元スレ上条「いくぞ、親友!」一方「おォ!!」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★
451 :
ども、1です。
毎日ってのは、ほら、アレだアレ。
だいたいって事で……ダメですね、ごめんなさい。
とにかく、今から投下。
452 :
「しっかし、まぁ。
……ヘンテコなカタチしてんな、おい」
上条がビルを見上げながら呟く。
そのビルは、十二階建てで四棟もあった。
それらは漢字の『田』の字を作るように配置され、空中にある渡り廊下で繋がっている。
「……まァ、ンな事はどォでもいいだろ」
一方通行は適当に返す。
こうして見る限り、話に聞くような『科学宗教』の雰囲気は、あまり感じられない。
ごく普通の『進学予備校』と言ったところだ。
時折出入りする生徒達を見ても、やっぱりおかしなところはない。
「とりあえず、中に入ろう。
隠し部屋がところどころにあるらしい」
ステイルはのんびりとした様子だった。
見取り図は上条達が目を通した後に燃えた。
となると、全て頭の中にある事になる。
「隠し部屋?」
「ああ。
おそらくトリックアートでも使って、
中の人間には気付かせない作りになっていると思うよ。
あのビル、子供の積み木で出来ているみたいに隙間だらけだし」
453 :
待ってました!
454 :
「……ほォ。
見た感じじゃ、そンなに怪しくねェがな」
一方通行が何となく呟くと、ステイルは忌々しそうに言った。
「……怪しくは見えない、ね」
「何だよ?」
上条が聞いてみると、ステイルは何でもない、と首を横に振る。
「いや、実際に専門家の僕が見ても怪しい所が見当たらなくてね」
そう言っている割には、何か釈然としていない表情をしている。
「ま、入るしかないさ。とっとと行くとしようか」
「入るしかないって……ちょっと待てよ。
まさか正面からお邪魔すんのかよ?何か作戦とかねーのか?」
上条が、慌てて尋ねる。
それはそうだろう。
ステイルはあくまでも、『怪しい所は見当たらない』としか言っていない。
もしかしたら、危険がたくさんあるかもしれないのだ。
迂闊に足を踏み入れるのは、大丈夫じゃないに決まっている。
455 :
「それじゃあ、君には何か得策があるのかい?」
そう言われて、上条は一瞬黙る。
「……いや、だとしてもさ!
このまま突っ込んで、蜂の巣にされたらどうすんだよ!!」
「……ふむ。
まぁ身体にナイフで術式を刻めば気配は絶てるけどね」
「じゃあやれよ!
痛いのヤダけど!!」
ステイルはそれを聞いて、心底つまらなそうに告げる。
「最後まで聞きなよ。
たとえ気配を絶とうがね、
『ステイル=マグヌスが使った魔術』の魔力だけはごまかしようがないんだよ」
ステイルいわく、
魔術を使うために生み出される『魔力』というモノは個人によって性質などが違うらしく、
あのビルに充満しているアウレオルスの『魔力』に、
ステイルの『魔力』が被さると、簡単に侵入が気付かれてしまうらしい。
「……つまり、何か?
オマエは歩く発信機って事なのか?」
ステイルは、あっさり首を縦に振った。
456 :
「とは言ってもね、上条当麻。
君よりも、僕はずっとマシだと思うよ」
何でだよ、と上条が言う前に、ステイルは口を開く。
「君の幻想殺しは触れてしまうだけで勝手に異能を打ち消すだろう?
そんな事されて、気付かないヤツがいるわけないじゃないか。
僕は魔術を使わなければ異常は感知されないけど、君の方は異常が常時ダダ洩れだよ」
「オイ、つまり何か?
俺はともかく、オマエら二人は発信機ぶら下げた間抜け面で、
危険度Aランクの所に何の策もなしにドアベル鳴らしてお邪魔すンのか?」
「ふむ。
ま、そうなるね。
そういう事では、君の方が重要だね」
「この野郎……一発殴っていいか?いいよな?ぶっ飛ばす」
「さっきも言ったけど、そんな事してる場合かい?」
「……チッ。
後で覚えてろよ」
「覚えられたらね」
そう言い合いながら歩き出す二人を見て、一方通行は思う。
コイツら、なンだかンだ言っていいコンビかもしれねェな、と。
457 :
ガラスの入口をくぐり抜けた先には、ごく普通の光景があった。
日光を多く取り入れるためか、全体的にガラスの多いロビーだった。
おまけにかなり広く、高さも三階分はある。
ここは予備校で言う『外面』という奴だ。
新しく入校するお客様を引き付けるために、豪華な飾りをするのも仕方がないのだろう。
奥にはエレベーターが四基並んでいる。
そこから少し横に入ると階段が見えた。
飾り気のないそれは、あくまで非常階段である事を示している。
どうやら、現在は長い休み時間らしい。
外へと食料の買い出しに行く生徒が行き来している。
上条達は特に注目を集めなかった。
もしかしたら、単に入校の手続きをしにきただけ、とでも思われているのかもしれない。
(……上条はともかく、俺やコイツが受験生に見えるのかねェ?)
一方通行は少し疑問に思う。
458 :
確かに、自分もステイルも『少年』ではある。
ただ、外見的にどこまでも怪しいと思う。
自分は白髪に赤目だし、ステイルは真っ赤な髪に、ピアスとか指輪をたくさんしている。
……まぁ、予備校も客商売だから来る者を拒まないだけかもしれないが。
とりあえずは、不審な点は見当たらない。
そう思った矢先――
「あれ?」
上条が突然、間の抜けた声を出した。
その視線の先を見てみると、エレベーターがある。
その右から一基目と二基目の間の壁に、金属塊が転がっている。
近くには、全長八十センチはある巨大な弓が転がっていた。
それの手足と呼べる部分は、ひしゃげて折れ曲がっている。
壊れた関節部分からは粘つく黒い液体が流れ出ている。
一方通行には、とても嫌な見覚えがあった。
しかし、そんな事よりも気になる事があった。
459 :
(……何で誰も騒ぎ立てねェンだ?)
そう、この場にいる誰もが、『アレ』について話題ですら建ててない。
目も合わせていない。
――まるでそこには何もないかのように、だ。
「どうした?
ここには何もない。
移動した方が賢明だと思うけど」
ステイルが、そう言った。
「あ、ああ」
上条は『それ』から目を離した。
一方通行は、まだ離せなかった。
「……オイ、待てよ」
一方通行が呼び止めるとステイルは、
「うん?
何だい、あれはただの死体だよ」
と言った。
「は……?」
上条は訳が分からない、といった表情をしている。
「施術鎧による加護と天弓のレプリカ――おそらくローマ正教の十三騎士団だろう。
裏切り者の首を取りに来たみたいだけれど、その様子じゃあ全滅ってところなのかな?」
460 = 451 :
一方通行は、じっと『それ』を見る。
赤黒い血の色に、鉄の匂い。
一方通行は『実験』と称した『人殺し』をしていた昔を思い出した。
それだけで、気分が悪くなる。
分かってはいたが、死体を見るのはもう嫌だったのだ。
「くそ……ったれが!」
上条が走り出す。
どうやら、何か出来る事を探すつもりらしい。
一方通行も駆け寄る。
彼の能力は、応急処置にも使えるのだ。
近寄ると兜の隙間から、わずかな呼吸音が聞こえる。
能力を使って、状態を診てみる。
「どうだ、一方通行?」
………………。
……もう、ダメだった。
上条にそれを告げようとした瞬間、エレベーターの扉が左右に開く。
そこから、同い年ぐらいの少年少女がたくさん降りていく。
すぐ横で崩れ落ちた人間を気にも留めず、世間話をしている。
461 :
「て、めぇ――――――」
上条は、怒りのままに近くにいた生徒の一人の肩を掴む。
「何やってんだよ!
さっさと救急車を――――っ!?」
言葉は途中で遮られた。
上条の腕が、おもいっきり引っ張られたからだ。
「なっ――――」
彼は絶句した。
その生徒は、特に上条の腕を掴んでいない。
肩に置いた手が、そのまま引っ張られたのだ。
さらに言うと、相手は上条に気付いた様子ですらない。
あれだけの叫び声をあげたのに、
ロビーにいる誰もが気付いていないようだった。
「……オイ、こりゃどォいう事だ」
一方通行の質問に、
「そういう結界なんだろうね。
コインで例えるなら、
何も知らない生徒達が『表』で、
僕達みたいな外敵が『裏』ってとこかな。
そして、『表』の人達は『裏』の人間に気付かず、
『裏』の人間は『表』の人達には一切干渉できない。見てみなよ」
462 :
ステイルの指差した先には、
エレベーターから出てくる少女がいた。
見れば、鎧から溢れている赤黒い血溜まりの上をすいすいと歩いている。
少女の靴底を見ても、何の汚れもなかった。
「ふむ」
ステイルは煙草を手に取り、火を点けた。
それを、そのままエレベーターのボタンに押し付ける。
「どうにも建物自体が『コインの表』らしいね。
二人とも、僕達は自分の力でドアも開けられなくなってしまったらしい」
そう言われ、上条がおもいっきり右拳を振りかぶる。
幻想殺し(イマジンブレイカー)――あらゆる異能を打ち消すそれを、
彼は地面に勢いよく、たたき付ける。
しかし、ごん、という鈍い音が響いただけだった。
「ばっ!
みゃあ!
みぎゃああっ!?」
痛みに悶絶してのたうちまわる上条を見て、
ステイルは呆れたようにため息をついた。
463 :
「おそらくは、魔術の『核』を潰さないといけないんだろうね。
そしてだいたいこういうのは、
中の侵入者が逆転できないように外に『核』があるんだろうから、お手上げかな」
「……ちっくしょう。
じゃあどうすんだよ。
目の前にいる怪我人を、医者にも連れてけねえなんて」
「別段何もする必要ないさ
どうせ、もうそいつは死人だしね」
「馬鹿言ってんじゃ……「上条」
上条の反論を、一方通行が遮る。
「……そいつはもォダメだ。
せいぜい、持って数分ってところだ」
一方通行の言葉を聞いて、上条はショックに顔を歪ませる。
「何をそんな顔しているんだい?
本当は分かっていたんだろう?
仮に息をしていても、絶望的である事ぐらい」
瞬間、上条がステイルの胸倉を掴む。
一方通行には、止められなかった。
しかし上条が何かする前に、
「どけ。そいつには時間がない――――」
ステイルは冷静に、上条の手を振り払う。
464 = 461 :
「――――死人には身勝手な同情を押し付けられる時間もない。
死者を送るのは神父(僕)の役目なんだから、素人は黙って見てろ」
そう言ってステイルは、後わずかで命が消え入るであろう『騎士』に向かい合う。
その背からは、怒りが感じられた。
今、彼は『魔術師』ではなく『神父』としてこの場に立っていた。
ステイルは何も特別な事はしなかった。
「 」
ただ一言、何かを言った。
小さくて、一方通行にはよく聞こえなかった。
そこにどれほどの意味があったのか、
今まで何の動きもなかった『騎士』の右手がゆっくり、ゆっくりと動く。
天に浮かぶ何かを掴むように、ステイルに向かってそれを差し出す。
「 。 」
何かを、言った。
ステイルは、小さく頷いた。
『騎士』の全身から緊張が消える。
まるで、もうこの世に未練などないと言わんばかりだった。
その右手は勢いよく、落ちる。
篭手と床がぶつかり、ごん、と葬送の鐘のような音が辺りに響く。
「……」
ステイルは『神父』として、最後に十字を胸の前で切った。
イギリス清教もローマ正教も関係ない。
ただ一人の人間を送るための儀式だった。
「行くよ――」
『魔術師』ステイル=マグヌスは、言った。
「――――戦う理由が、増えたみたいだ」
465 = 462 :
「だァー。
面倒だなァ、オイ」
一方通行は一人、呟く。
現在、一方通行は上条達とは別行動を取っていた。
理由は単純。
上条もステイルも、敵に感知されやすいので、
一方通行のように敵に感知されない人間の囮になる、との事らしい。
で、別れて隠し部屋の捜索をする事になったのだが。
「どンだけあンだよ、クソったれ……」
階段を登るのが、辛い。
エレベーターを使うと生徒達に押し潰されかねない、
という理由で仕方なく階段を使う事になったのだが、正直辛い。
もともと、一方通行にはあまり体力がない。
十二階建てのビルを駆け登るのは、大変なのだ。
しばらくして、一方通行は目的の階に着いた。
現在、彼は東棟の六階にいる。
周りには生徒もおらず、少し不気味だ。
「さてと……。
隠し部屋とやらを探すとすっかァ……」
そう呟きながら、非常階段の入口から出ようとした一方通行だったが。
「……あン?」
彼は驚きの表情を浮かべる。
何故ならば――――。
466 :
彼の真横を、無数の光球が通りすぎたからだ。
467 :
「…………っ!?」
思わず身構えた一方通行だったが、
それらは彼を無視して南棟へと向かって行った。
「あァ、そォいう事か……」
一方通行は納得した。
確か南棟の方には上条達がいる。
おそらくは、敵の罠に引っ掛かって見つかったのだろう。
「こりゃ、急がねェとな……」
そう呟いて、一方通行は歩き出す。
「しっかしまァ……何だったンだろォな、さっきの」
「――当然、私が用意した『グレゴリオの聖歌隊』だが?」
突然の声に、一方通行は驚く。
「呆然、何を驚いている」
彼の目の前には、男がいた。
その男は、白い肌に白いスーツを着ていて、緑色の髪をオールバックにしている。
とんでもなくきらびやかな格好だったが、
男の中性的な美貌が、それを当然と思わせる。
おそらく、コイツが――――
「オマエがアウレオルス=イザードか?」
「当然、私がそうだが……。
侵入者は三人のはずだが、もう二人は囮か?」
一方通行の質問をあっさりと肯定して、
アウレオルスは逆に質問してきた。
「……さァ?
俺には、関係ねェな。
とりあえずオマエをぶっ飛ばせば、
くだらねェお仕事が終わるンだ。
手っ取り早く、済まさせてもらおォじゃねェか」
アウレオルスはそれを聞いて、笑う。
「必然、笑止。
そんな事ができるのか、少年」
「……………………上等だ」
二人は、互いに睨み合った――。
468 :
そんな訳で、今回はここまで。
次回、アウレオルス=イザードVS一方通行。
……皆様、お楽しみに。
一応、言っとくと一方さん無双にしたくはないから、
ちょっとオリジナル要素(?)を入れる。
苦手な人は気をつけて。
それじゃ、22時間後にお会いしましょう。
469 = 453 :
乙、ヒャッハー!
470 :
アウレオルスさん普通に強いから問題はないな
471 :
>>460で言ってる実験ってのは、絶対能力進化とは別の実験ってことでイイのかな
472 :
上条「いくぞ、長友!」長友「おぉ!!インテルでも頑張るぜ!!」
474 :
アウレオルスが強すぎるから一方さん大変そうだなあ
ダミー相手なら瞬殺なんだがなww
てかステイルがかっこよすぎる
475 = 449 :
おつおつ
三人ともいい味出してる!
一通さん大丈夫なのかー!?
476 :
この建物の中で一方さんの能力はどうなってるンだろ
反射ONにしている状態で誰かにぶつかっても反射は適応されないの?
477 :
ものすげェ力が発生してアラビアンゲートが開くンだろォな
478 = 476 :
んがンになってるままだった…
一方さん真似してたり一方さんのSS書いてたりすると勝手に変換されてて、気づかないことってあるよね?
479 = 462 :
ども、1です。
悪いけど、今日の分は2:00ぐらいからになりそう。
一応毎日だからいいよね?
以下、レス返し。
>>471
そうだよ。一応は『原作準拠で書く』んで、それは三巻でやる。
>>476
このSSだと出来ない事にしといて。
だってそんな事できたら、天井突き破って
「イィィィィザァァドくゥゥゥゥゥン!!」
で終わっちゃうもん。
では、長文で失礼。
480 :
背後パンチ
481 :
えっ
482 :
顔面パンチ
483 :
2月1日の26時と解釈すればよいと
484 :
吸血殺しパンチ
485 :
下半身が熱膨張
486 :
肩パンいる?
487 :
ヘタレオルスとか顔面自転パンチでひるんだところでKJさんのそげぶでいちころっしょ(笑)学園都市のキングだし()
488 :
午前2時だと思ってた奴、正直に名乗りでなさい
489 :
>>488
期待の表れだろうが、あんまり追い込むな
楽しみに待ってようぜ!
490 :
どうも、1です。
……投下しようと思って、PCの電源点けて
立ち上がりを待ってたらおもいっきり寝てました。
もう、ホントにごめんなさい。
とりあえず今からもう出ないといけないので、
昨日の分は今日の分と一緒に投下します。
大変申し訳ありませんでした。
491 :
あまいくン突き破るとか酷いな
492 = 484 :
腹パンの他に何かオプションを付けた方が良いのか?
493 :
もう腹パンは許してやれよww
494 :
膝カックンくらいで
495 :
どうも、やってきました。
いつまでも1なのは寂しいのでコテハンつけてみる。
今から投下します。
496 :
一方通行はまず、アウレオルスの出方を伺う事にした。
彼とアウレオルスとの間の距離は、およそ二十メートルほどだ。
一方通行からすれば、この程度の距離はたったの二秒で縮められる。
しかし相手の得物が分からないので、
思わぬカウンターを食らう可能性もある。
そう考えると、ここは様子見するしかなかった。
「……どうした?
当然、私を倒すと言ったからには、何か仕掛けてくるのだろう?
……依然、仕掛けてこないのならば、私から仕掛けさせて貰おうか」
アウレオルスがそう言うと彼のスーツの右袖からにゅ、と黄金の刃物が飛び出す。
(ありゃあ……鏃……か?)
一方通行は眉をひそめる。
形は間違いなく鏃だったが、大きさは小ぶりのナイフほどにはある。
暗器か何かの類だろうな、と心の中で結論づける。
497 = 490 :
その瞬間――――
「リメン――」
アウレオルスの右手がゆらりと上がる。
刃物の切っ先は一方通行の顔に向く。
「――マグナ!!」
アウレオルスがそう叫んだ直後、
それは銃弾のように一直線に一方通行の顔に向かって射出された。
「…………っ!?」
一方通行はとっさに身を捻り、何とか避けた。
放たれる寸前で『飛び道具』と当たりをつけたおかげだろう。
鏃の尻には、同じ黄金で出来た鎖が取り付けられている。
身を捻りながら、一方通行は鏃の行く先を見る。
重力に従って、それは落ちていく。
そして、ちょうど通路に設置してあったゴミ箱に、それは直撃した。
ガン!と金属同士が接触する音が聞こえてくる。
刹那――――
ぱん、と水風船を割った時のようにゴミ箱が液体になって弾け飛んだ。
498 :
強酸か何かでドロドロに溶かしたように見えたが、違う。
あれはただの液体ではない。
金色に輝くそれは――――高熱により溶解した純金だった。
鎖が巻き戻され、鏃はアウレオルスのスーツの袖へと納まる。
「自然、何を驚いている?」
アウレオルスは再び右手をかざす。
「我が役は錬金の師。
その名の由来、当然分からない訳ではあるまい?」
一方通行は言葉も出ない。
「我が『瞬間錬金(リメン=マグナ)』は、
わずかでも傷をつけた物体を即座に純金に強制変換する。
防御は無効、逃避も不可能。
そらどうした、貴様も得物でも超能力でも出せばよいだろう」
一方通行は何も答えられない。
「ふむ。
必然、『瞬間錬金』の前では愕然せざるを得んかね?」
アウレオルスがそう言うと、
「……驚くなってなァ、無理な話だなァ」
一方通行はゆっくりと口を開く。
499 = 496 :
「オマエ、何でそンな無駄な事してンだ?」
500 :
錬金術師の動きが止まる。
「だってよォ、魔術ってのはあくまでも『実験』なンだろ?
その中でも錬金術師(オマエ)は『結果』じゃなくて、
その『原因を調べる事』を大事にするンだろ?
わざわざ、『魔術(実験)』そのものを誇ってどうすンだか。
瞬間錬金(リメン=マグナ)?
くっだらねェ、そンなもン、人間に強酸ぶちまけるのとどう違うンだ」
一方通行ががっかりしたようにため息をつく。
「……必然」
「まったくよォ、何だこのバカみてェな三下は?
こンなのが大将だったら、アイツ一人で充分じゃねェか」
「……必然、失笑!!」
叫ぶと同時に、アウレオルスはスーツの右袖から『瞬間錬金』を射出する。
十本もの黄金の矢は、見事な軌跡を描いて一方通行まで飛んでいく。
アウレオルスは少年の末路を想像し、勝利の笑みを浮かべる。
みんなの評価 : ★★
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