳ねて攻撃を避けた。

    着地したGガンダムは起き上がる黒色のガイアガンダムと、
    モノアイでこちらを睨みつけるように見ている朱色のガイアガンダムに前後に挟まれる場に立つ。

    ドモン「さあ、かかってこい!」

    ドモンの掛け声と共にGガンダムは両腕でビームソードを構え見得を切った。

    739 :

    久しぶりにNIP来たらめっちゃ続き来てた
    頑張れ

    740 :

    今更読んだけど面白いな
    続き期待してる

    741 :

    ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    別方面に現れた例のガンダム二機は最初の防衛線である瓦礫の山々を抜け、
    そこと、最後の防衛線である瓦礫の山々に挟まれた特に障害物の無い、オウトツの少ない
    地面で陸戦艇ギャロップとカプルに遭遇し、戦闘が行われた。

    結果はガンダムたちの圧勝である。

    陸戦艇ギャロップは突き出ている左右のジェットエンジンのうち、右側のモノが破損しており、そのまま沈黙している。

    ソシエが乗るカプルは挫けず、未だ二機のガンダムに立ち向かうも、
    その丸い機体を地面に叩きつけられ転がされていた。

    GF13-002NGRゼウスガンダム……モビルホース・ハーキュリー搭乗

    GF13-050NSWノーベルガンダム

    ソシエ「何なんだ!一思いに殺せばいいのに!」

    ソシエの恐怖と憤りの混じった言葉の通り、ガンダムたちは軽く相手をいなすだけだった。

    ギャロップの他の船体、船員も無事ではある。しかし、その圧倒的な力の差に、この状態で戦えばどうなるかなど察しはつく。

    ソシエが戦うのは本人の意地だ。だがそれも通らなくなろうとしている。

    古代の戦いで用いられた戦闘馬車、チャリオットを模したハーキュリーに乗るゼウスガンダムは
    腰部左に掛けている鞘から両刃の剣、ゼウスソードを抜き出す。
    両目はカプルを見詰め、ソシエはその無機物の眼差しへの恐れが意地に勝りカプルを立ち上がらせることが出来なかった。

    その時、彼らの近くでビームが地面に突き刺さり、地面が破裂した。

    ガンダム二機が一斉に視線を移す。
    視線の先には両手で支えるビームライフルの銃口を向け、低空飛行で接近するターンエーがいた。

    742 = 741 :

    ソシエ「ターンエーガンダム―――ロラン・セアック……」

    待っていた、とでも思っていたかのように二機はターンエーに向かって走り出す。

    ターンエーは地上に着地しつつ、ビームライフル下部のグリップを出し
    右手を側面のダイヤルからそれを握らせ片手で支える方に転換した。
    そして銃口をガンダムたちに向ける。

    ロランはソシエたちの無事を認識し、そして向かってくるガンダムたちに注目する。

    ロラン「確かに妙なカタチだ。ヒゲが生えてるし、髪が生えている。それになんて恰好してるんだ」

    ハーキュリーで走行するゼウスガンダムの前をノーベルガンダムはその細い脚で以って疾走し、
    手から自身を容れられる程の輪型のビームの塊、ノーベルフラフープを生みだし、ターンエーに投げつけた。

    ターンエーは咄嗟にノーベルフラフープに合わせビームライフルの引き金を引いた。

    放たれたビームはノーベルフラフープを貫き砕く。砕けた光の輪は塵となって消え去った。

    ロラン「きっと元はドモンさんのいる世界のガンダムだな……!」

    ノーベルガンダムはそのまま真っ直ぐターンエーに向かうのではなく迂回していく。

    ロランは前後で挟み撃ちするつもりと考えたが、迷わず前進した。
    何よりの目的はゼウスガンダムの背後にいる、ギャロップとカプルの救出だった。

    対面するゼウスガンダムにビームライフルの銃口を向け、ビームを放つ。

    ゼウスガンダムはハーキュリーを駆使して軽やかに避け、ゼウスソードを振り上げ斬りかからんとした。

    ターンエーはスラスター・ベーンの推進力で空へ飛び跳ね、ゼウスガンダムの真上を通過し、
    下半身をひねり、脚部を大きく動かして脚部裏を反対に向け、そして機体全体を反転し
    ビームライフルを地上のゼウスガンダムに向けて上空から射撃する。

    ビームは長時間撃ち出され、銃口から続く光の柱となってゼウスガンダムを襲う。

    743 = 741 :

    ゼウスガンダムは左手に持つ手綱を引き、ハーキュリーの前脚を振り上げさせ車輪側を軸に反転、
    背面車輪付近のバーニアを噴射して、降り注ぎ地を穿いて進むビームの柱から逃げ出した。

    ターンエーはギャロップの傍に降下する。
    転がっていたカプルも立ち上がり、ターンエーの傍に寄った。ターンエーは距離を取って
    相対するガンダム二機にビームライフルを向け威嚇する。

    ロラン「ここは僕が引き受けます」

    クラウス『苦戦を想定していたとはいえ、こんな状況まで追い込まれるとは』

    ロラン「ドモンさんたちもガンダムと戦って足止めされて、身動きが取れずにいます」

    クラウス『突破できるか?』

    ロラン「ジェネレーション・システムなら、狙いはコイツです」

    クラウス『ガンダムか。――ソシエ・ハイム、ガロードたちの救援に回るぞ。いいね』

    ソシエ「ガンダム相手だからって無闇に突撃する鉄砲玉じゃないです!……ロラン、やれるのよね?」

    ロラン「やります」

    ターンエーは揃い、立ち並ぶガンダムたちに向かって走り出す。

    ソシエ「そう」

    744 = 741 :

    ロラン「さあ、こっちにこい……!」

    ターンエーは走りながら右手に持つビームライフルで射撃する。そして左手を背中のビームサーベルの柄に掛けた。

    襲い掛かるビームに怖気づくことなく、並走し接近するゼウスガンダムたち。

    ターンエーはビームを撃ち込み彼らを引き離す。

    ノーベルガンダムは空中へ跳躍し、ゼウスガンダムはハーキュリーをターンエーに向かって走らせゼウスソードで斬りかかる。

    ターンエーは空中からビームリボンの柄を右手で振り、背後でビームの帯を渦巻かせながら落下するノーベルガンダムに顔を向けつつ、
    ゼウスガンダムにビームライフルを向け発射し、左手でビームサーベルの柄を引き抜き発生口からビームを勢いよく噴出させながら
    振り下ろしてノーベルガンダムの目の前に光の刃を見せつける。

    ノーベルガンダムはビームリボンのビーム帯を光の刃に投げつけてぶつけ合った後、ビーム帯の反発と共に後ろ宙返りをして着地する。

    両機ともターンエーに一撃を見舞おうと躍起になっている。
    その隙に後部の平らな部分にカプルを載せて動く機会を窺っていたギャロップは残る左側のジェットエンジンを使い、
    ホバークラフトを起動してガロードたちが守る方面へ走り出した。
    カプルは両腕を突出し、取りつけているハンドガンを向け威嚇のポーズをとっている。

    ゼウスガンダムはそれに顔を向けた。すると、ハーキュリーをターンエーに向けてではなく、ギャロップに向かって走らせた。

    ロランはゼウスガンダムに注意を向けた。その隙を見計らい、ノーベルガンダムはビームリボンを
    ターンエーの右腕に巻きつかせ、柄を引いた。
    ビーム帯も縮まり、ターンエーはバランスを崩され転びそうになる。

    ソシエ「嘘つきロラン!こっちに来てるわよ!」

    カプルはハンドガンでゼウスガンダムを攻撃するも、ハーキュリーは悠々と避けながらギャロップとの距離を詰めていく。

    ロラン「このぉっ!」

    ターンエーは左手のビームサーベルの刃を収めると右腕を引き、ビーム帯を引っ張り返した。
    今度はノーベルガンダムがバランスを崩す。両足を大きく開き、腰を据えたターンエーは
    上体を捻り勢いよくビーム帯を引っ張り上げた。

    ノーベルガンダムの両足が地面から離れ、機体は空中へ投げ出される。その勢いでビームリボンの柄が手から落ちた。

    ターンエーは全身とともにビームライフルをゼウスガンダムに向け、狙い撃った。

    放たれたビームがハーキュリーに命中し、ハーキュリーは爆発した。

    745 :

    ソシエ「やった!」

    ギャロップの進行方向に上空からゼウスソードが落下し、切っ先が地面に突き刺さった。
    突然の障害物の出現にギャロップは急停止し、船体を大きく揺らす。

    ソシエ「わっ!?」

    ゼウスガンダムは背中の大きな翼とバーニアで以って上空へと逃げ延びていた。

    ロラン「仕留めきれなかった……!?」

    ターンエーはゼウスガンダムにビームライフルの照準を合わせる。
    その背後へ強烈な打撃が繰り出された。

    ターンエーは衝撃と同時に吹き飛び、前のめりとなって地面に滑り落ちた。

    ロラン「……っう!?」

    ノーベルガンダムの仕業である。その機体の様子は先程とは大きく変化していた。

    髪の毛を模したパーツの噴射口から真紅の細やかな光の粒が噴き出し続けている。
    装置の稼働を全開にする為にその部位は分離しており、まるで束ねていた髪がバラバラに乱れ広がっている様に見せている。

    その光を浴びて機体は赤色に染まり、色合いは変化したノーベルガンダムの姿をより禍々しくさせていた。

    746 = 745 :

    バーサーカーシステム。

    本来のソレはシステムに対応したガンダムファイターとシステム起動のための外部誘導波装置ありきのシステムであるが、
    当機のコレはシステム起動時の飛躍的な戦闘能力向上を擬似的に再現したものだ。

    ロランは対面するノーベルガンダムの姿が変わったのを見て、
    赤色に変わって強力になる刹那のガンダムと同じように性能向上が行われたのだと悟りつつ、
    背後で地上に降りたゼウスガンダムが稲妻を模った柄をした槌の先をギャロップの艦橋に向けていることも認識し、動けずにいる。

    クラウス「我々が生かされていたのはもしものための人質だったのか……」

    そのゼウスガンダムの武器、ゼウスハンマーを向けられているうちの一人、クラウスは表情を強張らせながら呟く。

    ギャロップの後部に乗ったままのカプルもまた、この危機に硬直していた。

    ターンエーはそれぞれ手に持っていたビームライフルとビームサーベルを地面に落とす。
    ノーベルガンダムはビームリボンのビーム帯でそのビームライフルを器用に絡め取り、上空へあげてビームライフルを放す。

    そしてビーム帯でビームライフルを両断し、破壊した。

    747 :

    おおっ、バーサーカーモードか!

    748 :

    ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    バクゥたちはついに、第二の瓦礫の山々を視界に捉えた。

    「見えたぜ!」

    そしてその前に守備するリーオーとウァッドの姿も確認する。

    「やっぱりガンダム頼りだったか!あんなのしかいないなんてな!」

    ウァッドが突然前へ向かって走り出した。

    だが前進こそしているものの、その行き先はバクゥたちに向かってではなくそこから外れた、地平線である。

    リーオーは前に出ると、マシンガンを両手で持って構え、前方に向けて乱射した。

    『逃げ出したんだろう。それよりもあのイカレMSを潰せば終わりだ』

    バクゥたちのうち一機がウァッドを横目に見ていたが、ケルベロスバクゥハウンドからの通信で視線を戻した。

    「確かにそうだ。俺たちの勝ちだ」

    ビーチャ「うおおおおおおおおおおお!」

    注意は全てリーオーに向けられた。
    バクゥたちはヤケクソに撃ち続けるそれを蹂躙して倒すために脇目も振らず真っ直ぐに進む。

    749 = 748 :

    ウァッドは反転し、バクゥたちに向かって走り出した。ウァッドは彼らの後ろを取る。
    背骨にあたるレールのような部位を利用した、その特徴的な前傾姿勢で以って全速力で駆ける。

    リーオーは撃ちつつ前進し、ゆっくりとバクゥたちと距離を詰めていく。

    「挟み撃ちのつもりだったのか!」

    「こんな、子どもだましみたいな誘き出しで!」

    ウァッドは胴体付属の機関砲で攻撃し、牽制する。バクゥたちは後ろの方への注意を強めた。

    「やっちまえ!」

    バクゥたちは前進しつつ前後のリーオーとウァッドに向かって砲撃する。

    ビーチャ「うわあああああ!」

    リーオーは命中こそ避けたが、その攻撃に怯む。
    ウァッドは勢いを落とさぬままその砲撃をかわしていった。

    モンド「うわっ」

    ガロード「そんなへなちょこダマ、当たるかってんだ!」

    そしてバクゥの集団に入り込み、近くのバクゥにとびかかった。

    「こいつっ」

    ウァッドはその背中に飛び乗ると、頭部と首にあたる部位の接合部に片手で持てる、自機の腕より少し短い位の長さの鉄柱を
    食い込ませ、さらに奥へ鉄柱を突っ込もうと鉄柱を思いきり振って捻じ込んだ。
    火花が散っていく。

    「メインカメラが!」

    モノアイの光を失ったバクゥが上の障害を振りほどこうと機体を振るわせる。
    ウァッドは飛び降り、他のバクゥへ襲い掛かった。

    「このチビが!」

    バクゥたちの注意はウァッドへ集中する。

    ビーチャ「このっこのっ!」

    態勢を立て直したリーオーも乱闘する彼らに向けてマシンガンで攻撃する。

    ウァッドがバクゥたちを相手取り、リーオーがその乱戦の外から銃撃を浴びせていく。
    二機の行動にバクゥたちは血眼となり翻弄された。

    だが勝算は薄い。

    750 = 748 :

    手が意識を変え、誰かを置いて二機を相手にさせ、駐留軍基地跡の占拠に専念すれば
    瓦礫の山々での時間稼ぎしかなくなり、状況は一気に不利になる。
    リーオーの弾切れが起こっても同様だ。

    不利な要素を抱えながらもガロード達は必死で奮戦する。

    そこへ瓦礫の山々を抜け出て、こちらまで走ってきたMSがいた。

    イワーク「加勢に来たぞー!」

    MS、デスペラードである。ヒートスコップを肩に担いで登場した。
    作業用モビルスタンダードに分類される当機は、他のMSより緩慢な動作だ。

    ビーチャ「何で出て来たんだよ!?」

    ガロード「その作業用のMSじゃ流石に無理だ!

    モンド「リリアは!?」

    イワーク「言ってやらなきゃ……もう我慢ならない!」

    イワークは通信回線を開いた。彼の怒りの叫びが戦場に響き渡る。

    イワーク『お前たち!ジェネレーション・システムとかいう、得体の知れない機械の化け物に脅かされているのに、お前たちは!
          野盗をして、自分たちのことだけを、食い荒らすことだけを……!
          お前たちのせいで、俺たちはこんな生活を強いられているんだ!!』

    激闘を止め注目する者は誰一人いなかったが、その叫びは届いていた。

    「……何言ってんだあいつ?」

    「知ったことか!俺のやりたいことに、なんでお前らのことなんか考えなくちゃならないんだ?
      余計なこともして、大人しく俺たちにモノを渡せばいいのによ。イラつく、お前ら覚悟しておけ!」

    その言い分に苛立った侵略者たちは意識をデスペラードに向けた。
    ウァッドの足止め効果はほとんど無くなってしまった。

    ガロード「まずい!」

    彼らを追うウァッドの前にバクゥが二機……
    うち一機はモノアイの光を失くし頭部が力なく垂れ下がっている機体たちが立ち塞がる。


    イワーク「さあ来い!」

    デスペラードはヒートスコップの柄を両手で持ち、先端を上にして思いきり振るわんと構えた。


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